ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Fri, 13 December 2024

フランスの海辺の町でホリデーを

長くどんよりした英国の冬を一度でも経験すれば、
燦々と降り注ぐ夏の日差しの眩しさに、 この上ない喜びを感じてしまうはず。
今年の夏のホリデーには、英国のお隣、フランスの海辺の町で
眩い太陽の光を体いっぱいに浴びてみるのはどうだろう。
今回ご紹介するのは、 パリジャン、パリジェンヌのとっておきの水辺の行楽地、
仏北西部のノルマンディーと南仏ニース。
多くの画家や作家にも愛された美しい海岸で
ゆったりとしたひとときを過ごせば、
心も体もリフレッシュ!

(フランス・ニュースダイジェスト編集部)

ノルマンディー海岸の歴史

9世紀頃、ノルマン人たちバイキングがやって来て、セーヌ河口のル・アーヴルからコタンタン半島にかけて占拠し、ここにノルマンディー公国が誕生した。第二次大戦中には、ノルマンディーの海岸を占拠していたナチス・ドイツ軍100万人に対して連合国の兵士170万人が奇襲をしかけた。「史上最大の作戦」と呼ばれるこのノルマンディー上陸作戦では、双方の軍が2万人超の死者を出し、海岸沿いは惨状と化した。

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1 Dieppe 
ディエップ

ディエップ
Dieppe vue depuis le château

パリから最も近い海水浴場。この町には、200年もの昔から夏にもなると大勢の人々がパリやその周辺から海水浴に訪れる。1823年から毎年、この地を訪れ、大衆化に一役買ったベリー公爵夫人は、服を着てブーツを履き、帽子をかぶって海に入った。長い海岸線には真っ白なビーチが広がり、海岸と町の間を隔てている芝生は快適で開放的だ。夏はたこ揚げ大会やヨット・レースなどが開催され、年間を通して競馬やゴルフ、魚釣りなども楽しめる。西方向にサン・ヴァレリーまで、印象派の画家たちが描いた美しい海岸が延びている。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCFでディエップ Dieppe駅まで約2時間。
観光局 Pont Jehan Ango 76200 Dieppe
TEL: 0033 (0)2 32 14 40 60
www.dieppe-tourisme.com

2 Honfleur
オンフルール

オンフルール
Le port de plaisance d'Honfleur

17世紀に造られた北フランス最古の港が存在する。この旧港を囲むように木組みの建物や古い教会など個性豊かな建物が並ぶ。この風情ある町並みに魅了された人は、画家コローやブーダンらを始め、詩人ボードレール、作曲家サティなど枚挙にいとまがない。モネはここから対岸のル・アーヴルの日の出を描き、それがパリの展覧会で大きな注目を集め、印象派の先達となった。画家たちの宿だった高台のホテル「ラ・フェルム・サンシメオン」は典型的なノルマンディー様式の建物で、その素朴なたたずまいに、繰り返し彼らが訪れたのがうなずける。現在、旧港には色とりどりの帆船が停泊し、周囲のレストランやカフェのテラスは、国内外からこの絵になる風景を眺めにやって来る大勢の人々でにぎわう。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCF でトルーヴィル・ドーヴィルTrouville-Deauville駅まで約2時間。トルーヴィル・ドーヴィルからバスでオンフルールまで約40分。
観光局 Quai Lepaulmier 14600 Honfleur
TEL: 0033 (0)2 31 89 23 30
www.ot-honfleur.fr

3 Etretat
エトルタ

エトルタ

紺碧の海にそそり立つ、高さ100メートル程の石灰岩の断崖がエトルタの魅力。自然の雄大さ、たくましさを感じると同時に、長い年月をかけて作り出された美しい姿にため息がもれる。「アモン」と「アヴァル」の2つの断崖に挟まれ、広がるビーチ。この両断崖は作家モーパッサンやユゴー、ジッドらに愛され、数々の小説に登場している。「エトルタの針」と呼ばれる尖った岩はモーリス・ルブランの怪盗ルパン・シリーズ、「奇岩城」の舞台になった。また、19世紀の画家クールベやモネは好んでこの風景を描いたという。ルブランの生家や木組みの家が立ち並ぶ旧市街、11世紀に建てられたノートルダム教会も見ておきたい。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCFでル・アーヴルLe Havre駅まで約2時間。ル・アーヴルからバスでエトルタまで約40分。
観光局 Pl Maurice Guillard 76790 Etretat
TEL: 0033 (0)2 35 27 05 21
www.etretat.net

4 Le Havre
ル・アーヴル

ル・アーヴル

16世紀初め、時の国王フランソワ1世によって建設された美しいル・アーヴルの港町は、第二次大戦で完全に破壊された。その後、建築家オーギュスト・ペレによって再建され、機能的にも優れたコンクリートの革新的な町に生まれ変わり、その近代的な碁盤目状の町並みは2005年、ユネスコの世界文化遺産に登録された。セーヌ川の河口であるこの港からは、世界500カ所の港に向けて、毎日多くの船が出発する。国際的なこの港町には、海水浴ができるビーチや周辺のレジャー施設が充実している。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCFでル・アーヴルLe Harvre駅まで約2時間。
観光局 186, bd Clemenceau 76000 Le Havre
TEL: 0033 (0)2 32 74 04 04
www.lehavretourisme.com

5 Deauville / Trouville
ドーヴィル / トルーヴィル

ドーヴィル
Hôtel Le Normandy Barrière à Deauville(ドーヴィル)

トルーヴィル
Etal à poissons(トルーヴィル)

高級リゾート地ドーヴィルは、夏になると世界から避暑に訪れる人々でにぎわう。かつて上流階級の別荘地だったこの地には、現在高級ブランド・ショップが立ち並び、映画祭、ヨット・レースなど華やかなイベントが行われる。大人のメランコリックな恋愛映画「男と女」(1966)に出演したアヌーク・エーメはこの町を繰り返し訪れ、ホテル・ノルマンディーに宿泊した。一方、ドーヴィルの対岸にあるトルーヴィルの港町は海の幸の宝庫。早朝から魚市場が活気づき、水揚げされたばかりの魚介を買い求める人々でごった返す。ここはポスター画家、レイモン・サヴィニャックゆかりの地でもあり、町の至る所にある彼の作品に、歩くだけで元気がもらえる。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCF でトルーヴィル・ドーヴィルTrouville- Deauville駅まで約2時間。
観光局 [ ドーヴィル]
112, rue Victor Hugo 14800 Deauville
TEL: 0033 (0)2 31 14 40 00
www.deauville.org
[トルーヴィル]
32, quai Fernand Moureaux 14360 Trouville-sur-Mer
TEL: 0033 (0)2 31 14 60 70
www.trouvillesurmer.org

6 Houlgate
ウルガット

ウルガット
Fête du cerf volant à Houlgate

ドーヴィルに近い、この遠浅の静かな海岸は海水浴に最適。家族向けの海岸もあり、夏は色とりどりのパラソルが立ち、子供たちのはしゃぐ声がこだまする。海水浴の合間には、歴史的建造物である美しいノルマンディー様式の建物約300軒が並ぶ海岸線を歩いてみよう。また、町中には中世にまでさかのぼる、木組みとわらぶき屋根の建築やヴィラがあり、ぜひ訪れてみたい。岩が落下して船乗りたちを悩ませた「黒い牛」と呼ばれる断崖を含め、1億5000万年の歳月をかけて自然が作り出した風景を眺めながら、連なる断崖の道を数キロメートル行くのもいい。海辺の風景の中で日常を忘れ、大自然を感じることができる。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCFに乗り、Trouville-Deauville駅で乗り換え、ウルガット Houlgate駅まで約2時間40分。
観光局 10, bd des Belges 14510 Houlgate
TEL: 0033 (0)2 31 24 34 79
www.ville-houlgate.fr

7 Fécamp
フェカン

フェカン

かつてニシン漁で栄えた港。作家モーパッサンはニシンを薫製にする際のにおいに引かれ、この町に長く滞在した。断崖が続く海岸は、海水浴というよりゆっくり海を眺めたい人にお勧め。ベネディクティンというリキュールの産地でもあるこの町には、19世紀末に建てられたネオ・ルネサン スとネオ・ゴシック様式が融合したベネディクティン宮殿があり、現在はリキュール製造の博物館となっている。そのほかにもチョコレート博物館など、ユニークな見どころがいっぱい。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCFに乗り、ブレオテ・ブーズヴィル Breauté-Beuzevilleで乗り換え、フェカン Fécamp駅まで約2時間20分。
観光局 Quai Sadi Carnot 76400 Fécamp
TEL: 0033 (0)2 35 28 51 01
www.fecamptourisme.com

8 Cabourg
カブール

カブール
Parasols sur la plage de Cabourg

作家マルセル・プルーストゆかりの海岸。10歳のときにぜんそくの療養のためにこの地にやって来たプルーストは、この魅力たっぷりの町が忘れられなかった。40歳代に再びやって来た彼は、海に臨むホテル、グランドテルを常宿とし、「失われた時を求めて」の第2編「花咲く乙女たちのかげに」を書き上げる。海岸沿いに延びる遊歩道はプルーストの名が付いている。きめ細かい砂が広がる海岸には、貸パラソルなどが豊富に用意され、長期滞在して海水浴を楽しむのに最適。花の咲き乱れるこじんまりとした町には、多くの人がすぐに愛着を覚える。

交通 パリ・サンラザール駅からSNCFに乗り、トルーヴィル・ドーヴィル Trouville-Deauville駅で乗り換え、ディーブ・カブール Dives-Cabourg駅まで約2時間45分。
観光局 Jardins de l’ Hôtel de Ville 14390 Cabourg
TEL: 0033 (0)2 31 06 20 00
www.cabourg.net

9 Mont St-Michel
モン・サン=ミッシェル

モン・サン=ミッシェル

海に浮かぶ聖地。8世紀、司教オベールの枕元に立った大天使ミカエルがこの地に聖堂を建設することを命じたため、司教は礼拝堂を建てた。10世紀にはベネディクト教会の修道院となり、更に拡張を続ける。14世紀 の百年戦争では全島を要塞化し英国軍に抵抗、この島は守り抜かれた。その後、巡礼地となってから現在まで、訪れる人は後を絶たない。城門をくぐり教会に入ると、ロマネスク様式の身廊とフランボワイヤン様式の内陣があり、身廊からは眼下に海が見渡せる。干潮には砂地が広がっているが、満ち潮は毎分100メートルという速さでやって来て、満潮には孤島のようになる。フランス随一の優美さを誇る修道院。

交通 パリ・サンラザール駅からTGVでレンヌ Rennes駅まで約2時間30分。レンヌからバスでモン・サン=ミッシェルまで約1時間20分。
観光局 Corps de Garde des Bourgeois 50170
Le Mont St-Michel
TEL: 0033 (0)2 33 60 14 30
www.ot-montsaintmichel.com

燈台地方観光局

● セーヌ=マリティーム県観光局
6, rue Couronné 76420 Bihorel
TEL: 0033 (0)2 35 12 10 10
www.seine-maritime-tourisme.com

● カルヴァドス県観光局
8, rue Renoir 14000 Caen
TEL: 0033 (0)2 31 27 90 30
www.calvados-tourisme.com

●マンシュ県観光局
Maison du Département 50000 St-Lô
TEL: 0033 (0)2 33 05 98 70
www.manchetourisme.com

● SNCF
www.sncf.com

英国人も愛した南仏のパラダイス、ニースを往く

ニース

世界有数の海辺のリゾート地、コート・ダジュールの中心都市であるニース。 ここでは、忙しなく観光地をめぐる旅ではなく、のんびりと町をそぞろ歩きながら、 先人に思いを馳せてみたい。

まさに南国!ヤシの木に青い海

ニース

飛行機の窓から眼下に見えるのは、太陽の強い日差しに照らされて乾いた山肌。土は少し赤みがかり、濃い緑の木々がたくましく伸びる。飛行機でパリからたった1時間で見えてきたこれらの風景は、まさに南国そのもの。更に、目の前を一気に覆うように真っ青な海が姿を見せ、心が躍り出す。

高級リゾート地として世界にその名を知られるニース。海岸に沿って立ち並ぶ高級ホテルやカジノと海に挟まれた遊歩道、プロムナード・デ・ザングレ(英国人の遊歩道)は、慌ただしい日常から解放され、自由を満喫する人々でにぎわう。

この遊歩道が作られたのは1820年、英国人ルイス・ウェイが私費で現在の遊歩道の元となる2メートル幅の道を作ったことから始まった。その後、冬期リゾートに訪れた英国人たちの散歩道として利用されるようになり、少しずつ整備されていく。大空へ高く伸びたヤシの木が湾と絶妙なハーモニーをなす優雅な遊歩道として、世界中の観光客に愛されている。

プロムナード・デ・ザングレ

黄土色のファサードが美しい旧市街

散歩道から北側に路地を入り、旧市街へ。迷路のように複雑に行き渡る細い路地には、黄土色がかった美しいファサードの建物が立ち並ぶ。オリーブやせっけん、ラベンダーなど特産品を扱う店やレストランが軒を連ね、海岸のセレブな雰囲気とは一転、にぎやかな生活感を携える。  

フランスを代表する都市として、近年世界にその名を知られるニースだが、紀元前にギリシャ人により築かれてからこれまで、様々な国の支配下に置かれた。1860年のトリノ条約でフランスに割譲されるまで、サルデーニャ王国の町として栄えたため、今も旧市街にはイタリア風の建物が数多く見られる。例えば16世紀後半から17世紀にかけてラスカリス・ヴァンティミリア公爵が所有していたラスカリス宮殿は、バロック様式のイタリア風館で、小規模ながら16世紀イタリア建築の優美さを堪能できる。

旧市街の中心、サレヤ広場に立つミゼリコルド礼拝堂も、豪華な装飾が特徴のバロック様式を代表する建物で、歴史的建造物に指定されている。この広場は様々な市が出ることでも有名だ。月曜日は骨董市が、火~日曜日には南仏の太陽をたっぷりと浴びて育った花や野菜が市に並ぶ。

城跡公園の高台から見下ろす絶景

いったん海岸に戻り、東側にある小高い丘へ向かおう。ここは中世に城が築かれた場所。しかし、この要塞はルイ14世が18世紀初頭にニースに攻め込んだ際に破壊され、現在では一部しか見ることができない。  

人々がこの城跡公園に来るのには、理由がある。海岸を見渡せる展望台となっているからだ。高台から見下ろす海の色は、近くで見るよりもずっと濃く、弧の形をした海岸「天使の入り江」が一望できる。ニースの美しさを実感できるひとときだ。

ニースの色にとりつかれた画家

海の青、木々の緑、太陽のオレンジ。色がたくさんある南仏は多くの画家をとりこにした。シャガール、マティスもそんな画家だ。  

シャガールが自身の絵をフランス国に寄与したことから作られたマルク・シャガール国立美術館には、旧約聖書の「創世記」や「出エジプト記」から題材を得たものなど、聖書をモチーフにした作品が並ぶ。また美術館内部にあるコンサート・ホールには、「天地創造」を表したステンド・グラスが3枚並んで設置され、南仏の強い日差しを柔らかな光に変えている。

マティス美術館
シミエ地区の高台に建つマティス美術館

シャガール美術館を出て、マティス美術館や考古学博物館、ローマ時代の円形闘技場跡のあるシミエ地区の高台へ。豪邸が立ち並ぶシミエ大通りの中でもひときわ目を引くのが、マティスが晩年アトリエ代わりに使用していた高級アパルトマン、ホテル・レジーナである。残念ながら内部は見学できないが、このすぐ近くにある公園内に、マティス美術館がある。初期から晩年にかけての作品約1000点が展示されているこの美術館には、「ブルーヌード」を始めとする切り紙絵も展示され、原色で描かれた作品が強いエネルギーを発している。それはきっと、この土地に息づく葉や土の色、地中海の波の動きを見たからこそ得られたものなのだろう。  

マティスは、美術館の横にあるシミエ・フランシスコ会修道院の墓地に眠っている。花で美しく飾られた修道院の庭園からは、彼の愛したニースの街並みが海を背景に広がっていた。

  • イギリス人の遊歩道 Promenade des Anglais
    Promenade des Anglais 06000 Nice
  • ラスカリス宮殿 Palais Lascaris
    15, rue Droite (Vieux-Nice) 06300 Nice
    TEL: 0033 (0)4 93 62 72 40
    入場無料
    10:00-18:00、火祝休
  • ミゼリコルド礼拝堂 Chapelle de la Miséricorde
    Cours Saleya, Vieux Nice 06000 Nice
    入場無料
    火のみ開放14:30-17:30
  • マルク・シャガール国立美術館
    Musée national Marc Chagall

    Av du Docteur Ménard 06000 Nice
    TEL: 0033 (0)4 93 53 87 31
    入場料:7.50€
    10:00-18:00、火休
    www.musee-chagall.fr
  • マティス美術館 Musée Matisse
    164, av des Arènes de Cimiez 06000 Nice
    TEL: 0033 (0)4 93 81 08 08
    10:00-18:00、火祝休
    入場無料
    www.musee-matisse-nice.org
 

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*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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