3月26日より、ポンピドー・センターにて映画監督吉田喜重さんの全作品を上映する大規模な回顧上映《Kijû Yoshida Visions de la beauté》が開催されている。
これにあわせて、吉田監督、夫人で女優の岡田茉莉子さんが来仏し、3月25日の前夜祭上映と翌26日の初日に舞台挨拶が行われた。
実現まで3年を要したというこの催し。「普通このような回顧上映というのは亡くなった後に行われるものだけども、生きながらにして開いていただけるのはとてもうれしいことです。けれど同時に、考え方によっては死んだ後の方が幸せかもしれないとも思います。私は生きているので、この場で皆さんの反響、批判を知ることが出来る。そういう意味では過酷な回顧上映とも言えます」と、25日の前夜祭で吉田監督は、主催のポンピドー・センターに感謝を述べると共に映画監督としての心境を語った。
また共にステージに上がった岡田さんを、「私の全作19本中、11本の映画に岡田は主演しています。ですから、今回は私の回顧上映であると共に岡田の回顧上映でもあるのです」と紹介した。

「女優になって半世紀が経ち、このような場に立てることをとても幸せに感じています」と挨拶を述べた岡田さん。25日に上映された主演作「秋津温泉」は岡田さん自らが映画化を念願した映画出演100作目の記念にして、吉田監督と初めて組んだ作品。「前夜祭という大切な日に、私の代表作を選んでいただき光栄です」と感謝の意を述べた。

26日の初日に上映されたのは、監督の代表的作品でもある「エロス+虐殺」。日本では当時プライバシー裁判のために公開が危ぶまれ、世界初の一般公開がパリ(1969年)だったという、フランスとも縁の深い映画だ。大正時代に生きた無政府主義者の大杉栄と伊藤野枝の自由恋愛と、現代に生きる若者の姿を「時間と空間を共存させ同じレベルで描いた」監督の野心的作品。この手法を「私たちのよく見る夢と同じ構造」と言う吉田監督は、「これから皆さんは長い夢をごらんになるだろうと思いますが、それが悪夢とならないことを祈っています」と、締めくくった。
《Kijû Yoshida Visions de la beauté》は5月19日まで、同センターにて開催される。フランスでも評価の高い著名監督といえど、全作品を一挙スクリーンで見られる機会はそうない。開催中は吉田監督、岡田茉莉子さんの舞台挨拶も何度か行われるそう。この機会にぜひ!
上映や舞台挨拶のスケジュールは公式サイトにてご確認ください。









