フランス芸術マンダラ
オリビエ・カプラン
オリビエ・カプラン「芸術の1% − 不況に生まれ不況を生き抜く」![]() 「不況の中こそ、1%の付加価値を」 仏文化・通信省、造形美術委員会代表の オリビエ・カプラン氏 ©Radio France / Christophe Abramowitz 12から1という数字にリセットされ、また1年が始まる。今年はどんな年になるだろうか。期待と不安を募らせ、年始には今年の抱負などを言い合う始まりの月。万物の始まりはこの数字「1」である。存在の有を表す最も原初的な記号である1。0と1、有るのと無いのとでは大きく違ってくる。 芸術界で有るのと無いのとの大いなる違いを表す1が「芸術の1%(1% ar tistique)」。これは、公共建設事業の実施の際にその総工費の1%を芸術家への作品の依頼、芸術作品の購入や設置に充てることを義務付けるフランスの法的制度。この「芸術の1% 」法を文化・通信省で造形美術委員会代表として管轄するのがオリビエ・カプラン氏である。これまで、カプラン氏は16年間現職につき数々の企画が実現するのを見守ってきた。 「芸術の1%」は人民戦線政府下の1936年、失業に苦しむ芸術家雇用対策の法案として国民議会(下院)に提出されたがあえなく否決。その後この法案は、仏国民教育省令として1951年に制度化された。その際には、従来の芸術家への公的支援の意味合いに加え、仏国内の文化遺産をより豊かにすることと、芸術の民主化の理念が唱えられた。こうして確立した「芸術の1%」を中央政府機関として、国家レベルでその概念、動向、方向性、広報などの面で、管理しているのがカプラン氏率いる造形美術委員会である。
まず、建設工事指揮者が顧問として芸術委員会を結成し、建設事業内の芸術作品の設置や装飾などの計画を企画する。芸術家が早い段階から建築家との話し合いに加われるように、建築背景、作品はどのような層に向けられるかなど注文事項を定義する。その後、公募で芸術家を募り、芸術委員会が作品を選抜する。1事業における予算枠が3万ユーロ以下の場合は、企画のための特注作品ではなく、既に存在する芸術作品を芸術家や画廊から購入することもできる。 1951年法制化以来、約1万点の作品が「芸術の1%」法によって実現、設置された。2007年には153点が10万4000ユーロで、2008年には139点の作品が10万5000ユーロで実現された。2005年の法改正後に増えているものの、2008年以降続く世界規模の経済不況。そんな今こそ、芸術作品が我々の生活環境にもたらす付加価値の重要性を見直すべきだというのがカプラン氏の掛け声だ。 日本でも70年代後半に「芸術の1%」の観念が輸入され、自治体文化行政の一環として導入される。多くの企画が実現したが、法的根拠を持たず、限られた期間内の事業として実施され根付かなかった。 不況の風吹く中、カプラン氏の掛け声と共に生き延びる「芸術の1%」を胸にとどめ、新年の初心忘るべからずといったところか。 |












