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アダム・ミツキエビチ

Adam Mickiewicz (1798-1855)

「ミツキエビチはチェコ人じゃない。ミツキエビチはポーランド人だ。」チェコ出身の作家ミラン・クンデラの小説に出てくるチェコ人の学者は、チェコもポーランドもハンガリーも「東側」としてひとくくりにした発言に、こう言葉を返した。そう、ミツキエビチはポーランド人である。古くから、ポーランドよりフランスに移り住む人々は多く、ある資料によれば1930年頃には、パリとその周辺には83000人のポーランド人が住んでいたという。またサンジェルマン大通り123番地に、ポーランド関連の専門の書店があることを思い出す人もいるだろう。

61, quai d’Orléansにあるポーランド図書館
61, quai d’Orléansにあるポーランド図書館。
中にはショパンとミツキエビチのミュージアムが併設されていて、
木曜と土曜にガイド付きの見学が可能。

さて、そのポーランドからフランスに移り住んだ人たちの中でも最も有名な人物のひとりが、ロマン主義の愛国詩人として知られるミツキエビチである。彼がロシアへの亡命を経て、パリに拠点を定めたのは1830年の初頭。祖国ポーランドの解放を夢みて、そのために生涯を通じて戦い続けた彼は、この街でショパン(ショパンの曲には彼の詩の影響を受けて作られたものがあると言われている)やジョルジュ・サンドと交流を持つことになる。また代表作のひとつ、叙事詩「Pan Tadeusz(パン・タデウシュ)」の執筆やコレージュ・ド・フランスで教壇に立つことでも活躍し、彼の講義録は「Les Slaves(レ・スラブ)」と題されて出版された。さらに現在でも、ミツキエビチ・ミュージアムがパリのポーランド図書館内に開かれている。こうして、祖国を愛し、愛国者として名を残しながら、彼はその名をパリに刻む。そう、ミツキエビチはチェコ人じゃない。ミツキエビチはポーランド人だ。


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