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法政ミーティング in Paris
lun 27 juin 2016

フォトコンテスト2015 受賞者発表

英・独・仏

カメラ

「あなたの夏を教えてください!」
――毎年恒例となった仏・英・独、3国の
ニュースダイジェスト主催によるフォトコンテスト。
今年はこんなお願いに対してヨーロッパを始め、
世界各国や日本で撮影された様々な「夏」の光景が
ダイジェストに寄せられました。
社内で行う第一次審査は、日照時間が日に日に短くなるこの時期に、
つかの間夏を振り返ることができる私たちの楽しみとなっています。
さて、今年はどんな作品が受賞したのでしょうか。

マチュア部門大賞

「夏。」
カステルノー キミコさんフランス

「夏。」カステルノー キミコさん

日本の夏の名物、岩牡蠣をほおばる孫に、おじいちゃんがレモンを搾ってくれています。孫は今にも岩牡蠣を食べちゃいそうですが、おじいちゃんはあきらめず、顔の前で最後の瞬間までレモンを搾ります。レモンをかけることで、もっとおいしく岩牡蠣を食べさせてあげたいと思う、おじいちゃんの愛情。孫はそのおじいちゃんのレモンの雫を待っています。おじいちゃんのすることを信じている、孫の信頼です。バックには日本の夏の色、まだ青々とした稲穂が向こうの山まで続いています。

審査員コメントマチュア部門の大賞作品を選ぶのには多少時間がかかりましたが、この作品は最初から有力候補の一つでした。牡蠣を食べる瞬間の少女の表情を絶妙なタイミングで捉えた素晴らしい作品だと思います。構図も良いですね。おじいさんが少女にどうやって牡蠣を食べればよいのか、教えてあげているかのように感じられます。ひょっとしたら彼女にとって、牡蠣を食べるのは初めての体験だったのかもしれませんね。日本ならではの光景も実に美しいです。
by Canon Europe

キッズ部門大賞

「夕日のサンドイッチ」
ヘインズ 英美理 さん(10歳)英国 

「夕日のサンドイッチ」ヘインズ 英美理 さん(10歳)

賞をもらったことを聞いてとても驚いていますが、本当にうれしいです。この写真を撮った場所は、フランスに行くフェリーの中です。夕日がとてもきれいだったので、お母さんのカメラを借りて何枚も撮りました。海と雲にはさまれた赤い夕日と、遠くに見える小さな船が気に入っています。普段は、コンパクト・デジカメで動物や景色の写真などを撮ります。これからは、かわいい草花や家族の写真も撮りたいです。

審査員コメント私たちは審査を行う際、候補作品をすべて机の上に並べて見ていくのですが、実はこの作品は私が真っ先に手に取ったものです。この作品は何より構図が優れていますね。写真を上下左右に3等分してその線上に被写体の主要素を配置する三分割法に則って、下側3分の1の部分に真っ直ぐ伸びる水平線と、その上に 帯状に広がる夕焼け、そして上側3分の1の辺りにも直線が伸びている。作品が 3つのパートに分けられていて、その明確な構図がとにかく際立っていました。by Canon Europe

マチュア部門特別賞

「実感、夏の終り。」
留岡 忠雅 さんイギリス 

「実感、夏の終り。」留岡忠雅さん

8月の最終日にウェールズで撮影した一枚です。あいにくの曇り空で、海岸には人も少なく、時折吹く肌寒い風からも短い英国の夏の終わりを実感しました。しかし、地元の方がたこ揚げや馬車の練習をするなど普段見られない光景があり、夢中で撮影していました。過ぎてゆく夏を馬車で表現してみましたがどうでしょうか? 最後にカメラ購入に協力してくれた妻に感謝しつつ、受賞を機会に「新しいカメラ買いなよ」と言ってくれるのを密かに期待しています(笑)。

審査員コメントこの作品は非常に清潔感のあるクリーンさが秀でていると思います。皆さんもこの作品がファイン・アート作品のように誰かの家の壁に飾られているのが想像できるのでは ないでしょうか。ほかの作品と比べると、繊細さが突出しているように感じられます。写真の下側3分の1の辺りに水平線が置かれ、前景には人々と馬の姿。見ていて心が休まる作品ですよね。写真の大半を占める青色も実に繊細で穏やかな色味なのが良いと思います。by Canon Europe

「ビッグ・ウェイブ」
スミス 美智子 さんイギリス

「ビッグ・ウェイブ」スミス美智子さん

8月の最後の週末に、ノース・ヨークシャーのウィットビーにあるビーチに家族で遊びに行きました。サーフボードで遊ぶ子供たちの背後を観光客でいっぱいのボートが通り過ぎようとしているのを見て「これはいい絵になる」と思い、夢中でカメラのシャッターを切りました。迫ってくる波に乗ろうと、サーフボードを構える子供たちのわくわくした感じが伝わってくる、臨場感のある写真が撮れたと思い、大変気に入っています。

審査員コメント雲が程良く漂う青空を背に、海の上を行く船と、海からの波を待ち続ける少年たち。2つの独立したテーマが、またとない絶妙なタイミングで溶け合いました。迫りくる白い波しぶきによって少年たちの姿が海に埋もれることなく、くっきりと浮かび上がり、存在感が際立っています。少年たちの中心を真ん中からずらしたことにより、画面に奥行きが生まれ、船が進む海原の雄大さが上手く表現されています。 by 宝酒造株式会社

「カラフル」
中澤 しおり さんドイツ

「カラフル」中澤しおりさん

まさか私が入賞できるとは考えてもいなかったので、まずはとても驚きました。この写真は、夏に南フランスを旅行したときに撮影した中の一枚です。古めかしさを感じるアルルの街を散策中、突然現れた鮮やかな色合いに目を奪われ、思わずシャッターを切りました。そして、夏らしい真っ青な空が 傘の隙間からのぞいている様子が、今回のコンテストのテーマにちょうど良いかもしれないと思い、選んだ次第です。入賞することができ、今はうれしさでいっぱいです。本当にありがとうございました。

審査員コメント中澤さん、入賞おめでとうございます。とっても素敵なお写真を応募いただき、ありがとうございます。鮮やかな青い空に広がる、赤や白、黄や緑の色彩豊かな傘・傘・傘!雨が全く降りそうにない青空を背景に、太陽の光を浴びる傘 の大群が配置されている、何とも不思議なシチュエーションなのに、なぜかしっくりなじんで見える魅力的な光景です。この写真を目にすると、気持ちがぱっと明るくなり、同時に夏の暑い日差しが一瞬にして思い出されます。 by Steigenberger Frankfurter Hof THE SPA

「ジャ~ンプ!」
石井 恵 さんフランス 

「ジャ~ンプ!」石井恵 さん

べルサイユでサイクリングを楽しんでいると、グラン・カナルの端から宮殿がとても小さく見えました。そのとき「ここまで来られたぁ」とはしゃいでいた娘を撮りました。景色を見るためにと首 に下げていた双眼鏡も、娘がジャンプするのと同時に、一緒に飛び上がっています。双眼鏡が宙に浮かんだ瞬間が、まるで遠くを眺めているようにも、双眼鏡が娘の顔を写させまいと邪魔をしているようにも見えて……。ユーモアも感じさせてくれる、夏の思い出の一枚となりました。

審査員コメント見た瞬間からこの写真が一番印象に残りました。何よりもまず、躍動感がありますね。どこまでも広がっていきそうな青い空、それを映して伸びてゆく水、木々や芝生の緑、その中心で思い切 り手足を伸ばしてジャンプしている女の子と、ピ ンクの洋服や靴……。全体の色合いもバランス良く取れています。双眼鏡の青い色もマッチしていますね。女の子の視線と少しずれたところにある双眼鏡が、この子のどんな未来を見ているのか、その行方が気になり、見守りたくなるような写真です。 by GUILOGUILO

キッズ部門入賞

「霧に浮かぶホテル」
渡邉 純佳 さん(11歳)イギリス 

「霧に浮かぶホテル」渡邉純佳さん

写真は8月に家族でスイスを旅行したときに撮影しました。朝、起きてホテルの窓からふと外を見ると、湖の上に霧が立ち、ホテルが浮かんでいるように見えました。山々を背景にしたその光景がとても印象的で、カメラのシャッターを何度も押していました。この写真は自分でも気に入っていたので、入賞してとてもうれしいです。今年の春からロンドンで暮らし始め、その際にデジタル・カメラを購入しました。これからもヨーロッパの様々な場面を撮影していきたいと思います。

審査員コメントキッズ部門入賞、おめでとうございます。審査では何よりこの作品の持つ雄大さに惹きつけられました。霧に覆われた山や森から、まるでお城のような形状が実に印象的な建造物、そして右手前にある、それとは対照的な近代的な建物に至るまで、いくつもの異なる層が迫力を持って連なっている構図が素晴らしいですね。どこで撮影されたのか、場所の詳細は分かりませんが、どこであれ今すぐにでも訪れたくなってしまいます! by 金田家

キッズ部門入賞

「花粉浴」
権嵯 ジョルディ さん(12歳)ドイツ 

「花粉浴」 権嵯ジョルディ さん

この写真は、アパートの庭で撮りました。僕は虫が好きでよく観察するのですが、クマバチは特にお気に入りです。この日もクマバチ が赤い花にたくさん来ていました。花の中にもぐり込んでは、全身花粉だらけになって出てくるのがとても面白くて、かわいいと思いました。賞がもらえて、すごくうれしいです。(本人)

息子は小さな生き物が好きで、日ごろからアリを観察したり、てんとう虫をそっと安全な場所に運んだり、ペットの小鳥を肩に乗せて遊んだりしています。賞をいただいたのは今回が初めてのこと。驚きつつも喜んでいます。(母)

審査員コメント応募作品はそれぞれに良さがあり、一枚を選び出すのに苦労しました。しかし、この写真の撮影者からは、特に芸術的才能を感じました。赤い花とハチというモチーフが特別な表情を生み出す一瞬を捉えるために、どれだけの時間を費やしたのでしょう。楽しみながらも集中して被写体の様子を観察していただろう姿が目に浮かぶようです。シュタイフがぬいぐるみをデザインする際も、自然の美しさを大切にしています。シュタイフのテディを喜んでくれることを願っています。 by Steiff

キッズ部門入賞

「南仏の太陽」
ギッツォーニ 管家 百合香 さん(7歳)フランス

「南仏の太陽」ギッツォーニ 管家 百合香 さん

ニースのマティス美術館の庭園で、日本人やフランス人の家族がたくさん集まってピクニックをしました。ママがお友達とおしゃべりしているとき、こっそりママのカメラを借りて、目の前で笑っていたお姉さんを撮りました。太陽が暑かったけれど、皆でおいしいものをたくさん食べて、いっぱい遊んで楽しかったです。私は写真を撮るのが大好きです! 私が持っている子供用カメラはおもちゃなので、早く本物のカメラが欲しいです。サンタさんに頼んだら、もらえるかな?

審査員コメント子供だからこそ捉えられた、この女性の自然体で優しい表 情が良く伝わってきます。写真全体が少し斜めになっているところにも、この女性を撮りたくて、そばに置いてあった親御さんのカメラを借りて思わず撮った、という思いが溢れてい ますね。写真の女性がお友達だったらどんなに楽しいだろうと想像したくなるような、彼女の魅力が伝わる一枚です。光の感じもとても奇麗で、良く晴れた夏のひとときを皆で過ごして楽しかったという様子が伝わってきます。 by パリミキ

審査員総評

毎年のことながら、今年もまた全体的にレベルが非常に高く、受賞作品を選ぶのには困難を伴いました。今回は例年に比べると日本で撮影された作品が多かったようですが、ヨーロッパ人の観点から言うと、世界の新しい一面を見られるのはいつでも楽しく喜ばしいことです。とはいえ、細部はもちろん異なりますが、テーマ自体は共通していますね。市場や美しい景色、人々の姿など……。既に高いレベルを持った応募者の方たちが多いですが、さらに良い写真を撮るアドバイスを述べさせていただくならば、撮影する際には時間をかけること、でしょうか。対象を見て、何を捉えたいのか、何を伝えたいのかを考える。そして注意深く構図を練って撮影すると良いでしょう。それと同時に、とにかく枚数を撮って練習することも大事。特にお子さんは常にカメラを持ち歩いて、楽しく、たくさん色々な写真を撮ってみてください。 by Canon Europe

受賞者と賞品

    大賞・特別賞

  • マチュア部門大賞:「夏」 カステルノーキミコさん(フランス)
    Canon Europe より Digital SLR Camera Canon EOS 750D
  • キッズ部門大賞:「夕日のサンドイッチ」 ヘインズ英美理さん(英国)
    Canon Europe より Digital Compact Camera Canon IXUS 160
  • マチュア部門特別賞 : 「実感、夏の終り。」 留岡忠雅さん(英国)
    Canon Europe より Inkjet Photo Printers Canon PIXMA MG6850
  • マチュア部門入賞

  • 英国:「ビッグ・ウェイブ」 スミス 美智子 さん
    宝酒造株式会社より 清酒・焼酎・みりんのセット(200ポンド相当)
  • ドイツ:「カラフル」 中澤 しおり さん
    Steigenberger Frankfurter Hof より THE SPA のご利用券(250ユーロ相当)
  • フランス : 「ジャ~ンプ!」 石井 恵 さん
    新割烹のレストラン GUILOGUILO より お食事券(200ユーロ相当)
  • キッズ部門

  • 英国:「霧に浮かぶホテル」 渡邉 純佳 さん
    金田家ラーメン・バーより バウチャー (50ポンド相当)
  • ドイツ:「花粉浴」 権嵯 ジョルディさん
    シュタイフ社より テディベア(Fynn, 40cm, beige)(45ユーロ相当)
  • フランス:「 南仏の太陽」 ギッツォーニ 管家 百合香 さん
    Paris Miki より Ray Ban Junior のサングラス(69ユーロ相当)

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次点作品

  • 惜しくも受賞には及ばなかったものの、審査で高い評価を得ていた次点作品をご紹介します。
マチュア 「デュッセルドルフの側転小僧、沖縄へ」 「雨の日の浅草」 マチュア「 蹴鞠」 マチュア「 夕暮れのリッチモンド公園の鹿」 マチュア「木洩れ日」 キッズ「 爆発!?」 キッズ「空飛ぶカモメ」
 

パリ同時テロ、そして空爆… 憎しみの連鎖を断ち切るには?

パリ同時テロ、そして空爆…
憎しみの連鎖を断ち切るには?

パリ同時テロから2週間以上が経った今、パリの街の雰囲気は確実に変わった。私たちの生活範囲で警官隊の姿をより頻繁に見かけるようになったが、物騒というより安心感すら与えてくれるようになってしまった。一方、シリアでは仏政府による空爆が数日間行なわれ、空爆が罪のない一般市民を巻き添えにしかねないという現実からも目を背けてはならない。テロはもう起こらないでほしい、そして空爆も終わりにしてほしい…。しかしどうすればこの世に平和が訪れるのだろう?

パリ同時テロ1週間後の事件現場となった街の様子

レピュブリック広場
左)レピュブリック広場に置かれた無数の花束は、突然訪れた理不尽な死を悼む市民の無念を表しているかのようだ
右)「La Belle Équipe」このビストロで誕生日を祝うために訪れた人たちも犠牲になった

Le Carillon
左)襲撃されたバー「Le Carillon」。バーのガラスには銃弾で打ち抜かれた生々しい傷跡が。それを埋めるかのように花が差し込まれていた
右)銃弾の傷跡の上に張り紙を見つけた。「私はイスラム教徒だ。そして私はテロリストではない。イスラムの意味は『サラム』=平和。被害者の家族を支援する。JE SUIS PARIS」

Bataclan
左)このテロで最も犠牲者が出てしまった劇場「Bataclan」。警察官が今も多く、周りはシートが掛けてある
右)道路を挟んだ柵には犠牲者の遺影などが掲げられている

避難場所提供というジャーナリストの機転

事件の夜、テロの悲劇の裏では必死に救助にあたった人たちがいた。2時間で20万回のツイートがされたハッシュタグ「#PorteOuverte」を思いついたのは、30代のフランス人記者だ。事件現場近くでの食事がキャンセルになり、丁度自炊料理が出来上がった時のこと。バタクランの方から銃声が聞こえたためTwitterで検索してみると、10区、11区で被害が 拡大しているのが分かった。「自分に何ができるか考えた末、人々は安全な逃げ場を探していることを知った。そこで、逃げ場所を提供するよう人々に呼びかけるため、ハッシュタグ『#PorteOuverte』をつけたツイートを思いついた(11月21日付「Le Magazine du Monde」)」と語っている。2時間後には、このキーワードつきのツイートは約20万にのぼり、テロのあの夜に、多くの人たちが安全な場所へ避難することができた。この後、シルバンさんは友人たちと「#ParisDoitResterUneFete」のツイートを始め、テロ警戒のために外出を控える人々を勇気づけている。

「憎しみという贈り物はあげない」犠牲者遺族の言葉

バタクラン劇場で妻を亡くしたアントワーヌ・レリスさんが、Facebook に投稿した文章がある。「私はあなたたちに憎しみという贈り物をあげない」。怒りで反応すれば、テロリストと同じになってしまうという意味を込めたそうだ。「息子(17カ月)と私は2人になってしまったが、私たちは世界中の全ての軍隊より強い。(中略)彼は毎日のようにおやつを食べて、私たちはいつものように遊んで、この小さな男の子の人生が幸せで自由であることが、あなたたちを辱めるだろう。あなたたちは彼の 憎しみすら得ることはない」。レリスさん はテレビ番組に出演し、16日にやっと妻と対面できた時、この気持ちをどこに書いたらいいのか分からずFacebookに投稿 したと明かした。レリスさんの元には「あなたは手本だ」というメッセージが届いたが、「私はぜんぜん完璧な人間なんかではない」と強調。もしかして、明日、あさって、怒りの感情が込み上げてくるかもしれないけど、憎しみを忘れる努力をすると決めたそうだ。レリスさんは言う。「私たちは無差別の憎しみを盲目的な愛で返す」

パリ同時テロを受けてー作家が語る言葉

今回のテロを受け、フランスのメディアでは、連日フランスの識者たちが様々な声を発していた。ここでは、自身もテロに遭ったことのあるイスラエル人作家と、フランス人作家の言葉を紹介する。

「爆発音の他にもう一つの音が聞こえる」

自身も自爆テロに巻き込まれた経験があるイスラエル人作家のZeruya Shalevさん。2004年、イスラエルで子供を幼稚園に送り届けた後、バスの自爆テロに遭遇しShalevさん自身も重傷を負った。その時に体験したことは今でもよく覚えているという。「孤児となる小さな子供を残していく母親のうめき、もう決して大きくなることのない女の子の叫び声、もう二度と家へ帰ることもできない子供の泣き声」が、爆発音の他のもう一つの大きな音として、深く、恐ろしく耳に残っている」と。Shalevさんは、パリにはいなかったが、パリの道端でもこういう「音」が響いたこ とだろうと想像する。今回のパリ同時テロを受け、「国籍や宗教の差別なき、人道的で勇気ある連帯の中で、私たちはテロを拒絶する全ての手と手をつなぐ必要がある」(11月20日付「ル・モンド」)と述べて いる。また、「攻撃なしでどのように守るのか?自由や平等、安全に反する衝突はどう解決するのか?それは間違いなく難しい課題だが、私はフランスという長い歴史のある国が、そのバランスを見つけられると信じている」(11月20日付「ル・モンド」)と語った。

「人として生きる苦しみを受け入れ続ける」

カンヌ生まれの作家Frédéric Boyer さんの寄稿文、「2015年11月13日、金曜日の記憶(11月20日付「ル・モンド」)」の中に、こんな言葉がある。「私は自分が好きなものを愛し続けることをやめない。憎しみを消し去ることをやめない。テラスでビールを飲み、コンサートで音楽を聴き、皆と笑い、話すことをやめない。私は敵を愛そうとすることをやめない。絶対に。(中略)私は理解できないものを愛することをやめない。コーランを読むことをや めない。(中略)私はイスラム教徒を愛することをやめない。(中略)もし神が存在するのなら、神がおそらくいつも犠牲者らの側にいるのだと語るのをやめない。(中略)私は時に間違えるということを認めるのをやめない。(中略)私はキリスト教徒であると言うことをやめない。(中略)私は人として生きる苦しみをありのままに受け入れ続ける」。彼の言葉の中では日常生活を続けることの大切さや、全ての宗教を越えた友愛の精神が強調されている。また、一つの考えに固執せず、物事を俯瞰して広い視野で捉えることの重要性を、私たちに投げかけているかのようだ。

「戦争」を宣言したフランスによる空爆

空爆パリでの同時テロ発生後、オランド大統領は「報復」として、過激派組織「イスラム国(IS)」の拠点となるシリアなどへの空爆強化を進めた。空爆地域での一般市民の犠牲者に関する報告は出ていないとはいえ、空爆は、何の罪もない子供たちまでをも巻き添えにしかねない。この復讐劇は、果たして解決策といえるのか…。テロは無差別に無実の人々を殺戮する。一方、空爆という言葉は「正義」として正当化されがちだが、それを受ける可能性のある無実の市民にとって、テロとどんな違いがあるのだろうか。この点について、「戦争」を宣言したフランス国内の紙面で、多く語られることはない。

今年シリアで、ISによって無残にも命を奪われた日本人ジャーナリスト・後藤健二さんは、生前シリアで空爆などによって、何の罪もない子供たちの犠牲が出ている現実を目にし、伝え続けてきた。

「目を閉じて、じっと我慢。怒ったら、怒鳴ったら、終わり。それは祈りに近い。憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。――そう教えてくれたのはアラブの兄弟たちだった」後藤健二さんツイッターより

どのようにテロとの戦いを、一般市民の犠牲者を出しかねない空爆を終わらせられるのか。一人一人が胸に問いかける時期がまさに来ているといえる。

毎日一人ずつ紹介されるテロ犠牲者のポートレート

フランス紙「ル・モンド」や「リベラシオン」では、13日のテロで犠牲になった方々のポートレートを、毎日一人ずつ紹介する試みを始めた。紙面とインターネットサイト、両方に掲載されている。サイトを見ると、紹介される犠牲者の顔写真の数は、無念なことに徐々に増えていく。写真をクリックすると、犠牲者の方の名前と年齢が表示される。そこには、20代~30代の若者の姿も目立つ。

ル・モンド

たとえば、コンサート会場バタクランにいたパリの中学校の英語教師デュネさんは、授業中にギターを片手に ジョン・レノンやシェイクスピアの言葉を口ずさみながら生徒と接する人物だった。1月のシャルリー・エブド新聞社襲撃事件の時は、怖がる生徒たちに「怖がってはいけない、前へすすまないと」と繰り返し勇気づけていたという。デュネさんが勤めていた学校の入り口には、彼の写真と愛用していた楽器、そして生徒たちが弔意を書き込むノートが置かれている。デュネさんは、多くの生徒の人気者だった。

「ほんとうの非暴力の道を選べば、暴力よりもはるかに多くの勇気が必要になります」
M. ガンディー 1946年8月4日付「ハリジャン」紙

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動物のことば、人のこころ - アニマルズ・アジア、トンガ受け入れの地

動物のことば、人のこころ
言葉を超えてつながるいのち

動物宮沢賢治は、熊の毛皮と胆 (きも)で
生計を立てるマタギの小十郎が、
月夜の山奥で熊の親子の会話を聞いてしまい、
撃てなくなってそっと立ち去るシーンを描いた。
言葉やこころを持っているのは人間だけで、
子熊は春の訪れを母熊と喜びあわないのだろうか。
彼らの言葉を聴き、
返答の代わりに行動を起こした人々に話を聞いた。
(Texte : Miwa ARAI)

宮沢賢治「なめとこ山の熊」より

ベトナム編 熊胆(ゆうたん)生産の現場
檻の扉を一つ一つ開けていく

熊の胆は、今でも簡単に手に入る。時代は変わり、植物系の漢方薬や西洋薬でより効能のある薬が開発されているにも関わらず、日本では「Amazon」でも買える。

どこで生産しているのか?1992年にワシントン条約で国際取引が規制された頃から、中国やベトナムでは、熊は生け捕りにされている。そして身動きさえ取れないような小さな檻に生涯閉じ込められたまま、おなかに太いカテーテルを刺されて胆(のう)から胆汁(たんじゅう)を採取されるようになった。殺せないなら生かしながら、という抜け道だ。獣医でもない素人が、他の臓器や皮膚を傷つけずに胆汁を速やかに採取できるわけがない。熊たちは激痛にあえぎ、次の「手術」の恐怖におび えながら、その場で排泄し、生かし続けるために与えられるわずかな米の残飯を食べる。それだけの一日が、寿命が尽きるまで何十年もの間繰り返される。

ベトナムには何軒もの熊胆ファームがある。豪邸の庭の奥の倉庫のような建物の鉄の扉を開けると、薄暗い空間に6つの檻があり、それぞれに場違いなほどに大きなツキノワグマがいた。小さな檻の鉄格子の床に、体重で体が食い込み、その下には糞尿がそのままで、動物独特の匂いと混じり異臭が漂う。熊たちはじっと動かないか、上半身を左右に振り続けている。ぼんやりとした目に光はない。突然の来訪者に外では鶏と番犬が大きな声で鳴いていたが、そこは静かで、足がすくむほどの哀しみに満ちていた。

まだまだ動物や弱者に対する意識の低い東南アジアにおいて、こうした問題が市民の関心を引くことは まれだ。しかし、それでもこの現状を変えようと活動をしている人々がいる。NPOの「アニマルズ・アジア(Animals Asia)」だ。彼らは熊胆流通の全廃を目指し、行政、関係者や市民を説得して法の施行や意識改革を促し、廃業する業者から熊を引き取る活動を地道に続けている。引き取られた熊たちは、治療とリハビリの後に、広大な自然保護区で獣医や飼育員の手厚いケアのもとに余生を送る。

「この活動を始めた当時の人々の反発は強烈で、行政と業者の完全な結託もあり、とても無理に思えました。しかしレスキューした熊たちが緑の保護区で遊ぶ姿を見ることが、やり続ける力になりました」(アニマルズ・アジア・ベトナム代表)。

彼らは2015年だけで40頭の熊をレスキューし、2020年までにはベトナムの熊胆業を終わらせると宣言している。今日、ベトナムでは1200頭以上、中国ではまだ一万頭以上の熊が、檻から出られる日を待っている。

熊のヨギYogi(雄)とココCoco(雌)2015 年
熊のヨギYogi(雄)とココCoco(雌)2015年

檻

ヨギとココ

写真左上)ヨギYogi(雄)とココCoco(雌)は、小熊の時に森で捕獲された。ハサミ罠のせいでココは左手が、ヨギは右手がない。母熊と引き離され、片手を失った二頭はそれから15年もの間、鉄格子に隔てられた隣同士の檻の中で苦しんだ。互いの苦しみを見守りながらも触れることは出来ない――。  

2015年、「アニマルズ・アジア」の長年の説得のおかげで、所有者が引き渡しに応じたの時の二頭は瀕死の状態だった (商業価値がなくなると手放すことが多い)。懸命の治療で回復した2頭は、初めて鉄柵を越えて近づいた。

「その瞬間そこに明らかに愛情があることを感じました。彼らは近づいてハグを繰り返したのです」(同団体獣看護師)。

今はヨギとココはいつも一緒で、保護区の146頭の熊たちと共に、芝生の上を転げまわって遊んで過ごしている。

写真右上)特に雄のヨギは極度に痩せ、胆のうも傷つき、栄養不足とストレスで鉄柵を噛み続けていた歯はほとんど摩耗。首を振りながら鉄柵に何度もこすりつけていた頭部は傷だらけだった。


フランス編使い捨てられる動物たち
「ここへおいで」と抱きあげる

ディジットは、育児放棄された赤ちゃんゴリラだっ た。ティヴィヨン夫妻は昼夜なく二時間おきに哺乳瓶 で授乳し、懸命に母親代わりをした。1年半が経った頃の検査手術の後、夜を徹して回復を見守った2人が獣医病室を去ろうとした時のことだ。「この子は私たちの袖口を握り、信じられないような優しい目で見つめながら、ずっと離さなかったのです」。  

それから彼女は夫妻の家族になった。17年が経ち130㎏の立派な体格となった今日も、日中は半屋外のゴリラ舎で過ごし、20時になると夫妻の部屋に帰ってきて、2人に甘えてから寝息を立て眠りにつく。

「ディジットは自分が思っていること、して欲しいことをちゃんと伝えてきます。こちらの気持ちも、とてもよくわかっています。お互いを敬い、わかり合いたいという気持ちがあれば、言葉を話さなくても生き物は わかり合えると、彼女は教えてくれました。」

ティヴィヨン氏は、リヨン北西のサンマルタンラプレヌ村にある、「自然保護動物園(Espace Zoologique de St Martin la Plaine)」の園長であり、「トンガ受け入れの地(Tonga Terre d'Accueil /以下「トンガ」と表記)」というアソシエーションの代表 だ。

熊胆ファームはなくても、サーカス や動物実験をはじめ、フランスにも檻の中で苦しむ動物は数えきれないほどいる。その中で、サーカスの廃業、野生動物所有の書類不備による押収、実験の中止、税関で見つかる密輸動物など、奇跡的に檻から出られるチャンスを手にする動物たちがいる。彼らはどうなるのか。たいていは、そのまま檻の中で薬殺される。行き先がないからだ。

トンガは、そういう動物たちを引き取り、手厚くケアするフランス唯一の施設だ。あくまで緊急受け入れ 所であり、リハビリ滞在の後、より広いサンクチュアリ等の施設に移動させることが活動目的なのだが、体にも心にも重い傷を負った動物たちには商業的価値がないどころか、普通以上のケアが必要で、その後の引き取り手を見つけるのは容易ではない。2010年の最初の取材時から5年が経った今、1棟だった飼育舎は 今年4棟に増え、2頭だった虎は6頭に、ライオンが 11頭、ハイエナが2頭加わり、さらに常時70匹以上 のサルがいる。昨年は、確実にトンガでその一生を終えるだろうと見込まれる動物たちのために、より広い半野外の「VIP舎」を増築した。

もう72才になるティヴィヨン氏は、相変わらずトランシーバーを24時間肌身離さず、1日の休暇も取らない。ディジットの待つ部屋に帰る前に、毎日必ずすべての動物たちに会いに行く。

本当に弱り、苦しむ者たちには、言葉を発する力さ えない。何度救いを求めてもかなわなかった彼らは、もう何も期待しないことでしか最後の力を保てない。それでもやはり、きっと待っているのだ。誰かに気付かれ、救いの手が差し伸べられる瞬間を。繊細な心でそんな彼らの声なき声を受け止め、こんなにもかけがえのない奇跡を起こしている人々がいる。

あらゆるいのちはつながっている。他の生き物が「明日は、もしかしたら生きるに値するかもしれない」と小さな期待を抱けたなら、きっとそれは巡り巡って、私たちに還ってくる。

ゴリラのディジット
ティヴィヨン氏に甘える体重130kgのディジット

雄ライオンのレオとミュラン
雄ライオンのレオとミュラン

サーカスで(麻酔もないままに)爪を抜かれ、去勢され、たてがみもない雄ライオンのレオとミュラン。2頭はトンガで出会い親友になりいつでも一緒にいる。ティヴィヨン氏やなじみの飼育係が来ると、2頭同時にフェンスに体を寄せ、我先に撫でてくれとねだる。

虎のキエラ
虎のキエラ

サーカスで、長い間、狭く不衛生な檻の中に放置されていたキエラ。狭すぎる檻と栄養失調のせいで後足が萎え歩けず、胃の中には空腹のあまり食べた大量のビニールシートが詰まっていた。トンガでの治療と根気強いリハビリが功を奏し、今日のキエラはぎこちなさを残しながらも芝生の上を走り回っている。

税関で押収された赤ちゃん猿

違法密輸で税関で押収された赤ちゃん猿。薬殺前に引き取った。トンガにいた雌猿が、実の子供のように面倒を見た。

ティヴィヨン夫人

左)2008年にリヨンの実験室から受け入れた猿。トンガでの6年のリハビリ後、昨年幸運にもオランダの大きなサンクチュアリに移動させることが出来た。長い間、幅50cmの実験ケージに1匹だけで入れられ薬品実験を強いられ、実験終了で薬殺されるところを引き取った。

右)ティヴィヨン夫人は、ディジットだけでなく、母親が育児放棄するあらゆる種類の動物の赤ちゃんを乳離れするまで育てている。昨年はカンガルー、今年はチンパンジーだ。ティヴィヨン家の食卓の周りには、いつもヒトではない生き物たちが当たり前のように一緒にいる。

ティヴィヨン氏とその活動についての写真本

今年、ティヴィヨン氏とその活動についての写真本が出版された。タイトルは 「ママン、どうしてムッシュウはお猿さんに話しかけているの?(Maman, Pourquoi le monsieur y parle aux singes ?)」。

「私が園内で猿に給餌しているときに、偶然背中越 しに聞こえた子供の声でした。『それはね、ムッシュウが彼らを愛しているからよ(C'est parce qu'il les aime.)』 と答えるお母さんの返事に、私はこみ上げるものを抑えきれず『ありがとう』と、やっと言えました」(ティヴィヨン氏)

"Maman, pourquoi le monsieur y parle aux singes ?"
Editions du poutan / 29 euros

アニマルズ・アジア(Animals Asia)

www.animalsasia.org

トンガ受け入れの地(Tonga Terre d'Accueil)

www.association-tonga.com
42800 Saint-Martin-la-Plaine
Tél. 04 77 75 22 90
※トンガの入居動物は一般非公開、隣接の動物公園は公開。
年会費30ユーロの支援会員を募集している。

 

フランス・モード界で輝く日本人たち

フランス・モード界で輝く日本人たち

des Japonais dans la mode française世界トップレベルを誇るフランスのモード界。

そこで活躍していると聞けば、人は華やかな世界を想像しがちだ。

しかし、言葉も文化も異なり、その大半がフランス人という中で
存在感を放つ日本人たちは、一体どのようにして
そこに自分の居場所を作ってきたのだろうか。

渡仏した時、彼らはみな茫洋(ぼうよう)とした夢を抱いていた。
叶う保証もない夢を追う先に、
今というステージが待ち受けていることも知らぬまま、
地道に努力する日々を送ってきた。

今回は、フランス人に囲まれて活躍する6名の日本人に、
普段は伺い知ることの出来ない現場のことや、
困難な状況の乗り越え方、今後の目標についてお話を伺った。
(Texte et Photos : Mao SHIMONO)

猪爪友宏さん猪爪友宏さん
INOTSUME Tomohiro
ヘア・アーティスト Coiffure

2005年学生ビザにて渡仏後、ワーホリビザを取得し翌年再渡仏。メイクの学校を経てスタージュで出会った師匠の元で、そのまま1年間アシスタントとして修業。ヘアとメイク二者択一で迷った末、ヘア・アーティストの道を選択。2008年からフリーランスで仏雑誌や広告を中心にヘアを担当。パリコレでも、様々なブランドのヘアを手掛け始める。2011年プロフェッション・リベラルを取得。

まずは夢見て動くこと。
いつの間にか叶った「パリコレ」現場の仕事

東京・青山で美容師をしていた猪爪さんが渡仏したのは、「パリコレの現場で働いてみたい」という思いからだった。漠然と描いていた「パリコレ」の夢は、渡仏後3年目にして叶うことになる。初期にアシスタントを務めていたフランス人のヘア・アーティストの後ろ盾もあり、フリーランスとなった今でも、彼の右腕として何人ものモデルのヘアを手掛けている。パリコレの現場では、チーフ・ヘア・アーティストがデザイナーと共に決めたヘアのテーマを理解し、そのイメージを詳細にかつ素早く「コピー」し、何体ものヘアを完成させることが求められる。「日本人は見本を真似て、的確に再現する作業が早い。そのため、パリコレのような時間が勝負の現場では、チーフの右腕として特に重宝される」と語る。

パリコレ現場
今年のパリコレ現場でモデルのヘアスタイルの最終チェックをする猪爪さん(写真奥)

年に数回あるパリコレをこなす一方、猪爪さんは雑誌や広告でもヘアの仕事をしている。フランスの撮影現場のいいところは、クリエイティブな意見を最重視するため、アーティストとして作業に没頭できる点だという。

仕事と私生活をバランスよく充実させる
趣味のおかげで「言葉」の壁も解消

うまく仕事をこなしていくために、ストレス・フリーを心がけているという猪爪さん。1カ月に1回はサーフィンをしに地方へ出かけるなど、ワーク&ライフバランスを大切にしている。また、フランスで仕事をしていく中でつきものともいえる「言葉」の壁は、趣味であるサーフィンが解決してくれた。仏南西部のサーフィン・スポットを定期的に訪れることで、フランス人との交流も増え、生きた仏語を学ぶことができたのだ。今でも現場での打ち合わせに必要な仏語を完璧に話せるわけではないが、「言いたいことが言えない時にごまかす方法を身に着けることも必要」だと語る。あらかじめ写真や本を用意しておき、言葉に詰まった時は実際にヘアのイメージを見せたりするのだ。

海外で活躍する日本人が増えるよう自分の経験を惜しみなくシェアしたい

20年間美容師やヘア・アーティストとして働いてきた猪爪さんには次なる目標がある。「フランスで働きたい」、「パリコレの現場を経験したい」という日本人ヘア・アーティストに、その方法や情報、機会などを提供することだ。「チャンスは自分で苦労して得るものだという人もいるが、要らぬ苦労はしなくていい時もあると思っている」と言う。猪爪さんは「皆でがんばろう」という思いを大切に、自分のこれまでの経験をシェアする機会を作り、海外で活躍する日本人ヘア・アーティストがもっと増えるよう貢献したいと考えている。

名和光道さん名和光道さん
NAWA Kodo
ジュエリー・デザイナー designer de joaillerie

2004年学生ビザにて渡仏。2006年よりフランス人のアトリエでジュエリー製作を学ぶ一方、自分のデザイン画作りにも励む。2007年ヴァンドームのLorenz Bäumer社でスタージュを経てCDI(無期限雇用)勤務。社内ではLouis Vuitton社のハイジュエリーを担当し、スタジオ・マネージャーとなる。2012年からは、某老舗名門ジュエラーでCDI勤務。ハイジュエリー・コレクションのデザインを手掛ける。

「一緒に働きたい」と思われるかが鍵
その壁は「言葉」で乗り越えるしかない

未知なるものとの出会いに何となく期待を抱いて渡仏した名和さん。周囲から刺激を受け、ジュエリーについて学ぶことにした。ただ、普通に専門学校に通おうとは思わず、以前Cartier社で働いていたフランス人が独立してアトリエを開いていると聞き、ノウハウを教えてもらえるようお願いした。アトリエの主人は快く受け入れてくれ、さらに仕事後は自分のデザイン画をためていく日々を送った。

メールで無反応なら直接出向く積極性

そして、運命の扉はある日開かれた。Lorenz Bäumer社のジュエリー・デザインが好きだった名和さんは、自分のデザイン画や作品を携えその門をたたいた。「メールをしたが返信が来なかったので、直接行くことにしました。運よく作品を見てもらえ、次の日からスタージュが決まりました」。さらに、スタージュ1週目にして、当時そのジュエリー部門が立ち上げられたばかりだったというLouis Vuitton社向けに、デザイン画を描く機会を与えられた。その作品が認められ、2012年まで同社向けのハイジュエリーのデザインを担当することになったのだ。

ジュエリー・デザイン
この8年間で、様々なブランドのジュエリー・デザインに携わってきた

名和さんのジュエリーのデザイン画を見て驚くのは、どうみても「写真」に思えてしまう正確さと緻密さだ。石のパーツも、本物さながらの光が再現されている。「小さい時から絵を描くのが得意だったのですが、ジュエリー用のデザイン画は、Lorenz Bäumer社で働いていた時にブラッュアップしました」。同社では、スタジオ・マネージャーとして、各デザイナーのデザイン画をチェックする仕事なども任せられた。

完成度の高いデザイン画と言葉の大切さ

ジュエリー・デザイナーの仕事について、名和さんはこう語る。「デザイナーは、細部に至るまで完成度の高いデザイン画が要求されます。職人さんが、その通りに製作するからです。また、一つのジュエリーの製作過程では、デザイン画について説明する機会が多くあります。だから、仏語ができないとスタート地点にすら立てないのです。また、重要なのは『仕事ができる』というだけではなく、『一緒に仕事をしたいかどうか』。だから、その壁は言葉で乗り越えていくしかありません」。ジュエリー・デザインの仕事を望むのなら、学生のうちに語学で格闘しておかねばならないことが分かる。

2012年にはさらなる転機に恵まれ、誰もが憧れるパリ老舗名門ブランドで、ハイジュエリー・コレクション担当として採用された。「ありがたいことに、日本人はクリエーションのレベルの高さで一目置かれていると思う」と名和さんは言う。「日本のジュエリー業界はまだまだ知名度が少ない。今後、日本の職人さんとも仕事をし、日本の美意識や技術の凄味を発信できるようなことにも挑戦してみたいです」と、今後の目標を語る。

関元聡さん関元聡さん
SEKIMOTO Satoshi
オート・クチュール刺繍職人 Broderie

2004年9月渡仏。2005年刺繍専門学校卒業後、同校と刺繍大手アトリエでスタージュ。一時帰国後、2008年6月コンペタンス・エ・タランビザを取得し再渡仏。2013年再び同アトリエに戻りCDI勤務。今年「MOF(Meilleurs Ouvriers de France)」受賞。
satoshibroderiehaute-couture.jimdo.com

「やらずには終われない」当時の決断がMOF受賞へつながる

受賞した作品
「MOF」刺繍部門を見事受賞した作品。今回のテーマは「インド」だった。

11年前、オート・クチュール刺繍を学ぶために渡仏した関元さんは、今年オート・クチュール刺繍部門で日本人初となる「MOF(仏国家最優秀職人賞)」を受賞した。

日本では服飾専門学校に通い、卒業後は洋服の販売員をしていた。「将来のことを考えた時、オート・クチュール刺繍への夢が捨てられず、やらないで終わるくらいなら一度やってみよう、という思いで渡仏を決意した」。

着物の男性刺繍作家は珍しくないが、オート・クチュール刺繍を志す男性はフランスでも珍しい存在だった。刺繍専門学校「エコール・ルサージュ」卒業後は、いくつもの高級メゾン・ブランドの刺繍を手掛けるアトリエでスタージュの機会を得た。スタージュ生は通常定時に帰るが、毎日作業が終わるまで残って仕事をした。「その熱意が認められてか、スタージュの契約期間も延長してもらえました。また、フランス語が完璧に話せるわけではありませんでしたが、人がやっている手元を見て必死で学びました」。

晴れてビザを取得するも予期せぬ不況の波に遭遇

その後ビザ取得に格闘したが、2008年にコンペタンス・エ・タランビザを晴れて取得。念願の再渡仏を果たした。「これで再び刺繍の仕事ができる」という喜びも束の間、当時リーマン・ショックの波が高級メゾン・ブランドを襲い、オート・クチュール刺繍のアトリエは採用を控え始めていた。以前のようには仕事ができない日々を送ったが、フランス人による新たなブランドが刺繍家を探しており、運よくそのコレクションを手伝うことになった。以後、2013年にはスタージュ勤務をしていた大手アトリエへと再び舞い戻り、パリコレで発表する豪華絢爛な刺繍を手掛ける。今後の目標について関元さんはこう語る。「いつか自分のアトリエを持ち、色々なブランドのコレクションを手掛けてみたいです。また、自分のブランドを作り、新しい物を発信できたら」。

大森美希さん大森美希さん
OMORI Miki
服飾デザイナー Styliste

日本で服飾専門学校に5年間教員勤務。2000年に渡仏、デザイン専門学校へ。スタージュ後、2002年からBalenciaga社で4年間、LANVIN社で5年間勤務後、Nina Ricci社でヘッド・デザイナーに。今年9月末からニューヨークに渡りCOACH社に勤務。


「3年」の滞在期限で自分を追い込み
何度もプッシュして勝ち取ったCDI契約

Nina Ricciのコレクション現場
Nina Ricciのコレクション現場で
働く大森さん

一人前のデザイナーになるため、30歳を目前に思い切って渡仏した大森さん。しかし、フランスで実際デザイナーとして働くには、「言葉」の問題が大きかったという。「デザイナーは、黙々とデザイン画を描くだけでなく、とにかくチームでのコミュニケーションが必要とされます」。フランスで初めてCDI(無期限雇用契約)が叶ったBalenciaga社も、言葉の問題で一度面接に失敗した。だから、最初の5年は仕事と並行し、夜間の語学学校へ通って自分の弱点を克服した。

「働き方」の違いに戸惑う一方
自分にしかできないことをアピール

フランス人と働く中で、日本での働き方が通用しないことも痛感した。遅くまで残り、一生懸命働けば昇進できるという風土が日本にはあるが、フランスではそれをよしとしない。「それでも、外国人だから人の何倍も働かないと認めてもらえないだろうという思いはあったし、自分にしかできないことを探してアピールすることも大切だった」。また、「思っていることは明確に言わないと相手には伝わらない」と考えることが、フランスで仕事を得る上での大前提だという。「自分で何度も言葉にして、『パリに残りたいから仕事を探している』と意識的に伝えなければ、スタージュの次の就職はなかった」と振り返る。面接担当者は自分のことを、「外国人だから、何年後かには母国へ帰るだろう」と思っているからだ。3年以内に就職が決まらないなら、帰国しようと決めていた大森さんは、働きたいという思いは必死で伝えたし、何度もプッシュした。期間を決めて自分を追い込む形にしたことが、功を奏した。

「ブランド変え」で技術とキャリアを高める

大森さんは、何年かごとに働くブランドを意図的に変えることをポリシーとする。「フランスでは、一度仮に『アシスタント・デザイナー』としてCDIを交わしたら、上のポストに空きが出ても、アシスタントのままです」。また、ブランドを変え、様々なやり方やデザインを見ることで、腕を磨きたいからだ。「自分はまだまだ成長過程だ」という大森さんは、そのキャリア・アップの一過程としてN.Y.へ渡る。そしていつか、一層腕を磨き、再びパリへ戻って来られる日を心待ちにしている。

坂川孝氏さん坂川孝氏さん
SAKAGAWA Takashi
パタンナー Modéliste

1999年渡仏。パタンナー養成学校卒業後スタージュを経て、2004年からフリーランス・パタンナーに。2013年までにKENZO社、Balenciaga社など計20社以上の仕事を請け負う。現在はメンズ・レザー・ウェア専門のSeraphin社のチーフ・パタンナー。

仕事と並行し、知人のアトリエでスキルアップに励む

Nina Ricciのコレクション現場
製図を多用する為、坂川さんのデスクには数種類の定規や、太さの異なる芯のシャープ・ペン等が並ぶ

渡仏前は電気工学という全く異なる分野を学んでいた坂川さん。パターンの勉強もそのキャリアも、パリに来てから始まった。パタンナーの学校を卒業して1年後には、フリーランスとして早くも一人立ちした。しかし、さまざまな技術をもっと吸収したいと考え、夜と週末は、知人でベテランのイギリス人パタンナーのアトリエへ2年間通い続け、そこでメンズ・テーラードの技術の勉強をしながら、昼間は自分の仕事をこなした。「洋服はざっくり完成していればいいというわけではありません。全体のボリュームは変わらなくても、バランスを変えるだけで、印象を一変させることができます」。アトリエに通い続けたおかげで、洋服のディテールやニュアンスの表現について、改めて学ぶことができた。

自由に仕事ができる一方、「立場が弱い」という弱点を持つフリーランス。坂川さんには、フリーランスの仕事を続ける上で、気を付けていたことがあった。それは、仕事が欲しい時でも不当な値下げ交渉には応じず、安売りはしないことだった。こうして、およそ9年間で20社以上との仕事が実現した。

言われたことだけをやっても「美しい服」は完成しない

現在は、フランスでも抜群の品質を誇るメンズ・レザー・ウェア専門会社のチーフ・パタンナーとして、誰もが知る某老舗高級メゾンや自社ブランドのレザー・パターンを作っている。坂川さんは今後も、「美しい服」を作るのに必要な技術を掘り下げていきたいと思っている。パタンナーの仕事は、デザイナーの意図を実現化することだが、言われたことをやっているだけでは不十分なのだという。「デザイナーが感知していないところを何も言わずに補足し、クオリティを高め、人間の身体構造に沿った有機的な『美しい』服を完成させる。そのプラスαがあってこそ、楽しみながら仕事ができるのです」。

小田真弓さん小田真弓さん
ODA Mayumi
メイク・アップ・アーティスト Maquilleuse

憧れのメイク・アップ・アーティストが卒業した学校 へ通うため、2006年学生ビザにて渡仏。2009年単発の仕事をきっかけに知り合った仏人のメイク・アップ・アーティストのアシスタントとなり、パリコレや雑誌撮影の現場でメイクを手掛け始める。アシスタントと併行 し、2012年からはフリーランスのメイク・アップ・アーティストとして活動を開始。

アシスタントとしての経験や人脈が今の土壌を作った

ポーランドの雑誌
ポーランドの雑誌「viva moda」で、人気モデルAnja Rubik さんのメイクを担当した時の作品

パリコレでの仕事は今年で7年目だ。モデル1人にかけるメイクの時間は約20~30分。ショーの5分前に到着するモデルには、顔の半分ずつを手分けしてメイクを施すこともある――。憧れだったパリコレの仕事も、今では板についてきた。

日本で美容師をしていた小田さんは、メイクの勉強のため渡仏した。知人に紹介されたフランス雑誌の撮影で、この後師匠となるメイク・アップ・アーティストとの出会いを果たした。その後何度もオファーを試みた結果、彼女のアシスタントになることができた。「アシスタントの傍ら、フリーランスとしての仕事の機会を得るには、現場のカメラマンのアシスタントなどに自分から積極的に声をかけ、繋がりを築くことが大切です。こうして一緒に撮影をしたアシスタント仲間がお互いに成長し、のちの仕事に繋がっていくこともあります」。

「好きなもの」の視点と知識の「引き出し」

小田さんが苦労したのは、フランス人チームの中で対等に意見を言い、相手に強い印象を与えられるようになることだった。「謙虚であったり、時間を守ったりするのは日本人の美点だが、意見を言わずにおとなしいと見られがちだった」。チームの「和」を大切にする小田さんは、主張のはっきりした個人の集まりを前に、そんな自分の「殻」を打ち破るのに格闘した。そのためには、「自分が好きなイメージ」をぶれずに持ち続けることも大切だった。また、フランス人と円滑にクリエイティブな仕事をするには、フランス人のファッションやアートの「定番」を知ることだ。仕事中はキーワード一つでイメージを掴まなければならない。「普段からアートや音楽など多分野に興味を持ち、自分の中の知識の引き出しを増やすのも大切です」。今年末にはアシスタントを完全に卒業し、フリーランスの仕事一本に絞るという小田さん。今後も更に、クリエイティブな活動に邁進する。

上質スタイルが手に入るパリの日本発ブティック

1LDK PARIS
ワンエルディーケー パリ

清潔感漂うメンズの定番&上質カジュアルを

1LDK PARIS
2008年に中目黒店に1号店を出し、今年1月にパリへ出店した。客層の8割はフランス人

サントノレ通りを一本奥に入った場所に静かに佇む「1LDK PARIS」。ネイビーを基調とした、上質なメンズのカジュアル・アイテムが店内を占め、そのほとんどが日本製やフランス製だ。日本製品ならシャツ、ニット、ジャケットなどが内外価格差10~20%以内で手に入るのも魅力。「売値はデザインの一つ」とし、「日常感覚」で手に届く価格帯で、長く使える定番アイテムを展開している。今年はネイビーにキャメルやオレンジカラーを品よく合わせる着こなしを提案。

16 rue de la Sourdière 75001 Paris
TEL:01 42 36 44 82
営業時間:12:00~20:00
定休日:日、月
M:Tuileries①
1ldkshop.com/blog-paris/

pas de calais
パ・ド・カレ

天然素材で纏う、上品な大人ムード

pas de calais
1998年東京で誕生した「パ・ド・カレ」のパリ店。海外へのブティック出店はニューヨークに次ぐ2店舗目

ハイセンスなショップが集うマレ地区に今秋開店した「パ・ド・カレ」。コンセプトは、日本人の繊細な感性とフレンチ・モードのエスプリとの共存だ。モダンかつ木の温もり溢れる店内では、コットン、リネン、シルクなどの天然素材を用い、長く愛用できるアイテムを展開。ベージュ、エクリュ、グレーなど、優しくナチュラルなニュアンスカラーが目立つ。今季人気の、透かしタイプのヘリンボーン素材マキシムコートなど、大人の女性の心をつかむ、知的かつ上品なスタイルが見つかる。

15 rue de Poitou75003 Paris
TEL:01 40 27 89 83
営業時間: 11:00~19:00
定休日:日、月
M:Filles du Calvaire⑧

 

パリで活躍する日本人シェフおすすめ - フランスワインとこの一皿

パリで活躍する日本人シェフおすすめ フランスワインとこの一皿

wineワインのおいしい季節もすぐそこ。レストランのワインリストを前に、どれにしたらよいか迷ってしまうことはありませんか?そこで今号では、パリで活躍する日本人シェフ、ソム リエの方々に、おすすめの1本とそれにあうお店のスペシャリテを選んでいただきました。
(Texte:Tomoko ORIKAWA)

Vue de l'étiquette du vin
ワインラベルの見方

ラベルはフランス語で「エチケット」。ワインが自己紹介をする履歴書のようなものです。ラベルを見れば、ワインの産地や生産年などが分かります。基本だけでも覚えておくと、ワイン選びがずっと楽しくなりますよ。

ワインラベルの見方
  1. 1. ワイン名 シャトー、ブランド名。原産地名などが示される。
  2. 2. 作り手名 家名(ドメーヌ)あるいは個人名など。生産者、酒商の社名。
  3. 3. ビオワインの認定 欧州連合(EU)のビオ認証を取得したマーク。フランス公式品質保証は「ABマーク」。
  4. 4. ブドウの品種 メルローが65%、カベルネフランが35%であることが分かる。
  5. 5. 収穫年 2012年に収穫したブドウ。ヴィンテージともよばれる。
  6. 6. 生産地 ブドウの生産地。これはボルドー。
  7. 7. A.O.C.  原産地統制呼称法。Appellationとcontrôléeの間に生産地名が入る。
  8. 8. 作り手がワインの瓶詰めまで行っていることを示す。
  9. 9. 所在地 ワインの作り手や瓶詰め元住所が記される。

Carte du Vin Recommandé
産地対応オススメのワインMAP

おすすめワインマップ

まずは正統派フレンチ

1Passage 53
シェフ:佐藤伸一

ブルターニュ産オマール2種のシェリーソース Passage 53 シェフ:佐藤伸一

オススメのワイン
Corton Charlemagne Domaine Coche-Dury 2004
品種:シャルドネ 
産地:ブルゴーニュ

ムルソーにあるドメーヌ・コシュ・デュリは世界でも最高の作 り手の一つ。需要が多く、入手することが難しいワイン。コルトン・シャルルマーニュは白ワインに求める全ての要素が完全なバランスをもって存在している。熟成により、気品のある香りと深く複雑な味わいが生まれる。

合わせたい一品
ブルターニュ産オマール2種のシェリーソース

生きたオマール海老を直前に茹であげ、湯気の立った一番香りの良い状態でお皿に載せる。ヴィネガーの酸味、白ブドウのフレッシュ感と、完全なバランスの一皿。

佐藤シェフのひと言

完璧なバランスのワインに合わせるのは、やはり高貴な食材が理想です。

オマールブルーとよばれる青いオマールの中でも、ブルターニュ産は特に素晴らしく星付きレストランには欠かせないフランス食材の一つ。ソースは2種類のシェリー酒にバニラを加え甘みをもたらしました。アクセントに、長期熟成のシェリーヴィネガーを煮詰め、生クリームと合わせて、相性のよいカカオをふりかけました。ワインの果実味と熟成からくる複雑な味わい、美しいミネラル感、長い余韻がこの料理を一層引き立ててくれます。

ただ、私は料理とワインの相性にあまりこだわりませんし、むしろ考えません。なぜなら本当の意味でのマリアージュというのはそれほどたくさん存在しないと思うから。ただ合うというのは 私にとってはマリアージュではありませんし、私たち人間でも普通は人生に何度もマリアージュ(結婚)はしません。あまりワインと料理の組み合わせを難しく考えてしまうより軽い料理には軽めのワイン、しっかりした料理には濃いめのワインなど基本的なことを守ればあとは好きな料理と好きなワインを、好きな人と楽しむことが何より大切だと私は思います。

店舗情報

53 passage des Panoramas 75002
TEL:01 42 33 04 35
営業時間:ランチ / ディナー(時間は予約の際にご確認ください)
定休日:日、月
M:Richelieu – Drouot、Grands Boulevards⑧⑨
www.passage53.com


2Restaurant Sola
シェフ:吉武広樹 
ソムリエール:石神靖子

ポルチーニ・パスタ Restaurant Sola シェフ:吉武広樹 ソムリエール:石神靖子

オススメのワイン
Rivesaltes Cuvée Aimé Cazes 1976 Domaine Cazes
品種:グルナッシュブラン80%、グルナッシュノワール20%
産地:ルーション

数十年の樽熟成を経て艶やかで芳醇なワインへと変化する天然甘口ワイン、リヴサルト。こちらは2代目当主エメに敬意を表したドメーヌ至高の1本。華やかな樽香にカルダモンなど のスパイスが複雑に絡む。優しい甘さがポルチーニの旨みを引き立て、長い余韻と共に甘美なひと時が楽しめる。

合わせたい一品
ポルチーニ・パスタ

旬のセップ茸を使った新作。カシューナッツと黒にんにくの香りに、かぼちゃピューレの甘さ、コーヒーの泡のソースのほろ苦さが調和する。

店舗情報

12 rue de l'Hôtel Colbert 75005
TEL:01 43 29 59 04(要予約)
営業時間:ランチ / ディナー (時間は予約の際にご確認ください)
定休日:日、月
M:Maubert – Mutualité⑩
www.restaurant-sola.com


3Restaurant ES
シェフ:本城昂結稀(たかゆき)
シェフソムリエ:スティーブ・ベンザケン

ピジョンのロティ Restaurant ES シェフ:本城昂結稀(たかゆき)

オススメのワイン
Chateauneuf-du-Pape / Henri Bonneau
品種:グルナッシュ、シラー、サンソー 
産地:ローヌ

「法王の城」の意をもつフランスを代表するアペラシオン。13のブドウ品種が使用され、複雑で多彩な味わいを持つ。1957年から作り手となったアンリ・ボノー氏が所有する畑は、5ha、年間生産量1500ケースと希少。凝縮感、エキス分の豊富さがありゆったりとした余韻、凝縮感溢れる味わいに驚く。

合わせたい一品
ピジョンのロティ

ポテトとジロール茸、花梨、カカオのソースを使用。小鳩の表面はパリッと焼き上げ、中は柔らかくジューシー。ワインの酸味が料理に合う。

店舗情報

91 rue de grenelle 75007
TEL:01 45 51 25 74
営業時間: 12:00-13:00/20:00-21:00
定休日:日、月、火昼
M:Solférino、Rue du Bac⑫
restaurant-es.com


4Le sotl'y laisse
シェフ:土井原英治

鳩のロティ、サルミソース - Le sotl'y laisseシェフ:土井原英治

オススメのワイン
Côte Rôtie DOMAINE JAMET 2005
品種:シラー100% 
産地:ローヌ

急斜面に位置する畑で、太陽の光を十分に吸収し成熟したブドウからできる「太陽のワイン」。力強く芳醇で濃厚な味が特徴。レンガがかった赤深い色調、シナモンやカルダモン、黒コショウの香り、優しく滑らかな口当たり。芳香豊かで凛としながら、深く優しい味わいが広がる。

合わせたい一品
鳩のロティ、サルミソース

鳩の香ばしさを堪能できる一皿。赤身の肉質にスパイシーさのあるローヌのワインがよく合う。濃厚な血のソースとシラーの濃い味が引き立て合う。

店舗情報

70 rue Alexandre Dumas 75011
TEL:01 40 09 79 20
営業時間: 月〜土 12:00-14:00 / 19:30-21:30(月、土は夜のみ)
定休日:日
M:Alexandre Dumas②


5Neige d'été
ソムリエ:染谷文平

小鳩の備長炭炭火焼 - Neige d'été
ソムリエ:染谷文平

オススメのワイン
Saumur-Champigny, Les Mémoires, Domaine des Roches-Neuves, 2013
品種:カベルネ・ブラン
産地:ロワール

ビオディナミで知られるティエリー・ジェルマン氏のワイン。 野イチゴなどの鮮やかな香りに、青臭い野菜と、根菜の煮物のようなアロマ、オリエンタルスパイスの甘さ。味わいは柔らかく、タンニンも滑らか。古樹(樹齢110年!)由来のミネラル分が味わいを複雑にし、滋味に富んだ長い余韻を生む。

合わせたい一品
小鳩の備長炭炭火焼

鉄分の多い小鳩には、同じく鉄分を含みタンニンが強すぎない赤を合わせたい。フォワ・グラも赤ワインの酸によってバランスよく補い合う。

店舗情報

12 rue de l'Amiral Roussin 75015
TEL:01 42 73 66 66
営業時間:12:30-14:00 / 19:30-21:30 
定休日:日、月
M:Avenue Émile Zola⑩、Cambronne⑥、La Motte Piquet Grenelle⑥⑩、Commerce⑧
www.neigedete.fr


気さくなビストロ&ワインバー

6Restaurant Chez GRAFF
シェフ:土谷光治 
ソムリエ:トマ・ルストー平

オススメのワイン
Irouleguy BORDAXURIA 2014
品種:グロ・マンサン60%、プティ・マンサン40% 
産地:バスク

カベルネ・フランの原産地、バスク地方のワインが再評価され始め、国外での人気も高い旬な一本。色は若干緑がかった黄色。フルーツやメンソール香。酸がきれいで、最後に苦味の余韻も。アペリティフやシンプルな魚料理と合う。地方産 チーズ、アンダィガスナとの相性は最高!

合わせたい一品
鯖(さば)のポワレ 椎茸、生姜、エスプレット唐辛子のブイヨン

ゆずコショウで味付けした鯖に、椎茸、いちじく、黒大根を散りばめた。鯖の艶っぽさを目で楽しみつつ、甘すぎない白を合わせたい。

店舗情報

62 rue de Bellechasse 75007
TEL:01 45 51 33 42
営業時間:2:00-14:30/20:00-23:00
定休日:日
M:Rue du Bac、Solférino⑫、Varenne⑬


7VINGT VINS D’ART
オーナー:東郷文孝

Bang Bang Burger!!!VINGT VINS D’ART
オーナー:東郷文孝

オススメのワイン
Alsace Pinot Noir 2014 Sans Sulfite Ajoutée, Domaine Rietsch
品種:ピノ・ノワール100% 
産地:アルザス

「グビグビ系ナチュラルワイン」。ラズベリーのような果実味から始まり、たっぷりのうまみ(個人的に鰹節香と呼ぶ)が飲み応えを感じさせる。シナモン系のスパイスの後味が次の一口を要求する。ブルゴーニュに比べ軽めながら、エレガントさも十分に発揮され、かつリーズナブル。

合わせたい一品
Bang Bang Burger!!!

タルタルステーキと自家製ソー スをオーガニックパンで。ジンジャーとごま油のエキゾチック な風味がこのワインとよく合う。

店舗情報

16 rue de Jouy 75004
TEL:09 8031 5204 / 06 7090 3364
営業時間:18:00-24:00 (土日は昼も営業12:00-15:00)
定休日:なし(12月24、25日と1月1日)
M:St- Paul①、Pont Marie⑦
www.vvdparis.fr


自然派ワインのラインナップに驚き!

8Le Clown Bar
シェフ:渥美創太

ジュー・ド・ヴォー Le Clown Bar
シェフ:渥美創太

オススメのワイン
Les Barrieux 2011 Jean-Yves Péron Vins naturels
品種:ルーサンヌ 
産地:サヴォワ

独特のナチュラルワインを作り出す面白いドメーヌ。多様な段丘から生み出されるワインは、自然派らしいオリジナリティに溢れつつ、丁寧できれいなつくり。魚よりも肉に合い「白ワインには魚」というイメージをくつがえしてくれる。特に2011年ものはパリでもなかなか出合えない1本。

合わせたい一品
ジュー・ド・ヴォー

子牛のほほ肉にアサリの酒蒸しを添えた。肉の甘みにアサリの持つ強いミネラル感がぴったり。ワインと、コルシカ産のほほ肉の力強さを繋いでくれる。

店舗情報

114 rue Amelot 75011
TEL:01 43 55 87 35
営業時間:水~日12:00-14:30 / 19:30-22:30
定休日:月、火
M:Oberkampf⑤、Filles du Calvaire⑧
www.clown-bar-paris.fr


9Restaurant A.T
シェフ:田中淳

イワナとジュニパーベリーとパセリ Restaurant A.T 
シェフ:田中淳

オススメのワイン
Bernard Van Berg
品種:シャルドネ 
産地:ブルゴーニュ

ブルゴーニュを愛し、ムルソーに移り住んだベルギーの著名な写真家ベルナール・ファン・ベルグの手がけるワイン。収穫量が極端に少なく、価格もお手ごろワインとは一線を画す。ラベルに村の名前も記さないが、途方もないポテンシャルを 秘めた1本。パリでも出合える店はわずかだ。

合わせたい一品
イワナとジュニパーベリーとパセリ

イワナのねっとりとした甘みとパセリの青っぽさ、ジュニパーベリー(西洋ねずの実)の甘みとスパイシーさがこのワインと程よく調和する。

店舗情報

4 rue du Cardinal Lemoine 75005
TEL:01 56 81 94 08
営業時間:火~土12:15-14:00 / 20:00-21:30
定休日:日、月
M:Maubert Mutualite⑩
www.atsushitanaka.com


和食に合わせるならこの2軒

10鉄板焼銀座おのでら
料理長:佐藤隆亮
サーヴィス:アラリア・ジュリアン

神戸ビーフのステーキ 鉄板焼銀座おのでら
料理長:佐藤隆亮

オススメのワイン
Vieux Chateau Saint Andre 2011
品種:メルロー85%、カベルネ・フラン15% 
産地:ボルドー

ロマネ・コンティと双璧をなす王道の一本。ペトリュスの醸造 長が手がける。濃厚で舌触りも良い。プルーンのような味わいにフルーティーな香り。タンニンと酸は落ち着いて飲みやすい。ミネラル感、ブドウの甘さと酸味などメルローの良い所が平均的に存在し、肉との相性は絶妙。

合わせたい一品
神戸ビーフのステーキ

神戸ビーフのブランド力はお墨付き。フランス人は赤味を好むのでサーロインを塩コショウで味付けたシンプルな一品。少量でも満足感が得られる。

店舗情報

6 Rue des Ciseaux 75006
TEL:01 42 02 72 12
営業時間:12:00-14:00 / 19:00-22:30
定休日:日、月昼
M:Saint Germain des Près④
www.teppanyaki-ginzasumikawa. com/shop.html#paris


11居酒屋れんげ
シェフ:近藤克敏

牛のたたき 居酒屋れんげ
シェフ:近藤克敏

オススメのワイン
Chassagne-Montrachet Rouge / Ramonet 2011
品種:ピノ・ノワール 
産地:ブルゴーニュ

シャサーニュといえば辛口白をイメージするが、艶やかなルビー色の赤も、フルーティで、かつ繊細な仕上がり。サクラ ンボやラズベリーのようなエレガントな赤系果実の香りに、ベルガモットやミントのようなハーブ、土を思わせるニュア ンス。ピノ・ノワールの美しさと強さを併せ持つ。

合わせたい一品
牛のたたき

欧州産の牛肉のバベット(ハラミ)を強火で表面のみ焼き上げ、自家製ポン酢で仕上げた。牛肉 のうまみがモンラッシェの軽やかな赤と心地よく調和する。

店舗情報

31 rue de la Parcheminerie 75005
TEL:01 46 33 75 10
営業時間:火〜土 12:00-14:00(LO)/ 火〜日 19:00-23:00(LO)
定休日:月
M:Saint-Michel④、Cluny-La- Sorbonne⑩、Odéon④⑩
lengue.fr


 

画家・黒田アキ「 宇宙庭園」の世界

AKI KURODA Cosmogarden 画家・黒田アキ
「宇宙庭園」の世界

画家・黒田アキ
「宇宙庭園」の世界

パリ在住日本人画家・黒田アキ氏(71)が10月17日(土)から1カ月半、10回目の個展+スペクタクル「コスモガーデン(宇宙庭園)」を開催する。欧州を拠点に、50年にわたる国際的活躍で知られる黒田氏のアトリエは、今も芸術家たちの香の残るモンパルナス界隈にひっそりと佇んでいる。パリ郊外ヌイイ・シュル・セーヌで行われる展覧会を前に、氏のアトリエにお邪魔し、宇宙の秘密をほんの少し覗かせてもらった。 (Texte : Tomoko ORIKAWA)

画家・黒田アキ

AKI KURODA Cosmogarden 10
2015年10月17日(土)~ 11月28日(土)

講演会

画家・黒田アキ
  • 10月28日(水)19:00(要予約・入場無料)
    天体物理学者ユバート・リーブスとトークの夕べ
  • 11月24日(火)19:00(入場料:5~8€)
    ジャーナリスト・美術評論家エリザベス・クチュリエ氏による講演

スペクタクル

  • 11月25日(水)20:00(要予約・入場無料)
    音楽・絵画・詩の朗読

子供のためのワークショップ

  • 毎週水・土開催(参加料:5€)
    作品制作に参加できる

Théâtre des Sablons
70 av du Roule 92200 Neuilly-sur-Seine
【予約】
TEL: 01 55 62 61 20
13:00~19:00
(土10:00~13:00、14:00~17:00)
月休 入場無料
※詳細は公式サイトにてご確認ください。
www.theatredessablons.com

・黒田アキってこんな人・・・

1944年 京都生まれ。パリ在住、画家。

絵画
黒田アキ1980年にパリ国際ビエンナーレのフランス部門から出品。ボナール、マチス、ミロ、ジャコメッティ、カルダーらとともにヨーロッパのアートをリードした「マーグ・ギャラリー」と契約。1994年、日本・横浜美術館で「マーグ・コレクション展」開催。マーグ作家として30年在籍のち、フリーランスで活躍。欧州での個展多数。 1993年、東京国立近代美術館で最年少個展(1994年国立国際美術館巡回個展)。1994年、サンパウロ・ビエンナーレで世界的に評価された。1993年、パリ・オペラ座、アヴィニョン国際演劇祭でバレエ「パラード」の舞台美術担当。

哲学
1985年、哲学者ジャック・デリダ、ミッシェル・セールらで知られる美術文芸誌「ノワズ」、1991年「コスミッシモ」創刊。ヴィム・ヴェンダース、ソニア・リキエルの作品などを掲載した。

建築
京都・南山城村立小学校で RIBA英国王立建築家賞インターナショナル・アワード受賞。東京ドームCITY HALL (JCB HALL)のアートワークスなど。

・「コスモガーデン」(宇宙庭園)って?

1992年初開催以降、10回目となる氏の個展。直訳すれば「宇宙庭園」、その定義は―― 「展覧会とスペクタクルを機軸とする宇宙(Cosmos)の総称。秘密の、しかし誰にでも開かれたガーデン。異質なものとの出会い。新奇で、懐かしい」。基本コンセプトは初回から変わっていない。無数の宇宙を同じ空間に存在させるなんとも不思議な3次元。

展覧会

宇宙庭園

「20年の集大成。全てが宇宙で庭。変わらぬ空間の中で、変わる"あなた"を発見して欲しい」

スペクタクル

宇宙庭園

「計6人が登場するパフォーマンス。ミュージシャン2人、ダン サー2人、フランス詩の朗読者2人。1時間半の即興で、会場を庭のようにFlâneur(フラヌール)=ぶらぶらする。あなたも重要な出演者の1人だ」

「コスモガーデンは7つの島から成り立っていると思ってもらえばいい。シチリアのエオリア諸 島のような。真っ白な住宅街があり、砂の色、形、趣の違う島々。全て回るとようやく概観がつかめる。現代は上へ上へと無限に伸びる、ジャックと豆の木だ。でも僕は、ミルフィーユみたい なもの。何層ものパイ生地が重なり、オーケストラになってハーモニーを奏でる。1枚だけはがして食べたりしちゃだめだよ」

・吉本ばななさんからメッセージ

黒田氏が装丁を手掛けた「王国」(1~3巻/2004年新潮社刊) の著者

黒田さん

一度しかお目にかかったことがないし、作品も、「王国」シリーズの装丁をお願いした時にしか生でみたことはない。そんな私が黒田さんについてなにか書いてもいいのだろうか、という気持ちがある。  

でも私は「王国その1」の表紙のサボテンの絵と共に暮らしている。毎日眺め、接している。だから、わかることがいくつかあるので、それを書こうと思う。

その絵は、思ったよりも大きく、迫力があった。色彩も鮮やかで、部屋の中で浮き上がってしまうほどだと、はじめ思った。しかし、不思議なことに、一緒に暮らしてみるととても静かだった。  

確かに存在しているのに、何も主張せず、生きている。  

そういう絵だった。

そして何年たっても決して目が慣れてしまうことがない。毎回見るとはっとするのに、かぎりなく自然なのだ。なんだろう、これは、といつも思いながらも、これは黒田さんの感じと同じなんだよな、と気付いた。

黒田さんの歩き方、笑い方、怒り方、ユーモアいっぱいの語り、全部が静かで、でも唐突で、予想がつかず、流れ去る時間のほうが黒田さんに恋して、そうっと黒田さんによりそっていく、そういう感じだったことを思い出した。

黒田さんはかなり目立つ人なのに、はしゃいでいない。とても静かな人なのに絶望していないし鬱でもない。セクシーな人なのに圧迫感がない。いつでも内側で生命の炎がふつふつと燃えている。その異様なバランスに、やりとりをするたびに圧倒される。

黒田さんは私のパリであり、私の「王国」である。

「王国」という小説は、幼いタイプの主人公が舌たらずに不器用に一人称で語る小説でその主題はかなりわかりにくいのだが、黒田さんはその真ん中をつかんで、さっととらえて絵にしてくれた。私はこういうことを描い たんだ、とそれを見てはじめて確認できた。 

アートとはなにかと考える時、私は創った人のことを考えずにはいられない。

創作者を通して、アートははじめてその命をこの世に出現させる。  

選択肢が二つあれば、創作者は必ず予想のつかないものを選ぶだろう。

もしもぎゅうぎゅうと狭い箱の中に詰め込まれて、決まったことをやらなくてはいけないという状況になったら、創作者は必ず、ほんの一瞬の、ほんの1ミリの隙間を探して、そこから少しでも自由のある方向に憧れを抱き、行動するだろう。

黒田さんはまさにそういう人だと思うのだ。

 

パリ・オペラ座へようこそ!

パリ・オペラ座へようこそ!

メトロ「オペラ」駅を上がると目の前にすっくとそびえる豪華な宮殿風建物。パリの観光名所の一つ、パリ・オペラ座(Opéra national de Paris)です。正式名称は「ガルニエ宮」(Palais Garnier)。歴史は古く、ナポレオン3世の命で計画され、当時無名の建築家だったシャルル・ガルニエの設計案が採用されました。構想13年、1875年オープン。

現在、ここを拠点とするパリ・オペラ座バレエ団は、オペラ・バレエ公演を使命とする国の「商工業的性格の公共機関」として文化省の管轄下にあります。

今回はガルニエ宮、そしてパリ・オペラ座バレエ団を徹底解剖。大理石の階段、宮殿風のフォワイエ、華々しい天井……まずは圧倒的な豪華さを誇るフランスバレエの殿堂、ガルニエ宮の舞台裏をのぞいてみましょう!(Texte : Tomoko ORIKAWA)

参照: オペラ座公式サイト www.operadeparis.fr
Emmanuelle Rodet-Alindret: Chef de service「ダンス・ヨーロッパ」 www.danceeurope.net 

パリ・オペラ座ガルニエ宮

ガルニエ宮 Palais Garnier

パリ・オペラ座バレエ団の本拠地となっているのがガルニエ宮。オペラの公演は、1989年に新設されたパリ12区の歌劇場「オペラ・バスティーユ」で行われることが多いそう。


外観

  • 1. エメ・ミレーの彫刻=三角屋根の頂点に立つ金の竪琴を持ったアポロン。(写真下左)
  • 2. 客席の上のドーム状の天井部分は、外から見ると緑銅色。内部の腐敗を防ぐため。
  • 3. 屋根の左右両端に輝く金の彫刻=芸術の女神。(写真下右)
  • アポロン(左)芸術の女神(右)
  • 4. 脇の円形ドーム=「皇帝のパビリオン」。昔、皇帝が安全にロイヤルボックスに入るため設計された。

内部

  • 5. 観客席から見上げる丸い天井絵=シャガール作「夢の花束」。
  • 天井絵=シャガール作「夢の花束」
  • 6. 大階段=ファサードを抜けると大理石の階段。豪華な夢の世界へ。
  • 大理石の階段
  • 7. 「オペラ座の怪人」指定席=1909年ガストン・ルルー作の小説の中で、怪人が指定した席は2階舞台際から3番目の、5番ボックス席。

オペラ座のハチミツオペラ座産・名物ハチミツ
ガルニエ宮の屋根で養蜂が行われているのをご存知?オペラ座ミツバチが集める蜂蜜はお味もたいそうエレガント。併設ショップで購入可。

内部の見学

オペラ、バレエ公演のない時間帯の自由見学とガイド付きツアーがある。自由見学は10時~17時(7月中旬~ 9月中旬18時まで、昼公演時13時まで)。入場は閉館の30分前まで。ガイドツアーは所要1時間半、14.50ユーロ。ツアーは水土日11時半(英語/仏語)、14時半(英語)、15時半(仏語)からスタート。

8 rue Scribe, Place de l'Opera, 75009 Paris
M: Opera ③⑦⑧ 
Tel: 01 53 41 89 00


パリ・オペラ座バレエ団
Le Ballet de l'Opéra national de Paris

世界最古・最高峰

世界のバレエ団のトップに名実ともに君臨するパリ・オペラ座バレエ団。倍率数百倍の中から晴れて正式入団したダンサーを、完全なる階級社会が待っている。下から、カドリーユ Quadrilles(群舞)→ コリフェCoryphées (登場回の多い群舞)→スジェSujets(セ カンド・ソリスト)→ プルミエ Premiers danseurs(ファースト・ソリスト)→ エトワー ル Étoiles( 主役・花形ダンサーのみ)という5階級昇格制度。舞踊監督の指名で決まるエトワール以外は、毎年の昇格試験で争われる。審査員は10人。その年に空席が無ければ昇進もない過酷なシステムだ。エトワール級の団員になると、公式サイトのプロフィール欄に顔写真、経歴、紹介映像がつくようになる。お気に入りのダンサーが見つかれば、観劇の楽しみも倍増すること間違いなし。

新監督・改革に向かうオペラ座

2014 年秋、ブリジット・ルフェーヴェル監 督の後任としてバンジャマン・ミルピエ氏 (37)が芸術監督に就任。プリンシパルだっ たNYCB(ニューヨーク・シティバレエ団)を2011年引退後、振付家として活躍。映画 「ブラック・スワン」でバレエ指導した女優の ナタリー・ポートマンと結婚。NYCB で多くの現代作を踊ったミルピエ氏の経験が伝統あるパリ・オペラ座に新風を巻き起こすのか。 初のプログラムとなる2015-16シーズンでは、19もの新作がレパートリー入り。 www.operadeparis.fr/saison-15-16/ballet

是非抑えたい!
パリ・オペラ座トップの美しすぎる男たち

エトワールとして活躍中の男性ダンサー。異なる個性の貴公子たちから眼が離せない!

エルヴェ・モローエルヴェ・モロー
Hervé Moreau

端正な顔立ち、すらりと伸びた長い脚。身体的に恵まれ、多くのファンがエトワール昇進を心待ちにしていたオペラ座屈指のダンス・ノーブル。2006年3月「ラ・バヤデール」でエトワールに昇格。ノーブルな感性と高い演技力が絶賛された。当たり役に「白鳥の湖」のジークフリートなど。ケガに悩まされる一方、NYで貧しい子供たちの芸術教育支援活動にも携わる。2007年ブノワ賞受賞。

ジョシュア・オファルトジョシュア・オファルト
Josua Hoffalt

1998年パリ・オペラ座バレエ学校入学、2002年入団、翌年コリフェに昇格、2004年ヴァルナ国際 バレエコンクールで銀賞受賞、カルポー賞受賞。文句なしのプルミエ昇格、2009年3月7日「ラ・バ ヤデール」初日終演後エトワール任命。世界バレエフェスなど来日も多く、コンテンポラリーも得意とする。優れた身体能力に加え、洒脱なムードと男らしさを併せ持った貴重なダンサー。

マチュー・ガニオマチュー・ガニオ
Mathieu Ganio

父デニス・ガニオ、母ドミニク・カルフーニ、共に世界的ダンサー。実妹マリーヌ・ガニオも同団在籍のバレエ一家。1992年マルセイユバレエ学校入学、1999年パリ・オペラ座バレエ学校編入。2001年入団、2003年スジェ。2004年5月「ドン・キホーテ」でエトワール(飛び級は史上4人目)。親譲りのスター性と実力を兼ね備えたオペラ座の顔。日本での人気も高く、2015年は能舞台で異色の共演も見せた。

カール・パケット カール・パケット
Karl Paquette

1987年パリ・オペラ座バレエ学校入学。1994年入団。1999 年カルポー賞受賞。2009年12月31日「くるみ割り人形」公演後エトワール任命。キャラクターダンサーとして評価が高い。ブロンドの髪、端正な顔立ちで、王子・主役から脇役まで幅広く演じる貴重な役者。183cmの長身を生かし、女性エトワールへの丁寧なサポートにも定評がある。技術・演技面とも円熟期にある一人。

知っておきたい女性ダンサー

世界一の優美さを身にまとい……永遠のエトワールから新鋭の輝きまで

シルヴィ・ギエムシルヴィ・ギエム 
Sylvie Guillem

1965 年パリ生まれ、100年に1人の逸材と称される現代バレエの女王。19歳でオペラ座史上最年少エトワールに。1988年23歳で同バレエ団を電撃退団。フランス各紙が「国家的損失」と報道した。英国ロイヤル・バレエ団のゲスト・プリンシパル後、フリーとして来日公演多数。古典からコンテンポラリーまで幅広く踊り、代表作にモーリス・ベジャールの「ボレロ」など。2015年末での引退を表明、12月の日本公演が最後となる。歯に衣着せぬものの言い方から「マドモワゼル・ノン」と呼ばれた。陶芸など日本文化への関心も高く、東日本大震災後にはいち早くチャリティー公演を実施した。2015年ローレンス・オリヴィエ賞受賞。

オニール八菜オニール八菜
Hannah O'Neill

東京生まれ。3歳でバレエを始め、8歳まで日本で過ごした。オー ストラリア・バレエ学校を首席で卒業後、パリ・オペラ座シーズン契約獲得。2013年、正式団員として入団ののちコリフェに昇格。将来エトワール候補確実とされる新鋭ダンサー。

オレリー・デュポンオレリー・デュポン
Aurélie Dupont

歴代エトワールの中で来日歴も多く、広く名を知られた1人。 情感溢れる踊りで人々を魅了した。2015年5月アデュー公演「マノン」で、惜しまれつつ42歳定年引退。今後は「メートルド・バレエ」として後進育成のためオペラ座に残る、特別な存在。

観劇前後のお立ち寄りスポット

オペラ座併設のモダンなレストラン
オペラ・レストラン L'Opera restaurant

L'Opera restaurant歴史的建造物であるガラス張りの壁、天井、階段を活かしたモダンな設計が話題に。正面右側のオペラ 座ショップの脇、赤い絨毯の階段が入り口で、店内は広々。クラシック音楽をバックに、ミシュラン2つ星シェフ、クリストフ・アリベール監修の、伝統フレンチ+地方素材の組み合わせをお試しあれ。

Palais Garnier
Place Jacques Rouché, 75009 Paris 
Tel: 01 42 68 86 80
7:00~24:00(土日8:00〜)
ランチ12:00~15:00、ディナー18:00~24:00
予約必須
無休
www.opera-restaurant.fr

目と鼻の先、老舗レストランで優雅な気分に
カフェ・ド・ラ・ペ Cafe de La Paix

 Cafe de La Paixオペラ座と同じシャルル・ガルニエによる設計で、こちらも国の文化財。1862年5月5日にウジュニー皇后が落成式を行ったことでも有名な、華の都パリの神話的存在のレストラン。横幅42mの自慢のテラス席で、オペラ座を外から眺めてカフェでもいかが?店内ではコース料理も。

12 bd des Capucines, 75009 Paris 
Tel: 01 40 07 31 72
レストラン 12:00~15:00、18:00~23:30
テラス 7:00~24:30
無休
www.cafedelapaix.fr/jp

第二のオペラ座?パリで最も豪華なスタバ
スターバックスコーヒー Capucines

スターバックスコーヒーオペラ座から歩いて1分。豪華なシャンデリアの間、天井には花や天使の絵画がひしめく。元はナポレ オン3世の邸宅だったお屋敷で、メニューには焼きたてクロワッサンとパン・オ・ショコラ、朝食定番「クロック・ムッシュ」も。舞台パンフ片手に立ち寄ってみては。

3 bd des Capucines, 75002 Paris 
Tel: 01 42 68 11 20 
7:00~23:00
www.starbucks.fr/store/20277

ダンスグッズ・シューズの専門店
レペット Repetto

 Repetto履きやすくてかわいいバレエシューズが人気の老舗ブランド。1947年、靴職人のローズ・レペットが息子ローラン・プティ(振付家)のすすめでオ ペラ座前のアトリエでシューズを作り始め、瞬く間にダンサーの定番に。本店では日本人店員が常駐、シューズのセミオーダーは日本への配送可。

22 rue de la Paix, 75002 Paris 
Tel: 01 44 71 83 12 
9:30~19:30 
日祝休
www.repetto.fr

 

フランスの女性…、日本の女性。ビビアンヌ・ド・ボーフォール

フランスの女性…、日本の女性。フランスの未来を作る女性達、日本へのメッセージ

女性の社会進出は家庭の崩壊につながるという考え方がいまだに強い日本社会と、女性が男性と対等に内閣閣僚や大企業の取締役として活躍するのがいまや当然のフランス社会。

日本でフランス、特にパリというとファッションや芸術、グルメなど文化面が強調されていますが、フランスで仕事をする中、日本で想像していたよりもずっと国際的で競争的なフランス社会と、大企業取締役や政府閣僚、経団連会長などとして男性と対等に国の経済や政治を率いているフランス女性達の活躍ぶり、そしてそうしたことを当然とする社会の意識を強く感じてきました。

日本でも最近女性の社会参画が進められ、経済産業省が報告書を出したり東京弁護士会からパリ弁護士会に諮問があったりしています。しかし単なる女性の就業や管理職登用促進を超えて、企業経営の改善-コーポレート・ガバナンスの見地から、企業の取締役に多くの女性を起用することや、男女労働者の待遇の均等を完全に実現すること、そのために政府が企業を監視することの必要性などについての議論はまだ十分ではありません。

国際通貨基金(IMF)のクリスチーヌ・ラガルド総裁は、2014年9月の東京での演説「女性の参画が経済に持つ力 ‐ 女性は日本を救えるか」の中で、「日本経済が将来明るい展望を持つことができるためには、強く聡明な女性が参画して経済を活性化させる必要があることは明らかです」と語り、日本での大きな男女間の賃金格差の改善や、職場に長時間いることを重視して女性を総合職から排除する企業文化の見直し、能力・成果主義の給与体系の導入を提案しています※1

改善 Kaizenという語は80年代、日本の高度成長の時代に海外で流行しましたが、日本社会の「Kaizen」にとって今一番重要なことの一つは、有能な女性が職場で十分に能力を発揮し、男性と同様に昇進し、リーダーとして企業や組織を率いていくことができるシステムを作っていくこと、そしてそのために指導者層の意識と、女性の職場や家庭における役割についての固定観念を変えていくことだと思います。

本号より毎月1回、フランスの政治、ビジネス・経済、法律、教育、メディアの各分野で活躍する女性の人生とその業績を彼女達自身の経験、及び日本社会における女性の地位に関する考察についてのインタビューを交えて紹介します。

初回はフランスにおけるダイバーシティの問題で第一人者、ESSEC経済商科大学院教授のビビアンヌ・ド・ボーフォールさんです。

ビビアンヌ・ド・ボーフォール

Madame Viviane de BEAUFORT
ビビアンヌ・ド・ボーフォール
ESSEC 経済商科大学院教授

欧州統合が進む時代に思春期を過ごす。フランス人シモーヌ・ヴェイユの欧州議会議長としての活躍などを見る中で欧州連合の理念に強く惹かれ、パリ第1、第10大学で欧州連合法と政治学を専攻。当初は公務員となることを目指し、単一欧州議定書協議の時期に欧州共同体で勤務するが、後にヨーロッパの未来を作るのは教育との信念から大学教授となることを決意。ヨーロッパ法博士号取得後パリ第1大学で教鞭をふるう。

1996年よりESSEC経済商科大学院でヨーロッパ法の教授を勤め、2006年に欧州委員会からジャン・モネ・チェアーを授賞、2008年同大学院内にEU シンクタンク、欧州法律経済センター( Centre européen en Droit et Économie)を設立し、館長となる。同大学院の法学コース学部長。

欧州会社法の第一人者で競争法、国際商法、株式公開買付、企業組織法、コーポレート・ガバナンス、企業の社会的責任のほか、公共管理、NGOのロビー活動、欧州市民権、比較制度分析などを主なテーマとし、これまでに約130の論文、11の著書がある。

2008年からジェンダー・ダイバーシティの問題に取り組み、北米での状況を視察したのち、フランスのグランゼコールとして初めてESSEC 経済商科大学院に女性のみを対象とした管理職・企業幹部・起業家養成コース、「WOMEN ESSEC」を立ち上げた。その中でも取締役に就任する女性の養成プロブラムである「Women be European Board Ready」では法律、財政、企業戦略、比較社会学、心理学、人材開発など多様な分野の専門家と共に、女性が取締役・執行役に就任するに当たって必要な知識と能力、そして従来のジェンダーに関する固定観念を乗り越える態度の養成を行っている。

Women's Forum※2 などの国際的な女性ネットワークで中心的な存在。EUへの貢献、改革的な大学教育などでの業績が高く評価され、2011年に国家功労勲章騎士号を受勲した。28歳の娘の母。

第1回 企業管理
ダイバーシティとコーポレート・ガバナンス

語り手:ビビアンヌ・ド・ボーフォール
聞き手:永澤亜季子

2008年にESSEC経済商科大学院で女性のみを対象とした企業幹部・起業家養成コースを立ち上げたきっかけは何ですか。

当初は起業する女性をサポートするプログラムを作ることが目的でしたが、その後フランスで企業の取締役会における男女同数幹部の義務化(クオータ制)が審議される中、取締役に就任する女性をサポートすることが非常に重要になりました。実際に女性が企業内で幹部として経歴を高めていくことができるためには、単に取締役会の女性の数を増やすだけでは十分ではなく、職業キャリアの各段階、企業の全ての部署内で意欲のある女性がキャリアを高め、能力を発揮していくことができるための制度を整える必要があるからです。

フランスは女性の就業率が高いことで知られていますが、女性が企業内で昇進するのを妨げる「ガラスの天井」のような企業慣行の防止や、男女労働者間の完全な給与(及び年金)額の実施を政府が監視すること、そして高い能力を持った若い女性が出産した後育児と仕事を両立し、経歴をさらに高めていくことができるようにサポートすることはまだフランスでも必要です。

そのため ESSEC経済商科大学院では、能力のある若い女性をサポートする「Femmes et Talents」、女性が企業に勤めた後自らのビジネスを立ち上げる場合に必要な知識を養成し、外部ネットワークとつなげる 「Entreprendre Au Féminin」、そして企業の取締役、執行役、役員に就任する女性を養成する「Women be European Board Ready」の3つのプログラムを置いて、女性がキャリアの各段階で直面する問題に対応しています。

「Women be European Board Ready」プログラムでは、女性が企業を管理するために 必要な能力だけでなく「態度」も養成するということですが、具体的にどういうことですか。

企業の取締役は男性が多数派を占める役員の中から選ばれるのが通例でしたが、コペ・ジンメーマン法※3で大中企業の取締役会における男女同数制が義務づけられるようになったため、執行役員や上級管理職のポストにいる女性、また弁護士など自由業の女性から取締役が選任されるようになりました。

企業の執行役員と取締役の任務は違い、執行役員は業務を執行する役割を担う一方、取締役は執行された業務を監督し、必要な戦略を助言、提案する役割を担います。「Women be European Board Ready」プログラムでは、取締役に就任する女性が意思決定者、監督者として必要な態度を身につけて、この役割変化にうまく対応するための養成教育を行っています。また取締役会でまだ少数派の女性が、コンプレックスなく自然に意見を述べることができるようになるためのトレーニングも優秀なコーチ、また外資系企業の場合にはその国の企業文化に通じた専門家を交えて行っています。

取締役会における男女同数制を義務づけたコペ・ジンメーマン法の効果はどのように受け止めていらっしゃいますか。

法案審議の際に政府から何度か諮問を受けましたが、フランス社会を革新する上で、同法律が採択されて良かったと思っています。2011年以降のフランスにおけるクオータ制の導入は、国内外で大きな反響を呼び、スペインやドイツなどの法律、モロッコやカナダの法案のモデルとなりました。政府の監督のもと各企業で実施され、違反企業に対する制裁も強められています。EUでもフランスのモデルにかなり近いクオータ制の導入を全加盟国に義務づける指令案が審議されています。

北米と違ってラテン的な女性観がまだ強いフランスでは、企業文化を根本的に変えるためには法律で企業に男女同数幹部を義務づけることが不可欠でした。このアファーマティブ・アクションは暫定的で、2017年に40%の目標が達成されればそれ以降は企業が自発的に女性取締役の任命に積極的になるためクオータ制を法律で義務づける必要がなくなると考えられています。法律施行以後、企業社会全体の意識も次第に単にジェンダーの観点で女性を取締役に起用するという考え方から、取締役会の価値を高める有能な人材を起用するという考え方に変わってきています。

コペ・ジンメーマン法は、対象企業で女性取締役の数を増やす高いレバレッジ効果を挙げているだけでなく、世論の強い支持により法律が適用されない分野、例えば会社の社長と副社長の任命のレベルにまで影響を及ぼしています。

一般に女性幹部は倫理観が強く、理想を大事にし、男性幹部よりも企業の管理が厳格であるという国際的な統計があります。従って取締役会のダイバーシティを促進し、より多くの有能な女性が企業の意思決定に参画することは、単なる男女平等の見地からではなく、企業管理の質の向上、競争力の強化の見地からも重要なことです。

日本企業の取締役会で女性が占める割合はわずか1%、衆議院ではわずか8%で、クオータ制の導入はまだまだ先のように思えます。日本で男女平等を実現するために努力している女性達に届けるメッセージはありますか。

去年パリで開催された世界女性サミットで 日本の女性に何人か会いましたが、その中で東京都都知事補佐官を務めている40代の女性と話をする機会がありました。彼女から、日本で男女機会均等を実現するために努力しているが周りの政治家の意識を変えるのが非常に難しい、自分は独身で子供もいない、という話を聞き、日本ではキャリアアップを目指す女性が家族生活を犠牲にすることを強いられているのではという印象を受けました。

日本ではフランスのようにベビーシッターや託児所の施設が十分ではなく、子供を持つ女性がキャリアを高めていくのが難しい状況があります。

確かにそれも一つの理由ですが、問題はより深いのではないでしょうか。何よりも、子供がいるのに仕事を続ける女性を母親の義務を十分に果たさない女性、悪い母親とする社会の目が問題の根本にあるのではないかと思います。ヨーロッパではドイツがこのケースですが、日本ではおそらくこの傾向はもっと強いでしょう。働く女性を「悪い母親」とするこうした考え方は国民性からくるもので、変わるまでに長い時間がかかると思います。

日本の女性はまだ世界的に孤立していますので、「Women's Forum」のような国際的な女性フォーラムを日本で開催するのがいいと思います。こうしたフォーラムを通じて日本人女性も国際的なネットワークを作っていけば、 集団的な意識も次第に変えていくことができると思います。

また欧州議会の議員を日本に招いて講演会を開催するのも一つの案です。欧州議会には女性の権利推進委員会があり、EU加盟国におけるダイバーシティの促進を積極的に進めています。日本はドイツと国民性が似ていますので、メルケル政権のもとでドイツがクオータ制を導入したことをドイツ人の男性議員が日本で紹介することは、日本人がこうした問題をより身近に感じるために効果があるのではと思います。

欧州のダイバーシティ政策の背景には、金融危機以降の景気不安定と高齢化社会という事情があります。日本も同様の問題を抱えていますので、これ以上高学歴の女性の能力を無駄にしないための制度改革を確実に進めていく必要があると思います。学費がとても高い日本で、高い学歴を持つ女性が出産後、職場でキャリアを高めることができずに子育てに従事する状況を放置することは、経済的な観点からも合理的ではありません。

欧米企業では国連のグローバルコンパクト※4 やOECDのガイドラインに添って、企業の社会的責任(CSR) には男女平等、性別による差別禁止に関する措置が含まれていますが、日本ではCSRは企業による環境への配慮、市民社会への貢献としか一般に理解されていません。このことについてどう思われますか。

CSRは何よりも経営革新のためのものなので、日本企業がCSRを発展のツールとして活用していないことは残念に思います。福島の原発事故後、日本ではそれまでのビジネスモデルを考え直し、CSRをより積極的に取り入れる機会があったのではないでしょうか。国際機関の統計でも企業における男女の機会均等の問題で、日本は最下位となっています。グローバルコンパクトに加入している欧米企業の支社が、日本で顧客や取引先企業に対してグッドプラクティスを実施していると思いますが、今後日本企業がより積極的にこれらの要素をCSRに導入していくことが望ましいと思います。

日本では結婚の際通常女性が自分の姓を放棄して男性の姓になります。数年前夫婦別姓の選択を可能にする法案ができましたが、家族のきずなを崩壊させるなどの理由で国会に提出されませんでした。

家族のきずなは姓で決まるものではなく、また家庭は男性を中心に築かれるという考え方は遅れていると思います。同じ姓を持つ夫婦の離婚は数多く、また現実にも夫の姓で女性が職業上知られている場合、離婚後その姓を維持できなくなると大きな問題が生じるので、社会における女性の地位向上をうたう一方で、夫婦別姓を認めないことには矛盾があるのではないでしょうか。何よりも結婚してどちらの姓を持つかということは個人の選択の問題ですので、国が夫婦に選択の自由を認めるという立場の方が進んでいると思います。

仕事と私生活の両立という点に戻りますが、フランスでは社員が週に何日か自宅で仕事をすることを認める「遠距離通信労働に関する企業合意」(Charte de télétravail)※5という制度が多くの企業で一般化しつつあります。社員が自宅で仕事をすることは企業にとって社員の士気と効率性の上昇、交通費などの費用の節約といったメリットがあるだけでなく、大気汚染の減少にもつながるため、多くの大企業で実施されている制度です。日本は情報通信技術が発達した国なので、日本企業もそうした情報通信技術を使って職場での長時間労働を重視する慣習を見直し、能力と成果を重視する制度、子供のいる女性が家庭を大事にしながら同時に能力を十分に発揮して職場で業績を挙げていくことができる制度を取り入れていけばいいと思います。

社会で活躍する母親と子供のきずなについてどう思われますか。

私自身、仕事をする母親を見ながら育ちましたが、仕事をする母親を持つ子供の方が主婦の母親を持つ子供よりも自立心が高く、大人になってから特に女の子は出世する、男の子は家族を大事し家事に積極的に参加するようになるというハーバードビジネススクールの論文※6を最近読みました。思春期の子供にとって、キャリアを高めながら社会に貢献しているという生きがいを持って輝いている母親は尊敬の対象、人生のモデルとなります。また実際にも子供が大学を出て就職する際に母親が会社の取締役などとして社会で重要な地位にあれば、子供は母親から必要なアドバイスを受け、そのネットワークを活用することができるという大きなメリットがあります。

私の娘は巷にいう「ジェネレーションY」で、男女平等が当然と思っている世代ですが、娘たちの世代にとってよりいいフランス社会、若い女性が人生を選択することができる社会を作りたいという思いがあって、これまでダイバーシティの問題に取り組んできました。仕事はすごく忙しいですが、娘とのきずなは年とともに一層強まっている気がします。娘の彼はもちろん家事に参加しますが、二人が家庭を作るようになったら多分彼よりも私の娘の方が出世して偉くなるんじゃないかと思います。

娘達のようなカップルのあり方は社会におけるダイバーシティが個人の意識のレベルにまで及んできていること、昔のように「男は仕事、女は育児」というモデルに合わせて人生を決めるのではなく、各々が自分の持っている能力を自覚して夢を叶えるために人生を選んでいくという価値観が国民に行き渡ってきていることを表しています。私の世代でフルタイムで仕事をしながら、娘に「夢を大事にしなさい ! 」とうるさく言い聞かせてきた女性は数多いので、フランスでこの数十年間急速に昔のモデルが廃れて国民の価値観が変わったのも、そのためだと思います。

永澤亜季子永澤亜季子
フランス共和国弁護士
クラレ・リーガル(CLARÉ LEGAL)総合法律事務所。
著書「フランス暮らしと仕事の法律ガイド」(頸草書房)

※1「女性の社会進出が持つ経済パワー」2014年9月12日演説
http://www.imf.org/external/np/speeches/2014/091214.htm (英語)
http://www.imf.org/external/japanese/np/speeches/2014/091214j.pdf (日本語)

※2 Women's Forum……2004年に設立された国際会議。「女性のダボス会議」と呼ばれ、各国の女性有力者、及び男性識者が毎年フランスのドーヴィルに集まり政治経済における女性の参画を議論する。アジアではすでにアウンサンスーチーの主導でビルマ、マレーシア、中国で開催されている。

※3 コペ・ジンメーマン法……2011年に公布された企業の取締役会のメンバーを2014年までに20%、2017年までに40%女性とすることを義務づける法律。上場企業及び 従業員数500人以上の企業、及び従業員数250人以上の株式会社に適用される。労働問題・厚生・女性の権利省の監督のもとで積極的に実施されており、2014年には取締役会における女性の割合は平均30.3%、CAC40指数の企業で女性取締役の数は4年間で3倍に増加した。

※4 グローバルコンパクト……2000年にコフィーアナンの主導で国連が打ち出したCSRに関する原則。ダイバーシティに関しては現在世界で取締役会の男女同数幹部が法律で義務づけられている国は12か国、「遵守又は説明」(comply or explain)の制度を取っている国は16か国である。

※5 遠距離通信労働に関する企業合意……企業と労働組合との間で結ばれる。フランス銀行、Bouygues、ダノン、ミシュラン、エールフランス、EDF、ENGI E、アクサ保険、ルノー、オレンジ、アルカテル・ルーセント、IBM、GE等多くの大企業で実施されている。

※6 「働く母親が子供に与える利益」ハーバードビジネススクール2015年5月15日記事
http://www.hbs.edu/news/articles/Pages/mcginn-working-mom.aspx

関連サイト・ネットワーク

 

パリのマルシェ

マルシェ
パリライフをのぞいてみよう!

フランスには多くのマルシェ(市場)があります。
野菜、肉、魚、チーズといった食料品はもちろん、
衣料、古本、雑貨やアートまで。
マルシェマップパリには約100のマルシェがあるとされ、
中でもぜひ訪れたい食料品市場を選びました。
地区ごとに雰囲気も異なるため、いろいろ巡って
お気に入りの場所を見つけてみましょう。
お店の人との会話も楽しみながら、
さあ、On y va(行きましょう)!
(Texte: Tomoko ORIKAWA)

マルシェで買い物をするときのポイント
カードを使える店が少なく、現金が必要です。スリが多いため、手荷物には十分注意してください。たくさん買い物するならバッグやカートの持参は必須。フランス語に自信がなくても、欲しい品物を指さし、身振り手振りと知っているフランス語を駆使して、お目当ての商品をゲットしましょう!

1 Marché Bastille
バスチーユ

バスチーユ

パリ最大のマルシェ。バスチーユ、ブレゲ・サバンの両駅からアクセス可能。木・日曜日の週2回、元気な掛け声が飛び交い、ざっくばらんなやり取りは、見ているだけでも雰 囲気たっぷりだ。にっこりほほ笑めばおまけしてくれる太っ腹な店員さんも多く、マルシェ初心者にもオススメ。観光客にも人気で、英語が通じるところもある。

Bd Richard Lenoir 75011 Paris
M: Bastille①⑤⑧、Bréguet-Sabain⑤
木 7:00-14:30、日 7:00-15:00

2 Marché spécialisé biologique Raspail
ラスパイユ

ラスパイユ

パリ最大のマルシェ。バスチーユ、ブレゲ・サバンの両駅からアクセス可能。木・日曜日の週2回、元気な掛け声が飛び交い、ざっくばらんなやり取りは、見ているだけでも雰囲気たっぷりだ。にっこりほほ笑めばおまけしてくれる太っ腹な店員さんも多く、マルシェ初心者にもオススメ。観光客にも人気で、英語が通じるところもある。

Bd Raspail entre les rues du
Cherche-Midi et de Rennes 75006 Paris
M: Rennes⑫
日 9:00-15:00 

3 Marché St-Honoré
サントノレ

サントノレ

その名も「マルシェ・サントノレ広場」、1810年からの市場。屋内マルシェの後 1997年に、建築家リカルド・ボフィル設計によるガラスの建物にリニューアルされた。ブティック街のサントノレ通り近くなので、買い物帰りの息抜きに立ち寄るパリジャンの姿が。野菜・チーズなど食料品の他、スカーフなど衣料品も充実している。

Pl du marché St Honoré 75001 Paris
M: Pyramides⑦⑭
水 12:30-20:30、土 7:00-15:00

4 Marché couvert des enfants rouges
アンファン・ルージュ

アンファン・ルージュ

雨の日でもOKの、マレ地区の屋内マルシェ。 元孤児院だった建物で1777年から利用されている。特徴は、モロッコ、トルコ、ギリシャなど各国ランチがテークアウトできること。和食、そしていまやパリジャンに絶大な人気を誇る「ベントー」を求め、お昼にサラリーマンが列をなしていることも。もちろんその場で食事をすることもできる。

39 rue de Bretagne 75003 Paris
M: Temple③、Filles du Calvaire、St Sébastien Froissart⑧
火~木 8:30-13:00 / 16:00-19:30、金・土 8:30-20:00、日 8:30-14:00、月休

5 Marché Président Wilson
プレジダン・ウィルソン

プレジダン・ウィルソン

高級住宅街、16区のマダムご用達青空市場。星付きシェフが好んで購入する、有名なジョエル・ティボー氏の野菜や、高級ホテルに出荷するメゾン・ラフィットの南西部特産フォ アグラなど。ノルマンディー地方から直送販 売される、新鮮な無添加チーズやバターが大人気だ。量り売りのオリーブ、お土産に最適なドライフルーツやナッツもそろう。

Av du Président Wilson 75016 Paris
M: Iéna、Alma-Marceau⑨
水 7:00-14:30、土 7:00-15:00

6 Marché couvert St-Germain
サンジェルマン

サンジェルマン

サンジェルマン・デ・プレの中心、ショッピ ング街のサンジェルマン市場。建物の中にはファッション系のブティック、カフェ、レストラン、ワインバーからイタリア食材専門店までが並ぶ。こじんまりとしていて品の良い店舗が多く、じっくり買い物を楽しみたい方に。いかにもパリといった雰囲気で、寒い冬の日や雨の日でもオススメのマルシェだ。

4/6 rue Lobineau 75006 Paris
M: Odéon④⑩、Mabillon⑩
火~金 8:30-13:00/16:00-20:00、土 8:30-13:30/15:30-20:00、日 8:00-13:30、月休

7 Marché Monge
モンジュ

モンジュ

メトロ出入口のある広場に立ち、小規模なマルシェで回りやすい。現代の「パリの胃袋」と呼ばれるムフタール街の近くだけあり、グルメや通向けの新鮮な野菜、フルーツ、オリーブなどがそろっている。花屋や、近くにはおいしいパン屋やレストランも。混み合っていないので子連れでも安心。庶民の素顔をのぞける親しみあるマルシェ。

Rue Mouffetard 75005 Paris
M: Place Monge⑦
水金日 7:00-13:00

8 Marché d'Aligre
アリーグル

アリーグル

バスチーユ近く、下町エリアの庶民派マルシェ。アフリカ系の店も多く、月曜日以外の毎朝、多くのスタンドが立ち並ぶ。野菜や果物の安さと種類の豊富さは、遠方から足を伸ばす価値あり。欧州地ビールを200種類集めた専門店や、コルシカのワインなどを扱う専門店など見どころ多数。ブルターニュ産の肉系惣菜や、ミートパイも有名だ。

Rue d'Aligre 75012 Paris
M: Ledru Rollin⑧
火~日 7:00-13:30、月休

フランス各地の特色あるマルシェ

ロワール
トランゾー村の
「西洋カボチャと珍しい野菜マルシェ」

10月第2日曜日に、300kg以上の巨大カボチャのコンクール、無農薬野菜を使った料理教室や彫刻教室が行われる。

ミラベルのマルシェロレーヌ
メッスの特産フルーツ
「ミラベルのマルシェ」

メッスの特産フルーツ「ミラベル(スモモの一種)のマルシェ」。8月中旬から下旬。秋にはミラベルマラソンも行われる。
www.metz.fr 

トウガラシのマルシェバスク
エスプレット村の
「トウガラシマルシェ」

エスプレット産トウガラシは、AOCの付いた高品質なもの。10月の最終日曜日、村一帯に真っ赤な市が立つ。
www.pimentdespelette.com

ピカルディー
アミアンの「水上マルシェ」

アミアンの湿地野菜園は、川や支流の小 島を切り開いた中世の菜園。収穫された作物は土曜日の朝、パルマンティエ広場で売られる。毎年6月の「水上マルシェ」には、現在も全国から人々が訪れる。

トリュフのマルシェペリゴール
ラルバンクの
「トリュフマルシェ」

ペリゴール地方のラルバンクやドローム県のリシュランシュでは、冬ともなれば 高級食材のトリュフ専門マルシェが大人気。また、この地方特産のフォアグラも合わせて、年末の食卓にいかが?
www.lalbenque.net/truffes

リムーザン
クロザン村の「キノコと有機野菜のマルシェ」

リムーザン地方には多くの森があり、たくさんのキノコが採れる。自然のままの菜園で育った野菜を買える小さなマルシェ。10月にはキノコ狩り体験もできる。
www.tourisme-creuse.com

マルセイユのマルシェプロヴァンス
マルセイユの
「新鮮・魚介類のマルシェ」

さすがフランス最大の港町。マルセイユの波止場では、毎朝上がったばかりの新鮮な魚や貝が売られ、パリや他の都市とはまったく違った南仏ならではのマルシェを堪能することができる。
www.marseille.fr

 

フランスの地ビール

フランスの地ビール

缶ビール「1664」を見て、あれ?フランス人もビールを飲むんだ、と改めて気付いたあなた!!もちろんです。この機会に、ワインやシャンパンだけでなく、フランスの知られざる「地ビール」をお土産に持ち帰り、周囲をあっと言わせてみませんか。

ドイツやベルギーに劣らず、フランスでも古くから穀倉でビール造りが行われていました。一定期間低温で貯蔵する「ビエール・ド・ギャルド」というスタイルが特徴です。

パリ11区、シャロンヌ通りに2013年にオープンしたビール卸売業「Paris Saint Bière」は 、フランス・ベルギー両国内のありとあらゆる地ビールのほか、世界各地の珍しい銘柄を扱う専門店。その数何と2000種以上とか。店主のテビブ・ユシャムさんはじめ、スタッフは皆フレンドリーで知識が豊富。「フランスがワインとシャンパンだけの国だと思ったら大間違い。醸造所の数だけで言えば、小規模だけれどベルギーよりも多い。ステレオタイプがないだけに、それぞれ作り手がこだわりを自由に発揮して、いろんな味が楽しめるのがフランスビールの特徴」とユシャムさん。

金曜日の夜、愛好家たちが次々とやってきてはお気に入りのビールを買っていく中、ユシャムさんに、「日本人の口に合う、オススメのパリ&フランス地ビール」を選んでいただきました。

Paris Saint BièreParis Saint Bière
101 rue de Charonne 75011 Paris
TEL : 01 74 30 44 49
Facebook

Brasserie La Baleine

Brasserie La Baleineクジラのマークが目印。伝統的な製法で醸 造されたパリ20区の醸造所のビールです。麦芽の特徴を生かし、酵母、ハーブ、スパイスを利かせた品質はお墨付き。代表的なのはLa Phare、La Picaro、La Lucite、La Gitaneの4種類で、33ml瓶2.5~4.5ユーロの1本売りから、贈答用の木箱セット25ユーロまで、バリエーションも豊富。

Brasserie La Baleine
17 rue Henri Duvernois 75020 Paris
TEL 06 60 99 65 22
www.brasserie-la-baleine.com

La Mousse à ZiguiLa Mousse à Zigui

2014年に完成したばかりの最新ブランド。黄色の「エティエンヌ」は食前酒に、青の「オーシャン」は海のイメージと一致するよう作られ、共に魚、貝類、タイ料理と合います。「ワインでできることがビールでできないわけがない!」と、ビオに徹底的にこだわり、より豊か、より強力な(8.9%)オリジナル性の高い、斬新なフランスビールを目指したそうです。モード好きなあなたにぜひチャレンジして頂きたい、話題性の高い旬の1本です。

La Mousse à Zigui
93500 Pantin
TEL : 07 82 36 51 25
lamousseazigui.wordpress.com

IPA Citra Galactique

IPA Citra Galactique「銀河」と名付けられたポップなデザイン。パリ20区にあるLes Brasseurs du Grand Parisの一押し商品です。エールビールをベースにした、レモンとトロピカルフルーツの風味は、ワイン通のフランス人をも納得させます。ビールとショコラの試飲会など、魅力的なイベント目白押しで、大注目の醸造所です。近くの飲食店シェフも「レモンが『酸味』というほど効きすぎておらず、絶妙のバランス。料理に合わせるというより、ビールそのもののドライな風味をダイレクトに感じる一本」と、自分用に購入されていきました。

Les Brasseurs du Grand Paris
販売元:106 rue Louis Rouquier 92300 Levallois Perret
TEL : 06 63 24 62 88
※ブティックはありません。

La Goutte d'OrLa Goutte d'Or

パリ18区、ベルベシュ大通りから一本北へ入った、パリで最初のビール醸造所、グーテ・ド・オール。市内の最高級フレンチレストランで「French Kiss」などの人気銘柄が使用されているそう。ティエリーさんの手掛けたスパイシーな独自ビールの数々をぜひお試しあれ。フルーティーなMyrha、Château Rougeはほのかな丸みにカラメルモルトの風味も感じられます。変わり種好きのあなたにはワサビ味の「GOMEN」はいかが?お土産にはステキな箱入りセットも。

Brasserie la Goutte d'Or
28 rue de la Goutte d'Or 75018 Paris
TEL : 09 80 64 23 51
www.brasserielagouttedor.com
ネット注文は www.hopbuddy.com でも可

CorrézienneCorrézienne

リモージュとトゥールーズの中間に位置するCuremonteは「フランスで最も美しい村」の一つ。ワイン作りも盛んな地域ですが、ビールのブラッセリーCorrézienneでは定期的にコンサートやイベントも開かれ、予約制で醸造工程の見学も可能だそうです。黄金色の「ブロンド」はアルコール度数4.5%ながら、モルトのアロマがしっかり。琥珀色の「アンバー」は英国テイスト。ベルギーの修道院ビールをお手本に開発された「トリプル」は強烈な苦味、度数9%の香水のような味。この夏、醸造所を訪ねてその場で味わってみるのはいかがでしょう。

Brasserie Corrézienne
Boris Chartier La Grange 19500 Curemonte
TEL :06 08 28 69 05
www.brasserie-correzienne.com

La Goutte d'OrL’Angelus

北フランス地方からは、1905年の老舗ルパルス社で最も知られる一品、ランジェルスを。アルコール度数7度、かんきつ系の香りで飲みやすい。伝統のまろやかな風味と長めの余韻を味わいたい方に。ミレーの絵画「晩鐘」のラベルもフランスらしくてお土産に良さそう。

La brasserie Lepers
199 Rue Marle 59930
TEL : 03 20 86 83 60
www.langelus.fr


日本持ち込み品の免税範囲について

フランスのボトル種類
フル: Bouteille 75cl (750ml)
ハーフ: Demi-bouteille 35cl (350ml)
ハーフ: Fillette 37.5cl (375ml)
ミニ: Mignonette 5cl (50ml)
1.5瓶: Magnum 1.5L

お酒は3本(1本=760ml)まで免税。フランスで購入するワイン、シャンパンなどアルコール類のフルボトル容器はほぼ750mlです。4本目以降が課税対象になります。

その他、課税対象及び金額については、日本税関サイトで確認可能です。
www.customs.go.jp/kaigairyoko/zeigaku.htm

フランスビールの通販サイト(仏語/英語)
www.saveur-biere.com/en/6-verres-a-biere/pays-france#/country-france

 

フランスお土産マップ 2015

フランスお土産マップ

バカンスで帰国される方も多いこの季節、
毎回同じお土産を持ち帰ってしまう方も
少なくないのでは。
フランスには、まだまだ知られざる
地方の名産が盛りだくさん。
珍しいもの好きのお友達、グルメなあの人へ、
今年こそ、いつもと違う一品で
あっと驚かせてみませんか。
(Texte :Tomoko ORIKAWA)

【参考】
フランス観光局公式サイト jp.rendezvousenfrance.com
フランスツーリズム www.tourisme.fr
パリ観光局他各地方及び都市観光局

アキテーヌ地域圏

バスク柄・布ナプキン1 バスク柄・布ナプキン
Torchon basque

フランスの一般家庭からレストランまで幅広く利用されるおなじみの布ナプキン。水の吸収が早く、料理汚れもサッと拭き取れます。フランスのお母さんは キッチンで肩にひっかけたままにしているほどだとか。なじみやすい大きさと素材感は、1度使ったら手放せません。カラフルな伝統柄を選ぶのも楽しみの一つです。

ミディ・ピレネー地域圏

ライオールのチーズナイフ2 ライオールのチーズナイフ
Couteaux à fromage Laguiole

アヴェロン県のライオール村発祥のナイフ。現在は「シャトー・ライオール」など高品質のソムリエナイフなど数種類の呼称となっています。前回ご紹介したのはモチーフである蜂マークの付いた典型的なもの。そこで今回は、ワインやチーズ好きの女性に、カラフルでおしゃれなチーズナイフセットはいかがでしょう。

ブルターニュ地域圏

カンペールの陶器3 カンペールの陶器
Faïence de Quimper

フランスの西北端「地の果て」を意味するフィニステール県の中心、カンペール。黄色、青、赤を基本色に、花、鶏、民族衣装の 人物をモチーフにした手描き陶器 はこの街の伝統工芸です。技法やタッチのバリエーションもさまざま。世界にただ一つ、あなたのお気に入り陶器を持ち帰ってみませんか。

プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏

南仏産オリーブオイル4 南仏産オリーブオイル
Huile d'olive AOC Provence

南仏産の上質のオイルはパンやサラダに最適。AOC Nyons, Vallée des Baux de Provence, Aix-en-Provence, Haute Provence, Nîmes, Corse, Provence など日本では手に入らない AOCものを。バジルをはじめさまざまなフレーバーも楽しめます。 お土産には缶入りがオススメ。

5 エクス・アン・プロヴァンスの幸せのお菓子「カリソン」
Calissons d'Aix-en-Provence

幸せのお菓子カリソン

エクス・アン・プロヴァンスの伝統銘菓。アーモンド、メ ロン、オレンジピールなど、フルーツの砂糖漬けを練り混ぜ、卵白と砂糖のアイシングが特徴。15世紀「善良王」ルネがジャンヌ王妃に結婚式でほほ笑んでもらおうと、宮廷の菓子職人に命じて作らせたのが由来。「幸せのお菓子」と言われています。

6 マルセイユのせっけん
Savon de Marseille

マルセイユのせっけん「王家のせっけん」として古くから貴族に重用されてきたサボン・ド・マルセイユ。17世紀、ルイ14世が定めた厳しい製造基準をクリアしたものだけがこの名称を許されます。無添加で低刺激、肌の敏感な方でも使用可能。南仏らしく、セミ型(Cigale シガル)はいかが。南仏でセミは、忍耐強い、太陽の申し子、夏、そして「幸福のシンボル」とされ、多くの土産のモチーフになっています。

ローヌ=アルプ地域圏

リヨンの絹織物

7 リヨンの絹織物
Soie lyonnaise

ローヌ=アルプの中心リヨンは食の街として知られるだけでなく、昔から絹織物が盛んでした。多くの有名ブランドのスカーフが作られ、ファッションショーの前にデザイナーたちの注文が殺到します。制作工程を見学できるアトリエも。町のブティックよりも安く売られているスカーフやネクタイをお土産に探してみてはいかがでしょう。

8 クッサン・ド・リヨン(アーモンドショコラ菓子)
Coussins de Lyon

クッサン・ド・リヨン

アーモンド生地にガナッシュを包み込んだリヨン伝統菓子。17世紀、市民を苦しめる疫病を鎮める祈りに使われたリヨン名産の「絹織物のクッション」をかたどっているのが特徴です。フルーツやリキュールもふんだんに使われ、コーヒー、紅茶のお供に最適。

アルザス地域圏

アルザスのクグロフ型10 アルザスのクグロフ型
Moule à Kougelhof d'Alsace

アルザスは古くからドイツとの交易が行われていた地域で、お菓子の「クグロフ」はアルザスのシンボル。王冠形でアーモンドが頂上に並びます。お菓子作りの好きなあの人に、思い切ってクグロフ型をプレゼントしてみては?地元の陶土を使った素朴な陶器、カラフルな絵柄はインテリアとしても人気。選ぶのに迷ってしまうかも。

ロレーヌ地域圏

11 ナンシー銘菓マカロン
Macarons de Nancy

ナンシー銘菓マカロン日本でも大人気のお菓子「マカロン」。カラフルでかわいらしい形からブームになっていますが、ほとんどがパリのお菓子職人がアレンジした「マカロン・パリジャン」と呼ばれるもの。フランスの地方にはそれぞれ独自のマカロンがあり、ここではロレーヌ地方 「マカロン・ド・ナンシー」をご紹介。エッセンスを全く加えない、素朴なアーモンドの香りが特徴。どこか懐かしい味わいです。

ブルゴーニュ地域圏

エスカルゴ12 エスカルゴ
Escargots de Bourgogne

ワインと美食のブルゴーニュからは何といってもエスカルゴ。冷えた白ワインと良く合います。お土産用にはパイ詰めやバター入りなど空輸もできる冷凍タイプがオススメ。手軽に本場のオードブルを楽しんでみましょう。

13 エドモンド・ファロー社のマスタード エドモンド・ファロー社のマスタード
Moutarde de Dijon – Edmond Fallot

食通の町、ディジョン名物のマスタードならリベルテ通りの「マイユ」が日本でも有名ですが、1840年創業の老舗、ファロー社のものをぜひ試してみてください。ファローのおいしさの秘密は昔ながらの石臼の製法と、地元の良質の地下水。1903年にパリ国際食品展でゴールドメダル受賞。世界の国際ホテルや三つ星レストランのシェフに愛されています。ここでしか手に入らないフレッシュマスタード、量り売り用のマヨルカ焼きの陶器の入れ物もお土産に最適です。

ノルマンディー地方

アランソンのレース14 アランソンのレース
Dentelle d’Alençon

(ユネスコ無形文化財)白馬の尾や麻糸などの材料を使って美しい透かし模様を仕上げるポワントレース。17世紀半ばにイタリアのヴェ ネツィアから紹介され、のちに「アランソン編み」という独自の発展を遂げました。1平方センチ作るのに7時間。貴婦人がこぞってドレスに取り入れた繊細なアランソン・レースは、かのマリー・アントワネットも愛用したそう。

15 ルーアンの「ジャンヌ・ダルクの涙」
ルーアンの「ジャンヌ・ダルクの涙」Larmes de Jeanne d'Arc de Rouen

ルーアンの英雄、ジャンヌ・ダルクが処刑された広場近くで売られている、その名も「ジャンヌ・ダルクの涙」。かりっとしたアーモンドチョコレートで、ローマ法王にも献上されたそう。素敵なお土産用の箱も現地ならでは。

16 リンゴのお酒 「シードル・カルヴァドス・ポモー」
Cidre, Calvados et Pommeau

シードル・カルヴァドス・ポモー

ノルマンディー特産のリンゴを使った発泡酒「シードル」はさっぱりとした飲み口。これをさらに蒸留したブランデーが「カルヴァドス」。アルコール度40度、ブランデーならではの芳香を持ち、食後酒として飲まれます。年を経たものほどまろやかで香りも強くなり「オル・ダージュ Hors d'Age」という高級品になります。シードルとカルヴァドスを合わせた甘口の「ポモー」は、食前酒に。

ポワトー=シャラント地域圏

フランス原産ソルト17 フランス原産ソルト
Sel de Camargue

料理好きの人にこの地域ならではの塩はいかが?カマルグ、ゲ ランド、ラ・ロシェルから橋を渡ったレ島(イル・ド・レ)の塩田が有名です。フルール・ド・セル (Fleur de Sel)と呼ばれる塩の花もお土産に最適。

ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏

18 海のアスパラ?ゲランドの珍味「サリコルヌ」
サリコルヌSalicornes

ブルターニュ地方、海岸沿いの土地や塩田、沼地に生える植物「サリコルヌ」をご存じですか?見た目はインゲンに似ていて、ビタミン、ミネラル、ヨウ素が豊富なヘルシー食材。昔は長い航海に出る船乗りたちの、壊血病予防の重要なビタミン源だったそう。お土産には酢漬けの瓶詰めが売られています。肉・魚料理やサラダ、バター炒めにどうぞ。

パリ及びイル・ド・フランス地域圏

19 ル・タヌアの革小物
 ル・タヌアの革小物Cuirs de la marque “Le Tanneur”

1895年、シャルル・ボナルデルが、南フランスのブレに革工房を創立したのが始まり。「縫い目のない財布・マロキネリ」で 一躍有名に。ブリーフケース、かばん、トランクなども。本社 はパリで、歴代フランス大統領が愛用していることでも知られ る本格派。男性向けに小銭入れや、キーホルダーはいかが?

20 高級バター「ボルディエ」・「エシレ」
Beurre de Qualité Supérieure Bordier et Echiré

ボルディエ、エシレフランス三つ星レストランや一流ホテルでも使われるボルディエのバター。Demi-Sel(有塩)、Doux(減塩)、Sel Fume(燻製)、 一番人気はAlgues(海藻入り)。パンやパスタなどに使っても。1894年誕生のエシレは大手航空会社のファーストクラスでも使用される日本でもおなじみのバター。パリ万国博覧会で1等受賞など品質はお墨付き。有塩、無塩の二種類。

166421 フランスビール、人気ナンバーワン
『1664』(セーズ・ソワソン・キャトル)
Bière française 1664

フランス人はワインしか飲まない?いいえ、そんなことはありません!夏ともなればカフェのテラスで心地よさそうに人々が飲む、クローネンブルグ社の「1664」。このブランドができた年に由来します。ドイツ近くのアルザスは、ビール文化の盛んな地方。青地に白のラベル、赤いリボンが目印。パリジャンは「セーズ・シルブプレ」と通称で頼むことが多いよう。苦味控えめで、軽いのど越しは誰にでも喜ばれるお土産の一つでしょう。

 

おすすめレイルパス&周遊券 - インターレイルパス、フィヨルド周遊券、スイス・レイルパス

今年の夏は鉄道の旅
欧州在住者におすすめの
レイルパス&周遊券3選

夏となれば、オフィスでもプライベートでもバカンスの話題でもちきりのフランス。鉄道網の発達 した欧州では、どこへ行くにも鉄道が便利です。国や地域ごとに販売されているさまざまなレイルパスを利用すれば、現地でチケットを購入する手間が省け、快適に旅を楽しめます。また、鉄道旅 行の際のCO2排出量は、同じルートを車で移動する場合の3分の1、飛行機を利用する場合の4 分の1だそうです。今年の夏は、エコでお得な欧州レイルパスの旅はいかがでしょう。 (編集部 窪田 麻理恵、折川朋子)

レイルパスとは?

    レイルパス
  • パス有効期間中は当該国・地域の鉄道(一部バスやフェリーも)が乗り放題になる
  • パスの有効期間中に使用日を選択してパスに記入する「フレキシータイプ」と、 利用日が連続している「通用日連続タイプ」がある
  • 利用開始する前に、駅窓口でパスを有効にする「バリデーション」という手続きを行う必要がある

インターレイルパス地図欧州周遊には欠かせない
インターレイルパス
Interrail Pass
www.interrail.eu

欧州を鉄道で周遊するならインターレイルパスが便利。加盟国の鉄道のほか、一部のフェリーにも乗り放題(一部割引料金)。欧州市民を対象としたパスだが、条件を満たせば、欧州に居住する外国人も購入できる(欧州外の居住者はユーレイルパスを利 用)。英国もカバーされており、ユーレイルパスよりも割安なので、購入資格があればぜひ1度利用してみたい。欧州30カ国で有効なグローバルパスと、目的地1国を選べるワンカントリーパスがある。フランス国鉄(SNCF)窓口、もしくはインターレイルパスやSNCFのサイトからオンラインでも購入できる。

  InterRail Global Pass
インターレイルグローバルパス
InterRail One Country Pass
インターレイルワンカントリーパス
パスの
詳細
欧州30カ国の鉄道に乗り降り自由。原則的に居住国では利用できないが、割引運賃が適用される場合がある 選択した1カ国の鉄道に乗り降り自由。居住国のワンカントリーパスは購入できない
割引 • ユースパス(25歳まで) 
• シニアパス(60歳以上)
• ファミリーパス(大人1名につき、子ども2人まで無料で同行可)
使用
資格
• 欧州市民 
• 欧州に居住する外国人※1
注意
事項
一部の列車では、予約料金や追加料金が発生することがある

※1 欧州のパスポートや身分証明書を持っていない外国人は、滞在許可証のほかに居住地を証明する書類を携帯する必要があります。詳しくは、インターレイルまでお問い合わせください。

パスの種類と料金例 (単位: ユーロ)2015年6月8日調べ

グローバルパス 1等 2等
5日間(10日以内) 413 264
10日間(22日以内) 588 374
15日間連続 650 414
22日間連続 760 484
1カ月連続 983 626
ワンカントリーパス 例1:ベネルクス 例2: 英国
1等 2等 1等 2等
3日間(1カ月以内) 185 118 317 203
4日間(1カ月以内) 233 149 349 223
6日間(1カ月以内) 311 199 445 283
8日間(1カ月以内) 376 239 492 313

ユーレイルパス Eurail
www.eurail.com

加盟国全域をカバーするユーレイルグローバルパスと、利用する国を選ぶセレクトパスがある。英国を含む欧州、ロシア、トルコに6カ月以上居住していないことが購入条件(欧州居住者は、インターレイルパスを参照)。

パスの種類と料金例 (単位: ユーロ)2015年6月8日調べ

グローバルパス(1等)
5日間(10日以内) 454
10日間(2カ月以内) 682
15日間(2カ月以内) 894
15日間連続 580
21日間連続 746
1カ月間連続 917
2カ月間連続 1291
3カ月間連続 1592
セレクトパス(1等)
ドイツ、スイス、
ベネルクス、フランス
5日間(2カ月以内) 413
6日間(2カ月以内) 452
8日間(2カ月以内) 526
10日間(2カ月以内) 600
1カ国パス: イタリアパス
  1等 2等
3日間(1カ月以内) 207 166
4日間(1カ月以内) 235 189
5日間(1カ月以内) 270 217
8日間(1カ月以内) 364 292

列車・船・バスで見どころをつなぐ
フィヨルド周遊券 Norway in a nutshell
www.norwaynutshell.com

フィヨルド周遊券乗り降り自由のレイルパスではないが、個人でフィヨルドを巡るなら周遊券の利用をおすすめする。このチケット1枚で、列車、船、バスを乗り継ぎながら壮大なフィ ヨルドをさまざまな角度から楽しむことができる。周遊パスには「ノルウェーナット シェル」「ソグネフィヨルドナットシェル」「ハタンゲルナットシェル」の3種類があり、それぞれルートが異なる。ルートは、一方向にのみ移動でき、逆戻りはできないが、途中の町で宿泊することもできる。一番人気があるのは、オスロ~ベルゲン間を1日かけて巡る「ノルウェーナットシェル」のコース。ここでは、このルートを紹介する。

ノルウェーナットシェル
ベルゲンからオスロまでのルート

フィヨルドの見どころ

ノルウェーナットシェル
ベルゲンから鉄道、船、バスを使ってオスロに向かうコース(逆方向も可)。フィヨルドの見どころを余すところなく堪能でき、乗り継ぎもスムーズなので個人旅行者にはとても便利。所要時間は約13時間。片道と往復チケットがあり、ベルゲンからオスロまで片道1630ノルウェークローネ(約185ユーロ)。

※運行時間は予告なく変更される場合がございますので、現地でご確認ください。


スイス・トラベルパス新しくなってますます便利に
スイス・トラベルパス
Swiss Travel Pass
www.swisstravelsystem.com

小さな国土に見どころが凝縮されたスイス国内は、鉄道が網の目のように張り巡らされている。そんなスイスを巡るならやはり鉄道が一番便利だが、正規料金はとても高い。2015年に新しくなったスイス・トラベルパスは、国内の主な鉄道、湖船、バス、さらに主要都市の市内交通にも乗り放題。さらに登山鉄道やロープウェイ、ケーブルカーなどの山岳交通は50%割引。提携ホテルなどの割引特典や国内の主要なミュージアムへの入場が無料になる「スイスミュージアムパス」としても利用でき、パス所持者の子ども(16歳未満)は無料で同行できる「スイスファミリーカード」もある。利用日数や割引範囲などをインターレイルパスと比較し有効活用してみよう。

詳細 Swiss Travel Pass
スイストラベルパス
割引 • 子ども:6~15歳
• ユース割引15%:16~25歳
• 同行する子ども(15歳以下)は無料
(スイスファミリーカード)
使用
資格
スイス、リヒテンシュタインの
居住者以外
注意
事項
一部の列車では、予約料金や追加料金が
発生することがある発券から
6カ月以内に使用開始
  連続タイプ フレックスタイプ
  1等 2等 1等 2等
3日間 336 210 382 239
4日間 402 251 458 286
8日間 581 363 651 407
15日間 704 440 774 484

(単位: スイスフラン)
2015年1月1日~12月31日適用

スイス・トラベルパスを利用したおすすめの鉄道ルート

スイストラベルパスのおすすめルート

  • ゴールデンパスライン
    ルツェルン 〜 モントルー (全3路線)
    3つの路線で古都ルツェルンからレマン湖畔のモントルーまでを繋ぐスイス横断ルート。アルプスの山々を遠景に、のどかな牧草地を走り抜ける
  • ウィリアム・テル急行
    ルツェルン 〜 ルガーノ
    湖のクルージングからアルプスの山々を堪能したあとは、パノラマ列車で険しいゴッタルド峠を越えていく

  • 氷河特急
    サンモリッツ 〜 ツェルマット
    7つの谷、291の橋、91のトンネルを抜けて、山岳リゾートを結ぶ氷河特急。パノラマ車両の大きな窓から、雄大なアルプスの景色を楽しむことができる
  • ベルニナ急行
    サンモリッツ 〜 ベルニナ峠(2253m)
    〜 ティラーノ

    アルプスの峠を越え、高低差1800mという急峻なルートを2時間で走り抜ける。196の橋を渡りながら進む絶景ルート

列車に比べて格安・お手軽なフランスの長距離バス

EurolinesEurolines
www.eurolines.com/fr

ユーロライン(Eurolines)が欧州各国への長距離便を運行している。30カ国500ルート以上を網羅。鉄道に比べ安価な運賃が最大のメリットで、夜行を利用すれば移動時間 や宿泊費の短縮・節約にもなる。発着はメトロ3番線の終点、ガリエニ駅すぐ近くから。HP(仏・英・独語あり)から予約可。

2階建ての大型バス。国境ではいったん降りて夜中でも出入国手続きが必要になる。列車のユーレイルパ スに値するフリーパス(ユーロラインパス)は、シーズンで変動するが、おおむね15日間195ユーロ、30日間265ユーロから。

シーズンと料金 (単位: ユーロ)2016年3月まで

ローシーズン 
9/11〜3/12/2015, 4/1〜31/1/2016
ミッドシーズン
1/4〜18/6/2015, 31/8〜8/11/2015
ハイシーズン
19/6〜30/11/2015, 4/12/2015〜3/12/2016
  Youth Adult
  15日間 30日間 15日間 30日間
Low 195 265 225 340
Mid 210 280 245 350
High 270 350 320 425

iDBUS mapiDBUS
http://fr.idbus.com/fr

フランス国鉄(SNCF)が運営する長距離バスサービス。欧州各都市やフランス国内への路線多数。最も安いパリ-ロンドン間は19ユーロから。パリ-ブリュッセル間も1日6便、19〜26ユーロと、TGV の4分の1程度。国内線はニーム、モンペリエ、トゥールーズ、マルセイユ、ニース、エクサンプロヴァンスなど。発着場所はベルシー、シャルル・ドゴール空港。

日本地図新幹線も乗り放題
ジャパンレールパス
JAPAN RAIL PASS
www.japanrailpass.net

JRグループ6社が共同販売する外国人旅行者のためのジャパンレールパス。日本国外に居住している日本国籍所持者も条件を満たせば利用できる。有効期間中、新幹線を含むJR鉄道、路線バス、一部フェリーに乗り降りが自由となる。ただし、東海道・山陽・九州新幹線の「のぞみ」および「みずほ」には乗車できない。グリーン車と普通車の2種類があり、連続する7日間、14日間、21日間の期間から選ぶ。

  JAPAN RAIL PASS ジャパンレールパス
使用資格 1)観光目的で日本を訪れる外国人旅行者
(入国審査で押される「短期滞在」のスタンプを提示)
2)日本国外に居住する日本国籍保持者のうち、以下の条件を満たす場合
① 二重国籍所持者で、外国のパスポートを利用して日本に入国した場合
② 日本のパスポート保持者の場合
a. 外国の永住権を持っている
b. 日本国外に居住する外国人と結婚している
注意事項 • JRパスは日本国内では購入できない。日本に行く前に、
提携する販売店、または代理店で引換証を購入する
• 引換証を購入した日(引換証発行日)から3カ月以内に、
JRの主な駅にある引換所で必要書類を提示し、JRパスと交換する。
パスの利用開始日は引き換え日から1カ月以内

※証明する必要書類はパスをご購入の際にご確認ください。

パスの種類と料金例 (単位: 円)2015年2月現在

  グリーン車 普通車
  大人 子ども 大人 子ども
7日間 3万8800 1万9440 2万9110 1万4550
14日間 6万2950 3万1470 4万6390 2万3190
21日間 8万1870 4万0930 5万9350 2万9670

※子ども料金は、引換証発行日の時点で6〜11歳の児童に適用される

フランス国内の主なジャパンレールパス取り扱い店

 

日本人が経営するヨーロッパの宿 2015 - スイス、イタリア、フランス、イギリス

旅の醍醐味 ──それは未知なる世界を訪ね、新たなる刺激に心躍らせること。
それでもやっぱり、見知らぬ国や地域でほっとできる安心感も捨てがたい。
そんな人にお勧めなのが、欧州各地にある日本人経営の宿。
言語の心配なく 時間を過ごせる上、日本人ならではのきめ細やかなサービスに、
一瞬故郷に戻ったかのような温かさを感じられるはず。
日本からやって来る家族や友人を案内するにもぴったりなパリの宿も合わせてご紹介。


スイスチューリッヒ Zürich

チューリッヒ チューリッヒ地図パリ・CDG空港からチューリッヒ空港まで約1時間15分。空港から中心部まで列車で約10分

世界に名だたる金融都市チューリッヒは、博物館や美術館が多い文化都市としても有名だ。

ムンクやシャガールなどの作品を所蔵する「チューリッヒ美術館(Kunsthaus Zürich)」やスイスの文化・歴史をたどれる「スイス国立博物館(Schweizerisches Landesmuseum)」のほか、高級時計店バイヤーに付設する「時計博物館 (Uhrenmuseum Beyer Zürich)」やスイス生まれの建築家、ル・コルビュジエが最後に設計した「コルビュジエ・センター(Centre Le Corbusier)」(現在閉館。2015 年夏季再オープン予定)などスイスならではのスポットも。

シャガールの手によるステンド・グラスが幻想的な「聖母聖堂(Fraumünster)」も見逃せない。

広大なアルプスを眺めながらの夏休み!
Hotel Hasenberg ホテル 兎山

スイス最大の都市チューリッヒから20キロの小高い山の上。雄大なスイス・アルプスに抱かれるように佇む純和風の割烹温泉旅館「兎山」では、至るところに「和」の神髄が息づいている。和風部屋は、公認宮大工の手による数寄屋造りの本格派。すべてに専用サウナと専用露天風呂が完備されている。ローマ時代よりスイス有数の温泉の地として名高いバーデンから引いてきたお湯に浸かりながら、眼下に広がる大パノラマを心ゆくまで堪能しよう。畳の部屋に不安を感じる人には、ヨーロピアン・スタイルの部屋もあるので安心だ(露天風呂はなし)。

日本でもここまで和の心を感じられる場所は少ないのではないかという部屋の内装もさることながら、ここ兎山に来たら何より楽しみなのが、日本から招へいしたという和食調理人の手による本格懐石料理。懐石レストラン「兎山」1階にある掘りごたつ式の「小上がり座敷」か2階の「お座敷」で季節の旬の味を生かした月替わりのメニューをいただける。また、部屋で食事をとることも可能なので、小さなお子さん連れでも周りを気にすることなくゆったりと極上の味を楽しめるのがうれしい。また、朝食はヨーロピアン・ブレックファストか和食(追加料金)のいずれかを選ぶことができ、こちらも部屋でいただくことが可能だ。

大自然に囲まれたヨーロッパならではの風景に、日本の伝統を今に伝える美と食の数々。双方の素晴らしさを同時に堪能できる、贅沢で極上のひとときをどうぞ。

Hotel Hasenberg ホテル 兎山

オーナー倉林さんから一言

日本の文化はヨーロッパでも評価されてきていますが、まだ「寿司」や「漫画」といった印象が強いのではないかと思います。一般に、日本へ旅行したくて も費用が高いと敬遠される傾向はいまだみられ、それならば建築、風呂、料理、茶の湯、心のこもった細やかな接客といった日本らしさが詰まった旅館を、ヨーロッパに作ればいいのではないかと思ったのが、このホテルを始めたきっかけです。
  • 1泊2食付(懐石北山、洋朝食込) *宿泊のみ、食事のみもあり
    洋客室 一人230スイス・フラン~(2人からのみ)
    和客室 一人400スイス・フラン~

イタリアリアーノ Riano

リアーノ Riano リアーノ地図パリ・CDG空港からフィウミチーノ空港まで飛行機で 約2時間(ローマ市内までは列車で約30分〜40分)。ローマから車で約30分

牧歌的な田園風景に心洗われるローマ郊外の街、リアーノ。ここからは、ローマ中心部の観光地めぐりはもちろん、日帰りで様々な場所へ赴くことが可能だ。まずは中世の山岳都市、カルカータ(Calcata。写真)。宮崎駿監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」のモデルになったとも言われる人気のエリアだ。

崖の上に浮かんでいるかのような旧市街には、いまだ中世の趣が色濃く残っている。また、繁華街の喧噪を離れて一息つきたければブラッチャーノ(Bracciano)へ。ブラッチャーノ湖でのんびりするも良し、湖を望む15世紀建造の古城「オデスカルキ城(Castello Orsini-Odescalchi)」を散策するも良しという落ち着いた雰囲気がうれしい。


イタリアを丸ごと満喫
Villa Kiara ヴィラ・キアラ

ローマから車を走らせて30分。のどかな田園風景が広がる郊外の街リアーノに居を構えるヴィラ・キアラは、観光旅行を楽しむだけではなく、イタリアの言語や食文化を学ぶこともできる、ユニークな体験 型の宿泊施設だ。日本人オーナーのトキコさんがイタリア人の義母から受け継いだという家庭料理のレッスンや、イタリア人講師によるイタリア語での料理教室、日常会話レッスン、ヴィラでのレッスン修了後に紹介先のレストランで研修する1年間留学コースなど、ヴィラ自慢のオプションを利用して、イタリアを丸ごと満喫しよう。

Villa Kiara

大畠芳久さん宿泊者から一言

1年前に仕事を辞め、一人で渡伊。ミラノで偶然出会ったヴィラ・キアラのスタッフの紹介でローマに行き、宿泊しました。スタッフの温かい出迎え、おいしい食事、そしてほんのり日本の雰囲気を感じるこの場所は、僕の癒しの場所となりました。そして現在、ヴィラ・キアラの近くにあるレストランでイタリア料理を学んでいます。そんな戻って来たくなるような第二の家です。(大畠芳久)
  • 43ユーロ(朝食込)
    昼食11ユーロ、夕食16ユーロ。別料金にて送迎可
  • Via Monte Porcino SNC 00060 Riano, Roma, Italy
    Tel: +39 (0)6 90131763
    E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
    www.villa-kiara.com

フランスエクス=アン=プロヴァンス Aix-en-Provence

エクス=アン=プロヴァンス エクス=アン=プロヴァンス地図パリ・リヨン駅からエクス=アン=プロヴァンス駅までTGVで3時間前後

燦々と降り注ぐ太陽の光を浴び、街のあちらこちらにある噴水や泉を眺めながら並木道を散歩する ── エクス=アン=プロヴァンスは、南仏の恵まれた気候の下、ショッピングやカフェでのお茶を楽しむこともできれば、ちょっと足を延ばしてブドウ畑やラベンダー畑が広がる村々を訪ねることも可能という魅力的な街。

画家セザンヌの生まれ故郷であるこの地には、セザンヌの生家や彼が晩年を過ごした家、友人と集ったカフェなどが点在。

また、市街地から少し離れた森には、セザンヌが数々の作品を描いた「ビベミュスの石切り場(Carrières de Bibémus)」が。彼がこよなく愛したサント=ヴィクトワール山の雄大な光景を自らの目で確認してみよう。

日仏カップルが営む1日1組様限定の宿
Villa Montrose ヴィラ・モンローズ

南仏の中でも治安が良くお洒落な街エクス=アン=プロヴァンスにあ る、2011年開業のシャンブルドット (仏版民宿)。東京の南青山でオーナー・シェフをしていた南仏出身のダヴィッドさんが教える「料理教室」や、南仏 の見どころを案内する「プライベート・チャーター」などと組み合わせて滞在するゲストが多い。日仏カップルのオーナー2人は、雑誌やTV、百貨店のフランス・フェアのコーディネーターとしても活躍しており、ガイドブックに載っていない素敵な村や店、レストランを熟知。観光地を巡るだけの旅行とはひと味違った旅が安心して楽しめると、すでにリピーターも多い。

陽子さんオーナーのダヴィッドさん&陽子さんから一言

チャーターのお客様から「2人の家で食事して泊まってみたい」と言われたのがきっかけで始めたシャンブルドット。友達の家を訪ねるような気持ちでいらしてくれたらうれしいです。部屋もチャーターもプライベートのサービスで贅沢に思われるかもしれませんが、旅先で得られる安心と安全はかけがえのないもの。個人旅行が初めての方や女性の一人旅も多いですよ。
  • 1室165ユーロ〜(朝食込)
    *送迎サービスあり(有料)
  • 11 rue André Lefèvre 13100 Aix-en-Provence, France
    Tel: +33 (0)6 50371234
    E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
    www.villamontrose.com
    www.facebook.com/provence.voyage

フランスパリ Paris

パリ Paris パリ地図

観光大国フランス。その中でも、欧州内を移動する際に必ずといっていいほど通過するパリは、国際色豊かで、歴史に彩られた美しい都市だ。パリをとことん堪能したいなら、世界の人々が憧れるパリジャンのように、暮らすように滞在してみよう。

出費を控えて滞在期間を延ばすのならば、ポイントとなるのは食。星付きレストランもいいが、ぜひ試してみたいのがパリ市内だけでも90以上あるというマルシェで食材を調達して自炊すること。大学学生センター(Crous)が運営する学食を利用するのも手だ。

そして各所に散らばる観光名所めぐりに疲れたら、のんびり蚤の市を回ってみては。家具やアクセサリー、絵画などを扱う店舗が並ぶ「ヴァンヴの蚤の市(Le Marché aux Puces de la Porte de Vanves)」は眺めているだけでも楽しい。

パリ生活を夢見る女性の強い味方
Maison Orange メゾン・オランジュ

メゾン・オランジュはシェア・タイプの女性専用ゲスト・ハウス。ほかの宿泊者と旅の情報交換ができるだけでなく、普段の生活では出会えないような様々な人々と刺激を与え合ったり、新しい友人を作ることができる。宿があるのはパリ市内、ゾーン1の治安の良い地域。シャルル・ド・ゴール空港からはシャトル・バス1本、バス停からは徒歩5分という抜群の立地で、最寄りのメトロ駅も徒歩2分なので女性の一人旅でも安心だ。キッチン、洗濯機、インターネット、電話、テレビなど生活必需品は完備。特にトイレやシャワー、キッチンなどの水回りが清潔なのがうれしい。

Maison Orange メゾン・オランジュ

白波瀬さんオーナーの白波瀬さんから一言

宿泊料金はパリ市内の同レベルの宿と比べて、かなり安価に抑えています。これはどなたでも大きなご負担なくお支払いができるようにと考えて設定しました。宿代を節約して、ご自身の夢やステップアップのためにお金を使っていただきたいと考えています。
  • シェア料金: 30ユーロ
    貸切料金: 110ユーロ(4人部屋)
    170ユーロ(6人部屋)
    *上記はエコノミー・プランの料金
    (キャンセル、予約変更時の返金不可、日程変更不可)
  • 31 rue guilleminot 75014 Paris, France
    Tel: +33 (0)6 17802311
    E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
    http://maison-orange.com

イギリスロンドン London

ロンドン ロンドン地図
パリ北駅からユーロスターで約2時間半。

欧州でビジネス、ファッション、観光の中心といえば、ロンドン。フィッシュ&チップスはさておき、中華やインド、タイなどさまざまな国の料理が楽しめ、劇場や博物館で英国の文化に触れることができる。

フランスから気軽に行けるとあって、週末のみの旅行で訪れる人も多いロンドンだが、少し長めに滞在して、もっと街を知ってみよう。比較的安価な料金で宿泊できるゲスト・ハウスや中・短期滞在者用フラットがお勧めだ。

街を歩き、伝統と近代の入り混じった建築物を眺めるもよし、コヴェント・ガーデン(Covent Garden)やテムズ川沿いの大道芸に拍手を送るもよし。鳥や動物たちの戯れる緑豊かなハイドパーク(Hyde Park)で、テイクアウトのランチも気持ちいい。

ロンドナー気分で過ごせる
Gendai Guest House ゲンダイ・ゲストハウス

ロンドン中心部グレート・ポートランド・ストリート駅から徒歩3分という繁華街のごく近くに位置しながら、ロンドン市民の憩いの場であるリージェンツ・パークも徒歩圏内の住宅街にあるゲスト・ハウス。大きな看板もなく周りの風景に溶け込んだ外観、長年ずっと住んでいたかのような錯覚を覚えさせる居心地の良い部屋。Wifiの無料アクセスや携帯電話の無料貸し出しもあるのがうれしい。観光を楽しみつつ、パークをぶらり散歩したり、スーパーで買い物をしてゲスト用のキッチンで自炊したり。短期滞在であってもロンドナーのように日々を過ごせる宿だ。

ゲンダイ・ゲストハウス

管理人の加藤さんから一言

ロンドンの東西南北どこへ行くにも、立地条件のとても良いゲスト・ハウスです。海外旅行に慣れていない方や、ホテルとは違う空間でホームステイのようにロンドン滞在を楽しみたい方にはうってつけです。観光のアドバイスなどもさせていただきますので、ロンドンにお越しの際にはお気軽にお立ち寄り下さいませ。
  • シングル: 58ポンド〜
    ツイン / ダブル: 88ポンド〜
    ファミリー: 120ポンド〜
    *税別
  • 38 Albany Street, London NW1 4EA
    Tel: +44 (0)20 7387 9125
    E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
    www.gendai-guesthouse.co.uk

イギリスストラトフォード・アポン・エイボン Stratford-upon-Avon

ストラトフォード・アポン・エイボン Stratford-upon-Avon ストラトフォード・アポン・エイボン地図パリ北駅からユーロスターで約2時間半。ロンドンから列車で約2時間強。

言わずと知れた文豪シェイクスピアの生誕地。こぢんまりとした街の至るところに、シェイクスピア本人や家族が住んだ家、洗礼式を行った教会など、ゆかりの地が今も残っている。

演劇ファンにとっては聖地とも言えるロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(Royal Shakespeare Company)の本拠地では、シェイクスピアの芝居はもちろん、子供向けの演目も上演しているので、前もってウェブサイトでチェックした上で、家族連れで観劇を楽しんでみては。柳がさわさわと揺れるエイボン川のほとりは散歩に最適。

遊覧船に乗って辺りの景色を垣間見るのも良いが、ナロー・ボートで数時間かけて川をたどるショート・クルーズもお勧め。

英国の田園風景を往く船上の旅
Narrowboat Guide ナローボート・ガイド

宿は宿でも、ストラトフォード・アポン・エイボンから北へと延びる運河の上で寝泊まりできるユニークな体験ができるのがこちら。英国各地に広がる狭い運河を行き来する細長い船ナロー・ボートに乗って、ときに水辺を散歩しつつ、変わりゆく景色を楽しみながら船上で一夜を過ごすことができる。ナロー・ボート運営歴15年というアンディーさん、淳子さん夫妻からナロー・ボートや運河の歴史などの話を聞きつつ、のどかな田園風景を眺める時間は、忙しない観光旅行とは一味違った至福のひととき。トイレやシャワーなどの水回りやベッドも完備しているので、快適な船の旅を満喫しよう。

ナローボート・ガイド

オーナーのアンディーさんと
淳子さんから一言

アンディーさんと<br /> 淳子さんストラトフォード・アポン・エイボンはシェイクスピアだけではありません。200年前の英国産業革命を支えた運河が、ミッドランドを中心に3500キロも広がっています。丘の上の宿だけでなく、水上の宿で英国人のノスタルジーを体験してみませんか。英国の中にある運河という別世界へとご案内します!
  • 1泊2日: 一人125ポンド~
    (2人貸切の場合。朝食込。定員4人)
    *1泊2日~10泊11日まで様々なコースあり
    *利用人数、宿泊日数により
    価格が変わるため要問い合わせ
    *そのほか、軽食付き約3時間のショート・クルーズもあり
  • Tel: +44 (0)7899 998 334(日本語可)
    Email: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
    www.narrowboatguide.co.uk
    *ボート上のインターネットの都合により、返信に数日かかることがあります
 

関口涼子 インタビュー 詩人、作家、翻訳家

詩人、作家、翻訳家としてフランスを拠点に活躍する関口涼子氏。今年1月に起きたシャルリー・エブド襲撃事件の直後、SYNODOSに「『シャルリー・エブド』誌が示す文化翻訳の問題」※と題した記事を発表し、襲撃事件後初めて発行されたシャルリー・エブド最新号の表紙についてなされた日本の報道について、重大な誤訳を指摘した。また、フランスで多くの偏った報道があった東日本大震災のときには、フランス語で執筆する日本人として、フランス語での著作『これは偶然ではない』を出版し、できる限りの情報を発信し続けた。外国人にとってのフランスとは、どのような国であるのか? また両国を言葉でつなぐ者として感じている使命はあるのか? 関口氏に伺った。 (インタビュー・文:沖島景)

関口 涼子 RYOKO SEKIGUCHI
詩人、作家、翻訳家。17歳で現代詩手帖新人賞を受賞。1997年よりパリを拠点に日本語とフランス語で著作活動を行う。日本語での著作7冊、フランス語での著作10冊、文芸・マンガの翻訳は80冊以上に及ぶ。文芸翻訳には「悲しみを聴く石」(アティーク・ラヒーミー、白水社)、「素晴らしきソリボ」(パトリック・シャモワゾー、パトリック・オノレと共同訳)などがある。ここ数年は文学のみならず食をテーマにした作品も多い。2012年シュバリエ文化芸術勲章を受章。13年から1年間、フランス文科省の招聘でローマのヴィラ・メディチに滞在。

外国人としてフランスに住むことの利点は?

去年1年間、イタリアはローマのヴィラ・メディチというアーティスト・イン・レジデンスに住みました。フランス国家によるアーティスト支援施設です。イタリアはとても親切で温かい人が多いので、住みやすい国なのですが、良い意味でも悪い意味でも、伝統的な部分を守るという意味では保守的です。例えば日本人のシェフが作るフレンチがフランスで認められていますが、イタリアではなかなかこうはいきません。もちろんこれまでイタリア人だけがやっていた職業に入り込み、周りに認められることがないわけではないのですが、フランスは作家でもダンサーでも、能力さえあれば受け入れられる土壌があると思います。もちろん普通のフランスの会社で働く場合に、外国人に対して差別がないとは思いませんが、芸術関係に限定するならば、フランスに住んでいることの恩恵というのは強く感じます。

なぜフランスにはそのような土壌があるのでしょうか?

フランス人は好奇心が強くて、ちょっとのぞいてみようかな、という気持ちがあるのでしょうかね。私が関わっている文学と料理の分野だけでいえば、エゴイズムなところが幸いしているとでもいいましょうか。例えば自分にアイデアがないときに、人と話をする中でひらめくことってありますよね。ちょっとずるいかもしれませんが、フランス人はそういうことができるのかなと思います。フランス人が寛大、とは思いませんが、他から異なるものが入ってくることで、新しいテクニックを取り入れようと思える人たちなのでしょう。逆に外から違うものが入ってくることで自分たちのテクニックを取られてしまうと考える国もありますよね。

日本人の作家としてフランスにいることで、何か使命のようなことは感じますか?

それは当然ありますね。例えば日本で起こっていることについて報道されているフランスのニュースを聞くと、それは少し違うと思うことがあります。逆もしかりで、日本で報道されているフランスのニュースをみると、日本人としての感覚だけで事件を捉えてしまっているなと思うこともあります。私としてはどっちも少しずつ分かるわけで、両サイドに少しずつ情報を伝えていく役割は担うべきだと思っています。

もし私が日本に住んでいたら、全く違うものを書いていたのではないでしょうか。外国での経験は、常に他者を知るということです。自分が想像しにくいものを、どれだけ想像できるようになるかというのは、とても大切なことだと思います。外国という、何もかも距離があり、ベースが違うところで生活するからこそ、他者への想像力というのは広がると思うのです。

例えば、日本人にとっては外国に住むという感覚はあっても、移民として住む、ましてや亡命するという感覚はほとんどないですよね。でも80年前くらいまでは日本人も移民していたわけです。現在、難民の船が地中海を渡り、ヨーロッパを目指すというニュースが話題になっていますが、この件でイタリアのラジオを聞いていると「私たちイタリア人は、移民の記憶を忘れない」ということを、繰り返し伝えているんですね。つまり、イタリア人は1970年代まで、食べるために移民として海外に出ていたわけですよ。70年代というと、40年ほど前のことで、ものすごく最近の話です。そういう小さいことなんですが、他者に対して思いを抱くことができるのか、ということも含めて今後も伝えていきたいです。

シャルリー・エブド襲撃事件はあまりにも複雑な問題で、見る角度によっても事件の捉え方は異なると思うのですが、「表現の自由を求めてフランスへ亡命した人がいる」という角度からの関口さんの意見を大変興味深く拝見しました。

シャルリー・エブド襲撃事件についての日本での反応を見ていると、フランスの表現の自由とは、西洋的で傲慢な考えだ、という意見が多く見られましたが、表現の自由についていえば、フランスってヨーロッパの中でも、ものすごくマイノリティーな存在だと思います。世界には表現の自由が全くない国があります。また国としては表現の自由が認められていても、あるマイノリティー(宗教だけではなく、同性愛者なども含め)には自由がないということもあります。私の友人には、90年代に文化人の虐殺を逃れて来たアルジェリア人の作家や、革命後にフランスに渡ったイラン人の無神論者などがいます。無神論者であるということで命を狙われ、フランスに亡命する人もいるわけです。つまり、そういう人たちが表現の自由を持つことのできる数少ない国としてフランスがあるわけです。彼らは言論の自由のみならず、生存の権利を求めてやっとフランスにたどり着いたわけですから、そのくらい世界的に見てマイノリティーな価値観を持つ国であるということは忘れてはならないと思います。全部の国がフランスになるべきだと思いませんが、フランスみたいな表現の自由の捉え方をする国が一つあってもいいと思うのです。

実際にさまざまな理由から表現の自由を求めてフランスに来た人は、今回の事件の反応をどのように捉えているのでしょうか?

恐怖、という感情ですね。彼らは自国で表現することを許されなかったことが一つのトラウマになっているので、やっと自由な表現ができるフランスに来ることができたのに、また表現の自由が制限されてしまうのかという恐怖がよみがえるわけです。表現の自由というと、高々とペンを振りかざして……という壮大なものをイメージしますが、実はそうではないと思うのです。宗教による規範が絶対とされる国から表現の自由を求めて亡命してきたような彼らからすれば、大きな海の中でやっと息がつける場所にたどり着いたという感じですよね。しかし今回の事件が発生し、再び宗教に対する言論の自由が問われるようになると、やっと空気のあるところを見つけたのに、また上から水をかけられ始めたような、そんな恐怖を覚えているようです。フランスの表現の自由を私が支持するのは、この自由がなかったら暮らせていなかった、もしくは生きることさえ許されなかった人たちがいて、そのような人たちが生きていける数少ない国であるということに尽きます。

翻訳の作業について教えてください。フランス人と一緒に訳している本がありますが、それはどういう作業なのでしょうか?

作品の種類によっても異なるのですが、例えば日本の漫画をフランス語に翻訳するときは、私が下訳をするイメージです。そのときに私が出す情報というのは、いわゆる日本人的な感覚の部分ですね。少女マンガを例にあげると、セリフが書かれていないところや、言葉で詳細に説明されていない場面で、日本人だったら自然と感じることがあるとします。しかしフランス人だとそれが読み取れないことがあるわけです。漫画の場合には主に私はこの「空気読み役」を担い、フランス人の翻訳者に伝えます。あとは、日常生活のシーンで出てくるものが、フランス人には理解できず、それについて説明するという作業もあります。

小説の場合には、まずお互いに作品を読み、その後、内容や感じたことを話し合います。人によって読み方や考え方は異なるものですから。だから、自分が読めていなかったところを相手から教えてもらうこともあるし、「それは深読みし過ぎなのでは?」と指摘されることもあります。でも、例えばそれが深読みだったとしても、「そういう読み方があるけれど、それは深読みし過ぎだな」という考えのもとにその表現を選ばないのと、全くその読み方を知らずに訳すのでは、自ずと文章が変わってきます。  

フランス語の本を日本語に訳すときには、皮肉として使っている箇所を指摘してもらったり、あるオブジェの持つニュアンスなどを教えてもらったりすることがあります。細かいところなのですが、そこを知ることで見えてくる風景は変わってくるものです。1人で読んでいたら見えなかっただろうなと思うことがあるのです。  

2人で訳すのは、手間も時間も掛かるし、利益も当然減ります。それでもなぜするかというと、翻訳はとても孤独な作業なので、2人でやっている方が面白いのです。他の解釈が出てくることもありますし。あとは2人で訳すほうが当然精度は上がりますね。ただ自分の癖にものすごく合う作品とか、自分がマニアックに取り組みたい作品とかは自分1人で訳します。ものを書くって、なぜか1人でするものというイメージがあるようですが、私は常に複数で行っているイメージです。書いた後に友人に読んでもらったり、書いているときに友人と話している中で新しいアイデアが生まれることもありますので。基本的にコラボレーションは大好きです。

これまでに行った翻訳以外のコラボレーションはありますか?

イタリアのアーティスト・イン・レジデンス、ヴィラ・メディチにいたときに、ある降霊術を行う人と出会い「亡霊ディナー」というものを行いました。降霊術を行う際に出す幽霊への夕食作りですね。

実は私はイタリアでミイラの研究をしていたのですが(イタリアにはミイラがたくさん保存されているのです!)、ある展覧会のヴェルニサージュで降霊術のオーガナイザーに出会い、冗談半分で「今の降霊術のやり方は間違っている。亡霊を呼んでおいて、(たぶん遠くからわざわざ来ているのに)料理も出さないのは日本人としてどうかと思う」という話をしてしまったんです。そしてその後、このオーガナイザーから電話が掛かってきて「降霊術を行う際に出す食事をアーティストとして作って欲しい」とお願いされて。そこで、友人の写真家、フェリペ・リボンと一緒に、毎回テーマを決めてディナーのメニューを考えることにしました。

未知の「人物」へ向けて食事を作るとは! 実際にはどのように写真家の方と考えをすり合わせていったのですか?

例えばですが「今回は幽霊は匂いをかげるか」というテーマでやりましょうと決めたとします。それについて、相手が出してきたアイデアを見ると「こういうアイデアってあったよね」と新しい見方を学んだり、一緒に考えていく中で「思い出したんだけど、亡くなったおばあちゃんが匂いについて、こんなことを言っていたよね」など、自分の引き出しから忘れていたことが出てきたりするわけです。もちろん、コラボレーションは、孤独で行う作業が脇にあってこそ意味を持つことだと思いますが。

あくまでもオカルトではなく、アーティストとしてなので、抽象的に考えるわけですけれど、幽霊は私たちが持っているものを何も持っていない可能性があるわけです。だから匂いだけに特化してみたらどうだろう、音だったらどうだろうと、パッチテストのように行っていきました。今年の秋にDîner fantasmaというタイトルで出版されます。

他に最近書いた本について教えてください。

La voix sombre (Editions POL今年末出版)というラジオの声の話です。録音された声を聞くと、亡くなった人でも、今この場所にいるように感じたりします。写真を撮る、ということはよく考えるけれど、声を保存するというのは、あまり考えないですよね。でも、亡くなった後でその人を伝えられる一番ダイレクトなものだと思うのです。音を聞くということは、耳の鼓膜が振動しているということで、つまりはその人の声は、聞いている人を触っていると言えるわけです。

また日本に対しては、翻訳者としての役割を考えることの方が多いですね。最近「すばる」にフェラグの中編を訳しました。フェラグはイッセー尾形のような一人芝居も行う役者でもあり、作家でもあるのですが、なぜ彼の作品を訳そうと思ったかというと、非常にユーモアがあるのです。最近、「アラブ=イスラム=……」みたいに全てが単純なイコールになっているのが嫌で。アルジェリア人だけどフランス移民のこともものすごく考えているし、歴史も含め、ユーモアを持って書いている人がいる、ということを伝えていきたいのです。

何か書くときに一貫したテーマのようなものはあるのでしょうか?

あらゆるところに手を出していて、バラバラと行動しているようなのですが、実は「他者との対話」ということで一貫してつながっているところはあります。例えば亡霊ディナーにしても、向こう岸に行ってしまった人とは話もできないし、どんな風にコミュニケーションを取れるのか、と考えていくことは、やはり他者との対話なのですよね。

また、ポスト震災ものというか、東日本大震災以降、どうしても死と向き合う作品が多くなっています。ラジオの声についてもそうですし、私が研究しているミイラについてもそうです。ミイラについては、例えば津波などで体が戻ってこなかった人がいる一方で、その人のことをもう誰も知らないのに、体だけミイラとして残っている人がいるわけです。でもその残された体(ミイラ)は、その人のことを知っている人が当時しっかりと手当をしてあげたからこそ残っているわけで、亡くなった人の周りにいた人たちの気持ちが体を残している、というのが不思議な感じがして、とても興味があります。

今、日本でもヨーロッパでも同様に起こっていると感じるのは、だんだん内に閉じこもっていくような現象です。自分だけで何かをやっていれば安心、外は見たくない、という感じですね。そこに変わったもの、違ったものを入れていくことで、殻を壊したいという気持ちがあります。そのために私ができることというのは、政治家になることでも、デモに参加することでもなく、対話を体現し、それを翻訳や創作の過程でいろいろな場所にどんどんと置いていくことだと思っています。そういった活動を、フランスでも日本でも続けていきたいです。


※襲撃事件後初めて発行されたシャルリー・エブド最新号の表紙に書かれていた「Tout est pardonné」の解釈について、日本のメディアが「すべては許される」と訳し、「ムハンマドの風刺も含めて表現の自由の枠内に入る(何でもありだ)」という解釈をしたことに対し、関口氏は「すべてが許される」であれば、フランス語では「Tout est permis」になるはずだと誤訳を指摘。「Permis」は「許可」を意味する「Permission」に由来し、現在から未来に及ぶ行為を許可することを指す一方、「Pardonné」は宗教の罪の「赦し」に由来し、過去に為された過ちを赦すことを意味する。すなわち直訳すれば「すべてを赦した」になるはずで、この表紙の持つ意味が全く異なることを詳しく説明している。 
「許す」と「赦す」 ―― 「シャルリー・エブド」誌が示す文化翻訳の問題
SYNODOS http://synodos.jp/international/12340

 

2016年、ミュチュエルの制度が変わる - フランスの保険制度

知っておきたい保険制度
2016年、
ミュチュエルの制度が変わる

フランスで現在、健康保険(セキュリテ・ソシアル、以下セキュ)で還付されない医療費は、ミュチュエル(Mutuelle:互助保険)でカバーされている。しかし2016年からミュチュエルの制度が大きく変わる。この制度の改正で、会社や従業員、個人事業主などに、具体的にどのような変化が起こるのだろうか? (取材協力:ASSETS Assurances)

今回の改正で、どのような点に変更があるのでしょうか?

これまでのフランスの保険制度は、健康保険があり、そこで還付されない部分を補うためにミュチュエルがあるという2階建ての仕組みになっていました。またミュチュエルは日本語で任意保険と訳されているように、任意の保険でもありました。しかし2016年から、新たな法律に則った補償内容のミュチュエル、コントラ・レスポンサーブル(Contrat responsable、以下CR)ができ、CRは会社員であれば幾つかの特別な場合を除いて、全員加入するように義務付けられます。そしてCRでカバーできない分に関しては、個人でオプションを選択して、追加で保険料を支払うことも可能です。つまり、セキュ、ミュチュエル(CR)、CRのオプションという、3階建ての仕組みになりました。

CRとは簡単に言うと、第2のセキュのようなものです。例えば、現在医者にかかった場合、診察費はセキュの算定基準(Base de remboursement)に基づいて還付されます。現在セキュの割合は70%となっていますが、残りの30%を、このCRが補うことになるわけです。

そうなると、CRとこれまでのミュチュエルとの違いは何なのか? という疑問点が出てきますが、大きな違いはCRには最低補償額と最高補償額が決まっているという点です。これまでのミュチュエルは、一般的にはセキュの算定基準の100%、150%、200%というように、補償率に差を設け提供しており、掛け金の高いミュチュエルの場合には400%の補償が付いている商品もありました。しかしCRの場合には最高補償金額が200%と決まっています。そのため、それ以上の補償を望む人はCRのオプションを個人で加入する必要があります。この部分に関しての会社負担は一切ないので、個人で全額負担する必要があります。

この改正の背景には何があるのでしょうか?

まず、会社契約のミュチュエルがある従業員と、会社契約のミュチュエルがない従業員の不平等をなくすという目的があります。

また、医療費の削減という目的があります。例えば眼鏡を作る場合には、CRでの最高補償金額が850€に設定され、回数も2年に1度に制限されました。これまでは最高補償額の制限がなかったので、掛け率の高いミュチュエルに加入している場合には、1000€を超えるような場合にもミュチュエルの補償で賄える場合があったのです。

また医療費の削減という面でいうと、もう一つ大切な改正がありました。CAS(contrat d'accès aux soins)というもので、CASにサインしている医師としていない医師の治療費還付には、大きな差が出てきます。もちろん、これにより医師側にも変更がありました。CASにサインした医師は、社会保障費の一部をセキュが負担するという利点があり、サインしていない場合には、このようなセキュの負担がありません。

CRに加入しないという選択肢もあるのでしょうか?

現在ミュチュエルに加入していない会社はCRに加入する義務があります。ただ、すでにミュチュエルに入っている場合には、CRに変更した方が良いとされるものの、変更しないという選択をすることも可能です。ただCRに変更しない場合には、会社は保険税を2倍支払う必要があります。通常CRの保険税は7%ですが、それが14%に上がり、会社負担分の保険料は課税対象になります。会社にとっては大きな負担となるはずですから、ほとんどの会社が時期に従ってCRに変更することになると思います。

変更の期限はあるのでしょうか?

現在ミュチュエルに加盟していない会社は、2015年末までに、従業員にCRを用意して、提示しなければなりません。現在すでに会社でミュチュエルの契約をしている場合は、2017年末までにCRへの変更手続きをすることになります。ただし、加入したのが去年の8月9日以降の場合や、この日以降にミュチュエルの項目に何らかの変更があった場合などは、2015年末までに変更をしなければならないケースがあるので、十分にご注意ください。

また、自由業や個人事業主などTNS(Travailleur non salarié)の場合には、2016年3月31日までに今加入しているミュチュエルをCRに変更する必要があります。この変更を忘れると、保険税が7%から14%になる他、マドラン法 (Contrat d'assurance Madelin)の課税所得控除が受けられなくなります。ただTNSの人で現在ミュチュエルに加入していない人は、入る義務はありません。

会社がCRに変更した場合、従業員は全員加入義務があるのでしょうか?

ある一定の基準を満たす場合には、加入しなくても良いことになっています。例えば、夫婦で異なる会社に勤めており、両社ともCRに加入した場合は、どちらか一方のCRを選択することができます。また、現在ミュチュエルに入っていない会社が新しくCRに加入する場合、従業員は無条件で拒否する権利があります。ただその際にも会社としてはCRを用意し、従業員に提示する義務があり、従業員は拒否することを書面で雇用者に提出しなければなりません。有期雇用者(CDD)や季節労働者の場合は、契約が12カ月未満の社員は、CRへの加入を拒否することができます。逆に学生やインターン生は社員ではないので、会社側はCRを提示する必要がありません。

CRの補償内容は誰が決めるのでしょうか?

会社の規模によって、具体的な決め方の規則は異なるのですが、基本的には従業員の総意を得るという考え方です。現在すでにミュチュエルに加入している会社は前述のように2017年までにCRに変更すればよいのですが、2年猶予があるとはいえ、従業員の総意を得るためにはさまざまな手続きを踏む必要があり、大変な作業です。法的な規定に則って補償内容を決定したという証拠を法的な文書として残しておかないと、後から問題になる可能性があるので、十分に注意を払う必要があります。

CRの会社負担金は最低で50%となっています。もちろん50%以上を福利厚生として会社が払うことは可能なので、この件についても経営者と従業員の間で合意する必要があります。

※ 今回の保険の改正についてはl’article 56 de la loi de financement de la sécurité sociale pour 2014における法改正を盛り込んだDécret no 2014-1374 du 18 novembre 2014を法的根拠としています。

参考リンク : http://www.legifrance.gouv.fr (Loi de financement de la sécurité sociale pour 2014)

保険(ミュチュエル)制度改正についての説明会
問い合わせ: 01 53 79 97 97(ASSETS Assurances)
メール: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください

 

フランスの防衛

人々をテロの脅威、さまざまなリスクから守る
フランスの防衛

フランスの防衛これまでの歴史上、国際政治や軍事面で重要な役割を担ってきたフランスは、テロ、国際紛争、犯罪などを防ぎ、解決するために力を発揮してきた。安心して暮らし、旅行するために治安は大事な問題。今や経済、環境問題も含めて議論されるフランスの安全保障や防衛の取り組み、システムにはどんなものがあるのだろうか? (Texte: Satomi Kusakabe)

フランスを守る組織

今年1月の過激派による風刺紙社襲撃事件以来、フランスにおける治安が大きな課題となっている。海外県を含むフランス領土で人々を危険から守ってくれているのは、軍隊、そして警察や消防署などを含めた行政全体だ。  

フランスの安全を保障する責任者とはいったい誰なのか? 戦争などの有事に関わる軍事となると、その最高責任者は国家元首である大統領だが、軍隊に所属する軍人たちの責任者は首相となっている。防衛政策は政府が司り、国防省は軍隊の組織や動員などについて指揮する。

人々を守る行政組織といって真っ先に浮かぶ、警察、消防隊の二つの組織についてみてみよう。フランスの国家警察は内務省の管轄となっており、警視庁(Préfecture de police)は町の治安、社会の秩序が維持されるように機能している。例えば、パリ市内での犯罪対策は、パリ警視庁の管轄となり、被害予防のパンフレット配布から犯罪被害者の保護、被害証明の発行、犯人捜索も行う。外国人が多い国際都市パリでは、被害者が外国人のケースも多く、自分の言語で被害を説明できるようなシステムまで導入されている。

一方の消防隊だが、任務は消火だけでなく救急活動でもあるため、大きなけがや急病が発生したときに連絡するのは消防署(TEL: 112か18)だ。自然災害や環境汚染などの緊急時にも対応する。また、人間だけでなく、動物のレスキューにも出動する。パリ周辺とマルセイユの消防隊は軍人の身分だが、内務相の管轄。パリ消防旅団(Brigade des sapeurs-pompiers de Paris)の指揮権を持つのはパリ警視総監で、パリ市周辺の消防と救急に携わり、有事の際には国防省の指揮で動く。軍人の身分を有する国家憲兵隊(Gendarmerie nationale)は、国家警察が管轄する都市以外の小さな町を管轄。犯罪の捜査やテロの対応、暴動の鎮圧などに当たるが、非常時には国防省の下で軍事行動をする。

テロの未然防止に目を光らすのは?

世界の平和と安全の維持に主要な責任を負う機関、国連安全保障理事会の常任理事国であるフランスは、国際紛争の解決に当たるため紛争地、戦域に軍隊を送ることがある。2014年9月、仏軍はイラクのイスラム過激派組織への空爆を開始。それ以降、フランスはISILや関連組織から脅迫を受けたり、フランス人が誘拐事件に巻き込まれたりと、テロの脅威にさらされている。同年11月に国内治安法典が改正され、テロの未然防止という治安の強化が図られた。

さて、首相が所轄する国防・国家安全保障事務総局(SGDSN)がある。国の安全と防衛を司り、リスクや脅威を分析、防止策を定義し、フランス領土で危機管理に当たる組織だ。20年前に起こった東京でのサリン事件、2001年アメリカの大手メディアに封筒が送られた炭疽菌事件に代表されるような生物兵器、核や放射線など大量破壊兵器(NRBC−E)を使ったテロを防止するため、SGDSN は1980年から目を光らせている。今やリスクや脅威は国境を越え、多様で複雑になっているため、フランス国内外の関連省庁や専門家たちとの協力は欠かせない。

テロ対策はこんなふうに ─ 町の安全を守る監視システム

監視システム

警官が携帯する
ビデオカメラGoPro

フランスでは段階的に、警官が携帯する250gの小型ビデオカメラを導入。危険や必要を感じた警官が周囲の様子を撮影できるようになっている。スイッチを押す30秒前から録画されるという優れもの。このカメラを意識することによって、警官も市民も互いに行動が穏やかになることが実証されている。2019年までに内務省は4500台を配布したいと考えている。

  1. フランスは2011年に信号、電磁波などを通じて行う諜報活動に貢献する、軍事偵察技術実証衛星Elisaを打ち上げた。これは、電磁的偵察プログラム(ROEM:Renseignement d'Origine ElectroMagnetique)の一環で、偵察衛星からの情報と電波傍受データの分析をするもの。2020年には、信号諜報衛星システム(Ceres)が運用開始予定で、危険な相手が発するレーダーやテレコム通信などの信号を特定することが可能になる。
  2. 人の身体や行動の特徴を生体情報によって認識できるカメラが、空港、駅、宗教関連施設などの場所に設置されている。360度の方向から撮影し、数千の顔をスキャンでき、そのデータをリアルタイムで分析するというもの。やけに神経質な動き、挙動不審な態度をとる人物をとらえ、その行動を分析し、疑わしい人物として顔を特定する。
  3. ソーシャルネットワークや携帯通信機器など、ウェブ上の情報集約は監視装置の中心的部分だ。キーワード検索、訪問サイト、好みなどをプロフィールの危険性などから鑑み、調査、比較する。
  4. 内務省対内安全総局(DGSI)は、治安通信傍受管理委員会(CNCIS)の承認を得て、無線、インターネット通信など通話を傍受したり、専門機関に通信記録を調査させる。 また、爆弾製造などに使用される化学物質などが、排水から追跡できるヨーロッパの研究プロジェクトもある。このプロジェクトの発展で、屋根の上からも不審な匂いを嗅ぎ分けるセンサーの設置が可能になると考えられている。

警戒警報「Vigipirate」

【レベル】vigilance
テロの危険性が常にある場合

● ヴィジピラットは恒常的な安全性を維持するために働く。特定建物前の駐車禁止、空港での荷物検査、人が集まる場所や交通機関での監視、列車内の見回り、国家機関のウェブサイトへのアクセス状況の点検など。

● 国家元首の参加するサミットやスポーツの国際試合などでも、公共交通機関や開催地の監視、入場者の荷物検査などが強化され、レスキュー部隊が待機し、警備や監視員の数が増やされる。

【レベル】alerte attentat
諜報局がテロ計画をキャッチした場合、もしくは テロ行為がフランス領土で起こった場合

範囲限定で特別に、また暫定的に発動される。リスクのための委員会などが起動、爆発物の捜索、学校などの施設周辺の駐車禁止、人物に対する検査を強化、フライトに関するセキュリティー手段の増強、空・海での防衛強化など。

今年に入って、学校などの公共施設、軍隊や警官の移動車などに「ヴィジピラット」の三角形のロゴを目にするようになった。ヴィジピラットはテロの危険レベルが高くなると発動される警戒警報だ。この危険レベルは、情報システム、設備や資材、健康、食品、地下鉄など12分野307項目について危険性を細かく鑑み、判断される。

1978年に創設されたヴィジピラットは首相の所管で、軍人により構成される治安強化のための部隊もある。実は、2014年以前にヴィジピラットで部隊が動員されたのは一度で、1991年湾岸戦争開始時だけ。フランスでは同年、多国籍軍のメンバーで仏軍が対イラク戦に参戦した際、学校前で自動車爆弾が爆発。それはテロ事件とみなされ、このヴィジピラット計画が実行された。その後、高まる一方のテロの脅威から、2014年初めにヴィジピラット計画が改正され、警戒レベルなどが分かりやすくなった。

ヴィジピラットの部隊は警官、憲兵隊員が主体で、情勢悪化を受けて陸・海・空軍の兵士、公共交通機関の従業員までもが加わる。また、さらに約1500人の軍人がフランス領土の永続的防衛活動に当たる。同部隊はフランス国内はもとより、海外県、海外に居住するフランス人の防衛に貢献する。

今年の1月以降フランスでは警戒を続け、テロの危険性がある場所に軍の兵士らを配備している。政府は19年までに軍関係者3万4000人を削減する計画だったが、このうち1万8500人の雇用を維持することを今年4月に発表。厳戒態勢のために、1日当たり100万ユーロの費用が掛かる。

最近の仏セキュリティーの取り組み

ダメージが広範に及ぶサイバーテロ対策

サイバーテロ対策フランス国内でウェブサイト約2万件がダメージを受けた、大規模なサイバー攻撃があったのは今年の1月。軍や国防省のサイトも標的になった。同月11日の反テロ大行進に対する反撃とみられ、個人というよりも組織化されたハッカーの仕業といわれる。また、今年4月にはフランスの国際放送局が過激派組織「イスラム国」に属するハッカーから攻撃され、同組織の「敵に対するサイバー聖戦を続ける」というメッセージがソーシャルネットワークを通じて流された。

サイバー攻撃に関しては、犯人のタイプも犯行内容も実にさまざまだ。国の機関から、金融、商業、産業界、学校や個人にまで被害が及ぶこともある。フランスのコンピューター防衛能力をつけるため、2009年、コンピューターセキュリティーのための国家機関(ANSSI)が設置された。24時間体制で、特に重要な行政機関のサイトをチェックし、常に検出能力を更新。サイバー攻撃があったら警察はすぐにその犯人捜査に動く。特に行政、金融分野などには予防のためのサービスを提供し、われわれの生命活動に必要不可欠なオペレーターなどを支援する。攻撃の危険や防衛法を定期的に企業や一般の人々に知らせ、そのための積極的なコミュニケーションと呼び掛けの対策を発展させ続けている。

出現が相次ぐ無人機ドローンの問題

近年、フランス国内で不審な無人機ドローンが出現している。原子力関連施設上空で2014年10〜11月に30回ほど、パリでは観光名所や大統領府など、いずれも無人機の飛行が禁じられている場所で目撃された。第2次世界大戦の兵器として開発された無人飛行機だが、爆弾も運べる大型の軍事用もあるという。フランスでは無人機ドローンの使用が増加するにつけ、科学技術の調査研究に政府組織Agence Nationale de la Recherche(ANR)が、無人機の追跡を強化しようと対策を急いでいる。2014年12月には民間企業から対策プロジェクトを募集。その結果、応募の中から採用された2案は来年前半までの販売、運用を目指す。

日仏間の防衛強化

今年3月中旬、ルドリアン国防相が日本を訪れ、日仏外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で両国が防衛装備の共同研究・開発に関する協定に署名。両国が無人潜水艇、音波探知機(ソナー)、ロボット、サイバー防衛など少なくとも4分野で技術協力を強化していくことを明らかにした。

民間防衛

大きな災害、戦争状態においては、国家公安部隊の力だけは守りきれないので、民間人も避難などの自己防衛、被害の最小化や救援活動を含めた民間防衛が必要になる。化学兵器などに備えて防護マスクを用意する、戦争中なら各自防空壕を掘り自己防衛するなどがその例。また、公序良俗に従うことも民間に求められており、これらは国の安全保障と位置付けられている。

主なリスクに敏感になる!

政府はリスクのケースごとに、状況、対策、過去の出来事などを説明して、市民にさまざまなリスクに対応できるように呼び掛けている。www.risques.gouv.fr

民間防衛

例1

酷暑
2003年夏には酷暑のために高齢者を中心にフランス全国で約1万5000人が死亡。一人暮らし、または体が不自由な高齢者は、普段から市町村の支援サービスなどに申請しておく。酷暑の夏は屋内に待機し、大量の水を飲み、アルコール、カフェインや糖分の多いものは摂取しないようにする。緊急の場合は15(SAMU)に電話する。

例2

エボラ出血熱
2015年1月末の時点で、西アフリカを中心に感染者2万1000人、死者約8500人を出した。感染してから2~21日で発症。エボラ出血熱の流行国に行き、感染が疑われる場合、15(SAMU)に電話し、病院の救急外来などにはかからない。
TEL : Info Ebola 0 800 13 00 00

例3

インフルエンザ
冬場になると流行し、38度以上の高熱、関節痛、咳などを伴う。ウイルスの感染性があるのは兆候から9日間だから、その間は療養することが望まれる。エボラ出血熱と同様に、かかりつけ医か15(SAMU)に電話し、病院の救急外来などにはかからない。
TEL : Info'Grippe 0 825 302 302

例4

原発事故
フランスでは1999年、ブレイエ原発で原子炉が自動停止するレベル2の事故が起きた。嵐による近くの川の洪水が原因。もし大きな原発事故が起きたら、電話は控えること。非常事態の際に救急隊を呼ぶことが困難となるからだ。ラジオ・フランスで流される行政機関からの情報に耳を傾ける。

協力:Préfecture de Police、在仏日本大使館、JAXA

 
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