ライン河の支流イル川の両岸にあるストラスブールは、シーザーの時代には小さな漁村でした。しかし間もなく軍事基地となり、496年のクロヴィスの勝利以後、ストラートブルグム(道路の町)と名付けられました。それだけに、この町は歴史の過程で争議の場にもなってきました。16世紀に新教都市の資格を得たと思うと、17世紀にはルイ14世の命令でカトリックに戻り、その後も19世紀の普仏戦争、20世紀の両大戦の舞台となり、ドイツ領になったり、フランス領に戻ったりを繰り返してきました。こんな歴史があることから、例えば私の主人の祖父母はドイツ領に生まれ、フランスで亡くなったわけです。
このように、絶え間ない分裂の苦しみを味わいながら、ストラスブールは多くの経済活動の中心となり、その結果生じた都市共同体が質の高い教育・文化の場ともなってきました。ゲーテの学んだ大学があり、近年ではENAがパリから移転してきました。また、オペラ・デュ・ランがあり、国立オーケストラがあります。
さて、このストラスブールで見るものは、まずカテドラルです。正面の繊細な彫刻を見てください。このゴシック様式のカテドラルは、天文時計で有名です。1週間を表す7人の神々が文字盤の下に現れ、時間は死神によって打ち鳴らされます。19世紀の数学者の計算に基づいて作られたこの時計は、天体の運行と教会のすべての祝祭日を示しています。シルベルマンのオルガンも有名です。トマ教会のものは、モーツァルトも弾いたということです。

教会 ©OT Strasbourg / Alain KAUFFMANN

教会 ©OT Strasbourg / Alain KAUFFMANN
カテドラルから橋を渡ると、アルザス博物館があり、家具や衣装や生活用品が展示されていて、アルザスの伝統的な暮らしがよくわかります。
カテドラルに戻って、ずっと西に進むと、プチット・フランスに出ます。かつて漁師や革職人の住んでいたこの界隈は、運河に面して木組みの家が並び、アルザスらしい雰囲気を醸し出しています。シュークルートのおいしいレストランもあります。
時間があれば、ロアンの館の前から、船でイル川をまわることをお勧めします。段差のある堰を越えたりしながら、ゆったりとヨーロッパ議会からプチット・フランスまで見られてなかなか楽しいものです。

時計台 ©OT Strasbourg / Laure GAUTHEROT - OTSR

©OT Strasbourg / Sébastien HANSSENS

ロアン宮 ©OT Strasbourg / AIRDIASOL - ROTHAN

©OT Strasbourg / AIRDIASOL - ROTHAN

欧州議会 ©OT Strasbourg / AIRDIASOL - ROTHAN

交通 OT Strasbourg / Sébastien HANSSENS
| ● パリからストラスブールまでのアクセス |
| 飛行機:パリからストラスブール空港まで行き、そこからシャトルバスでバガルゼー(Baggersee)という停留所。そこから路面電車でA線で市内へ。 電車:パリ東駅からストラスブールまでTGVでおよそ2時間20分。 |
| ● アルザス美術館 Musée Alsacien 23-25, quai St-Nicolas 67000 Strasbourg Tél: 03 88 52 50 01 開館時間:月-金12:00-18:00、 土·日10:00-18:00、火曜休館 www.tourisme-alsace.com |
大西正子 仏政府給費留学生としてパリ第4大学大学院で比較文学を専攻。アルザスに移り、ストラスブール大学を始めとして幅広く日本語を教える一方、翻訳に携わる。17年ぶりにパリに戻り、今秋より再び大学の教壇に。










