個性的な絵に鮮やかな彩色。ファンタジックなヒーロー、いたずらの機会を狙う子供、ユーモラスな動物からセクシーなお姉さんまで、書店のBDコーナーで迎えてくれるのは無限かつ夢幻な想像世界。念入りに書き込まれた1コマ1コマは目に楽しく、練られた物語やBDならではの言い回し、大げさなジョークは読んでいてうれしい。魅力あふれるBD世界への入り口を開いてみよう! (Texte par Masato ENYA)

■ モデル:HALCALI
■ 写真家:Hiroshi Manaka(OTENTO KK)
■ ニュー・アルバム「サイボーグ俺達」2007年7月18日発売
■ プロフィール:東京都出身のHALCA(ハルカ=19)とYUCALI(ユカリ=19)の2人組ガールズ・ヒップホップ・ユニット。O.T.F.の全面プロデュースのもとデビュー。2005年12月にEpic Recordsに移籍。2007年7月18日には移籍後5枚のシングルを含むフルアルバム「サイボーグ俺達」をリリース予定。7月6~8日パリで行われる「JAPAN EXPO '07」に参加予定。
第9番目の芸術と言われるフランス・ベルギーを中心としたヨーロッパのマンガ、Bande dessinée(略してBD)。大判でフルカラー、ページ数は日本のマンガ単行本に比べると少ない(50~60ページくらい)「Album(アルボム)」という体裁が主流だ。ポンピドゥーセンターで「タンタン」の作者エルジェの展覧会が行われたり、過去にはフランス国立図書でBD展が行われたりと、1つの文化としてしっかり根付いている。本屋さんに行ってみれば、BDコーナーには立ち読み、座り読みの客が熱心にページを繰っていて、娯楽としてのその人気も伺える。
ヨーロッパにおけるBDの定着は一朝一夕のものではない。起源をどこまでさかのぼるかは見方によるけれども、1833年にスイスで発行されたRodolpheTöpfferの「Histoire de M.Jabot」までさかのぼってみるだけでも、実に170年以上の歴史がある。有名な「Tintin」の冒険物語が子供向けの新聞Le Petit Vingtièmeで誕生したのも、1929年と80年近くも前のこと。ちなみにフランス初のBD雑誌「Journal de Mickey」が発行されたのは1934年。そんな長い歴史を持つBDは数え切れないほどの名作を抱えている。「タンタン」に負けず劣らず人気の冒険もの「Spirou」、2人のガリア人が大暴れするコメディ「Astérix」やユーモア溢れる早撃ちカウボーイの「Lucky Luke」。他にもカーレースの「Michel Vaillant」やSF的なスパイもの「Blake et Mortimer」。90年代の人気作品を挙げるなら、ヒロイックファンタジーの 「Lanfeust de Troy」や若き大富豪の主人公が繰り広げるスピード感あるサスペンスLargo Winch。ヨーロッパ文化の一端として読むもよし、娯楽として楽しむもよし、アートと称えるもよし。それぞれの楽しみ方に耐えうるだけの厚い歴史が、BDにはあるのだから。
これからBDを読んでみようという人のために、
オススメ作品をちょっと紹介!
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Corto Maltese船乗りコルト・マルテスの冒険物語。Hugo Pratt によってハードボイルドに描かれたその主人公は、今ではBDの世界には欠かせないカリスマ的存在だ。アフリカやアメリカ、アルゼンチンやブラジルで過ごした作者の経験が生かされ、異国的な雰囲気と渋いヒーロードラマの融合によって作り出されている名作。ハードカバーのカラー版や、大判のモノクロ作品といくつかのバージョンが出版されている。手始めにという人には5~6ユーロくらいの廉価版も出ている。ぜひ読んでおきたい1冊だ。 「Corto Maltese, Tome12 La lagune des beaux songes」(廉価版) 作 Hugo Pratt, édition Casterman 4.95 € |
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XIII (Treize)ある日、海岸にひとりの男が打ち上げられる。彼は一切の記憶を失くしている。彼の身元を明らかにする手がかりはただひとつ、肩に彫られた「XIII」のタトゥーだけ。彼には殺人者の容疑がかかって、命も狙われている。物語は次々と新たな展開をみせ、彼と読者の知らないところであらゆる謎が交錯する、本格的サスペンス作品。シナリオは、今を代表するBD作家の1人で、「Largo Winch」や人気ファンタジー作品「Thorgal」も 手掛けているJean Van Hamme。じっくり物語に浸りながら、ゆっくり楽しみたい1冊。 「XIII」Tome17 L'or de Maximilien 作 Jean Van Hamme, 画 William Vance, édition Dargaud 9.80 € |
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Gaston LagaffeLa Gaffe(へま)を名前にもつ「Gaston Lagaffe」。 丈の短いボロボロのタートルネックにスニーカーがトレードマークの彼が、いたずらや失敗で職場をかき乱す模様を、ユーモラスに描いた作品だ。めちゃくちゃなことばかりでも、なぜか憎めない楽しいBD。職場となっている編集部では、別のBDの人気キャラクターSpirouが編集長を務めていたり、入れ子形式になっているところも読者には嬉しい。セリフも多くない上に簡単なフランス語で、しかも動きがあるから読みやすい。単純で素朴なユーモアが 味わえる1冊。 「Gaston Lagaffe, Tome5」 作 Franquin, 協力 Jidéhem édition Dupuis 8.50 € |
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Les formidables aventures de lapinotシンプルだけど味のあるデッサン。セリフやストーリー運びに光るユーモア。主人公のウサギLapinotをはじめ、ネコのRichardやネズミのNadiaと魅力たっぷりのキャラクターたち。作者のLewis Trondheimの手によってLapinotが誕生したのは1992年。その後1995年からDargaud社によってシリーズ化され、2005年には世界規模の漫画フェスティバル、アングレームBDフェスティバルでシリーズ賞を受賞している作品。シリーズとはいえ、1冊で1話が完結するのでどこからでも楽しめる。気軽に手にとって欲しい1冊。 「Les formidables aventures de Lapinot 」 Tome9 L'accélérateur Atomique Lewis Trondheim, édition Dargaud 9.80 € |
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Romain教室が舞台になるユーモア BDの面白さを語ってくれたロマン君 BDは弟も一緒に読んでるけど、僕が好きなのはMidam の「Kid Paddle」かな。テレビゲームや発明品がたくさん出てくる話で、それがとっても面白いんだ。Zepの 「Titeuf」もバカなことばっかりする主人公が、すごく楽しい。学校が舞台になってて、例えば20点満点を取ったりするっていう絶対にできっこない夢をみたり、いつも隣の子の答えをカンニングしたりするダメ生徒の「L'élève Ducobu」(画Godi・作 Zidrou)も気に入ってるよ。 「L'élève Ducobu Tome10 Miss 10 sur 10」 édition Le Lombard, 8.70 € |
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François日本のマンガ「聖闘士星矢」 の大ファンという フランソワさん 「Le Petit Spirou」(画Janry・作Tome)はキャラクターが可愛いらしいこともあるけど、子供向けにしては現実的で、それだけに大きくなっても楽しめる作品だと思うよ。それからやっぱり欠かせないのはHergéの「Tintin」。もう神話的と言っていいヒーローじゃないかな。あとはMaësterの「Soeur Marie-Thérèse des Batignolles」かな。不敬虔な部分がブラックユーモアになっていて、そこが面白いんだ。 「Tintin, Tome10 L'étoile mystérieuse」 (1942年の複製版) 作 Hergé, édition Casterman 17.95 € |
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YvanフランスのBDも日本の マンガにも詳しいイヴァンさん 「Titeuf」で有名なZepの作品は好きだな。表現がすごく豊かだし、ユーモアとブラックユーモアの両面が楽しめるんだ。Gotlibの作品もお勧め。「Rubrique à brac」の作者で構図がすごく斬新なんだ。ストーリーも大人しか分からない部分と、子供だからこそ楽しめる部分があるしね。あとはPeyoの「Schtroumpfs」。たくさんいるキャラクターたちがそれぞれ魅力的で可愛いい。この作品を読んだら、自分の「Schtroumpf」を作ってBDを描きたくなるんだ。 「Les Schtroumpfs 」Tome22, Le Schtroumpf reporter」 édition Le Lombard, 8.70 € |
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LaureneBDは子どもの頃の思い出、今は深みのある作品が好みのロレーヌさん 子供の頃に読んだのはUderzo の「Astérix」やRoba の 「Boule et Bill」、それに 「Tintin」ね。両親と一緒に 読んだわ。今はEnki Bilalの作品やアメリカ人のScott Adamsの「Dilbert」とかを読むかな。「Dilbert」は職場や企業を題材にしてるんだけど、哲学的で、シニックな部分が面白いのよ。Bilalは政治的な部分や芸術的な色使いが良いわ。登場人物も魅力的だし、セックスやドラッグ、バイオレンスの世界を描いてるんだけど、そこに愛も描かれているのよ。 「Monstre, Deuxième Acte, 32 Décembre」(4部作) 作 Enki Bilal, édition Casterman 13.95 € |
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BDが文化として浸透しているフランスで、マンガやアニメも日本を知る入り口になっている。そんな日本のマンガやアニメを中心テーマにしたフェスティバル、それがジャパン・エクスポだ。今年で8回目を迎えるこのイベント。その規模は拡大の一途をたどり、昨年の来場者数は3日間でなんと5万6000人!今年は7万5000人の来場者が予想されるという。フランスで熱く受け入れられている日本を体験しに行ってみよう!
―ジャパン・エクスポとはどういった イベントですか?
約60,000㎡という広い会場で、マンガやアニメを中心とした日本の文化を紹介するフェスティバルです。フランス語に翻訳された日本のマンガやDVD、それにゲームやフィギュア、同人誌、服などの店舗のブースと、カラオケやクイズ大会、映画の上映会やテレビゲームのコーナー、日本からのゲストのサイン会や講演会、コンサートなどのイベントが行われるブースがあって、基本的にイベントはすべて無料で楽しめます。昨年は企業、同人を合わせて約250の出展がありました。特に物が買えるブースとコスプレのイベントは人気がありますね。
―日本人が楽しめるとしたら?
お客様の9割はフランス人ですが、日本人でもアニメやマンガが好きなら楽しめます。それにフランスで日本のどういうものが紹介されているのか、どういったものが好まれているのかを知ることも出来ます。しかも、アニメやマンガに限らず、日本文化全般に関心が高い人たちが多いので、なかには書道や折り紙、剣道といった日本の文化を紹介している人たちもいます。これはフランス人のサークルが自分たちの活動をパフォーマンスとして発表する場になっているためです。彼らが紹 介する日本の文化を見るのも面白い機会だと思います。
―日本好き、アニメ・マンガ好きの人 がフランスでは最近増えていますか?
最近というよりは、ここ10年くらいファンは増え続けてきました。ジャパン・エクスポも、最初は日本好きのファンが集まっていた小さなイベントから始まったのですが、最近はドイツやスイスといった外国からの参加者もいるくらいです。
―それぞれの年で特徴というのはありますか? 今年の見所は?
去年は日本で「東京ガールズコレクション」として知られているファッションショーがフランス会場で行われました。今年はラフォーレ原宿さん主催で、13ブランドが参加するゴシックロリータをテーマにしたファッションショーが行われます。ファッションショーは特に女性に人気がありますね。ショーに参加しているいくつかのブランドは販売ブースでショーの服を販売したりします。他にも日本からゲストが来たり、コンサートなどが行われたりするので、ぜひ時間があったら遊びに来てみてください。
日本のマンガやアニメ、文化を紹介する月刊誌Japan Vibesのジョン編集長
ジャパン・エクスポは昔から知っているけど、小さなファンの集まりだったこのイベントは、今では日本に関するイベントの中では最も大きな規模のものになった。企業やメディア、日本大使館からも認められるくらいまでにね。これからも規模は大きくなるんじゃないかな。アニメやマンガだけじゃなくて、文化を含めていろんな意味で日本をすべて見せようという意図を持っていることがこのイベントの成功の背景にあるように思うよ。ポップ・カルチャーも含めて、日本の知られていない部分がこのイベントによって紹介される。僕も「ファン」としても「プロ」 としても欠かすことのできない重要で、必要なイベントだと思ってる。
商業的にも、たくさんの出版社やDVDの会社などが出店したがっているし、ファンも買い物を楽しみにしている。人気マンガの舞台や、主人公の住んでいる部屋を再現したブースが作られたりしているのでアニメに対するビジネスの上でも、かなり大きなイベントだろうね。
でも大事なのは、このイベントがファンと一緒に育ってきたこと。日本好きのフランス人の気持ちを映す鏡と言ってもいいかもしれない。昔は、日本のアニメは吹き替えだったり、登場人物の名前が変えてあったりして、あまり日本のアニメは日本のものとして認識されていなかった。それがマンガの出版によって、次第に日本のものであるという考えが根付いてきて、それと平行して寿司の流行や日本映画がフランスで上映される機会が増えたことも助け、日本に対する関心も高まっていった。だから、日本をもっと紹介したいという人、日本をもっと知りたいという人も増えてくる。そうした中で、マンガやアニメを紹介することが中心だったジャパン・エクスポの文化のコーナーも回を重ねるごとに規模が大きくなっていった。ジャパン・エクスポの企画者の大半は、もともとが日本ファン。それが必要なんだ。ビジネスで考えていたらファンを喜ばせることが出来ない。昔からやっていて、日本を知ってるからこそ出来るイベントであり、それは決して一夜漬けでは真似が出来ない大事な部分だと思うよ。
率直なコメントを紹介!
ジャパン・エクスポはヨーロッパで日本文化を紹介するイベントの中でも最も大きなもののひとつね。私は2002年に知ったわ。デファンスのCNIT (Centre des Nouvelles Industries et Technologies)でやっていたときね。そこで物語から抜け出てきたような日本のアーティストのことを知ったり、お茶会や結婚式といった文化的なセレモニーやコスプレショーに参加出来てすごく楽しかったわ。ジャパン・エクスポには特別な雰囲気があるわね。すごく心地の良い、全く別の世界といった雰囲気。
会場はまるでプチ・アキハバラみたいよ。日本からの楽しいアイテムがたくさんあるし、新作のゲームソフトやゲーム機が用意されているの。ダンス・ダンス・レヴォリューションやパラパラ・パラダイスみたいなゲームもそこでプレイ出来たのよ。
2002年からは観客として、それから舞台に立つ側として毎年参加しているわ。コスプレコンクールやカラオケに出ているの。2007年のジャパン・エクスポも待ち遠しいわ。だって毎年新しい企画があるんだもの。例えば去年は、東京ファッションのショーに土屋アンナのコンサート、日本のプロレスのデモンストレーションがあったのよ。それにジャパン・エクスポは、友達と一緒に楽しんだり、新しい友達が増えたりする機会にもなっているわ。
Japan Expo Parc d'Exposition Paris Nord Villepinte
2007年7月6日(金)~8日(日) 11:00-19:00
*前売り券の場合は10:00から入場可
Parc d'Exposition RER B線 駅を出てすぐ
(パリ中心地から約20分)
入場料:1日券 12€ / 3日券 28€
www.japan-expo.com





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