教育スタイルの違い② − 大学レベル
今回は、イギリスにおける大学レベルにおける教育についての話です。
大学によって異なりますが、授業はレクチャーと呼ばれる講義、セミナーと呼ばれる少人数でのワークショップ、そして先生と1対1の相談式チュートリアルで構成されます。レクチャーではレクチャー・シアターと呼ばれる広めの講義室で、スライドなどを使い教授が講義し、セミナーで同じまたは違う教授や講師が講義内容をより実践的に落とし込んだ授業や、学生が取り組むべきリサーチ、グループ・ワーク、プレゼンテーション、小課題(宿題)の説明や解説、アサインメントと呼ばれる評価対象の課題の事前説明などが行われます。チュートリアルでは勉強に関する相談などが主になっています。評価対象はアサインメント、試験結果、そして出席日数(代返は重罰が待ってます!)などの加重評価となりますが、教授、講師はあくまでも基礎となる知識のレクチャー、理解を深めるためのセミナーを通してサポートを行う役割で、実際にリサーチを行い、評価をし、結論を導き出し、プレゼンテーション(レポートを含め)をするのは学生です。主体性や能動性がなければ評価を貰うのは難しいといえます。もちろん、カンニングや他人のレポートを借用したりすると、厳しければ退学処分の罰則が待っており、ずるいことをするのは絶対許されない環境です。
イギリスの大学生は良く勉強をする、また入学は難しくないけれど卒業が大変と言われるのも、こうしたことにも由来していると思いますが、とはいえ自分の得意なことや好きなことを研究するので、気がついたら熱心に取り組んでいた、楽しかった、苦しいけどやりがいがあった、と思うことの方がきっと多いと思います。
イギリスの大学・大学院留学をされる際に、「ぜひ好きな分野、専攻科目で進学してください」とアドバイスするのはこうした理由からですが、「勉強するってこういうことだ!」という発見、そして喜びもきっとあるのではないかと思います。実際、留学を終えた方たちから「大変だったからもう嫌」、というより「大変だったけど楽しかった」というコメントの方をたくさん頂いています。
さて、実際に日本から留学する場合は、ほとんどの方が高校や大学卒業後になると思います。大学、大学院でも、同じような教育方法が取られており、いきなりリサーチや、リポート、グループ・ワーク、ディスカッションにプレゼンテーションといったスタイルには面食らってしまうこともあります。イギリスでは教育制度の違いのギャップを埋めるために、ファンデーション・コースやブリッジ・コースと呼ばれる1年間の準備コースが用意されています。ここで専門分野の基礎知識と英語力、そしてスタディ・スキルを養うことができるようになっています。イギリスの標準的な学士号コースは3年間、修士号コースは1年間なので、準備コースと合わせると日本と同じ4年間、2年間の期間となります。
最後に、教育方法に関連した成功する留学のためのアドバイスです。授業やディスカッション、グループ・ワーク、プレゼンテーションといった課題を英語で行うとなると現地の学生はもちろん、いろいろな国からの留学生とコミュニケーションを取らなくてはなりません。教授や講師、教師の講義が聞ける、読める、書けるとあっても、学生同士の口語にはくだけた表現や流行語、短縮語(日本でもありますよね)なども多く飛び交うので、IELTSやTOEFLなどのオフィシャルな入学英語基準を満たしていても、実際には意思疎通が難しく、フラストレーションが溜まったり、自信喪失になったりすることも。学業面においてはきちんと講義を受け、セミナーに出席し、課題に取り組めば大丈夫と言えるのですが、英語力はやっぱりハンデとなります。一度コースが始まってしまうと、改めて英語の勉強をしている暇は無いに等しいので、英語力はできるかぎり進学前の期間に培っておきましょう!
中畑 寿子
アフィニティ・エデュケーショナル
留学・キャリアコンサルタント
ロンドンの語学スクール、カレッジ、大学留学で合計約5年間を過ごし、現在、この経験をもとに、イギリス留学、語学研修、帰国後の転職に関するセミナー、相談、サポートを行っています。
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イギリス国内の教育機関のコースや各種プログラムから、1人ひとりにあった留学をコーディネイト。留学のための英語試験対策(IELTS試験等)から入学や渡航手配、日本や欧州での転職まで、トータルな支援を行っています。
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