
フランスで一番人気のスポーツって何かご存じですか?フランス国内の各スポーツ連盟が発表する登録者の数を参考にすれば、1位が200万人でサッカー、2位が100万人でテニス、そして3位はなんと柔道、その数50万人!空手などを含む武術の愛好家も年々上昇中だという。「拳で語り合う」ではないが、言葉が不得手でもコミュニケーションを取れるのがスポーツの面白いところ。スポーツの秋、フランスで日本の武術を習ってみよう。(Texte et photo par Hajime Yanagisawa)

パリ市内の柔道クラブのひとつ柔道パリ・サントル(Judo Paris Centre)の道場は、パリ1区のレ・アール地下街にある。UGC映画館のそばに室内プールがあるが、道場はちょうどその裏手だ。柔道パリ・サントルは設立されてから、すでに15年。生徒数は約250人、年齢も3歳から70歳までと幅が広い。スポーツ大臣からも認定された柔道クラブで、パリ市からの資金援助条約を結んでいる。
「小学校から中学校に進級して学校が別々になってしまった子供たちが柔道クラブで再会することがあります。私のクラブは大会を目指す柔道家の養成はもちろん、柔道を通した交流場にしたいと考えています」と語るクラブ設立者のセルジュ・オルソーさん。小学校の体育の教師でもあるオルソーさんは、常日頃小さな子供も柔道を楽しめるようになればと思案していた。そんな彼が考えついたのが柔道の新しい帯。現在、柔道の黒帯以下は取得級ごとに白帯から茶帯まで6段階に分かれており、一番最初の黄帯を得るには8歳以上でなければならない。もし8歳以下の子供も自分の習熟度を知ることが出来ればもっと柔道を楽しめるはずと考えたオルソーさんは、白帯以下の新しい級と新しい帯の開発をし、特許出願をしたそうだ。現在は新帯の採用をフランス柔道連盟と交渉中だが、正式に採用されれば小さな子供に柔道の人気が広まりそうだ。
19世紀、日本の柔道家がカラー帯を考案しフランスに柔道を広めるきっかけを作った。今や50万人を超えるフランス国内の柔道人口は世界ナンバーワンを誇る。「受け身の練習をすればけがを未然に防げるので子供にもっと知ってもらいたい」とオルソーさんは言う。もちろん、大人の部も女性の部もある。興味のある人は気軽に道場に訪れて欲しい。

柔道パリ・サントルの練習生たち。フランス柔道連盟前にて

(左)柔道クラブの練習生によるアクロバット演技
(右)クラブ子供部の試合風景
写真提供:Judo Paris Centre
Judo Paris Centre
Forum des Halles Gymnase Suzanne Berlioux
4, Place de la Rotonde 75001 Paris
M : Châtelet ①④⑦⑪⑭ RER A,B,D線 Les Halles
TEL : 06 60 58 11 52
練習日詳細はサイトにて
www.judo-paris-centre.com
年会費:週1回240€から 週3回300€


好村教士(左)とロラン師範(右) 剣道道場ブドー11(BudoXI)は、その名の通りパリ11区に道場を構える剣道クラブ。生徒数はおよそ400人。子供の部は主に日仏カップルやフランス駐在家庭の日本人の子供が多く在籍し、逆に大人の部ではフランス人が大半を占めている。BudoXIは1973年に、柔道、合気道、ボックス・フランセーズ(サバット)の道場として設立。剣道部は1973年末、好村兼一教士とギ・ロラン師範によって設立された。ロラン師範によれば、当時すでにフランス選手権などの大会は開催されていたものの剣道の認知度は低く、フランス人剣道家は全国で1000人程度だったそう。しかし、日本の有名な剣道家がフランスで剣道の指導に当たるようになり、フランス剣道のレベルが格段に上昇。現在は世界でも有数の剣道愛好国となった。
「BudoXIはフランス選手権や欧州選手権のチャンピオンを多数輩出したクラブですが、大会のための練習が主ではなく、みんなで楽しめる練習を目指しています」と言うロラン師範。練習後は、必ずみんなで食事に行ったり飲みに行ったりするそうだ。剣道の基本となる練習は厳しく指導、けれどもアットホームな雰囲気であることがBudoXIの特色といえるだろう。他のクラブとの交流も深く、剣道連盟発行のスポーツ・パスポートを携帯している剣道家は自由にクラブに参加出来る。


BudoXI、大人部のメンバーが集合写真に応じてくれた
BudoXI
Gymnase de la Cour des Lions
9, rue Alphonse Baudin 75011 Paris
M : Richard Lenoir ⑤、Saint Sébastien Froissart⑧、Saint Ambroise⑨
TEL : 01 46 36 45 44
剣道練習日:
大人:火~金20:00-22:00 土10:00-12:30 子供:水18:00-20:00
年会費:大人320€、子供250€
詳細: www.budo11.net

一昔前「ジャパニーズ」といえば「カラテ=クロオビ」と世界で認識されるほど空手は有名な武術だが、フランスでの歴史はまだ浅い。いろいろな説があるが、一番有力なのはフランス人空手家アンリ・プレ氏 (Henry Plée)が松濤館流(しょうとうかんりゅう)の空手をフランスに紹介したのが始まり。彼は1951年にパリ5区に武術用品専門の店を開き、その2年後フランスで初めての空手道場を同住所に開いた。日本の有名な空手の師範をフランスに呼び欧州全体に空手を広めたと言われている。現在フランスに既存する多くの空手師範はこの道場出身で、当時この道場は「総本山」と言われていたそうだ。現在この道場と武術用品専門店は、長男のパスカル・プレ氏が引き継いでいる。
現道場主のパスカル師範の空手は、父親から受け継いだ松濤館流と剛柔流の流れを組んだ本格派。近年スポーツとしてメジャーになりつつあるが、パスカル師範は昔ながらの基本的な空手が好きだそう。彼は空手の他に太極拳や気功も教えており、道場の受講生は希望すれば他の授業も受けられる。ここ最近の傾向として、女性は空手に、男性は太極拳に興味を示しており、この現象をパスカル師範は「男性はたくましい男性像ではなく女性的な優しさを求め、女性は自立心を求めているからでない か」と言う。
彼の道場は受講種目ごとではなく受講回数ごとに料金を設定しているので、空手と太極拳、太極拳と気功など、生徒は自由に受講科目を組み合わせることも可能。週3回みっちりと空手を練習するもよし、太極拳で呼吸法を学びつつ空手を学ぶもよし。受講は1回10ユーロから受けられるので、まずは自分に合った武術を道場で試してみよう。

(左)空手の形を教えるパスカル・プレ師範 (右)空手部の練習風景
Académie Pascal Plée
34, rue de la Montagne Sainte Geneviève 75005 Paris
M : Maubert Mutualité⑩
TEL : 01 43 25 57 42
空手練習日:月水金19:30-20:45 土12:30-14:00
年会費:週3回:大人479€、子供332€から
詳細: www.pascal-plee.com
武術用品販売店 Budo Store
柔道、剣道、空手はもちろん、中国武術なども含むマーシャルアーツ全般の武具を取り扱っているお店。1951年にパリで開店し、現存する武具店のなかでも歴史が古い。店舗の2階は空手道場になっており、オーナー自らが師範となって教えている。武術関連書籍やDVDなども数多くそろえており、これから武術を始める人にも親切に対応してくれる。パリのさまざまな武術クラブお勧めの武具店なので、何を購入したらよいのか分からない人は一度足を運んでみよう。2008年9月からはオンライン販売もスタートするとのこと。
Budo Store
34, rue de la Montagne Sainte Geneviève 75005 Paris
M : Maubert Mutualitè⑩
TEL : 01 44 41 63 33 / FAX : 01 55 42 61 11
営業時間:10:00-19:30 日休
www.budostore.com
フェンシングを習おう
フランス発祥のスポーツ、フェンシング。パリには大小含め数々のフェンシング・クラブが存在する。今回取材で訪れたのはパリ14区の学生都市(Cité Internationale Universitaire)内にあるParis Université Club(PUC)のフェンシング部。部員数もパリで一番多く、一般人もクラブに入会可能だ。クラスは8歳のプッサン(Poussin)から60歳以上のベテラン3(Veterans 3)まである。
フェンシングは中世の剣技を起源とするスポーツ。今でも当時の騎士道精神が色濃く残っており、試合前の礼儀作法などは非常に厳しい。そんなことから、PUCフェンシング部の技術部長で元ナショナルリーグ監督のチセール師範は「フェンシングを習う子供は、練習を通じて知らないうちに礼儀作法も学べる」という。小さな子供にも遊びながらフェンシングを知ってもらえるようにと、彼は近年プラスティック製の武器を子供用に採用した。「いつの時代も、決闘ゲームは子供たちに大人気。子供たちのはしゃぎようを見せてあげたいくらいです」とフェンシング子供部の人気ぶりを楽しそうに話す。もちろん、本格的に競技参加を目指すジュニアやシニアコースも充実しており、これまでに数々の優秀な選手を育ててきた実績がある。主なクラブ在籍選手では、フルーレ男子の五輪金メダリストのブリス・ギヤール、サーブル女子世界選手権優勝者のレオノール・ペリュス選手などがおり、技術レベルの高さもこのクラブの特徴のひとつといえる。個人種目ではフランス代表として出場することは出来ないが、団体戦の場合は各国1名まで外国籍の競技者を入れることが可能なので、本場フランスで大舞台に立つのも夢ではない。
気になる値段は、年間およそ380ユーロ前後で2~3回の分割払いが可能。Cité Univeritaireの寮生は数パーセントの割引が適用されるので、寮生はぜひこの機会をお見逃しなく。また、フェンシング学校の受講生はフェンシング用品のレンタルが可能なので、是非活用しよう。

(左)PUCフェンシング部の練習風景
(右)フルーレ男子フランス代表。左
端はアテネ五輪金メダリストのブリス・ギヤール選手。(2006年撮影)

(左)PUCフェンシング部の子供たち。 (中央)元フランス代表監督のチセー ル師範 (右)世界選手権サーブル女子チャン ピオンのレオノール・ペリュス選手。 写真提供:PUC escrime 2008
PUC Escrime
Centre Armand Massard
6, bd Montparnasse 75015 Paris
(ショッピングモール下、地下2階)
M:Montparnasse Bienvenüe ④⑥⑫⑬
コース:フェンシング学校、大人・学生初心者、コンペ非参加の大人など
PUC Escrime
Cité Internationale Universitaire Espace Sud
Bd Jourdan 75014 Paris
RER B線 Cité Universitaire
コース:コンペ参加選手、審判養成コース、フェンシング学校3年生、 大人初心者
詳細はサイトにて: www.puc-escrime.org
フェンシングの武器とルール
フェンシングは先に攻撃した方が攻撃権を持ち、防御側は攻撃をしてはならない。攻撃権は相手の剣を払うことで防御側に移行する。防御側が反撃した場合、同時に突きが決まったときは攻撃権のある方の突きが有効となり、相手の攻撃を払った後に攻撃した場合は反撃側の突きが有効となる。
フルーレ
フェンシングの基本技術を学ぶために一番最初に覚える突き専用の武器。ブレードは四角く剣身は非常に良くしなる。突きの有効面は全種類の中で一番狭い。フルーレをマスター出来たら、希望者はサーブルやエペなどの種目に転換出来る。
エペ
フルーレ同様、突き専用の武器エペ。この武器は、伝統的な決闘用の武器に最も近い形状で、ブレードの形状は三角形で曲がりにくい。有効面は3種類の中で最も広く、全身と剣の内側の絶縁部分である。攻撃権が存在せず同時突きが有効なのが特徴。試合運びは非常に慎重だが一瞬で勝負が決まる。
サーブル
騎兵隊の武器が元になっているサーブルは、突き以外に切りも有効の武器。有効面は上半身のみで、剣先か剣身で触れれば良い。つばの部分がグリップを包み込むような形状になっているのは、その部分で相手の剣身を防御することも可能だからである。
フェンシング用品販売店
Estoc Compétition
フェンシング用品店エストックは、アクセスの良いパリの中心地サン・ラザール駅のそばにある。平日3日間は20時まで、土曜日も16時半まで営業しているので仕事で忙しい人にも助かる。フェンシングはフランスの国技だからと、防具などもフランス製で統一するオーナー、近年は小学校やフェンシング愛好家などが気軽に楽しめるようにと、フェンシングの有効打を光で知らせる無線審判機も開発したという。フェンシングに関することならどんな質問にも答えてくれるので、初心者はいろいろとアドバイスしてもらおう。
Estoc Compétition
5, rue de Laborde 75008 Paris
M : Saint -Lazare ③⑫⑬⑭
TEL : 01 45 22 69 77
FAX : 01 45 22 69 97
営業時間: 火~木10:00-20:00 金10:00-19:00
土10:00-16:30
www.estoc.com
この他のフェンシング用品店
Cartel
37, rue Mathurin Régnier 75015 Paris
TEL : 01 40 56 07 09
営業時間:火~土10:00-18:30
Prieur - sports
70, bd Richard Lenoir 75010 Paris
TEL : 01 43 14 33 10
営業時間:火~土9:00-18:30
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