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フランスニュースダイジェスト
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mer 23 juillet 2014
2009年、フランスの起業数は前年比75.1%増と
驚異的な伸びを見せた。
さらに今年2月の起業数は5万7748社で、過去最高数を記録。
世界的不況の中にわき起こった起業ブーム。
日本人がフランスで起業する場合にはどうすればよいのか?
フランスにおける起業の実態を探る。
(texte: Kei Okishima)

起業ブームの背景にあるのが、2009年1月に施行された「個人事業主制度(auto-entrepreneur)」による起業者数の増加だ。これは個人企業の形態のひとつであり、手続きが簡単な上、職の有無を問わないこと、支払う社会保障費が収入の額によって決まり、最低支払額がないなどの特徴がある。Urssafによると、外国人であってもフランスでの滞在許可がある人であれば、ビザの種類は問わず登録できる。しかし年間売上額の上限が職種によって3万2000ユーロから8万ユーロと設定されており、あくまでも小規模なビジネス向きだ。

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フランス政府がこの制度を導入した狙いは、特技を活かした事業を興すことで失業者を減らし、経済活性化を図ること、また業務申告を怠る小規模な不正取引を減らすことなど。昨年個人事業主で起業した人の約半数が起業前に無職だったことを考えると、確かに政府のもくろみもうなずける。

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しかし一方で、新たな問題も生じている。例えば、企業が社会保険料などの負担を軽減するために、社員として雇う代わりに個人事業主として起業させ、その後業務契約を締結するようなケースだ。彼らは実際には社員と同じような仕事をしているにもかかわらず、正社員としての権利を持つことができない。そればかりではなく、たとえ個人事業主が不法労働者だったとしても、正社員ではないため、業務契約を交わした企業に法的責任を問うことができない。増加し続けるこれらの問題に、政府の対応が迫られる。

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空前の起業ブームの中、実際に日本人がフランスで起業するにはどんな手順を踏む必要があるのか。

フランスで最も多用されている起業形態は、株式会社(SA)、単純型株式資本会社(SAS)、そして有限会社(SARL)である。これらの形態は損失を出資額に限定できるため、他の形態に比べリスクが限定的だ。実際に、これまで日本人起業家が選んだ会社形態をみると、単純型株式資本会社と有限会社が多い。両者とも出資者が1名からでも可能な点、最低資本金の定めがない点などが株式会社と大きく異なる。まずは小さく事業を始めたい人に向いているだろう。反対に株式会社は7名以上の出資者が必要だが、株式の公開発行や社債公募を行うことができるという利点があるため、事業を拡大し、多額の運転資金を必要となる場合などに向いている。今回新たに個人事業主制度が導入されたことにより、よりリスクが低く、サイドビジネスにも適しているこの形態を利用する日本人起業家が増えるのかもしれない。

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なお、フランス非居住者でもフランス法人に出資できるが、フランスに居住してフランス法人の代表者となるためには、商業 ビザ(visa commerçant)および滞在許可証、または3年有効の滞在許可証「コンペタンス・エ・タロン」が必要になる。

さて、肝心のスタートアップだが、まず一番大切なのはしっかりとしたビジネスプランを練ること。これがその後の資金確保や取引先を見つける際の糧となる。次に必要資金の確保。自己資金で間に合わなければ、公的融資や、ベンチャー・キャピタル、ビジネス・エンジェルなどからの投融資の可能性を探る。主な会社設立手続きとしては、会社本拠地の確保、定款など規則の作成、商号・代表者の選定、会計監査人の選任、資本金の設定などが必要だ。最後に本社所在地の税務署への定款登記を済ませ、設立通知の法定公告掲載紙へ公示、商業登記をすることで、ようやく起業のスタートラインにたどりつく。一般的に起業の手続の審査に掛かる時間は、すべての書類がそろい申請後、1週間から3週間程度だ。

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しかし実際起業にこぎ着けても、その後予想外の問題に打ち当るのは万国共通の悩み。将来起こりうるリスクも踏まえ、法務面はもちろんのこと、税務、財務、労務面など多角的に専門家の指導を仰ぎながらビジネスプランを検討することが求められる。フランスでの起業を手掛けてきたコンタプリュス公認会計士事務所によると、実際に日本人が陥ったトラブルの多くに、言葉の問題が付随しているという。専門的な言葉の理解が100%でない上、法律、メンタリティ、商習慣などが異なるために大切なことが理解できず、さらに問題が大きくなるケースが後を絶たない。この点に十分注意し、必要であれば日本人向けサポート会社の助けを得てリスクを軽減する対策が望まれる。

(協力:コンタプリュス公認会計士事務所および續恵美子)

日本語可能なビジネスサポート企業

起業お役立ちサイト


日本人起業家インタビュー

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青木千映さん

青木千映さん

上智大学卒業後、パリ郊外の高校にてインターン講師として日本語を教える。その後、通訳・翻訳、コーディネーター、日仏系企業にて輸出入業、広告代理店にてイベント企画などに携り、2007年独立。
写真 ©Marc Michiels

本物の日本文化をフランス人に伝える

フランスに住んでいる日本人が一度は疑問に感じる、この国にはびこる偏った日本像。強烈な印象を与えるアニメやコスプレの文化は伝わりやすいが、わび・さびなどの“渋い”部分は伝わりにくい。そんなフラストレーションを解消すべく立ち上がったのが青木千映さんだ。「日本人としての誇りを何らかの形で発信したかった」という彼女は、日本のクリエーター・職人の作品を日本にいながら海外に発信する仕組みを提供し、フランスでPR活動を代行する。

海外で自分の才能を試したいと思う職人は数多い。しかし、実際にはどのような商品が好まれるのか、どのように海外に進出できるのかは分からずにいるのが現状。一方、インターン日本語講師として渡仏し、その後も通訳やコーディネート、輸出入業など、多方面から日仏に関わってきた青木さんは「本物の日本文化を知ってほしい」と考えていた。そんな両者が手を組んだ新しいビジネスが始まったのが2007年のこと。

社員は青木さんのみ。外部スタッフが数名いる。会社の形態は現在話題の個人事業主。とはいっても起業したのは新制度施行前の2007年なので「ぴったり当てはまる会社形態がなかなか見つからなく幾度も形態を変え、苦労しました」と語る。最終的に現在の形態に落ち着いた理由は、「資金面でのリスクがないこと」。個人事業主の法案が発表された時から動向を追い、内容を調べて検討。そして制度が施行された2009年の1月に申請した。そんな経験から得た教訓は「しつこいくらいに自分で調べることが大切。その過程で壁にぶつかることもあるが、それでも調べれば解決策は必ず見つかる」。

本物の日本文化を感じてもらうことは容易ではない。見せ方を工夫し、青木さんは日本の美意識を伝える努力をする。「リピート客の多さが、本物を理解してもらった証だと思います。またフランス人はストーリーのあるものを好む傾向にあるので、単純なものでも物が持つストーリー性を大切にしています」。そんな青木さんの考える、フランスで起業するのに必要なこと、それは「頑固さと忍耐、オーガナイズ力ですね」。

会社概要

émoi et moi
日本人クリエーターのフランス進出をサポート(Paris-Art-Debut)。また外国人へ向けたオンライン・ショップExpo Shop Japon を運営。

6, rue Devès 92200 Neuilly sur Seine
TEL: 06 16 77 73 17
このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.paris-art-debut.com
www.exposhop-japon.com

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佐藤大輔さん

佐藤大輔さん

1973年生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了後、2001年渡仏。リヨン大学大学院博士予備課程(DEA)修了。在学中より商工会議所などでインターンシップを経て、2005年ALFELISを設立。リヨン政治学院、CSI リヨン国際学園講師。
写真 ©Nicolas Foray

フランスはビジネスチャンスにあふれている

「海外は初めてという日本人のオタクご一行様のアテンドで、早朝からステーキが食べたいという要望には頭を抱えました。駅前のブラッスリーの厨房に頼んで事なきを得ましたが」と笑う佐藤大輔さん。

佐藤さんが代表を務めるアルフェリスの仕事は、衣食住分野におけるフランスでのマーケティング、市場開拓のコンサルティングや調査、見本市でのパビリオンやイベントの企画、運営など多岐に及ぶ。冒頭のような要求にもそつなく応え、特別な宣伝をせずに口コミだけでここまで成長した。今や官公庁や大企業をクライアントに抱え、不可能な案件を成功させる特殊部隊と呼ばれている。

しかし、佐藤さんがかつて目指していたのは大学の研究職。フランスの大学院で18世紀のフランス料理やワインの研究をしていたという。けれど、実際に職を探すとなると、日本でもフランスでも厳しい現実が待っていた。そこで「起業」という2文字が頭に浮かぶ。

ここから起業に至るまでの道は実にスマート。まずは大学院生を続けながらインターンシップを複数掛け持ちし、同時に自由業者として登録。その2年間に市場をチェックし、3年目にそれまで貯めていた奨学金を資本金にして法人を設立した。法人化の理由は、「より大きなプロジェクトを実現し、新しい価値を創りたかったから」と言う。

無駄がなく順調に見えるアルフェリス誕生物語。だが、日本人がフランスでゼロから起業し、事業を拡大するには当然ぶつかる壁もある。「進出日系企業でもなく、フランス人の起業でもないので、滞在許可証の面を含めて何もサポートを受けられずに苦労しました。今後、事業を拡大するにあたって直面する問題としては、業種や許認可の種類によって国籍条件があることです」。

しかしフランスでのビジネスについては「チャンスがあふれていますよ。フランス人が働かないおかげで」とにっこり。日本人の勤勉な姿勢は、この国で起業するのに都合がいい。そんな佐藤さんが考える、フランスで起業するのに必要なこと、それは「決意、勇気、根気です」。

会社概要

ALFELIS
衣食住を中心とした市場開拓、マーケティングを専門とするコンサルタント業務を行う。

9, rue Fournet 69006 Lyon
TEL : 09 54 40 93 65
このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください  
www.alfelis.com

 

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