英兵刺殺事件の容疑者が出廷
容疑者に話し掛けた女性には称賛の声
ロンドン東部ウーリッチの路上で5月22日に英軍兵士の男性を大型の刃物で刺殺したとされるマイケル・アデボラージョ容疑者(28)が6月3日、ウェストミンスターの治安判事裁判所に出廷した。BBCによると、英軍兵士リー・リグビーさん(25)を刺殺した直後に2本の刃物を持ったままの状態で通行人が向けたカメラに向かい犯行声明を発表するなどの行為に及んだとされる同容疑者は、イスラム教の聖典であるコーランを持参した上で出廷。同書に口づけをするなどの行動を見せた。
本事件への同様の関わりが疑われているマイケル・アデボワール容疑者(22)は5月30日に立件されている。
また同事件では、駆け付けた警官が武装警官の到着を待つ間に、事態の鎮静化などを試みた3人の女性に称賛の声が寄せられている。英国の各メディアが報じたところによると、そのうちの一人は語学教師などとして働く48歳の女性。殺害された英軍兵士の男性の身体が地面に横たわっているのを乗車中のバスから目撃したこの女性は、即座に降車。事件現場付近には大勢の人々が集まり出していたために被害が広がることを懸念した彼女は、刃物を持った容疑者たちの注意を引こうとそのうちの一人と話し続けたという。
また20歳の女性とその母親(44)は、容疑者の許可を得た上で、殺害された英軍兵士の遺体の胸に手を当てながら見守った。この女性によると、容疑者は女性にのみ現場周辺の通行を許していた。
ウェストミンスターの治安判事裁判所で3日、コーランに口づけをする
マイケル・アデボラージョ容疑者を描いた法廷画
事件現場となったウーリッチ地区とは?
軍事関連施設跡
第二次大戦時まで武器庫や陸軍士官学校、造船所などの軍事関連施設が置かれた場所。本事件は同地区にある王立砲兵隊兵舎近くで発生した。
アーセナルの元本拠地
サッカーのイングランド・プレミア・リーグの強豪クラブであるアーセナル(「武器庫」の意)は、かつて同地区にある兵器工場の工員たちによって結成された。
テムズ河の下流域
同地区はテムズ河の下流域に位置しており、近隣のテムズ河上には全長520メートル、大小10の水門からなる防波堤「テムズ・バリア」が設置されている。