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lun 30 mai 2016

TAKESHIの世界 北野武 パリで語る
北野武

ときにコメディアン、俳優ビートたけしとして、
ときに映画監督北野武として我々の前に現れる TAKESHI。
自叙伝出版、新作映画公開、展覧会とレトロスペクティブ開催。
この春パリで多面的にその世界を見せる北野武が、
3月9日国内外含め自身初となる展覧会の会場、
カルティエ現代美術財団美術館で取材陣の質問に答えた。
(取材・構成:編集部)

展覧会「Gosse de peintre」について

お笑いをやっているビートたけしと、映画をやっている北野武。2つが合体したものが今回の展覧会で出せたんじゃないかなと思っています。今回は好きなことをやっていいと言われ、大人も子供もただ、ふふふと笑うような、童心になることを狙いました。「いいね、こういうの」というような楽しい雰囲気を感じてもらえればと思います。僕は画家でもないし芸術家でもありません。このような地位のあるところで展覧会をやるために、わけのわからない現代アートをやって、誰にも分からないものを作ってしらばっくれるという手もあったのですが、今回は本当に分かりやすいものを作りました。分かりやすいので文句も言われやすいのですが、コンテンポラリーをやるよりはもう少し自分がやって楽しいと思うことをみなさんと共有したいという考えで作りました。

特に子供が喜ぶようなものを作ろうとは思っていませんでしたが、制作している自分がかなり子供的な部分が多いので、自然と子供が喜びそうなものになっちゃいましたね。

© Office Kitano Inc.Beat Takeshi Kitano, 2009 Acrylique sur toile, 117 x 91 cm © Office Kitano Inc.

フランスにおける映画監督北野武のイメージについて

僕はコメディアンでもあるしテレビのタレントでもあるし映画監督でもあります。なぜかフランスでは映画監督として、とても良くしてもらっているのですが、日本ではテレビを中心としていろんなことをやっているということも皆さんに知っていただいた方が、出自をはっきりさせ、一体この人はどういう人なのかということを分かっていただいた方がいいかなと。自分としてはエンターテインメントの世界で今までやってきたことはそのまま続けるべきだと思っていますし。

作品のインスピレーションについて

どういうときに考えつくかではなく、常にアンテナを張っているのです。ラジオのアンテナみたいに、いろんな音が入ってくるようにチャンネルをフリーにしています。お酒飲んで全然関係ない冗談を言ってる時にぱっとひらめいて、ばかばかしいことを思い着いたらメモを取るなどですね。

影響を受けた画家

マティスやピカソとか印象派の人などで好きな人たちはいますけれど、影響を受けたわけではないですね。色に関して一番影響を受けたのは、ペンキ屋だったうちの親父だと思います。

幼少時代に絵を描いた記憶

うちはペンキ屋なので、親父から汚い塀におまえペンキ塗れって言われて嫌で仕方なかった記憶しかないんですよ。ペンキ屋は、昔はすごく馬鹿にされた商売だったんです。汚れっぱなしのペンキのついた服を着て工場の塀を塗るような商売だったので、そういう寂しいことしか覚えてなくて、絵を描いたって記憶は全然ないですね。

© Office Kitano Inc.Dessin préparatoire de l’exposition © Office Kitano Inc.

北野はなぜパリでモテるのか

この春先の一大旋風(せんぷう)。一人のアーティストのイベントがこの様に集中するのは非常にまれだ。北野武に対する特にパリでの人気の高さに改めて驚かされる。

「戦場のクリスマス」(大島渚監督/83)で役者ビートたけしとして世界デビューを飾った後、映画監督北野武の名が世界に知られたのは「ソナチネ」(93) がカンヌ映画祭で上映された時。

ソナチネ
Sonatine, mélodie mortelle, Takeshi Kitano, 1993 © Shochiku Co., Ltd / Studio Canal, Tamasa distribution

世界最大の国際映画祭カンヌのすごいところは、約2週間の短期間に世界中から何千人もの映画関係者が集まり、特にジャーナリスト間での口コミ・パワーが威力を持つことだ。「ソナチネ」はまさにその好例だった。監督週間での上映後、「ソナチネ」という日本映画がすごいとのうわさが広まり、未知だった日本人監督の発見と騒がれ、映画監督北野武は世界デビューした。「抽象的に純化された暴力。暴力の宿命を描いた秀作」(テレラマ誌)という声によって代表されるように、当時の「ソナチネ」へは容赦ない暴力描写に衝撃を受けた批評が多い。

以降、初監督作品「その男、凶暴につき」(89)以外の全監督作がフランスで公開される。その間、ベネチア国際映画 祭で「HANA-BI」(97)が金獅子賞、「座頭市」(03)が最優秀監督賞を受賞、国際的な映画監督としての名声を不動のものにした。「ソナチネ」から7年。北野の国際的人気は一過性の発熱ではなく、長い仕事の結実だ。

日本映画が海外で紹介される効用の1つに、日本のしがらみから自由なところで映画自体として評価されることがある。北野の映画もそうだった。“お笑い芸人の作った映画”という色眼鏡で見られなかったのである。

「笑い、暴力、大衆文化、科学的思考、空想、ユーモア、伝統、教育、美、話題性が混在、子供を真面目に相手した大インスタレーション作品のよう。美術館をテーマパークにした」とは展覧会の企画者、カルティエ現代芸術財団ディレクターの言葉。既成の現代アート展への皮肉も込められている。フランスで映画監督の北野武は有名だが、絵描きやお笑い芸人の仕事は知られていない。映画監督としての評価が、絵描きやお笑い芸人という他分野の活動に関心を持たせていったという、日本とは逆プロセスである。


左:Takeshis’, Takeshi Kitano, 2005 © Bandai Visual, Tokyo FM, Dentsu, TV Asahi, Office Kitano Inc. / Bac Films
右:Glory to the Filmmaker!, Takeshi Kitano, 2007 © Bandai Visual, Tokyo FM, Dentsu, TV Asahi, Office Kitano Inc. / CTVInternational

北野映画の全容を明らかにしようというレトロスペクティブは、題して「偶像破壊者、北野武」。イベントの担当者は言う。「ヤクザ映画から自身をパロディー(滑稽)化した喜劇まで、普通なら相容れない多様な創作活動で、偶像になることを破壊し続けている。それが北野だ」。フランス人は人間の多様性に関心を持つ。しかしそれだけではなく、北野のその精神に引かれるのだ。

フランス文化の中で「北野人気」の問いを解くために、日本では高評価でもフランスでは人気の出ない監督を思い浮かべてみると一つの目安が出てくる。例えば「男はつらいよ」の山田洋次、「二十四の瞳」などの故木下恵介。彼らはフランスでは人気が出ない。フランスの映画ファンに聞くと、感情がべたべたとしてついていけないと言う人が多い。フランス人は寅さんのような日本の人情喜劇はよく分からないらしい。フランスの気候風土は乾いている。そして、フランス人は乾いて論理的なことが好きなのだ。フランスで評価の高い小津安二郎も黒澤明の世界も、根底的にはウェットではない。また、一般にセックス描写には寛容で暴力に関しては不寛容であるフランスで、北野の暴力描写に対して批判が起きないのは、大多数のフランス人にとってそれが納得できる、根拠のある暴力だからだ。

若いフランス人に北野の年齢を当ててもらったら、大半は「まだ若いはず」と壮年のイメージだった。最新作「アキレスと亀」は夫婦愛と芸術が主題で激しい暴力描写はゼロ。“人情劇風”だが、実はそうではない。それはあっけなく死ぬ人=自殺がよく出てくることにも表れている。北野は偽善的な人情におぼれることを嫌う。漫才や落語の名人には老いと共に芸を深めていく人が多い。今後、北野はどう展開(老熟)していくのだろうか。
(Texte : Kiyomasa Kawakita)

information

Kitano par Kitano
書籍
Kitano par Kitano

北野武 初の書き下ろし自伝

著:Takeshi Kitano
協力:Michel Temman
発行:Grasset
20.90€

amazonで購入
Beat Takeshi Kitano, Gosse de peintre展覧会
Beat Takeshi Kitano,
Gosse de peintre

絵画50点の他オブジェ作品を展示

9月12日まで 11:00-20:00(火 22:00 まで)月休
入場料:7.50€
Fondation Cartier pour
l'art contemporain 261, bd Raspail 75014 Paris
M:Raspail ④⑥、 Denfert-Rochereau ④⑥ RER B 線
TEL:01 42 18 56 50
fondation.cartier.com

Achille et la tortue映画
Achille et la tortue

公開中

監督・出演:Takeshi Kitano
出演:Kanako Higuchi, Yurei Yanagi
www.ocean-films.com/achilleetlatortue
© Office Kitano

Takeshi Kitano, l'iconoclasteレトロスペクティブ
Takeshi Kitano, l'iconoclaste

監督映画および出演映画・
ドラマ作品を上映

6月26日まで
入場料:6€/ 回
Centre Pompidou
Pl Georges Pompidou 75004 Paris
M:Rambuteau ⑪
TEL:01 44 78 12 33
www.centrepompidou.fr
© Takeshi Kitano dans "Sonatine, Mélodie mortelle", 1993 © Bandai Visual, Shochiku Co., Ltd./Studio Canal, Tamasa Distribution-Collection TCD (Daniel Bouteiller) © Centre Pompidou, direction de la communication, conception graphique : Ch. Beneyton

 

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*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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