日本の民家を拠点に
東北へ支援
ジャーヌ・コビーさん
Jane Cobbi
Ethnologue (CNRS),
Directeur du Programme Japon,
Fondation Maison des Sciences de l'Homme
| 肩書き | 国立学術研究所(CNRS)主任研究員・民族学者 |
| 経歴 | 1982年から、CNRS主任研究員として人類学、日本の民族学、物資文化、食文化などを研究。95年に大阪・国立民族学博物館で、2004年に京都・総合地球環境学研究所で客員教授を務めた。1996年頃、木曽の民家をパリに移築・復元するプロジェクトを立ち上げ、2010年にはパリ市の公園ジャルダン・ダクリマタシオン内に同民家が移築・復元された。また04年、パリ・人文科学館で日本との研究交流を進める。 |
| 嗜好 | 美食 |
日本の民家をどうしてパリに移築されましたか?
1970年代、東京大学の農村社会学、日本の民族学の研究をし、また東北などでフィールドワークを行いながら日本の農村文化を学びました。長野県の木曽地方に住み込んで日本の習慣などを実体験しているうちに、麻織り技術で同県の無形文化財に指定された畑中たみさんと彼女の家族と親交が生まれました。たみさんが亡くなって以降、1860年代に建てられたこの家屋に人が住まなくなりましたが、文化的、歴史的価値のあるこの家を取り壊すのは惜しいということから、家族が家を譲って下さったのです。その気持ちのこもった贈り物を大事に扱うことに決めました。98年に家は解体され、フランスまで運ばれました。その後、紆余(うよ)曲折を経て、ついにはパリ市の公園ジャルダン・ダクリマタシオン内に移築されました。この公園は、民家と同じで誕生から150年を迎えたところです。
古民家はくぎをほとんど使わずに、柱の間に板がはめ込まれ、すべて木材で建てられているので、解体・復元が可能です。解体・復元は長野県の古民家再生専門の建築家および棟梁(とうりょう)の方に委ねたため、この民家は木曽にあったままの姿で今ここに見られるのです。多くの方々の支援を得てフランスに来た、歴史と文化と人々の思いの擦り込まれたこの民家を拠点に、フランスで日本文化の一場面を紹介できることになりました。
民家を拠点にした最近の活動はありますか?
今は東日本大震災に関連する活動です。大震災の後、フランス人も含めた多くの人々が心を傷めています。たくさんの支援活動も行われています。広い農業地帯での災害なだけに、農村にあったたみさんの家が東北の農地の人々への支援を行う上で象徴的な役割を果たせればと思いました。
今年5月16日、人文科学館(Maison des Sciences de l'Homme)でアジアにおける農業をテーマに、予定していたシンポジウムに加え、福島県の農業従事者2人により、厳しい現状について発表がありました。そこで、福島県の子供たちを数週間だけでもフランスに招くことはできないかという質問がありました。思いも寄らなかった災害現場の方の生の声に、反応せずにはいられませんでした。聞いた言葉は聞こえなかったといって無視できません。その直後、東北の子供たちがフランスの家庭でひととき過ごせるようなプロジェクトを立ち上げたのです。期間は短くとも、転地保養でいい空気と快適な場所を子供たちに提供することを考えています。何の役にも立たないような小規模なプロジェクトにすぎませんが、日本以外にも行ける場所があり、遠い国にも思ってくれる人があるのだと、将来に希望と夢を持ってもらえればという1つの提案です。7月11日に民家を囲んだ催しを行い、そのプロジェクトを報知しました。それを実現するために、日本のNPO法人などに連絡を取っています。
また、積極的なボランティアの方々が来て下さったお陰で、それを実現するような条件がだんだん集まり、今年、また来年以降も続けていけるような協力体制が整い始めています。現在のところ、子供たちが渡仏するための航空券購入資金も不足していますが、子供たちを受け入れてくれる家庭が幾つか名乗り出て下さっています。
福島県の子供たちをフランスで受け入れるため、「メゾン・ド・キソ」協会を通して、協力や寄付金を募っています。
問い合わせ: Programme Japon
Fondation Maison des Sciences de l'Homme
190, av de France 75013 Paris
TEL/FAX: 01 45 49 32 37
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