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フランスニュースダイジェスト
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mar 22 mai 2012

フランスで不動産を買う

フランスの住宅価格は2000年代、大きく上昇した。国立経済統計研究所(INSEE)によると、1998年ごろから2008年初めにかけ、中古住宅の価格は急激なスピードで上昇を続けた。2007、08年には2000年の2倍にまで価格が跳ね上がった。金融危機の影響で一時的に価格は下降したものの、11年上半期の住宅販売価格の上昇率は年率で7.4%*と、緩やかに上昇は続いている。だが世帯収入の増加率は、2000年を100とすると09年時点で125にとどまっており、住宅価格の上昇スピードに追い付いていない。それでもフランス人の若い世代が住宅購入に積極的なのはなぜだろう。日本とフランスの住宅市場はどのように違うのだろうか。また購入までにはどのような手続きがあるのだろうか。
*Century 21データ参照

(Texte & Photo: Yoko Sagawai-Lombard)

住宅価格の継続的な上昇は、売却する時点で購入価格に近い価格か、それ以上の価格で売却できるという楽観的な見通しを立てられることになった。上昇傾向にある家賃を支払い続けるより、手の届く物件を早く購入し、世帯人数の増加や転職などライフスタイルの変化に応じて住宅を買い替えた方が良いのではないかとの気運が醸成された。

その前提として、フランスの住宅市場では、築年数が資産価値に影響する割合が、日本に比べ少ないという特徴がある。財団法人東日本不動産流通機構の調査によると、2010年に同機構を通じて成約した首都圏の中古マンションの平均価格は、築0~5年で4045万円であるのに対し、築26~30年では1650万円と半減している。一方フランスでは、同一地区の中古アパートであれば、1950年代に建設された建物の1平方メートル当たりの価格が、70年代に建設された建物の2分の1になっているということはほとんどない。そのため物件広告にも、築年数は記載されていないことが多い。したがって、住宅購入者は、仮に10年後に売却するとしても、購入価格の大半を取り戻すことができると考えていることがほとんどで、一生のうちに数回住宅を買い替える夫婦も多い。そのため、家族構成や職場が今後変化する可能性のある若い世代も、物件購入に積極的だ。フランスの金融機関クレディ・フォンシエが顧客を対象に2010年に実施した調査によると、初めての住宅購入時の年齢は、30~34歳が全体の61%を占めている。一方、日本の国土交通省の住宅市場動向調査によると、2009年度に首都圏、中京圏、近畿圏で集合住宅を分譲で購入した人の平均年齢は37.6歳、一戸建てでは37.5歳、中古住宅では、集合住宅が39.8歳、一戸建てが40歳となっている。調査対象などが異なるので一概に比較はできないが、フランスの方が住宅購入時の年齢が低い傾向にあることがうかがえる。

このように、フランスの住宅市場は日本とは大きく異なる。市場だけでなく、物件探しや契約方法などにも違いは多い。注意事項やポイントを見ていこう。

契約までの道のり

契約前に必ずチェック

物件についての技術的な診断書「Dossier des diagnostics techniques」は、消費電力量や、電気系統やガス管の状態、建築材内の石綿の有無などを明記した書類で、契約前に売却側に作成が義務付けられている。安全性などに問題があり工事が必要な場合は、工事費用を差し引くなどの交渉も考えたい。また、売却価格に地下室や駐車場などの付随物件が含まれているかも確認。

物件の予約、事前契約

物件購入の正式な契約を交わす前に、事前契約「avant-contrat」を結ぶのが一般的だ。これ以降は違約金が発生することもある。住宅ローンの最終審査には、この事前契約書が必要だ。事前契約にはクーリングオフ期間が設けられており、締結から7日間以内は取り消すことができる。事前契約確定後、購入者は購入価格の10%前後の頭金を、不動産業者か公証人あてに支払う。

事前契約には数種類あり、そのうち「compromis de vente」という契約は、売却側と購入側の双方に責任を課す。この契約後に購入側が購入を拒んだ場合は、頭金は返金されない。ただし金融機関の融資審査に通過することを正式契約の条件に加えておくことは可能だ。売却側が正式な契約締結を拒んだ場合は、頭金を返金した上で、頭金と同額の金額を購入側に支払う。いずれの契約書も、不動産業者か公証人が作成するのが一般的だ。契約書には物件の延べ面積や、技術的な情報、価格などが明記される。

正式契約

正式な契約書の締結は、事前契約書締結から3カ月程度の期間を経て、公証人の立会いの下で行う。この時点で、購入代金の残額、公証人経費、不動産業者への仲介手数料などを支払う。ローンを借り入れて購入する場合は、銀行が公証人あてに発行する小切手にて支払うか、銀行から公証人へ代金を振り込んでもらっておく。

資金を集める

公的機関の支援融資を利用

フランスでの住宅購入資金の調達には、金融機関が貸し出す一般的な住宅ローンの他、公的機関の援助がある支援融資(prêt aidé)や、公的機関が条件や運用を規定している規定融資(prêt réglementé)などがある。借入額には上限があるので、他のローンと併用することになる場合が多いが、金利が低いなどメリットが多いので、条件が合うものはないか金融機関などで相談したい。

支援融資のうち、国のゼロ金利融資(prêt à taux zéro plus)は国が利息を肩代わりする融資だ。生活の拠点となる住居を初めて購入するケースが対象で、中古、新築住宅の両方に適用される。融資額は、中古か新築か、所在地域、世帯人数、住宅購入者の収入などによって決定される。

パリ市も独自のゼロ金利融資を実施している。国と同様に、生活の拠点となる住居を初めて購入するケースが対象で、購入物件がパリ20区内にある、金融機関による融資提案書作成時点で1年以上パリ20区内に居住していること、年収が一定額を超えないことなどの条件がある。国のゼロ金利融資との併用が可能で、パリ市での居住期間などの条件を満たしていれば外国人も申請可能。これらのゼロ金利融資は、国やパリ市と協定を結んでいる金融機関で申請できる。

国のゼロ金利融資
www.developpement-durable.gouv.fr/Qu-est-ce-que-le-pret-a-taux-zero.html

パリ市のゼロ金利融資
www.paris.fr/pratique/logement/prets-0-pour-devenir-proprietaire/p9375

また、4年満期の住宅向け定期預金や、住宅向け貯蓄口座を開設し、一定条件を満たしていた場合は、優遇金利で借り入れできる他、物件が環境基準に沿って建てられているかなどによって、国から手当を受給できる場合もある。一部の民間企業では、従業員の住宅購入資金を低金利で貸し出す住宅ローンを実施しているところもある。

銀行ローンもさまざま

金融機関が独自に提供している一般的な住宅ローンにも、さまざまな商品がある。金利別では、固定金利、変動金利、当初固定金利があり、金利の見直しができる期間限定型固定金利も存在する。返済期間は最長30年までとしている商品が多い。

融資可能額は、手持ちの財産や月収、他の借入金の額、金利、年齢などによって計算される。これらの情報を基に、金融機関が融資額や返済期間、金利などを明示した提案書を作成。借入側が承諾すれば、金融機関と契約を結ぶことになる。

購入後の経費

住宅購入後に発生する経費としては、1月1日時点での住宅所有者には固定資産税、住民税が課される。住宅の維持管理費も見過ごせない。アパートの場合は、建物内の各家の所有者と分担する負担金が発生する。負担金には、エレベーター管理費、セントラルヒーティングの費用、共有部分の清掃費などが含まれ、所有者による組合の総会を経て決められている。また、住宅購入後に転勤、日本への帰国などでフランス国外に引っ越した場合も、固定資産税のほか、住居を貸し出す場合は家賃収入に対する税をフランスに納める義務がある。この他地域などによっては、空き家にした場合も空き家に掛かる税(taxe sur les logements vacants)が課税される場合もあるので、出発前に納税方法などを確認したい。

取材協力:
Easy Studio Paris www.easystudioparis.com Pierre-Yves Blot代表
参考サイト:
Administration française www.service-public.fr
Administration fiscale www.impots.gouv.fr

専門家に聞くフランス不動産投資

フランスでの不動産投資をサポートしている浅山恵美さんに、住宅市場の特徴や、投資のメリット、注意点などを聞いた。

―フランスの住宅市場の特徴は?

フランスでは人口に対し住宅供給が追い付いていません。100万件の住宅が不足していると言われていますが、年間で30万件しか建設されていないのが現状です。そのため住宅価格はこの10年間で大きく上昇しています。また日本と違い出生率が ここ数年2%を超し、人口は増加傾向にあります。今後とも住宅不足が続くとみられています。従って、住宅価格が(供給過多となって)大きく下落する可能性は非常に低いと考えられます。

―フランスでの不動産購入のメリットは?

不動産売買の市場が安定していることに加え、日本と比較し、築年数の経過による資産価値の低下はほぼ皆無に等しいと言えるでしょう。築200年以上の住宅も数多く存在し、内部改装はありますが、基本的な構造は変えずに現在に至っているものが多々あります。また、フランスは歴史的に見て公的証書の管理、公証人制度が非常にしっかりとしているため、他国と比べ、投資先として充分信頼に値する国家と言えます。

―購入に当たって注意点を教えて下さい。

フランスでは、ワンルームの場合は1~2年おきに賃貸人が変わると言われています。賃貸住宅として貸し出す場合は、賃貸人がいない場合に支払われる保険に加入することが大切です。現在注目されているのが、賃貸人の変更が少ない高齢者専用マンション(résidence sénior)です。高齢者層の増加に伴い需要の安定が見込まれている他、管理や賃貸人探しは、マンション全体の運営会社が行うため、遠隔地、日本在住者であっても、維持管理しやすい利点があります。


浅山恵美さん浅山恵美さん
通訳業、日仏企業・団体の輸出・誘致サポート、営業などを経て、パリを拠点に不動産投資のコンサルタントとして活動。法廷通訳翻訳者。1979年からフランス在住。 このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください

 

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