前回に引き続きルソーのお話です。
彼がシャンベリーに滞在していたのは、有名になる前の時代でした。
若きルソーは、音楽、植物学、文化人との交流などを通して彼の独自の思想や哲学を ゆっくりと構築していったのでしょう。
シャンベリーの街から少し離れた所に彼の銅像があります。

普通の銅像と違い、上を向いて堂々していません。うつむき加減の、何か物思いにふけっているようです。これは彼の日課だった散歩の様子を表現しているのでしょう。歩きながら、考え、遠くの山の景色を眺めてまた歩く。こんな風にして彼のさまざまな思想は作り上げられたのでしょうか? ルソーが、こよなく愛していた場所があります。
それは、夏の間を過ごしたシャルメットです。

シャンベリーの街からさほど離れていないのですが、深い緑に覆われた長く続く細い坂道をひたすら上って行くと、その家にたどり着きます。
1階にはサロンと食堂、2階にヴァラン夫人の寝室とルソーの寝室があります。
サロンには、ルソーの残したさまざまな文献と訪問者が記したメッセージ・ノートが展示されています。
展示されているノートには、フランス語、ヒンディー語、日本語、英語、中国語のメッセージが書かれてあり、なんとも国際的です。1987年の日付になっているそのページには、故ミッテラン大統領も記帳されていました。
フランスの女流作家ジョルジュ・サンドもこの館に足を運んだ形跡が伺えます。国や政治のあり方、個人の人権など、ルソーの唱えたものは当時は斬新であったと思います。影響を受けた作家や思想家たちがルソーのルーツを追うのも納得できます。
当時の様子を伺えるお部屋を見るのももちろん興味深いですが、私がこのルソーの家に来る度に外せない場所は、お庭です。

ルソーは、ここを眺めながら植物を育て、日々学んでいたのだとイメージさせてくれる場所です。左手には、ワイン畑、目の前にはシャンベリーの街が見渡せます。
夏には、ルソーにまつわるお芝居や企画展も開催されます。企画展に誘われ何度もここに足を運び、その度に新しい発見が得られるのです。
当時この館には、馬や牛などの動物や麦などの農作物も作られていたようで、ただ机の上で思考する場所というよりは、自然に触れながら思考を鍛える場所だったのかもしれません。
ルソーの愛した家は、今でも世界中から訪問者がその思想家の面影を追ってやって来ます。
Les Charmettes maison de Jean-Jacques Rousseau
10:00-12:00 / 14:00-18:00(10月15日~3月31日 16:30まで)
火祝休 入場無料
890 Chemin des Charmettes 73000 Chambéry
TEL : 04 79 33 39 44
musees.chambery.fr/416-les-charmettes-maison-de-jean-jacques-rousseau.htm
エヴルー由布子東京都出身。サヴォア地方に暮らし始めて3年目。日本人には観光地としては馴染みが少ない地方ですが、遊びに来た人は必ず気に入ってくれます。そのお手伝いをするのは私の楽しみです。










