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大人も子どももチョコ・エッグに夢中
この原稿を書いている今はイースター・ホリデー中です。週末のイースター・ウィークエンドには義父母がやってきて一緒にイースターのお祝いをする予定です。その準備として昨日、家族全員と義父母の分を含め、六つのイースター用チョコレート・エッグを買ってきました。
イースターには、春の訪れと生命の誕生を祝う象徴として「イースター・エッグ」がつきものです。元は卵をカラフルに彩色して、イースターのデコレーションにするという風習ですが、英国では、イースター・エッグといえば、なんといっても卵型をしたチョコレートを真っ先に思い浮かべる人がほとんどでしょう。ということで、わが家もイースターには皆に一つずつ、箱に入ったイースター・エッグをプレゼントするというわけです。また、子どもたちが庭や公園などで行うエッグ・ハントでも、見つける卵は大抵がチョコレートでできたものです。そのせいもあってかどうか、BBCによると、英国の人々はイースター期間中、なんと1週間で平均8.1個のチョコレート・エッグを消費するのだそうです。なかには10個以上も食べる人がいるというほどで、イースター期間にはこの卵型のチョコレートが、スーパーやデパート、チョコレート専門店などで大量に売られているのにもうなづけます。
歴史をさかのぼると、英国で初めてチョコレート・エッグが販売されたのは1873年。私が住むブリストルにあったJ.S. Fry & Sons社だったそうです。この会社の創業者はクエーカー教徒のジョセフ・フライで、蒸気機関を使ってカカオを粉砕するという革新的な技術で、英国にチョコの工場生産時代をもたらしたといわれています。
そしてその2年後には、現在も英国の人々に大人気のCadbury社が、同じくチョコ・エッグの生産を開始しました。当初はチョコを型に流し込むのに手間がかかり、生産はスローペースだったようですが、液体チョコを型に流し込む技術を確立。卵型のチョコレートを量産できるようになったことで、さらに生産が増え、それに伴って包装などもどんどん華やかに、贈り物としてのチョコ・エッグが定着していったようです。
一方、Fry社の方はCadbury社に対抗しようとチョコ・エッグにネックレスや時計、カトラリーといったものをセットにして販売したのですが、これらはあまり人気がでなかったそうです。
最近では「チョコ・エッグのサイズがどんどん小さくなっているのに対し、値段が上がり続けている」という消費者からの不満も出ていますが、やっぱりイースターにはチョコ・エッグを食べずにはいられないのが英国の人たちなんですよね。