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17 Décembre 2009 No 894

ジャン=クロード・デイックス

「親子3代続く操り人形の夢」

ジャン=クロード・デイックス
複雑に絡み合う糸が人形の微妙な動き
とパーソナリティーを作り出す
©Ren Izuta

落ち葉の季節が終わる頃、街にはきらびやかな電飾がともり始めノエル色へと変ぼうを遂げる。クリスマス商戦まっただ中の百貨店の前ショーウインドーには、電動仕掛けの操り人形がノエルの雰囲気をさらに盛り上げ、行き交う人々の目を楽しませている。このおとぎ話の世界のようなノエルのショーウインドーを街に送る親子がいる。ジャン=クロード・デイックス氏とその娘ナタリーさんだ。

オスマン通り沿いに隣り合う大型百貨店、プランタンとギャラリーラファイエットのノエル用ショーウインドーを一手に引き受けるデイックス氏。34年前から、この時期になると毎年欠かさず自作の操り人形で百貨店のショーウインドーを飾っている。そんなデイックス氏がこの仕事に就いたきっかけは、ちょっとした遊び心の中にあったという。

糸操り人形劇をしていた父親の後を追い、デイックス氏は15歳で初舞台を踏む。父親と共にパリのミュージックホールでアズナブールやクロード・フランソワなどの著名な歌手の前座として人形劇を上演していた。しかし、機械設計の勉強をするよう父親に勧められ学業を修める。その後、人形を操る人間の手を機械に変えてみたらどうなるか。熟考を重ね機械装置を開発をしていくうちに今の仕事につながった。

15年前からデイックス氏が生み出すものは機械仕掛けの糸操り人形のみとなった。しかし、今も人形作り基本になるのは自分の手の動きだ。手で糸を操りながら、まず人形の動きを研究する。それから動きを機械装置で再現するための機械仕掛けを考えるのだ。一番困難な仕掛けは人形を回転させるものだという。意図する動きを人形が出来るように、切り貼りして人形を修正することもある。中にはまるで魂が宿っているかのように勝手にポーズを取る不思議な人形もいるという。

操り人形の面白さのとりこになったのは、甥っ子を楽しませるためにエンジニアから人形使いに転身したデイックスさんの父親の影響。人生最初のおもちゃも操り人形だった。4、5才から操り人形に親しみ、その後の人生の選択肢はそれ以外考えられなかったという。現在は娘のナタリーさんも氏の仕事に加わり、アトリエや現場で共同作業をしている。ナタリーさんは室内装飾や舞台美術の勉強をした後、父に弟子入りした。さらに、4才になる孫娘も、すでに操り人形を離さないという。操り人形に対する情熱はDNAの中にしっかり根付き、4代目まで受け継がれているようだ。

自動操り人形のアーテイスト親子、ジャン=クロード・デイックス氏と娘のナタリーさん
自動操り人形のアーテイスト親子、
ジャン=クロード・デイックス氏(右)
と娘のナタリーさん(左)
©Ren Izuta

毎年、多くの道行く人を楽しませるノエルのショーウィンドー。草案から実現まで、1年の3分の2をプロジェクトに費やすデイックス氏は言う。「第一に自分が、最初の観客であること」。その最初の観客が楽しむものでなければ面白い作品は生まれない。大人も子供になって楽しむから、世代を意識しなくて良い世界が生まれる。この世代間を超越したコミュニケーションは、まさにデイックス家の親子4代に伝わる心の高揚を象徴している。

デイックス家のノエルは一家総出で人々を楽しませる舞台裏へと専念する。ノエルのウィンドー開催中は連日オスマン通りに待機、機械装置が壊れればすぐ直すという具合だ。パリの寒空に夢を届ける影のサンタクロースはバカンス返上で大忙しというわけだ。


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