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Fri, 29 March 2024

異文化相互理解を深めるための ビジネス文化塾

日本人と英国人が、一つの職場で働く際の問題点とその解決方法を指南する

グレアム・ロレンス グレアム・ロレンス Graeme Lawrence 30年間の日系企業勤務、異文化コンサルタントを経て、現在社内通訳者・翻訳者。静岡県立大学国際関係学部卒。2019年のSOASビジネス日本語スピーチ・コンテスト優勝。
www.graemelawrence.com

第13回 通訳の仕事と日本人の英語について

3月に在宅勤務(Work from Home= WFH)について取り上げてから半年以上が経ちましたが、当面まだ続きそうな状況ですね。筆者はこの状況下で社内通訳・翻訳者として遠隔で通訳業務を行っています。多い日には会議通訳が5時間以上にも及ぶことがあります。その経験を踏まえて今回と次回は通訳の仕事を通して感じることや言語一般をテーマにしたいと思います。通訳者の立場からの話ではありますが、オンライン会議をやる方、仕事上で外国語を使う方との共通点もありますので参考になさってください。

さて、「遠隔で通訳」と言いましたが、通訳をするには今がおそらく一番難しい状況ではないかと思います。近年のテクノロジーが飛躍的に進歩していることは確かですが、それでも遠隔での通訳はやはり、大きなチャレンジです。

まずは、音質ですね。筆者はWifiに支障が出ないようにカメラをオフにして通訳を行っていますので、100パーセント音声に頼らなければなりません。一瞬でも雑音が入ると、重要な発言を聞き逃す危険があります。しかも、ご存知の通り日本語は文章の最後まで聞かないと分からない場合があります。話者が○○へ「行った」か「行かなかった」か、そこで雑音が入ると通訳はできなくなります。

また、事をさらに難しくしているのは、マスクですね。マスクを着用している話者の発言は一層聞き取りにくいです(注: マスクを付けないで欲しいとは一切言っていません!)。カメラのない遠隔通訳の場合、相手の表情やボディ・ランゲージが見えないため、重要な非言語的手掛かりが見えません。

そこで、コミュニケーションが少しでもうまく進むように以下の点に留意すると良いと思われます。

去年のSOASビジネス日本語スピーチ・コンテストに出場した際にも触れましたが、雑音か何かの理由で語彙を聞き漏らした場合、話者にそれを繰り返すよう頼むときがありますね。聞き返された相手は別の表現に変えるのではなく、同じ言葉をそっくりそのままもう1度言ってくれると助かります。通訳者としては聞き漏らした部分だけに集中して聞けば良いからです。外国語を使った一般のコミュニケーションの場合でも同じで、表現を変えて言いなおすことは聞き手にさらなる混乱を与えることが多々起こります。「もう1度お願い」と聞かれたら素直に同じ言葉を繰り返してみて下さい。

通訳の流れを妨げ、通訳者を困らせるもう一つの要因は、日本人の話者が日本語のなかでいきなり英語表現を入れることです。「今の言葉は日本語だった?それとも英語だった?」と一瞬戸惑うことがあります。

例えば、今は定着していますが、「インボルブ(involve)する」を初めて聞いたときにそう感じました。日本語が存在している単語にはカタカナ英語を控えた方が円滑な通訳を期待できます。

同じくらい聞き取りにくいのは、社名や商品などの略名です。仮の例としてDMEとかDMGEとかDMGREのような頭文字をとった略語が同じ文書の中に並べられると、付いていくのに少し苦労する場合があります。できれば略語ではなく、フルネームで言ってほしいですね。

次回は日本人にありがちな英語ミスや役立つ英語のTipを紹介します 。

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