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英仏バイリンガル幼稚園・小学校
mer 20 septembre 2017

フランスの教育制度

日本と異なり9月に新学期を迎えるフランス。
フランスの教育制度において、学期の区切り以外にも、
義務教育期間や各課程の年数、大学のシステムなど、
日仏の教育制度に違いはあるのだろうか。
就学前教育から大学などでの高等教育まで、
フランスと日本を比較してみよう。

(Texte : Kei Okishima)

就学前教育 Ecole maternelle

義務教育が開始する前、3年間もしくは4年間の就学前教育がある。就学前教育とは、日本の幼稚園に相当する。就学前教育の目的は、義務教育の開始前に言葉に慣れ、文字の世界に触れ、座ってきちんと先生の話に耳を傾けるなど、「生徒」になるための準備をすること。時間配分は1週間24時間で週4日、もしくは半日×9回。前者は、1日の授業時間が6時間ほどと長いのが特徴だが、水曜日に休日となることが多い。後者は、水曜日の午後に授業がない。フランスにおける公立幼稚園の数は16,366と、私立の131に比べて圧倒的に多い(2010年現在)。

保育所と託児所
女性が出産後にも仕事を続けることが多いため、乳児を預かる施設が整えられている。保育所の中にも、3カ月~3歳の子供を預けることができる公立の保育所(Créche collective)、親が保育参加しながら共同で運営する保育所(Créche parentale)などが存在する。また、働いていない場合でも時間決めで子供を預けることができる託児所(Halte-garderie)があり、いずれも県市町村や家族手当金庫から補助金が出る。保育料は所得に応じて決まるため、私立よりも割安だが、人気が高いためにウェイティングリストに入ることもしばしば。

いよいよ義務教育へ

フランスの義務教育は原則として6歳から16歳までの10年間。普通に進級した場合、リセの1年目が16歳に当たるが、小学校から生徒の成績により、落第や留年、飛び級の制度があるため、義務教育期間に必ずしも皆が同じ課程を修了しているとは限らない。

年間の休暇
休みは夏休みが約2カ月、そして冬、春、秋にそれぞれ約2週間ずつ休みがあるので、合計で年間約3カ月半程になる。一方、日本は夏休みが約1カ月+1週間~2週間、冬と春にそれぞれ約2週間ずつ、年間で約2カ月半ほどと少ない。

初等教育 Ecole élémentaire

初等教育は、5、6歳から10、11歳までの5年間。日本の小学校1年生に相当するのが準備コース(CP)、2、3年生が初級コース1、2(CE1、2)、4、5年生が中級コース1、2(CM1、2)となる。

日本とフランスの学年
日本 フランス
小学校1年 CP
小学校2年 CE1
小学校3年 CE2
小学校4年 CM1
小学校5年 CM2

日本の小学校低学年に当たるCPやCE1の時期には、国語(フランス語)と社会に重点を置き、その他には算数、音楽や美術、体育と、日本とほぼ同様の科目を学ぶ(日本の場合は社会の代わりに生活科)。しかし、フランスではこの時期から既に外国語(英語、ドイツ語、地域言語などから1つ)の授業が始まり、日本の小学校と最も異なる点である。CE2以上の高学年になると、上記の科目に加え、文学や地理、歴史、理科、工芸などの授業が加わる。

授業時間は、就学前教育と同様で1週間24時間。そのため低学年の間は日本よりも授業数が多いが、高学年になると、日本のカリキュラムの方が授業時間は多くなる。

その他の違いとしては、親は安全面から原則的に子供の送り迎えをしなければならず、日本のように1人で子供が通学することはない。働いている親も多いので、ベビーシッターが代わりに迎えに行く場合も。

中等教育前期 Collège

日本の小学校6年生~中学3年生までの4年間が、中等教育前期のコレージュに当たる。1年目が第6学年と呼ばれ、学年が上がるごとに数字が小さくなり、第3学年が最終学年になる。

日本とフランスの学年
日本 フランス
小学校6年 6ème (Sixième)
中学校1年 5ème(Cinquième)
中学校2年 4ème(Quatrième)
中学校3年 3ème(Troisième)

日本よりも1学年早く中等教育に突入するフランスの生徒。まだあどけなさの残る第6学年は、コレージュでの勉強の仕方に慣れる時期。2年目の第5学年、3年目の第4学年になると、物事の仕組みを理解し、応用できるような教育が始まる。また、科学、化学の授業が始まり、選択でギリシャ語またはラテン語を取ることができる。これらの言語を学ぶことにより、他のヨーロッパ言語を習得しやすくなる。最終学年の第3学年では、更に選択科目が増え、ギリシャ語やラテン語を含めた外国語や、専門知識を身に着けるための授業などを選ぶことができる。このように選択式で取る授業科目が増えるコレージュでの生活は、生徒によって授業数が異なり、登下校の時間も違ってくる。

最終学年では、これまでの成績や本人の興味により、その後の進路について指導が始まる。選択肢として、大学を目指すための普通教育課程(Lysée général)、工業の専門的な知識を身に着けるための工業高校(Lysée technologique)、そしてパンや製菓などの専門知識を身に着けるための職業高校(Lysée professionnel)への進路がある。コレージュ修了時には、国家資格である中等教育修了資格証書(Brevet)を受け取る。

中等教育後期 Lycée

日本の高校3年間が、フランスの中等教育後期であるリセに相当する。中等教育前期修了時に選択したリセで、それぞれ将来への道を歩み出す。

日本とフランスの学年
日本 フランス
高校1年 Seconde
高校2年 Première
高校3年 Terminale

普通教育課程

大学入学資格試験であるバカロレアに向け、理系、文系、経済・社会系の3つに別れる。第2学年と呼ばれるリセの1年目では60%が同じ科目を学び、残りの40%でそれぞれ分野ごとの勉強を行う。

リセの2年目、第1学年終了時には共通科目としてフランス語のテストがあり、その点はバカロレアに加算される。

バカロレアに合格すると、行きたい大学の学部に願書を出し、入学許可をもらう。日本のように大学別の入学試験は行われない。

工業高校

将来就きたい職に直接役立つような技術を学ぶための高校。40~60%の授業は技術的なことであり、残りの時間は普通教育課程のプログラムのようにフランス語、数学、地理歴史、科学、英語を学ぶ。教育課程は、機械・電子などの工業化学、実験科学、経営科学から、保険や社会福祉、音楽、ダンスに至るまで、さまざまな科に分かれており、専門分野に重点を置いた教育が行われる。

職業高校

職業高校は2~3年制で、主に就職希望者を対象に、職業資格の取得を目的とする教育が行われる。2年制の課程修了時に受ける国家試験に合格すれば、「職業適格証(CAP)」、「職業教育免状(BEP)」を取得できる。CAPかBEPかは職業によって異なるが、料理や工芸品など、職人業に関するものはCAPが多く、経理や秘書などの事務職はBEPが多い。職業バカロレアを取得した者は、更に進学することも可能。

フランスの食文化を支えるCAP保持者たち
高級チョコレート職人のジャンポール・エヴァンや、イヴ・チュリエスはCAP保持者であり、両者とも国家最優秀職人章(MOF)を受章し、世界的に活躍している。

高等教育

フランスの高等教育は主に大学とグランゼコールで行われる。大学では広範囲な知識を、グランゼコールではより専門的な知識を養う。

大学 Université

バカロレア取得者は、基本的にどこの大学へも入学することができる。ただし入学定員数が限られているため、必ずしも希望の大学で学べるとは限らない。学士を得るためには3年間、修士は5年間の教育課程、博士は8年間の研究過程が必要だ。国立大学では登録料以外の授業料は無料となっている。

グランゼコール Grande École

エリート養成機関と言われるグランゼコールは、国を引率するための管理職、幹部職を確保するため、フランス革命以降創設された。

ここに入学するためには高校卒業後、更に2年間の準備学級(Classes préparatoires)を経て、コンクールと呼ばれる試験に合格せねばならない。しかしこの準備学級に入るためにも、バカロレアの成績による書類審査や、入学試験などの選考がある場合があり、狭き門となっている。グランゼコール卒業後はエリートとして社会的地位の高い職に就く可能性が高い。

グランゼコールには、エンジニア学校、高等師範学校、商業学校、獣医学校があり、代表的なものではエコール・ポリテクニック、国立高等鉱業学校、国立行政学院(ENA)、HEC経営大学院(HEC)などがある。

政治家はグランゼコール出身者の集まり
国家を引率するためのエリートを育てる目的通り、歴代の大統領などはグランゼコール出身者ばかり。
ENA出身者:ジャック・シラク前大統領、ヴァレリー・ジスカールデスタン元大統領、リオネル・ジョスパン元首相、アラン・ジュペ元首相、フランソワ・オランド前社会党第一書記、セゴレーヌ・ロワイヤル社会党員

教育と費用

教育と費用フランスの教育システムは日本に比べ、圧倒的に教育費の自己負担が少ない。文部科学省の「図表でみる教育 OECDインディケータ(2010年版)」によると、全教育段階において、教育機関への公財政支出の対GDP比は、日本が4.9%、フランスが5.9%であるが、そのうち日本での私費負担は1.6%にも及び、フランスの0.4%と比べるとはるかに大きい。教育機関に対する公財政支出の対GDP比の順位は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位にある。

例えば、フランスの就学前教育は義務教育でないにもかかわらず、公立の場合には無料で通うことができる。一方、日本の公費支出の対GDP比は、OECD諸国の34カ国中29位であり、就学前教育に対する公費支出は非常に低い状況にある(フランスは3位)。

2009年のフランス国民教育省の統計によると、2歳児が就学前教育を受ける割合は11.6%、3~5歳児においてはほぼ全員が受けている。日本の場合、文部科学省の統計によると、3、4歳児が幼稚園に通う率は84.4%であり、OECD加盟国の平均値71.2%は超えている。

しかし、そんなフランスでも近年、国の財政難により教育環境にも問題が生じ始めている。その1つが教員の削減だ。Démosphèreによれば、教師の2人のうち1人のポストを削減しようとしており、4年前からこれまでに5万2000人分のポストが削減された。現在、小学校1クラス当たりの人数は、19.9人(日本は18.8人)であるが、これ以上人数が増えると教員1人当たりの負担が増え、教育の質が下がることが懸念されている。そのため裕福な家庭では、人数制限のある私立校へ通わせる傾向があり、生活格差による教育の違いが懸念されている。

同様の生活格差問題は、グランゼコールにも見られる。グランゼコールで学ぶには、入学準備学級の2年間から費用が掛かり、私立のグランゼコールの場合、授業料だけで年間4500~7000ユーロ掛かる場合も。これらの費用を個人でまかなうのはたやすくない。

 

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