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mar 22 mai 2012

ニコラ・グルニエさん 31音節のフランス短歌
で日常の光景を詠む

ニコラ・グルニエさん   Nicolas Grenier
Écrivain


肩書き 文筆家
経歴 1975年、パリ市生まれ。パリ第4大学、パリ政治学院で学ぶ。2010年から文筆家として広告代理店に勤務する傍ら、グランゼコールへ進学を希望する学生の受験対策指導も行う。20年前から趣味で詩や文章を書き始め、世界の文学を読む中で日本文学に出会う。松尾芭蕉や小林一茶を始めとする詩人に興味を持ち、2年前から独学で短歌の勉強を始め、今年6月に初の短歌集を出版。
嗜好 短歌や俳句を詠むことはもちろん、絵画、写真鑑賞など芸術全般に興味があり、時間があればギャラリー巡りをします。

短歌や日本文学の何に興味を持ったのですか?

無駄な言葉を1語も入れずに感動を与える短歌に魅力を感じました。詩が長距離走だとしたら、俳句や短歌は短距離走。長い文章で感情をゆっくりと表現するのではなく、一瞬の風景を切り取り、言葉にする点が面白いです。

日本文化には昔から興味がありましたが、日本語は全く分かりません。それでも、フランス語に訳された日本文学を多数読んでいます。日本は俳句や短歌を始め、伝統的なものを大切にする国ですが、同時に常に新しことを取り入れ、未来に向かって進んでいる国だと感じます。逆にフランスは古い国。建物はもちろん、伝統的な考え方を持っている人の割合も多い。このような違いが近代文学にも反映されており、現代の日本の若い作家のような斬新なテーマや文体で本を書く人がフランスには少ないように思います。

日本とフランスで短歌の法則に違いはありますか?

フランス短歌の基本は5行、31音節で、音節が5・7・5・7・7となるように分けます。しかし日本のように枕詞などがあるわけではなく、法則も厳密ではありません。またフランスは日本のように四季が明確ではないので、必ずしも季語が入るとは限りません。ときには基本の行数や音節を無視する場合さえあります。

ただ私は行数、文字数という縛りがあるからこそ面白いと感じます。例えば小さな皿とスプーンがあったとして、そのスプーンをどのように置いたら皿の中に収まるのか、どちらの方向に向ければより美しいのか、最終的にはスプーンを替えてしまった方がいいのか……といったように、入る文字が少ないからこそ、言葉の選び方1つで印象はガラリと変わってしまいます。ときには1つの短歌を作るのに、1カ月間程悩み続けることもあります。

とうとう短歌の本を出版されました。

今回出版した短歌の本は、サンジェルマン・デ・プレを舞台にしています。最新モードを発進する店もあれば、古くから文学者が通った老舗カフェもある、パリを代表する土地だからです。どんな場所にいても、短歌にしたいような瞬間はありますが、本の舞台として選ぶのであればパリらしい特別な場所がふさわしいと思いました。

私の詠む短歌は、自分の悩みや苦悩を嘆く哲学的なものではなく、日常の風景を歌ったもの。もちろん、人生、死、時間という大きなテーマは常に頭にあります。ただ、それを全面に出すというよりは、写真のように一瞬の光景を切り取り、読んだ人があれこれイメージできるようなものを詠みたいのです。また多くの人が楽しめるように、古典的な表現から新しい言葉までを取り入れるように心掛けています。今後は電子音楽に短歌を乗せて歌にするなど、新しい分野を開拓していきたいです。


Quant à Saint-Germain-des-Prés, trente et un tanka sur la main d'aprèsQuant à Saint-Germain-des-Prés, trente et un tanka sur la main d'après

伝統的なカフェからスーパーの騒音まで、オリジナリティー豊かなテーマで、幅広い年齢層を対象にサンジェルマン・デ・プレの風景を詠んだ短歌31首を収録した ニコラ・グルニエ氏初の短歌集。

値段:16€
出版社:Editions du Tanka Francophone
www.revue-tanka-francophone.com

 

*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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