ニュースダイジェストの制作業務
Fri, 19 April 2024

井本 沙織さん
Saori Imoto
Garden Designer / Gardener

西井本 沙織さん
肩書き
ガーデン・デザイナー、ガーデナー
経歴
神奈川県出身。日本の大学、大学院で環境学、ランドスケープ・デザインを学び、都市計画コンサルタントとして働いた後に来英。ロンドンにてガーデン・デザイン・ディプロマを取得後、コンペティションに応募し、複数の賞を受賞。フリーランス・デザイナーとしてロンドン市内の公共空間、個人庭の設計や施工に携わる。今後はチェルシー・フラワー・ショーで2度の受賞歴をもつ関晴子氏主宰のStudio Lassoのパートナー・デザイナーとして、日本の庭園デザインをベースとした庭の設計に従事していく予定。
www.studiolasso.co.uk(Studio Lasso)

癒やしを与える
空間をつくっていきたい

ガーデン・デザイナーになるまでの経緯を教えていただけますか。

もともと植物や自然が好きで、公園・緑地の設計や保全に関わる仕事をしたいと思い、大学と大学院で環境学とランドスケープ・デザインを勉強、都市計画コンサルタントとして国や地方公共団体のプロジェクトに携わっていました。イギリスには夫の仕事の関係で来たのですが、個人庭の設計にも興味があったのでこちらでガーデン・デザインを勉強することに。イングリッシュ・ガーデンを学んだものの、クラスメートとの議論を通し、自分の空間に対する感覚は日本で培われたものであり、イギリス人がもつ感覚と異なることを実感。日本で育った自分の感覚を生かした空間づくりをしたいと感じるようになりました。

今年開催されたハンプトン・コート・パレス・フラワー・ショーに出展されたと伺いました。

フラワー・ショーは、ガーデン・デザインやランドスケープ・デザインに従事している者であれば誰でも応募が可能です。応募する際に、庭のデザイン図、コンセプト、植栽、資材についての説明、スポンサーの情報を提出。すべての情報を審査委員が審査し、選ばれた人が出展できる仕組みとなっています。イギリスに来てやりたいことの一つがフラワー・ショーへの出展でしたので、迷わず応募をし、ありがたいことに出展者として選んでいただきました。

日本の初夏の風景を紹介する日本庭園をイメージされたそうですね。

私は来英前に北鎌倉に住んでいたのですが、梅雨の時期に青や紫の紫陽花(あじさい)が湿り気と影を湛(たた)えた北鎌倉の谷戸(やと)にひっそりと咲く様をイメージしてデザインしました。紫陽花はイギリスでもポピュラーな植物ですが、イギリスの土がアルカリ性であるためそのほとんどがピンク色で、日本で見られるような深い青い色はとても珍しいのです。そして、紫陽花はもともと日本原産の植物で18世紀にイギリスに持ち込まれたものなのですが、その事実は全くといってよいほど知られていません。青い紫陽花の庭を展示することで、日本ならではの風景の一つを紹介するとともに、日本の植物への理解も深めることができると思いました。

また、「間」のある空間、青と緑のみの引き算の色使い、竹やもみじの影を苔に写し、陰影の美しさを見せるなど、日本ならではの空間構成手法や美的感覚を伝えることも意識しました。

今後はどのようなガーデンをつくっていきたいとお考えですか。

フラワー・ショーでは、ただただ静かに佇み庭を鑑賞する人、この空間が癒されるといって何度も訪れる人も多くいて、日本庭園がもつ静寂は、イギリス人に癒しを与えることができるのだと感じました。実際、ケアホームの仕事の依頼がきたりもしています。今後、イギリスでは、日本の庭園デザインの概念をベースに癒しを与える空間を作っていきたいです。そして日本へ帰国後は、それぞれの土地の原風景に忠実に、その場所に住む人が懐かしいと思えるような風景や庭を創造したいと思っています。

出展作品

フラワー・ショーハンプトン・コート・パレス・
フラワー・ショー出展作品

緑の竹、もみじ、苔を背景に、青い紫陽花と紫の花菖蒲を配置。もみじと竹を使って意図的に影をつくることで紫陽花の青を引き出し、日本人なら誰もがほっとするような夏の原風景を創り出しました。

 
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