
| カンヌの夢 |
|
5月14日から25日まで第61回カンヌ国際映画祭が開催された。海岸に面したフェスティヴァル会場と、豪華ホテルと高級ブティックが立ち並ぶクロワゼット通りは夢見る人々で賑わいをみせていた。 特に夕刻になると、世界の映画スターたちがカメラマンのフラッシュを浴びながらレッドカーペットが敷かれた階段を上る姿を一目見ようと会場前は黒山の人だかり。そこへ、オフィシャル・カーに乗ったゲスト・スターたちが登場し、歓声が上がり始める。 ![]() フェスティヴァル会場のレッドカーペットの前で待つ人々 眩いばかりの宝石とパーティードレスに身を包んだ女優の横には黒いタキシードを着込んだ長身の俳優がエスコート。今年のカップル最優秀賞は大きなお腹のアンジェリーナ・ジョリーといたわるように寄り添っていたブラット・ピット。彼女の主演するコンペ出品映画「チェンジング」(クリント・イーストウッド監督)は残念ながら賞を逃してしまった。 ![]() 望遠レンズのピントを合わせるカメラマン 映画際のお祭り騒ぎの脇役はボディーガードとドライバー。黒の上下にイヤホーン姿の怖そうな男性もいれば、柔道の達人の女性もいるらしい。野次馬からスターを守るだけではなく、女優を飾る宝石をガードするのも大切な任務。クロワゼット通りの4星ホテルは映画の要塞のごとくガードマンがパスカードをチェックする。さらに、スターたちはホテルからフェスティヴァル会場まで車で移動するので100人近いドライバーが働いている。 ![]() スターを乗せるフランス車の代表格ベルサーチ そのドライバーの1人アブデラリ・ケローさんにスポットライトを当ててみたい。彼が一番大切にしている写真はジャッキー・チャンのボディーガードを勤めた時のもの。宝物のようにして、携帯電話の中に収めてある写真を嬉しそうに見せてくれた。子どもの頃はブルース・リーの大ファンで、カンフーやキックボクシングなど格闘競技で鍛えたスリムな体型の持ち主。 ![]() カンフーで鍛えた引き締まった筋肉が自慢 モロッコ生まれの彼は5歳の時、家族と一緒にフランスに移り住み、ノルマンディーで育った。お父さんのしつけはとても厳しく、それから逃れるようにカンフーに熱中したらしい。カンヌで暮すのが夢だった恋人のために、家を出てコート・ダジュールでガードマンの仕事からスタートし、現在はボディーガードやドライバーの仕事をするまでになった。その恋人と結婚し、2人の間には2歳になる男の子がいる。彼の運転はとてもソフトで、カンフーの達人とは思えないほどの優しい立ち振る舞い。「僕の夢は俳優になることなんだ」と言いながら夢見る彼、映画祭開催中フランスの移民二世の間で人気のある俳優の身内とコネができたと話してくれた。 ![]() とっても明るく親切なアブデラリ・ケローさん、誰かに似ている 10年ぐらい前までは北アフリカ出身の俳優は数えるほどしかいなかったフランス。でも現在は、ジャメルや元レザンコニュのパスカル・レジチムスなど多くの俳優が活躍している。だから、今だったらアブデラリの夢も実現の可能性がある。私が「じゃ、ブログにあなたについて書いてもいい」と聞くと快諾してくれ、写真を送信してくれた。そんな彼を、私は応援したい。 ![]() カンヌが舞台のカンフー映画の新作「カンヌの夢」! 今年の審査委員長は演技派俳優で監督でもあるショーン・ペーン氏。彼も夢見る俳優の卵として 、1984年カンヌを訪れている。「パリ、テキサス」主演のハーリー・ディーン・スタントンの部屋に居候しながら自由に映画際を楽しんだらしい。でも、見た映画は1本だけだったとル・モンド紙のインタビューに答えている。ペーン氏はアメリカのスターだけど、審査委員長とつとめるカンヌでは「オスカー賞に対照的な映画祭にしたい」と発言していた。 第61回カンヌ国際映画祭パルム・ドール(最優秀賞)には21年ぶりにフランス映画が選ばれた。パリの中学校で先生だったフランソワ・ベガドーと移民二世の中学生たちの間の隔たりをテーマにした、ローラン・カンテ監督の「ザ・クラス」という作品。受賞に際し出演した中学生全員がステージに上がり、初々しい限りだった。 彼らの運命は一夜にして変わり、翌日の登校時には大拍手で迎えられているニュースが報道された。さらに、翌々日後マリ出身の男子中学生のお母さんには申請しておいた滞在許可証が発行された。今年のカンヌ映画祭受賞作品はフランス社会に強い影響を及ぼしそうだ。
|
||||||||









EUR 







