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Fri, 11 July 2025

英国発ニュース

富士通などに迅速な救済措置勧告―英郵便局冤罪事件で報告書

(ロンドン 7月9日 時事)英国の郵便局を舞台に発生した大規模な冤罪(えんざい)事件の独立調査委員会は、9日までに公表した報告書で、原因となった会計システムを開発した富士通や英政府などに対し、被害を受けた郵便局長らへの「全面的で公正な」救済を迅速に措置するよう勧告した。対象となる請求者は1万人に及ぶとされ、10月末までに対応計画や措置について公表するよう求めた。

調査委は報告書の中で、被害者に対する救済措置は大幅な改善が必要と結論付けた。不足金補償制度の請求者である元郵便局長らが、「全面的かつ公正」な補償を受けていないと判断。被害者への法的助言を受ける機会の確保や、深刻な被害を受けた近親者に対しても金銭的補償の必要性を強調した。被害者の救済を一元的に管理・対応する常設の公的機関設立も勧告した。

事件は1999~2015年、富士通の会計システム「ホライゾン」が導入された全国の郵便局で、窓口の現金残高がシステム上の表示より少なくなる問題が頻発。同年までに700人以上の局長らが横領などで起訴された。報告書では、失業や自己破産、有罪判決に伴う長期間の収監に加え、少なくとも13人が自殺に追い込まれた可能性があると指摘した。

24年に、被害者に対する有罪判決が取り消され、補償金を支払う救済法が成立。今年6月末までに、7900人超に計約10億9800万ポンド(約2200億円)が支払われた。ただ、郵便局を管轄するビジネス・貿易省によると、郵便局長2500人しか最終的な和解に至っていないという。

富士通は9日、報告書を歓迎し、「改めて反省と謝罪の意を表する。最終報告書の法定調査に全面的に協力し、補償への貢献について英政府と協議していく」とコメントした。

調査委は2020年に設置。元高等法院判事がトップを務める。8日公表の報告書は被害実態と補償問題に焦点を当てた最終報告書の「第1巻」で、被害者への迅速な対応の必要性を踏まえ、先出しで公表された。298人の証人や27万件超の文書などに基づいて作成された。
 
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