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mar 28 mars 2017

フランスのサッカー事情 ワールドカップ前に知っておきたい

第5回 栄光の98年組が誕生するまで

フランス国内外を問わず、「フランス代表好き」を名乗る人たちには、1998年W杯大会に優勝した彼らに魅了されたという人が多い。自国開催の大会で優勝、というパーフェクトなシナリオに加え、決勝戦の後にシャンゼリゼ大通りで繰り広げられた壮大な祝宴は、人々になんともいえない魅惑の一体感をもたらした。そして、ジダン、デシャン、ブランといった当時のチームの主力たちは、今でもフランスサッカー界では英雄的存在だ。

しかしあの勝利は、期待されて送り込まれた精鋭たちが、満を持して手に入れた結果、というわけではなかった。むしろ「どうせ今回もダメだろう」と見限られていたチームだった。

W杯の歴史に名を刻むフランス

フランスは、今や世界トップクラスの国際スポーツイベントとなったW杯の設立に際し、イニシアチブをとった国だ。当時のFIFA(国際サッカー連盟)会長だったフランス人のジュール・リメが、オリンピックでの盛況ぶりを見て、サッカー競技だけ独立させた大会ができないものかと提案したのが発端で、初回の1930年大会から、デザインが変更される74年大会の前まで、優勝トロフィーは「ジュール・リメ杯」と呼ばれていた。

栄えあるW杯史上最初の試合はフランス対メキシコ戦 (同時刻でアメリカ対ベルギー戦)で、58年のスウェーデン大会でフランス代表のジュスト・フォンテーヌが挙げた大会13ゴールという記録も、いまだに破られていない。そんな彼らにとって、唯一欠けているのが、優勝トロフィーだった。フォンテーヌのいた58年大会は3位、プラティニ、ジレス、フェルナンデスらを擁した黄金世代が挑んだ82年大会は、準決勝で西ドイツにPK戦の末に惜敗。彼らは2年後の欧州選手権に優勝した後、86年大会で再度決勝進出に王手をかけたが、またしても準決勝で西ドイツに阻まれた。

暗黒の90年代を経て

プラティニたちが徐々に引退して世代交代を迎えると、フランス代表は低迷期に突入する。90年のW杯出場を逃し、そのプラティニが指揮官として率いた92年の欧州選手権は、本戦出場こそ果たすも1勝もできないままグループリーグで敗退。そして、2年後のW杯94年大会予選では、最終戦のブルガリア戦で、試合終了10秒前に失点して本戦出場を逃すという苦痛を味わった。2大会連続でW杯出場を逃した経験はしかし、逆に代表強化に目を向けさせた。88年に国立育成所クレール・フォンテーヌが開校すると、全国から優秀な若者が集められ、各クラブ単位でも、育成部門により力が注がれるようになった。

そうして芽を出した選手が結集したのが、栄光の98年組だった。2年前の欧州選手権予選から代表監督に就任したエイメ・ジャッケはエレガントな知性派で、選手からの人望も厚かった。しかし、2大会続けて出場を逃していた代表に対する世間からの期待は薄く、レキップ紙を筆頭とするメディアもジャッケ陣営に批判的だった。

当時ロンドンに住んでいた筆者は、モンパルナス界隈を拠点にこの大会を取材していたが、大会開始当初は、そうとは知らずに来ていたら、今、この地でW杯というイベントが行われているなどとは知らないまま過ごしてしまいそうなほど、街に盛り上がりは一切感じられなかった。ところが、グループリーグに全戦全勝し、次ラウンドでパラグアイを倒したあたりから、急にパン屋にサッカーボール型のケーキが登場したり、雑貨屋のウインドーにサッカーをモチーフにした商品が並びだしたりと、サッカー色が濃くなってきた。そしてあれよあれよという間に決勝戦にたどり着いたフランスは、エース、ジダンの期待通りの活躍で3−0でブラジルに快勝してしまった。

数年前に、当時の代表メンバー、ギバルシュにインタビューした際、彼はこう言っていた。「俺たちは何もないところからスタートしたチームで、世間も俺たちに期待していなかった。だけど俺たち自身は、試合をこなすごとに、自分たちがチームとしてまとまっていく絶対的な手応えを感じていた。だから、世間にそれを見せつけてやりたかった。そしてたたかれ続けていた監督に対しても、俺たちが結果を出すことで、彼が正しかったということを証明してあげたかったのさ」

そうして手に入れた初のW杯トロフィー。98年はフランスサッカー史を変える、節目の年になったのだった。

 
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