BBCのエントウィスル会長が報道番組の誤報で引責辞任
渦中の保守党元議員には謝罪
10日、ロンドンのBBC放送センター前で、辞任を発表したエントウィスル会長(写真左)
Picture by: Jonathan Brady/PA Wire/Press Association Images
エントウィスル会長の発言要旨
以下は、BBCラジオ4にて司会者のジョン・ハンフリーズ(右写真)が10日に実施したインタビューでのエントウィスル会長(同左)の発言要旨。
誤報問題を起こした「ニューズナイト」の番組内容を事前に告知するツイートは目にしなかった。一日の終わりにツイッターを確認することもあるし、しないこともある。ツイート内容についてBBC の社員から報告されることもなかった。「ニューズナイト」の放映内容を知ったのは放映後のことだ。こうして起こった事態を鑑みれば、私まで報告されるべき案件だったとは思う。ただニュース部門の然るべき立場の者には報告されていた。「ニューズナイト」で放映された証言の信ぴょう性に疑いが持たれていることに気付いたのは、証言者が証言に誤りがある疑いがあるとして謝罪をしている様子を見たとき。それまで疑いを持つことはなかった。
参考: BBC、「ガーディアン」紙ほか「ニューズナイト」の誤報問題に対する各識者・各紙の見解
「BBCは自己憐憫に溺れている」
ボリス・ジョンソン・ロンドン市長
BBCの記者たちは、自己憐憫の感情に溺れながら、自社の社員同士にインタビューし合って「これは悲劇だ」と嘆いているだけだ。この吐き気を催させるような自己陶酔が渦巻く中で、誰も性的虐待の加害者として報じられた保守党の元議員に謝罪する素振りさえ見せていないように思える。
「会長は引きずり下ろされた」
ジェレミー・パックスマン(「ニューズナイト」司会者) エントウィスル氏は臆病者と無能力な人間たちの手によって引きずり下ろされた。近年のBBC は従順な人間に役職を与えて安全策を取ろうとばかりしている。そして経営陣を膨張させる一方で編集予算の削減を敢行し、さらに問題を悪化させた。だから「ニューズナイト」をめぐる混乱が起きたのだ。
「実態を知らなさすぎ」
「ガーディアン」紙
驚くべきことに、エントウィスル氏は「ニューズナイト」の放映内容が誤報である可能性を指摘した「ガーディアン」紙の、それも一面に印刷された記事の存在を知らされることさえなかった。これほどまでに実態を把握できない者は、編集長の役職を務め上げることなど絶対にできない。
「これほど自己批判できる組織はない」
「インディペンデント」紙
エントウィスル氏は外部の圧力によって辞任に追い込まれたわけではない。むしろ自社の記者による詳細な質問を受けての結果なのである。自社の失態を報じるBBC の記者たちの熱意は注目に値する。これほどの規模を持ちながらここまで自己批判できる組織はBBC をおいてほかにないだろう。