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dim 29 mai 2016

代表OBが語る現チームの可能性
「フランス代表は優勝できる」

エマニュエル・プティさん 元フランス代表MF

エマニュエル・プティさん
Emmanuel PETIT
Ancien joueur de l’équipe de France, milieu de terrain

肩書き 元フランス代表MF
経歴 1970年9月22日生まれ。6歳で地元ノルマンディーのクラブにてサッカーを始める。その後名門ASモナコの育成所に入り、18歳でプロデビュー、チームの主力として97年のリーグ優勝にも貢献した。翌シーズンからイングランドに活動の場を移し、アーセナル、チェルシーで活躍、その間1シーズン、スペインのFCバルセロナにも在籍している。フランス代表では63試合に出場し、98年のW杯、2000年のEURO優勝に貢献。2005年に現役引退後はテレビの解説者を務める傍ら、ハンチントン病や糖尿病患者のためのチャリティ活動や、ホームレスワールドカップの支援など、積極的に慈善活動を行っている。妻と3人の娘とともにパリ市内在住。

お生まれはノルマンディーのディエップですね?

僕は生粋のノルマン人。先祖はバイキングだ。どう?見るからにそんな感じでしょう(笑)?

フランスが優勝した98年のW杯では大活躍でした

僕はブラジルこそが世界最強のサッカー国だと思っている。その彼らを破って自国ファンの前でW杯に優勝したなんて、夢みたいな瞬間だったよ。しかも僕はその試合でゴールを決めることができた。まるでその後の人生のための贈り物を天からもらったような気分だった。

あのゴールを決めた瞬間と同じ感動を人生で味わったのは一度だけ、父親になった時だ。

シェイクスピアの有名な句「to be or not to be」、まさにあの心境だった。自分はこの世に存在する価値があったんだ、自分がやることにはすべて意味があるんだ、と思えた。

あの優勝は僕の人生すべてを変えた。ポジティブな方向にね。もうあれから18年もたつのに、いまだに街の人は声をかけ、サインを求めてくれる。ありがたいよ。

でも何よりうれしかったのは、あの勝利で世界中にフランスの良いイメージを発信できたことだ。ルーツも宗教も違う僕らが一つのチームとして一丸となって戦い、「優勝」を手に入れた。その過程も含めて人々は喜んでくれたんだ。あの時の代表チームには、多くの人々が、自分を投影できる存在を見つけることができた。黒人、アラブ人、白人…チームはこの国の社会の縮図だった。僕らの勝利は、人々の勝利だった。

ジダン、デシャン等、そうそうたるメンバーでしたが、実際どのようなチームだったのでしょう?

98年のチームは、本当に結束が固かった。僕らはまるで手についている指みたいな感じで、それがこう、いつもがっちりと結ばれていた(両手を組んで見せる)。でもそれが基本だ。W杯に限らず、大きな大会に勝つようなチームは、そういう結束があるチームだ。個人プレーの集まりではなくてね。サッカーは団体競技だ。ネイマールやメッシら、個人技に秀でている選手が活躍している今のサッカーを見ていると理解しがたいかもしれないけれど、最強と言われるバルセロナだって、チームプレーができていなければ、いくら並外れたストライカーがいようと負けてしまう。

ただ、実際にそういうチームを作ることは難しい。監督の力量が試される部分だね。それぞれのポジションでベストの選手を選べばいいわけじゃなく、使命をきっちりまっとうしてくれる人材が必要なんだ。

デシャンが12年にフランス代表監督に就任したとき、まず取り組んだのは「チーム」を作ることだった。選手一人一人の集合体じゃなくてね。

そうして集められた現代表の印象は?

すごくいいね。とくに3月のロシアとの親善試合のときの、チーム内のあのハッピーな空気は、「久々に見たな」という感じだった。その前は、14年のW杯でナイジェリアに勝ってドイツとの対戦を決めたとき。その前は、14年のW杯出場をかけた予選のプレーオフでウクライナとの2戦を制したときだ。振り返ると、このプレーオフでの成功がフランス代表のターニングポイントになった。幸福感が爆発したんだ。それまでのいろいろな問題から解放された瞬間だった。*

EURO のように、長丁場のトーナメントを戦う上で必要なことは?

こういったトーナメントになると、仮に決勝まで行くとしたら、事前の合宿も含めて6~7週間、代表チームで過ごすことになる。だからメンバーに必要なのは、第一にそれをうまく乗り切れるような、勝者のメンタリティがあること。それから、長い期間、家族とも離れて共同生活をできるだけの知性があること。四六時中一緒なんだ。もし合わない奴がその中にいたらどうなるか想像つくだろう? だから協会もデシャンも、ベンゼマを呼ばないことに決めたんだろう。** 1週目はやり過ごせても、2週、3週と経つごとに問題がどんどん表面化していく。代表の候補に上がる時点で、そのポジションでベストの選手であることは証明されている。しかし指揮官に求められるのはベストな選手を揃えることではなく、ロッカールームの雰囲気をよくすることなんだ。

ズバリ、フランス代表のEURO優勝は可能でしょうか?

グループリーグの組分けを見たときの第一印象は、「イージー!」。他のグループと比べたら、という意味でね。スペインやイタリアのグループの方が、よりタフだ。初戦のルーマニアは守備が堅く、勝ちにくい相手だが、この難関さえ突破すれば、フランス優勝の可能性はかなりある。

今のチームで気になる点があるとすれば、守備面だ。タレントはいるが、パーフェクトな人材がいない。グラウンドには11人いて、全員が重要だがとくに柱となるパートがある。その一つが、センターバックのコンビだ。マッチングが重要で、知性派、フィジカル派、ファイタータイプと、違ったタイプを組み合わせるのが望ましい。

でも、とにかく必要なのは「チームプレー」だ。システムやフォーメーション、といったことよりも、選手一人一人が、「今この瞬間、自分がチームの役に立てることはなんだろう?」と考えて動けるか。

個人が輝くためにチームがあるんじゃない。チームのために個人がいるんだ。その意味で、今のフランス代表は、チームでプレーできるメンバーが揃っている。だから僕は、優勝候補に彼らを推すよ!

* 2010年のW杯では、大会中に選手が練習をボイコット、2012年のEUROでも、選手が監督に暴言を吐くなどチーム内の事件が続出。代表選手が未成年のコールガールを買春したというプライベートなスキャンダルもあった。

** 仏代表のチームメイト、マテュー・バルブエナが「セックステープ」をもとにゆすられていた事件に関わっていたとして、フランスサッカー連盟は4月、FWカリム・ベンゼマを今EUROのメンバーに招集しないことを正式に発表した。

(Interview réalisée, texte et photo par Yukiko OGAWA)

 

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*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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