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ロンドンのゲストハウス
sam 27 mai 2017

今回の映画:No et moi (仏2010) ※日本未公開
テーマ:幼少のころから学ぶパリジェンヌ的行動様式

ルー(Lou) は、13歳だが、2年飛び級してリセ(高校)に通うくらいの秀才。クラスのみんなの前で行う発表のテーマに、「路上生活者(SDF=sans domicile fixe)の生活」を選ぶ。パリのオーステルリッツ駅付近に出没する路上生活者の19歳の女性、ノー(No)=ノラ(Nora)を取材するうち、2人の関係は近づいて行く。

シチュエーション

ノーは、ルーの両親の理解もあり、ルーの家で過ごすことになる。始めは仕事も見つけ、家族ともなじみ、うまく事は進むかのように見えた。が、そのうち精神的に不安定になり、家庭のルールが守れなくなり、ルーのクラスメイトで、一人暮らしをしているルカのアパルトマンに転がり込む。が、ノーの精神状態はさらにひどく、アルコールやドラッグ漬けになっていく。ノーが元気だったときは、一緒に楽しんだルカとルーであったが、今朝も、倒れていたノーを必死でベッドまで運び込んだというルカは、ルーをカフェに呼び出し、思いを吐き出す。

Lucas
Il faut qu’on arrête.
Lou
Elle va faire quoi ?
Seveuse 
Elle prend quoi ta copine, Lucas ?
Lou
(à la serveuse)Rien , merci.
(à Lucas) Elle va faire quoi ? Tu veux la foutre dehors ?
Lucas
Je sais pas, moi.
Il faut que quelqu’un d’autre qui s’en occupe, nous, on ne peut pas !
Lou
Si on peut !
Elle a besoin qu’on l’aime, c’est tout.
Lucas
Elle a besoin qu’on l’aime, mais t’es...tu veux faire quoi ? T’as 13 ans !
Lou
C’est pas une question d’âge. Il faut être avec elle.
Lucas
Elle écoute que dalle.
Elle est complètement à l’ouest.
Lou
Moi, elle m’écoute.
Lucas
C’est plus compliqué que ça.
Lou
Tu parles comme un vieux.
ルカ
もう、終わりにしなきゃだめだ。
ルー
ノーはどうするの?
ウエイトレス
(カウンターから叫ぶ)あんたの友達、何注文すんの?ルカ ?!
ルー
(ウエイトレスに)何もいりません。
(ルカに)ノーはどうするの? 追い出すの?
ルカ
分かんないよ、オレ。
他のだれかが、面倒見てくれなきゃ。俺たちには何もできないって!
ルー
できるよ!
ノーには誰かが愛してあげることが必要なの。
ルカ
誰かが愛してあげることが必要って、どうするんだよ?
お前まだ13歳なんだぞ。
ルー
歳なんて関係ない! 一緒にいることが大切なのよ。
ルカ
あいつ、人の言うことなんて全然聞かないし。
もう、何が何だか分からなくなってるんだ。
ルー
あたしの、あたしの言うことならきく!
ルカ
そんなに単純な問題じゃないよ。
ルー
年寄りみたいなこと言うね。

Elle prend quoi ta copine, Lucas ?
彼女、注文は何?ルカ!

いきなりですが、謎なやり取り。お客に「注文は何?」とぶしつけな態度で頼むならまだ理解できますが、直接聞かずに、なじみ客の方に「友達は何すんの?」と。知らない人には極力話しかけたくない、というエネルギーの効率化を(フランス人にしてはめずらしく)図っています。 聞かれた方も、「オレ、知らね~!本人に聞いてよ!」もなく、間接的に聞かれた方も、「え?なんであたしに聞かないの ?!」もなく、当たり前のように「何もいらん」と答えている所が、私たちの理解を越えたコミュニケーションの形……。子供のころから周りがこんな態度だったら、大人になっても強いよね~。と思ってしまいます。

例)嫁が目の前にいるのに、何故か息子に質問する母。(これは日本でもアリ?)
母:Elle prend quelque chose ? 彼女何か飲むの?
夫:Je ne sais pas, moi. Tu veux quoi, ma chérie ?
知らないよ、オレ。(妻に笑顔で)なに飲む?マシェリー?
↑母親に「直接聞けよ!」などというと、めんどくさいシチュエーションになりそうなので何事もなかったかのように振る舞う。

Rien , merci.
何もいりません。

普通、お店に入って座っていたら、何かを頼まないといけない!と焦りますが、しらっと、「なにもいりません」と物おじしないところが小さくても(13歳)パリジェンヌ。 「私は悪くないオーラ」をできるだけ若いときから、バンバン放つことが、フランス人としての成功の秘訣と言えるでしょう。逆に「こんなことして悪いかな~。申し訳ないかな?」と思っていると、犬が犬を怖がっている人に寄ってくるように、相手を責めたい人が寄ってきます。

例)たくさん試着したのに、気にいったものがない……。
毅然と「欲しいものとちょっと違うのよね~」「なんかピンとこないのよね~、でもありがとう」と、胸を張って出ます。すると相手も「さようなら」と普通に。
たくさん試したのに悪いからと、ムリして何か買おうとするのは論外ですが、去るときに「ごめんなさい~~」と背中を丸めて申し訳なさそうにすると、8割がた、急に引いた笑顔を向けられるか、「さようなら」と言っても無視され、いつの間にかこちらが悪者に。 先日、つい申し訳なさそうにしてしまって、去るときに力関係が逆転してしまい、後悔しました。どこまでも偉そうにし続けるのが私の今後の課題です……。

foutre dehors
追い出す

foutreは言ってはいけない!と言われるgros motの一つ。faireの大変砕けた形です。
普段は仲間内で使っていても、公共の場では使わない。大人は、子供前では使わない。子供は大人の前では使わない。など、気を使う言葉です。

例)Va te faire foutre !(出て行きやがれ !)
大変下品なので、最後の切り札程度に知っておく程度で!

例)Qu’est-ce que tu fous là? おい、なにやってんだよ?!

例)Foutez-moi la paix. 放っておいてよ!

Je sais pas, moi.
知らないよ!オレ。

フランス人がよく使う、責任放棄の一言。「おら、知らね」といった感じ。短く「 J'sais pas, moi.」と「シェパー モワ」も、フランスの地に足を踏み入れた途端、よく耳にされることと思います。子供みたいに口をとがらせて使用。もちろん、肩もすくめると尚よい。「どこ行く?」「シェパー モワ」、「何食べたい?」「シェパー モワ」、「この子誰の子よ!」「シェパー モワ」、みたいな感じで。

Elle a besoin qu’on l’aime, c’est tout.
彼女には愛してあげることが必要なの。それだけ!

13歳の女の子に、よくここまで洞察力があるなと思いますが(私が13歳のときは、部屋に入ってきたハエが気に食わず、手元にあった大封筒を何度も宙に投げてやっつけようと思っていた頭のよさ。獲れるわけがない。母は私の頭がおかしくなったのだと思ったらしい。)彼女は稀に見る早熟で頭のいい子の設定。さらに、お母さんが赤ちゃんを亡くしたせいで心を閉ざし、目に見えた形で愛してもらえなかった!という理由で愛に敏感なのかとも思われます。しかし、ココまでシリアスでないシチュエーションでも使用できるか考えてみましょう。

例)公園でしらない子供がなぜか攻撃してきた(かわいくない!ムカつく!)とき心の中で。
Il a besoin qu’on l’aime, c’est tout. 彼には愛してあげることが必要なの。それだけ。

例)わがままでなんか迷惑な義母パワーにやれらたとき、自分勝手な友人に振り回されてしまったとき。
Elle a besoin qu’on l’aime, c’est tout. 彼女には愛してあげることが必要なの。それだけ!

したり顔で偉そうに、「思い込みの激しいフランス人」になった気分で使うのがポイント。
自分がイヤな感じな人になっているのを感じつつ、怒りは収まるかもしれません。

T’as 13 ans !
13歳なんだよ!

フランス人は、人の歳はあまり聞かないし、いくつになっても歳を気にせずにマイペース!などと言われますが(ウソではありませんが)、実際、歳に執拗にこだわっている場面もふと見られます。本当はすごい気になるけど「歳の話はしない!」というモラルがあるので普段は我慢しているのでしょうか?

例)J’ai 40 ans.私は40歳。
顔に塗るクリームの宣伝ポスターなど、女性モデルの横にバーンと書かれているフレーズ。40歳なのに、このクリームのおかげで、こんなに若く見えるのよ!という趣向と思うのですが、どうみても彼女40歳くらいにしか見えない!効果があるのでしょうか?(クリームも広告も)

C’est pas une question d’âge.
歳の問題じゃないよ。

何にしろ、歳の話題で非難されたら、「歳の問題じゃない!」と答えるのが正攻法。もし、もろに歳の話だとしても、こうやって議論の矛先をずらします。

例)友達と旅行に行っていい?と親に聞いたとき、「Non ! Tu n’as que 13 ans !ダメ!まだ13歳でしょ!」と言われてしまったら。
C’est pas une question d’âge!歳の問題じゃないよ。 (じゃ、何の問題?)

例)モニカ・ベルーチの写真を見ながら、「やっぱり年には勝てないっ。こんな風にはもうなれないわ!」という義母に。
C’est pas une question d’âge !歳の問題じゃないよ。

応用して、C’est pas une question de ○○ . ○○の問題じゃないよ。 と、パリジャン風にとにかく反論するのに役立ちます。

例)「連帯の精神が云々~!」などと、誰かが偉そうに言ったのを聞いた瞬間に、
「C’est pas une question de solidarité! 連帯の問題じゃないよ!」と肩をすくめて。
意味不明でも、あっという間に議論している気分に!!

que dalle.
全く

rienの砕けた形。
例)Ma mère? Elle comprend que dalle !うちのママ?何にもわかってないよ!
例)Je vois que dalle !何も見えね~!

のように使用。
けだるそうに、「キュダ~ル」と使うと、若者っぽい。

Elle est complètement à l’ouest.

être à l’ouest 何が何だかわかっていない。という意味。
映画などで使われる場合は大抵、なんだかよく分かっていないご本人が、自分に批判的な人に対して「Elle est complètement à l’ouest. 彼女、何が何だかわかっていない」と、バカにしたように使用し、失笑を買います。
実生活でも、思わずこの一言が出てしまったら、「それは、もしや私では?」と自問していみると新たな世界が開かれるかもしれません……。

C’est plus compliqué que ça.
ことはもっと複雑だよ!

無茶なことを言っている人に、大変便利な言い分。「いやいや、人生ってのは……」と分かった風に使うと尚良し。どう複雑か。など説明するには人生複雑すぎるので、特に説明しなくても相通じるところが便利です。何にでも使えます。(あれ?単純)

例)地球は水と土から出来てるんだよね!と同意を求められたら。
C’est plus compliqué que ça. ことはもっと複雑だよ!

例)納豆は大豆を腐らせればできるんだよね!と同意を求められたら。
C’est plus compliqué que ça. ことはもっと複雑だよ!

Tu parles comme un vieux.
年寄りみたいに話すね。

何か気に食わないことを言われたときに、こう一言いえば、効果抜群です。
若者に言えば、こちらが労力を使わなくても、向こうがいい訳を並べて勝手にアタフタするし、ホントに年寄りに説教されても、だれでも「オレはそんなに年寄りじゃない!」と思っているので、向こうはムカッと来ることでしょう。 又は「Et oui , je suis un vieux !そうだよ、オレは年寄りだ!」と開き直る例も考えられます。その場合は、C’est pas une question d’âge !歳の問題じゃないよ。と、意味シンにほほ笑んでおきます。

また、前セリフ「C’est plus compliqué que ça. ことはもっと複雑だよ!」
は、便利ですが、ここ登場するように「年寄りくさい!」と言われてしまっても仕方がありません。 (このシーンの前に、ルーのお父さんがルーに全く同じセリフで説教する) そう言われたくなければ、C’est plus simple que ça. ことはもっと単純だよ! と言えばよいでしょう。若さが演出できます。

フランス人は幼少のころからすでにフランス人的に行動しています。大人になってフランス語を話し始めた場合、コミュニケーションの面で、うまくいかないこともめずらしくありません。そんなときは、フランス人の思春期の子供になった気分で、時間を決めて「偉そうにしてみる」「周りのことを考えない」などの訓練をしてみると、なにかスッと落ちるものがあるかもしれません。

 
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小林まみ Mami Kobayashi

女子学院、慶應義塾大学理工学部卒業後、パリ高等映画学校(ESEC)に留学。 フランスの映像プロダクション勤務を経て、短編映画制作、シナリオ執筆。フリーで通訳、翻訳業に携わる。2004年より、メルマガ「み~さの12秒フランス語!」発行。「まぐまぐメルマガ大賞」3年連続受賞。
公式サイトhttp://miisa12.com

現在、フランス語、フランス、映画関連の本などの執筆。
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