ご成婚から1周年
キャサリン妃の評価とは?
ケイト・ミドルトンさんが王位継承順位第2位のウィリアム王子と結婚し、「キャサリン妃」と呼ばれるようになってから、4月29日でちょうど1年となる。今では1人きりで公務をこなすまでになっており、同妃の笑顔が英国の新聞や雑誌に掲載されない日はほとんどないと言ってよいほど人気も上々だ。同妃のこれまでと今後に注目した。
キャサリン妃と英王室の女性たち比較表
エリザベス女王 | 故ダイアナ元皇太子妃 | キャサリン妃 | |
生年月日 | 1926年4月21日(85歳) | 1961年7月1日生、 1997年8月31日没(享年36) |
1982年1月9日(30歳) |
兄弟・姉妹 | 2人姉妹の長女 | 5人兄弟の4番目 | 3人兄弟の長女 |
両親 | 国王ジョージ6世と王妃エリザベス | オールトラップ子爵夫妻 | パーティー用品販売会社を経営するミドルトン夫妻 |
王室の中での 位置付け |
女王(1952年即位、1953年戴冠式) | 王位継承順位第1位のチャールズ皇太子の元妻(1992年に離婚) | 王位継承順位第2位のウィリアム王子の妻 |
教育 | 家庭教師の下で自宅学習。帝王学、法律、歴史、フランス語などを学ぶ | スイスの寄宿学校に通うも、 勉強は嫌いだった | セント・アンドルーズ大学で美術史の学位を取得 |
趣味・関心 | 乗馬、犬を飼うこと、クロスワード・パズル | ファッション、エイズ撲滅運動などの慈善活動 | スポーツ、写真、油絵、慈善活動 |
ファッション | 2007年に英国版 「VOGUE」誌にて 「世界で最も魅力的な女性」の一人に選出される | 元祖「スローン・レンジャー (下記「関連キーワード」参照)。高価なデザイナー服が中心 | 伝統重視、国内のデザイナー重視。現代のファッション・リーダー |
人気度 | 若いときは国民的なアイドルとして人気。現在は尊敬の対象に | その美貌と親しみやすさで国民から圧倒的支持を受けた | 人気上昇中 |
結婚 | 1947年11月20日 | 1981年7月29日 | 2011年4月29日 |
夫 | エディンバラ公フィリップ | チャールズ皇太子 | ウィリアム王子 |
馴れ初め | 13歳のときに、ギリシャ及びデンマーク王子のフィリップとダートマス 海軍兵学校で出会い、一目惚れする | 17歳のときに、バッキンガム宮殿のパーティーで初めてチャールズ皇太 子と出会う | 大学在学中に同級生として知り合う |
夫との仲 | 鋭いユーモアで国民を湧かせる夫に支えられている | 夫に愛人がいたことなどを理由に、 過食や自傷行為へ走るように | 互いを人生のパートナーとして支え合う |
キャサリン妃が関わる慈善団体・ボランティア組織
アクション・オン・アディクション
www.actiononaddiction.org.uk
アルコールや麻薬などの依存症に苦しむ人やその家族への支援、教育、研究
キャサリン妃の関わり: パトロン
イースト・アングリア児童病院(EACH)
www.each.org.uk
イングランド東部に住む、難病を患う児童やその家族への支援
キャサリン妃の関わり: パトロン
ナショナル・ポートレート・ギャラリー
www.npg.org.uk
世界で最も広範な肖像画のコレクションを所蔵・公開
キャサリン妃の関わり: パトロン
ジ・アート・ルーム
www.theartroom.org.uk
芸術活動を通して児童の自信を醸成、深める
キャサリン妃の関わり: パトロン
スカウト協会
http://scouts.org.uk
野外教育を通した青少年人材育成活動を行う。英国内だけで約40万人の青少年が参加
キャサリン妃の関わり: ボランティア
ダイアナ元妃との違いとは
キャサリン妃は、彼女の夫であるウィリアム王子の母、故ダイアナ元皇太子妃とよく比較される。容姿端麗であることに加え、国民の大きな注目を集めるファッション・アイコンである点など共通する部分が数多くあるからだ。王室メンバーである夫との婚約時代から、執拗にメディアに追われた点も似ている。
一方で、2人の間には大きな違いもある。元妃が伯爵家の出身であるのに対し、キャサリン妃は平民出身。ダイアナ元妃は20歳で結婚したが、キャサリン妃の場合は29歳である。また英国史上初の大学教育を受けた王妃であるキャサリン妃は王子とともにスコットランドの名門セント・アンドルーズ大学に通ったが、勉強嫌いのダイアナ元妃は大学に進学していない。
ウィリアム王子の理解が助けに
キャサリン妃の結婚後の人生は、ダイアナ元妃のそれとは正反対の方向に進んでいるようだ。ダイアナ元妃は、チャールズ皇太子に愛人がいたことが発覚して夫婦関係にひびが入った。また王室の流儀に溶け込めないまま拒食症になり、自傷行為を繰り返したという。一方のキャサリン妃は、結婚前からウィリアム王子とパートナーとしての関係を結んでいた。8年近く交際を続け、ほかの友人たちを含めての共同生活も経験。王室の一員ともなれば、常時監視状態に置かれることを身をもって学んでいたのである。
さらに母が王室入りした際に大きな苦難を経験していたことを理解するウィリアム王子は、メディアとの付き合い方にも気を配っている。1年前に行われた2人の結婚式は世界中のメディアが取材したが、その直後のハネムーンは行き先も含め一切公表せず、2人はプライベートな旅行を楽しんだ。
キャサリン妃の王室活動
結婚後は北米訪問など夫婦仲良く公務を続け、キャサリン妃は次第にファンを増やした。今では、彼女が着用するドレスやアクセサリーがあっという間に売り切れてしまうほどだ。昨年夏にイングランド地方で発生した暴動では、英中部バーミンガムで攻撃に遭った商店街を訪ねて地元の人の話に耳を傾けた。
今年1月になって、キャサリン妃は自分がパトロンとなる4つの慈善団体名を明らかにした(上図参照)。どれも、「自分でじっくり考えて、本当に力を注げる団体を検討する」との方針の下で選ばれたものだという。同時に、幼少時にガール・スカウトのメンバーであったことを生かし、英スカウト協会のボランティアになると発表した。英空軍に勤務する王子が2月に英領フォークランドの空軍基地に派遣された後も、1人で次々と公務をこなした。3月末には児童の医療施設を訪問し、公の場での演説に初挑戦。手元を震わせながらも3分間の演説を無事終了し、大きな拍手を得た。
このように、一歩一歩、「嫁ぎ先」となった王室の慣習を学び、パートナーと力を合わせて、新しい環境を生きているように見えるキャサリン妃。相手の気持ちを汲み取り、共感し、支援する。そしてファッションとともにスポーツを楽しみ、健康的に生活する。キャサリン妃は、こうした前向きなメッセージを発信し続けている。
Sloane Ranger
「スローン・レンジャー」族。1980年代以降、上流階級の若い、スタイリッシュな男女を指す言葉として流行した。富裕層が住むロンドンの高級住宅街チェルシーとベルグラヴィアの境界付近にある公園「スローン・スクエア」と、ラジオ及びテレビの西部劇「ローン・レンジャー」の名前を組み合わせた造語。「公式スローン・レンジャー・ハンドブック」という本が出版され、この表現が広く認知されるようになった。代表格は故ダイアナ元皇太子妃。同妃特有の華やかで保守的なファッションを現代的に引き継いだのがキャサリン妃と言われている。(小林恭子)