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新設学校法人GGI Groupe Global Institution
ven 29 juillet 2016
吉岡嶺二 北海から地中海へ、欧州運河2000キロ、カヌーの旅
吉岡さん

リヨン-マルセイユ330キロ航海記

2年のブランクを経て、いよいよ最後の航海になった。

2009年6月26日

6月26日、前回(2007年)のゴール地リヨンの遊覧船の発着場から出発。ゆるやかに流れるソーヌ川を3キロ程下った所で左舷からくるローヌ川と合流した。アルプスからの流れは強烈だが、ぐいぐいと押し込んでくれるので楽ちんだ。

夕刻、一気にコンドリュウのマリーナに着 いた。浮桟橋の上で数人の男女が手を振っている。この町に住む人たちだという。この夜は、早速知り合ったクラウド夫妻の船で食事をごちそうになり、キャプテンの船に泊まらせてもらえることになった。クラウド夫妻と身振り手振りで言葉を交わしているうちに「アヴィニョンの橋の上で輪になって踊ろよ」という歌が話題に上ってきた。ジーン爺さんもマリー夫人もすっかり乗ってきた。しばらくすると今度はフランスの国家「ラ・マルセイエーズ」。「マルション、マルション」とみんなで足踏みをしながらの合唱になってしまった。「ラ・マルセイエーズ」は、この先パドルを回しながらの応援歌になった。

アンダンス、ヴァランス、ヴィヴィエールと過ぎてきた。ローヌ川に入ってからは、左右の景色ががらりと変わった。長いこと付き合ってきた雄大にうねる丘に代わって低い地平線がどこまでも続いていく。プロヴァンスという言葉通りの田舎、とにかく空っぽで何もない。時折、前方の青空を斜めに切り裂いて純白の飛行機雲がぐんぐんと昇っていく。「パドルよ、あれがプロヴァンスの空だ」。思わずそんな台詞が頭に浮かんだ。そう、「星の王子さま」のサンテクジュペリーはリヨンの生まれ。町の中心のベルクール広場にはブロンズの像があった。サンテクジュペリーは、南仏の高い空に憧れを持ち続けていたのだろう。

ローヌ川には川幅いっぱいに巨大なエクルーズと発電所が立ちふさがっている。事前 に調べておいたのだが、リヨンから河口までのエクルーズは11カ所、多分チビ舟は通行禁止だろうという予想通り、カヌーを担いで上げ下ろしをし、迂回するのに苦労した。

ジーン爺さん
ジーン爺さん(右端)は、早速グラスにキールを注いで迎えてくれた
カヌーを岩場の上に引き上げたところ
カヌーを岩場の上に引き上げたところ

2009年7月1日

7月1日、アヴィニョンに到着。早速お目当 ての橋に向かった。観光客に交じり今度はそっと「アヴィニョンの橋の上で」と口ずさみ、コンドリュウのクラウド夫妻を思い出していた。

アヴィニヨン橋
14世紀建造のアヴィニヨン橋は西側が壊れたまま残されている

2009年7月2日

7月2日、アルルに着いた。この町には2 つの期待があった。ヴァン・ゴッホが描いた跳ね橋とアルフォンス・ドーデの風車小屋だ。学生時代、第二外国語の副読本で「風車小屋便り」を読んだ。スチームエンジンの時代になって仕事を失ったコルニーユ親方は、風車小屋の壁を粉にして袋に詰め、ロバの背中に積んで引いていった。そんな情景を思い浮かべてみようかと考えていた。だが、夕食を終えて帰ると大事件が待ち受けていた。テントが荒らされ、予備の時計、カメラ電池の充電器、食べ残しの非常食が消えていた。長いこと草枕の旅を続けているが、こんなことは初めてだ。それにしても、貧乏旅人の持ち物には相手もがっくりきたことだろう。腹いせに悪さをされなかったことだけがましだった。翌日の予定は変更、さっさと出発することにした。アルルはちょっぴり苦い思い出の地になってしまった。

2009年7月3日

7月3日、地中海沿岸の町サン・ルイ・ド・ローヌ着。リヨンから330キロ、欧州縦断2000キロの旅が終わった。

2009年7月4日

7月4日、この先はおまけの旅、マルセイユまで行ってみよう。バスと列車を乗り継いででもよいのだが、漕いで行ければなお良い。マリーナ事務所でもらってきた地図によれば、河口まで6キロ、その先フォス湾横断が18キロ、コートブルー海岸線に沿って16キロ、マルセイユ湾内14キロの合計54キロとかなりの距離になるが、地中海到着のご褒美にもらったような上天気。早朝5時に漕ぎ出せばなんとかやれるだろう。

意気込んで出発したハイライトはコートブルーだった。白砂の浜と断崖が交互に入れ替わり、その間に小さな漁港が点在していく昔のままの隠れ浜だ。途中でテント泊して地中海ブルーの海で泳いでいこうかという誘惑にもかられたが、海の天気は明日のことは分からない。ただのんびりと漕いで過ぎてきた。マルセイユ湾に入って波風が変った。右舷の岩窟王ゆかりのイフ島をにらんで「マルション、マルション」と頑張るのだが、さっぱりと岸が近づいてこないし、港の入口さえも見当がつかない。奮闘5時間、やっとの思いで旧港(ビュー・ポー)の斜路(船上げスロップ)にたどり着いた。

マルセイユ港
地中海最大のマルセイユ港には、レジャーボートがひしめいている
大型のセール・ヨット
大型のセール・ヨットも悠々と入港していく

マルセイユでは、現地のライター福井礼子さんのお世話になり、彼女の寄宿先にホームステイさせていただいた。マルセイユ滞在記は、ニュースダイジェストのホームページで公開されている「ようこそ我が町へ」で、福井さんが詳しく紹介してくれているので割合させていただくが、欧州縦断の旅では本当に多くの方々にお世話になった。エクサン・プロヴァンスでは、かねてから気になっていたセザンヌが描いたヴィクトワール山を思い出に撮ることも出来た。

セザンヌが描いたヴィクトワール山
この写真を撮るために「セザンヌの道」を歩きに歩いてきた

パリに帰った後、ドーヴァー海峡をフェリーで渡り、ロンドンにまで足を延ばした。来年からは英国の運河、イングランド縦断だ。日本に帰る前にドーヴァーを渡り英国運河の下見もばっちり。今年はもりだくさんの旅だった。

17 Septembre 2009 No 888

 
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