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dim 24 juillet 2016

今一番訪れたい場所、それはアルザス

今一番訪れたい場所、それはアルザス

アルザスの宿に泊まったときのこと。
フランス語のような、ドイツ語のような、妙な言葉が飛び交う。
アルザス語だ。

ヨーロッパの東西南北を結ぶ街道の十字路として栄え、
ライン川の水運を利用した工業が発達したアルザス地方は、
天然資源が豊富にあり、フランスとドイツの間で
長い間領土争いが行われた。
国境に近いこともあり、両国の文化が少しずつ融合され、
独自の言葉や文化を生み出した。

そんなアルザスが一年で一番輝くとき、それがクリスマス。
冬こそ食べたいアルザスの郷土料理とともに、
アルザスでぜいたくな時間を過ごそう。
(Texte: Kei Okishima)


二国の文化が融合されたアルザス文化

朝食に出される薄切りソーセージや、木組みの町並みを見てドイツを思い出し、フランスらしいファッショナブルなお店を訪れてショッピングを堪能する。性格の異なる「ドイツ」と「フランス」という二国の間で生まれた独特の文化を持つアルザスは、両国の特徴を少しずつ持ち合わせた不思議な地方だ。住民はとてもフレンドリー。「国が変わるという複雑な歴史があったからこそ、アルザスでは他人を受け入れる文化があるのでしょうか?」と宿屋のオーナーに尋ねると、「いやいや、アルザスは観光業で成り立っているから、フレンドリーでなかったら、誰も来やしないよ!」と屈託のない顔で笑い飛ばされた。でも、こんな率直な会話ができるアルザスの人との交流は、とても心地よい。

アルザスが一年の中で最もきらめくのが、クリスマスだ。クリスマスツリーはもともとドイツの黒い森(シュヴァルツヴァルト)が発祥と言われている。飾りつけをしたという記録が最初に残っているのは、ドイツのフライブルクで、1419年のこと。もともとドイツでは、魔よけとして冬場に常緑樹を飾る習慣があったといい、シュヴァルツヴァルトやアルザス地方では、常緑樹の中でも、もみの木が飾られた。ストラスブールでは、1604年に家庭でもみの木に飾りつけをしたという記録が残っているそうだが、クリスマスツリーの販売について初めて記述された文書は1521年で、アルザスの町、セレスタの人文図書館で今でも保管されている。

アルザスの伝統衣装を着ている女性
アルザスの伝統衣装を着ている女性

アドベントが始まると、ヨーロッパ各地でクリスマス市が開かれる。特にドイツやアルザスは有名で、クリスマス時期になると北から南まで各地にクリスマス市が立つ。教会の周りに立つことの多いクリスマス市だが、そもそも教会のミサと関係が深い。ミサのために市民が教会に集るときに、教会前の広場に屋台が並ぶようになったという。特に12月は年の市で防寒具などが売られており、この習慣がちょうどクリスマスの時期と重なるために、お菓子やクリスマス飾り、ロウソクなどを売るクリスマス市という習慣に結びつくようになった。

町の中心に立っているクリスマス市の近くまで来ると、どこからとなく漂う香辛料の香りに引き寄せられる。ホットワインだ。赤ワインに、シナモン、八角、オレンジピールなどの香辛料と、砂糖やシロップを加えて火にかけたもの。特に雪の降るクリスマス市で白い息を吐きながら飲むホットワインは最高。体がほかほか温まり、ほろ酔い気分で眺めるクリスマス市のイルミネーションは、まさに幻想の世界だ。

クリスマス市を目当てに周る
アルザスの主要都市

ストラスブール Strasbourg

ストラスブール Strasbourg1988年に世界遺産に登録された旧市街を含め、数カ所にクリスマス市が立つストラスブール。ゴシック建築の傑作と言われるストラスブール大聖堂を背景に立つクリスマス市(Le marché de Noël de la Cathédrale)は特にお薦め。この町のクリスマス市は1570年から続く歴史ある市で、ブログリー広場に立つ市は、クリストキンデルマリク(Christkindelsmärik)と呼ばれている。クリストキンデルとは、神話上で幼児イエスのことだ。クリストキンデルの里は、同じアルザスのサヴェルヌにあると言われている。

ストラスブールのクリスマス市
Christkindelsmärik(ブログリー広場)
2013年12月31日まで
営業時間:12月23日まで10:00-20:00(金土~21:00)、
24日10:00-18:00、25日14:00-18:00、26~31日10:00-19:00、(31日は~18:00)
*ストラスブール内のこの他の市については、ホームページをご確認下さい。
www.noel.strasbourg.eu/marches-de-noel

コルマール Colmar

コルマール Colmar自由の女神を設計したフレデリック・オーギュスト・バルトルディの出身地であるコルマールは、ブドウ畑に囲まれ、ワイン街道の中心地としても知られている。石畳の歩道、静かに流れる運河沿いを散歩しながら、ゆっくり滞在しよう。

コルマールのクリスマス市
Place des Dominicainsなど市内数カ所
2013年12月31日まで
営業時間:10:00-19:00(金土~21:00)、24日、31日10:00-17:00、25日14:00-19:00
www.noel-colmar.com

ミュルーズ Mulhouse

ミュルーズ Mulhouse織物業、機械、化学工業などで栄えたミュルーズには、フランスを代表する大規模な工業系の博物館が集っている。特にフランス鉄道博物館には19世紀の蒸気機関車やTGVの模型、皇族専用車などがあり、子供や鉄道ファンに大人気。

ミュルーズのクリスマス市
Place de la Réunion
2013年12月29日まで
営業時間:10:00-20:00、24日10:00-18:00、26日14:00-20:00、25日休
noel.mulhouse.fr

冬こそ食べたい、アルザスの味覚

これがないと始まらない!アルザスの伝統陶器

アルザスの伝統陶器アルザスの料理は、ジャガイモなどの野菜、肉、ハム、ソーセージを基本とした、素朴な料理。このアルザス料理に欠かせないのが、厚手のぽってりとしたアルザス地方伝統の陶器だ。陶器はオーブンに入れて調理することが可能。赤や青、緑など、色鮮やかな陶器には、アルザスのシンボルであるコウノトリや、花の絵などが描かれ、調理後にそのままテーブルに置いても様になる。保温性があるため、中身が冷めにくいのも特徴だ。アルザスでは家族や親戚が集るときに、この陶器を使用した料理をみんなで分けながら食べる。

陶芸村スフレンアイムへ
陶器に適した土が豊かなスフレンハイムでは、何千年も前から陶器が作られていたのが確認されており、今でもこの地の土を使用して伝統的な陶器を作るアトリエが残る。陶芸で有名な村、スフレンアイムやベッチドルフ以外でも、アルザス地方の町では陶器を購入することが可能だが、種類の豊富さや値段を考えると、やはり生産地が一番お得。アトリエを見学することができる工房もある。この陶器は、時間が経つほど油がなじみ、使いやすくなるため、アルザス地方でこの陶器は親から子へ、子から孫へと、秘伝のレシピとともに受継がれていく。
スフレンアイム観光局サイト www.ot-soufflenheim.fr

購入した陶器で郷土料理、ベックオフに挑戦

ベックオフアルザスの郷土料理としてまず一番に思い浮かぶのが、キャベツの千切りの塩漬けを、肉と一緒に煮るシュークルート。シュークルートももちろんこの陶器で作ることはできるが、今では圧力釜で作ってしまう家庭が多いのだそう。しかし、肉と野菜を白ワインで煮るベックオフは別。この陶器の鍋がないと始まらない。昔はパン屋の火を借りて煮たというくらいで、材料の入った鍋をオーブンに入れるだけの簡単料理だ。見栄えも腹持ちもいいので、大人数の来客の際に、おもてなし料理として最適。

材料 (8人分)
羊の肩肉 1kg
豚の肩ロース 1kg
バター 50g
ジャガイモ 1kg
タマネギ 0.5kg
白ワイン(リースリング) コップ1杯
ブイヨン コップ1杯
ハーブの束(タイム、ローリエ、パセリなど)
塩コショウ
作り方
1. 肉を適度な大きさに切る。ジャガイモは薄い輪切りに、タマネギは薄切りにする。
2. フライパンにバターを入れ、タマネギを炒める。塩コショウを振る。茶色になったら火から下ろす。
3. アルザスの陶器の鍋に2のタマネギを敷き、その上に塩コショウをしたジャガイモを重ねて敷く。この上に肉を置き、さらにその上にジャガイモ、タマネギを層になるように重ね、最後に余ったジャガイモを乗せる。
4. 3の上にハーブを置く。
5. 4の中に、白ワインとブイヨンを混ぜたものを注ぎ、ふたをする。
6. 210度に熱したオーブンに入れ、2時間から2時間半焼いたら、できあがり

ベックオフに合う飲み物は?
「ジャガイモと肉」というドイツ的な料理であるベックオフは、もちろんビールがよく合う。しかしせっかくのアルザス料理、アルザスワインと一緒に味わいたい。ベックオフにはリースリング、またはシルヴァネールがお薦め。どちらも大衆ワインとして、手ごろな価格で手に入るものが多い。リースリングはアルザスワインの王道。シルヴァネールはシーフード料理や魚、冷たい肉類(ハムなど)にもよく合う。

アルザスワインとは?

アルザスのワインは、単一のブドウ品種を使ってワインを作り、品種名を基準として取引されるのが特徴。アルザスの土壌は複雑で、石灰質、砂質、粘土質、火山岩質、泥火質など、異なる種類の土壌が広がっている。アルザスではドイツワインと似た品種を使ったワインが多く製造されているが、アルザスの西側にある山脈が風をさえぎるために気象条件は悪くない。また、アルザスで造れれているスパークリングワインはクレマン・ダルザス(Crémant d’Alsace)といい、シャンパンと比べると値段がはるかに安いのに、美味しいものが多く、人気がある。

アルザスの代表的なワイン

リースリング Rieslingリースリング
Riesling

ドイツでもリースリングが甘口の白ワインなのに対し、アルザス地方のものはアルコール度が高めで酸味があり、繊細な辛口ワイン。蒸した魚料理や、カエル料理、豚肉料理などと相性がいい。

ゲヴュルツトラミネルGewurtztraminerゲヴュルツトラミネルGewurtztraminer
ライチやグレープフルーツ系の香りが非常によく、コクのあるワイン。辛口ワインが一般的だが、ブドウを遅く摘み、甘口に仕上げられることもある。チーズやクリームソースとの相性が抜群。

ピノ・ノワール
Pinot Noirピノ・ノワール
Pinot Noir

アルザスで唯一、赤ワイン、ロゼを作るためのブドウとして栽培されている、フルーティーなロゼ。アルザスの名物、タルト・フランベーと相性がいい。

ピノ・ブラン
Pinot Blancピノ・ブラン
Pinot Blanc

ピノ・ノワールの変種で果汁が豊富なブドウ。青リンゴのような香りがする。キッシュや魚料理に合うが、料理用としても好んで使われる。他のアルザスワインと比べると、やわらかい酸味が特徴。

ピノ・グリ 
Pinot Grisピノ・グリ 
Pinot Gris

ピノ・ノワールの変種で、甘口の貴腐ワイン。ハンガリーのトカイワインに似ているため、トカイ・ピノ、トカイ・ダルザスともいわれる。肉料理や油っぽい魚との相性が抜群。

ミュスカ Muscatミュスカ Muscat
繊細で栽培が難しい品種のミュスカは、アペリティフやデザートワインとして人気。フルーティーな味が特徴で、マスカットのような香りと、シャープな口当たりを楽しめる。ちなみにスペインやイタリアでは、甘口に仕上げられることの多い品種。


アルザスの名物 パンデピス

パンデピスパンデピスは小麦粉と蜂蜜を混ぜ、シナモン、八角、クローブ、しょうが、ナツメグで香りを付けた菓子で、クリスマスには欠かせない食べ物。古くは中国から渡ってきたものだという。アルザスには香辛料がライン川を通し、イタリアからやってきて、パンデピスが作られるようになった。1412年には病院で、「クリスマスにはパンデピスを」という記述がある。1801年にはパンデピス専用のお店が、ストラスブールを初め数カ所にでき始めた。アルザスのクリスマス市に行くと、かわいくデコレーションされた、大小さまざまなパンデピスを売るお店を見かける。

パンデピスの歴史を知る博物館

パンデピスの歴史を知る博物館

Fortwenger
LE PALAIS DU PAIN DE PICES
144, route de Strasbourg 67 140 GERTWILLER
Tel : 03 88 08 04 26
www.lepalaisdupaindepices.com


 

クリスマスギフト・セレクション

クリスマスギフト・セレクション

毎年クリスマスになると、頭を悩ませるプレゼント。
そこで今年は、クリスマスプレゼントにぴったりな オススメ商品を集めました。
大切な家族への贈り物に、日本の家族へのお土産として、
または一年間がんばった自分へのご褒美に、素敵なプレゼントで心を温めましょう。

Eva Koshka
パリのエスプリをたっぷり感じる子供服

Eva Koshka

パリジェンヌ、エルザが立ち上げた子供服ブランド、エヴァ・コシュカ。厳選した生地を使い、数量限定で生産される貴重な洋服たちに、独自性を重視するママたちから絶大な支持を集めています。50、60年代を匂わせるレトロモダンテイストも人気の秘訣。そんな中、この冬にお薦めなのは、とびきりキュートなコートたち。

ふわふわのフェイクファーコートは、立派なマダム風ですが、裏生地には幼稚園児らしいデザインをちゃんと残しています。襟の縁とハートマークがアクセントの紺色しっかりコートも捨てがたいチョイス。男の子用には、着やすさ、動きやすさ抜群のオーバーオールがお薦めです。普段着&よそ行きとして活用できる、ありがたい一着として重宝されること間違いなし。真のパリのブティックらしく、オーダーメードも可能なので、この機会にとっておきの一枚を頼んでみるのもいいかもしれません。

デザイナーのエルザさんデザイナーのエルザさん

パリのエスプリがたっぷり詰まった私のコレクションを見て頂けたらうれしいです。

41, rue de Rochechouart 75009 Paris
M : Anvers②、Cadet⑦
TEL : 01 42 81 28 40
月15:00-19:30、火~金12:00-19:30、
土11:00-19:30、日休
※12月15、22日は14:00-19:00営業
www.eva-koshka.com

TAE ASHIDA
エレガントで機能的なスーパーアイテム、"レザーパッツ®"

パーティー用のドレスを楽しみたいけれど、パリの冬はとても寒くて我慢できない……という方に、とっておきのアイテムをご紹介しましょう。デザイナー、芦田多恵のブランド「TAE ASHIDA」が提案するレザーパッツ®です。ストレッチ性のある上質のフランス製ラムレザーを使用し、短めのアーム用は手首をマーク。長めのアーム用は二の腕まで伸びるロンググローブのようで、しなやかなフィット感も魅力です。これなら冬でも、恐れずノースリーブのドレスや七分丈のトップスを楽しめそう。レッグ用はどんなパンプスにも合わせられ、足元のおしゃれの幅がぐっと広がります。

デザインは、ベーシックなタイプの他にもクリスタルのファスナー付きのものや、型押しタイプなどバリエーションも豊富。いつものスタイルにレザーパッツ®を合わせるだけでほど良くモードなニュアンスをプラス。
自分へのご褒美に、また親しい方へのプレゼントにいかがでしょうか。

クリスティーヌ・ ダークセンさんクリスティーヌ・
ダークセンさん

ファッションの中心地でjun ashidaとTAE ASHIDAのコレクションを。さまざまな言語でおもてなしします。

jun ashida
34, Rue du Faubourg St-Honoré 75008 Paris
M : Concorde①⑧⑫、Madeleine⑧⑫⑭
TEL : 01 42 65 09 30
10:30 - 18:30
日祝休
www.jun-ashida.co.jp

Yasu Kakegawa
日本の文化の香り、味わいを贈る

Yasu Kakegawa品種、生産者などにこだわった至高の日本茶。抹茶、玉露から、煎茶、ほうじ茶、玄米茶まで、幅広いお茶があります。

「日本茶の品種」、「宇治抹茶の歴史と楽しみ方」、「日本茶の生産過程」など、さまざまなテーマでレクチャーが行われているので、この機会に日本茶の知識を深めてみては?レクチャーや試飲会をお祝いとして企画することも可能です。

Yasu KakegawaYasu Kakegawaさん

「繁田さんの玄米茶」50gで22€、煎茶「天竜一番茶ビンテージュ2009年」50gで30€なども人気です。

12, rue Simon Le Franc 75004 Paris
M : Rambuteau①、Hôtel de ville①、
Les Halles④
TEL : 01 44 61 28 21
13:00-18:30(木は15:00-18:00)
火水休
yasukakegawa.com

Galerie PERE TANGUY
タンギー爺さんの店で浮世絵を

浮世絵ゴッホの絵画「タンギー爺さん」が画材屋兼画商を営んでいた場所にあるこのギャラリーでは、ゴッホが愛した浮世絵を販売しています。

例えば、本物の広重の風景画をはじめ歌川派絵師の役者絵など、ここは掘り出し物の宝庫。プリント版はよりお手頃価格なので(北斎や広重のレプリカが5€から)日本を感じさせる小粋なプレゼントに最適です。

※12月15日までレストラン花輪で
浮世絵展開催中

青柳顕博さん青柳顕博さん

ゴッホやセザンヌなど印象派画家がこぞって集まったここタンギー爺さんの店で彼らの息吹を感じてください。

14, rue Clauzel 75009 Paris
TEL : 01 48 78 77 41
13:00-19:00(日18:00まで)
月休
M : St-Georges⑫

Espace CACHEMIRE
本物のカシミヤをクリスマスに

Espace CACHEMIREパーティー用のドレスを楽しみたいけれど、パリの冬信頼できるカシミヤを求めて海外からも客足が絶えないのが、絹や革製品及びスコットランド製の商品を扱うカシミヤ専門店Espace CACHEMIRE。パリで40年以上愛されているブティックです。ここのカシミヤは、品質保証されたものばかり。長くて柔らかいカシミヤヤギの腹部の毛は、雨や風にさらされず、色が美しいのが特長。また長い毛は切れにくいため、余計な毛玉を作りません。

クリスマスプレゼントとしてお薦めしたいのが、まずカシミヤのワンピース。無駄な重ね着をせずとも温かく、冬のおしゃれがぐっと楽しくなりそうなアイテムです。また、内側が絹というリッチな革の手袋は、さらりとした肌触りが魅力的。男性ものも色や形が豊富にそろっているので、心まで温まるお気に入りの一枚がきっと見つかるはず。かわいいベビー用の服や、カシミヤの人形も扱っています。見る人が見れば一目瞭然の本物のカシミヤを、ワードローブに加えてみませんか?

Espace Cachemireの スタッフよりEspace Cachemireの
スタッフより

柔らかく温かいものがそろう魔法のようなお店にぜひいらしてください。19~750€の贈り物が見つかります。

Espace CACHEMIRE
101, rue Réaumur 75002 Paris
TEL : 01 42 36 68 53
10:00-18:30
日休
M : Sentier⑧
www.cachemire.com

Maison Césaire - Stéphanie Césaire
シンプルな装いに気品を添える、ステファニー・セゼールのかばん

ステファニー・セゼール

ステファニー・セゼールの生み出す、官能的で色っぽいボリュームのあるかばんたち。フランスの伝統職人技術を駆使し、フランス製の革を取り入れながら一つ一つ丁寧に仕上げられていきます。その中から、この冬に手に入れたいイチオシ商品をご紹介しましょう。無造作にたるませた上部がアクセントになった「Nina」は、A4サイズも入るたっぷり感がうれしいハンドバッグ。エメラルドグリーンからピンクに変化するパイソンレザーの「Numéro 6」は、ちょっとしたディナーやパーティーに華を添えてくれます。こんなかばんに忍ばせたいのが、扇子型財布「Grand eventail」。名前の通り、止め具を中心に、コインケースと紙幣用のフラップが扇子のように開く、ユニークな財布です。どれもカジュアルにもシックにも合わせられ、シンプルな装いにもエレガントさと気品を添えてくれます。クリスマスに自信を持って贈れる、真の「Made in France」かばんです。

ステファニー・ セゼールさんステファニー・
セゼールさん

モードの中心地にあるブティックにお気軽にお立ち寄りください。皆様のご来店をお待ちしております。

6, rue St-Florentin 75001 Paris
M : Concorde①⑧⑫
TEL : 01 42 97 43 43
11:00-19:00
日休
www.stephaniecesaire.com

Waaf & Miau
伊仏を中心としたペットグッズ

Waaf & Miauなかなかフランスでは見付けられない、かわいい首輪やハーネス、服など、犬と猫用のアイテムがぎっしり詰まった店内。ここでしか手に入らないものや、日本未発売の商品もあります。

日本へのお土産には、パリがモチーフになったTシャツや、首輪に付けるペンダントヘッドなどはいかが?

小型犬から大型犬までの充実した品ぞろえで人気です。

お店の人気者のキキお店の人気者のキキ

ルーヴル美術館とオペラ座の間にあるので観光の合間にぜひお立ち寄りください。犬の絵の食器もありますよ。

14, av de l'Opéra 75001 Paris
M : Pyramides⑦
TEL : 01 42 60 02 47
火~土11:00-18:00、日13:00-18:00
月休
www.waaf-miaou.com

Fujitsu
親へ「安心」のプレゼント、スマートフォン「STYLISTIC S01」

Waaf & Miau今年、親世代でも一人で「スマホ生活」になじめる、富士通のスマートフォン「STYLISTIC S01」がフランスに上陸しました。まず目を引くのが、使用頻度の高い機能から順に大きなアイコンが配置されたホーム画面。上下にスクロールするだけで目的の機能を探すことができます。画面は触れただけでは反応せず、ボタンのように画面を押し込む仕組みなので、誤操作を防ぎ安心して使えます。周りに緊急事態を知らせるエマージェンシーブザーは、鳴らすと事前に登録した連絡先に自動で電話を発信し、SMSで位置情報を知らせてくれます。他にも、大きくて見やすいフォント、防水(IPX5/IPX8/IP5X)対応、音が聞き取りやすい受話専用スピーカーなどありがたい機能が満載。分かりやすさで好評のユーザーガイドとDVDを参照すれば、多くの問題が自分で解決できるのもうれしいポイントです。親に感謝の気持ちを込めて、便利さと安心を贈りましょう。

お店の人気者のキキ富士通担当者
七尾 健太郎さん

「親へ贈り喜ばれた!」と日本で話題の商品です。写真も簡単に撮れるので家族で送り合えば楽しさ倍増です!

本製品のお取り扱い店舗に関しては、
下記URLをご参照ください。
www.fujitsu.com/fr/smartphone/

販売は、フランス全土のOrangeショップにて。


 

谷本歩実 インタビュー フランスで新たに柔道を学ぶ

谷本 歩実 インタビュー フランスで新たに柔道を学ぶ

谷本歩実
金メダルを獲得した北京オリンピックでの表彰式

アテネオリンピック、北京オリンピックともにオール一本で金メダルに輝いた谷本歩実。そんな谷本は、今年3月からJOCスポーツ指導者海外研修員として渡仏し、フランスおよび周辺諸国の柔道事情を学んでいる。「一本柔道」を貫き、日本の柔道を守り続ける谷本が、フランスから学ぶこととは一体何なのだろうか?
(Interview réalisé par Kei Okishima)

谷本歩実(たにもと・あゆみ) 
柔道家


1981年8月4日生まれ、愛知県安城市出身。9歳のときに市内の柔道教室で柔道を始める。高校3年生のとき、全日本ジュニア柔道体重別選手権大会で3位、ハンガリー国際柔道大会では2位となった。筑波大学に進学した2000年、フランスジュニア国際で優勝。04年アテネオリンピック、08年北京オリンピックの柔道女子63kg級金メダリスト。その他、世界柔道選手権で銀、銅メダル、アジア柔道選手権で金メダル2つを獲得した。段位4段。株式会社小松製作所に所属。

なぜ、フランスで柔道を学ぶのですか?

柔道は日本のものですが、今や国際的に発展を遂げているスポーツです。つまり、海外が日本の柔道を発展させてくれています。その中でも、フランスという国は、一番柔道が活発で、学ぶことの多い国なのです。今はいろいろな道場に行き、子供から大人まで、フランス人がどのように柔道を感じているのか、そして指導者が何を、どのように伝えているのかを研究しています。日本を一歩出て外から見ると、さまざまな問題点や課題が見えてくるので、とても有意義な時間を過ごしています。

日本の柔道にはどんな問題を感じますか?

今、日本の柔道界はいろいろな問題にぶつかっています。柔道がオリンピック競技となってからは、「日本の柔道なのだから、日本人は絶対に勝たなければならない」という意識のもと、選手を強化することに重点が置かれるようになりました。もちろん、勝つように教育することは大切ですが、柔道の生みの親である嘉納治五郎先生が唱えた「精力善用」、「自他共栄」という精神は、絶対に忘れてはいけないと思うのです。

勝利至上主義だと、どうしても得点を稼ぐことばかりを考えてしまうので、相手のことを敬う試合にはなりません。私は現役時代、競技としての柔道と、教育としての柔道が二極化していることを感じていました。では自分はどうするのか?ということで、随分悩みました。私は教育として柔道を覚えてきた人間です。しかし、勝ちたい。そして出た結論は「一本柔道」だったのです。  

一本を取るというのは、技術的にも精神的にも難しいことです。一本柔道を貫くためには、自分自身がやってきた全てを試合で出す必要があります。逆に、日々やってきたことが全て試合に出るので、そこに恥じない試合をしなければなりません。  

世の中に、ポイントを稼ぐ柔道が流行する中、私は一本柔道に徹したがために一年間負け続けたこともありました。ただ、得点を稼ぐ柔道をしている選手に出会うと、自分が本当の柔道を伝えなければならない、という思いがありました。だから、技術も、精神力も強くなるように、いっぱい練習を重ねました。

精神力はどのようにして強くするものなのでしょうか?

精神力も、技術と同じように積み上げていくものだと思います。今日の自分をゼロとして、明日の自分を1に、あさっての自分を2にするようにします。絶対にマイナスにならないように気を付けることで、自分は今日から強くなれるわけです。そして「強くなった」と自分自身を信じるために、練習を重ねるなど努力をし、自分自身を納得させられる根拠を作っていきます。

オリンピックなど大舞台に挑むときにも、精神力が重要になります。試合の前日は眠れなくなったり、当日の朝には緊張で食事がのどを通らなかったりするわけですが、それではエネルギー不足で負けてしまいます。そのため、「眠る練習」、「食べる練習」もしていました。マインドコントロール、というか、自分を安心させられる術を身に着けることも必要なわけです。

「一本柔道」にたどり着いた理由は?

ドコス選手に内股一本
ドコス選手に内股一本

幼いころから柔道の心を教えられていたので、もともと「一本柔道」というのは目指していました。ただ、得点を稼ぐ柔道が流行し、私自身揺れていた2001年、心に残る試合がありました。長年私のライバルとなったフランスのリュシ・ドコス選手との試合中、私は勝ちたいがために得点を稼ぎ、逃げてしまったのです。その試合自体は勝ったのですが、そのときにドコス選手に「これは本当の柔道ではなかった」と言われました。そのとき、本当に恥ずかしく、悔やみました。このころから、改めて自分が「一本柔道」を貫かなければならないと思うようになりました。

フランスの選手も、本当の柔道をしっかり理解しているのですね。

もちろん選手にもよりますが、フランスでは教育としての柔道がしっかり根付いていると思います。指導という面で日仏で異なる点は、フランスでは全国で同じ柔道を教えられるように、国が制度を整えていることです。フランスでは、柔道を教えるのに国家資格が必要ですが、パリでも地方都市でも柔道の質が同じであるように、そして教えが偏らないようにと、指導者を指導をする役割の人が居ます。つまり、柔道の先生が、自分の主観だけで柔道を教えてしまうと偏りが出てきてしまうので、情報を共有し、指導者も常に学んでいき、柔道の質を一定に保つようにしているわけです。日本ではこのようなシステムがないので、柔道の教えが指導者によってそれぞれ異なる気がしています。それゆえに生じる問題というのも、あるのではないかと思います。指導者が柔道の理念をしっかりと学ぶというのは、大切なことですね。

フランスでここまで柔道が人気がある理由はどこにあると思いますか?

まず、フランスが柔道を教育として推している点が挙げられます。国が認めた道場には助成金が出るので、各道場は助成金を得るために、体制を整え、責任を持って柔道を指導するようになります。このように、ビジネスとして柔道が成り立つというのは、大きなキーポイントだと思っています。

日本は、国を挙げて柔道を応援はしていますが、国が支援はしていません。例えば、町道場を開くのに、日本だと警察署員などがボランティアで教えることが多いのです。つまり、手弁当で教えていて、「柔道を経営する」ということが難しいのです。日本は、熱い思いやボランティア精神で柔道が成り立っているわけですね。フランスのようにビジネスとして柔道を成り立たせるためには、それぞれの道場が、客である生徒をより多く集めるためにさまざまな工夫をしなければなりません。つまり、指導者は柔道を教えるだけではなく、みんなが集まってくるように、楽しませる工夫をするのです。

日本ではこのような指導はしないのですか?

日本での指導者に、柔道を楽しませるという感覚はありません。むしろ厳しく指導します。例えばフランスの子供たちは、「柔道って楽しい」と言いますが、この感覚には驚きました。日本で柔道をしている子供たちは「強くなりたい」とは言いますが、「楽しい」と表現する子供にはほとんど会ったことがありません。フランスでは柔道というものを日本のように上からドンっと、押し付けられるのではなく、自主性が求められるのです。そのために、指導者が柔道の本質や喜びを具現化して伝えているような気がします。

日本独特の「体育会系」という教えは必要だと思いますか?

体罰はいけませんが、厳しさというのは成長する上で必要だと思います。ただ、この厳しさというのが、前の世代のようには通用しないのが現状です。では、どのように柔道を教えていったらいいのか? と考えたとき、そのヒントがフランスにあると思うのです。

例えばフランスでは、小さい子供の教室だったら、「いもむしゴロゴロ」など面白い名前をつけて、ゴロゴロ転がってみたり、技や礼がどれだけ上手にできるかなどのテストをして、トロフィーをあげたりと、柔道に対する意欲をかき立て、のめり込んでいくように仕向けています。

こういう形の柔道を見ていると、柔道というのは本当は広い入り口のあるスポーツなのだなと思えてきます。フランスの方が、柔道への第一歩が踏み出しやすいですね。日本は敷居が高いように思います。道着を着ていてゴロゴロと転がること、それも柔道の第一歩。フランスではこうして体を動かす喜びを覚えていくわけです。そこに礼をすることが入ってきて、仲間が居ることや、対戦する相手が居ることに感謝するようになる。次に技を覚え始め、投げられたときの痛みを知るようになり、投げられたときの受身を通して、自分を守る術を知るようになる……というように、フランスの柔道は、細かい過程を自ら感じ、学んでいけるように工夫されています。

楽しませる工夫というのは、本来日本人が得意なのでは?

そうですね。ただ難しいのは、柔道が「楽しい」だけになるのはよくないです。そこをしっかり吟味しなくてはなりません。スポーツというのは、時代とともに変わらなくてはいけないと思うし、変えてはいけないものもあると思います。その中で、日本の良さというのは絶対に失ってはいけないと思っています。

他の国では見られない日本の柔道の良さはありますか?

日本人というのはとても勤勉で、完成度を高め、自分を磨くことができる民族だと思います。柔道が好きな人というのは、職人肌の人が多いです。1つの技を磨くのに、何回も同じことを繰り返し、完成度を高めていくわけです。例えば、器を作るのに、粘土でただ形にするだけではなく、細部まで時間を掛け、丁寧に作り上げていくようなイメージですね。同じことを繰り返すというのは、忍耐が必要で、大変な作業です。しかし研究と同じで、同じものを改良しながら何度も繰り返し作り続けることで、精度が高まるわけです。これは日本の誇るべき精神だと思います。例えば、私が北京オリンピックの決勝戦で10年来のライバルだったフランスのリュシ・ドコス選手にかけた内股というのは、私が20年間ずっとこつこつと練習を繰り返してきたものなのです。そういう技が、決勝という舞台で出てくるのです。

フランスでの柔道指導風景
フランスでの柔道指導風景

2020年のオリンピックに東京が選ばれました。それに向けて、期待することはありますか?

日本が世界の人たちともっといろいろな情報を共有するようになったらいいと思います。  

日本は、やはり島国だと思うのです。フランスにいると、大陸続きで情報が共有されているというのを感じます。私が現役時代の話ですが、柔道の技にしても、去年はやったものが日本に入ってくる、というように、情報が入ってくるのが遅いと感じることがありました。今はインターネット社会で情報はいつでもどこでも入ってくるものですが、それでも実際に触れ合う機会というのがあるのは、大切だと思うのです。そうすることで、子供たちも世界に目が行くようになり、夢や目標を持てるようになるのではないでしょうか? 例えば今日本で子供たちに「夢がある人、手を上げて!」というと、ほとんど手が上がらないのです。逆に「夢って、どうやって作ったらいいのですか?」「夢って何ですか?」と聞かれてしまうのです。彼らは今、限られた日本の情報の中でしか夢を抱けないので、海外のアスリートなどと交流する場を持つことで、夢や希望を持てるのではないだろうかと思っています。

残りのフランス生活で達成したいことは?

この半年で、フランスの良いところ、工夫している点がよく分かりました。あと1年半で日本の良さ、魅力をもっと知りたいです。国際柔道連盟に加盟している国が200国以上あるのですから、それほど普及する柔道には、私がまだ気が付いていない魅力があるのではないかと思っています。それは、日本の魅力にもつながっていることだと思うので、そこをもっと学びたいです。

 

フォトコンテスト2013 受賞者発表!

英・独・仏ニュースダイジェスト主催 フォトコンテンスト2013 受賞者発表!

英・独・仏、3国のニュースダイジェスト主催によるフォトコンテストも、お陰様で今年で3回目を迎えることができました。過去最多となる335点もの応募作品は、どれも力作ぞろい。旅先で出会った人やモノ、日常生活でふと感じたいとおしい瞬間。それぞれ異なる300以上ものひと夏の思い出の中から、ほんのいくつかを皆さんと共有できればと思います。

*写真をクリックすると拡大します

マチュア部門大賞

フランス 「夕方の花」
受賞者:ビエモン・スィルヴァンさん

「夕方の花」8月初め、ミュスカデという白ワインで有名なナントにある友人の別荘を訪れました。夕方、カメラを持ち散歩に出掛けると、すぐそばにもう使われていないブドウ畑があり、野性味あふれる草木が茂り、色とりどりの花々が咲き乱れていました。なかなか撮影したい花が見つからなかったのですが、15分程たったとき、目の前に夕方の太陽を浴びているピンクの一輪の花を見つけました。ひざまずいてみると、その花の真後ろにぴったり太陽が重なり、とてもキレイだったので撮影しました。

審査員のコメント
色や構図が非常に強いインパクトを持った写真だと思います。今回はほかにも多くの方々が花々の写真を撮っていますが、この作品は構図とライティングの良さが群を抜いていました。逆光になっているので、光に透けた花弁の一枚一枚までがくっきりと際立つ様が素晴らしい。自然光で植物の写真を撮影するのならば、朝早く、または午後遅くがベスト。また、被写体に合わせてできるだけ視点を低くすることも大切です。花に焦点を当てることはもちろん重要ですが、花のどの部分にポイントを置くかも考えてみましょう。
by Canon Europe


キッズ部門大賞

英国 「ひまわり」
受賞者:デービス 保奈美さん(6歳)

「ひまわり」いつもマミーのカメラを使って、好きなものの写真を撮っています。おもちゃとか、自分で描いて気に入った絵とか、ダディーとかマミーとか。お家から見える景色も。写真撮影は大好き! だから今回、大賞を取ったと聞いてとてもうれしいです。学校で植えたひまわりが家のベランダできれいに咲いたので撮りました。よく見ると、中心にある小さな豆の集まりが、私のクラスの皆が集まったときみたいで面白いな、と思ってそこを中心にしました。今度はピカチュウを撮りたいな。

審査員のコメント
今回はキッズ部門もクオリティーの高い作品が数多くみられましたが、この作品は色鮮やかで力強く、何枚もある写真の中からすっと目に飛び込んできました。被写体に思い切り寄って撮影しているため、写真いっぱいに一輪の花が広がっていますが、焦点はピッタリ合っている。写真の大部分を埋め尽くす黄色に、ほんのわずか空の青色がのぞいている色のバランスも素敵ですね。撮影者が6歳というのが信じられない、レベルの高い一枚です。
by Canon Europe


マチュア部門特別賞

英国 「ジャンプ!!」
受賞者:ブレンディス 彩緒子さん

「ジャンプ!!」夏休みにフランスの海でボディボードを楽しむ息子と甥っ子たちを撮影していたときの一枚です。私自身も海に足を浸し、カメラが濡れないように注意しながらの撮影でしたが、子供たちの特別な一瞬を撮ろうと夢中になってしまい、気が付くと波しぶきがかかっている、というような状況でした。この写真は甥っ子がジャンプした瞬間を撮影したもので、生き生きとした表情、躍動感のあるポーズ、そして波しぶきをはっきりと捉えることのできた大好きな一枚です。


審査員のコメント
休暇の最中に子供が思い切り楽しんでいる、まさにその喜びの瞬間を切り取った作品。人物写真の撮影では、被写体に焦点が合っていない場合がありますが、絶妙なタイミングで撮影されています。これよりほんの少し前でも、ほんの少し後でも、この一枚は生まれなかったでしょう。そしてもう一点、突出していたのが色調。被写体の表情がとても良く捉えられている一方で、紺碧の空と海の中、ウェットスーツの鮮やかな緑色がくっきりと浮かび上がってきます。 by Canon Europe


マチュア部門入賞

英国 「Santa Monica Pier」
受賞者:バトラー 絹子 フィオナさん

「Santa Monica Pier」米カリフォルニアのベニス・ビーチからサンタモニカへ帰る途中、曇っていた空が突然割れ、サンタモニカ・ピアの昔ながらの遊園地のシルエットが現れたときに眩しさに目を細めながら撮った一枚です。光が差し込んでいる空が印象的だったので、そこに焦点を当てました。遊園地のシルエット、桟橋の下にチラッと光る海と暗い雲のコントラストが気に入っています。これからは旅行先で見る空だけではなく、天気がすぐ変わり、色々な顔を見せてくれる英国の空も撮りたいですね。

審査員のコメント
楽しかった一日が、あるいはひと夏が終わり、皆が家路に着いた後に、物思いにふける遊園地。また来るからね、と思わず声を掛けたくなるような切なさと、この美しい情景を見つけ出した撮影者の方の優しさが感じられる逸品です。海辺にある遊園地と、雲が大きく広がる空が、湿り気のある、しっとりとした情感を醸し出しています。空と遊園地の構成比率が絶妙であるとともに、写真中央下部の、日光で輝く雲と水面の光が良いアクセントとなっていて、何度も見入ってしまいます。 by 宝酒造株式会社


マチュア部門入賞

ドイツ「Sie beide(2匹で一緒に)」
受賞者:高野 太輔さん

「Sie beide(2匹で一緒に)」 久々の休みにローテンブルクの城壁を散歩した際、何気なく撮った一枚です。猫の石像の隣で、本物の猫が気持ち良さそうにお昼寝をしている姿に癒され、仕事の疲れが吹き飛びました。普段から外出時にはカメラを携帯し、日常的に見慣れたモノや風景を客観的に捉え、より印象深い形で残せるよう心掛けています。モノの見方(向きや角度、時間)を変えることで、被写体の新鮮さや印象深さはいくらでも増すと思います。これからも日々の生活の中でより良い写真、思い出を残していきたいです。

審査員のコメント
猫好きの人にはたまらなく素敵な一枚ですが、苦手な人でも見ているだけで幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。自分が陽だまりの中で気持ち良くお昼寝をする猫になったような気分になります。猫、草花という自然に、猫の石像、植木鉢や庭石という人の手が加わったものが調和していて、角度や構図、色合いが絶妙です。動物の写真を撮ることは、簡単そうで意外に難しいですよね。撮影した方は、生き物の一瞬の表情を捉えることができる、素晴らしいセンスの持ち主だと思います。 by Steigenberger Frankfurter Hof THE SPA


マチュア部門入賞

フランス 「行き交う人々」
受賞者:長澤 綾乃さん

「行き交う人々」 地面に張った水面が美しい「水の鏡」で有名なボルドーのブルス広場で撮りました。この日は残念ながら曇っていたので水の鏡を見ることはできなかったのですが、下から出てくるミストがなんとも幻想的でした。そこで遊ぶ子供たちや世間話をするご老人方、そしてただ通り過ぎるだけの人々――それぞれが自分の時間を思い思いに過ごしているのがとても印象的で、思わずシャッターを切ってしまいました。フランスならではの自由な生活感が漂ってくるようで、とても素敵な空間でした。

審査員のコメント
まるで計算された静止画のような写真の中で、息をしている赤い色の登場人物たち。眺めている自分が「不思議の国のアリス」などのおとぎ話の中に誘われているような感覚にとらわれます。多数の優秀な応募作品の中からこの作品を選んだ理由は、「この写真の中に入りたい」と思わせる魅力があったからです。この写真を見ていて、自分も赤いシャツを買いたくなりました。撮影された長澤さんのほかの写真も見てみたいですね。今回は仏マチュア部門の入賞、おめでとうございます。 by GUILOGUILO


キッズ部門入賞

英国 「パンを大事に抱えているねこ」
受賞者:山根 萌々子さん(11歳) 

「パンを大事に抱えているねこ」この写真はトルコのエフェソス遺跡で写しました。その日はとても暑く、数匹いた猫たちは遺跡の影に隠れて眠っていました。どの猫も可愛かったのですが、私が一番写真を撮りたいと思ったのがこの「パンを大事に抱えているねこ」でした。この写真で気に入っているところは、観光客にもらったであろうパンを大事そうに抱えながら、「取られることはないから大丈夫」という風に安心して眠っている姿です。風景の写真を撮ることが多いのですが、これからは動物も撮影していきたいです。

審査員のコメント
応募作品の中に動物の写真は多く、ほかにも可愛らしいものはあったのですが、この作品は猫とパンとお昼寝という組み合わせがユニークですね。しっぽの近くには食べ散らかした跡もあるので、きっとまずは食べられるだけ食べてお腹いっぱいになり、でもほかの猫には取られるかとばかりに残りのパンもしっかりと抱え込んで眠りこけてしまったのでしょう。そんな猫の気ままでマイペースな日常の一コマが頭の中で再現できてしまうような、実にチャーミングな一枚だと思います。 by History Studiosr


キッズ部門入賞

ドイツ 「野花」
受賞者:パウル・ベルケマーくん(10歳)

「野花」この写真は、今年の夏休みにチロル地方を旅行したときに写したものです。ハイキング中に、景色や植物、動物、乗り物、家族など、いいなと思ったものの写真をたくさん撮りました。夢中になりすぎて、両親が100メートルも先から僕を呼んだこともありました。この写真を撮ったときも、ピントが合わなかったり、ハチが上手く写らなかったりして、何度も試しました。道端に咲いている野花にミツバチが止まり、頑張って蜜を集めている様子を撮ることができて良かったです。

審査員のコメント
思わず目を留めてしまうほどの、繊細かつ躍動感あふれる作品ですね。ミツバチが、風に揺れる花の上で懸命に蜜をすすっている様子が収められた見事なワンショット。じっと写真を見続けていると、穏やかな風が吹いているのを肌で感じられるようです。ミツバチの毛の1本1本、羽の模様にまでぴったり焦点が合っていて、ミツバチの存在感を十二分に引き出しています。また、奥行きのある写真なので、ほかの花へ飛び移るミツバチの次の行動をも想像せずにはいられません。 by Purzel-Baum


キッズ部門入賞

フランス 「おさないで。おちないで。」
受賞者:山岡 葵竜(きりゅう)くん(10歳)

「おさないで。おちないで。」影僕は夏休みに船の旅に出るために、大好きなボレロという犬を友達の家に預けた。でも旅行中はいつもボレロのことばかり考えていた。ある日、サントリーニという島に行って、パパたちは景色を見ていたけれど、僕は全然楽しくなかった。「ワンワン!」という犬の声が聞こえて見てみると、2匹の犬が崖っぷちに立っている。僕はカメラを出し、10枚ぐらい写真を撮った。そして船に戻り、その写真ばかり見ていた。「ボレロも来たら良かったのに」。この写真が入賞して「やったー!!」と思った。

審査員のコメント
犬のほのぼのした様子と、後ろの広大な風景とのコントラストが良い雰囲気を醸し出している一枚だと思います。2匹の躍動感が写真から伝わり、私も日本の実家にいる愛犬に会いたくなりました。葵竜さんも実は、ご自身の愛犬に会いたいと思って撮られたのですね。そんな気持ちが、見ている側にも伝わってくる作品に仕上がっていると思います。わずか10歳でこれだけの作品を生み出せるのですから、今後が楽しみです。これからもぜひ、写真を撮り続けてください。 by BOOK OFF


[審査員総評]

例年にも増して非常にレベルの高い作品が集まりましたね。今回は特に風景写真に目を見張るものが多かったという印象を抱きました。人物写真は家族や知人にとってかけがえのない瞬間を捉えた作品もありましたが、被写体に焦点が合っていないケースが多かったのが残念。

また、動物の写真も多かったのですが、実は動物の写真を撮るのは非常に難しい。動物写真イコール忍耐と言っても良いほどなのです。動物は人間の言うことを聞いてくれませんから、とにかく時間をかけてその動きを観察して次の動作を予測し、シャッター・チャンスを逃さないようにすることが必須となります。

風景写真を撮る際のコツは、構図をよく考えること。画面を縦と横それぞれ3分割する線を設定し、その線が交わる点上に被写体を置くという「3分割法」に則って、どこに地平線を持ってくるかを考えてみてください。蛇行する川や曲がりくねった道など、見る人の視線を導く要素を考えることも、美しい風景写真を撮るポイントとなるでしょう。
by Canon Europe

[From Digest]

英・独・仏ニュースダイジェスト主催フォトコンテスト 2013に数多くのご応募をいただきまして、誠にありがとうございました。今回で3回を数える本コンテスト、今年は過去最高となる計335点のご応募をいただき、社員一同、心より感謝申し上げます。

当選までの流れとしましては、これまで同様、まずはニュースダイジェスト社内で一次審査を実施。その後、各国審査員による最終選考が行われ、各国入賞作品、及び大賞作品・審査員特別賞作品が決定しました。

今回は撮影期間が夏ということで、明るい日差しの下、旅行先で撮影された写真など、見ているだけで心弾む作品が多かった印象を受けました。特に風景写真は意外性を突くものよりも、丁寧に時間をかけ、構図を練ったと思われる作品がいくつもみられたように思います。

例年になく多くの作品が集まったキッズ部門では、大人顔負けの構図の写真にうならされたり、日常のささやかな一場面をユニークにかつ愛らしく切り取った写真にほほ笑まずにはいられなかったりと、どの作品を選ぶべきか、うれしい悲鳴を上げながらの審査となりました。

今回はまた、弊社フェイスブック上に第一次審査通過作品をアップし、読者の皆様のお気に入り作品を教えていただくという初の試みを行いました。皆様からのご支持が高かった作品を、本ページ最後に掲載しておりますので、ぜひご覧ください。 

[受賞者と賞品]

マチュア部門
大賞 ビエモン・スィルヴァンさん Canon Europe より
Canon EOS 100D Digital SLR Camera
マチュア部門特別賞 ブレンディス 彩緒子さん Canon Europe より
Canon PIXMA MG6350
英国入賞 バトラー 絹子 フィオナさん 宝酒造株式会社より
清酒と焼酎のセット(200ポンド相当)
ドイツ入賞 高野 太輔さん Steigenberger Frankfurter Hof THE SPA より THE SPA のご利用券
(300ユーロ分)
フランス入賞 長澤 綾乃さん 新割烹のレストラン GUILOGUILO より
お食事券(200ユーロ相当)
キッズ部門
大賞 デービス 保奈美さん Canon Europeより
Canon IXUS 255 HS Digital Camera
英国入賞 山根 萌々子さん History Studios より
古の時代へタイムスリップ、コスチュームを着て写真撮影体験
ドイツ入賞 パウル・ベルケマーくん Purzel-Baum より
子供服とおもちゃ(各1点)
フランス入賞 山岡 葵竜くん BOOK OFF より
バウチャー(60ユーロ相当)

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下記では、第一次審査通過作品のうち、弊社フェイス
ブック上で多くの支持を集めた作品をご紹介します。

 

ジビエの季節をとことん堪能する

ジビエの季節をとことん堪能する

17世紀、ベルギーのフランス・スナイデルスが描いたジビエ売り
17世紀、ベルギーのフランス・スナイデルスが描いたジビエ売り

狩猟が解禁されると、家禽(かきん)肉類を扱う店やマルシェの店先に毛や羽が付いたままの野生の鳥獣肉、ジビエが並ぶ。そうなると、いよいよ食の秋の到来!生のジビエはグロテスクに感じるが、新鮮な食材を即、食する国ならではの光景に食指が動く。よりジビエを知って、この秋はジビエ料理を手軽に味わってみよう。 (Texte : Satomi Kusakabe)

狩猟とジビエ

狩猟人類の歴史が始まって以来、人は食料調達のために、そして身を守るために狩りをしてきた。紀元前1万5000年、家畜の飼育や農業が始まり、狩猟は楽しみの一部、レジャーに変わった。そして、中世になると狩猟は貴族や聖職者たちの特権となる。このころ、狩猟について「ジビエ」という言葉が登場し、人々は狩猟に出ることを「Aller en gibier」と言っていた。獲物にもレベルが付けられ、大型の四つ足動物は貴族階級だけが狩猟でき、小型の野ウサギや野禽類は庶民に、という具合だった。狩りで仕留めた野生動物をジビエと呼ぶようになったのは16世紀以降のこと。

ジビエは、鳥類のジビエ・ア・プリュム、ほ乳類のジビエ・ア・ポワルに大きく分けられる。ジビエ・ア・プリュムには、野禽のライチョウ、キジ、ヤマウズラ、ヤマシギ、カモ、ハト(pigeon)、ガチョウ(oie)、ウズラ類(caille)など、ジビエ・ア・ポワルには、野ウサギ、イノシシ(sanglier)、シカがある。ヤマウズラ、カモ、キジなどのジビエ・ア・プリュムについては現在、飼育された後、狩猟前に自然の中に解き放たれることが多い。

狩猟後のジビエ

ジビエは、捕ってすぐには食べない。一般的には内臓を取り除き、ゆっくりと冷蔵庫で冷却保存する。肉質をなるべく良い状態で保ちたければ、冷蔵庫の中で死後硬直を迎えることが望ましい。すぐに解体してしまうと、肉の縮み幅が大きくなり肉が堅くなるため、理想的な状態でおいしく食べられないのだ。野禽類は内臓を取り除かないでおくことが多く、特にキジは内臓付きのままつるして熟成をさせる、「フザン」が由来の熟成法、フザンダージュ(faisandage)を行うことはよく知られている。キジは首をくくられた状態でつるされ、首部分が腐ってちぎれ体が下に落ちるほどになったら、内臓の香りが肉に行き渡り、野性的な力強いうま味と風味が増す。

ジビエを手に入れる

ジビエジビエを買うなら、肉屋、家禽(volaille)肉や獣肉を専門に扱う店を訪ねてみよう。少し大きめのマルシェに出掛けても見つかる確率は高い。店に並ぶジビエには、完全に野生のもの、半野生のもの、飼育のもの(gibier d'élevage)とある。流通量が安定しなかったり、生息数が減少していたりする種については飼育される。半野生とは、飼育後に放し野生化したもの。キジを含め、ほとんどのジビエ・ア・プリュムがこれに当たる。  

店先に並ぶジビエ肉は、ランジスのような市場や食肉処理施設で処理、解体されたもの。狩猟者から直接手に入れることは、個人でなら可能だ。  

しかし、買ってきたジビエ肉を家庭で料理できるノウハウを持っている人は少ない。首などが除かれ味付きの状態で売られているものを買ってみよう。家庭では、オーブンに入れるだけで本格ジビエが楽しめる。

ジビエ料理って?

ジビエは野生の風味が強烈で癖があり、調理方法を知らないとおいしく食べられないため、ジビエの消費量は減る傾向にあるようだ。それでも、フランスの家庭では、パーティーなど特別の機会にジビエ料理を振る舞うこともある。  

野生の風味が特に強いイノシシやシカ、野ウサギなどのジビエ・ア・ポワルは、何時間か赤ワインに漬けてから調理することが多い。それは臭みを取るため、そしてうま味を増幅させるためだ。赤ワインにニンジンやニンニク、玉ネギやエシャロット、ジュニパーベリー(西洋ねずの実)、ローリエやローズマリなどを加えてマリネし、そのまま煮込みにしてもおいしく頂ける。  

ハーブ入りのノロジカのココット、森の雌シカのロースト、イノシシ肉のカレー、リンゴとマガモ、クルミ入りヤマウズラのひなのファルシー……、レストランはジビエのおいしさを最大に引き出すためのメニューに工夫を凝らす。レストランの入口に張られている「Gibier de Chasse Chasseurs de France」のステッカーは、フランスで捕れたジビエを提供しているという目印だ。

ジビエ料理
左)ウズラとフォアグラのコンフィ 右)ライチョウのロースト
料理:レストラン「Epicure 108」提供

ジビエは健康食品

ジビエの肉は低カロリーで高タンパク。脂肪分が少ないために消化も抜群。燐(りん)、カリウム、鉄が多く、ナトリウムが少ないので、バランスの取れた健康食としてもすすめられる。ヤマウズラを例に挙げれば、脂肪分は鶏肉の3分の1、カリウムや鉄は鶏肉よりも多く含まれる。キジにいたってはタンパク質に富み、体脂肪率1%以下という脂質の低さ。

パリのジビエ事情

20年前、パリの至る所のマルシェには野禽をはじめ、シカなどのジビエが毛付きでつるされていた。しかし、年々パリジャンのジビエ需要が少なくなり、今では大型のジビエを見掛けることはほとんどない。なぜパリジャンにジビエ離れが見られるのか?まず、都会に住む人はあまり野性的な味を好まないこと、そして料理の準備に手間が掛かること。また、多文化都市パリでは、ジビエが禁忌とされるユダヤ教やイスラム教の人も多い。パリジャンがジビエを好きではないとなれば、ジビエを提供するレストランも少ないことは必然的だ。

狩猟の解禁

狩猟ができる時期は鳥獣保護の面で規制されている。つまり、春夏の繁殖期は捕獲が禁止される。解禁時期は9月下旬から2月ころまで。猟が解禁される秋には、野生動物は冬に備えて栄養を蓄え、脂も乗ってくるので肉質がいい。一方で、冬の間野生動物の食料は減少することから、年が明けたころからは肉質が落ちる。  

解禁日と終了日は動物の種によっても違い、毎年地域ごとに決められる。

狩猟の現在

ヨーロッパの中で1番の狩猟国、フランス
  クールベの描いた冬の狩猟風景

ヨーロッパの中で1番の狩猟国、フランス。フランスでスポーツハンティングはサッカーに次いで2番目に人気のあるスポーツだ。また、レジャーとしては3番目という人気ぶり。現在、狩猟ライセンスを所有する人は全国に120万人以上で、毎年2万人がライセンスを取得している。特に5年前から狩猟人口が急増し、狩猟への関心の高さがうかがえる*。

フランスは海岸線、山岳地方、森に平地と、地形がバラエティーに富んでいるため、狩猟の対象となるさまざまな野生動物が生息する。 フランスで狩猟を行う人の98%は男性で、平均年齢は55歳。職業はさまざまだが、労働者や農業従事者、中間業者が多い。狩猟の理由は、自然に触れることが第一で、ジビエを食べる目的と答えた人は半分だった*。

*Fédération nationale des chasseurs (FNC) 資料

狩猟事故

殺傷力の強い猟銃での狩りに事故はつきものだ。2012年4月~13年3月の狩猟シーズンにはフランス全土で57人の死者が出ている。イノシシのような大型の野生動物に体当たりされたり、狩猟仲間の銃弾に当たったり、ブロックするのを忘れた引き金を何かの拍子に引いてしまったりで死亡事故に至るさまざまなケースが報告されている。

 

ジビエ・ア・プリュム Gibier à plume

  • キジ、カモ、ウズラライチョウ(grouse)

    季節により毛色を変える。9月にスコットランドで祭りの際にのみ狩猟される。
    海岸の植物の実を食べているので複雑な味わい。
  • キジ(faisan)

    種類が多い。山以外どこにも生息する。
    白身の肉。パサパサしている。
  • ヤマウズラ(perdrix)

    腹が灰色のヨーロッパヤマウズラ(perdrix grise)は保護のため狩猟禁止。背と腹が赤茶色の赤岩シャコ(perdrix rouge)はよく食される。perdreauxは若鳥。
    鶏ササミのように淡泊。赤みを帯びている。
  • ヤマシギ(bécasse)

    羽が枯れ葉色のため狩猟が難しい。商用には狩猟禁止。
    香りが良く、味は繊細(A.デュマによる)。全部位がおいしい。
  • カモ(canard sauvage)

    マガモ(canard colvert)が一番良く知られる。10月以降、食するのにいい。
    脂が乗っていて、普通のカモより味が濃い。

ジビエ・ア・ポワル Gibier à poil

  • 野ウサギとシカ

    野ウサギ(lapin de garenne, lièvre)

    背が褐色のウサギ。一般によく狩猟される。
    臭みが強い。仕込みに何日も掛かる。
  • シカ

    体重は60kgほどある。
    雌シカ(biche)、雄シカ(cerf)、
    ダマシカ(daim)がある。
    牛肉のようだが獣のにおいが強い。
  • ノロシカ(chevreuil)

    小型のシカ。
    においは上記のシカほど強くない。赤身肉。
    歯応えのよい繊維質。

ジビエの簡単料理をその道のプロに聞いた

アランさんマルシェ・サントノレ近くの家禽肉店で、ジビエ肉を担当するアランさんはノロジカ(chevreuil)をシンプルに調理する。

「直接オーブンに入れローストするだけ。肉汁のソースと頂くという手軽さ。フィレは、よく熱したフライパンにバター、もしくは植物油を敷き、細かく刻んだハシバミの実(noisette)と共に強火で肉の両面をよく焼いて」


「Epicure 108」のシェフパリ17区でジビエ料理を提供するレストラン「Epicure 108」のシェフは、ライチョウの複雑な味が好き。

「しっかりよく焼くとコリコリと歯応えもいい。焼いた肉に、ソテーしたセップ茸やジロール茸、ミラベルなどとフォアグラを加えたソースと頂くのが最高!ジビエの味は毎年違うので、まず味をみてからおいしいジビエを仕入れ、調理しています。今年はライチョウとハトの脂の乗りがいいですね」

 

ジャンポール・ゴルチエ氏インタビュー

ジャンポール・ゴルチエ氏インタビュー!

ジャンポール・ゴルチエパリが一段とオシャレに華やぐ
ファッションウィークが9月末に
またやってきます。
「パリコレ」に欠かせない存在となって
久しいジャンポール・ゴルチエ氏は、
デザイナーになることを夢見た少年時代から
今までずっと変わらないのでは、と思える
ダイナミズム、少年のような無邪気さの持ち主。
そんな人となりが多くの人を引きつけ、
色あせない斬新なファッションを
次々と生みだしているのかもしれない。

(Interview réalisé par Satomi Kusakabe)

Jean Paul Gaultier
1952年4月24日、パリ近郊バニュー生まれ。76年に初のプレタポルテを発表するも、最初のコレクションに対する評価は懐疑的だった。78年、オンワード樫山とスティリスト契約を結び独立。80年代はアバンギャルドなクリエーターとして、下着ルックやボディコン、メンズのスカートなどのユニセックスなスタイルや斬新なファッションを発表し、たちまちモード界の寵児に。90年代にはアクセサリーや香水を発表。2004~10年、エルメスのレディース・プレタポルテのデザイナーも兼任している。

デザイナーになろうとしたきっかけは映画?

そうなんだ。祖母とテレビで映画「偽れる装い(Falbalas)」を見ていたときのこと。この映画は1940年代に製作されたジャック・ベッケル監督の白黒映画で、主演は女優のミシュリーヌ・プレール。その映画の中に、ファッションショーのシーンがあってね。それを見た瞬間、「自分はドレスメーカーになり、ファッションショーをするんだ!」と、すぐにひらめいた。自分の天職だ、将来の職業はこれしかない! と。

ジャンポール・ゴルチエ

デザイナーになるための教育は受けなかったって、本当ですか?

実のところ、僕はデザイナーではなくドレスメーカーなんだ。ともかく、確かに僕はモードの学校を出ていない。多分そのせいで僕は解放されたように自由なんだろうね。というのも、自分固有のコードを作り出すことに成功したんだから。僕が「学校」として学んだところは、モード雑誌の数々だったな。雑誌などをじっくり観察し、自分が気に入ったファッションを集めてコレクションとし、それらをデッサンしてね。同時に、その自分のコレクションに対して批判する文章も書いていたよ。

ゴルチエ氏にとっての日本
「僕は日本が大好き!東京はもちろん、他の地方を訪れるっていいね。今のところ、日本での特別なプロジェクトはないけれど、近いうちにきっと何かできるはずだよ。」

18歳から有名メゾンに!

これは全てピエール・カルダン氏のお陰と言えるよ。彼が僕を雇ってくれたんだから。今日、僕がこうあることができるのは、当時彼が便宜とチャンスを与えてくれたからこそなんだ。

オンワード樫山とは身近な関係?

僕のビジネスパートナーであり恋人だった、フランシス・ムニュージュ氏が話を進めてくれたのが契約のきっかけだった。それ以来35年間、僕は相変わらずオンワードとともにあるんだ。70年代、僕が専属デザイナーに応募したフランスの「バスストップ」や、「ジャンポール・ゴルチエ」ブランドのプレタ・ポルテ・レディースのライセンスを所持するイタリア・ブランド「ジボ」はオンワードグループなんだからね。

自分のブランドを立ち上げて……

多分、手段も何も無いところからスタートしたことが良かったんじゃないかな。僕たちの職業で一番大切なこと、つまり創造性が示せるわけだから。毎回コレクションでは新しいスタイルを発表しているけれど、自分のスタイル、流儀があって、それを毎回違った方法で解釈し直しているんだよ。

あなたの衣装は映画や歌手のステージでよく着用されますね。

このような企画は、僕にとってまさに新鮮な息吹。ラッキーなのは、これまで僕が尊敬する人たちと常にコラボできるチャンスに恵まれてきたことね。

自分のコレクションを発表するとき、自分は同時に舞台の演出家でもあるから、自分でシナリオを書き、キャスティングも行う。一方で、映画の仕事をするときは、例えばシナリオはもう出来上がっていれば、監督もいるわけ。そこで僕がやるべきことは、僕の創作品を他の誰かに着用してもらうことだね。

毎年パリの人気デザイナーランキングでは最上位。こうなるまでどんな努力をしましたか?

自分の職業に対する情熱、これを持たなければいけないよ。それが唯一の秘訣。情熱を持ってすれば、全てが可能になるんだから。

モード界のクリエーターたちとどんな関係を築いていますか?

「コム・デ・ギャルソン」の川久保玲氏や渡辺淳弥氏のような日本のクリエーターたちの仕事は、実にいいね 。他のクリエーターたちとは、本当のところあまり近しい関係にはないな。── それは時間が足りないから。どのクリエーターも僕が感じているような同じ問題にぶつかっていると思うよ。── そうは言っても、1980年代に僕のアシスタントを務めていた、今や押しもおされぬベルギー出身の世界的デザイナー、マルタン・マルジェラ氏は今でもいい友人だな。

ファッションショーをこの先も続けますか?

いつかやめる日が来るだろうけれど、それはまだ先のこと……。

パリ・ファッションウィーク
「2014年春夏プレタポルテコレクション」 2013年9月24日~10月2日
 

フランスのモード界を支える職人たち

フランスのモード界を支える職人たち

毎年華やかなショーが行われ、モードの国として、
常に流行を世界に発信し続けるフランス。
斬新なアイデアや奇抜なデザインが注目される中、
その裏では伝統を受け継ぎながらファッション界を支える職人の存在がある。
(Interview réalisé par Kei Okishima)

宮廷のモードを今に受継ぐ
デュヴェルロワの扇子

扇子はルイ13世の母、マリー・ド・メディシスによってフランスに紹介され、17世紀の宮廷で使われるようになった。フランスでは今でも、扇子はファッションの一部として扱われている。

貴族文化と関係が深い扇子が一般に知られるようになったのは、フランス革命の後のこと。1827年、25歳のジャンピエール・デュヴェルロワは、扇子の新たな発展を信じ、自ら扇子のメゾンを作ることを決心した。メゾンの設立から2年、あるチャンスが訪れる。29年3月にベリー侯爵夫人がチュイルリー宮殿で開いた舞踏会で、女性たちが扇子で着飾ってカドリーユを踊ったのである。これがきっかけで、女性が扇子を持つようになり、デュヴェルロワのメゾンはリュー・ド・ラペの15番地に店を構えるようになる。創立者、ジャンピエールの死後は、息子のジョルジュが引き継ぎ、ますますメゾンを発展させた。この頃、薄い布や絹のガーゼ、レースを使い、スパンコールで飾られた華やかな扇子が誕生した。  

扇子

左)チュールに スパンコールが 刺繍された1890年の扇子
右)20世紀初頭に作られたクジャクの羽の扇子

19世紀、メゾン・デュヴェルロワは扇子で伝える合図を解読した本を出版した。扇子で顔の半分を縦方向に隠し、片目を見せる仕草は「Suivez-moi(私についてきて)」、両目の下から顔全体を隠し、うっとりとした目で見つめる仕草は「Je vous aime(愛しています)」。他にもこの本には「あなたのことは嫌いだわ」「キスして」など、セクシーなコードが並んでいる。

デュヴェルロワは伝統を今でも受け継ぎ、職人たちが共同で作業し、一本一本手作業で扇子を作っている。扇を作るには、まず図面作りから始まる。これは数学的知識が求められる作業。ここで狂うと、最後の組み立てで合わなくなり、せっかくの共同作業も台無しになってしまうので、慎重に行われる。扇面の生地の大きさや、骨組みのデザインにより、ひだの幅や数は変わるため、ひだ作りはひだ職人が担当。骨部には角やコクタン、真珠層などの高級素材が使われ、専門家によって薄く切断される。必要があれば彫刻家が手作業で彫りを入れることも。布に刺しゅうが施される場合には、刺しゅう専門の職人が携わる。職人たちの確実な作業が、180年以上続くデュヴェルロワの伝統を支えているのだ。  

近年、オートクチュールが下火になるとともに、扇子の受注も減少してきた。しかし2010年、若い女性エロイーズとラファエルがメゾンのオーナーとなり、技と歴史をしっかりと受け継ぎながらも、有名なデザイナーとコラボレーションをするなど、新しいモードを発信し始めた。扇子は今日、クラシックなドレスと合わせるためのものではなく、ユニークなアクセサリーとして存在している。今では、ダチョウの羽の扇子や、シフォンの扇子をジーンズと合わせるおしゃれなパリジェンヌもいるとか。エロイーズとラファエルの夢、それは再びパリ中の女性たちの手に、扇が舞い戻ることだ。

デュヴェルロワ
左)組み立て作業中の職人
右上)1905年頃のショップカード
右下)昔ながらの製法でひだをつけていく

微妙な表情を実現するために
帽子の木型職人

帽子フランスの気品あるご婦人たちの装いの中で、服はもちろん、帽子も重要な役割を果たす。フランスには、そんなご婦人たちのこだわりに応えられるだけの腕を持つ帽子職人が何人もいるが、ジルベール・オフチェレンコはフランスでただ一人、帽子の木型を手作りする職人だ。  

もともと彫刻家として活躍していたジルベールは、その経験を生かし、7年前に帽子の木型を作ることを決心した。木型に適している木材は、自分で森に行き探し出す。木は湿気に強く、変形しにくい菩提樹の木を選ぶ。帽子を作る過程で、職人たちは釘で生地を木に留めるので、木の柔らかさも重要だ。  

ジルベールの帽子は、パリのオペラ座でも使用される。オペラでその帽子が登場するのはたった数分、ということも。それでもその瞬間のためにオペラ座が木型を注文するのには、「オペラの中で、帽子は人物の社会階級はもちろん、性格や感情までも映し出す」からだとか。機械で大量生産された型では描けない表情を守るため、ジルベールは今日も腕を振るう。

帽子の木型職人

DUVELLEROY
67, rue du Bac 75007 Paris
www.duvelleroy.fr

Les Ateliers d'Art
76, rue du Maréchal Foch 42300 Roanne
www.lesateliersdart.net

 

都市計画家の発見したパリのミルフィーユ

都市計画家の発見したパリのミルフィーユ

パリの街角というと、何を思い浮かべるだろうか?
パリには多差路が多いため、街角は十字路が作る「四角」ではなく
「くさび形」になることが多い。
この不思議な形をした街角には、カフェやブーランジェリーが多くあり、
街角の風景をつくっている。

都市計画家の三宅正弘氏は、パリのブーランジェリーを歩いて回り、
街を分析している。 三宅氏がこのフィールドワーク
「1日1店365日のミルフィーユの旅」を通して出会ったものとは?
パリの街を少し異なる角度から旅してみよう。

(文・スケッチ:三宅正弘)

パリのミルフィーユ地図

パリのミルフィーユ地図

パリのミルフィーユ

種類

ミルフィーユ・グラッセ

ミルフィーユの定番で、砂糖がけに矢羽模様が入ったクラシックなデザインのもの。
ミルフィーユ・プードル
表面に粉糖がかかったもの。
ミルフィーユ・チュニジアン

チュニジア出身の職人が作るミルフィーユ。パイが主体で、クリームは薄く塗られている。
アレンジされたミルフィーユ

プラリネ、ピスタチオ、フランボワーズ、フレーズといった、オリジナルのミルフィーユがある。

クリーム

クレーム・ムースリー

バターが加わった白っぽいクリーム。パティスリーに力が入るブーランジェリーで見掛ける。
クレーム・パティシエール



黄身を使ったカスタードクリーム。クレーム・パティシエールの意味は、「お菓子屋さんのクリーム」ということだが、観察したところ、今はパン屋さんのお菓子が、黄色いクレーム・パティシエールで、お菓子屋さんがそうでないようだ。



ミルフィーユ記録ノート

4月1日から毎日1店ずつのデーターが
水彩画で記録されている。
サイズ、形状、パイ、クリームの種類、
立地、お店のスタンプが押されている。



パリの「アイデンティティ・プレイス」

パリの五差路パリのミルフィーユ探し第1日目に出会ったのは、五差路で1番とがった街角のブーランジェリーのミルフィーユだった。街角に突き出す店は目立つ。ここにはオリエンタルな菓子も並んでいた。それからもミルフィーユを探し続け、毎日歩いていると、目に入ってくるのは街角のブーランジェリーだった。発見したことは、ブーランジェリーが、街角に立地することが多いことだ。そこに早朝から地元の人の列ができ、少なからず会話がある。建築・街角という物的な空間と、暮らす人々によって風景が形成されている。

渡仏前からミルフィーユを連続365日間味わうことは決めていた。パティスリーを中心に回り、各ミルフィーユを比較しながらパリの街を分析してみようと考えていた。ところが、パリに来て数日すると、歩きながらパティスリーを見つけることは難しいことだと分かる。そもそもパティスリーが街角にあることは少ない。それだけにブーランジェリーがつくる街角の風景に強く引かれた。ブーランジェリーは人々の身近にある。  

都市計画にとって、暮らす人が自分の地区を感じることのできる場所作りは大切なことである。私はそんな場所を「アイデンティティ・プレイス」と呼んでいる。思わず笑顔になったり、人への感謝の気持ちが口から出たりするというようなテーマが、それぞれの地域にある。地域のことを考えるきっかけになるもの、それは「宝物」だ。暮らしている人の意識が結果として街をつくっている。パリの街にはどんな「宝物」があるのだろうか。それを探したかった。フランスでは、ブーランジェリーがそうした役割を果たしていると思うようになった。さらにそこでパリの人たちも気が付いていない魅力を発見したい。

ミルフィ-ユ・チュニジアンとの出合い

こうしてミルフィーユ巡りを始め、6日目になったある日のこと。コーヒー風味の砂糖掛けが施されているミルフィーユに出会った。最初は単なるコーヒー味の種類だと思っていたが、その後もたびたび見掛けるようになる。表示は、単に「ミルフィーユ」だが、1カ月後に19区で、同種類のものが「ミルフィーユ・チュニジアン」と書かれているのを発見した。  

ミルフィ-ユ・チュニジアンどうやらこの種類のミルフィーユがチュニジアに関係するものだと分かって以来、このミルフィーユを見つけるたびに、「ミルフィーユ・チュニジアンを1つください」と言うようにした。このひと言で、急にお店の人が驚いて笑顔に変わることを発見した。その笑顔を見たくて、このミルフィーユを見つけるのが楽しみになっていった。そもそも私の研究は、その街で話題にのぼると笑顔に変わる題材を発見し、そこから街づくりを考えていくという方法を取っているので、この発見はうれしかった。そうして、チュニジア出身の人と出会うたびに、このお菓子の話をして楽しむようになる。あるタクシーの運転手さんは、ミルフィーユはチュニジアがオリジナルとまで言っていた。とにかく盛り上がる題材である。

そうしたチュニジアの人たちと話していると、どうやら彼らのミルフィーユとは、パイのパリパリとした感覚が重要だということが分かってきた。確かにパリのミルフィーユ・チュニジアンは、どこもパイが主体でクリームは少ない。したがってフランスでよくあるミルフィーユよりも、かなり薄い。パイが重要なお菓子のようだ。本当は、すぐにチュニジアに飛んでいかなければならないのだが、ちょうど近所のマダムから、チュニジアの映画「ミルフィーユ」がストーリもすばらしいから見てきなさい、と教えていただいた。この映画にはミルフィーユが登場し、皆でパイをこねるシーンが強調されている。映画を見ていても、パイのお菓子だということが感じられる。パリのブーランジェリーのお菓子の中で、ミルフィーユだけがチュニジアの人々の色が出ているのがおもしろい。フランスの定番菓子の中で、唯一、いろいろな店で多様なものが生まれているミルフィーユ。チュニジアの人たちが、故郷を思って作ったのだろうか。それともミルフィーユは、自分たちがオリジナルだから、これだけはチュニジアに近いものを並べているのだろうか。ミルフィーユ・チュニジアンの歴史の旅は始まったばかりである。

Millefeuille「Millefeuille」(2012)
チュニジア映画
監督:Nouri Bouzid


2人の女性が、伝統的イスラム教、イスラム文化の社会の中で、自立と自由という問題に立ち向かっている。彼女たちを通して、チュニジアでの革命、将来像といったものが象徴的に描かれている。この映画で皆が笑顔になる象徴的なシーンが、皆でミルフィーユを作るところだ。ミルフィーユにはチュニジアやフランスの社会を読み解く何かがあるように思えて仕方ないのだ。 (2013年10月8日 DVD発売 / Orange Studio)

ミルフィーユ

パリの地区で異なるミルフィーユ

4月1日から1日1店ずつパリと郊外を歩き、これまでに合計約150のブーランジェリーを回った。こうしてミルフィーユを追っていると、実に多彩なものが日々考案されていることが分かる。その結果を左の地図に示してみた。この地図はミルフィーユの種類ごとに色分けをしている。分布を見てみると、10、11、19区と北東の地区で多様な色の分布を見ることができる。ミルフィーユ・チュニジアンもこの辺りに多く、ミルフィーユ・グラッセの割合が高いことも特徴だ。14、15、16区になると、このグラッセの率はやや下がり、それ以外の工夫されたオリジナルのミルフィーユも多くなる。このようにオリジナルのものが作り出されるのは、フランス菓子の定番の中であまり多くない現象であろう。個性を出すためにブーランジェリーは心を砕いているようだ。そんな中にミルフィーユ・チュニジアンもある。

私の専門は都市計画で、毎年テーマを決めて日本全国を回ってきた。最も多く行っているのはケーキ屋さんである。それはケーキ屋さんが「アイデンティティ・プレイス」になっている街が少なくないからだ。また一昨年は、365日間で日本全国47都道府県365店を訪れ、自家製のカステラ365種類を味わった。これには和菓子店も対象に入れた。なぜ、こうしたことをするのかというと、地方による個性を知るだけでなく、そのお菓子や料理が、地域社会の中でどのような役割を果たしているのか、そして将来どのような可能性を秘めているのかを研究しているからだ。日本では郊外の住宅街にあるケーキ屋さんが、そこに暮らす人にとってお気に入りの店になっていくことで、自分の街の自慢にし、自分の街を意識するきっかけになっているところが少なくない。郊外の新興住宅街では、街にあるお店がケーキ屋さんだけというところまである。

自分の街の将来像やまちづくりを考えていく場合、そうした店を例に挙げると人々は笑顔になって自分たちの街のことを議論するきっかけにつながる。だから私は、その街の人々が、自分たちの街のことを建設的に考えていけるような切り口や、題材を探しているのだ。それは何もお店だけではなく、生活用品に至るまで、その地域で今だけでなく過去も含めて大切にされてきたものを探していく。これまでの仕事のなかで大きな展開があったのは、四国の地方で「遊山箱」という、かつて身近に使われていたお弁当箱を切り口に、まちづくりに取り組んだことだ。それはその地域の人が、この話題になると笑顔に変わることを発見したのがきっかけだった。今では多くの人が再びこの弁当箱に目を向けるようになっている。

ミルフィーユ・チュニジアンの発見は、そのときと同じ笑顔を感じた。国は違って、コミュニケーションも難しいにも関わらず、とにかく盛り上がるだけに、パリに暮らすチュニジア出身者にとって、大切な存在であることが分かる。そんな存在のお菓子が、ここに暮らすパリジャンたちにも広がっていかないのだろうか。チュニジア出身者たちのこの笑顔が、これからのパリの都市計画に何か光をともしてくれるのではないだろうか。私の直感ではあるが、そう感じたのだ。

これだけ無数に書かれているパリのお菓子ガイドにも、このミルフィーユが載っていないのは不思議だ。多くの人が興味のあるミルフィーユだからこそ、フランス人にもまだあまり知られていないミルフィユ・チュニジアンを知ってもらいたい。そもそもミルフィーユとは、単なるフランスとチュニジアだけのお菓子ではなく世界で親しまれているお菓子である。アルゼンチンではミルフィーユのことを「ミロハス」といい、アルゼンチン出身の人とはこの話題で盛り上がる。ウイーンに行けば同様の菓子が「クレーム・シュニッテン」と呼ばれている。こうした共通性があるものは、多くの人々が共有できるテーマになると同時に、逆に自分たちの身近なものとして、個性を自慢したくなるものでもある。チュニジア出身者たちが発しているメッセージを、パリの人々が感じ、両者の交流によってさらなる新たなお菓子が生まれていくことを期待する。いつか、このお菓子は「ミルフィーユ・チュニジアン」から、パリで磨いていくことで、「ミルフィーユ・パリジャン」へ、そして多くの人に親しまれるお菓子になって欲しい。

ミルフィーユ


チュニジア出身者のブーランジェリー

地図を見てみると、ミルフィーユ・チュニジアンのお店はもちろんチュニジアの出身者による店だが、それ以外にもお店で話していると右岸や郊外にも同国の出身者が多いことが分かる。モロッコ出身者にも出会うが、チュニジア出身者の方が頻繁に出会う。  

今年の4月、バゲットコンクール(La meilleure baguette de Paris)の受賞者が発表された。フランスの伝統を守りながら発展させていく目的で行われているものだが、このコンクールで1位に輝くと、受賞金のほか、エリゼ宮に1年間バゲットを納める栄誉を手にする。2013年の同コンクールでの受賞者は、14区にある、リダ・カデール氏のものであった。1位に輝いたブーランジェリーの地区に住む人たちは、大統領と同じバゲットを楽しめるわけで、住民は自分の街を誇りに思うだろう。パリの「アイデンティティ・プレイス」は、こうしてチュニジア出身者によっても支えられていくようである。カデール氏のミルフィーユは「ミルフィーユ・グラッセ」だが、このように表面にチョコラ色とカフェ色の2色で線を入れるものは他では見たことがない個性的なデザインだ。また他のミルフィーユ・グラッセではカスタードクリームがほとんどだが、ここのものはバニラが利いていることも特徴だ。カデール氏は、このミルフィーユはフランセーズだと教えてくれたが、このカフェ色の線は、ミルフィーユ・チュニジアンのグラッセの色をほうふつさせる。私にはこの作品もまたフランスとチュニジアとの交流の中から生まれたデザインに見えるのだ。  

パリ郊外には、新興の住宅街も少なくない。新しい街には、新しい歴史がつくられていき、それが人々の街への愛着へと繋がっていく。そうした街の「アイデンティティ・プレイス」にも、こうしたブーランジェリーの果たす役割は大きい。郊外の都市計画にとっても、街角づくり、そして人々に親しまれる店の立地をいかにデザインしていくかということが大切なことである。
三宅 正弘三宅 正弘(みやけ まさひろ)
肩書き:都市学者・都市計画家
経歴:
パリ19区に暮らす工学博士。都市・建築・料理などさまざまなテーマから研究を行い、2001年、最初の著作『石の街並みと地域デザイン―地域資源の再発見―』をはじめ、02年『神戸とお好み焼き -まちづくりと比較都市論の視点から―』、06年『遊山箱 -節句の弁当箱-』、09年『甲子園ホテル物語 -西の帝国ホテルとフランク・ロイド・ライト』を出版、日本経済新聞や毎日新聞など各紙の連載で、また、コメンテーターとしても、都市計画の提案を行う。現在、武庫川女子大学准教授で、4月からフランス人文科学研究館の受入教授として民族学者ジャーヌ・コビー氏のもとでフランスの都市研究を開始している。
 

パリと近郊の、ゆっくり訪れたいバー&レストラン

パリと近郊の、ゆっくり訪れたいバー&レストラン

グルメ大国フランス、パリに星の数ほどあるバーやレストラン。その中で、普段行くレストランとは少し違った場所へ行ってみたい、おしゃれな隠れバーを探しているという声にお応えし、編集部で選んだ、ゆっくりと訪れたいお勧めのバー、レストランをご紹介。(Texte:Kei Okishima)

パリのオススメ 3大隠れバー



Moonshiner

今、パリで一番の「隠れバー」として注目を集めているのが、数カ月前にオープンしたばかりのバー、「ムーンシャイナー」。店の看板がないどころか、店があるはずのセデーヌ通り5番地を訪れてもピザ屋があるだけで、バーの影も形も見当たらない。実はこのバー、“表向き”のピザ屋の後ろに隠れているのだ。この小さなピザ屋の中には、金庫のような扉がある。ここを開けると、ひんやりとした倉庫のような小さなスペースを挟んですぐ向かいにもう1つ秘密の扉が。取っ手には、秘密を説く鍵「M」の文字が光る。この扉を開くと、中に広がるのはゴージャスな空間。ピザ屋の気さくな雰囲気とは対照的であるがために、夢を見ているような不思議さと、うれしい驚きに包まれる。ゆっくりと大人のバーを楽しみたい方にお勧めだ。

85, rue Sedaine75011 Paris
最寄り駅: Bastille①⑤⑧、Bréguet-Sabin⑤
TEL: 09 50 73 12 99
営業時間: 18:00-翌1:00


Candelaria

Candelaria

Candelaria

小さなタコス・レストラン、「カンデラリア」。気軽に立ち寄り、本格派タコスとともにテキーラなどお酒をククッと頂けるため、夜になると小さなレストランがぎゅうぎゅう詰めになるほどの人気ぶり。しかし、カンデラリアが愛されるのにはもう1つ理由がある。レストランの奥にある小さな白いドアを押すと、奥に秘密のバーが隠されているのだ。扉はシンプルで、バー内には大きな窓があるため、前出の「ムーンシャイナー」と比べると、“秘密感”はやや劣るが、その代わりにバーテンダーとの距離が近く、気軽に訪れることができるのがここの魅力。メキシコ系のお店というだけあり、テキーラ、メスカルをはじめとする南アメリカのお酒は得意とするところだが、ウィスキーやカクテルも充実している。

52, rue de Saintonge 75003 Paris
最寄り駅: Filles du Calvaire⑧
TEL: 01 42 74 41 28
営業時間:
バー 18:00-翌2:00
タコスレストラン・TAQUERIA
12:30-23:00(木〜土 翌0:00まで)
www.candelariaparis.com


Candelaria

Candelaria

Le Carmen

大歓楽街として有名なピガール界隈も、最近は南側を中心におしゃれなブティックやレストラン、バーが出来始め、新たなスポットとして人気急上昇中。ここにあるバー「カルメン」は、ファッション関係者をはじめ、著名人たちもお忍びで訪れる、とっておきの隠れバー。さらに、フランスを代表する19世紀の作曲家、ジョルジュ・ビゼーが代表作「カルメン」を作曲した場所という由緒ある場所であることも、他のおしゃれなバーとは異なる本物&重厚感を与えている。有名DJによるイベントも多数催される他、ファッション・ウィークのときにはKENZO やルイ・ヴィトンなど、高級メゾンが夜にパーティーを開催する際にも利用され、最新モードや流行に敏感な人たちが行き交う場所。旬でホットな夜を味わいたいときには、ぜひ訪れたい。

34, rue Duperré75009 Paris
最寄り駅: Pigalle②⑫、Blanche②
TEL: 01 45 26 50 00
営業時間: 22:00-翌5:00(季節により変更)
www.le-carmen.fr


ひねられたコンセプトに共感する話題のレストラン

M.O.B. PARIS

ラップ・レタス・バーガー

M.O.B. PARIS

オーステルリッツ駅の近く、セーヌ川沿いに立つモードとデザインの総合センター「la Cité de la Mode et du Design」。ここにこの夏新しくオープンしたのが、「モブ」。MAMA SHELTERなど、デザイン性のある話題のスポットを手掛けてきたシリルが仕掛人で、海を渡ったニューヨークにまず第1号店をオープンさせ、この夏に第2号店となるパリ店をオープンさせた。コンセプトは、地球にも、体にも優しいものを、良心価格で楽しみながら味わうこと。卵や牛乳を含む動物性の食材を一切使わないが、「ヴィーガン」を前面に出さず、一見相反する「ファーストフード」を前面に押し出しているところはさすが。ハンバーガーの“ハンバーグ”は、しいたけ、とうもろこし、乾燥トマト、米などを混ぜたもので、三つ星シェフなど3人のシェフと共同で約2年間掛けて開発した。飲み物も添加物や着色料などが入っていないものを厳選し、デザートも全て自家製で、流行に敏感な食通の舌もうならせる。お勧めは、セーヌ川を眺められるテラスに座り、パンの代わりに白菜で"ハンバーグ"を挟んだヘルシーなハンバーガー、「ラップ・レタス・バーガー」を頬張ること!

934, quai d'Austerlitz 75013 Paris
最寄り駅: Quai de la Gare⑥、
Gare d'Austerlitz⑤⑩、RER C線
TEL: 01 42 77 51 05
営業時間: 12:00-翌0:00
www.mob-usa.com/fr/home


Le Comptoir Général

Le Comptoir Général

Le Comptoir Général

お金がないために、世間からの評価が低く、なかなか知るチャンスのないゲットー文化を広め、支援するために作られたゲットー博物館は、バーとレストランも併設している。まずはこのプロジェクト、そしてゲットー地区を支援するための入場料(金額は自由)を払い、バーやレストランへ進もう。全体にアフリカを中心としたゲットー文化を紹介する展示がされているが、雰囲気はどちらかといえば、フランスのボボ系カフェ調で、平日から大人気だ。中庭は小さなジャングルのようで素敵。日によって、アトリエやコンサートなどが行われているので、プログラムをチェックしてから訪れたい。

80, Quai de Jemmapes 75010 Paris
最寄り駅: République③⑤⑧⑨⑪
TEL: 01 44 88 20 45
営業時間: 11:00-翌1:00(不定期で休みあり)
www.lecomptoirgeneral.com



テラスでゆっくり時を過ごしたいレストラン

Les Climats

Les Climats

アールヌーボー建築の館を改装して今年の4月にオープンした「レ・クリマ」は、ブルゴーニュのワインを3000種も取りそろえている。また日本食レストランを含む一流レストランで修行を積んだシェフは、どこか日本風を漂わせるフランスのガストロノミーを提供する。さて、ここのレストランでお勧めしたいのは、2つの素晴らしい「庭」。ガラスで覆われた庭「ウィンターガーデン」は、どんな気候でも庭の雰囲気を楽しめる。また夏こそ楽しみたい外のテラス「秘密の庭」は、その名の通り、外界と隔たれた秘密の空間で、ゆっくりと食事を味わいたい。

41, rue de Lille 75007 Paris
最寄り駅: Solférino⑫、Rue du Bac⑫
TEL: 01 58 62 10 08
営業時間: 12:00-14:30 / 19:00-22:30
www.lesclimats.fr


Monsieur Bleu

Monsieur Bleu

現代クリエーションが見られるアート・センター、「パレ・ド・トーキョー」の中にあるレストラン、「ムッシュー・ブル」。国際的に活躍する建築家、ジョセフ・ディランが内装を手掛け、さまざまな最新アートが集められるパレにふさわしいレストランとして今年4月に誕生した。メニューは旬な食材をシンプルかつエレガントに仕上げたフランス料理が中心。セーヌ川の向かい岸にそびえるエッフェル塔の眺めは圧巻で、この季節はそんな景色が楽しめるテラスが大人気。24時まで見学できるパレの展示、そして夜空に光るエッフェル塔とともに、パリの夜を楽しみたい。

20, av de New-York 75116 Paris
最寄り駅: Iena⑨、Alma - Marceau⑨
TEL: 01 47 20 90 47
営業時間: 12:00-翌2:00
monsieurbleu.com


ma cocotte

ma cocotte

アンティーク市として有名な、サン・トゥアンのクリニャンクールののみの市にある巨大な建物。ここには、子供のころからこの地に好奇心を持ち続けていたというデザイナー、フィリップ・スタルクが内装を手掛けたレストランがある。スタルクが自らのみの市で調達した家具などを配置し、一見合いそうもない家具たちが、抜群のセンスでしっくりとまとめられているのはさすが。1階、2階にある大きな外のテラスは、夏はもちろんのこと、冬は温かい飲み物を頂きながら過ごす人気の場所。のみの市と合わせて、1日ゆっくり過ごしたい。

106, rue des Rosiers 93400 Saint-Ouen
最寄り駅: Porte de Clignancourt④
TEL: 01 49 51 70 00
営業時間: 月~金 11:00-23:00(土日 9:00-)
www.macocotte-lespuces.com


 

フランス語での電話のかけ方(会話集) - 実用編

フランス語での電話のかけ方 - 実用編

顔を見ながらジェスチャーを交えて話すのと違い、対面しない電話は言いたいことを伝えること、聞き取ることが難しい。応答する相手によって受け答えも変わってきますが、ここではさまざまな場面で使えるスタンダードなセリフをご紹介。

  • 基本形
  • オフィスで
  • 予約
  • 故障
  • 留守番電話

基本形

  • こんにちは。こちら○○です。
    Bonjour Madame(Monsieur), c'est Madame (Monsieur)○○* à l'appareil.
  • 少々お待ちください。
    Un instant s'il vous plaît.
  • そのまま切らずにお待ちください。
    Restez en ligne, s'il vous plait ! / Ne quittez pas, s'il vous plaît.
  • とても聞こえにくいのですが。
    J'entends très mal.
  • もう少し大きな声で話してください。
    Pouvez-vous parler un peu plus fort ?
  • 電話番号をお間違えでは。
    Vous avez fait un mauvais numéro.
  • 繰り返して頂けますか?
    Pouvez-vous me répéter ?
  • また後でかけ直します。
    Je rappellerais plus tard.

オフィスで

受ける場合

  • こちら「フランスニュースダイジェスト」です。
    “France News Digest”, bonjour.
  • どちら様でしょうか ?
    C'est de la part de qui ?
  • その件でしたら担当者にかわります。
    Je vous passe la personne qui s'occupe de ce sujet.
  • 彼(彼女)にかわります。
    Je vous le (la) passe.
  • 彼(彼女)は今席を外しています。
    Il (Elle) est absent(e) pour l'instant.
  • 彼(彼女)は別の電話に出ております。
    Il (Elle) est au téléphone. / Il (Elle) est en ligne.
  • 彼(彼女)は出張中(休暇中)です。
    Il (Elle) est en voyage d'affaires (en vacances).
  • 午後2時ごろに戻ります。
    Il (Elle) devrait revenir vers 14 heures.
  • 9月1日から出社する予定です。
    Il (Elle) devrait revenir le 1er septembre.
  • メッセージを残されますか ?
    Voulez-vous laisser un message ?
  • お電話があったことを伝えます。電話番号をうかがえますか?
    Je vais transmettre votre appel. Est-ce que vous pourriez m'indiquer vos coordonnées téléphoniques.
  • 申し訳ありませんが、その日は空いていません。
    Je suis désolé(e), mais je ne suis pas libre ce jour.
  • その日でしたら午後1時から4時まで空いています。
    Ce jour-là, je suis disponible de 13 heures à 16 heures.

かける場合

  • こちら「フランスニュースダイジェスト」社です。
    Allô bonjour, ici la société “France News Digest”.
  • ○○氏と話したいのですが(回していただけますか)。
    Je souhaiterais parler à Monsieur ○○ s'il vous plaît.(Pourriez-vous me passer Monsieur ○○ ? )
  • 戻り次第折り返していただけますか?
    Pourriez-vous me rappeler à leur retour s'il vous plait.
  • メッセージを残せますか ?
    Puis-je laisser un message ?
  • 明日9時ごろお会いできますか ?
    Est-ce que c'est possible de se voir vers 9 heures du matin demain ?
  • よろしければ、10時に事務所に(お宅に)うかがいます。
    Si vous le voulez bien, je passerais à 10 heures à votre bureau (chez vous).
  • 7月15日にお送りしたメールはご覧頂きましたか ?
    Avez-vous déjà eu connaissance de mon mail du 15 juillet ?
  • アドレスを確認させてください……。確かに、誤りがありました。再送してみます。
    Laissez-moi vérifier votre adresse e-mail… Effectivement, il y avait une erreur d'adresse e-mail, je vous renvoie tout de suite mon e-mail.
  • 早いご回答お待ちしております。
    Je vous remercie par avance de bien vouloir me répondre dès que possible.
  • 8月15日までにご回答ください。
    Pourriez-vous me répondre au plus tard le 15 août.
  • いつご回答を頂けますか ?
    Quand pourrais-je avoir votre réponse ?
  • 返信お待ちしております。
    J'attends votre réponse.
  • 昨日お支払いした分の領収書を出して頂きたく、お電話しました。
    Je vous appelle afin de vous demander un reçu à propos du règlement que je vous ai fait hier.
  • 7月13日付FND20130713番の請求書に問題があります。
    J'ai trouvé un problème sur la facture datée du 13 juillet, dont le numéro de référence est le suivant : FND20130713.
  • FND20130713番とFND20130714番の請求書について支払っていただけますか?
    Pourriez-vous régler le montant de la facture de référence FND20130713 et FND20130714 ?

予約

タクシー

  • 明日の午後2時、タクシーを1台お願いします。住所は…です。
    J'aimerais bien réserver un taxi pour demain à 14 heures. L'adresse est...
  • 大きなトランクが4つありますので、ライトバン車(ワンボックス車)をお願いします。  
    Comme nous avons 4 grandes valises, je souhaiterais un taxi break (espace). 
  • クレジットカードでも支払えますか?
    Pourrais-je régler avec une carte de crédit ?
  • 空港までの金額を教えてください。
    J'aimerais bien savoir quel sera le prix de la course jusqu'à l'aéroport.

レストラン

  • 明日の夜7時半、3人で予約したいのですが。
    J'aimerais bien réserver une table pour 3 personnes demain à 19 heures et demie.
  • 窓際の席(静かな、トイレのそばでない席)を希望します。
    Je souhaite une table près de la fenêtre (dans un endroit calme et pas à côté des toilettes ).
  • 3歳の子供がおりますが、大丈夫でしょうか?
    Nous serons avec un enfant de 3 ans, j'espère que cela ne vous dérange pas ?
  • 子供用のいすを用意して頂けるのでしょうか?
    Pourriez-vous prévoir une chaise pour l’enfant ?
  • 犬を1匹連れて行ってもよろしいでしょうか?
    Est-il possible de venir avec un chien ?
  • 誕生日を祝いたいのですが、何か特別にして頂けるのでしょうか?
    Nous souhaitons fêter un anniversaire, qu'est-ce que vous pourriez nous proposer ?

病院

  • 高熱があり吐き気がするので、すぐに診察してもらう必要があります。一番早い予約をお願いできますか?
    Comme j'ai des nausées violentes et beaucoup de fièvre, j'ai besoin d'une consultation urgente. Pourriez-vous me donner le rendez-vous le plus rapide possible ?
  • エコグラフィーの予約をできるだけ早くお願いします。
    Je souhaite prendre rendez-vous pour une échographie le plus rapidement possible.
  • XXXの血液検査は、絶飲絶食で受けなければなりませんか?
    Pour la prise de sang XXX, est-ce que je dois être à jeun ?
  • 血液検査は予約無しでよろしいのでしょうか? 何時から何時まで受け付けていますか?
    Est-ce que la prise de sang se fait sans rendez-vous ? Je peux venir de quelle à quelle heure ?

ホテル

  • 8月15日から6泊で、1部屋予約したいのですが。
    Je voudrais une chambre pour 6 nuits à partir du 15 août.
  • 今晩、1部屋空いていますか ?
    Vous avez une chambre disponible ce soir?
  • シャワー付きの部屋をお願いします。
    Une chambre avec douche, s'il vous plaît.
  • 浴槽付きの部屋はありますか ?
    Avez-vous une chambre avec salle de bains ?
  • 各部屋の料金を教えてください。
    Pouvez-vous me donner les tarifs des chambres?
  • 朝食は含まれていますか ?
    Ce tarif comprend le petit déjeuner ?
  • インターネットはつながりますか ?
    Est-ce qu'il y a une connexion Internet ?
  • 7月15日に8月4、5日で予約しましたが、残念ながらキャンセルさせて頂きたいのです。
    J'ai retenu une chambre le 15 juillet pour les 4 et 5 août, mais je suis au regret d'annuler la réservation que j'avais effectuée.
  • 宿泊日を8月10、11日に変更して頂けますか?
    Vous serait-il possible de reporter cette réservation aux 10 et 11 août ?

チケット

  • 9月1日、サンジェルマン・デ・プレ教会であるオルガンコンサートのチケットが2枚欲しいのですが。
    J'aimerais vous réserver 2 billets pour le concert d'orgue qui aura lieu le 1er septembre prochain à l'église St Germain des prés.
  • 郵送してください。
    Pourriez-vous m'adresser le(s) billet(s) par courrier la poste.
  • 直接取りに行きます。
    Je viendrai directement récupérer le(s) billet(s) chez vous.
  • 7月15日に予約したジョニー・アリディのコンサートのチケット2枚をキャンセルしたいのですが。
    J'aimerais bien annuler les deux billets pour le concert de Johnny Hallyday que j'ai réservé le 15 juillet.
  • コンサートがキャンセルとなりました。チケットの払い戻しはどうしたらよいのですか?
    Le concert a été annulé. Comment je peux obtenir le remboursement de mon billet ?

レンタカー

  • 来週日曜日8月11日から7日間、家族5人が乗れる車をレンタルしたいのですが。
    J'aimerais louer une voiture de 5 places pour sept jours à partir du 11 août.
  • 引き渡されるときには気付きませんでしたが、レンタルした車の横に傷がありました。私ではありません。
    Je ne l'ai pas remarqué au moment où j'ai pris possession du véhicule mais je viens de découvrir qu'il y a une rayure sur le côté de mon véhicule et je suis sûr que je n'en suis pas l'auteur.
  • 一番安いオートマ車を1台お願いします。
    Je souhaiterais une voiture dans la catégorie automatique économique.
  • 保険は含まれていますか?
    L'assurance est-elle comprise ?
  • 時間を過ぎたら追加料金は発生しますか?
    Quel est le montant supplémentaire à régler si je dépasse le temps de location ?
  • お得なキャンペーンはありますか?
    Vous avez une offre promotionnelle ?

故障

共通で使えるフレーズ

  • 見積りを出して頂けますか?
    Pourriez-vous me donner un devis ?
  • 修理工の方を派遣してくださいますか?
    Pourriez-vous envoyer le réparateur chez moi ?
  • 領収書を出して頂けますか?
    Pourriez-vous me donner un reçu ?
  • すぐに来て頂けますか?
    Pourriez-vous venir toute suite ?
  • 移動も含め、値段はどれくらいですか?
    Combien cela va-t-il coûter, y compris le déplacement ?

水漏れ

  • 自宅で水漏れが発生しました。
    J'ai une fuite d'eau chez moi.
  • どこから漏れているのか探したところ、台所の流し台の下辺りだと思うのです。
    J'ai essayé de détecter d'où venait le dégat des eaux, et je pense qu'elle se situe en dessous de l'évier dans la cuisine.

  • 閉めて出掛け、帰ってきたらドアの鍵が開きません。
    En sortant j'ai bien fermé à clé, j'en suis sûr(e) et maintenant je n'arrive plus à rentrer chez moi. La clé ne fonctionne plus.
  • ポルト・ブランデ(3点鍵)に換えたいのですが。
    J'aimerais bien installer une porte blindée (trois points) et remplacer les clés actuelles.

電気系統

  • 自宅で電気の故障が起きました。
    J'ai une panne d'électricité chez moi.
  • ヒューズが飛んだ後、新しいヒューズに交換しても電気がつきません。
    Après que le fusible ait fondu, je l'ai remplacé par un nouveau fusible, mais l'électricité ne marche toujours pas.
  • ブレーカーの故障かもしれません。
    Peut-être que c'est une panne de disjoncteur.
  • 家中の暖房が作動しません。
    Tous les radiateurs ne fonctionnent pas.

留守番電話の録音メッセージ

  • こんにちは、こちら○○です。ピー音の後にメッセージをお残しください。こちらからできるだけ早めにかけ直します。
    Bonjour. Vous êtes bien sur le répondeur de ○○. Merci de me laisser un message, après le signal et je vous rappellerai dès que possible.
  • こんにちは(こんばんは)、こちら○○です。できれば早くお話したいので、かけ直して頂けますか?番号は…です。
    Bonjour(Bonsoir), ici ○○, j'aimerais vous parler dès que possible. Auriez-vous la gentillesse de me rappeler. Voici mon numéro de téléphone …
 

パリのストリートアート

花百般 パリに咲く花

パリには世界でも有数の規模、内容を持つ美術館が多々存在しますが、パリの街で見るべきアートはそれだけではありません。少し気にして周りを見回すだけで、パリは実に多くのアート作品で溢れ返っていることに気づくはずです。(Texte:Yuzu Fukunaga)

「ストリートアート」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。名前の通り、街路で見ることのできるアートで壁や道路をカンバスにし、ペンキやスプレーで描かれた作品のことでグラフィティとも呼ばれています。ちなみに街中にスプレーペンキで描かれているデザイン化された文字をよく目にすると思いますが、これはタギングと呼ばれるもので、グラフィティとはまた別のくくりのものとされています。  

パリの街や壁がグラフィティに覆われ始めたのは1980年代。この時代はまだグラフィティが、アートとして確立していなかったため、アーティストたちは長い間アンダーグラウンドで活動していました。というのは、街中にゲリラ的に現れるグラフィティは落書きとの線引きが非常に難しく、サブカルチャーとして扱われてきたためです。しかし2002、03年になると、ストリートアートがメディアでも頻繁に取り上げられるようになり、世間で注目され始め、このころからストリートアートは一種の芸術活動として認知されるようになりました。パリのアーティストたちも雑誌に載ったり、作品集として本になったりと活躍の場を広げ始め、すっかりアーティストとして扱われるようになりました。

パリのストリートアートの先駆者と言えば、ジェローム・メナジェ(Jérome Mesnager)、ネモ(NEMO)、モスコ・エ・アソシエ(Mosko et associés)が有名で、彼らの作品は20区、特にメニルモンタン付近に集中して存在しています。

メナジェは1983年から「白い男」と呼ばれる人間の5体の白い影を描き続けています。ネモは型紙を用いた手法で、帽子をかぶった黒いレインコートの男を描くのが特徴的で、それに赤や黄色の鮮やかな傘や風船が加わり遊び心たっぷりに構成されています。

ジェローム・メナジェ(Jérome Mesnager)「白い男」
ジェローム・メナジェ(Jérome Mesnager)「白い男」

また、モスコはサバンナを思わせるアフリカの動物たちを色鮮やかに描いています。作品の中にはメナジェ、モネがコラボレーションしたグラフィティもあり、そこから彼らが交友関係にあることもわかります。彼らに共通する1番の特徴は20区の街並が再開発により破壊されるのに反対するための作品を描いているということ。20区は昔ながらの風景が残る パリの下町を感じさせる界隈なのですが、同時に再開発の波が押し寄せているところでもあり、多くの古い建物が壊され、新しい建物が建てられるようになりました。そこで彼らはが20区の街並を残すため、近代ビル建設を阻止に抗議の声を上げて、取り壊されそうな建物にグラフィティを描き始めたのです。つまり、20区のストリートアートはアーティストたちの静かな抗議でもあるのです。

ちなみに20区で見られるのはメナジェらのグラフィティだけではありません。この界隈はアーティストのアトリエが多い場所でもあり、ストリートアートが実によく浸透しています。またメナジェらに続けとばかりにさまざまなアーティストがこの界隈に集中し、道の至る所にグラフィティを見ることができるのです。たとえば、フレッド・ル・シュバリエ(Fred le Chevalier)、ジェフ・アエロゾル(Jef Aérosol)、 エンダー(Ender)など勢いのあるアーティストのグラフィティが歩く道、歩く道ずらり。しかもここ20区は静かな界隈のお陰か、グラフィティの上に落書きをされることも少なく、作品の保存状態が非常に良いのです。

フレッド・ル・シュバリエ(Fred le Chevalier)
フレッド・ル・シュバリエ(Fred le Chevalier)

エンダー(Ender)
エンダー(Ender)

20区と負けず劣らずストリートアートが盛んなのが14区で、ここを代表するのが女性アーティストのミスティック(Miss.Tic)です。  

ミスティック(Miss.Tic)
ミスティック(Miss.Tic)

ポシュワール(ステンシルテンプレート)を使った、黒髪のセクシーな女性と少し挑戦的なメッセージがミスティックの特徴で、本人も住むビュット・カイユ(Butte aux Cailles)界隈のサンク・ダイヤモンド通り(Rue des cinq diamants)はミスティック通りとも呼ばれ、ありとあらゆる壁にミスティックのグラフィティを見ることができます。  

いまでこそ住民に愛され、カフェ、ブティックのファサードまでが彼女の作品で溢れ返っていますが、ストリートアートがまだアートとして認識されかった90年代には器物損壊罪で幾度も逮捕され、有罪判決も受けているのです。  

事実、ストリートアートはアートとして扱われ始め、徐々に市民権を得てはいますが、落書きとの線引きが難しい点は今でも変わらず、描いては消されのアーティストと建物管理者との追いかけっこを見ることも少なくありません。しかし、近年ストリートアートに向けて場所を開放しようという動きも出てきて、市や県が特定の壁を、合法的なグラフィックアート(リーガル・グラフィティ)の場として提供するのも見られるようになりました。

取材をしている最中に通り掛かった ジャン・プールマーチ通り(Rue Jean-poulmarch)の一角でも大きな壁一面がグラフィックアートとして埋め尽くされて、ここも開放されている壁なのかなと見ていると、ちょうどペンキを持って絵を描いている青年が。さっそく声を掛けてみると「そう、ここはリーガル・グラフィティの壁として開放されているんだ。だからすぐに絵が変わる。で、今回は僕の番ってわけ」と快く答えてくれました。  

ジャン・プールマーチ通り(Rue Jean-poulmarch)
リーガル・グラフィティの壁

リーガル・グラフィティの壁、以前は14区、20区に集中していましたが、その範囲は次第に広がりつつあるようです。ちなみにこのときは知らなかったのですが、彼はホップン(HOPNN)というイタリア人のアーティストで、家に帰ってからインターネットで調べてみると、いくつかのページで作品が取り上げられていて、アーティストとしてしっかりと活動している青年でした。実は私の住むアパートの近くにも彼のグラフィティがあったりして、今ではすっかり親近感です。

ストリートアートは普段の生活で何げなく目にしているものなので、パリの街ではすっかりおなじみの風景となってしまいましたが、少しだけ意識して周りを見てみると新しい発見がたくさんあります。自分が思っていた以上に街中にグラフィティが描かれていて、しかもそれをアートとして意識した瞬間にパリの街が突如として1つの美術館となり得るのです。これから天気もますますよくなり、街を出歩くことも増えることかと思います。ブラブラしながら、少しキョロキョロして、いつものパリの景色をさらに楽しんでみるというのもよいのではないでしょうか。

クモCherchez cette araignée!
このクモを探せ!


作者不明ですが、取材にいった14区、20区はもちろんのこと、パリ中の至る所に出現しています。あなたの家の近くにもいませんか?

REROに聞く  ストリートアートとは?

6月にグランパレで展示会を成功させたばかりのフランス人アーティスト・RERO。
彼は世界規模で活躍する若手アーティストの1人です。
彼の作品はそのメッセージとともに美術館という、
ある定められたアートの枠を飛び出し、街へ、世界へと発信されています。

屋外にあるあなたの作品はすべて「ストリートアート」という名称で呼んでもいいのですか。

いや、「ストリートアート」という言葉はそもそも英語だし、あまりにグローバル化され過ぎてる。どちらかというと、この言葉はマーケティングのために使われる言葉だと思うね。僕は自分の作品について、«intervention urbaine»(都市の介入)という言葉で表現しているんだ。いわゆる世間で認識されている「ストリートアート」についてだけど、アートと表現するのは正しいとは思わない。これはexpression(表現)というカテゴリーになると思うんだ。 Art urbain(都市芸術)という表現も違う。僕は自然の中でも作品制作しているからね。全ての景色の中での表現だと言える。つまり作品を展示するために作られた場所以外における表現なんだ。1つの場所や対象物、作品のカンバスとなる素材に、その物自身の持つ第1の存在意義とは異なる解釈を与えるということ。それは湖であったり、野原であったり、電車であったり……。室内の展示空間とは違った屋外にあるコンテクストに対する反応を表現することで、«intervention en extérieur»(屋外における作用)ってことかな。

DECHETS CREATIFS - CENTRE POMPIDOU - 2013
DECHETS CREATIFS - CENTRE POMPIDOU - 2013

DO NOT CROSS THE LINE - CENTRE POMPIDOU - 2013
DO NOT CROSS THE LINE - CENTRE POMPIDOU - 2013

街中で見掛けるグラフィティは、落書きとも見なされることもありますが、それについてはどう思われますか。またタギングについてはどう考えますか?

落書きという名のアートにも成り得る。でもタギングは落書きではなくてサインのカテゴリーになる。ここで重要なのはその作品が道にあるかどうかではなくて、その作品が個人の所有物かどうかということ。それが定義だと思う。例えば、室内で製作されたカンバスに描かれた絵の中には落書きに見えるものだってある。でもその落書きは作者の所有物であるカンバスに描かれているから、これはアートだと言えるのさ。道端の壁に描かれた絵の場合、要は絵のカンバスとなっている壁が製作者の所有物ではないから、アートでなく落書きと見なすんだろうね。Martin Barré(マーティン・バレ)というアーティストを知っているかい? 彼が描いた線がアートとして評価されてるのは、単純にそれが彼の所有物であるカンバスに描かれているからで、それが道端にある他人の壁に描かれていたとしたら落書きと取られていただろうね。

場所によってあなたの表現するものやそのメッセージは変わるのでしょうか?

問題意識は常に同じさ。例えば生物を描写した静物画(フランス語でNature morte:死んだ生物の意)を美術館に展示して見せることよりも、その絵に使われているカンバスの元の姿である麻の生い茂った野原の景色を見せることの方が、より本当の自然(フランス語でNature vivante:生きている生物の意)を見せることができるだろう。表現する方法は変わるけど、基本的にこんな風に物事をひねって解釈することで、本質に迫りたいのさ。

NOT FOUND - installation dans une eglise abandonnee – 2011
NOT FOUND - installation dans une eglise abandonnee – 2011

SERGE - GAINSBOURG- rue de verneuil
SERGE - GAINSBOURG- rue de verneuil

Tourment -
installation exterieure – 2012
Tourment - installation exterieure – 2012

現在製作中の作品はどのようなものですか?

焼いた木材を使ったプロジェクトを行っているよ。日本の焼杉の外壁なんかにも興味があって、とても美しいと思うんだ。もともと火による破壊に興味があったんだ。状態が刻々と変化するからね。それに自分の作品が破壊される訳だから、その破壊の形はとても特別なものだったよ。最近は«Résilience = 回復能力»っていう作品を作っていて、今はコソボ共和国についての作品を制作中さ。彼らは管理下に置かれた状態で独立をした。ここには管理(Superviser)と独立(indépendant)という対照的な言葉がある。その両者が一緒に歩んでいかなければならないんだ。僕がまだ学校に行っていたときによく、「矛盾はいけないものだ」と言われたよ。でもね、今はどこにいっても矛盾は必要なものなのさ。なぜならそれは僕たちの時代の産物なんだからね。

これからのアートプランはどんなことを考えているますか?

僕が個人的に興味を持って取り組んでいるテーマというか、僕の今の表現方法の1つなんだけど、ある場所を表現した1つの言葉を印刷してその場に設置するんだ。同時にその言葉に横線を引いて否定することで問題提起をする手法さ。あちこち旅行しながら、その場所を表現した典型的な言葉を印刷して置き、その言葉に横線を引くことで、でも本当はそれだけじゃないだろうということを提起するんだ。もし日本に行くことがあったら、絵馬を使ったプロジェクトをしたいよ。願いを書く代わりに起きてほしくない事を書くとかね。

最後にメッセージをお願いします。

オベルカンフ通りとサン・モール通りの交差するところある建物の壁に日本語で«白い壁よりも汚い壁が良い»っていう張り紙をしたんだ。いまはもうないんだけど、Youtubeで動画が見られるからチェックしてみて。きっと笑えると思うよ。

(DE) CONSTRUCTIONS / グループ展(パリ)
2013年9月12日~10月31日
29, rue Notre-Dame de Nazareth 75003 Paris
参加アーティスト:Boris Tellegen, Xavier Theunis Michael Zelehoski, RERO

 

花百般 - パリに咲く花

花百般 パリに咲く花



花が咲き乱れる美しい季節がやって来ました。
パリのバラ園では千種類以上のバラが花開き、
芳しい香りを放っています。
街の公園をそぞろ歩きしても色とりどりの花が
私たちの目を楽しませてくれ、
長い冬に待ちわびた分、
フランスの美しさを実感できます。


花図鑑

世界中には25~30万種もあるという植物。パリ市を含むイル・ド・フランス地域には2660種の植物が生息しているそう。

  • フランスにまつわる花
    ユリ・アイリス ユリ・アイリス
    フランス王家の紋章であるフルール・ド・リス
  • フランスにまつわる花
    ヒナゲシ Papaver rhoeas
    (Coquelicot)
    ヒナゲシ(ケシ科)

    フランス国旗の赤を表す
  • フランスにまつわる花
    ベゴニア Begonia
    ベゴニア
    (シュウカイドウ科)

  • フランスにまつわる花
    セイヨウオダマキ Aquilegia vulgaris
    セイヨウオダマキ
    (キンポウゲ科)
  • フランスにまつわる花
    ゼラニウム Geranium
    ゼラニウム
    (テンジクアオイ属)

    パリのアパルトマンを彩る花
  • フランスにまつわる花
    ヤグルマギク Centaurea cyanus
    (bleuet)ヤグルマギク
    (ユキノシタ科)

    フランス国旗の青を表す
  • フランスにまつわる花
    ヒナギク Bellis perennis
    (pâquerettes)
    ヒナギク(キク科)

    復活祭のころに咲く ③
  • フランスにまつわる花
    セイヨウミズキ Cornus sanguinea
    セイヨウミズキ
    (ミズキ科)
  • フランスにまつわる花
    エゾミソハギ Lythrum salicaria
    エゾミソハギ(ミソハギ科)


  • フランスにまつわる花
    シロタエギク Senecio cineraria
    シロタエギク(キク科)

  • フランスにまつわる花
    セイヨウマユミ Euonymus_europaeus
    セイヨウマユミ
    (ニシキギ科)
  • フランスにまつわる花
    イヌバラ Rosa canina
    イヌバラ(バラ科)
  • フランスにまつわる花
    ヘンプアグリモニー Eupatorium
    cannabinum
    ヘンプアグリモニー
    (キク科 )
  • フランスにまつわる花
    メドーセージ Salvia pratensis
    メドーセージ(シソ科)


  • フランスにまつわる花
    ヒャクニチソウ Zinnia
    ヒャクニチソウ(キク科)


  • フランスにまつわる花
    セイヨウノコギリソウ Achillea millefolium
    セイヨウノコギリソウ
    (キク科)

  • フランスにまつわる花
    チコリー Cichorium intybus
    チコリー(キク科)

    コーヒーの風味付けに使われる ①
  • フランスで咲く日本の花
    ヤブデマリ Viburnum plicatum
    ヤブデマリ
    (スイカズラ科)

  • フランスで咲く日本の花
    シデコブシ Magnolia stellata
    シデコブシ
    (モクレン科)

  • フランスで咲く日本の花
    オオバギボウシ Hosta montana
    Maekawa
    オオバギボウシ
    (リュウゼツラン亜科)
  • フランスで咲く日本の花
    シデコブシ Cornus kousa
    ヤマボウシ(ミズキ科)


  • フランスで咲く日本の花
    ボタン Paeonia
    ボタン(ボタン科)

  • フランスで咲く日本の花
    ニシキギ Euonymus alatus 'Compactus'
    ニシキギ(ニシキギ科)
  • フランスで咲く日本の花
    ツルアジサイ Hydrangea petiolaris
    ツルアジサイ(アジサイ科)

  • フランスで咲く日本の花
    ツツジ Rhododendron
    ツツジ(ツツジ科)
  • フランスで咲く日本の花
    ムサシアブミ Arisaema ringens
    ムサシアブミ(サトイモ科)
  • フランスで咲く日本の花
    アイリス Iris
    アイリス(アヤメ科)
  • 日本でもよく見る花
    ツツジ Hydrangea
    macrophylla
    アジサイ(ユキノシタ科)
  • 日本でもよく見る花
    コスモス Cosmos
    コスモス(キク科)

  • 日本でもよく見る花
    ペチュニアPetunia
    ペチュニア(ナス科)
  • 薬草としても使われる花
    マリーゴールド Tagetes
    マリーゴールド(キク科)

    暗順応改善薬の原料

  • 薬草としても使われる花
    トケイソウ Passiflora caerulea
    トケイソウ(トケイソウ科)

    鎮痛や精神安定、更年期障害に効果あり
  • 薬草としても使われる花
    セイヨウオトギリソウ Hypericum perforatum
    セイヨウオトギリソウ
    (テリハボク科)
    抽出物はうつ病治療に効果がある ①
  • 薬草としても使われる花
    ラベンダー Lavandula
    ラベンダー(シソ科)

    鎮痛や精神安定に効果的、 防虫、殺菌作用もあり
  • 薬草としても使われる花
    トケイソウ Calendula officinalis
    キンセンカ(キク科)

    やけどの治療薬に使われる
  • 写真クレジット:
    ①©Parc Floral de Paris, photo : Nathalie Faivre
    ②©Ecole Du Breuil, photo : Florian Leemann
    ③©Laurent Bray
    ④©Parc Floral de Paris, photo : Florian Leemann


協力:パリ市 Jardin botanique de la Ville de Paris 
http://www.paris.fr/pratique/Portal.lut?page_id=8354


パリではおいしい蜂蜜が作られるらしい。

蜂蜜になるような花がいっぱいあるのでしょうか?

蜂蜜

パリでとれる蜂蜜は格別と評判です。公害は大丈夫なの?と心配になりますが、都会の花は、田舎に比べて農薬、殺菌剤、殺虫剤などが少ないため田舎の蜂よりも健康的だといいます。さらにパリには花など植物のバラエティーが豊富なこともおいしい蜂蜜がとれる理由。1983年に初めて屋根に巣箱が設置されたオペラ・ガルニエ座では、ある春には50kgもの蜂蜜が収穫されたほど。リュクサンブール公園など、パリ市内には現在300もの蜂の巣箱が設置されています。イル・ド・フランスでは、琥珀色でゆるい液状のやわらかい蜂蜜が取れます。

アカシアの花パリの蜂蜜は何の花から作られるの?

マロニエ、菩提樹(Tilleul)、アカシア(Acacia)、ニワウルシ(Ailanthe)、そして美しい花が年中咲き乱れる公園から蜂たちは花粉を集めてくるようです。

花の種類による蜂蜜の効果

例えば、アカシアには抗痙攣(けいれん)の他、整腸作用、鎮静作用があり、菩提樹には抗痙攣、鎮静作用、不眠症を改善する効果があります。 (協力:Jean-Jacques Schakmundès)

ポプリって、フランス語だったの?

日本でも人気のポプリは、手軽なデコレーション。

ポプリ

ポプリフランスが発祥で、その後イギリスに渡り発達したポプリ。フランス語で書いてみると「pot-pourri」、何と「腐ったつぼ」のこと。生花ではなく、枯れた花を長期間楽しむ方法です。花やハーブ、香辛料、木の実、果物の皮などに精油やポプリオイルなどの香料を混ぜて作るので、香りも同時に楽しめます。ポプリというと、乾いた植物などを使ったものを想像しますが、フランス風のポプリはモイストポプリといって、湿った生乾きの花びらやハーブ、果実の皮などに塩を加えて保存するものです。

ドライポプリの作り方

1ハーブの芳香成分が豊富な時期にはさみやナイフで少し茎の部分を残し、摘み取ります(ローズマリー、タイム、ヒソップは、花の満開時、バラはつぼみがカップ状に開いたとき)。晴天が3日ぐらい続いた後の朝7時から9時ごろが最適だそうです。

2自然に、または電子レンジや電気スタンド、ホットプレートなどで、花や葉を乾燥させます。

フランス風ポプリ
生乾きのまま使用するのに適しているのは、桜やヒアシンス、フリージアなど。塩が保存料の役目をして、独特の芳香が楽しめます。

きれいな花はずっと鑑賞していたい……。

フランス生まれのプリザーブドフラワー、試したことがありますか?

プリザーブドフラワー

プリザーブドフラワー水がなくても、生花とあまり変わらないみずみずしさを長く保ち続けることができる方法。日本の方が盛んで、イベント会場やレストランにディスプレイとして飾られる花にはよくこの技術が使われています。花を脱水し、染料を吸わせ、また乾燥させる方法で、花の新鮮さを閉じ込めます。切り花の寿命を延ばすこの技術は、フランスのヴェルモント社が1970年ごろから大学との共同研究により発明。90年代初めに特許を取得した後、著名なフラワー・アーティストがこれを実践することで注目され、世界に広まりました。

    プリザーブドフラワーの長所
  • 長く咲き続ける:保存状況によりますが、1年~3年以上持ちます。
  • 手軽さ:水をあげる面倒がありません。
  • いつまでもみずみずしく、フレッシュな質感:見た目にも感触も生花そのもの。
  • 豊富なカラーバリェーション:生花にはない着色もでき、生花以上に鮮やかな、思い通りの花を創作できます。バラには40色以上もあります。
  • 自由なアレンジ:アレンジのための器と場所を選ばないので、ディスプレイに最適。
  • 花粉や匂いがない:アレルギーの心配がありません。加工に人体に無害な有機保存料と染料を使えば安心。

プリザーブドフラワーの作り方

1十分に水揚げした花を花首から約2cm残して茎を直角に切り落とします。
2脱水、脱色ができる液の中に花を沈め、それから着色を施します。
3形を整え、自然に、またはドライヤーなどで乾燥させ、出来上がり。

花束を贈るときは花の意味を考えながら……。

フランスではどんな花を、どんなときに贈るのでしょうか?

花の意味

ボタン&クチナシ• ボタン(pivoine):誠実
• クチナシ(Gardenia):愛情
• ベゴニア(Bégonia):友情
• マジョラム(marjolaine):許しを請う

バラについて

• 白いバラ:純愛
• 赤いバラ:熱愛
• ピンクのバラ :愛の誓い
• 黄色いバラ:不誠実

• 1本のバラ:一目惚れ
• 2本のバラ:許しを請う
• 12本のバラ:愛情への感謝
• 24本のバラ:最高の優美さ
• 36本のバラ:(赤のみ)愛の告白 /(白+ピンク)婚約時
• 101本のバラ:狂うほどの愛

 

安全な食品が食べたい - フランスの食の安全性

安全な食品が食べたい

私たちの血となり肉となる毎日の食品。
健康を維持するためにも気になるのが食品の安全だ。
遺伝子組み換え作物の議論や、
牛肉と偽り馬肉が使用されたスキャンダルなど、
消費者として無関心ではいられない問題が数多い。
食の安全を守るため、政府はどのような取り組みをしているのだろうか。
そして消費者が気をつけることはどのような点なのだろうか。
(Texte : Satomi Kusakabe)

食文化の維持と信頼できる食品

フランスが美食の国であり、人々の食生活が豊かなゆえんは、地域性に基づく多様な食品のお陰だろう。農業大国フランスが生み出す農産物を伝統、文化面から、またそれを食する消費者を守るため、20世紀初めから幾つもの法律が制定されてきた。フランスは欧州連合(EU)の一員でもあることから、安全な、消費者が信頼できる食品を確保するためフランス、EUの規則に則り、食品の品質を保証している。

フランスで品質が公的に保証された食品にはどんなものがあるのだろうか。公的な制度で認められた食品には、一目で分かるような表示が付されている。スーパーなどで手にする食品に見られるロゴマーク、「AOC」や赤い「ラベルルージュ」、緑色の「AB」はその一例だ。審査機関の認証を経て、国立原産地呼称研究所(INAO)に管理運営されている代表的な表示を幾つか挙げてみよう。

左)AOC、中央)AOP、右)ラベルルージュ

1919年に制定された「原産地呼称」の完成版が35年に制定された原産地呼称統制(Appellation d'origine contrôlée : AOC)だ。20世紀初頭に各地の上級ワインの偽物が市場に出回っていたため、それを防止することが制度の目的だった。原材料にその産地のものしか使わないというように生産地を確定することが条件なので、産地の農業の維持、発展に貢献することができる制度だ。つまり、産品の特徴があらわれているものにこのロゴが付される。また、自然な生産法であることも重視され、例えばAOCワインおよび蒸留酒とは、「ブドウの栽培、醸造、蒸留の過程で何も加えない自然の製造を前提とするものでなければならない」と規定されている。原産地呼称保護(Appellation d'origine protégée : AOP)は、EUの基準に則ったAOC同様の保護制度。ワインなどのアルコール飲料、チーズなどの乳製品、オリーブなどの農産物に適用される。

AOCが産地を基準とするのに対して、ラベルルージュ(Label Rouge)は伝統的な生産・飼育基準に従って作られた産品で、高品質の食品と認められたものに政府から承認された表示。60年に制度化され、伝統的で特色のある農法や農産品を守ることを目的とする。農業が近代化・合理化され、食品が画一化していく中で生産方法や産地の伝統を維持する制度。また、化学品・薬品を極力使用せず、できる限り自然の飼料で育てられた産品であることが条件になっている。適用は食肉、家禽(かきん)肉、食肉加工品、水産品、野菜、果物、飲料、花木にまでわたる。

有機農法によって生産された農産物に認められる品質証明の表示。86年にフランスで確立された有機農産物についての生産基準に加え、EUの規則に基づいて認可された有機農法で生産された農産物、そしてそれらの農産物を95%以上含む食品を保証している。有機農産物とは環境に配慮した農産物であるとも言える。フランスの有機農産物には、フランスの基準で品質保証された表示「AB」(Agriculture biologique)に加え、2010年7月からEUの品質保証である緑の葉形マークも付されている。

左)EUの有機農産物のロゴ、右)ABのロゴ

近年は、食品の安全性や伝統的で自然な生産法などへ消費者の関心が集まっているため、ラベルルージュや品質適合認証については、安全な食品であることが基準にもなっている。また、ヨーロッパ中を震しんかん 撼させた牛海綿状脳症(BSE)の発生後、安全が保証されたラベルルージュ、品質適合認証、有機農産物などの品質証明産品の消費が増大しているという。

Critères Qualité Certifié / Produit Certifié

Produit Certifié1990年制定された品質適合認証(Certification de Conformité)。これはラベルルージュの簡便版だ。ラベルルージュの申請者は集団だったのに対し、品質適合認証の申請者は個人、企業でもよく、またラベルルージュが政府の承認を必要とするのに対し、同認証は認証機関の認定で足りる。認定されるとCritères Qualité Certifié、またはProduit Certifiéのロゴが付される。適用は肉類、豚肉加工品、乳製品、水産品、野菜、果物など、ラベルルージュの食品と類似する。

VBF

VBF農水省が支持し96年発足した全国家畜食肉関係事業者団体連合会(INTERBEV)が保証するフランス産牛肉(Viande Bovine Française : VBF)。フランスで生まれ、飼育され、食肉処理された牛肉に付されるロゴだ。同様のフランス国産肉表示制度で保証された羊肉には「VOF」、豚肉には「VPF」、家禽肉には「VILAILLE FRANÇAISE」のロゴが付けられる。

フランスにおけるGM作物

前述のロゴで表された認証が任意事項なのに対し、全ての遺伝子組み換え(Génétiquement modifié : GM)食品およびGM飼料には表示が義務づけられている。一方、GM酵素を使用して製造されたチーズや、GM飼料および医薬品を摂取した動物の肉は、表示義務の対象となっていない。

フランスではGMが禁止されている。フランスの大地でGMの農作物を産出してはいけないのだ。しかし、GM作物の輸入は行われており、例えば大豆については、フランスに輸入される年間470万トンのうち、5分の4はGM大豆となっている(2010年)。スーパーに並ぶ「sans OGM」表示がある商品を、われわれは信用して手にし、口にしているが、GMの飼料を摂った動物や動物が産出したものには、この表示は付されない。アメリカ大陸から入ってくる動物の、実に80%がGMの穀物で育てられているという報告がある。中でも、その動物たちはGMの除草剤耐性トウモロコシ「NK603」を飼料に飼育されているという。これまでは肉類や卵、乳製品などに遺伝子組み換え生物(Organisme génétiquement modifié : OGM)でない旨を表示する規定はなかったが、2012年7月1日より、これらの生鮮食料品にOGMでない旨を表示すること、消費者が詳細情報を求めた際に業者側は速やかにGMか否かを回答することが義務づけられた。



「nourri sans OGM」表示のあるものは
GM飼料を使用せず育てられたもの



sans OGM

遺伝子組み換えのされていない産品。2004年からヨーロッパで、OGM の含有率が0.9%を超えない食品には、表示が義務づけられている。逆に、0.9%以上のGMを行っている食品には、例えばトウモロコシなら「issu de maïs génétiquement modifié」と小さく表示されている。

フランスでのGMトウモロコシの問題

トウモロコシフランスでは昨年の9月に、カーン大学のセラリニ教授がラットを使ったGMトウモロコシ「NK603」の発がん性に関する実験結果を学術誌に発表した。ラット200匹について、同品種や除草剤を用いて育てたトウモロコシを与えたグループでは、通常の飼料を与えたグループより腫瘍発生率が高いという結果を含めた論文だった。しかし、フランス政府の諮問で論文の検証をしたフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、同教授の研究は「確認された(ラットの)病状とNK603や農薬との因果関係を科学的に確認できていない」と指摘。さらに医学、薬学など6つの学会により、研究結果は否定された。「NK603」は日本以外にもEU、アメリカで既に安全性が承認されている。

ヨーロッパでは、ジャガイモ「Amflora」とトウモロコシ「MON810」の2種類のOGMの作付が認められ、「MON810」はドイツ、ベルギーなど6カ国で栽培されているが、「Amflora」は今や栽培されていない。世界で栽培されているOGMの作付面積の割合は、アメリカが約43%、ブラジルが約19%、アルゼンチンが約15%となっている。 アメリカでは有機農法以外の食品の80%がOGMという。

GMトウモロコシをめぐる論議

2012年3月 仏政府は米バイオ大手モンサントの害虫抵抗性GMトウモロコシ「MON810」の栽培を禁止→国務院によって無効となる
2012年5月 EUは欧州食品安全機関(EFSA)の見解を踏まえ、フランスにGMトウモロコシの国内栽培禁止措置の解除を指示する方向で検討
2012年9月 ルフォール農相は、米バイオ大手モンサントが開発したGMトウモロコシ「NK603」について、発がん性を示す研究結果が示されたとして、ANSESに詳しい調査を指示したと発表
2012年10月 EUのEFSAは4日、ラット実験でGMトウモロコシの発がん性を指摘したフランスの研究報告について、科学的に不十分なものだとの見解を表明
2012年10月 ANSESとバイオテクノロジー高等評議会は22日、「NK603」の発がん性を示した仏北西部カーン大学チームの研究について、科学的根拠に欠けるとする一方、同品種の安全性に関する長期的な研究が必要だとの見解をそれぞれ公表

健康を害する食品への注意勧告

フランスには、食品の安全を担う農水、保健、経済財務産業の省庁と、衛生、栄養的リスクの評価と監視などを行う独立機関、ANSESなどがあり、健康を害する事例が発生した場合、それぞれが協力し合い対策を講じている。

例えば、2005年に鳥インフルエンザが発生した際には、政府はEUレベルで鳥インフルエンザ汚染国からの輸入を禁止すると同時に、国内の市場や見本市などで生きた鳥の扱いを禁じた。農水省管轄の食肉情報センター(CIV)はフランス食品安全衛生庁(AFSSA : ANSESの合併前の1機関)と取り組み、インターネットや新聞などのメディアを通じて国産鶏肉の安全性に関する情報を消費者に伝えた。

フランス農水省の公式サイト上では、消費者に向け、健康を害する危険な食品や、安全性が疑われる食品の情報を逐一更新し注意を呼び掛けているので、日常的にぜひ利用したい。  

ラザニア今年に入り、馬肉を牛肉と不正表示した加工食品がヨーロッパ各地で見つかった事件に関しても、同サイト上に情報が更新されている。経済財務大臣管轄の競争・消費・詐欺防止総局(DGCCRF)が行った調査の経緯が時系列で詳しく記されている。

ANSESは今年の3月、2013年に力を入れたい事業計画を発表した。2つの優先事項として掲げられたうちの1つは空気汚染に関してだが、もう1つは食中毒の原因となるウイルスや残留農薬の分析法など、公的機関の管理や検査方法の強化となっている。また、「ビスフェノールA(BPA)や同系統の化学物質暴露評価」や「エネルギードリンク摂取に関するリスク評価」など、消費者も気になる数点の報告書がまとめられることになっている。

フランス農水省のサイト  alimentation.gouv.fr/alerte-produit1
ANSESのサイト   www.anses.fr

BPA

食品のパッケージにも見られる「ビスフェノールA(BPA)不使用」。化学物質のBPAは、発がん性、神経毒性などの危険性が指摘されている。肉の缶詰や一部のプラスチックボトルなどに含まれるものだが、すでに2013年1月より3歳未満の幼児向け食品のパッケージに使用が禁止されており、2015年1月から全面的に使用禁止となる。

BPA使用の表示 « fabriqué à partir de bisphénol A. Usage déconseillé pour les enfants de moins de 3 ans, les femmes enceintes ou allaitantes. »

参考資料:
「Les signes officiels de la qualité et de l'origine」(INAO)
「L'Anses présente son programme de travail pour 2013」(ANSES)
JETRO

 

バイリンガル子育てのポイント

バイリンガル子育てのポイント

親から受け継ぐ言葉「継承語」。「現地語=フランス語」で育つ子供を持つ親にとって、「継承語=日本語」を学習させるのは、容易なことではない。バイリンガル子育てをするためには、どのような点に気をつけたらよいのだろうか?バイリンガル教育、継承語教育、日本語教育学を研究されている言語学者、中島和子先生に伺った。
(Interview réalisé par Kei Okishima)

バイリンガル教育を家庭で行う場合、
家庭ではどのような教育をすべきですか?

まず大前提としてお伝えしたいのは、親は家庭で日本語の先生にはなれない、なってはいけない、ということです。親が先生になると、子供はとても息苦しくなってしまいます。子供は言葉を自然に覚える能力を持っています。ですから本来、継承語も母語も同じように育つはずです。つまり、継承語を学習させるには、母語と同じように学ばせるのが得策なわけです。

それでは、親ができることは何でしょうか?

母語はどのように学ぶと思いますか? 教科書を使って母語を教える、ということはありませんね。家族の一員になるために言葉が必要になるからこそ、子供は言葉を覚えていくわけです。言葉を育てるために必要なことは、「子供に話し掛ける」、「子供の話を聞いてあげる」、「子供と一緒に話し合う」という3点です。ですから、日本語をきちんと使ってできるだけたくさん話をすることが大切です。

言葉の発達をみてみると、2歳ごろから話し始め、8歳ごろに話す力のピークを迎えます。この間に話し言葉の基礎をしっかりと育てることが大切です。日本語で話し掛けられたら反射的に日本語で答えるという習慣づけも、この時期につけておくといいでしょう。8歳ごろまでにしっかりと会話ができるようになっておけば、その後はそれほど変化は見られません。後々、読み書きの能力を伸ばすためにも、話し言葉の基礎というのが必要になってくるので、この基礎作りの時期は非常に大切な時期です。  

もう1つ大切な柱は、読み聞かせです。会話、つまり話し言葉というのは語彙(ごい)が日常語 彙に限られています。しかし本にはいろいろな言葉が出てきます。このような書き言葉の語彙も増やしておくことが、後々とても大切になってくるのです。

4歳から6歳の間に読み聞かせをしてもらって育った子供と、そうではない子供と比較すると、小学校に入ってから大きな差が見られます。子供は4歳ぐらいから文字に興味を持ち始め、小学校1年生で文字教育が始まります。1つ1つの文字を習った後、文字の塊で単語を理解していくようになります。例えば「りんご」は「り」と「ん」と「ご」という文字の塊でできていますよね。その塊が、今度は「りんごがあります」という文の塊になります。文章を読むとき、文字列の中でこのような塊に見えるかどうかが読解力に関わってくるのです。

仮に親に読み聞かせをしてもらえなかった子供が文字を習い、文章を読んだとしても、始めから終わりまで字を読むことはできます。しかしそこに何が書いてあるかが分からないということがあります。移民や先住民の子供たちに多く起こる現象ですね。文字は読めるのですが、意味が分からないのです。小さいときから本を読んでもらっていた子供は、文字の裏に面白いストーリーがあることを知っているのですが、そういう経験がないと、ただ文字を読むことが、読むことだと思えてしまうのです。では、どのような本を選ぶべきかというと、大切なのは子供が興味を持ちそうな本を選ぶことです。

継承語が伸びやすい社会環境というのはありますか?

言葉の社会的な地位というのも言語習得には関わってきます。つまり、その言葉がその国、社会でどのくらい必要とされているか、価値があるか、ということです。例えば、日本社会では英語を話せるということに価値があります。ですから、日本で英語が母語だという父親もしくは母親がいるご家庭のお子さんは、現地語である日本語も、継承語である英語も両方伸びる可能性が高いのです。それが例えばポルトガル語だとすると、日本ではポルトガルを話しても、うらやましがられるわけでも、特に褒められるわけでもないわけです。子供は、誰も教えなくても社会的な価値を体を通して感じ取り、周囲の価値観を内面化していくのです。

理想的な家庭環境というのはあるのでしょうか?

バイリンガル教育をするためには、まず両親ともに「バイリンガルに育てる」という目標を持ち、両方の言語が育つように工夫することが大切です。  

ニューヨークのあるご家庭の例ですが、全く日本語が分からないアメリカ人の父親が居ました。母親が子供が小さいうちから日本語で熱心に話し掛けていたために、子供の日本語の力が英語より強くなり、父親が親子の会話に入れなくなってしまいがちだったのですが、この父親は「僕はあと2、3年我慢するよ」と言ったそうです。つまり、子供が学齢期に入ると、あっという間に英語が強くなることを分かっていたわけです。確かに、この父親の言うとおり、学齢期に入ると、学校での「学ぶ」言語が急成長するので、それまでに継承語を強くしておくことが大切です。学校に入るまでに日本語の基礎を作っておかないと、バイリンガル育成は難しいでしょう。  

ただ会話に入れない父親が怒ってしまうというご家庭もありますし、言葉のせいで全てが嫌になってしまい離婚に至ったケースなども実際にありますので、短絡的に考えず、それぞれの家庭で長期的な計画を立てる必要があります。バイリンガルになるための言葉の習得は、20歳の始めごろまで掛かります。このことを念頭に置き、両親が長期的に言葉を育てていくという心構えでいることが大切なのです。

学齢期になって初めて継承語を教え始めることは可能ですか?

それは難しいですね。ただ、それが可能だとすれば、学校の中で2つの言語を使って勉強をする場合です。カナダにはそういうシステムが存在します。また、アメリカでは公立学校の一部として日本語と英語を学習言語として使っているところがあります。例えば、植物のことを日本語で習ったら、それを英語で復習して先にちょっと進む、そして英語で習ったものは日本語で復習してまた先にちょっと進む、という方法です。このような学校が存在すれば、バイリンガル教育としては理想的な環境です。

上記のような環境がない場合、どのような方法を取ればよいのでしょうか?

週末などに、日本語を学ぶ場、使う場を地域で作ることです。日本語を使う仲間を作り、日本語で話せるという場です。言葉というのは生きているものですから、使う相手が必要なんですね。親とだけでは子供はあまり日本語を使おうとしなくなるものです。そのため、日本語で交流できる仲間がいるというのが非常に重要になります。そして理想的には、1年に1回ぐらいは日本へ連れて帰り、日本でも友達作りをすることです。  

また、フランスで日本語の学びの場を作るときの注意点としては、日本語の会であるけれども、何語を話しても許されるというような自由な雰囲気の環境にすること、家族ぐるみで参加できるような場にすべきだということが挙げられます。アメリカの例を挙げると、週末に行われる日本語のプログラムで、学年の終わりに子供たちが発表をする会が開かれます。そのときに子供たちは胸に日本の国旗やアメリカの国旗を付けています。両方の国旗を付けている子供は、どちらの言語でも発表できるということを示しており、見に来た親のリクエストで発表する言葉を選びます。このような活動に両親の言語が両方含まれていると、家族ぐるみで参加することができますね。発表の準備をするにも両親共関わることになります。どちらか一方の親の言語だけを使用し、片親しか興味を持たないと、長期的に活動を続けていくのが難しいのです。  

このような仲間を作ることは、継承語学習者の民族言語アイデンティティー形成の上でも助けになります。民族言語アイデンティティーは通常、言葉の力が強くなると同時にしっかりしてくるものです。しかし、フランスで継承日本語を学習している者は、フランス語の力が強くなるとともに、日本語に対して自信を失くしていきます。そして、学校など一歩家の外へ出ると、外見から日本語が話せるだろうと期待され(押し付けられた外的アイデンティティー)、実際の心の中の自分(内的アイデンティティー)との間にズレが生じ、苦しむことになります。

また、家庭の中では両親にフランス語ができるだろうという期待を持たれ、実際にはそうでもない自分との間にズレが生じることもあります。こういうズレに苦しむ子供にとって、学校でもない、家庭でもない、第3の場所が必要になるわけです。例えばカルフォルニアでは、日系人のバスケットボールのチームがあります。通常、バスケットボールは背が高くなくては活躍できないため、日系人はなかなか現地のグループに入ることができません。そこで日系人だけのグループを作り、その中で競争させるわけです。このように、子供が正当に評価される場、自分が生き生きと活躍できる場があること、そして自分の悩みを共有してくれる仲間を見つけることが大切です。

「これはしてはいけない」という注意点はありますか? 

家庭の中で「教えよう」としないことです。バイリンガル「教育」ではなく、バイリンガル「子育て」をしていると捉えなくてはならず、言葉がストレスにならないようにすべきです。あの手この手で子供が日本語に興味を持つような形にもっていくことです。「日本語を話しなさい」と言って話すようになるわけではないのです。例えば、現在日本には、英語で勉強をするインターナショナルスクールがあります。その中のルールとして、学校内で日本語を使うとペナルティーを課す、という所があります。こういう方法は望ましくありません。家庭でこんなことをしたら、子供は言葉を使わなくなります。言葉は使わなくては発達しないのです。  

ブラジルから来たある青年で、10歳まで母親と日本語で話していたという方が居ました。しかし10歳以降、一切日本語を話すのを止めたというのです。理由を聞いてみると、「10歳のとき、母親が自分の日本語を『助詞のない日本語だ』と言ってまねした。それ以降日本語を話さなくなった」というのです。これは継承語話者の典型的な傷付きやすい心情を表しています。また、よく耳にするのは「自分は日本語を使わないと怒られる。しかし使うと、(間違っているから)また怒られる」というパターンです。継承語話者は自分が日本語を正しく使えなくなっていることを分かっており、自信がありません。本来、継承語話者が怒られる筋合いはないわけですから、デリケートな気持ちでいる子供たちを批判してはいけません。自尊感情を傷付けないようにしなければならないのです。少しでもいいところがあれば褒めてあげましょう。  

言葉は話し合いに使うもので、ワークブックだけをやっていても伸びません。言葉の根が深まるようにするためには、言葉を楽しめるようにしてあげることです。例えば、子供が好きなビデオを一緒に見て、それについて話し合うのもいいでしょう。ただ見せるだけではダメです。ビデオを日本語で見ることによって自然と日本語の世界に入り、そのまま日本語で話し合うのです。他にも一緒に何かをする中で、日本語を使うようにもっていくことが大切です。

家の中で教えてはいけないとすると、
読み書きはどのように教え始めたらよいのでしょうか?

読み書きには適齢期があります。学齢期以前は、子供は自分と関係があるひらがなに興味を持つ程度なので、ひらがなを48文字全て覚えさせるということは普通はしません。ですから、親ができることとしては、実際に親が字を書いているところ、文字を読んでいるところを見せてあげることです。そういう姿を子供が見ることで、文字に興味を持たせることです。子供は周囲の大人の行動をまねるという形で言葉を習得していきます。

実際の読み書きを教えるのは、同年代の仲間と一緒に日本語の文字を学ぶというスタイルがよいでしょう。補習校のような所に行くのもよいですし、小学校3年生くらいまででしたら、同じくらいの子供を持つ親が集って、交代で先生をするのもよいと思います。小学校高学年になりますと、教える内容の難易度も上がり、教える側がそれなりの資格がある方でないと難しくなりますが、少なくとも文字の初歩を教えるという意味では、親の集まりでもよいかと思います。前述の話し言葉と同様、一緒に学ぶ仲間が居ることが大切です。  

また、漢字を上手に覚えさせた例としては、家族で漢字検定を受けて、漢字が書けるバイリンガル子育てに成功したという方がいらっしゃいました。これは、漢字を覚えるのを子供だけに強いたのではなく、父親も母親も、家族全員がそれぞれ同じ目標に向かって取り組んだという点がポイントですね。みんなで一緒に何かをする、というのがよいのです。

子供が日本語を拒否した場合にはどうするべきでしょうか?

なぜ子供が日本語を嫌がるのか、原因を考えることが大切です。例えば、友達がフランス語を話すのに、自分だけ日本語を話す意味がない、と思っているのなら、日本語を話す友達ができるような環境を作る。また、フランス語の力が強くなってきて、日本語を話すのが面倒くさいという場合には、できるだけ日本語を聞かせてあげる、また子供が興味を持つような日本語の本や映画など、材料を提供してあげるとよいと思います。  

現地語での生活が長くなるにつれ、どうしても現地語の方が話しやすくなり、単語もフランス語がパッとでてきてしまうようになります。このようなときには、フランス語で子供が言った単語を「○○ね」と日本語でリピートしてあげます。正しいモデルをサッとさりげなく教えてあげることです。継承語の基本は親から学ぶ、親の言葉をまねすることです。ですから、いつでも正しいモデルを示してあげ、子供が聞いて覚えられるようにすることが大切です。  

このように、親としてはあくまでも日本語を「提供」することが大切なのであって、拒否されたからといって強制的に何かをしたり、叱ったりするのは逆効果です。


中島和子 先生
Kazuko Nakashima

トロント大学名誉教授、母語継承語バイリンガル教育(MHB)研究会会長。著書に「バイリンガル教育の方法―12歳までに親と教師ができること」(アルク)、「言葉と教育 海外で子どもを育てている保護者のみなさまへ」(海外子女教育振興財団)、「マルチリンガル教育への招待ー言語資源としての日本人・外国人年少者」(ひつじ書房)、「言語的マイノリティーを支える教育」(カミンズ著・中島和子訳著、慶応義塾大学出版会)など。

 

日本も加盟へ - ハーグ条約とは?

ハーグ条約日本も加盟へ
ハーグ条約とは?

ハーグ条約の承認案が2013年4月23日に衆院本会議にて全会一致で可決され、5月9日には加盟した場合の裁判手続きなどを定めた関連法案も可決された。着々と進むハーグ条約加盟への道。日本が条約に加盟するとは、具体的にどのようなことなのだろうか?
(Texte:編集部)

子供の利益を守るために

ハーグ条約は、子供の利益を守るためのものである。この条約では、16歳未満の子供が無断で片方の親に国境を越えて連れ去された場合、原則として子供を元の居住国へ返還するとしている。返還の理由は、連れ去られ、生活環境が急に変わることで、子供は言語や文化への適応を強いられるほか、それまでに交流のあった親族や友人と離れ離れになってしまうことになり、このことが子供にとって有害な影響を与える可能性があるためだ。また、国境を越えてしまうことで親と子供が会いにくくなる状況を改善し、親子の交流を図る機会を与えることが子供にとって利益になるという考え方から、ハーグ条約ではそのような面会の機会を得られるように、締結国が支援をすることも定められている。

「連れ去り」問題の背景

外務省によると、日本人と外国人の国際結婚は、1980年代の後半から急増し、2005年には年間4万件を超えた。結婚するカップルの増加に伴い、残念ながら離婚に至るケースも増え、片方の親がもう片方の親の許可を得ずに、母国へ子供を無断で連れ去ってしまう問題も生じるようになった。  

主要8カ国の中で、現在条約に加盟していないのは日本だけであり、国際離婚が増加するにつれ、欧米から強く加盟を求められてきた。その理由は、日本人の親が配偶者に無断で子供を日本に連れ帰るという事例が欧米諸国などから報告されており、外国人である配偶者が子供の居場所を見つけることができない、会うことができないという問題が出てきているからだ。

フランス人と日本人が離婚する際に生じる問題の1つに、親権に関する考え方の違いが挙げられる。日本は親権を母親か父親の一方に定めるが、フランスでは両親の共同親権が原則。片方の親が子供と共に住める監護権を持ち、もう片方が定期的に子供と会える面会権を得る。外国人である日本人でも監護権を得ることは十分可能だが、子供を育てられるだけの十分な経済的保障を示せ、離婚後もフランスに留まる場合がほどんど。フランスの裁判所は、フランスで育った子供にとって最良の選択は、同じ環境で生活し続けることだという判断を下す傾向があり、子供を連れて日本へ帰ることを認めないケースが目立つ。しかし現実は、フランス人のパートナーを失った日本人にとって、1人海外で子供を育てるのは容易ではない。まして、それまで専業主婦だった人や、フランスでの経済基盤を築けない人にとって、子供を連れて日本へ帰り、母国で一からやり直したいと考えるのは当然とも言える。これが子供の「連れ去り問題」を引き起こし、現在「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」への加盟要請が各国からなされてい所以だ。

日本が条約に加盟していない場合、たとえフランスの裁判所で「子供を連れ戻せ」との判決が出たとしても、日本に子供がいる場合には、判決は執行されない。ただし、子供が日本を出てハーグ条約を締結している国へ入国した場合は、その国からフランスへ連れ戻されてしまう。それを防ぐためには、子供を日本から出国させないという事態にもなりかねない。

加盟することのメリット

一方、外国人配偶者が子供を勝手に国外へ連れ出し、音信不通になり苦しんでいる日本人がいるのも現状。このような場合、日本が同条約に加盟し、子供の返還を要求することができることで、ようやく新たな道が開けることになるだろう。ただし、条約に加盟しても、条約発効前に連れ去られた件に関しては、条約に基づく子の返還手続きが適用されない。それでも、親子間の面会について中央当局に支援を求めることが可能になるので、メリットは大きいといえるだろう。

また日本に帰りたくても、日本がハーグ条約に加盟していないことが理由で、外国人の(元)配偶者が子供と音信不通になることを恐れ、帰国を許さないケースもある。このような場合、条約に加盟することで相手の不安が減少し、帰国にも同意してくれるようになるのではないだろうか。

子の返還を求める手続きとは?

ハーグ条約が締結されると、締結国には政府の窓口(中央当局)が設置される。申請者は各国に設置された中央当局に申請することで手続きを開始し、各国の中央当局同士で協力し、子の返還、もしくは面会の機会を確保するように動いていく。例えば、元配偶者が子供を無断で日本から海外へ連れ去ってしまった場合、監護権を持つ親は、日本または子供が連れ去られた国の中央当局に対して、子の返還のための支援を申請することができる。また、子供との面会を求める場合にも、同様に母国または連れ去られた先の国の中央当局に対して、子供との面会を実現させるための支援を申請することができるわけだ。  

しかしハーグ条約は、あくまでも子供の利益を保護するものであるため、子供にとって不利益だと判断された場合には、子供の返還が拒否される場合もある。具体的には、子供への虐待があった場合や、配偶者に対するドメスティックバイオレンスがあった場合など、子供の心身に悪影響を与える恐れがある場合には拒否される可能性がある。また、連れ去られてから1年以上たち、子供が新しい環境にすでに順応している場合や、子供自身が拒んだ場合で、子供が自分の意見を述べるのに十分な年齢に達している場合にも、拒否されることがある。もしくは、申請した者が、事前に国を去ることについて同意していたり、事後に黙認していた場合にも、却下される可能性がある。

ハーグ条約関係の問題で疑問点などがある場合には、在仏日本領事館や法律の専門家に問い合わせてみよう。

※ 参考文献:ハーグ条約を知っていますか? (外務省)、わかる!国際情勢vol.82(外務省)

 

同性愛者の結婚、賛成? 反対?

同性愛者の結婚、賛成?反対?

オランド社会党政権により先月可決された同性婚および同性カップルによる養子縁組を認める法律。賛成派は 「民主主義の勝利」と喜び、反対派は「子供の権利を無視している」と嘆いている。このフランスの世論を二分している問題を少し掘り下げて見てみよう。

フランスの同性愛者の実態

同性愛者の人口を明確に示す統計はないが、2011 年1~4月に、同性愛者向けの雑誌として知られるTêtuの依頼で世論調査会社IFOPが実施した調査※1 によると3%がバイセクシュアル、3.5%が同性愛者と回答している。これをフランスの人口に対する割合として計算すると148万人がバイセクシュアル、172万人が同性愛者、両者合わせると320万人が 同性愛を嗜好する人口となる。一方、12年12月の国立統計経済研究所(INSEE)の調べ※2 によると、市民連帯契約法(PACS)を結んでいる同性カップルはPACS全体の0.5%、人数にすると20万人であった。

戦後のフランスにて、同性愛者を取り巻く法的環境としては、1960年に民法330条で、公共において同性愛行為を行った場合は刑罰に処すとされていた。同法令は80年12月に廃止され、82年に同性愛は刑罰の対象から外れた。※3

フランスでは99年に成立した「民連帯契約法」に基づき、未婚者や同性カップルにも夫婦に準じた権利を与えているが、養子を迎える権利は認めていない。

参照ソース
※1 ※2 www.ifop.com
※3 www.adheos.org/histoire-gay-lgbt

同性婚合法化までの道のり(ニュース総まとめ)

2012年5月 選挙戦で同性婚、同性カップルによる養子縁組、精子バンクや代理母による人工的な出産を合法化することを公約に掲げていた社会党のオランド氏が大統領に就任する。
2012年7月 エロー首相は国民議会(下院)にて「結婚し養子を迎える権利は、あらゆるカップルに差別なく付与される」と述べ、同性間の結婚を来年上半期に合法化すると表明した。
2012年11月 7日、仏社会党内閣は同性婚と同性カップルによる養子縁組を合法化する法案を閣議決定した。
dataなお、同問題についてルモンド紙と世論調査機関IFOPが7日発表した世論調査では、同性婚に対して賛成する声は65%、養子縁組の権利についての賛成派は52%であった。
17日、同性による結婚や養子縁組を認める政府法案の導入に反対するデモ行進が行われた。デモの参加者数は警察側によると約7万人だが、主催者側によると最小でも10万人と公表した
2012年12月 data同月に発表されたIFOPによる調査では、同性婚に賛成は60%だが、養子縁組の権利についての賛成派は46%となっている。
2013年1月 オランド社会党政権が計画する同性婚合法化への反対デモが13日、パリ市内で行われ、警察推計で約34万人が参加した。デモ主催団体のマニフ・プール・トゥス(Manif pour tous)は参加者が80万人に達したと主張している。
トビラ司法相が、「フランス国籍の父親で、海外にて代理母によって生まれた子供にはフランス国籍を与える」よう、法を改正することを提案した。
2013年2月 同性カップルに法的婚姻や養子を認める法案が下院で可決された。
ペイヨン教育相が「子供のうちに意識を変え、性が持つステレオタイプを打ち破る」ことを目標とした性教育を小学校1年生より導入する旨提案。
2013年3月 同性婚および同性カップルによる養子縁組合法化反対派によるデモが24日、パリの凱旋門付近の大通りで行われ、警察の推計では約30万人、主催団体推計では140万人が参加した。警官隊が家族連れにも催涙ガスを発射するなどして解散させる騒ぎが起きた。
2013年4月 上院は12 日、同性婚および同性カップルによる養子縁組法案を採決し、与党・社会党などの賛成多数で可決した。
data放送メディア高等評議会(CSA)が18日に発表したアンケート結果では、53%は同性婚合法化に賛成であるが、56%は養子縁組に反対、とAFP通信が伝えている。
21日、パリにて同性婚および同性カップルによる養子縁組合法化阻止に向けたデモ行進が行われた。主催者マニフ・プール・トゥスによると、27万人、警察側によると4万5000人が参加した。
下院は23日、同性婚および同性カップルによる養子縁組を認める法案の最終採決を行い同法は成立した。1カ月以内に行われる憲法会議による違憲審査を経て施行される。
2013年5月
(予定)
23日までに同性婚および同性カップルによる養子縁組を認める法案の憲法会議による違憲審査の結果が出る予定。
26日に同案反対派による大規模デモが予定されている。

法案が施行されると変わる見通しがあるもの

参照ソース:www.huffingtonpost.fr

同性婚カップルにとっては……

配偶者が死亡したときの遺産相続や社会保障など、通常の婚姻カップルと同じ処遇を受けられるようになる。


法律上表記

同性婚が合法化されると、同性愛者に対する偏見をなくし、同性愛者に対して平等であるためには、「父親 Père」「母親 Mère」という表記は、同性カップルの場合は当てはまらないので、今後は使用できない。現在、司法省で審議されている最中だが、民法だけでも150点の変更が発生するといわれている。

例えば、「父親 Père」「母親 Mère」に代わる表記として、当初メディアは、「Parent1(親1)」「Parent2 (親2)」という表記になるかもしれないと伝え、保守層からは父性、母性を否定した呼び名だと批判を受けていた。現状では、「父親 Père」「母親 Mère」は「両親 Parents」と表記される見通し。


Livret de Famille(家族証明書)

当初は同性婚、異性婚にそれぞれのLivret de Famille(家族証明書)を作り、平等に対応する。ま たは、父、母という表記を完全に消すという案があり、賛否両論となったが、現在のところは、同性家族、 異性家族共に、同じフォーマットのLivret de Familleとなり、「父親 Père」「母親 Mère」の欄は「父親もしくは配偶者」「母親もしくは配偶者」という表記に変えるという案が有力。


その他

  • Ecole maternelle(直訳:母性の学校、実際には幼稚園)、Langue maternelle(直訳:母の言語、実際には母国語)など、母性、父性を含む名称は廃止され、新しい呼び名となる可能性がある。
  • 子供の姓について、現行では母親の姓を付与する旨を申請しない限り、父親の姓が与えられるが、今後は、血縁のない子供で申請のない場合は、両親の姓のうち、アルファベット順で先に来る姓が付与される。
  • フランスでは、PMA、GPA(別述参照)は、不妊治療という範囲においてのみ認可されており、例えば、レズビアンのカップルが精子バンクより精子を入手して人工的に出産することは違法である。これを合法化することは今回の法案には盛り込まれていないが、今後、提案される可能性がある。
用語● GPA … Gestations pour autrui
代理母による出産のこと。フランスでは認められていない。

● PMA … Procréation médicalement assistée
人工授精などの生殖援助。フランスにおいてPMAは、不妊など「疾患」のための治療という扱いでのみで許可されている医療行為である。

● LGBT … Lesbianisme, gay(homosexualité), bisexualité, transsexualité の略
同性愛、バイセクシュアル、性転換者の総称 

賛成派の意見

  • 自由・平等・博愛のフランスにおいて、全ての人に平等に権利が与えられるべきである。
  • 個人の自由を尊重するので、同性愛者という実際に存在する人たちの幸せを奪ったり、障害を残しておくことに反対。また、同性愛が異質という考え方から解放されなければならない。
  • 皆に人権を認めるべきだが、同性婚を認めないことが逆に同性愛者に対する差別を生み、人権侵害につながるのでは。
  • フランスにはすでに多くの子供が同性愛者のカップルに育てられているといわれる。だから今と何も変わらないのではないか。ただ、現在この子供たちが法的に保護されていないため、例えば一方の親が亡くなってしまったときに、もう一方の親が引き取ることができないという問題があるため、結婚制度が必要だ。
  • これまでの歴史の中で、不妊治療や避妊治療が認められてきたように、同性の結婚も歴史の中における1つの変わり目である。
  • 多くのカトリック教徒が反対しているが、フランスは非宗教主義だから、宗教の概念とは切り離して考えるべきだ。
  • 古い考えは捨てて、現実の人間の状態や社会に適応すべく、社会の変化を受け入れるべきだ。現実に存在するようになった同性愛というものは、自然に逆らう行為ではなく、むしろ自然の流れなのではないだろうか。
  • 不妊治療や人工授精などが一般に行われる科学が発達した現代は、原始的な社会のように完全には自然というものに依存していない。家族には父母が必要という昔ながらの家族構成は変化した。もはや子供は異性間の性交によって生まれるものではなくなり、男女という両性がなくとも人工的につくることができるのだから、両親は男女ということに固執す る必要はない。
  • 同性同士のカップルの間に子供を持つ権利が認められるとしたら、それは慎重に考えなくてはならない。なぜなら、社会からの偏見があっては、差別を受けるので。そのために、法律を変更したり、社会の意識を変えたりする必要がある。もしこの変化に対応できないなら、後退すればいい。
  • 同性婚を認めることのできる新世界をつくる。マイノリティーはいつも新しい、広い見解を持っている。現在はマイノリティーである同性愛者を支持することで人々は新世界が築け、世界観を変え、視野を広げることができる。

反対派の意見

  • これまでの家族という構造は「父、母、子」というものであったため、この定義が変わるということは社会全体の構造を見直さなくてはならない。この問題は当事者のみではなく、社会全体に影響を及ぼし、一個人が持つ権利にも関わってくる。簡単に変更できるものではない。
  • 結婚というシステムはそもそも愛し合っている2人が一緒にいるという取り決めではなく、血縁関係をつなぐため。それゆえ子孫繁栄、名前を変える、相続権などの権利が生まれてくるのである。血縁関係は男と女でできるものであって、同性では不可能。
  • 結婚したカップルの間に子供を持つことが期待されるが、同性同士のカップルでは自然には子供は生まれない。自然の摂理に反する。
  • 反対派が以前は35%だったのが、現在は55%前後ともいわれているその理由は、当初気づかなかったが、同性同士の結婚とは、自然に逆らう行為である。人間本来の構造を人間の手で改造するような生物の本質を変えてしまうような重大な出来事。
  • 心理学者の意見は分かれるが、父、母がいる家族構成ではなく、同性の2人によって育てられることで、子供の将来にどのような影響を及ぼすのかが明確ではなく、子供の発育に影響がないとは言い切れない。男性が母親役を、女性が父親役を担ったとしても、それがきちんと子供に伝わるとは限らない。
  • 同性愛者が養子を迎えることで孤児が減るという考え方があるが、異性のカップルの間でも年々養子を迎えたいと希望するカップルが増えてきているので、同性カップルによる養子が孤児を救えるとは言えない。国によっては同性のカップルが養子を迎えることを禁止している国があるので、孤児が全体的に減るわけではない。
  • 本来子供は男女によって自然に生まれるものだが、同性間に不妊治療を認めることになったら、カップルの間でのコミュニケーションがなくても、子供が欲しい→人工的に生み出す、という構図になってしまうので、モラルに反する。

 
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