アルザスの秋一番の集まり。人々は新酒を囲んで近況を語り合い、果樹園が暮れなずむまで友好を温める。
9月中旬の日曜日の午後。キーンツハイムのK氏(アルザス日本研究所所長でアルザス日本友の会会長)私邸の庭にあるクルミの木の下に、友の会会員が集まり新酒を酌みかわす。
素朴な厚焼きの壷の中には2種類のワインが入っており、1つは透明、もう1つは乳白色に近い液体で満たされている。実はどちらも白ワインの新酒なのだが、発酵が進んだ方は白く濁りアルコール度も高くなるのだという。ワインをこの段階で飲ませるのは、この地方の白ワインだけである。

新酒を囲んで和気あいあいと © CIVA
何列にも並べられた古い木のテーブルの上には、かご一杯のクルミと、小さな木のまな板にのせられた田舎風ベーコンの薄切りが広げられている。これを肴に、参加者はヴァカンスでの出来事や共通の知り合いの消息などを語り、新しい赴任者には紹介の場となる。このようにして、まだ日の長い秋の果樹園が暮れなずむまで、友好を温める一時が続くのである。

ワイン街道の村で © CIVA / Photographe: Melaye
この光景は、アルザス(特にオー・ラン県)の多くの村や、町のヴィンシュトゥッブと呼ばれる郷土料理のビストロで繰り広げられる。
この時期ぶどうの収穫はまだ続いており、ワイン街道を通ると農家のトラクターがぶどう桶を満載にしてユルユルと走っていることもある。そのトラクターがわき道に入るまで、後続の車が徐行を余儀なくされることもしばしばある。
とはいえ、桶のわきでぶどう農家の子供が面白そうにこちらを見て手をふったりしているこんな光景も、アルザス地方ならではの秋の風物詩だろう。
糖度が高い遅摘みワイン(ヴァンダンジュ・タルディヴ)の収穫がある初霜の季節まで、まだしばらく秋の日が続く。

ユナヴィールのぶどう畑 © CIVA / Photographe: Zvardon
| ● パリからコルマールまでのアクセス |
| 電車:パリ東駅からTGVでストラスブール経由ミュルーズ行き、コルマール下車。直通列車もあり(2時間50分) 車:A4/E50 (Troyes/Nancy), E25 (Metz), A4/E25 (Strasbourg), A35/E25 (Colmar) Sortie No.9 (Colmar)で降りる, N83/E25 (Colmar) Sortie No.23(Colmar)で降りる。 |
| ● お勧めの郷土料理の店(ヴィンシュトゥッブ) Winstub Brenner 1, rue Turenne 68000 Colmar TEL:03 89 41 42 33 営業時間:12:00-14:00 / 19:00-21:30 休:火水 |
| ● コルマール情報 Caveau St Jean, Cygne, Chez Hansi など。村のワイン祭「Vin Nouveau」については、コルマール観光協会やCIVAのサイト参照 コルマール観光局 http://www.ot-colmar.fr/ コルマール市 http://www.ville-colmar.fr |
大西正子 仏政府給費留学生としてパリ第4大学大学院で比較文学を専攻。アルザスに移り、ストラスブール大学を始めとして幅広く日本語を教える一方、翻訳に携わる。17年ぶりにパリに戻り、今秋より再び大学の教壇に。










