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ストラスブール Strasbourg
アルザスの復活祭前後

| アルザスの復活祭前後 |
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同じフランスでも、なぜか祝日で会社も学校も休みの聖金曜日に、アルザス人が食べる料理は…… 毎年2月に入ると、四旬節が始まり、キリスト教徒は復活祭を迎える準備に入る。かつては、この間肉を食べず狩猟もしないことになっていた。 これは、宗教的な意味合いだけではなく、動物の繁殖期を保護する知恵である。そんな厳しい冬の節制の時期に行われる復活祭に向けて飾り付けが始まる。
裏庭でヘーゼルナッツの曲がった枝を切ってきて花瓶に生け、そこへ色とりどりのに模様が描かれた卵の飾りを付ける。子どもの描いた素朴な模様から、プロが作った精巧な卵細工まで、さまざまな卵が街を明るくしてくれる。 同時にお菓子屋の店先にはウサギやニワトリ、鐘の形をしたチョコレートが店それぞれに意匠をこらしてディスプレーされ始める。 日本でカトリックの学校に通っていた子供のとき、毎年復活祭に卵形チョコレートをもらい、食べると中から黄色いひなが出てきたのが珍しくうれしかったのを覚えている。あれは、いったい誰が作っていたのだろうか。 今年は3月12日から24日までが復活祭。今年はコルマールで初めて「復活祭市」も開かれるという。 復活祭前の聖金曜日には、南アルザスでは鯉のフライを食べることになっている。 アルザスの南にはところどころに池があって鯉を釣ることも出来るのだが、この日はどこのレストランも、鯉のフライがメニューに載っている。わざわざ何週間も前から予約して一家で食べに来る人たちもいるほど。 鯉のフライには2種類あって、シャプリュールと言われる細かいパン粉をつけてカリッと揚げた筒切りの切り身のフライと、ビールでといた衣をつけて揚げたやわらかいフィレである。
前者のほうは昔からあるらしいが、いずれもレモン汁や、ルムーラードというマヨネーズのようなソースで食べる。付け合せには、グリーンサラダとフライドポテト。 このメニューは、どのレストランでも基本的におかわり自由で、大皿が空になると次々に持ってきてくれるから、皆おなかがいっぱいになるまで食べ続けることになる。ワインはもちろんアルザスのリースリングやトーケイ・ピノ・グリ。 そんなこんなしているうちに復活祭の日がやってきて、当日子供たちは朝目が覚めるとすぐに庭に出て、野ウサギが置いていった(ことになっている)卵やチョコレートを探し始める。
暖かくなり始める頃なので、天気がいいと子供たちは庭のすみずみまで野ウサギの足跡を追うことになる。野ウサギの落とし物の銀紙に包まれた小さい卵型のチョコレートを根気よく拾っていくと、大きなチョコレートの山に辿りつくわけだ。 かつては、かごに入っているのは卵やチョコレートだけだったらしいが、この頃は小さい野ウサギも、トナカイのそりに乗ったサンタクロースなみのお働きで、随分大きいプレゼントを配達してくれるようだ。うちの子供たちも、小さい頃はどうやってウサギが一日のうちにみんなの家をまわれるのか不思議に思っていたようだが……。
復活祭の日は家族が集まり、まず飾り模様のついた卵をぶつけ合って遊び、誰の卵が最後まで割れないで残るか競い合った後、これを食べる。この卵に少し手を加えるとミモザと呼ばれるマヨネーズ和えの飾りゆで卵になり、これがアントレ(前菜)となる。 メインは子羊のモモ肉のローストにインゲン豆のクリーム煮。そして、デザートの後、コーヒーと共にウサギやニワトリの形のチョコレートを分け合って食べるのが楽しみだ。 つぼみがつきはじめて枝先が白く見えるリンゴの木を眺めながらベランダで食べていると、春が来たという気持ちがするのである。
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