FacebookツイッターRSS feed
ロンドンのゲストハウス
dim 22 octobre 2017

第10回 新アートフェスティバル
「Musée Passager 移動する美術館」

イル・ド・フランス地域圏にこの4月、新しいアートフェスティバルが誕生します。ミュゼ・パッサジェ(Musée Passager)は、2通りの意味に解釈できます。旅の途中の「トランジット」、 そして「はかない、無常のもの」。名前の通り、このミュゼのメインコンセプトは「移動」。われわれが美術館に赴くのではなく、美術館が皆のところに引っ越してくるというのです。今回ミュゼが訪ねるのは四つの街。スタジアムがあることでも知られるパリの北のサン・ドニ、南の近代的大学都市エブリー、ディズニーランドに近い大型ショッピングセンターのあるヴァル・ド・ユーロップ、さらに北西にセーヌをさかのぼったモントゥ・ラ・ジョリー。それぞれの地に2週間ずつ滞在します。移動するミュゼとは、いったいどんな仕掛けなのでしょう。コミッショナーのフレデリック・ラフィ氏に話を聞きました。

可動式の建築

「今回フェスティバルのために、可動式のミュゼを設計しました。形状や耐久性などさまざまな観点から吟味された素材、最先端の技術を駆使し誕生した約200平方メートルの可動式スペース。特徴は、外とのつながり。わざと扉を設置せず、通り掛かりの人が自然に中に足を運び、気がついたらアートと向き合っていた、という気負いないアート空間を目指しています。ミュージアムスペース手前の『テラス』と呼ばれるエントランスホールは6メートルの間口が両サイドにあり、通り抜けができます」。屋内でありながら外にいる、今やフランスでもほとんど建築用語化している日本の「縁側」を意識したコンセプトだとか。

Chalet Society
未来型移動式ミュージアム 「Musée passager」
Mus+®e passager -Architecte
Philippe Rizzotti

未来のアートと私たち

第1回目は、「広がりゆく地平線、これから先を考えよう」がテーマ。ビル・ヴィオラやデイヴィッド・ホックニーなどの有名、そして若手十数人の現代アーティストの作品の展示とビデオ作家の豊富な映像作品ライブラリー、ストリートアートなどの地元アーティストによるその土地ならではのパフォーマンスやコンサートを楽しむことができます。

会場にはデジタルアートを使ったインタラクティブなアート作品がたくさん置かれています。その中でも斬新なのは、アート業界の大御所の作品をより身近に感じてもらおうという仕組みです。デジタル化のメリットは、作品をズームすることで素材感がつかめたり、いつもは見えない制作プロセスが垣間見られたりすること。デジタルというと何となく無機的な冷たい感じがしますが、逆に普段われわれの五感だけでは感じ取れないものまで体感できてしまうのが実に新鮮。

Ann Veronica Janssens
アン・ベロニカ・ヤンセンの作品(Scrub Colour, 2004)。
色と視覚のトリックによる空間演出にはファンが多い
©Ann Veronica Janssens

中でも一押しの作品が、まだ20代のフランス人若手アーティストのジュスティンヌ・エマールの拡張現実(オグメンテッド・リアリティー)作品です。まさに仮想現実(バーチャルリアリティー)の進化系。今や、デジタル技術を使って私たちの暮らす現実空間とバーチャルな世界をさらに「グッとつなげよう」という試みです。まずは壁にある数枚のデッサンをiphoneやipadのスクリーンでとらえます。すると途端に平面的な絵の中で滝が流れ落ち、空模様が変わり、木が風に揺れて、黒いサインペンで描かれた風景がまるで本物のように動き出します。あれ、ここはどこ? あまりにリアルな動きに絵の中に本当に迷い込んでしまったような錯覚を覚えます。ついはまって5分ほど取材も忘れて遊んでしまいました。さすが20代、次世代的! と感激していると、「でもインスピレーションを受けたのは昔あったドライブ・イン・シアターのあの映画の中にどっぷりつかった感覚なの」と以外にアナログな答えが。

Screencatcher
楽しくて病みつきになるスクリーンキャッチャー「Screencatcher」。
デッサンもアーティストの自作。自らデモンストレーションするジュスティンヌ・エマール
©Justine Emard

どうやらこの新しいアートフェスティバル、今までのデジタルアートフェアのさらに先を行っているようです。これから毎年、アートが街にやってくるのを楽しみにしていてください。

Musée Passager
4都市をサン・ドニ、エブリー、ヴァル・ド・ユーロップ、
モントゥ・ラ・ジョリーの順で4月5日から6月22日まで巡回

Musée Passager
www.lemuseepassager.iledefrance.fr

 

  • Check


大江ゴティニ純子 
在仏アート・プロデューサー。Palais de Tokyo のゼネラル・コーディネーター、フランス現代アート基金のゼネラル・マネージャーなどを歴任し、現在はパリ大学で講師、国立美術館やアート・センターでの企画に携わる。京都の仏政府在外文化機関「ヴィラ九条山」特任館長。

バナー
フランスのラーメン、中華麺、うどん、そば - イギリス・フランス・ベルギー・ドイツの麺もの大特集! おすすめフランス語学校 バナー パリのお弁当やさん バナー ヘアサロン・ガイド バナー サロン&クリニック・ガイド