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ロンドンのゲストハウス
sam 27 mai 2017

今回の映画:メルシー!人生!le placard (仏2001)
テーマ:フランス流!違反切符の逃れ方。

フランシス・ヴェベールのコメディ映画。原題の「placard」 は、「クローゼット・(戸で閉まる)棚」。そこから派生して、sortir du placard(クローゼットから出る)→カミングアウトする(同性愛者であることなどを公表する)という意味でも使われる。

いつでも陰が薄く、冴えない会計職の男、フランソワ・ピニョン(ダニエル・オートィユ)。ある日、会社をくびになると知らされる。2年前に離婚し、高校生の息子からも相手にされないフランソワは支えてくれる家族もいない。絶望のふちに立つ彼に引っ越してきたばかりの隣人(ミッシェル・オーモン)がアドバイスする。「首をつなぎたかったら、ゲイであることを(ウソでも)公表せよ」と。ゲイを差別しているというイメージをもたれたくない会社は、ピニョンの解雇を辞め、彼を見る周りの目がみるみる変わっていく……。

シチュエーション

ゲイである。とウソの公表をしたフランソワは、会社からの解雇をまぬがれた。しかし、退屈な父親に愛想を尽かしている息子の愛情を勝ち得ることができず、気を落としながらも、なんとかコンタクトを取ろうと懸命になっている。車の中で妻に電話をしている最中に、「運転中のハンズフリーを使用しない携帯電話の使用は禁止」と、警官に車を止められる。

Agent de police
Vos papiers s’il vous plaît !

François
Vous n’allez pas me donner une contravantion pour ça.
J‘appelais ma femme, parce que je suis inquiet pour mon fils.
Il est à un mauvais âge.
Vous avez des enfants, monsieur l’Agent ?
Agent de police
Pas pendant le service.

François
Il m’a complètement laissé tomber.
Il vient plus me voir du tout. Je l’ai attendu toute la journée samedi.
Agent de police
Toute à l’heure, c’était une vielle dame,elle passe au feu rouge, je la siffle, elle se met à pleurer, parce que son chien est mort il y a 3 jours.
Ce matin, une jeune filles en sens interdit, elle a des larmes parce que son copain l’a quittée. Laissez-moi faire mon boulot, bordel ! Gardez vos emmerdes pour vous !
François
C’était mon petit garçon...
C’est un étranger maintenant...
Agent de police
Bon, allez, allez ! Allez foutez-moi le camps.
警察官
免許証を見せてください。
フランソワ
違反切符を切るんですかっ?
妻と電話してて……。息子が心配なんです。いま難しい年頃で……。
お子さんはいらっしゃいますか?
警察官
任務中はいないよ。
フランソワ
……アイツ、完全にボクのこと無視なんです。会いに来てもくれない。
土曜は1日中待ってたのに。
警察官
さっきはおばあさんが赤信号を渡ってたから、ホイッスルを吹いたら、3日前に犬が死んだって泣き出すし、今朝、一方通行を逆行してた若い女の子は、彼に捨てられた!とかいって涙を浮かべるし。
仕事させてくれ、くそっ!問題は自分たちで抱えてくれよ!
フランソワ
……あいつはボクのかわいい息子だったんだ。今はどこかの他人……。
警察官
(にがにがしく)ああ、はいはい。もう、いいよ。さっさと行ってくれ。

Vos papiers s’il vous plaît !
あなたの書類(身分証明書)を見せてください。

警察官が一般市民に言うセリフ。ココでは、免許証と訳しましたが、フランスで車を止められたら、免許証の他に、車の登録証(la carte grise)を一緒に見せます。vosと複数形になっている所がポイント。車に乗っていなくても、警察官にvos papiers見せて!と言われたら、パスポートや滞在許可書など公的な身分証明書を見せます。カバンに入っている適当な紙を見せて!と言われている訳ではありません~。

J‘appelais ma femme, parce que je suis inquiet pour mon fils.
妻に電話していたんです。息子のことが心配で。

警察官にとっては知ったこっちゃない!!という話題ですが、こうやって特に相手に気を遣わずに、自分の話をペラペラするのがフランス流。少しでも人間的にお近づきになって、なんとか許してもらおう!という趣向。そして、実際に許してもらえる場面もあるからやめられません!そんなわけで、フランス人の口数が多くなるのでしょうか。

例)お店で、「これはもうないです!」と言われたが、「あら~、残念!これがないと今日眠れないわ~!実はここ数日、眠れなくて困ってて~」などと、ベラベラおしゃべりを分かちあったら、「ちょっと倉庫を見てきますね。On sait jamais !(もしかしたらあるかも)」と、親切ぶって重い腰をあげる店員。そして、欲しいものは必ず手に入れるパリジェンヌの目がキラリと光る。

Vous avez des enfants, monsieur l’Agent ?
お子さんはおありですか、巡査!

前項の「心を近づけて許してもらおう!」趣向の決定版。子供をダシに。「お子さんはおありですか?」と尋ねると誰でも自分の子供が脳裏に浮かび、さらに1言2言、子供ネタで共感し合った日には、話し相手と近くなったような錯覚にとらわれる。という心理をついた交渉術。ただ、誰にでも通用するわけではないので、子供が好きそうな人に。でないと逆効果になってしまうのがリスクと言えます。
子供の話題が共有できそうになかったら、昔の思い出など、共有できそうなものを一瞬にして嗅ぎ付けることが交渉の天才と言えるでしょう。

例)隣に住む無愛想なばあさんに、やむを得ず、頼みごとをするときに。
Ah ! Ça me rappelle d’un plat que ma mère a fait souvent...qu’est-ce que ça sent bon....(ああ、ママがよく作ってくれた料理を思い出すなあ。なんていい匂いなんだろう……)

Pas pendant le service.
勤務中はいません。

すげなく交渉を打ち切られてしまいました。さすが向こうも百戦錬磨のプロ。子供が勤務中だけいないってどういうこと~?!な、フランス人はこんな言い方をよくします。

例)こっそり付き合ってるご同僚が、仕事場で迫ってきたとき。
「Est-ce que tu m’aimes ? アタシのこと好き?」
「Pas pendant le travail. 仕事中は好きじゃない。」
「...」

例)休日に友達の両親の家に行ったら、蛇口から水漏れがしていた。
「Je crois que tu es plombier, non ? そう言えば、あなた、配管工だったわよね?」
「Pas aujourd’hui !今日は違います!」
と、にこやかに、上手に利用されるのを回避します。

Laissez-moi faire mon boulot, bordel !
仕事させてくれよ、くそ!

相手があきらかに交渉を拒否した、としても諦めないのがフランス流。ただ、あまり強硬に出ると逆効果なので、ほどほどに柔らかく、悩みを吐き出し続けるフランソワ。しかし、みんな考えることは同じ。警察官は、そんな人々にうんざりしています。

例)メトロやバスについ、ただ乗りした。が、運悪く検察が入って「切符を拝見!」と言われてしまった。
そんなとき、ポケットの中やカバンの中を探り、切符を探す振りをしてもいけなくはないですが、効果はありません。相手はそんな人すでに何百人も見ているため、「ハイハイ探す振り終わった?」くらいの冷めた目であなたを見つめています。ココは思い切って、「お子さんはいらっしゃいますか?」くらい話題を飛躍してみましょうか?

ちなみにbordelは、もともとは売春宿という意味のgros mot(一般に使ってはいけないと言われる下品な言葉)。連発すると、どんな奴だ!?と思われます。ご注意!!

Gardez vos emmerdes pour vous !
問題は自分で抱えろよ!

自分の悩みを警官に打ち明けるのは、交渉と同時に、愚痴を兼ねているということが伺えます。
自分の得になるように交渉しつつ、愚痴もたれながして気分すっきり!!まさに一石二鳥の手法です。一方で、愚痴や問題などのネガティブパワーをとにかく聞かされる警察官の健康状態が心配されます。(ま、必要以上に権力を利用して威張っている場合もあるので、自業自得な人も)

また、警官に限らず私たちも、フランス人に愚痴を聞かされることはめずらしくありません。ココまで砕けたくなかったら、「Gardez vos problèmes pour vous !(問題は自分でおかかえください)」。
いざというときに出てくるように練習しておきましょう。

例)いっつも愚痴を言っている友人に、我慢の限界が来てしまったら。 Garde tes problèmes pour toi, ah !(問題は自分で抱えてよ、もう!)

C’était mon petit garçon... C’est un étranger maintenant...
ボクのかわいいぼーやだった。今は、他人だ……。

ダメ押し。フランス人たるもの、一度や二度、交渉に失敗したからと言って、潔く引き上げないところがポイントです。あまりしつこいと、逆効果で罰金が増えそう!と小心者の私などは思ってしまいますが。(私だったら、人のいうことを一度で聞かない人相手には、イライラして罰金を増やしてやります。←フランス人になるためには人生の余裕が足りないかも)
主題を変えずに、どんどん問題(グチ)を掘り下げていくところがポイント。 病的なまでにしつこく粘りましょう~!

例)兄と電話をしていたせいで遅刻した!といういい訳の詰めに。
C’était mon frère préféré... C’est un étranger maintenant...
一番大好きなお兄ちゃんだったんだ。でも、今は他人だ……。

Allez, foutez-moi le camps.
ほら、もう行ってくれ!

あ、結局、警察官が折れました。警官側の気分や性格のしつこさ、などにもよりますが、交渉は粘り勝ちです。罰金を増やす、などの意地悪な警官でなくてよかったですね!一般市民同士の交渉でも、やはりしつこい方が勝ちやすいと言えます。しつこくいるためには、「勝つぞ!」という気概が必要です。こんなことのためにこの労力?と、建設的に考えてしまう効率的な人、また、しつこくして人の気持ちを損なうことが怖い人などは、かなり不利。どんなくだらないことでも、「言い負かした!交渉に勝った!」と人生の喜びになる人でないと、フランス人として常に勝ち続けることは難しいと言えます。

foutez → foutreは、faireの大変砕けた下品ないいかた(gros mot)です。(前回も出てきましたね!)

フランス流交渉にはまず、勝つぞ!という意気込みと、それを貫き通すしつこさが必要です。 具体的な手段としては、まず、自分のことを話して、相手との会話の接点を探す。妙齢の人同士では、子供の話題が、手軽で効果が高いと思われます。また、フランス人風に共感を得るためには、誰かの悪口(愚痴)も効果的。インターネットのプロバイダ―、政治、気候など、何かしら共感し合える悪口が言えるはず。家の工事の話題は、ぼほ99%のご家庭が問題を抱えるので、利用価値アリ!と言えましょう。また、幅的には狭く難易度は高いですが、歯の治療(インプラント、指し歯など細部まで)、子供が本を読まない!などの悩みは、一度話があってしまえば、心がグッと近づいて、つい友達になってしまうかもしれません。

 
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小林まみ Mami Kobayashi

女子学院、慶應義塾大学理工学部卒業後、パリ高等映画学校(ESEC)に留学。 フランスの映像プロダクション勤務を経て、短編映画制作、シナリオ執筆。フリーで通訳、翻訳業に携わる。2004年より、メルマガ「み~さの12秒フランス語!」発行。「まぐまぐメルマガ大賞」3年連続受賞。
公式サイトhttp://miisa12.com

現在、フランス語、フランス、映画関連の本などの執筆。
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