日本の文化は食にあり。「SUSHI」に始まり、「おいしい」「ヘルシー」などの合言葉で世界的に広まった日本食は今、ブームの域を超えてグルメ界で確固たる地位を築きつつある。そして、その深い味わいで多くの愛飲家を虜にしている「酒」もまた、日本食の代表格の一つ。ワインやビールの文化が根付くここ欧州で、美食家たちの舌を唸らせる極上の日本酒と日本料理の魅力を余すところなく紹介するイベントが去る3月12日、ドイツのデュッセルドルフで開かれた。
主催の日本応援イベント
今回のイベントを主催したのは、欧州のレストランや食料品店などを対象に日本食品の卸業を営むJFC EUROPEグループ。同社は3~4月に掛けて、東日本大震災から1年という節目を機に、日本食のさらなる普及・浸透を通して日本を応援する取り組みを欧州全土で展開している。その一環として、同社が特に販売促進に力を注ぐ地酒と日本食との相性の良さを日欧の人々に実感してもらおうと企画されたのが、この夕食会だ。招待客は、JFCと日頃取引のあるレストランのオーナーを始め、利き酒師、ソムリエ、ホテルのオーナーシェフなど業界通ばかり。日本料理レストラン「NAGAYA」を会場に、同社を通して欧州展開を図る5つの酒蔵が厳選する日本酒を、蔵元直々の説明を聞きながら、長屋佳澄シェフが腕によりを掛けて作る料理の数々とともに味わうという至極贅沢な会となった。
レストラン NAGAYA
ドイツで日本料理レストランとして唯一ミシュランの星を持つ長屋シェフ。「日本応援」というイベントの趣旨に賛同し、企画段階から参画。参加者に、多種多様な日本酒に合う10品以上のコース料理を提供した。
www.nagaya.de
参加酒蔵と紹介された日本酒
中島醸造(岐阜県)
「小左衛門 特別純米 美山錦」
「始禄 ゆず酒 純米酒」
清らかな水と上質な米を基に醸される「小左衛門」は、全員30代という若き作り手たちの情熱がたっぷり込められた酒。食事のひとときを楽しく盛り上げる名脇役だ。芳醇なゆずの香り漂う「始禄 ゆず酒」は食前・食後酒に最適。
www.kozaemon.jp
秋田清酒(秋田県)
「やまとしずく 純米吟醸」
「やまとしずく 山廃純米酒」
秋田県南部の雪深い土地で、1865年の創業当初から伊藤家が代々伝統を受け継いできた酒蔵。「やまとしずく」は、料理の味を邪魔せず引き立てる、香り控えめのやさしい味。この酒造では地産地消を目指し、地元産の原料のみを使用している。
www.igeta.jp
新藤酒造(山形県)
「裏・雅山流 楓華 純米生詰め」
世界最大のワイン・コンテスト、国際ワインチャレンジ(IWC)の吟醸酒部門で金賞トロフィーを受賞した経歴を持つ雅山流。軽やかで芳醇な香りの酒は、常に変化を求め、自由な発想で酒造りに挑み続ける酒造の勢いと活力を感じさせる。
www.kurouzaemon.com
月山酒造(山形県)
「銀嶺月山 ささら月 純米酒」
「銀嶺月山 月山の雪 純米吟醸」
蔵人以下、米から麹、酵母まで、徹底して山形産という、「顔の見える原料」にこだわる酒造。日本名水百選に選ばれている出羽月山の雪解け水と最高級の酒造好適米「出羽の里」が、自然の厳しさを内包する凛とした香りの酒を生む。
www.gassan-sake.co.jp
三和酒造(静岡県)
「臥龍梅 純米吟醸 山田錦」
「臥龍梅 純米吟醸 五百万石」
おいしい酒を新しいコンセプトの下で造るべく現社長が編み出したのが、全品種の醸造工程を統一し、米の品種だけ変える手法。醸造には一切手を抜かず、醸造後は余計な手を掛けない酒は、米の個性が最大限に生かされた純粋な味わい。
www.garyubai.com
*上記の地酒は、欧州各地の日本食レストランでお召し上がりいただけます。
レストランにお問い合わせの上、ぜひ最高の地酒をお楽しみください。
体験記 元気な日本食を欧州へ

夕食会の冒頭で挨拶する
JFC EUROPEの清松社長
「この甘みはどこから来るのですか?」「Sake Meter(日本酒度)とは何のことですか?」
── 各料理に合わせて注がれる日本酒を試飲する参加者の表情は、真剣そのもの。会場は、それぞれの酒を吟味し、特徴を知り尽くした上で納得のいくものを消費者へ届けたいと願うプロたちによる、れっきとしたビジネスの場だった。
東日本大震災発生後、日本から欧州への 食品輸出は一時期、困難を極めたという。しかし、あれから1年が経ち、当地の日本食産業は着実に再興隆の兆しを見せている。そこで今一度、欧州で日本食文化を盛り上げることで日本の復興を応援しようと立ち上がったJFCと、その熱意に賛同した人々により実現した今回の地酒試飲とディナーの会。その盛況ぶりは、日本食のパワーと健在ぶりを肌で感じさせてくれた。

真剣な表情で試飲をする参加者たち
仕込みのため来独が叶わなかった新藤酒造を除く4つの蔵元による紹介が、酒の味に説得力を持たせる。「キレのあるシャープなタイプのお酒」と言われれば米の力強さが感じられ、「さらっと飲める軽い口当たりのお酒」と聞けば、口に含んだ瞬間に爽やかな香りが広がり、すっと喉を通る感触が心地良い。そして何より、蔵人が発する一言一言から造り手の息遣いが伝わり、「このお酒には蔵人の魂が宿っている」と実感するのだ。「手造り」の地酒だからこそ味わえる温もりとも言えるだろうか。
そして、酒の味をより豊かにしてくれたのが長屋佳澄シェフによる絶品の料理。魚介や肉、その他和洋の多彩な食材を使った品々は、目と舌で楽しむ日本料理の醍醐味を最大限に生かした芸術品でありながら、日本酒の存在を隅に追いやることなく、互いに引き立て合う。遠くはドバイ、そして欧州各地から集まった参加者たちは、各料理と酒の相性だけでなく、冷酒と熱燗、ぬる燗の差異や、米の品種の違いが酒の味に与える影響など、日本食、日本酒の奥深さと可能性を自らの舌で感じ取っていた。

長屋シェフが提供した絶品料理。
フランス産シャロレー牛フィレ
イベントを主催したJFCの清松直之社長は、「(日本を応援する活動は)1人や1社ではなかなか困難ですが、皆の力を合わせればできると思っています」と語る。徹底した品質管理の下、良好な状態で高品質な食品を日本から欧州へ卸している同社は、今回の取り組みを機に、欧州でより一層の日本食文化の浸透を図りたい意向だ。それが日本の元気につながれば……。日本食伝道師たちの飽くなき挑戦は続く。
(編集部:林 康子)
日本食で日本を応援!
JFCでは現在、食品販売の収益の一部を被災地の支援活動団体へ寄付する取り組みを展開中。お近くの日系・アジア系食料品店で日本食品をお買い上げの際は、以下のシール及び店頭ポスターにご注目!おいしい日本の味に触れて、皆で一緒に日本を応援しましょう!



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震災発生から3日後に、アテネと北京五輪に出場した女子マラソンのリズ・イェリング選手のご主人から電話がありました。彼自身も陸上選手であることから、自分たちの知り合いやそのほかの陸上選手たちの力を集めて、日本の被災者のために何か支援できないか、という話になって。彼の方から、ウェブサイトを立ち上げ、世界中のランナーたちに呼び掛けて、自分たちの走った距離の分だけ寄付を募り、東北の人々に送ろうという提案が出てきました。そして、この企画のいわば広報大使を務めないかと打診されたのです。私としては、「日本で大変なことが起こっている中、英国で暮らす自分が何か具体的な支援を提供する方法などあるのだろうか」と考えては無力感に苛まれていたときだったので、喜んでこの役割を引き受けることに。震災が発生してから約2週間後にはこのウェブサイトが立ち上がり、私も広報大使としてのメッセージを書きました。主人がこのウェブサイト運営の手伝いに加えて、私が書いた日本語メッセージの表現などに関して、色々とアドバイスをくれたので感謝しています。

東日本大震災の被災地支援のため、世界中のランナーが、走った分だけ寄付、または寄付を募る仕組み。「Virgin Money Giving」というチャリティー運営の送金システムを使って、英国赤十字社を通じ被災地へと寄付金が送られる。マーラ・ヤマウチ選手のほかに、女子マラソンの世界記録を持つポーラ・ラドクリフ選手も広報大使を務めた。ウェブサイト運営開始後の約6カ月間で、延べ990人の走者が参加し、走行距離の総計は1万6975マイル(約2万7000キロ)、3万415ポンド53ペンス(約380万円)を集めた(現在、同サイトは休止中)。
そんなパブに押されて認知度は低めなものの、実はここロンドンには、
王室御用達の老舗デパート「フォートナム & メイソン」。その地階にあるバー「1707」の名は、デパートの創業年を意味する。数々のホテルやバーの設計を手掛けるデービッド・コリンズ氏によるミニマルながら温かみのあるデザインは、伝統を守りつつも常に革新的な姿勢を貫く同デパートの姿に重なる。


















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1. 国際放送メディア・センター(IBC / MPC)
この種目に注目を集めようとした、とはガイドさんの弁。五輪後はやロード・サイクル用のサーキットなどを新たに追加し、複合スポーツ施設として運営される予定だ。
五輪パークの開発に当たり、景観保持やクリーン・エネルギー利用への移行のため、敷地内にあった送電タワーをすべて撤去し、地下ケーブルに切り替えた。従来であれば10年はかかると言われていたこの工事、たった18カ月で完了したそう。仕事に緩慢なイメージのある英国人も本気になった?

先日、2012年ロンドン五輪開会式のテーマが、シェイクスピアの「テンペスト」に基づいた「驚きの島々」となることが発表された。オリンピックというスポーツの祭典を芸術で彩ることで、これまでにない独自性を打ち出そうとする演劇大国、英国の神髄を何より表しているのが、4月から始まる「ワールド・シェイクスピア・フェスティバル」。英国が世界に誇る劇作家、シェイクスピアの作品の数々が英国各地で上演されるという、またとない機会だ。ときに舞台を現代に置き換えて、ときに英語という言語から解き放たれて演じられる名作の数々を、一つならず、興味の赴くままにいくつでも鑑賞してみては?
英米で数々の舞台を踏み、1989年にはミュージカル「ミス・サイゴン」のオリジ ナル・キャストとして活躍。マドンナがタイトル・ロールを演じた1996年の映画「エビータ」では、アルゼンチン大統領のフアン・ペロン役を務めた個性派俳優、ジョナサン・プライスが、4大悲劇の「リア王」に登場。 退位を前に上の2人の娘たちに惑わされ、正直者の末娘を勘当したリア王。後に上の娘たちに裏切られ、孤独の淵をさまようリアの壮絶な晩年を、客席数わずか325という小劇場で演じてくれる。
シェイクスピアの本場、英国にあって、シェイクスピア俳優の名を欲しいがままにしている名優、サイモン・ラッセル・ビール。美しい声が紡ぎ出すセリフの数々は、中世の世界を今に甦らせると言われる。そんな彼がこの記念すべき年に演じる作品が、「アテネのタイモン」。他人に気前良く金銭をばら撒くアテネの富裕者、タイモンが、破産と同時に金の切れ目が縁の切れ目とばかりに周囲の人々に疎んじられるようになるという、世界的不況下にある今にあって身につまされる物語だ。
「ロミオとジュリエット」の戯曲を基に1957年にミュージカル化、1961年には映画化もされた「ウェスト・サイド・ストーリー」。当時の米ニューヨークの少年ギャングの抗争を、スタイリッシュな音楽とシャープな踊りで、悲痛ながらもエンターテイメント色あふれる世界へと昇華させた本作が、イングランド北部を流れるタイン川近くの近代的な文化施設、セイジ・ゲイツヘッドで蘇る。振付は、ロイヤル・バレエ団のダンサーにして数々の舞台作品の振付を手掛けるウィル・タケット。
近年まれに見る規模のシェイクスピアの祭典。この機会に、ぜひシェイクスピアの生誕地、ストラトフォード・アポン・エイボンで、彼の作品を観劇してみたい──そんな人にお勧めなのが、喜劇「十二夜」のセリフから銘打たれた「What country friends is this?」シリーズ。難破、悲しみ、笑い、愛、そして再会という共通点を持つ3 つの作品、「間違いの喜劇」「十二夜」「テンペスト」を、一つの劇場で、同じ俳優たちが演じる贅沢な三部作だ。
主君を暗殺し、自らがスコットランド王の地位に就いたマクベス。しかし、元来臆病な気質の持ち主で、気の強い妻に扇動される一面を持ち合わせた彼は、3人の魔女によるお告げに怯え、次第に圧政を行うようになる……。シェイクスピアの4大悲劇の一つ、マクベスの主人公とその妻を、昨年、「アラブの春」の萌芽が見られたチュニジアの独裁者たちに置き換えて上演する。映像なども駆使した、まさに「今」という時代を体現する新しい「マクベス」となりそうだ。
14世紀のイタリアはヴェロナで、敵同士の家の息子と娘が許されざる恋に落ちる「ロミオとジュリエット」。本作は舞台を現代のイラクに移し、イスラム教シーア派とスンニ派が争い、国民が暴力と復讐の連鎖に疲弊する中で生まれた恋物語を綴っていく。演じるのは、バグダッドのイラク・シアター・カンパニー(Iraqi Theatre Company)。同国の伝統的な詩や音楽を取り入れながら、独自色の強い世界観を構築していく。
2002年公開のニュージーランド映画「クジラの島の少女」でマオリ族の族長を演じ、国際的高評価を得た俳優、ラウィリ・パラテーン率いるマオリ族の俳優たちが演じる「トロイラスとクレシダ」。マオリの戦士が戦いの前に踊ったという伝統舞踊「ハカ」や、喜怒哀楽を歌で表現する「ワイアタ」など、マオリの文化をふんだんにちりばめた本作は、世界各国のプロダクションが織り成すシェイクスピアの万華鏡とでも言うべきフェスティバルの幕開けを飾るにふさわしい。
日本からこの大プロジェクトに参戦するのは、京都の劇団「地点」だ。代表/演出の三浦基が率いる同劇団は、言葉、音、身体に焦点を当て、ミニマルな舞台づくりを行うことに定評がある。昨年はチェーホフの作品を本場ロシアで上演し、高い評価を得た彼らが演じるのは、「コリオレイナス」。武勲の誉れ高いローマの貴族、コリオレイナスが、傲岸さゆえに民衆の支持を得られず、身を滅ぼしていく様を描いた同作は、2007年に蜷川幸雄演出、唐沢寿明主演でロンドン公演も行われた。
グローブ座の芸術監督、ドミニク・ドロムグール氏が、「誰にとっても刺激的で冒険的な演劇体験となる」と胸を張るのが、英国手話(BSL)による「恋の骨折り損」。学問に専念するため、女性断ちを誓った国王とその友人たちが恋に落ちてしまうこの喜劇を演じるのは、ロンドンの手話劇団、デフィニトリー・シアターだ。手話を中心に英語も織り交ぜて数々の作品を世に送り出してきたこの劇団が、名言や言葉遊びの宝庫であるシェイクスピアの戯曲をどのように手話で表現するのか、興味深い。5月22日(火)、23日(水)
百年戦争、薔薇戦争と国内外の戦いに明け暮れた、ヘンリー6世統治下の英国の様子を描いた史劇「ヘンリー6世3部作」を、セビリア、アルバニア、マケドニアの国立劇場が一作ずつ演じる、その名も「新バルカン3部作」。多民族が混在したことから紛争が続発し、「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたバルカン半島の3国からやって来るプロダクションが、英国の戦いの歴史をまとめ上げるという、芸術による歴史的作業とも言えるダイナミックな構成となっている。









