先週、12日から始まったフランス全土の無期限ストライキ。2008年からサービス・ミニマム制度が導入されたために最低限の交通手段は確保されており、ストとはいえどパリ市内では深刻な影響を受けることないようで、パリ在住の同僚たちは皆、涼しい顔をして通勤しています。

がしかし、普段でも電車の本数が1時間に1~2本というイル・ド・フランスの外れにある“地方”から1時間以上掛けて通勤している私にとっては、電車のストライキは深刻な非常事態を意味します。ストではない時でさえ、電車の本数はすでに必要最低限だというのに、ストのせいで、電車の本数がさらに減少し、厳しい通勤を強いられるのです!
ストライキダイヤが発表され、朝は通常より10分早い電車に乗れば、始業時間に間に合いますが、これを逃すと次の電車は1時間後とあって、気を抜くことは決して許されません。電車の到着時刻も遅れることが多く、寒い駅で数10分電車の到着を待たなければならないこともしばしば。我が家の駅は始発駅から2駅目なので、朝は座って通勤できるのですが、電車の本数が少ない上、普段なら停車しない駅にも停車していくために、パリに到着する頃には2階建て8両編成の電車は満員電車と化し、車内では「押すな!」「どけ!」「乗るな!」の怒声が飛び交います。普段なら静かに読書をしながら過ごす朝の通勤時間は台無しです。
ストライキが1週間を超え、私と同じ電車でパリまで通勤している人たちのストレスや憤りは頂点に達しているもよう。「ストをしている人が線路内に入っているため、電車が遅延します」というアナウンスが入った瞬間、乗客たちからは拍手と共に「ブラボー、SNCF! 」と皮肉たっぷりのヤジが飛び交い、それを聞いたフランス人のマダムは「電車の邪魔をするために線路に入る愚か者なんてひいてしまえばいいのよ! 」と怒り心頭の様子……。さすがにそれはひどいだろう、と聞いていると、「そうよ! 電車のスピードを落としちゃだめ! 線路に人が入れないくらいスピード出せばいいのよ! 」とまた別のマダムまで……。ストに対する怒りから、妙な連帯感を持った見ず知らずの乗客たちは、その後もSNCFに対する批判を電車が来るまで繰り広げ、鼻息を荒くしておりました。
さて、パリに到着してからも、私の利用する路線は最もストの影響を受けやすい線のようで、山手線の満員電車並みの混み具合。会社に到着する頃にはもうくたくた。


帰りは帰りで、その日の電車の時間を前もって調べておかないと電車が来るまで1時間以上駅で立ち往生することになりかねません! 前もって電車の時間を調べていても、ストの影響で地下鉄がなかなか来ず目的の電車に乗れなかったり、楽しみにしていた週末のお出掛けを、ストのせいで予定変更を余儀なくされたりしている私に、同僚たちは毎日その日のスト情報を調べては、報告してくれます。報告してくれなくとも、会社に到着するまでに私はすでに電車を乗り継いで会社に来ているので、はっきり言ってあまり必要な情報ではありません。
「ところで、RERの何線を?」と都度質問してくる同僚。私はRERではなく、TERか地方行きのTrainだと教えてもピンと来ない様子の彼女は、メトロマップを出して、「どの辺りですか?」と質問する始末。メトロマップには掲載されない“地方”に住む私に対する嫌がらせとしか思えません! そんな彼女たちを見ていると、もう少し交通ストがひどくなって、パリ市内の交通もたくさん乱れてしまえばいいのに! と意地悪な気持ちになる私。そんな意地悪心を抱いた私に罰が当たったのか、今度は製油所ストの影響で石油供給ストップのニュースが舞い込んできました。 ニュースを聞いて、すぐ近所のガソリンスタンドに行ってきましたが、ガソリン切れですでに閉鎖。

車で駅まで向かう私の足を奪いかねない、これまた私にとって深刻なニュース。そして我が同僚たちにとってはこれまたさほど影響がありません。冷え込みが厳しくなった今日この頃、朝の気温はわずか4度。

まだ夜が明けきらない、暗く寒い駅までの道のりを朝から15分歩かなければならないことになるかもしれない事態を想像し、何で私だけ……。落ち込んでいます。もう意地悪なことは考えません。どうか、このストが1日も早く終了し、私の愛車のガソリンがなくなる前にガソリンスタンドに石油が届きますように……。








