ニュースダイジェストの制作業務
Mon, 27 June 2022

スーパースターの死

ディス・イズ・イット
死に絡み取られた偶像

6月25日、「マイケル・ジャクソンが心臓発作で死去」のニュースが世界中を駆け巡った。各国トップ扱いで、米議会では3分間の黙祷を捧げたという。きっかり半世紀生きた、享年50歳。

1997年、「パリで交通事故死」したダイアナ(享年36歳)、1980年、「自宅前でファンから射殺」されたジョン・レノン(同40歳)、そして1977年、マイケルと同じく「心臓発作」で急逝したエルヴィス・プレスリー(同42歳)。みな一様に、突然で、ドラマチックな「スーパースターの死」。それ故、世間の反応はよりヒステリックだ。世界のどこかで起こっている戦争や飢餓、疫病よりも、当事者以外の大多数にとっては、彼らの死の方がよっぽど現実感があり忌まわしい。ヘタをすれば、隣人や会社の同僚より、メディアを通して公私とも熟知している(つもりの)偶像。一方通行とはいえ1対何億人の関係性に、悟りでも開かない限り、偶像に祭り上げられた者は、壮絶な孤独と不安を感じるだろう。

マイケルの「公」の頂点が、アルバム「スリラー」(82年)であったことは疑う余地もない。世界最高記録の1億400万枚を売り、今後も売上を伸ばすであろう作品を世に出したのが24歳。後の人生半分は、ヒット曲こそあれ、整形や白くなっていく顔、似てない我が子、二度の結婚・離婚、浪費癖、赤ん坊バルコニーぶらぶら事件、少年への性的虐待疑惑、バーレーンのパトロン、「スリラー」のプロモを撮った映画監督による金銭絡みの訴訟とスキャンダラスな「私」ばかり露呈した。

彼の死で、「ディス・イズ・イット」と銘打たれたロンドン公演も幻に終わった。「スーパースター」が、人生の山を下るのは難しい。

 
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スミス京子:1997年渡英。牡羊座、O型、火星霊合星、七赤金星、左利き。好きな英国人はジョー・ブランドとジョージ・アラガイア。整形するならファーン・コットンかケイト・モス。おいおい。

JFC ゆめにしき
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