南仏ではブドウ摘みが終わると、10月の末からオリーブの収穫期に入ります。緑色の実は徐々に色付き、黄緑から薄紫色に変化し、収穫を待つばかりとなります。北風ミストラルが吹く寒さの中、12月下旬までオリーブの摘み取り作業が続きます。
私が住んでいるヴァール県ではオリーブオイルの製油量が、ここ10年で346トン(2000年)から793トン(2009年)と、2倍以上の増加を示しています。フランス国内のオリーブオイルの消費量は年々高まり、30年前と比較すると3倍の約10万トン(2009年)を超えています。オリーブオイルの中でも、風味が高いエキストラ・バージン・オリーブ・オイルが南仏料理のベースとして使われています。これは製油過程で加熱処理が行われず、果実を潰して得た果汁から搾りかすと水分を取り除き摘出されたオイルです。

ヴァール県特産オリーブの品種
「cayet roux(カイエ・ルー)」
アンドレ・ランザ(André Lanza)さんのオリーブ畑と搾油工房を訪れ、収穫から搾油工程まで、オリーブの実が緑色のオイルに変わるまでを見させてもらいました。
まず、オリーブの木の下にネットを敷き、電動熊手で実を落とし、収穫作業が行われます。私が訪れた日は風がなく穏やかな天候でしたが、気温は1度。そんな中、アンドレさんと奥さん、息子さんの3人は朝から夕方まで収穫に集中し、たき火に当たりながらお昼ご飯を食べられると聞き、頭が下がりました。

電動熊手を使いオリーブの実を振るい落とします。

ネットに落ちた実を寄せ集め、箱に入れます。
収穫されたオリーブの実は搾油工房に運ばれます。洗浄、破砕、かき混ぜた後、沈殿タンク内でで水分と搾りかすから分離し、緑色のオイルが誕生するのです。いったん洗浄機に入ったオリーブが、沈殿タンクからオイルとして流れ出るまでの間に空気に触れないよう、各装置はパイプでつながっています。この方法で作ると抗酸化成分ポリフェノールが破壊されにくいそうです。

洗浄されたオリーブの実はパイプを通り、
次の工程へと運ばれます。

この破砕・攪拌タンクの中で、
オリーブの実はハンマミルで潰されます。

デカンター装置から緑色のオイルが流れ出てきます。
破砕・攪拌タンク内はオイルが摘出しやすいよう20度に保たれます。これらの搾油装置はイタリア製で、フランス語の「moulin à l’huile」のイメージからはほど遠く、石臼も圧搾機も姿を消し、装置はすべてステンレス製。
アンドレさんが10年前に植えた680本のオリーブの木は成長期を終え、たくさんの実を付けるようになりました。数年間放置されていた近所のオリーブ畑の管理と収穫も頼まれているそうです。伸びすぎてしまったオリーブの枝をカットしながら「2~3年したら実がたくさんなるのさ」と話してくれました。丸く枝打ちされたシルバー色に輝く木々が立ち並ぶオリーブ畑の風景が広がることを心から願ってやみません。

「グリーン・ゴールド」と呼ばれる南仏のオリーブオイルは
フルーティーな風味が特徴。
5kgのオリーブ実から1リットルのオイルが摘出されます。生産コストは1リットル当たり7~9ユーロ、販売価格は15ユーロ前後です。高価な南仏産のエキストラ・バージン・オリーブ・オイルの6割は輸出されて、高級食材として世界中で活用されているようです。
仏オリーブ協会(AFIDOL: Association française interprofessionnelle de l'Olive)統計資料を参考にしました。仏語のサイトですが、オリーブに関する情報が満載です。
www.afidol.org
反橋妙子(sorihasi taeko) 1980年に渡仏。仏語を学び、言語学修士号を取得。リヨンで日本語教師を経て、南仏に移転後は観光ガイドとして南仏を回る。現在、通訳・翻訳業を専門とする。 taeko3011.jimdo.com










