視覚的な音楽表現を
どこまでも追求する
後藤 英さん
Suguru Goto
Compositeur et Artiste nouveaumédia
| 肩書き | 作曲家、ニューメディア・アーティスト |
| 経歴 | 1966年、愛知県生まれ。クラシック音楽を学ぶため18歳で渡米し、ボストン・ニューイングランド音楽院で6年間学ぶ。その後、奨学金を得てドイツのベルリン芸術大学、ベルリン工科大学に在籍。ディーター・シュネーベル教授の下、コンピューター音楽や実験音楽を学ぶ。95年からはフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)に所属し、ロボットが演奏をする新しいスタイルを確立。2009年にはイタリア、第53回ヴェネツィア・ビエンナーレに招待されるなど世界各国で活躍中。 |
| 嗜好 | 1つのことに夢中になり、とことん追求すること。 |
世界各国で音楽を学ばれていますね。
高校を卒業してすぐにクラシックや現代音楽を学ぶためにアメリカの大学へ進学したのが海外へ出たきっかけです。自分の音楽スタイルに変化が現れ始めたのは、ドイツに渡ってから。ベルリンでコンピューター音楽を学ぶと同時に、大学の教授で実験音楽家としても知られるディーター・シュネーベル氏の影響を受け、音とダンス、映像を組み合わせるなど、音楽を視覚的に見せることを考え始めました。この「見せる音楽」こそ、今の私の作品の根底にあるものです。また当時はベルリンの壁が崩壊した直後で、共産主義の下に表現を抑圧されていた芸術家が自由を得て、奇抜な作品が生まれた時代だったため、前衛的な芸術作風にも影響を受けました。
フランスには、国立音響音楽研究所(IRCAM)でコンピューター音楽を学ぶために来ました。1年でベルリンに戻る予定だったのですが、IRCAM での新しい試みがうまくいき、あと少しと延長し続けながら今に至ります。
演奏するロボットはフランスで考えたのですか?
そうです。IRCAM は常に新しいテクノロジーを取り入れた作品を要求しますし、アーティストがひらめいたアイデアを技術的に実現してくれる環境も整っています。私はドイツで学んだ「音楽を視覚的に表現する」ことをロボットで試しました。例えば、人間の動きに合わせてロボットが演奏するというパフォーマンス。それは全身にセンサーを着けた人間が舞台に立ち、何かをたたくしぐさをすると、その動きが瞬時にロボットへ伝わり、前に置かれた太鼓をその人間と同じ動作でたたくというものです。そのうち、猛スピードで何分も太鼓をたたき続けるなど、ロボットにしかできない業も舞台に取り入れていき、「ロボティック・ミュージック」として一風変わった作品が多数生まれました。
なぜロボットや機械を使用するのですか?
人間の能力では不可能なことをロボットなら成し遂げられるから。また、人間と機械がかかわる中で生まれる疑問や発見があり、それが面白いと思っています。例えば、人間とロボットを比較すると、人間には心がある。しかし、もし心が「自分」なのだとすれば、肉と皮だけの身体は、ロボットと変わらないのか……。こんな疑問を作品を通して投げ掛けています。あとは、機械を通すことで人間の豊かさが見えることがあります。同じカメラで同じ光景を写しても、撮る人によって生まれる作品が異なるとか。鏡のような役割を機械が果たすことがあると思っています。
今後の予定を教えてください。
今年11月にイタリアで行われるアート・フェスティバルのために新しいプロジェクトを進めています。音が出す振動による液体の変化をテーマに、音により水が波を打ったり、面白い模様を作ったり、時には跳ね出したりする現象に注目したプロジェクトです。このように、音を「音楽」として楽しむだけではなく、音から発生するさまざまな表現方法を探り続け、今後も発表していきたいです。
Quant à Suguru Goto – Cymatics
イタリア・トリノで行われるデジタル・アート・フェスティバルにて、音の振動をテーマにしたプロジェクトを発表する。
Share Festival 2011
11月3日(木)~7日(月)
事務局
The Sharing
Via rossini 3 10124 Torino
TEL : +39 (0)1 15 88 36 93
www.toshare.it








