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Tue, 03 December 2024

2024年で創業200周年
英国の国民的チョコレート
Cadbury キャドバリー

紫色のパッケージでおなじみのチョコレート、キャドバリー(Cadbury)が今年で創業200周年を迎えた。過去のある調査で「英国の路上で見つかる3大ゴミ」にウォーカーズのチップスの袋、コカ・コーラの空き缶と並び、キャドバリーの包み紙が選ばれたこともあるほど、国民に親しまれているキャドバリー。今回はその長い歴史の中から特に気になるエピソードと200周年記念の商品について紹介しよう
(文: 英国ニュースダイジェスト編集部)

参考: www.cadbury.co.ukwww.mondelezinternational.comほか

始まりは富裕層向けの食料品店

キャドバリーは、1824年に英中部バーミンガムでカカオや飲料用のチョコレートを販売する食料品店として始まった。創業者ジョン・キャドバリーが自らすり鉢とすりこぎを使ってカカオを砕いていたためにコストがかかり、初期は富裕層向けと販売していたが、長い年月をかけて高級品だったチョコレートを一般層に広めた。これまで業績の浮き沈みや国際的製菓会社による買収などさまざまな困難に直面してきたものの、生産に関しては淡々と新商品を発表し続けるタフさを発揮し、現在は米製菓会社の子会社として30カ国以上で販売している。イースター・エッグ(1875年)、デアリ・ミルク(1905年)、フレーク(1920年)、ロージィーズ(1938年)など、現在も販売されている主力商品は100年近く前に発売されたというから驚きだ。

1890年のココアの広告1890年のココアの広告

従業員が生活するモデル村を建設

創業者ジョンより事業を受け継いだ息子リチャードとジョージの兄弟は、1879年にバーミンガムから約6キロ離れた場所へ工場を移転させ、このエリアをボーンビル(Bournville)と名付けた。移転は工場の拡大が主な理由だったが、何もない田園地帯に鉄道駅建設計画が持ち上がっていたこと、また運河に近いことから、水路や鉄道を使って大量に輸送される材料のより効率の良い入手ルートになると踏んでの決断だった。1893年、ジョージはさらに工場付近の土地を購入し、地区内で全てが完結するモデル村を計画。1900年代には従業員が無料で利用できるテニス・コートやプール、サッカー・グラウンドなどさまざまなスポーツ施設が建設され、キャドバリーは従業員を家族のように大切に扱った。現在は誰もが居住できるエリアとなっているが、「とにかく生活しやすい」ということで非常に人気らしい。

現在のボーンビルの街並み現在のボーンビルの街並み

観光名所までオープン

キャドバリーのチョコレートがさまざまな世代の手に取られるようになり、知名度が上がるにつれ、工場見学の需要も高まっていた。しかし、1980年代の工場はフル稼働でチョコレートを生産しており、日々増加していく訪問者の対応は困難を極めた。そこで工場見学の代わりとしてキャドバリーのチョコレートを作る過程を紹介するなど、キャドバリーの歴史やチョコレートについて学べる施設「キャドバリー・ワールド」を1990年にボーンビルにオープン。キャドバリー独自のレシピを使ったメニューで提供されるアフタヌーン・ティー(平日限定)はぜひ試してみたい。

現在のボーンビルの街並みテンパリングなどチョコレートのワークショップもある

ロアルド・ダールの作品にも影響を与えた

チョコレートが出てくる物語といえば、英小説家ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」(Charlie and the Chocolate Factory)を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。貧しい環境下で生活する少年チャーリーが当たりクジのチョコレートを引き当て、近隣の巨大なチョコレート工場に招待され工場を見学する……という物語だが、キャドバリーのチョコレートがこの物語にちょっぴり貢献しているそう。

ダールは1930〜34年、英中部ダービーシャーの寄宿学校レプトン・スクールで学んでいた。当時、キャドバリーは新商品のサンプルを生徒たちに配布し、商品への反応を評価してもらっており、このテスティングに参加した大勢のうちの1人がダールだった。亡くなったときにチョコレートも一緒に埋葬されるなど、ダールが生涯にわたってチョコレートを愛したきっかけの一つがキャドバリーだといわれている。

200周年限定版のチョコレート

創業200周年を記念し、過去のパッケージ7種を採用したデアリ・ミルク(180g)が現在販売されている。デアリ・ミルクは牛乳をたっぷり使用した甘いチョコレートで、キャドバリーの主力商品の一つ。1番古いデザインは1915年のもので、金色のレトロなパッケージがかわいらしい。同商品が発売されて100年以上の歴史が感じられてついつい集めたくなってしまう。英国全土のスーパーマーケットで購入可能だが、7種同時に集められるかは運次第。大型店舗で探すのが効率の良い方法だ。

キャドバリー限定パッケージ写真奥から手前にかけてが限定パッケージの7種。大きく「200」と書かれた360gのデアリ・ミルクも限定販売されているがあまり見掛けないので見つけられたらラッキーだ!


 

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