
パリの名所は数あれど、忘れてはならないのがカフェ。古き良き時代を味わえるパリならではのカフェから、モダンでおしゃれなカフェまで、パリには実に様々なカフェが存在する。今回の特集では、ダイジェスト・ライターがお勧めするカフェを7軒紹介しよう。
一口にカフェといっても、パリには様々なカフェがある。ここ最近では美術館などのアートスペースにおしゃれなカフェが出来、パリのカフェ事情も変わって来ているが、全てに共通するのがのんびりとしたひとときを過ごせる場所。天気のよい日など、テラス席に陣取りカフェ1杯で長時間粘り優雅に過ごすのがパリジャンとしてのしきたり。
ガイドブックなどに紹介されているカフェもよいが、観光客のたまり場では本当のパリの贅沢なひとときを過ごすとは言い難い。そこで、パリに住んでればこその穴場をこっそりと今回は紹介したい。 どのカフェも個性的なので、その日の気分に合わせて通い分けてみてはいかがだろうか?
「このカフェの特色は?」との質問に、「カフェの撮影にきたのかな?」と店長さんは答えた。
このカフェでは、ここ数年テレビ・ドラマ や映画の撮影が4本ほどあったそうだ。ごく最近では、6月に劇場公開されたフランス映画「La Maison du Bonheur」の撮影現場になったという。
流行の地でも観光地でもなんでもない12区の静かな一角にあるカフェだけれど、不思議な魅力を漂わせており、近所のパリジャンのみならず、映像界の人間をもひきつけている。自転車が天井に埋め込まれていたり、赤い色合いの壁と丸テーブルのモザイクの色のバラスンが絶妙だ。しかも、ランチも「そこらのカフェとは一味違って“味”がある……」と思っていたら、話題のサン・マルタン運河のカフェ「Chez Prune」の姉妹店であった。
なるほど!しかし、こちらに集まってくるのは観光客ではなく、カフェの何たるかを知るパリジェンたち。夜中すぎには、どこからやってくるのか、お洒落な若者たちでいっぱいになるが、昼間は子供やお爺ちゃんもテラスでくつろいでおり、ランチや冷たい飲み物をとっている姿がほほえましい。
[Texte est photo par Ako NGYENT]

左)天気のよい日は心地よいテラス席
右)自転車が天井につられた一風変わった店内
| Chez Gudule | |
| 住所 | 58, boulevard de Picpus 75012 Paris |
| 最寄り駅 | Picpus(6番線) |
| TEL | 01 43 40 08 28 |
| 営業時間 | 9:00-2:00 |
| 定休日 | なし |
| コーヒーの値段 | カウンター:1€、テーブル:2€ |
すっかりパリのコンテンポラリー・アートの館として定着した、パレ・ド・トーキョー。ここにあるカフェは、展示スペースに入場しなくても利用できる穴場スポットだ。
ロフトスタイルの開放的な空間は、作品を鑑賞するにもお茶をするにも快適。けれど、まだ日差しの気持ちよい9月ならなんといってもテラスに出たい。車道から離れたイエナの高台からは、広々とした空と右手にはエッフェル塔が見渡せる。ぼんやりと考え事をする、本のページをめくる……過ぎてしまった夏を名残惜しむパリっ子たちがくつろいでいる。トロカデロの観光客の喧騒もここにはない。メニューはドリンクのみで、セルフ・サービスなので各々ドリンクを買ってから(当然プライスも良心的)自由に席を選ぶ。ここは、街中のカフェのような活気はないけれど、雲とともにゆっくりと流れる“静かな時間”を味わうことが出来る場所だ。
手前のTokyo Eatはレストランになっていて食事ができる。(12-15h, 20-23h30)
[Texte et Photo par M. MATSUZAKI]

左)特注のテーブルには大きくtokyo selfと書かれている
右)街中のカフェでは味わえない開放感
| Tokyo Self | |
| 住所 | 13, av Président Wilson 75116 Paris |
| 最寄り駅 | Iéna(9番線) |
| TEL | 01 47 20 00 29 |
| 営業時間 | 12:00-23:00 |
| 定休日 | 月 |
| コーヒーの値段 | 1.50€(カウンターなし) |
世紀末の画家たちが集まったピガールやクリシー近くには、ギュスターヴ・モロー美術館や3つの劇場がある。 その中のロマン派美術館は、パリの中心とは思えないような静かで落ち着いた住宅地にあり、かつてはヌーベル・アテネと呼ばれ、文化人たちに愛されたエリアだ。この美術館は、彫刻家シェファーの旧邸宅を利用したもので、当時はジョルジュ・サンド、ショパン、リストやドラクロワなどロマン主義派の芸術家達のサロンになっていたという。
門を入り木立のアーチを抜けると、3階建の建物が現れる。その隣には温室があり、夏季はサロン・ド・テがオープンしている。天気のよい日、庭に設けられたテラス席は、リラックスした表情のパリジャン達でいっぱいだ。ヘルシーでおいしい、ケークやタルトも、あのレ・ケーク・ド・ベルトランの直営店だから当然かも。できれば誰にも教え たくないとっておきアドレス。
隠れ家の雰囲気を味わいながら、たっぷりマイナスイオ ンを浴びたい時に、ぜひ立ち寄ってほしい。
[Texte et Photo par Izumi HIRANO]

左)サロン自慢のケーク
右)植物が生い茂る美術館外観
| Un Thé dans le Jardin | |
| 住所 | Musée de la Vie Romantique 16, rue Chaptal 75009 Paris |
| 最寄り駅 | Blanche(2番線) |
| TEL | 01 55 31 95 67(美術館の電話) |
| 営業時間 | 11:30-18:00 |
| 定休日 | 月・祭(10月16日から、2007年4月中旬までクローズ) |
| コーヒーの値段 | 2€(テラスも同じ) |
第一印象は真っ白なカフェ。その名もカフェ・ブラン (白いカフェ)。
ちょっと他にはないキリリと光るようなホワイトの近未来的インテリアは、40年来クレージュ(Courrèges)と仕事をしてきた建築家ジャン・ボッチノー氏によるもの。
そう実はここ、クレージュが経営するカフェで、一見ポップで陽気なのに、シックな不思議な感覚がくつろぎの時を約束してくれる。場所はクレージュ・ブティックのお隣だからシャンゼりゼ界隈でのショッピング後の一息には最適。観光客がいっぱいで、ざわざわしたカフェも、タバコむんむんのカフェもいやだけれど、サロン・ド・テに行くほど腰を落ち着けるつもりもないし……なんていう時にもぴったりだし、「朝の光の中、のんびり気軽なパリ流の朝食を……」というお友達がパリ観光に来た時などにもぜひ。
カフェは一律2€ 、お茶は3.50€ 、ケーキ等の自家製の お菓子も3.50€からと、お値段もお手ごろ。真っ白で、粋なCafé Blancのマーク入りのお皿やカップは、クレージュ・ファンにはシビレルところ。
[Texte est photo par Ako NGYENT]

左)クレージュ・ブランドが店内あちこちに展示されている
右)名前通り真っ白な店内
| Café Blanc | |
| 住所 | 40, rue François 1er 75008 Paris |
| 最寄り駅 | Franklin D.Roosevelt(1, 9番線) |
| TEL | 01 53 67 30 13 |
| 営業時間 | 9:00-19:00 土11:00-19:00 |
| 定休日 | 日 |
| コーヒーの値段 | 2€ |
太陽の光が射すやいなやテラスに陣取りたくなるのは、なにもフランス人に限ったことではありません。私達日本人だって、長い冬をすごした後はUVケアなど忘れて日光を浴 びたくなるもの。だというのに、なぜかぱっとしないこの夏のパリ。こんな時は、わずかな晴天も逃さずテラスを満喫したい!
「太陽光線を充電したい!」と思ったらLa Chaise Au Plafondへ直行です。車両通行止めの袋小路、トレゾー通りに面しているのがポイントのこの店。繁華街のマレにありながら、車の騒音とも排気ガスとも無縁の気持ち良いテラスが魅力です。
通りには他にも沢山のテラスが並んでいますが、La Chaise Au Plafondがオープンした12年前はここ1軒だけでした。以来ずっと、空とお日様を愛するパリジャンでにぎわっています。朝は1人で新聞を、お昼のランチは友達と、午後は子供や愛犬を連れなど。車の通行が無いパリのテラス、まさに宝(トレゾー)のような存在です。
[Texte et photo par Keiko SUMINO]

左)車の通行が無くゆったりとくつろげるテラス席
右)カフェのある小道、パリの雰囲気を味わいたい人にお勧め
| La Chaise Au Plafond | |
| 住所 | 10, rue du Trésor 75004 Paris |
| 最寄り駅 | Hôtel de Ville, St-Paul(1番線) |
| TEL | 01 42 76 03 22 |
| 定休日 | 無休 |
| コーヒーの値段 | 2€(カウンターなし) |
「カフェ・マルリ」は、 小説「ダヴィンチ・コ ード」の舞台となっているルーブル美術館の中にある。テラスからは、ルーブル宮殿とガラスのピラミッドが望める抜群のロケーション。Hôtel Costesの姉妹店なので、内装もルーブル宮殿の豪華な作りを生かしつつ、インテリアなどにモダンな要素を取り入れ、おしゃれな雰囲気に仕上がっている。
一直線に伸びたルーブル宮殿の回廊をそのままカフェのテラスにした独特な作りは、パリコレの会場としても使わ れることがある。早朝8時から夜中2時まで営業しているので、美術鑑賞後の余韻を楽しむもよし、天気のよい日などは、ぶらぶらとシャンゼリゼ通りからチュイルリー公園 を抜けて、ルーブル美術館までたどり着いた後の絶好の休憩スポット。
このカフェは、名前こそ「カフェ」とついているが、実はレストランにもなっており、メニューも「トマト・モッツァレーラ」や「エビとアボカドのカクテル」などの軽い軽 食の他に「リゾット」や「子羊のステーキ」などのボリュー ムのあるものも食べられ、値段も20€程度なのでビジネスランチにも最適。
[Texte et Photo par Hajime YANAGISWA]

左)一直線に伸びた回廊が、そのままテラス席となっている
右)ルーブル宮殿とピラミッドを眺めながら 飲むカフェはひと味違う
| Café Marly | |
| 住所 | Palais du Louvre 93, rue Rivoli 75001 Paris |
| 最寄り駅 | Palais Royal(1, 7番線) |
| TEL | 01 49 26 06 60 |
| 営業時間 | 8:00-26:00 |
| 定休日 | なし |
| コーヒーの値段 | 3€(カウンターなし) |
店内に入るとまず目を引くのは、天井の高さまであるガラスケース。そこに並べられたおしゃれなアンティーク・コレクション。この小物達はオーナーによってひとつひとつ手に取られ、気に入られ、そして愛されてここまで連れてこられた。パリにある無数のカフェの中から何故いつもここに足が向いてしまうのか?それは、この小物達だけではなく店内の一つ一つにもオーナーのこだわりと愛情を感じるからではないだろうか。
木枠にはまってピカピカに磨かれたガラスに、白いペンキで無造作に書かれたメニュー。古き良き時代感の残る内装にモスグリーンと、味わいよくくすんだ赤のモダンな色調。どこを見渡してもセンスが行き届いている。この空間に安心して身を委ねてゆっくり時を過ごす……「それはとても優雅で贅沢なことなのだ」とあらためて感じる。
天気の良い日は、太陽がサンサンと降り注ぐテラスでランチもいい。「本日のお薦めか自家製パスタ+カフェ」(10€)や常連客に人気のメニュー、チーズバーガーXO (11€)は最初に肉の焼き加減を選べてうれしい。
[Texte est photo par Izumi IZUMÉ]

左)細部にわたってオーナーのこだわりがうかがえる
右)とろっとチーズのチーズバーガー
| Extra Old Café | |
| 住所 | 307, rue du Faubourg Saint Antoine 75011 Paris |
| 最寄り駅 | Nation(1,6,9番線)、RER A線 |
| TEL | 01 43 71 73 45 |
| 営業時間 | 7:00-26:00 |
| 定休日 | なし |
| コーヒーの値段 | カウンター:1€、テラス:1.7€ |
| Café(カフェ) | 日本で言うエスプレッソ |
| Café serré(カフェ・セレ) | すごく濃いエスプレッソ |
| Double Expresse (ドゥブル・エスプレス) | 大きいカップに入ったエスプレッソ |
| Déca(デカ) | カフェイン・フリーのコーヒー |
| Café allongé (カフェ・アロンジェ) | 日本風のコーヒー |
| Café viennois (カフェ・ビエノア) | ホイップクリーム入りのコーヒー |
| Café au lait (カフェ・オ・レ) | コーヒーと同等程度ミルクが入っている |
| Café crème(カフェ・クレーム) | ミルクが多く入ったエスプレッソ |
| Noisette(ノアゼット) | ミルクが少し入ったエスプレッソ |
| Thé(テ) | 紅茶 |
| Infusion(アンフュジョン) / Tisane(チザンヌ) | ハーブティー |
| Diabolo Menthe (ディアボロ・マント) | ミントシロップとレモネード |
| Diabolo Fraise(ディアボロ・フレーズ) | イチゴシロップとレモネード |
| Pression(プレッシオン) | 生ビール |
| Monaco(モナコ) | ザクロシロップとビール |
| Panaché(パナシェ) | レモネードとビール |
| Demi Citron(ドゥミ・シトロン) | レモンとビール |
| Carafe d'eau(カラフ・ドー) | 水道水 |
| Eau minérale (オー・ミネラル) | ミネラル・ウォーター |
| Eau gazeux(オー・ガズー) | 炭酸水 |
「コーヒー」はアラビア語でコーヒーを意味するカフワ(Qahwah)が転訛したものである。その語源は、元々ワインを意味していたカフワの語がワインに似た覚醒作用のあるコーヒーにあてられたという説と、エチオピアにあったコーヒーの産地カファ(Kaffa)がアラビア語に取り入れられたという説がある。 |
ヨーロッパでは、ドイツの作家レオナルド・ラウボルフ(Léonard Rauwolf)が、1583年に出版した書物の中にコーヒーを登場させたのが初めてといわれている。イギリスでは1650年にオックスフォードに最初のコーヒーハウスが開業され、フランスでは1669年に駐トルコ大使がルイ14世に献上したことがきっかけになって上流社会で流行した。 |
パリに現存する最も古いカフェは「カフェ・プロコップ」(Café Procope:12, rue de l'Ancienne Comédie 75006 Paris)。1686年に誕生し、現在は観光客用のレストランとなっているが、内装は17世紀の面影を残しており、パリに数多く存在するカフェの原型とも言われている。 |
日本で最も普及していると思われるペーパー・ドリップ方式(ドリッパーにフィルターする方式)は、1711年にフランスで開発されたものだ。逆にフランスでは当初焙煎した豆を煮だして飲むトルコ式コーヒーが普及していたが、20世紀初めにイタリアでエスプレッソ・マシーンが開発され、現在のように高温高圧の上記で抽出するスタイルが定着した。 |
コーヒーにまつわる名言:「よいコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い」、"Café:Noir comme le diable Chaud comme l'enfer Pur comme un ange Doux comme l'amour."(フランスの政治家、タレーラン・ペリゴール (1754-1838):Charles Maurice de Talleyrand-Périgord) |








