サントン人形に家族の歴史を刻み込み 〜 Coup de Mistralを生んだフーク家 〜
15 décembre 2011 No 942

プロヴァンス地方を中心に生産されるサントン人形。この小さな土人形は、キリストの誕生の様子を再現したクレッシュに飾られる。ミレイユ・フークは1934年から代々伝わるサントン人形の伝統的な製法を今に受け継ぐ職人だ。
「人形を焼くのに約4日掛かります。1日目は窯の中に人形を並べ、2日目に窯の温度を960度まで上げていきます。3日目は窯戸を閉めたまま温度を40度まで下げていき、4日目にようやく取り出して、各パーツを組み合わせていくのです」。その後一体一体丁寧に手作業で色付けされていく。
サントン人形を作る多くの職人がいる中、フーク家のサントン人形がひときわ有名なのは、伝統的な製作過程をいまだに守る数少ない工房であること以外にも理由がある。「私たちのサントン人形のデザインはすべてオリジナルで、他社の製品を模倣することはありません。例えば『Coup de Mistral(ミストラスの一撃)』というサントン人形は、現在では各地で見つけます。しかしもともとは、私の父で国家最優秀職人章(M.O.F.) を授与されたポール・フークの作品なんですよ」。ミストラルとは、フランス南東部、地中海沿岸に吹く強風のこと。この風を正面から受ける羊飼いをかたどった作品がCoup de Mistral であり、プロヴァンスの人々の生活や特徴がモデルになっているサントン人形の中でも人気の高い作品だ。「私たちの生み出す人形は、その時代の特徴をかたどるのはもちろんのこと、家族の中での変化を表すこともあります。例えば、私の娘が妊娠した時には、赤ん坊を待つ母親のサントン人形を作りました」。フーク家が作るサントン人形のモデルは約2000体。その一体一体の生まれた理由をひも解いていくと、プロヴァンスの、そしてフーク家の歴史が読み取れることだろう。









