
7月末の開幕が迫るロンドン五輪。その主な舞台となる
ロンドン東部ストラトフォード周辺では、開会式が行われる五輪スタジアムや
巨大ショッピング・センターの建設など、着々と準備が進められている。
その様子をもっと知るため、これらの五輪施設を巡るガイド・ツアーに参加した。
その体験記をお楽しみあれ!(取材・ 執筆: 小原祐一)
ロンドン五輪会場見学ツアー
南歩きツアー
Daily Olympic Walk
毎日11:00から約2時間
(火・金には13:30から始まるツアーも)。
集合場所: Bromley-by-Bow駅
北歩きツアー
The Other Extended Olympic Walk
水・土・日の13:45から約2時間
(2月の第3週は毎日開催)。
3月31日まで実施。
集合場所: Leyton駅
| 大人 | 9ポンド |
| 15歳以下の子供 | 5ポンド |
| 65歳以上と学生 | 7ポンド |
日本語ガイドを利用したい場合
www.blue-badge-guides.com にアクセスし、ページ上部の「Find A Guide」をクリック。
地域をLondon、言語をJapaneseとし、興味を「2012 venues」として検索する。
ツアーを担当するのは、「ブルー・バッジ」という公式資格を持つガイドさんたち。養成コースに通って試験に合格後、さらに2年間の実践訓練期間を経て初めてこの資格を得ることができる。
1. 国際放送メディア・センター(IBC / MPC)
The International Broadcast Centre / Main Press Centre
五輪開催中のメディア本部。ケータリング施設に加えて、銀行、旅行代理店、郵便局としての機能をも担う場所となる。昨年7月には既に建設が完了しているのだが、プレハブが並ぶだけの簡素な造りから「ここが放送局なのか?」と思わせるような一角も。
2. ベロドローム
Velodrome
自転車競技場。外観が似ていることから、スナック菓子の「プリングルス(下写真)」が愛称として付けられている。北京五輪にて3冠を達成したクリス・ホイ選手を始めとする英国代表選手に、金メダルの期待がかかる自転車競技種目。競技場を奇抜な形にして、
この種目に注目を集めようとした、とはガイドさんの弁。五輪後はやロード・サイクル用のサーキットなどを新たに追加し、複合スポーツ施設として運営される予定だ。
3. リー川
River Lea
元々は流れの激しい川で洪水の危険もあったが、水門が設置されてからは運河となった。また周辺地域が産業用地としても使われた名残で汚染がひどかったものの、五輪開催地となることが決まった後に大規模な浄化作業が2年間かけて実施された。
五輪パークの開発に当たり、景観保持やクリーン・エネルギー利用への移行のため、敷地内にあった送電タワーをすべて撤去し、地下ケーブルに切り替えた。従来であれば10年はかかると言われていたこの工事、たった18カ月で完了したそう。仕事に緩慢なイメージのある英国人も本気になった?
4. ハンドボール・アリーナ
Copper Box
ハンドボールの試合に加えてフェンシングの練習場としても利用される。建設にリサイクルされた銅が用いられたことから、カッパー(銅)・ボックスとも呼ばれる。観客席を移動可能な造りにしたことで、国際選手権のような大イベントから、地域のスポーツ大会のような小さなイベントまで幅広く利用でき、持続可能性を備える。
5. ビュー・チューブ
View Tube
五輪パーク周辺の施設や跡地の利用法について、写真とともに解説している簡易博物館スペース。これまた「環境配慮」から、リサイクルされた配送コンテナで造られている。隣にはカフェや五輪グッズを販売するショップもあるので、ツアー後に休憩のため立ち寄るのも良いだろう。
五輪会場周辺にある数々のアートを堪能するのも、ロンドン五輪を楽しむ方法の一つ。ツアー中には五輪パークを取り囲む外壁のペイント、虹色のフェンス、ショッピング・センターのウェストフィールド内にあるオブジェ、ビュー・チューブの作品群などが楽しめる。
6. 五輪スタジアム
Olympic Stadium
ツアー最大の見所。ツアーでは内部に入ることはできないが、外から眺めるだけで圧巻。環境に配慮して、上部の白い骨組みには建設で余ったガス・パイプが再利用されている。また競技場の屋根は全体の3分の2までしか閉じることができない。これは、陸上競技種目において屋根を完全に閉じてしまうことで室内参考記録扱いされないようにとの配慮から。大会後もこのスタジアムは残されるが、観客席は縮小する計画。上部の観客席5万5000人分のスペースは他施設での転用を検討しているそう。
ガイドさんの話によると、最少の工事で作り上げた最小限のスペースに、より多くの観客を収容する狙いから、五輪スタジアム内には飲食施設が一切設けられていない。会場の敷地面積は4年前に行われた北京五輪の3分の1だが、同じ数の観客を収容することが可能になっている。
7. イートン・マナー
Eton Manor
車椅子テニスの会場。かつてはスポーツ・センターとして利用されていたが、2001年から使用が途絶えていた。内部には2つの大戦における戦没者記念碑が立つ。また敷地内には、選手向けに練習用のプールも併設。大会終了後には、ホッケーなど多種目に対応した複合スポーツ施設として利用される。
8. バスケットボール・アリーナ
Basketball Arena
選手村とベロドロームとの間に位置する。パラリンピックの際には、12時間以内で車椅子バスケットボール・コートから車椅子ラグビー競技場へと様変わりさせる予定。大会後の解体も決定しており、最も変化の激しい場所かも。
9. オリンピック・パラリンピック選手村
Olympic and Paralympic Village
つい先日、工事が完了したばかりの選手村。1万7000人が利用可能なこの建物群、遠くから見ると何の変哲もない住宅街だ。ガイドさんの説明によると、効率的な建設を目指した結果、この住居施設にはキッチンがないとのこと。部屋のイメージとしては、今や世界中で利用可能な簡易ホテル「ホリデー・イン」の一室に似た造りをしているそうだ。五輪終了後は2800戸の住宅として生まれ変わる予定。
ロンドン五輪における3つの理念: 1つ目は「環境配慮」。会場内で再生エネルギーを利用したり、建築物にリサイクル素材を用いたりなどの取り組みが見られる。2つ目は「地域の再生」。産業用地として利用されてきたロンドン東部ニューアム地区にメイン会場を置くことで、同地域の再生を目指している。3つ目は「持続可能性」。過去の五輪では、巨大施設が後に地域のお荷物的存在になることが珍しくなかった。そこでロンドン五輪では、大会終了後の使用を視野に入れた建設計画を用意。国民の税金で賄う予算の75%が跡地利用関連に費やされるそう。
10. ウェストフィールド
Westfield Stratford City
南歩きツアーのゴール地点。ロンドン五輪計画に合わせて建設された巨大ショッピング・センターであり、その規模は欧州最大級。五輪開催中は、ストラトフォード駅を降りてから会場に到るまでの通路となる。またデパート「ジョン・ルイス」の最上階には、五輪パーク観覧ポイントが設けられている。
11. ストラトフォード駅・ストラトフォード国際駅
Stratford / Stratford International
五輪をきっかけに拡張工事が実施された。ストラトフォード駅にはナショナル・レール、DLR、地下鉄、オーバー・グラウンドが発着、また前者2線の停車駅となるストラトフォード国際駅からは、日立製の高速列車「ジャベリン」が運行する。ジャベリンは、セント・パンクラス駅から片道5ポンドで乗ることが可能。
ガイド・ツアー中、敷地付近を通る車の所持品検査が行われていた。警察犬も待機しており、警備に気を使っていることが分かる。大会中、観客は、ストラトフォード駅を始めとする限られた場所からしか敷地内に入ることはできない。
12. アクアティック・センター
Aquatics Centre
五輪スタジアム近くに位置し、美しいカーブを描いたフォルムが目を引くプール施設。観客席が設置された両脇がウイング状になっている。観客席は五輪終了後に解体されることになっており、施設自体は地域住民などが利用可能なプールとして残る予定だ。(写真左下)
13. 水球アリーナ
Water Polo Arena
水球場。この施設がアクアティック・センターのすぐ隣に位置するのは、省スペース、工事の効率化を意識してのこと。記者席・ケータリング・警備システムなどを両施設で共有している。なお、この施設は大会後に解体されるが、部分的にほかの場所で再利用できないか検討中。(写真右下)
競技場、選手村など五輪パーク内で利用されるエネルギーの20%は、新たに敷地内で建設・運営される専用施設から供給する予定。バイオマス、風力など再生可能エネルギーを中心に生産する。
14. オービット・タワー
Orbit Tower
約115メートルの高さを誇る、五輪を象徴するモニュメント。赤いパイプが入り組んだデザインが印象的だ。中心には銀色のらせん階段があり、上部から五輪パークを見下ろすことができるようになっている。タワー内には最大700人が収容可能で、最上部にレストランを作る計画もあるそう。五輪後は地域のシンボルとして残すという。将来は第2のビッグ・ベン的な存在となるか。
オービット・タワーに1600万ポンド(約20億円)を出資したのは、インド系の鉄鋼企業ミタル・スチール。またデザイナーはロンドン在住の有名な現代美術家アニッシュ・カプーアである。下水システム用のパイプをどうタワーに組み込むかが建設上の課題だったとか。五輪会場のモニュメントへの出資やデザインを他国の企業に任せてしまうところに英国のビジネス風土を感じる。
15. アビー・ミル・ポンピング・ステーション
Abbey Mills Pumping Stations
ツアー中に頭部分だけが見えるこの建物、別名を「下水大聖堂」という。建物の外観は聖堂のようだが、実はロンドンの下水処理を行う施設。過去にはスチーム・エンジンの力で下部の汚水を汲み上げていた。1933年までは大きな2本の煙突が脇に立っていたが、第二次大戦を前に敵の標的とされることを恐れて解体されたとの逸話も。
Photo: ①⑤⑩⑭ Yuichi Ohara / ②④⑥⑦⑧⑨⑪⑫⑬⑮ London 2012



在留届は提出しましたか?

先日、2012年ロンドン五輪開会式のテーマが、シェイクスピアの「テンペスト」に基づいた「驚きの島々」となることが発表された。オリンピックというスポーツの祭典を芸術で彩ることで、これまでにない独自性を打ち出そうとする演劇大国、英国の神髄を何より表しているのが、4月から始まる「ワールド・シェイクスピア・フェスティバル」。英国が世界に誇る劇作家、シェイクスピアの作品の数々が英国各地で上演されるという、またとない機会だ。ときに舞台を現代に置き換えて、ときに英語という言語から解き放たれて演じられる名作の数々を、一つならず、興味の赴くままにいくつでも鑑賞してみては?
英米で数々の舞台を踏み、1989年にはミュージカル「ミス・サイゴン」のオリジ ナル・キャストとして活躍。マドンナがタイトル・ロールを演じた1996年の映画「エビータ」では、アルゼンチン大統領のフアン・ペロン役を務めた個性派俳優、ジョナサン・プライスが、4大悲劇の「リア王」に登場。 退位を前に上の2人の娘たちに惑わされ、正直者の末娘を勘当したリア王。後に上の娘たちに裏切られ、孤独の淵をさまようリアの壮絶な晩年を、客席数わずか325という小劇場で演じてくれる。
シェイクスピアの本場、英国にあって、シェイクスピア俳優の名を欲しいがままにしている名優、サイモン・ラッセル・ビール。美しい声が紡ぎ出すセリフの数々は、中世の世界を今に甦らせると言われる。そんな彼がこの記念すべき年に演じる作品が、「アテネのタイモン」。他人に気前良く金銭をばら撒くアテネの富裕者、タイモンが、破産と同時に金の切れ目が縁の切れ目とばかりに周囲の人々に疎んじられるようになるという、世界的不況下にある今にあって身につまされる物語だ。
「ロミオとジュリエット」の戯曲を基に1957年にミュージカル化、1961年には映画化もされた「ウェスト・サイド・ストーリー」。当時の米ニューヨークの少年ギャングの抗争を、スタイリッシュな音楽とシャープな踊りで、悲痛ながらもエンターテイメント色あふれる世界へと昇華させた本作が、イングランド北部を流れるタイン川近くの近代的な文化施設、セイジ・ゲイツヘッドで蘇る。振付は、ロイヤル・バレエ団のダンサーにして数々の舞台作品の振付を手掛けるウィル・タケット。
近年まれに見る規模のシェイクスピアの祭典。この機会に、ぜひシェイクスピアの生誕地、ストラトフォード・アポン・エイボンで、彼の作品を観劇してみたい──そんな人にお勧めなのが、喜劇「十二夜」のセリフから銘打たれた「What country friends is this?」シリーズ。難破、悲しみ、笑い、愛、そして再会という共通点を持つ3 つの作品、「間違いの喜劇」「十二夜」「テンペスト」を、一つの劇場で、同じ俳優たちが演じる贅沢な三部作だ。
主君を暗殺し、自らがスコットランド王の地位に就いたマクベス。しかし、元来臆病な気質の持ち主で、気の強い妻に扇動される一面を持ち合わせた彼は、3人の魔女によるお告げに怯え、次第に圧政を行うようになる……。シェイクスピアの4大悲劇の一つ、マクベスの主人公とその妻を、昨年、「アラブの春」の萌芽が見られたチュニジアの独裁者たちに置き換えて上演する。映像なども駆使した、まさに「今」という時代を体現する新しい「マクベス」となりそうだ。
14世紀のイタリアはヴェロナで、敵同士の家の息子と娘が許されざる恋に落ちる「ロミオとジュリエット」。本作は舞台を現代のイラクに移し、イスラム教シーア派とスンニ派が争い、国民が暴力と復讐の連鎖に疲弊する中で生まれた恋物語を綴っていく。演じるのは、バグダッドのイラク・シアター・カンパニー(Iraqi Theatre Company)。同国の伝統的な詩や音楽を取り入れながら、独自色の強い世界観を構築していく。
2002年公開のニュージーランド映画「クジラの島の少女」でマオリ族の族長を演じ、国際的高評価を得た俳優、ラウィリ・パラテーン率いるマオリ族の俳優たちが演じる「トロイラスとクレシダ」。マオリの戦士が戦いの前に踊ったという伝統舞踊「ハカ」や、喜怒哀楽を歌で表現する「ワイアタ」など、マオリの文化をふんだんにちりばめた本作は、世界各国のプロダクションが織り成すシェイクスピアの万華鏡とでも言うべきフェスティバルの幕開けを飾るにふさわしい。
日本からこの大プロジェクトに参戦するのは、京都の劇団「地点」だ。代表/演出の三浦基が率いる同劇団は、言葉、音、身体に焦点を当て、ミニマルな舞台づくりを行うことに定評がある。昨年はチェーホフの作品を本場ロシアで上演し、高い評価を得た彼らが演じるのは、「コリオレイナス」。武勲の誉れ高いローマの貴族、コリオレイナスが、傲岸さゆえに民衆の支持を得られず、身を滅ぼしていく様を描いた同作は、2007年に蜷川幸雄演出、唐沢寿明主演でロンドン公演も行われた。
グローブ座の芸術監督、ドミニク・ドロムグール氏が、「誰にとっても刺激的で冒険的な演劇体験となる」と胸を張るのが、英国手話(BSL)による「恋の骨折り損」。学問に専念するため、女性断ちを誓った国王とその友人たちが恋に落ちてしまうこの喜劇を演じるのは、ロンドンの手話劇団、デフィニトリー・シアターだ。手話を中心に英語も織り交ぜて数々の作品を世に送り出してきたこの劇団が、名言や言葉遊びの宝庫であるシェイクスピアの戯曲をどのように手話で表現するのか、興味深い。5月22日(火)、23日(水)
百年戦争、薔薇戦争と国内外の戦いに明け暮れた、ヘンリー6世統治下の英国の様子を描いた史劇「ヘンリー6世3部作」を、セビリア、アルバニア、マケドニアの国立劇場が一作ずつ演じる、その名も「新バルカン3部作」。多民族が混在したことから紛争が続発し、「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたバルカン半島の3国からやって来るプロダクションが、英国の戦いの歴史をまとめ上げるという、芸術による歴史的作業とも言えるダイナミックな構成となっている。




料金: 学生£10(一般は£40)
「オリジナル脚本を使った現代の日本映画」をテーマに、2000年以降に製作された作品で、監督が原作/脚本を手掛けた9本を紹介する国際交流基金主催イベントのロンドン上映。周防正行監督の「それでもボクはやってない」などが上映される。
料金: £100(16〜25歳は£45)
今年、英メリット勲章を受勲した画家、デービッド・ホックニーのエキシビション。デビュー当時のポップな色調はそのままに、以前から愛していたというヨークシャー東部の風景を、巨大キャンバスに描いた連作を展示する。
料金: £67(一人ゲストを伴う場合は£97)
料金: £45
ビジュアル・アーティスト、デービッド・シュリグリーの個展。日本の人気アーティスト奈良美智とのコラボレーションや、ロック・バンド、ブラーのためのアニメーション、ジャケットなども手掛けている彼の作品を展示。
料金: £64(一家族£94)
第二次大戦中から戦後にかけて活躍した英国のフォトグラファー、セシル・ビートンが撮影した、若き日のエリザベス女王のポートレートを集めたエキシビション。ダイヤモンド・ジュビリー(即位60周年記念イベント)の一環。
料金: £52(8〜15歳は£20)
ポップでグロテスクな陶芸作品と女装趣味で知られる、英ターナー賞受賞アーティスト、グレイソン・ペリーのエキシビション。彼の新作に加え、ペリーによって選出された大英博物館所蔵の工芸品も併せて展示される。
料金: £13.50(学生・シニア£10)
電気自動車、GPSやインターネットのワイヤレス・ネットワークといった科学技術がロンドンという街を移動する際にどのような変化を与えているかを探る特別展。アーティストたちが描いた未来予想図などとともに展示する。
昨年夏に88歳で死去した、英国を代表する具象画家の一人、ルシアン・フロイドの大回顧展。絵の具を厚塗りする特徴的な画法で、身近な人々をモデルに描き続けたフロイドの未公開作品を含む約100点の作品を展示する。

















6月21日、英国各地で華やかにロンドン2012フェスティバルの幕が開く。スコットランドのスターリング城前では、天才的な若手指揮者として、世界で最も注目されているグスターボ・ドゥダメルが、ベネズウェラ・シモン・ボリバル交響楽団を率いて、1日限りの野外コンサートを開催。湖水地方のウィンダミアでは、フランスの花火パフォーマンス集団「Les Commandos Percu(レ・コマンド・ペルキュ)」が湖畔で花火と音楽が織り成すイベントで華を添え、北アイルランドのロンドンデリーでは、3カ月後に控える「世界平和の日」に向けたカウントダウン・イベントが行われるなど、オープニングにふさわしい光景が各地で見られそうだ。
英国が誇る大作家、ウィリアム・シェイクスピア。今年は「ワールド・シェイクスピア・フェスティバル」と銘打ち、英国各地でシェイクスピア作品を上演する大イベントが繰り広げられる。「グローブ・トゥー・グローブ」は、その一環としてロンドンのグローブ座で行われる演劇イベントだ。シェイクスピアの全戯曲を、一作品ずつ異なる言語で演じようという試みで、全37作品を37のプロダクションが上演する。英語はもちろん、アラビア語やマオリ語、手話なども登場。日本からも三浦基(もとい)率いる京都出身の演劇集団「地点」が、シェイクスピア後期の悲劇「コリオレイナス」に挑戦する(5月21日 & 22日)。
英国中から集まった何千人ものダンサーやパフォーマーたちが、トラファルガー・スクエアに集合 、一斉にダンスを披露するというスペクタクルな光景が展開する。公共の場に多数の人々が集合してパフォーマンスを行うのは「フラッシュ・モブ」と呼ばれ、某携帯電話会社のコマーシャルなどでもその迫力の程が知られている。今回、このパフォーマンスの振り付けを担当するのが、英国のコンテンポラリー・ダンス界に多大な影響力を与えるロイヤル・バレエ団の常任振付家、ウェイン・マクレガーだ。なお、この「ビッグ・ダンス 2012」はトラファルガー・スクエアだけに留まらず、英各地で同趣向のイベントを開催するので、詳細はサイトをチェックして。


ウィリアム王子と結婚する前のキャサリン妃が頻繁に出没したと言われる、高級ショッピング街のスローン・スクエアに位置する高級食材店。近隣地区には無償で配達を行っているので、界隈のマダムたちの台所として大活躍している。店内に併設されたデリでは、ステーキ&キドニー・パイやシェパーズ・パイといった英国の代表的な惣菜を用意。「英国の料理はまずい」との固定観念に縛られた日本人観光客に紹介するには、打ってつけの場所かも。さらに毎週土曜日には、同店前でフード・マーケットが開かれる。グロスター・ロード地区にも支店あり。
2-5 Duke of York Square, Sloane Square, 
青い看板と清潔感溢れる内装が特徴的なイタリア食材チェーン店。店名は、シェフのアントニオ・カルッチオ氏の名前から取られたもの。自然食品ブランドの運営を自ら手掛けるなど、食材に対しては強いこだわりを持つことで知られるチャールズ皇太子のお墨付きだけあって、オリーブ・オイル、パスタ、ハーブ、そして食パンなど、イタリア本場から運ばれてきた健康的な食材がたくさん。併設されたレストランで食事することもできる。上記のコベント・ガーデン店のほかに、高級店が集うボンド・ストリート駅近くなど英国各地に支店あり。
Garrick Street, Covent Garden, London WC2E 9BH
英国に帰化したフランス人チョコレート職人の息子が開業した、100年以上の歴史を持つ高級チョコレート店。最高級のココアを使用した商品は今でもすべて手作りで、その完璧主義を貫き通すために、チョコレート販売に関わる全作業を同店スタッフが手掛ける。顧客リストには、お墨付きを与えたエリザベス女王だけではなく、彼女の母である故クイーン・マザーや、故ダイアナ元妃も名を連ねていたとか。上記の店舗に加えて、ハロッズやロンドン三越などのデパート、またはウェイトローズなどのスーパーでも同社製品を販売している。
14 Princes Arcade, Piccadilly, London SW1 6DS 
ロンドン市内でチーズ販売の屋台を構えていた商人が、店名となったハリー・パクストン氏とチャールズ・ホイットフィールド氏の2人と共同して1797年に創業。1850年にヴィクトリア女王よりロイヤル・ウォラントを授かって以来、エドワード7世、ジョージ5世からエリザベス女王、チャールズ皇太子などに至るまで、歴代の王家メンバーに愛されている。ウィンストン・チャーチル元首相は、「紳士たる者は同店でチーズを買う」という言葉を残したとの逸話も。イングランド中部ストラトフォード・アポン・エイボンや同西部バースにも支店あり。
93 Jermyn Street, London SW1Y 6JE
魚屋としては唯一、2個以上のロイヤル・ウォラントを保持するジェームズ・ナイト・オブ・メイフェア。店名となったジェームズ・アーサー・ナイト氏が100年以上前にこの魚屋を創業し、その後、ホテルへの卸売り業者として事業を著しく成長させたという。店内に並べられた商品の8割は、英国内またはアイルランドから取り寄せたもの。どの魚も新鮮なので、刺身にするのに適しているという点も日本人には大変うれしい。やはり王室御用達として有名なロンドンのデパート、セルフリッジ内に店舗を構えている。
Selfridges Food Hall, 400 Oxford Street, London W1A 1AB
ロウソクの販売店として始まり、今や良質の紅茶を販売するデパートの老舗として広く知られるフォートナム&メイソン。18世紀前半を生きたアン女王の宮殿でロウソクの取り換えを行っていたウィリアム・フォートナム氏と、彼が住んでいた家の家主のヒュー・メイソン氏が1707年に創業した。クリミア戦争時には、ヴィクトリア女王が野戦病院へ同社の食料品を送らせたとの逸話まで残っている。日本人観光客のお土産として人気の紅茶に加えて、英国人が夏の晴れた日に持参するハンパー(ピクニック・セット)の販売店として愛されている。
181 Piccadilly, London W1A 1ER
300年以上にわたり、同じ敷地内にずっと同じ店舗を構えているという、まさに英国人好みの最古参のワインとスピリッツ商。食料雑貨店として始まった1698年の創業当時は、商品の計量のために店内に設置されていた大型の量りで、顧客の体重測定を行うなどのサービスを提供し、話題を集めていたという。19世紀前半から20世紀前半に英国を統治したエドワード7世の時代に王室御用達に指定された。加えて、ナポレオン3世や名優ローレンス・オリヴィエなどそうそうたる面々が同店を贔 屓にしたと伝えられている。日本にも支店あり。
3 St. James’s Street, London SW1 1EG
自然派食品販売の草分けとして知られる、オーガニック食品販売店。英国で少しずつ自然派食品に対する意識が芽生え出した1970年代に、トルコ、インドや中国といった国々から食品を買い付け、英国に輸入するというビジネス・モデルを築き上げたという。ドライ・フルーツ、ナッツ、豆類などの種類が豊富。また昨今、英国を含む欧州各地で健康食として広く認知されている日本食の普及にも取り組んでいて、「Sanchi」というブランドの名の下でインスタント味噌汁、ラーメン、醤油などを販売。注文はオンラインで受け付けている。













イングランドでは古くから各地で女子サッカーの試合が行われていたが、「女性の健康を損なう」ことなどを理由に、同サッカー協会が1921年に女子チームに対してのグラウンドの貸し出しを禁止。71年にこの禁止令が破棄され、96年のアトランタ五輪より五輪正式種目となった。W杯などではイングランド、北アイルランド、スコットランド、ウェールズとして各国が出場を果たす一方で、これまで英国代表チームとしての五輪参加は実現していない。ロンドン五輪において、女子サッカーはその歴史上初めての英国統一チームを形成することになる。


東日本大震災という、未曽有の災禍が発生した2011年。英国という遠く離れた異国の地から、母国が復興を遂げていく過程を見守るという特異な立場に置かれた在英邦人たちは、それぞれ新しい年をどのように過ごしていくのか。林景一駐英国特命全権大使に、昨年を振り返るとともに、2012年の展望を語っていただいた。




4. B スティーブン・ホーキング
3. A エリザベス1世






