Wed, 29 November 2023

2023年9月8日で1年故エリザベス女王が過ごした離宮

エリザベス女王が亡くなって、2023年9月8日で早1年を迎える。チャールズ国王が即位し、現在も英王室の威厳と伝統は続いている。在位中、女王は驚くほど多数の公務をこなしていたことは広く知られているが、ロンドン以外の場所で長期間暮らしを営む際に滞在した、四つの家についてはご存知だろうか。一般に「離宮」と呼ばれる、王室にとっての別荘のような役割を担うこれらの建物は、歴史の深さもさることながらその大きさは規格外。今回は、広大な敷地に構えるそれらの宮殿や邸宅をご紹介しよう。(文: 長野雅俊、英国ニュースダイジェスト編集部)

エリザベス2世の大のお気に入りウィンザー城Windsor Castle

ウィンザー城

使用されている居城としては世界最大級の約5万平方メートルの敷地面積を持つのが、イングランド中部のテムズ川沿いに建つウィンザー城である。

ウィンザー城は、エリザベス2世が住まいとして使用した居城のうちで、女王が最も愛した場所として知られている。1952年、女王に即位した際に、週末を過ごす拠点とすることを決定。以来、王妃は公務のない日はほとんどの時間をこの地で過ごしていたという。

またこの城が持つ900年の歴史は、世界最古である。イングランドを征服し、現王室の開祖となったウィリアム1世が築いた後、12世紀にはヘンリー2世が軍事施設として活用するために大幅な改築を施した。被害総額800万ポンド(約15億円)ともいわれる1992年の大火災では、100室以上が焼失する憂き目にも遭ったが、5年の歳月を費やして修復工事が完了。まるでテムズ川を見下ろすかのように、丘の上にそびえ立つこの城からの眺めは絶景である。

著名な絵画が飾られた応接間クイーンズ・ドローイング・ルーム著名な絵画が飾られた応接間クイーンズ・ドローイング・ルーム

Windsor, Berkshire SL4 1NJ
Tel: 0303 123 7304
開館時間: 10:00-17:15(11〜2月は16:15まで)
チケット: £28〜
行き方: ロンドンのPaddington駅からWindsor & Eton Central駅まで約30分、Waterloo駅からWindsor & Eton Riverside駅まで約1時間
www.rct.uk/visit/windsor-castle

故女王が父の思い出に浸ったサンドリンガム館Sandringham House

イングランド東部ノーフォーク州の広大な敷地の中に佇んでいるのが、このサンドリンガム館。女王がクリスマスから2月までの寒い季節を、ひっそりと過ごした私邸である。

この地で特筆すべきは、約24万平方メートルに及ぶ巨大なガーデン。また敷地は果樹園、湿地などを内包しており、個人宅というよりは、未開の村を丸ごと持っているかのような趣がある。

この広大な敷地は、19世紀の英国を統治したヴィクトリア女王の息子アルバート・エドワードが1861年に購入。道路や別荘、庭園などを次々と建設して理想の邸宅を築き上げていった。以後この邸宅は、王室メンバーの間で現在のチャールズ国王を含む5世代にわたって利用されている。

またエリザベス女王にとっては、特別な思い出が残る場所でもある。父親に当たるジョージ6世が、1952年にこの館で逝去したのだ。以後、エリザベス女王は命日となる2月6日を、この邸宅で過ごすのが恒例となっていた。

滞在中の王室メンバーが礼拝に訪れる同館の南西にある聖メアリー・マグダラ教会滞在中の王室メンバーが礼拝に訪れる同館の南西にある聖メアリー・マグダラ教会

Sandringham Estate, Sandringham, Norfolk PE35 6EN
Tel: 01485 544112
開館時間: 土〜木 10:00-17:00(10月13日以降はウェブサイトで確認を)
チケット: 館、庭園共通チケット£23、庭園£13
行き方: ロンドンのKings Cross駅からKing's Lynn駅まで約1時間50分、同駅から35番のバスでSandringham Visitor Centre下車約25分
www.sandringhamestate.co.uk

スコットランド統治の拠点ホリールードハウス宮殿Palace of Holyroodhouse

世界遺産にも登録されているエディンバラの市街地を突き抜けるように敷かれた目抜き通り「ロイヤル・マイル」の行き止まりにあるのが、このホリールードハウス宮殿である。

12世紀にカトリック修道院として建築されたこの建物は、エディンバラが栄え首都となった際に、当時のスコットランドに王として君臨していたデービッド1世が宮殿として移り住むことを決めたと伝えられている場所である。またこの宮殿内では、16世紀のスコットランドを統治していた女王メアリーの夫が、妻と不倫関係を結んでいると誤解して秘書を殺害するという悲劇が生まれた。

一時的に王室の権力が弱まった共和制の時代に英国君主の足が遠ざかった時期もあったが、女王在位時にはスコットランドにおける公式行事を行う場所となった。特に「ホリールード週間」と呼ばれる6月末から7月初めにかけて、女王は毎年ここで8000人のゲストをもてなしたという。

豪華な国王の寝室(the King's Bedchamber)は重要なゲストのみに入室が許可された豪華な国王の寝室(the King's Bedchamber)は重要なゲストのみに入室が許可された

Canongate, The Royal Mile, Edinburgh EH8 8DX
Tel: 0303 123 7306
開館時間: 9:30-18:00(11〜3月は16:30 まで)
チケット: £18〜
行き方: ロンドンのKings Cross駅からEdinburgh Waverley駅まで4時間20〜45分、同駅から徒歩で約15分
www.rct.uk/visit/palace-of-holyroodhouse

ハイランドの大自然の中にそびえ立つバルモラル城Balmoral Castle & Estate

ハイランドと呼ばれるスコットランドの奥地に位置し、標高1000メートル以上の山を7つ内包するという、スコットランドの大自然を体現したかのような私邸がバルモラル城である。エリザベス2世は毎年8、9月を、避暑を目的としてこの地で過ごし、ここで96歳の生涯を閉じた。

女王の生前の楽しみは、この大自然を生かした魚釣りや狩猟、そして乗馬といったスポーツ。また領地内には原生林やポニーの飼育場があり、約3000頭の鹿が生息しているというから、個人の敷地としては規格外であろう。

ヴィクトリア女王と夫のアルバート公が結婚して約2年半後、スコットランドを訪れた際に、2人はハイランドの美しさに魅せられた。そしてバルモラルの敷地が売りに出されているとの情報を得た2人は、1度もその地を訪れることのないまま購入することを決定したという。

普段は厳かな儀式を繰り返す女王が、馬の上やジープに乗って駆け回る自由を確保できる場所が、このバルモラル城だった。

Ballater, Aberdeenshire AB35 5TB
Tel: 013397 42534
開館時間: 現在休館中。9月中旬~2024年1月上旬は敷地のみを無料開放。詳細はウェブサイトで確認を
チケット: 2024年以降はウェブサイトで確認を
行き方: AberdeenもしくはEdinburghから車でA93でBraemar方面へ18キロほど
www.balmoralcastle.com

ロンドン中心に建つ英国随一の宮殿バッキンガム宮殿Buckingham Palace

ステート・ルームのグリーン・ドローイング・ルームステート・ルームのグリーン・ドローイング・ルーム

現在に至るまで実務が執り行われている、世界でも数少ない王宮の一つとして知られるバッキンガム宮殿。ロンドン中心部に位置しながら、その規模は離宮に負けず劣らずかなり大きい。現在大規模な修復工事中で、その費用総額は3億6900万ポンド(約683億円)にものぼるという。現在チャールズ国王のオフィスとして使用されているが、住居として使用するのは2027年ごろを予定している。

Buckingham Gate, London SW1A 1AA
Tel: 0303 123 7300
開館時間: 毎年7月中旬〜9月下旬の10週間のみ一般公開。2023年の開館は9月24日までで9:30-18:30
チケット: £30〜
行き方: 地下鉄Victoria/Green Park/St. James's Park/Hyde Park Corner駅から徒歩8〜10分
www.rct.uk/visit/buckingham-palace

現在の王室メンバーが住む場所

チャールズ国王をはじめとする、その他の王室メンバーのロンドンでの住居はバッキンガム宮殿の周辺に集中している。主なものは、以下の通り。

バッキンガム宮殿

修復工事中のため現在は誰も住んでいない

クラレンス・ハウス

チャールズ国王とカミラ王妃の公邸

セント・ジェームズ宮殿

アン王女、アレクサンドラ王女などのロンドンでの住居

ケンジントン宮殿

グロスター公爵リチャード、ケント公爵エドワードのロンドンでの住居。なお、ウィリアム皇太子とケイト妃は同宮殿から2022年9月にウィンザーのアデレード・コテージに引越した

 

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