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ベルサイユの2人と2つの庭
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パリから南西へ約20キロ、815ヘクタールもの広大な敷地を有する庭園が広がる。絶対王政を確立するためパリからベルサイユに宮廷を移したルイ14世。自身の絶対的権力を世に知らしめようと、彼は膨大な費用を掛け豪華絢爛な宮殿とフランス一の広さを誇る庭園を作らせた。それから約1世紀後、この庭に背を向けたのがフランス最後の王妃マリー・アントワネットだった……。(Texte et Photo : Ryoko Umemuro Supervision : Taro Ernst) 世界一の庭の秘密どこまでも、世界の果てまで続くかのように思わせる広大な庭。まるで自然さえも王に服従するかのように、規則正しく手入れされた左右対称、幾何学模様のこのフランス式庭園は、ルイ14世の命により建築家ル・ノートルが設計し、1660年代後半に作られた。 当時、庭園が王室にもたらした効果は絶大だった。国内においては、庭園を貴族や民衆に見せ、自然をも従わせる王の絶対的な力、偉大さを浸透させた。外交においても、各国の王はこぞって真似、その後の欧州各地にフランス式庭園が作られた。けれども、その美しさ豪華さにおいてはベルサイユ庭園にかなうものはなく、今なおフランス式庭園の最高傑作と言われる。
この庭園には約1400の噴水があった。他国から要人が訪れると、王は決まって噴水巡りをさせたという。噴水を作るには高度な技術と大量の水、さらに維持費が膨大に掛かる。命のシンボルである水さえも王に従えるという意味だけでなく、贅沢の極みでもあった噴水は、王の権力を見せつける恰好のモニュメントだったのだ。この水なき地に噴水を作るため、天文学者などフランス国内から最高の学者が集められ、セーヌ川から全長168キロメートルの大水路が作られた。 王の絶対的力を示唆する2つの象徴的な噴水が宮殿の正面に位置している。子供のための水を求めたラトゥーナ(アポロンの母)を拒んだ村人らが神の怒りに触れ、蛙にされる様子を描くラトゥーナの噴水。馬車に乗り天へ上るアポロンの姿を描くアポロンの噴水。「我はアポロンのように太陽であり、神に選ばれた者である」そう口にしていたルイ14世。まるで地球を手にしたかの錯覚さえ起こさせる庭園の眺め。きらびやかな宮殿のバルコニーから、この一点のゆがみもなき庭を見つめ、彼は何を思ったか。 アントワネットの愛した庭完成から約1世紀後、この庭園に背を向けた者がいた。フランス最後の王妃マリー・アントワネット。ルール尽くめの堅苦しい宮殿生活を嫌う王妃は、プチ・トリアノンと呼ばれる離宮に身をおくようになる。
産業革命を機に、自然回帰思想がイギリス貴族の間で流行し、瞬く間に欧州に広まった。ジャン=ジャック・ルソーのこの思想に感化されたマリー・アントワネットは、離宮の庭を人工的に整備されたフランス式庭園から自然そのままの姿をモチーフにした、当時流行のイギリス式庭園に作り変える。さらに、農家の営みが人間の生活として最も豊かであると考えた彼女は、庭に農村を作らせた。ノルマンディー地方の村をイメージして作られた彼女の村里(アモー)には本物の農家が住み、実際に農作を行っていた。王妃自身もここでは簡素な服をまとい、釣りやバター作りなどをしたが、彼女のそれは人間の営みというよりも少女のままごとであり、優雅な暮らしに変わりなかったという。 宮廷生活から逃れるかのように、お気に入りの者だけを集めた自分だけの村里で、彼女は何を人生のよすがとしたのか。
開園時間
入場料
噴水ショー Les Grandes Eaux Musicales 10月25日(日)まで
噴水&花火ショー Les Grandes Eaux Nocturnes 6月20日~ 8月22日
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