街路樹もすっかり秋色になり風も冷たくなると、ふと思う「温泉に入りたいなぁ」。けれど、アパートにはバスタブがない。あったとしてもたっぷり張るにはお湯が足りないなど、フランスではなかなか日本のお風呂のようにはいかない……。
だったら発想を変えて、こちらでしか体験出来ないハマムやスパに行ってみては?ハマムでユーカリの香りのスチームを浴びれば、心身共にリフレッシュ出来ること間違いなし。また地方へ足を伸ばせば、フランスが誇るミネラルウォーターの源泉を使ったスパもある。冬のヴァカンスはエステ・スパ滞在で、つるりん美肌を手に入れよう。
(Texte et photos par Asako TANABE)
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日本ではなじみの薄いハマムは中東アラブの国、トルコやモロッコなどが本場。あちらではよく見かける庶民のリラックスの場で、言ってみれば日本の銭湯のような存在だ。アラブ系人口の少なくないパリでもハマムは毎日営業している。古代ローマ帝国の中心地であったパリ、その後ヨーロッパをリードしたビザンチン帝国。ハマムに入ってそんな歴史の流れを感じられるのもパリならでは。そもそも中東でもローマ人の残した大衆浴場の跡地をイスラムの人々がうまく再利用して広がったのがハマムなのだ。
パリのハマムは、エステとコースになっているところから、蒸し風呂のみというシンプルなものまでさまざま。初めて行くのはちょっと勇気がいる……という方のために一般的なハマムの流れを説明しよう。
受付でコースを選び、まずもらう(または買う)のは、 サボン・ノワールといわれるジェルのようなペースト状の石鹸。これは体を洗うためというよりは、あかすりの前に皮膚を柔らかくするためのもの。ハマムのメインはユーカリのスーッとする香りが充満するスチームサウナのような蒸し風呂。本来これをトルコ風の風呂というのだ。このスチーム風呂に入る前にサボン・ノワールを体中に塗り、じっくり汗をかく。さらりとした汗が出てきて気持ちが良い。
フランスのハマム内では通常水着を着用する。女性はビキニだと便利だ。男女混合の時は水着を着なくてはならないところが多いが、女性専用のところではトップレスでのんびりリラックスする常連さんの姿も。温泉に慣れている日本人には意外に抵抗はないかもしれない。まずはシャワーを浴び、体を洗ってさっぱり。それから忘れずにサボン・ノワールを塗ってスチーム風呂へ入ったり、サウナに入ったり。内側から温めてある石(タイル張り)の台の上に寝転がって、じんわり温まるのもいい。
体も温まって皮膚もふやけてきたかな~というところであかすりの順番が回ってくる。これが驚くほどのアカが出る。韓国風のあかすりと同様、あかすりミトンでおばちゃんがゴシゴシと「そんなところまで?」と思うほど全身くまなく磨いてくれる。ふやけた皮膚は擦っても痛くないので、安心を。終了後、肌を触ると、つるりとむいたゆで卵の感触。ひと皮むけたとはこのこと?
この後またスチームを浴びるもよし、リラックスルームで昼寝するもよし。ハマムによってはオプションでアーモンドオイルマッサージやラスールの全身泥パック、エステや髪のパックなどを加えることが出来、それらはあかすりの前後になることが多い。マッサージをしてもらってスッキリした後は、熱くて甘いミントティーでホッと一息。もちろんイスラム教徒でない私たち日本人は、ハマムを出た後、近くのカフェで生ビール、なんてことも出来る。
混み具合にもよるけれど、ハマムには最低3、4時間、できれば半日はかけたい。時間に拘束されずに「もうこれ以上ダラダラできない!」という気分にさせてくれる。そしてまた疲れとアカがたまった頃にもう一度訪れたいと思うだろう。フランスに来て初めてクスクスを食べた、タジンを知った、極甘のミントティーにはまった……という人は、アラビアン・カルチャー上級編として、ぜひハマムも体験してみて欲しい。

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フランスの地名を見ていると、水に関係する単語を使った地名が多い事に気が付く。レ・バン(風呂)、レ・ピュイ(井戸)、ラ・フォンテーヌ(噴水)、レ・テルム(温泉)など、温泉の湧く地域がその良い例だ。フランスでは温泉はあくまでリラックス出来る保養地。温泉治療としての場所で、「湯治」という言葉がぴったりあてはまるようなところが多い。ミネラルたっぷりの土壌で自然濾過(しぜんろか)された天然水をたっぷり使ったスパ施設完備のホテルでは、滞在型スパ体験が出来るようになっている。飲んで美味しいフランスの水が体に悪いわけがない。次のバカンスには温泉へ!
| ● 天然水ヴィッテルのテルム |
おなじみ赤いキャップのヴィッテル。源泉のあるヴィッテル村はフランス東部のナンシーからローカル線で約1時間。150年の歴史を誇るテルムは、650ヘクタールの森林内にある。スパ施設では源泉水プールでのエクササイズ、個室エステなど、個人のニーズに合わせてさまざまなプランがあり、インターネットで予約可能。体調改善のための6~21日間の比較的長い宿泊プランもある。保険が利く伝統湯治コースは、リウマチ、骨関節後遺症、泌尿器科系、消化器系の疾患などの治療に対応している。美容痩身コースではバリ風フェイシャル・ケア、ゴマージュが体験出来る。もちろんヴィッテルとエパールの水を飲む治療もある。さらに敷地内ではゴルフ、テニスも楽しめ、馬場、カジノも完備。2007年の営業は12月9日まで。
| Les Thermes de Vittel BP 106 - 88 804 Vittel Cedex TEL: 03 29 08 76 54 FAX: 03 29 08 76 85 このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください www.thermes-vittel.com |
| ● 美容も文化も欲張りできるスパ |

わざわざ温泉のためだけに田舎に行くのは……という人には、エクサンプロヴァンスがおすすめ。印象派の画家セザンヌのゆかりの地を巡るツアー(観光局で要予約)や、ハイキング、ワイナリー巡りなど文化面も充実。かつてローマ帝国時代にもスパがあったという場所には近代的スパ施設「Thermes Sextius」がある。源泉は36度の温泉で、かつてナポレオンの妹ポーリーヌも通ったとか。ここでも宿泊とスパのプランを自由自在に組み合わすことが出来る。基礎化粧品ブランド「Nuxe」との提携で行う美容ケアもおすすめ。今年からは人気のアーユルヴェーダ*も取り入れられ、他にも催眠療法で行うダイエット法や、温めた火山石を使った「フジ・テラピー」などオリジナリティ高いオプションもあるので注目。少しだけスパ体験してみたいという人には秋、冬の日曜日にブランチ・スパがある。
*インドの伝統療法がベースの美容セラピー。一般的にハーブやスパイス混合のオイルを使用する。
| Thermes Sextius 55, av des Thermes, CS 80889, 13627 Aix en Provence Cedex 1 TEL: 04 42 23 81 82 FAX: 04 42 95 11 33 このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください www.thermes-sextius.com |
| ● スキー帰りに温泉はいかが? |

ちょっと気が早いけれどスキー旅行と合わせて訪れるならアルプス山脈の麓、レマン湖畔のトノン・レ・バンはいかが?ハイドロ・セラピーとサウナ、ハマム完備のスポーツクラブが利用出来、ウェルカムシャンパン付きのプランが1泊90ユーロからと、お手軽にテルム体験が出来る。カルシウムとマグネシウムが豊富で利尿効果の高いトノンの天然水を飲むことでリウマチなどの症状を改善する21日間の湯治プランは保険が利く。運動不足の方にはアクアジムでエクササイズを。フランス国内11カ所にテルムを持つ「Valvital」グループが運営している。予約は観光局まで。エヴィアン・レ・バンもすぐ近くなので立ち寄ってみては。
| Thermes de Thonon-Les-Bains Bd de la Corniche 74200 Thonon-Les-Bains TEL: 04 50 26 17 22 FAX: 04 50 70 15 55 このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください www.thononlesbains.com |
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地方に行くにはお金も時間も余裕がない。だけど連日の仕事のストレスをどうにかして発散させたい。そんな時は、パリ市内のハマムがおすすめ!値段もお手頃なものから、全身のフルケアをしてくれる高級ハマムまでいろいろ。サロン・ド・テやレストラン付きの、ハマムもあるので、一日のんびりバカンス気分で、日頃の疲れを存分に癒そう。
| ● 贅沢するなら迷わずこのハマム |
上品なサロンが迎えてくれるマレ地区の高級ハマムは月~水が女性専用、木、金は男性専用、水曜の夜と週末は男女共用。一番ベーシックなハマム入場料は35ユーロ。マッサージ、あかすり付きだと70ユーロ、食事付きなら90ユーロ、一番贅沢な330ユーロのコースまでさまざまな種類が用意されている。このハマムは個室で受けられるエステのラインアップが豊富で、ヘアカットも出来、美容に関しては至れり尽くせり。全て予約が必要。常連さんにお得な回数券もある。サロン・ド・テ、レストランもあるのでランチ、ディナーも可能。
| Les Bains du Marais 31-33, rue des Blancs Manteaux 75004 Paris M: Saint Paul ① TEL: 01 44 61 02 62 FAX: 01 44 61 02 29 www.lesbainsdumarais.com |
| ● 普段着のパリジェンヌが通う庶民派 |

ハマム・メディナ・センターはカジュアルな雰囲気でハマムが初めての方でもリラックス出来る。土曜日以外は女性専用のハマム。土曜のみ男女共同のため必ず水着を持参のこと。コースはマッサージなしが39ユーロ、アーモンド・オイルのマッサージ付きで55ユーロ、さらに全身泥パック付きが65ユーロ。他にもアンチ・エイジング、乾燥肌、敏感肌に合わせたフェイシャルや、脱毛、痩身マッサージ、海藻パックなどのさまざまなオプションが用意されている。ハマムの後のミントティーとオリエンタル・スィーツも楽しみのひとつ。ランチの時間にはクスクスやサラダなどの軽食も食べられる。
| Hammam Medina Center 43-45, rue Petit 75019 Paris M: Ourcq ⑤ TEL: 01 42 02 31 05 FAX: 01 42 02 31 10 www.hammam-medina.com |
| ● 雰囲気重視ならモスケヘ |
アラビアンな雰囲気を満喫するなら、モスケ・ド・パリのハマムへ。カフェの入り口から中へ入るとハマムへの入り口がある。月、水~土が女性専用、火、日が男性専用なのでお間違いなく。 火、金は午後の営業のみ。入場料は15 ユーロで手頃な値段だ。入場料込みのコースはマッサージの長さによって、38ユーロ(10分)、48ユーロ(20分)、58ユーロ(30分)がある。脱毛のオプションを付けることも可能。コースなら終わった後にはカフェでミント・ティーがサービスされるし、クスクス又はタジンの食事が含まれるコースもある。頻繁に通うならハマムの回数券(10回分)がおすすめ。
| Le Hammam de la Mosquée de Paris 39, rue Geoffroy Saint-Hilairé 75005 Paris M: Censier Daubenton ⑦ TEL: 01 43 31 38 20 FAX: 01 43 31 53 30 www.la-mosquee.com |
| ● 日本語OKなサロンでハマム体験 |

2区にあるルネッソン・スパは日本語対応をしてくれるエステサロン。ゴマージュ、マッサージとセットになったハマム2時間コースは99ユーロ。フルーツや野菜を使った全身マッサージの後、ジュースで体の内側からキレイになる「フレッシュタッチ」、フェイシャル、脱毛、ネイルなど、さまざまなプログラムを体験出来るので、自分に合ったコースを選びたい。迷ったら担当のケイコさんに相談しよう。女性だけでなく、男性向けのプランも充実している。
| Renaissens Spa 16, rue St. Marc 75002 Paris M: Bourse ③ / Richelieu Drouot ⑧⑨ TEL: 01 42 36 03 30 www.renaissens-spa.com |
| ● チョコレート・ケアで美しくなる |
完全予約制の「India & Spa」ではハマムだけでなく、インドのアーユルヴェーダ、バリ式マッサージ、モーリシャスのフラワーバスなど、パリに居ながらにして世界の マッサージや美容ケアが受けられる。ハマムのオプションの全身パックはラスールの泥の他にシア・バター(beurre de karité)、ハチミツ、パパイヤ、ショウガ、ココナッツ、さらにはチョコレートを使ったショコラ・バスやフェイシャル、マッサージがある。甘い気分でリラックスした後は本物のショコラとお茶を楽しんで。お疲れ気味なら、2人のエステティシャンが付く4本の手によるマッサージがおすすめ。
| India & Spa 76, rue Charlot 75003 Paris M: République ③⑤⑧⑨⑪ TEL: 01 42 77 82 10 www.india-spa.com |









