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Wed, 31 May 2023

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして19年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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英国のお花見といえば?

英国のお花見といえば?

「一生に一度でいいから、日本のチェリー・ブロッサムを見てみたいわ! あれはいつの時期に見られるの?」。

先日、とある場所で一緒にボランティアをしているフィオナに聞かれました。フィオナは、BBCのドキュメンタリー番組で見た日本の桜、お花見の様子が素晴らしくて忘れられないと言い、私が日本人だと分かると、声をかけてきたのです。

フィオナだけでなく、これまで何人もの人から「日本に行くなら絶対チェリー・ブロッサムの時期に行きたい」「日本の『ハナミ』に行ってみたい」と聞かされてきました。日本の桜について、そして私たち日本人が盛大にお花見をすることは、英国でもそれほどよく知られているのです。

一方、実は英国にも、人々が毎年開花を待ち焦がれる花があります。それがブルーベル。これは、花びらの先端部分がくるりと反り返っている細長い釣鐘形をした花で、名前の通り、色は鮮やかな青紫です。4~5月あたり、ブルーベルの咲く時期には、ガーデニング雑誌で特集が組まれるのはもちろんのこと、テレビでも新聞でも青紫色の花が一面に咲く様子が必ず紹介されるようになります。ただ、日本の桜と同様に、毎年まったく同じ時期に咲くとは限らないのが植物。だから、私も含め、人々は4月に入ると「そろそろブルーベルが咲き出したかな」とそわそわし始めます。

私が毎年ブルーベルのお花見に必ず出掛けるのは、普段から家族でよくウォーキングをする林です。先週末はちょうど満開で、新緑が美しい高い木々の幹の合間に、まるで毛足の長い青紫色の絨毯を敷いたようにブルーベルの花が広がっていました。日本の桜は花を見上げる形ですが、ブルーベルは大人の膝丈より下くらいの長さしかない植物。なので、花をよく見るには、しゃがんで顔を近づける必要があります。そして、ゆらゆらと揺れる波のように足元に広がる青い花の中に佇んでいると、おとぎ話の中に紛れ込んだような気がしてきます。


個人的には、日本の桜とは違った風情を感じさせてくれる英国のブルーベルの花見が大好きです。ただ、先月この英国の花見に変化がありそうな発表がありました。というのも、英国の歴史的場所および自然景観を保護するチャリティー団体ナショナル・トラストが、2030年までに英国内に400万本の桜の木を植樹する予定だというのです。日本のお花見にヒントを得たというこのプロジェクト、すでにバーミンガムではバス路線に沿って600本もの桜が植えられたといいます。もしかしたら、あと十年もすると、英国のお花見もブルーベルから桜へと変わっているかもしれません。

 
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マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。日本での雑誌編集を経て2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して
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