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Sun, 01 February 2026

LISTING イベント情報

身も心も温まる本場英国のガストロ・パブへ

身も心も温まる本場英国のガストロ・パブへ

ようやく山場は越えたというものの、まだまだ続く英国の長い冬。
あまりの寒さに家にこもりがち、という人も多そうだ。
もちろん、くつろいで家で頂く食事も良いけれど、たまには素敵な外食も楽しみたい。
そんな人にぜひ試してもらいたいのが、ここ英国が本場の「ガストロ・パブ」だ。
今回は、パブならではの飾らないおもてなしはそのままに、
食事にうんとこだわった、お勧めのお店を厳選取材。
英国の冬は、心のこもった温かい絶品パブ料理で乗り越えよう!

*表記してある時間は、食事のオーダーが可能な営業時間


The Bull & Last

The Bull & Last

250年の歴史が交錯する、モダン・ブリティッシュ・フード

ハムステッド・ヒースの南に位置し、250年の歴史を持つ「ブル & ラスト」。ドアを開けるとバー・カウンターの向こうにある、3頭の牛の頭の剥製に迎えられる。昔ながらの伝統的な雰囲気を残した居心地の良いインテリアと、若く実力のあるオーナー・シェフの斬新なフードが評判だ。「食のルネッサンス」をテーマに、ウサギや鹿など、英国の食卓から遠のいていた季節の野生動物を使ったメニューが多く見られる。中でも、臭みの少ないさっぱりとした味わいの鹿肉のローストに、パースニップスとビートルートを添えた一皿は感激のおいしさ。プロシュート、テリーヌ、ムース、タン・フライとあらゆる部位を無駄なく使ったダックの盛り合わせ、「シャクートリー・ボード」は、前菜としてもつまみとしても大満足だ。また、どんなにお腹がいっぱいになっても、ブルーベリーとチーズケーキのアイスクリーム・サンデーは外せない。アイスクリームを作るのがダックの盛り合わせ£10大好きなシェフの、自慢のデザートなのだそう。

写真)Homemade Duck Charcuterie Board (Prosciutto, Liver Parfait, Wild Duck & Pistachio Terrine, Rillettes, Fried Tongues, Pickles, Remoulade & Toast) £10

*2018年11月現在、改装のため閉店しています。再オープンについてはウェブサイトをご確認ください。

店名 The Bull & Last
住所 168 Highgate Road NW5 1QS 地図
TEL 020 7267 3641
営業時間 月〜金 12:00-15:00/18:30-22:00    
土 12:30-15:30/18:30-22:00 日 12:30-15:30/18:45-21:00
アクセス Gospel Oak駅から徒歩5分
Website www.thebullandlast.co.uk

取材:Sayaka Hirakawa


The Princess of Shoreditch

プリンセス・オブ・ショーディッチ

プリンセスと一緒に、こだわりのダイニングを

大きな格子窓やアンティークのランプが、どこかロマンティックな印象を醸す「プリンセス・オブ・ショーディッチ」。その名に因み、2階のダイニング・ルームには世界各国のプリンセスのポートレートが飾られている。温か味のある、大きさもデザインもバラバラの木製テーブルや椅子からは、第2の我が家にいるようにくつろいで欲しいというオーナーの思いが伝わってくる。可能な限り英国産の食材を使用し、英国料理に少しだけフレンチの要素を取り入れた繊細なメニューが並ぶが、中でもお勧めなのは、伝統的な一本釣りの手法で釣った北海のシーバスを、魚介類のスープで炊いたリゾットと砂糖漬けのレモンとともに頂く一皿。生きたままの魚を捕る一本釣りは、上質の食材を厳選するためにも、乱獲を防ぎ環境へ配慮するためにも欠かせシーバス£15ないこだわりなのだとか。1階部分ではカジュアルな、けれども心のこもったパブ料理が、2階ではバラエティー豊かなダイニング・メニューが楽しめる。

写真)Seared Sea Bass over Bisque Risotto, Candied Lemon, Micro Cress £15

店名 The Princess of Shoreditch
住所 76-78 Paul St, London EC2A 4NE地図
TEL 020 7729 9270
営業時間 月 12:00-15:00/18:30-21:00
火〜金 12:00-17:30/18:30-22:00  
土 12:00-16:00/18:30-22:00 日 12:00-22:00
アクセス Old Street駅から徒歩7分
Website www.theprincessofshoreditch.com

取材:Sayaka Hirakawa


The Pig's Ear

ピッグス・イア

フレンチ・ブラッスリーと英国パブの掛け合わせ

キングス・ロードから脇道に入った高級住宅地にあるこちらは、フレンチ・スタイルのガストロ・パブ。天井が高く、大きな窓が壁一面を占める店内は明るく開放的で、斬新な絵画や昆虫の標本など様々なものが飾られたファンキーな空間に、シンプルなテーブルと椅子が並ぶ。昼間はゆったりとランチを楽しむ落ち着いた時間が流れるが、夜になると若者たちが溢れ、大いに盛り上がるのだとか。ただし2階にはクロスが敷かれたテーブル席が用意されるので、安心してディナーを楽しむことができる。高級レストラン「ル・カプリス」で修行した腕のあるシェフが、フレンチ&モダン・ヨーロピアンを手掛け、日替わりのオリジナル・レシピにおなじみのフレンチ・フードと、幅広いメニューを用意する。クロックムッシュにステーキ・タルタル、濃厚に煮詰まったオマッシュルームとチーズとポーチドエッグ£11.50ニオン・スープは、ずっしりとした食べ応えがあるふくよかな味。パブに居ながらフレンチ・ブラッスリーにいる気分が味わえる場所だ。

写真)Backed Field Mushroom, Chanterelles, Soft Poached Egg, Sharpham Cheese, Parmesan Crisp £11.50

店名 The Pig's Ear
住所 35 Old Church Street SW3 5BS 地図
TEL 020 7352 2908
営業時間 月〜土 12:00-15:30/19:00-22:30 日 12:00-16:30
アクセス South Kensington駅から徒歩17分
Sloane Square駅からバス
Website www.thepigsear.info

取材:Azusa Ogawa


The Harwood Arms

The Harwood Arms

ミシュラン星が輝くブリティッシュ創作料理

外観は、特に変哲のない普通のパブ。しかし一歩中に入ると、ここはパブなの?と疑いたくなるおもてなしが待っている。それもそのはず、こちらはロンドンで唯一、ミシュランの星を持つガストロ・パブなのだ。英国産の食材のみを使い、クラシックとモダンを掛け合わせたこだわりの創作料理を提供。その人気はとどまるところを知らず、週末は1、2カ月先まで予約が一杯だ。今回のチョイスは、口いっぱいに海の香りが広がる特製マヨネーズと頂く、柔らかく揚げたカキフライ、マッシュ・ポテト添え。そして、カナガシラのフライ、サフラン・マヨネーズ添え。付いてくるマッシュ・ピーは、小エビ入りだ。どれも洗練された盛り付けで、うっとりするおいしさ。デザートには、プルーンの入ったアールグレイ・ティー・アイスクリームとバニラ・ドーナツの組み合わせや、カリッと焼いた薄いパンカナガシラのフライ、サフラン・マヨネーズ添え£16に挟まれたトフィー・アイスクリームを。何を試しても、これぞグルメと納得のオリジナル料理がそろう。

写真)Whole Breaded Tail of Gurnard with Brown Shrimp and Split Green Peas, Buttered Leeks and Saffron Mayonnaise £16

店名 The Harwood Arms
住所 27 Walham Grove SW6 1QP 地図
TEL 020 7386 1847
営業時間 月 18:30-21:00 火〜土 12:00-15:00/18:30-21:30
日 12:30-16:00/19:00-21:00
アクセス Fulham Broadway駅から徒歩7分
Website www.harwoodarms.com

取材:Azusa Ogawa


Bacchus

Bacchus

フレンドリーなサービスで、ストリートの「顔」的存在

ゆで卵をひき肉で包んで揚げた、子供のこぶし大ほどもあるきつね色のスコッチ・エッグは、ナイフを入れる前から香ばしさが立ち上る。その豊かなフレーバーの秘密は、ひき肉にブレンドした、スコットランドの伝統羊肉料理「ハギス」。オーナーは、「うちで一番大切にしているのは、どんなささやかなディテールにも注意を払うことだよ」と語る。食材への豊富な知識と繊細な心使いが、料理を一層おいしくしているようだ。歴史の古いホクストン・ストリートに位置し、コミュニティーの中心として愛される「バッカス」は、細やかでフレンドリーなサービスも魅力の一つ。常連客には料理の感想を欠かさず聞き、その意見を参考にメニューを組み立てることも多い。目下の一番人気は10オンスのサーロイン・ステーキ。国産ハギス・スコッチエッグ£5.50ハーフォード牛をメインに、低高温を巧みに使い分け、3度に分けて揚げたチップスと、付け合わせにまでこだわった、確かなホスピタリティーを感じる一皿だ。

写真)Haggis Scotch Egg, Mustard Mayo £5.50 Potted Ham Hock & Pig's Cheek, Piccalilli, Whole Toast £5.50

*このお店は閉店しました

店名 Bacchus
住所 177 Hoxton Street N1 6PJ 地図
TEL 020 7613 0477
営業時間 月〜土 12:00-22:00 日 12:00-21:00
アクセス Hoxton駅から徒歩3分
Website www.bacchus-restaurant.co.uk

取材:Sayaka Hirakawa


The Holly Bush

The Holly Bush

歴史の重みに浸りながら伝統料理で温まる

ハイストリートを外れ、坂を上って行くと、ポツンとパブが現れる。この立地では地元の人しか辿り着けないのではと尋ねると、評判を聞きはるばるやってきた客が、ようやく見付けて感動しながら入ってくることも多いのだとか。200年以上も前からこの地に根付く店舗は、エッチングが刻まれたガラスや木製の内装の一部が当時のままだというから驚きだ。店内は意外と広く、いくつかの部屋に分かれ奥へと続く。元々は英国伝統料理のパイのみを扱っていたが、最近はバラエティーに富んだメニューを提供しており、中でもレモン・マヨネーズで頂くエビが人気。でも、大きなサクサクとしたパイ生地に、端までギッシリと中身が詰まった昔ながらの手作りパイを求めてやってくる客も、やはり後をビーフ&エール・パイ£12絶たないのだとか。マスタードの入ったマッシュ・ポテトも、パイのお供にぴったりだ。また、できるだけ多くのメニューにオーガニック食材を取り入れているとのこと。ほっこり温まるにはぴったりの、落ち着いた空間だ。

写真)Beef & Ale Pie £12

店名 The Holly Bush
住所 22 Holly Mount NW3 6SG 地図
TEL 020 7435 2892
営業時間 月〜金 12:00-15:00/18:00-22:00 
土 12:00-16:00/18:00-22:00 日 12:00-17:00/18:00-21:00
アクセス Hampstead駅から徒歩5分

取材:Azusa Ogawa


The Cow

The Cow

居心地の良いアイリッシュ・パブで新鮮なシーフードを

ノッティングヒル地区の瀟洒(しょうしゃ)なショッピング・スポット、ウェストボーン・グローブから北へ外れた、庶民的な一角にあるアイリッシュ・パブ。店内に入ると、スコッチ、アイリッシュ・ウイスキー、バーボン、ブランデーなどが多数並び、ビールやエールが主体の英国のパブとは、少し様子が違うことが分かる。店内は、アイリッシュ・パブならではの、どことなくアットホームな小ぢんまり感が心地良く、新鮮なアイルランド産カキや英南部ドーセット産のカニがカウンターに山と盛られた様子は壮観だ。メニューは、貝類の盛り合わせやカキとギネス・ビールのセット、アイルランド産の牡蠣£9.50フィッシュ・シチューなどシーフードが中心だが、マッシュ・ソーセージやステーキなどの肉類も。メイン・コースの一部は月~金曜までの日替わりで、デザートには、アッ プル・シュトゥルーデルにジンジャー・アイスクリームなど、季節にぴったりのメニューがそろう。この冬は、アイリッシュ・フードで温まってみては? 

写真)6 Irish Rocks £9.50

店名 The Cow
住所 89 Westbourne Park Road W2 5QH 地図
TEL 020 7221 0021
営業時間 月〜日 12:00-15:00/18:30-22:30
アクセス Westbourne Park駅/Royal Oak駅から徒歩5分
Website www.thecowlondon.co.uk

取材:Azusa Ogawa


Britannia

Britannia

季節のおいしさを、家族でゆっくり楽しみたい

東ロンドン最大の公園、ビクトリア・パークの外れにあるこちらは、公園をのんびり散歩した後に立ち寄るのに絶好のロケーション。広々としたガーデンがあり、夏場はバーベキューやシネマ・ナイトなど、様々な楽しい催しが企画される。旬の食材を多く取り入れたメニューは、毎週少しずつ変わっていき、元フード・ライターという経歴を持つオーナーの食材へのこだわりや、質の良い供給業者との交流が生かされたメニューになっている。「今の季節なら野鳥のパートリッジがお勧めだよ。野生だから脂身が少なくて、筋肉がしっかりついているのを、じっくり時間をかけてローストしているんだ」。ほろほろとやわらかい根菜が入ったワイン・ソースも、引き締まった肉をバランス良く引き立てる。日曜日は、家族でシェアでパートリッジのロースト£15きるサンデー・ローストが大人気。大きなロースト・ビーフを家族に切り分けるお父さんたちが何とも微笑ましい。子供も犬も大歓迎のパブなので、ぜひ家族そろってどうぞ。 

写真)Whole Roast Partridge, Creamed Savoy Cabbage & Bacon, Salsify & Shallots £15

*このお店は閉店しました

店名 Britannia
住所 360 Victoria Park Road E9 7BT 地図
TEL 020 8533 0040
営業時間 火〜金 16:00-22:30 土 18:00-23:00 日 12:00-22:30
アクセス Homerton駅から徒歩12分、またはバス388
Website http://thebritanniapub.co.uk

取材:Sayaka Hirakawa


The Cadogan Arms

The Cadogan Arms

飲んで遊んで、そして食事を堪能

チェルシー地区の目抜き通り、キングス・ロードに堂々と立つこちらは、ロンドンで高級パブやレストランを展開するETMグループの一つ。パブ、ビリヤード・ルーム、ハイ・スタンダードなサービスを重視したレストランという飲んで食べて遊べる3部屋に分かれている。動物の剥製や薪の積まれた暖炉に、まるで英国の田舎家にいるような気分にさせられるレストランで振舞われるのは、素朴な創作料理。特に、定番のフィッシュ & チップスとステーキに加えて用意される、約2カ月毎に変わる季節のメニューはとてもユニークだ。例えば、前菜には意外とあっさりとした味の、ハトとウサギ肉のテリーヌ。メインには、ブレッド・ソースで頂く脂身の少ないヨークシャー産ヤマウズラの丸焼きなど、レアな食材を使ったメニューヨークシャー産のパートリッジ、イングリッシュ・ベーコンなど£18.50が並ぶ。またこちらでは、フランスのワイン畑に足を運んで、様々な料理に合うオリジナルのワインをプロデュースしている。軽すぎず、そして深すぎない口当たりの良い味、ぜひ食事のお供に。

写真)Whole Yorkshire Partridge, Bread Sauce, Smoked English Bacon, Hunter's Potato, Braised Red Cabbage, and Juniper Jus £18.50

*このお店は閉店しました

店名 The Cadogan Arms
住所 298 Kings Road SW3 5UG 地図
TEL 020 7352 6500
営業時間 月〜金 12:00-15:30/18:00-22:30 
土 12:00-22:30 日 12:00-21:00
アクセス South Kensington駅から徒歩15分
Sloane Square駅からバス
Website www.thecadoganarmschelsea.com

取材:Azusa Ogawa

 

不可解な景観規制は何のため?

不可解な景観規制は何のため? - ここが変だよ英国人

英国暮らしを送っていると、外国人である私たちには不可解に思える習慣や決まりに戸惑うことがある。その一つが、建築物における、俗に「景観規制」と呼ばれるもの。この規制があるがために、テレビの日本語放送を観るためのパラボラ・アンテナ一つ自宅に取り付けることができないなどの不便を強いられている人も少なくないはず。また賃貸しているならともかく、自分が購入した家の改築さえ認められないという納得できない事例も多い。一体何のために、ときに理不尽とも言える景観規制が英国には存在するのか、果たしてそうした規制は本当に必要なのか。日本と英国で活動する識者の意見を聞いた。

London

英国の巷でよく聞かれる「景観規制」の事例

1. 商店の看板が出せない

個人で起業して、ようやく念願の店舗を出すことができた。ところが、景観規制によって看板を店の前に掲げることができない。だから店の存在すら、いまだ地域の人々に認知してもらっていない。

2. パラボラ・アンテナが 付けられない

英国で日本のテレビ番組を観るためには、パラボラ・アンテナを設置しなければならない場合がある。このパラボラ・アンテナの設置に対して、「景観を乱す」との理由で、カウンシルからの許可が下りない。

クーラー室外機3. オフィスに冷房を設置できない

大都市とされるロンドン市内でも、室内に冷房が設置されていないオフィスはいまだに多い。そこで新しく大型の冷房装置を設置しようと思ったが、外部に設ける排気口が景観を乱すとして許可されなかった。

テラス禁止4. テラスを設置することができない

遂に英国で念願のマイホームを購入。ベランダやテラスを設置して、その空間で毎朝コーヒーを飲むのが夢だったのに、許可が下りないことが分かった。なぜ自分で購入した家を改築できない?

内装工事禁止5. 内装工事さえも禁止された

オフィスにエレベーターを設置することもできないと言われた。内装工事なのに、「景観規制」と一体どういう関係があるの? どうも「リスティッド・ビルディング」* だからというのが理由みたいだけれど……。

セントポール大聖堂の見晴らし6. セント・ポール大聖堂の見晴らしを妨げてはならない

グリニッジ展望台などロンドン市内の見晴らしの良い場所からは、セント・ポール大聖堂がいつでも見られるような視界を確保しなければならない。その視界のライン上には、高い建物を建設できないとか。

*リスティッド・ビルディング
歴史的価値を有するなどの理由で、保護対象として認定された建築物のこと。認定されると、その建築物を破壊、拡張、改築する際には、特別な許可を得る必要がある。「Grade I」「Grade Ⅱ*」「Grade Ⅱ」の3段階に区分けされている。

英国の「景観規制」とは?
各地域の景観を守るために定められた規制のこと。新築及び改築などを計画する当事者は、その内容によって、事前に居住地域の地方自治体に開発許可(Planning Permission)を提出しなければならない定めとなっている。

建物
鶴田 太郎さん

1968年5月4日生まれ、大阪市出身、ロンドン在住。
The Architectural Association School of Architecture(AAスクール)卒。マイケル・ホプキンス & パートナーズ(現ホプキンス・アーキテクツ)、エリック・パリ・アーキテクツなどロンドンの主要設計事務所に勤務後、ツルタアーキテクツを設立。王立英国建築家協会の資格を保持する日本人建築家としてロンドンで活動している。
www.tsurutaarchitets.com

大規模な開発だと政治的要素が強くなります

英国の景観規制は、どのように策定されているのですか。

景観規制と言うよりも、私たちは開発規制と呼びます。開発を行うには、開発許可(プランニング・パーミッション)を地方自治体から得なければなりません。建物の持ち主が代わっても、建物は残る。管轄地域に価値のある建物があれば、それを残すのが義務、というのが開発規制を支える一つの考え方です。

具体的には、どのような建物が規制の対象となりますか。

景観保護の面では、まず「コンサベーション・エリア」という指定地区があります。開発許可のほかにも更なる許可が必要になるなど、より多くの制約が出てきます。また各地方自治体は、コンサベーション・エリアを指定する法的義務を負っています。よって歴史的、建築的な意義のある建物群が少ない地域では、価値がそれほどないのにコンサベーション・エリアに指定されている場所もあるのです。逆に多数の歴史的建築物を有するケンジントン・チェルシー地区などは、全体の約7割がこのエリアに該当します。

またリスティッド・ビルディングと呼ばれる、イングリッシュ・ヘリテージ(政府公認の保護団体)を介して守られている建物もあります。それらの建物に手を加えるには、地方自治体に加えてイングリッシュ・ヘリテージを説得する必要があります。

開発が困難な建物に対して、建築家はどのようにしてプロジェクトを進めるのですか。

基本的にグレードの高いリスティッド・ビルディング以外ならば、開発は不可能ではありません。私の携わったプロジェクトの中にも、リスティッド・ビルディングのGrade Ⅱに指定された建物がいくつかあります。その中の一つに、「価値のある部分以外は取り壊せる」という許可が出たにも関わらず、近隣住民による反対運動が展開されたことがありました。開発が進むことで近隣地域にある物件の価値が下がることを懸念したようです。彼らは取り壊す許可が出た部分をも保護対象に加えるようにとの申請をイングリッシュ・ヘリテージに出しました。そして、後にその部分もリスティッド・ビルディングとして指定されたのです。ただ、最初に出た許可が覆されることはなく、開発は進みましたが。

開発の規模によっても事情は変わってきます。大規模なものの場合、政治的要素が強くなり、建築家の知名度も決定を左右します。そうしたときに建築家は、地方自治体の開発規制を取り扱う部署の署長や、CABEと呼ばれる開発計画の質を審査する機関などと折り合いをつけることになるのです。一方、規模の小さいリスティッド・ビルディングでは政治的要素が小さくなり、地方自治体はマニュアル通りに事を進めるので、許可を取るのが困難になるということがよくあります。

公聴会議に、反対派のロビイストがいました

地方自治体以外の機関が決定に関わることも多いのですね。

リスティッド・ビルディングの増改築や取り壊しに関しては、イングリッシュ・ヘリテージからの推薦(実質は許可)と地方自治体からの許可、規模が大きくなるとCABEからの推薦も必要です。開発許可申請の過程としては、まず申請書を出すと、近隣所に通知をしたり街頭に掲示をしたりして、開発事業に対する一般からの意見を募ります。そこで一般からの反対が出なければ、地方自治体の開発規制部署が申請の可否を決めます。もし反対が一般から4つ以上寄せられるも、地方自治体が賛成した場合は、申請は地方自治体の公聴会議に掛けられ、カウンシラー(地元の町会議員)などが議論して可否を決めます。逆に許可が下りない場合、申請者は地方自治体から切り離された国の機関に異議を申し立てることができます。

地方自治体や公聴会議の判断は、妥当なものだと思いますか。

私も開発案を設計した建築家として、公聴会議にて反対意見への応答をしたことがあります。あるときは、カウンシラーの中に反対派のロビイストが2人いました。この会議は夜7時くらいから行われたためにカウンシラーの中には疲れている方もおられ、計画案を理解しないまま、その2人のロビイストに全体が流されているとの印象を受けました。民主主義のあり方に疑問を持ちましたね。こうした事例は決して特殊なものではありません。

景観規制自体ではなく、その運営のされ方に問題がある

交渉や圧力によって、景観規制の対象になるかどうかが決まることがあるのですね。

開発許可の申請を専門の仕事とする人たちもいます。地方自治体の開発規制の部署で過去に働いていた経験を持つ人が多いようです。彼らは各地方自治体における開発規制の政策に通じており、規定や政策が書かれた文書の言い回しを深く解釈した上で、開発の正当性を論理的に主張します。

さらに、彼らは申請の異議申し立てを嫌う地方自治体の体質をもよく理解しています。その意味では、彼らの力が申請の可否を左右する場合もあるとも言えます。

煩瑣(はんさ)かつ、ときに政治的なこうした規制は必要ないと思いますか。

景観規制を含めた開発規制は必要です。私も仕事柄、土地開発業者の方々とのお付き合いがありますが、中には景観やら安全面などに気を払わず、とにかく安く建てることしか考えていない業者もいますからね。だから、住民はもちろんのこと、建築家が規制によって守られている部分もあるんですよ。

問題があるのは規制そのものではなく、その運営のされ方です。例えば、地方自治体の職員の中には、図面さえ読めない人がいます。公聴会議にロビイストが紛れ込んでいるというのも問題でしょう。

建物
妹島 和世さん
妹島 和世
1956年生まれ、茨城県出身、日本女子大学大学院卒。95年に同じく建築家の西沢立衛氏と共に、建築家ユニット「SANAA」を設立。現在、慶応義塾大学教授。2010年には、建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞。同年、ベネチア・ビエンナーレ建築展の総合ディレクターを務める。ロンドンでは、09年にサーペンタイン・ギャラリーが開催する建築プロジェクト「サマー・パビリオン」を手掛けた。

写真: ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー前に設営したパビリオンの前で写真撮影に応じる妹島氏(写真右)


www.sanaa.co.jp

集まって暮らすには何らかのルールが必要

英国では建築物に対して厳しい景観規制が敷かれていますが、このような規制は必要だと思いますか。

人間は、一人では生活することができませんよね。だから集まって暮らすことになります。ところが集まって生活すると、今度は色々な問題が生じてくる。集まって暮らすには何らかのルールは必要だろうと思います。

だから、一般論として、ある程度の景観規制は必要だと私は思います。ではどんな規制をどのくらいかけるべきかとなると、これは難しいです。実際に景観規制の対象となった家に住んで不便を強いられている人の話によると、随分と大変だと聞きますからね。ただ何かを「守る」ということは大切だし、不便も強いられるし、お金もかかるということだと思います。

景観に対する意識が低い東京の方が例外的だと思います

「景観を大事にする」という考え方は、実際にその場所に住んでいる人の利便性よりも、「美しい景色を守りたい」という、観光客や通行人の願いの方を尊重しているという意味で理解できない部分も多いのですが。

ただ、その「住んでいる人」も、やはりきれいな景観で生活することができるわけですから。景観に対する意識が比較的低い東京のような都市の方が、むしろ例外的なのだと思います。というのも、東京の住宅は、一つひとつの部屋の作りがとても狭いですよね。それなのに地価は高い。どうしても、内側のスペースをどう有効に使うか、ということだけに意識が向いてしまいます。だから住宅を作るときにも、それぞれの部屋の中に何が欲しいかという形で、家の内側の要求条件ばかりを考えがちです。

でも、どんなに小さい家でも、一人の人間の体よりは大きいものですからね。それだけの大きさのものが、街というさらに大きなものを構成していると考えれば、やはり景観について考えることは必要なのだろうな、と思います。

建築家としては、景観規制が少ない日本の方が自由な建築活動を行うことができると思いますか。

建築規制そのものは、形を変えて、どの国にも存在します。例えば英国に比べると、日本では景観上の規制が少ないという印象を持ちますが、でも日本は高温多湿でものすごく雨が降って、さらには地震もあってという国ですから、そういう意味では厳しい規制がかけられているわけです。もし、英国で長年にわたって建築家として働いてきた方が急に日本の建築物を手掛けることになったら、耐震力とか耐風圧の規制の厳しさに驚くのではないでしょうか。

一方で、日本ではまだ、エネルギー効率などの面においては、欧州諸国に比べて遅れている部分があるかもしれません。日本でも最近厳しくはなってきていますけれどもね。エネルギー規制が厳しい国や地域の住宅では、熱を逃さないために気密性を高くしようとして、扉が重くしっかりと閉まるように設計されているんですよね。でも私の体格は日本人の中でも小柄な方だから、あんな重い扉を開けるだけで一苦労してしまうんです。日本であんなものを作ったら、「開かない扉なんか作るな」というクレームがくると思いますよ。昔ながらの日本での暮らしというのは、気密性よりは、むしろ風が自在に通り抜けられるようにとの考え方から、扉の開け閉めが軽くできる作りを好みましたからね。つまりエネルギーを大切にすることは重要ですが、それぞれの場所でのより良いやり方を考える必要があるのだと思います。

英国の方が、建築そのものに興味を持っている人が少し多いかも

ほかに建築に関して、日本と英国の違いを感じますか。

英国ではサーペンタイン・ギャラリーでのパビリオン建設の仕事しか手掛けたことがないので、日本と英国の違いといったことについて、はっきりとしたことは言えません。ただ本当に大雑把な印象を言うと、日本よりも英国の方が、建築そのものに興味を持っている人が少しだけ多いというか。特に日本の若い人たちは、建物の中身、つまりどの場所で何が食べられる、どんなエンターテイメントを観ることができるということは常に話題にしているけれども、何かの建物そのものを観るために遊びに出掛けることは少ないんじゃないかな。一方で、ロンドンでは観光客でなくとも、建物めぐりをする人が多くいらっしゃいますよね。

あとはやはりロンドンの街の作りが好きです。東京に比べれば、スケールが小さいじゃないですか。親しみを覚えやすいと思うのです。また現在の街の形ができあがった時期が、東京よりも早くて、イタリアの古都と呼ばれるような地域よりは遅い。世界の中でも特別な街を作り上げていると思います。

サーペンタイン・ギャラリーのパビリオンの話が出ましたが、振り返ってみて、どのような仕事でしたか。

一番大変だったのは、やはり制作の時間が限られていたということですね。その他の面では、色々な場所で組み立て可能であることと、公園の中に設置できることというのがほぼ唯一の条件みたいなものでしたから。例えば音楽ホールを作るということになったら、音響とかその他の性能とか色々な注文があるけれども、あのパビリオンは、そうした機能的な制約はほとんどない。自由であるという意味で、楽しい仕事でした。

話は変わりますが、英国人は日曜大工を好むことで知られています。わざと古い家を買って、改築を楽しむ人さえいるほどです。ご自身が設計した家を好き勝手に変えられてしまうことについては複雑な思いを抱きませんか。

いや、むしろ私はそういった試みに対して大変な興味を持っています。ある建物の中で暮らす人がどういう使い方をするかを考えながら設計するのが好きだし、それと矛盾するけれども、建築家が精一杯考えた形とは全く別の使い方を、その建物を使う人々が考え出す、という過程にも大変興味があります。そしてまた新しいものが作り上げられるのだろうと思います。

 

石坂団十郎インタビュー 「生きる喜び」を弓で奏でる

チェリスト石坂団十郎
「生きる喜び」を弓で奏でる石坂団十郎

「磨き抜かれた確かな技巧」「優れた音楽的感性」と、クラシック音楽界が声高に絶賛する新進気鋭のアーティストがいる。著名なオーケストラとの共演やリサイタル、室内楽演奏で日々忙しく世界中を駆け回っている日独ハーフのチェリスト、石坂団十郎だ。今年2月にイングランド中部カンブリア地方で日本の著名指揮者、佐渡裕氏との共演、3月にはロンドンのウィグモア・ホールでの公演と、英国での活躍が期待される石坂氏に、音楽家としての半生を語っていただいた。 (ドイツ・ニュースダイジェスト編集部)
石坂団十郎 / Danjulo Ishizaka
1979年、ドイツ・ボン生まれ。日本人の父、ドイツ人の母を持つ。4歳からチェロを弾き始め、ボリス・ペルガメンシコフらに師事。92年若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール(モスクワ)特別賞受賞。そのほか、2001年ARDミュンヘン国際音楽コンクール(ミュンヘン)第1位、02年エマヌエル・フォイアーマン大賞コンクール(ベルリン)グランプリ受賞など、数々のコンクールで受賞を果たす。03年には、世界的な活躍が期待されるアーティストに贈られる「ヤング・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞。06年にBBCラジオ3の新進音楽家育成プログラムのアーティストに選出され、08年にはロンドンで開催される世界最大の音楽の祭典、BBCプロムスで、BBCスコットランド交響楽団と共演するなど、英国でも注目を集める。

音楽は寝食と同じ

4歳でチェロを始められたそうですが、きっかけは何だったのでしょうか?

母親がピアノの先生だったこともあり、4歳でまずピアノを習い始めました。ただ、姉と兄が2人とも既にバイオリンやピアノを弾いていたので、母に「うちにはチェリストがいないから、チェロを習うと良いわね」と言われて、5歳になる前にチェロを習い始め、兄妹3人で「石坂トリオ」を組むことになったんです。トリオはその後16年間、僕が20歳になるまで続けました。

まさに、音楽一家に生まれ育ったんですね。子供の頃はひたすら練習、練習の日々でしたか?

チェロを習い始めた頃は、母について弓だけを持って動かす練習をしていましたが、しばらくしてから楽器を持って、少しずつ弾いていきました。既に楽譜を読めたので、弾くこと自体はそれほど難しくありませんでした。ただ、一番辛かったのは練習です。母によく「練習しなさい」と厳しく言われたものです。学校から帰ったらまず宿題をし、それが済んだらピアノとチェロの両方の練習、その後はトリオの合わせ、というのが日課でした。そして週末になると祖母の家に行き、ハウス・コンサートを開いていました。そんな半生でした(笑)。学校の友達と遊ぶ時間もなくて……。今思うと、それはやはり辛かったですね。「本当に音楽を続けたいのかな」と自問することもありました。

それでも弾き続けてこられた理由とは?

音楽が好きだからです。音楽は僕にとって、食べることや寝ることと同じ、生活の一部なのです。母親にも「音楽家になる以外、ほかに選択肢はないのですよ」というようなことを言われ、それなら音楽家になるしかないと思っていましたからね。

過去、師事した先生には、どのようなことを教わりましたか?

様々な先生の指導を受けましたが、最も影響を受けたのはボリス・ペルガメンシコフ *1氏です。彼に初めて会ったのは8、9歳の頃。その後1年に1度くらいの頻度で会い、講習会にも行っていました。そして「石坂トリオ」をやめてベルリンに引っ越してから、本格的に彼の下で習い始めました。自ら多くの演奏会をこなし、舞台経験が豊富な先生だったので、彼には絶大な信頼を寄せていました。通常、音楽家は10、11歳くらいでオーケストラと初共演するのですが、僕の場合はそれが19歳のとき。とても緊張していたのですが、「この曲のこの部分はファゴット、ここはクラリネットをよく聴いて」など、とにかく細かく指導してくれました。そんな先生を頼りにしていたので、集中して弾くことができたのです。

また先生は、曲が作られた当時の文化的背景や作曲家が生きた時代の社会・歴史などにも詳しく、楽曲を知るに当たって、どんな本を読めば良いかなども教えてくれました。演奏する際、曲の背景を思い浮かべながら弾けるようにと。

石坂団十郎

曲の内容を理解し、イメージを創り上げる

1992年、13歳で挑戦した「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」にて最年少で特別賞を受賞したことを皮切りに、その後、数々のコンクールに出場し、受賞されていますね。やはり、コンクールでの勝負が音楽家のその後のキャリアを左右すると思われますか?

音楽家としてのキャリアを積むには様々な方法があり、コンクールを重ねて大物になる人もいれば、コンクールを全く受けない人もいます。コンクールで受賞すれば、演奏会の機会が一気に増えます。例えばフォイアーマン・コンクールで勝てば、その後の20公演は決まりますね。また、コンクールを受けなくても、オーケストラの指揮者から「一緒にやってみないか」と声を掛けられ、そこから段々と演奏機会が増えるパターンもあります。そうして有名になっていきます。

僕自身は、コンクールを受けるのがあまり好きではありませんでした。その理由は、コンクールでは自分の好きなように弾けないからです。勝つために、先生に言われた通りに弾くしかない。でも、そもそも音楽はコンクール(=競争)には向いていないと思うんです。自分で曲の内容を考えて理解し、イメージを創り上げて弾くのがベスト。スポーツのように比べられるものではなく、芸術なのですから。

2004年に日本デビューを飾って以降、NHK交響楽団を始め、数々の日本のオーケストラと共演されていますね。特にビブラートを抑えたピリオド奏法 *2 が好評を博したとのことですが、この奏法を実践されたのはなぜですか。

06年にロジャー・ノリントン *3 指揮でNHK交響楽団と共演したのですが、ノリントンはどのオーケストラに対してもノン・ビブラートで弾くよう依頼する指揮者で、僕もそれに合わせようと思ったのです。その際はエルガーの協奏曲を弾いたのですが、ノリントンと共通のイメージを作ろうと、なるべく彼の意見を受け入れました。演奏自体は上手くいったと思うのですが、自分としてはあまり納得がいきませんでした。

僕自身は、曲によって付けるビブラートの数を決めます。バッハの曲は内向的で、それほど音楽を「見せる」必要はないと思うのでほとんど付けませんが、ロマン派の曲では、やはりビブラートを付けた方が雰囲気を出せると思っています。

自然な状態で、音楽を感じながら弾く

1日にどのくらい練習されるのでしょうか。

必要なときは、1日8時間くらい弾くこともありますね。もちろん、コンサートで移動があるときはそんなに練習できませんが。また、疲れて体力が落ちているときなど、夜まで練習しない日もありますが、そんなときでも「弾かなければ……」「申し訳ない」という思いが心のどこかにあります。

楽器の演奏は、まさに「体力勝負」なのですね。

音楽家だって人間なので、疲れることもあります。弾く気になれなくても練習しなければいけないときは、最も難しい部分だけを集中して弾いたり、逆に調子が良い日は細部まで練習したりします。どのくらい練習が必要なのかは自分が一番良く分かっているので、自然と練習の時間は決まりますね。また、緊張すべきところで力を入れて、そうでないところはリラックスして弾くことを心掛けています。

練習はプログラミングのようなもので、それによって体はもう弾き方を覚えています。ですから舞台では自分を信じ、音楽を感じながら弾きます。自然な状態で音楽を感じることができるときに、一番良い音が出るのです。

楽器の個性を大切に

ハードな練習で、そして本番で、石坂さんが毎日付き合う楽器も気になります。現在使われているチェロの一つは、日本音楽財団から貸与されている1696年製ストラディバリウス *4 の名器だそうですね。

毎年、日本音楽財団に自分のプロフィールや演奏活動スケジュール、デモテープに、楽器を使いたい理由を添えて送ります。それを財団が見て判断し、貸与が決まります。今、貸与されている楽器はもう6年ほど使っています。

楽器との関係は、人間との関係と同じ。楽器には個性があり、自身のプライドもあるようなので、喧嘩っぽくなることもありますね。また日によって、あるいは天候によって出る音が変わってくるので、楽器の調子に合わせて弾くことが大切です。コントロールしようとしすぎると音を潰してしまうので、常にコミュニケーションを図りながら、楽器に対してオープンに接しています。

今使っているチェロとは、仲良しですね(笑)。何より、音が奇麗です。

そんな相性の良いチェロと共に、1年間でどのくらいの数のコンサートをこなされていますか?

昨年はオーケストラ、室内楽、リサイタルで60~70回くらいですね。いつも同じ曲を弾くなら、もっと数を増やせるのでしょうが、演奏プログラムを考えなければならないので、回数的にはそのくらいで十分という感じです。

石坂団十郎

ロマン派が好き、でも最近はジャズやタンゴも

好きな作曲家、好きな楽曲について教えてください。

ロマン派、特にシューマンが大好きです。彼は妻のクララと付き合い始めた当初、クララの父が厳しかったこともあり、内密な交際をしていました。その間に作られた曲には寂しさや孤独感が表れていて、それがすごく奇麗なのです。ほかには、シェーンベルク *5 の「浄められた夜」。あれは最高ですね。デーメルの詩 *6「浄夜」を基に作られたとてもロマンティックで奇麗な弦楽曲です。

バッハの「無伴奏チェロ組曲」や「ブランデンブルク協奏曲」「バイオリン協奏曲」も良いですね。それから、ペンデレツキ *7 などの現代曲も好きです。今、ミヒャエル・デンホフという現代ドイツの作曲家が僕のためにチェロの曲を作ってくれています。

クラシック以外の曲を聴くことはあるのですか?

以前はクラシック以外の曲は全く聴かなかったんですが、最近、友達に勧められてジャズを聴くようになりました。あと、マイケル・ジャクソンとかも。「Thriller」とか「Bad」とか、踊りが格好良いですよね。彼が天才だったということも分かってきました。

タンゴも好きかな。最近、アルゼンチンのピアニストと、ピアソラ *8 が作曲したチェロとピアノのための曲でタンゴ・デュエットもしたんですよ。いつかはタンゴ・リサイタルもやってみたいですね。

どんな感情も、音楽で表現できる

石坂さんにとって、ずばりチェロの魅力とは何ですか?また、音楽家であることの醍醐味とは?

石坂団十郎魅力はやはり、音の美しさですね。チェロの音色は、どこか人間の声に似ている気がします。そして音楽の持つ力。悲しいときに音楽を聴けば落ち着き、苦しい状況のときに聴くと希望がわきます。

例えば、ロシアで市民が国家による圧政を受けていた時代、音楽は人々の望みでした。音楽がなかったら市民は生きていられなかったかもしれません。音楽は人に考えることを促す存在でもありますからね。それほど音楽の力は強く、「Lebenslust(=生きる喜び)」であると言えます。

音楽家の醍醐味は、人間のどんな感情でも表現できることです。チェロの演奏をするとき、僕は自分の感情を表現し、観客と一体になり、音楽を「体感」することができます。言葉では表現できないことを演奏によって表し、また弾くことの中から新たなイメージがわいたりもします。

もちろん日によって感情も体調も異なり、経験から「今日の演奏はこんな感じになるだろう」と予測できるものではありません。あまり集中できないときもあれば、全く期待していなかったのに、自然に良いイメージを膨らませて弾けるときもあります。

常に音楽と向き合っていらっしゃいますが、音楽家であることから離れることはあるのでしょうか?

休みの日は映画を観たり、友達に会ったり、本を読んだり、卓球をしたりして過ごしています。たまにスキーや山歩きもしますね。父が昔、スキーのインストラクターをしていたということもあって。そのほか、リラックスするために最近はヨガもやっています。

音楽がずっと絶えないように……

今後、新たに挑戦してみたいことはありますか?

そろそろ教える立場に立っても良いかなと思っています。これまでは自分のことで精一杯で叶いませんでしたが、教えるからには自分の教え子に責任を持ちたいと思いますね。もちろん、まだ少し先の話ですが。今後も、オーケストラとの演奏や室内楽は続けていきたいです。

最後に、ニュースダイジェストの読者にメッセージをお願いします。

北極の氷が年々溶けているのと同じように、近年人々のクラシック音楽に対する興味が薄くなっています。30、40年後、今と同じようにコンサートを聴きに行けるかどうか、保証はありません。ですから、私たちの後の世代もずっと音楽を聴き続けられるように、音楽がなくならないようにしてほしいと思います。ぜひ演奏を聴きに行ってください。「音楽は(想いを表現する)言葉のようなもの」ということを未来の世代に伝えるために。

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石坂さん「どうも、はじめまして。石坂です」── インタビュー前、そう言いながら満面の笑みを投げ掛けてくれた石坂さん。若き偉才チェリストとして世界が注目する音楽家の気さくさに、緊張で凝り固まっていた体が一気にほぐれた。終始和やかに進んだインタビューだが、投げ掛けた質問すべてに予想通りの回答が返ってきたわけではない。音楽家として悩める姿も包み隠さず言葉にするのだ。褒め称えられる彼の技量・才能は、そんな音楽に対するひたむきで誠実な姿勢に裏付けられているものだと確信した。この先の道のりも決して平坦ではないかもしれない。しかし、音楽への揺るぎない情熱を強力な味方に、彼はこれからも弦を弾き続けるだろう。

石坂さんの演奏情報
www.danjulo-ishizaka.com

  • * 1:ボリス・ペルガメンシコフ(1948~2004)。ロシア(旧ソ連)出身のチェリスト。スイス・バーゼル音楽院、ベルリン・ハンス・アイスラー音楽大学などで教鞭を執った。
  • * 2:ピリオド奏法:モダン(現代仕様の)楽器で、ピリオド(作曲された当時)の演奏方法に則して演奏すること。
  • * 3:ロジャー・ノリントン(1934~):英国の指揮者。1997年からシュトゥットガルト放送交響楽団の首席指揮者を務める。
  • * 4:アントニオ・ストラディバリ(1644~1737):イタリア北西部・クレモナで活躍した弦楽器制作者。彼が制作した楽器は「ストラディバリウス」と呼ばれる。
  • * 5:アルノルト・シェーンベルク(1874~1951):オーストリアの作曲家。「浄められた夜」は1899年にウィーンで作曲された弦楽六重奏曲。
  • * 6:リヒャルト・デーメル(1863~1920):ドイツの詩人。「浄夜」などの代表作がある。
  • * 7:クシシュトフ・ペンデレツキ(1933~):ポーランドのユダヤ系作曲家、指揮者。代表作に「ルカ受難曲」「バイオリン協奏曲」など。
  • * 8:アストル・ピアソラ(1921~1992):アルゼンチンの作曲家。タンゴとクラシック、ジャズを融合させた。
2011年英国公演予定

2月12日(土)19:30
The Sands Centre
Carlisle CA1 1JQ
Tel: 01228 625222
www.thesandscentre.co.uk

料金 £28〜30
指揮 佐渡裕
演奏 BBCフィルハーモニック、 石坂団十郎(チェロ)
演目 ブリテン「歌劇『ピーター・グライムズ』より4つの海の間奏曲」、エルガー「チェロ協奏曲 ホ短調Op.85」、ドボルザーク「交響曲第9番 ホ短調Op.95」(新世界より)

3月12日(土)19:30
Wigmore Hall
36 Wigmore Street London W1U 2BP
Tel: 020 7935 2141
www.wigmore-hall.org.uk

料金 £12〜26
演奏 パベル・ハース・カルテット(Pavel Haas Quartet)、石坂団十郎(チェロ)
演目 シュルホフ「弦楽四重奏曲第1番」、プロコフィエフ「弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調Op.92」、シューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調 D956」
 

牧師、通訳者 園田邦夫さん - 先輩は知っている欧州で生きるヒント

牧師、通訳者 園田邦夫さん - 縦軸と横軸の両方を結ぶ存在でありたい - 先輩は知っている欧州で生きるヒント。

78歳。21歳で日本を飛び出してから、半世紀以上が過ぎた。英国で生業としてきたのは、牧師と通訳者という、異なる2 つの仕事。神との対話を「縦軸」、通訳者として実社会での会話を取り持つ作業を「横軸」のコミュニケーションと位置付けながら、ロンドンで長らく暮らしてきた園田邦夫さんに話を聞いた。
(Text : Masatoshi Nagano)

園田邦夫さん

1932年1月24日、東京都生まれ。鉄道省に勤める父親を含む家族の下で育つ。16歳でキリスト教徒に。日本聖書学院を中退後、通訳の仕事に携わり、21歳で米シカゴのホイートン大学に留学。同大在学中に、渡米前に日本で知り合った女性と結婚し、2人の子供をもうける。同大学及び大学院を卒業後、60年に渡英し、エディンバラ大学神学部博士課程へ進学。その後、在英日本人を対象とするキリスト教団体の責任者としての仕事を行うため、ロンドンに。同時に通訳者としての仕事を本格的に始め、日英の貿易摩擦交渉における通訳などを務める。

渡英される前、現在ほど英語が社会に氾濫(はんらん)していなかった時代の日本で、どのように英語を勉強されたのですか。

戦争中、福島県の中村というところに疎開していました。当時の日本では敵性語である英語を話したり教えたりすることが禁じられていた、という話をよく聞きますが、私が通った学校では、英語をきちんと教えていたのです。以来、英語の勉強が好きになって。英和と和英の小さい字引をズボンのポケットの中に入れて時間があるときにペラペラとめくったり、特定の日本人の友達とは英語で会話をしたり、といったことをしながら学生時代を過ごしました。

また、英語で話が聞けるという理由で、東京で開かれるキリスト教関係の集まりにもよく出掛けました。特に私の場合は、祖母がキリスト教徒で、父親も日曜学校に通っており、さらにはキリスト教系である立教大学に通う従兄が東京の自宅に下宿するなど、キリスト教に親しみを持ちやすい環境で生まれ育ったものですから。そのうち、現在は廃校になった日本聖書学院という学校に通うように。先生は半分以上が宣教師、授業も英語という環境で寮生活を1年間続けました。

海外に渡られたきっかけは何ですか。

父が交通事故に遭い、私が働きに出なければいけなくなったので、日本聖書学院を中途退学しました。その後しばらくは宣教師の通訳の仕事などをしながら過ごしたのですが、やはり学校に行きたいと希望を伝えると、当時お世話になっていた宣教師の方が、米シカゴ郊外のホイートン大学という、神学では名の通った学校への進学を勧めてくれたのです。

当初は船で行く予定でした。でも渡航する1953年、ちょうど東京で世界伝道者会議というものが行われて、その出席者を運ぶチャーター機が日本に来ていたのです。帰りの便に席があるからということで、そのチャーター機に乗って行くことになりました。羽田から飛んで、給油のために三沢基地とアリューシャン列島のシェミア島に立ち寄って、カナダのバンクーバーに到着。そこから、知り合いの車に乗せてもらって。交代で運転しながら、シカゴまで4日ぐらい掛けて行きました。

日本家屋にて
エディンバラでの展示会で紹介された日本家屋にて

サッチャー首相と
隣に立っているのは、英国のサッチャー首相(当時)

1カ月を40ポンドで生活する時代

その後、どうして英国に来ることになったのですか。

米国では4年間大学、3年間大学院に通って、修士号を取りました。その後、私がとりわけ関心を持っていたバルト神学の研究で実績のあるエディンバラ大学の神学部に通うことになったのです。

今から50年程前の話です。その頃には私には妻との間に子供がおり、家族4人でのホテル住まいを始めました。エディンバラ大学の学費が、1年で30ポンド。家族4人が何とか住める2 部屋の家賃が、週3ポンド10シリング。ちなみに当時、1ポンドは1080円でした。1カ月を40ポンドぐらいで生活するという時代です。今から思うと、信じられないくらい物価が安いですね。当時はもちろん安いとは感じませんでしたが。

エディンバラの街中は家賃が高く、やがて郊外のマッセルバラという海岸に近い町に越しました。ホテルにはガスのストーブがあるけれど、コインを入れないと起動しない。見付けたアパートには、セントラル・ヒーティングがない。洗濯機がない。冷蔵庫もない。こりゃ大変なところに来たなと思いましたよ。

エディンバラに移ったばかりの頃は、苦労されたのですね。

苦労というよりも、ぜいたくはしなかったという意識です。私たちには、日本での戦時中における食糧難の経験があるでしょう。人間というのは、生活水準が横ばい、もしくはほんの少しでも上がっているときは、まあまあの生活と思えるんじゃないかな。苦労っていうのは、そうした水準が下がるときに感じるものなのではないでしょうか。

日本人墓地で牧師として礼拝
ロンドンの日本人墓地で牧師として記念式を行う園田さん

子供を育てた、というよりも、育っちゃった

海外での子育ては苦労されなかったのですか。

エディンバラに着いたとき、長男は5歳、次男は2 歳でした。さすがに順応性が高くて、すぐにスコットランド訛りの英語を話すようになりましたね。もちろん、現地の学校に通いました。「現地校」と「日本人校」という区分けすら、当時は存在しなかったと思います。「現地校」なんて概念は、英国における日本人の人口が一定数に達して日本人校ができてからのことでしょう。

博士課程では、授業に出る必要はほとんどなく、論文を書くのが日課です。学校の図書館に行き、上部にすすが溜まっている本を取り出して、家に持って帰って資料を読んだり、論文を書いたりしていました。研究活動をしながら子供を育てた、というよりも、育っちゃったというのが実感です。

ロンドンで生活を始めたのはいつ頃ですか。

ロンドンには、戦前から「ジャパニーズ・クリスチャン・ユニオン」というグループがありました。ただ、日本語で礼拝を行える牧師がなかなかいないというのが悩みの種となっていたのです。だから私にお呼びが掛かったという形かな。論文を終わらせずに、ロンドンで働くことにしました。主な仕事は、教会での説教と家庭集会への出席です。誰かのお宅に集まって聖書を一緒に読んだりする集会に、よく牧師として顔を出していました。

今ほどロンドンに日本人がいない時代です。当時は、在英日本人の名前を記したガリ版刷りの名簿を日本大使館が発行していましてね。正月になると、その名簿に登録されている方々と一緒に大使館の公邸に招待されて、お節料理をごちそうになったりしていました。今は日本人の数が多すぎて、とてもじゃないけどそんなことできないでしょう。

通訳の仕事はどのようにして始められたのですか。

牧師としては、給与といってもわずかな額しかもらえません。ですから、何かアルバイトをする必要がありました。当時はちょうど、日英の貿易摩擦 *が起きていた時代です。最初に問題となったのは、皮肉なことに、摩擦をなくすために開発されたボール・ベアリングに関する貿易摩擦だったんですよ。それからオーディオ機器、自動車と貿易摩擦の火種が次から次へ移っていって。そうした交渉が頻繁に行われるために、通訳の仕事への需要は常にありましたね。

教会とは全く関係のない、別の仕事をしたいと思っていたときでもありました。牧師の仕事というのは、ある意味で、神と人という縦軸のコミュニケーションです。しかし、キリスト教を象徴する十字架には、横軸もある。横と横を結ぶ、つまり人と人、会社と会社、国と国の仲直りといった作業に携わりたかったのです。横軸がないと、現実的な世界をきちんと理解できませんよね。「神の愛」を説明するためには、横軸、つまり社会的な意味における愛が何であるかを理解していないといけません。幸いなことに、日本で多少通訳の仕事をした経験が私にはありましたから、この仕事に本腰を入れて取り組むことにしました。

ロンドンでは自分のペースで生きられる

貿易摩擦の会議の雰囲気はどのようなものでしたか。

私は英国の在住者でしたので、交渉の席では英国側の通訳として雇われることが多かったです。ただ日本側が通訳を用意できないときは、日英の両方の通訳を兼任するという状況もありました。交渉内容が漏れることを避けるために、この種の会議では基本的に事前の打ち合わせは行いません。ですから、まあ大変でした。

実際のところ、交渉のためにわざわざ日本から渡英するような方は、通訳なしでもある程度は英語を理解できます。ただ通訳を挟むことで同じ内容を2 度聞く、つまり考えをまとめる上での時間稼ぎをすることができるわけです。英語が分かる人に向かって通訳するという、少し奇妙な側面を持つ仕事でした。

なぜロンドンに永住しようと思ったのですか。

貿易摩擦の会議は色々な場所で行われます。例えば、今年ロンドンで開催したら、来年は日本。その次は日本と英国の中間ということで、メキシコになったりする。そんな風に世界各国を飛び回るような仕事を続けるに当たって、ロンドンは移動するのに非常に便利な場所なのです。

また英国ですと、年を取ってもくつろげるでしょう。日本に帰ると、親戚(しんせき)付き合いとか面倒くさいですよね。日本に帰省する度に、家内と「早く英国に戻ろう」とよく愚痴ったものです。英国にいれば、好きなことを考えて、好きなことを言える。言い換えれば、自分のペースで生きられる気がするのです。年を重ねてくると、医療費が無料というのも安心ですしね。

健康を保つ秘訣を教えて下さい。

あえて言うとすれば、筋肉って使わないと弱くなってしまうでしょう。体は使わないと駄目です。例えば、私は白内障の手術をしていて、目の調子がよくありません。だから目を大事にする、という考え方が一つにある。そのとき、私は「やがて見えなくなるかもしれない。だから、今見られるものは全部見る」という考え方をするのです。今やれることはどしどしやる。コンピューターの操作も色々と調べながらできるようになりましたし、周囲を不安にさせながらも、高枝の伐採なども自分でやっています。やれることをできるうちにやる、というのが丈夫でいられるための秘訣(ひけつ)と言えるのかも知れません。

海外生活を送る日本人に何かアドバイスをいただけますか。

外国で生活を送ると、最初は何をするにしても難儀だなと感じるものです。しかし、しばらくたつと、海外生活もそれほど捨てたものじゃないな、とその楽しみ方が分かってきます。ところが、楽しみ方が分かってきたなと思った途端に、またけしからんと思う出来事に遭遇する。そんな具合に、まさにらせん状態で毎日が進んでいくのが海外生活だと思うのです。そうやってぐるぐると回っているうちに、住む国の本当の良さが分かってくるのではないでしょうか。

* 1960~80年にかけて、日本の経済は高度経済成長を遂げた。この期間に、円安状態のままで日本の高品質の商品が米国や欧州に流れ込んだために、日本は米英両国を始めとする当時の先進国と貿易摩擦を起こしていた。


ドイツ

フランス

 

英国のクリスマス・マーケット

英国のクリスマス・マーケット

氷点下の気温が何日も続き、例年よりも
一段と厳しい寒さを感じる、今年の英国の冬。
寒過ぎて外出する気にならない、
もしくは暖かい場所へと行きたいのに
家族や仕事の都合で
年内いっぱいは遠出ができないという人に
お勧めしたいのが、クリスマス・マーケットだ。
ドイツのクリスマス・マーケットを取り上げた先週号に続き、
より気軽に出掛けることができて、
本場ドイツの雰囲気を味わうことができる、
英国のクリスマス・マーケットを紹介する。

クリスマスマーケット地図

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バーミンガム

英国で最大規模のマーケット
Birmingham’s Frankfurt
Christmas Market and Craft Fair

Birmingham’s Frankfurt  Christmas Market and Craft Fair

180ものストール数を誇る、英国最大規模のクリスマス・マーケット。工業都市として知られるバーミンガムが、なぜこれほどまでに華やかなクリスマス・マーケットを有するのかと言えば、本場ドイツのフランクフルトと40年以上にわたって姉妹都市の関係を結んでいるから。スパイスを利かせた温かなグリュー・ワイン、ぷりぷりのソーセージ、手袋をはめた手で掲げる大きなジョッキに注がれたビール、かわいい結び目のついた焼き菓子プレッツェル……。ストールに並ぶのは、どれも冬景色に似合うものばかり。本場の息吹を感じられるはず。

期間 2010年12月23日(木)まで
時間 10:00‐21:00
場所 Victoria Square, New Street
行き方 Birmingham New Street駅から徒歩5分
ロンドンから ロンドンのユーストンもしくはマリルボーン駅から電車で1〜2時間20分
ウェブサイト www.birmingham.gov.uk/frankfurtmarket

セルフリッジズ
セルフリッジロンドンにもある、今はクリスマス・ショッピングで賑わう大型デパート。革新的なデザインを広める建築事務所フューチャー・システムズが設計を手掛けた。
時間は下記ウェブサイトを参照
www.selfridges.com

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エディンバラ

趣きの異なるマーケットがいっぱい
Edinburgh’s Christmas Markets

Edinburgh’s Christmas Markets

エディンバラの冬と言えば、派手な新年のお祝いで有名。現地語では「ホグマニー」と呼ばれる大晦日のカウントダウンで打ち上げられる花火は、国内最大級となっている。それまでの準備期間となるクリスマスには、市内中心に複数のマーケットが並んで極寒の景色を暖かく彩る。サーモンなどのスコットランドの名産物に興味がある人は、市内中心に設置された「Traditional Highland Village」へ。またフランクフルトの店舗を呼び寄せた「German Christmas Market」もある。さらに土曜日に開かれるファーマーズ・マーケットもありと、まさに買い物し放題だ。

Traditional Highland Village
期間 2011年1月4日(火)まで
時間 日〜水10:00‐20:00、木〜土10:00‐22:00
場所 East Princes Street Gardens
行き方 Waverley駅から徒歩5分
ロンドンから ロンドンのキングス・クロス駅から電車で約4時間30分

その他のマーケットについては下記のウェブサイトを参照
www.edinburghschristmas.com

エディンバラ城
エディンバラ城街の象徴的な存在となっている、エディンバラ随一の観光名所。岩山の上に立っていることから、キャッスル・ロックとの別名を持つ。大晦日及び元日もオープンしている。
時間: 9:30‐17:00 £9.90〜
www.edinburghcastle.gov.uk

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カーディフ

その歴史は中世から始まった
Cardiff Winter Fair

Cardiff Winter Fair

1世紀半ばから建設され始めたという、歴史あるカーディフ城の前に設えられたクリスマス・マーケット。同地に残された記録によると、既に中世の時代には同城の前でマーケットが開かれていたというから、その伝統には年季が入っている。また同城から徒歩5分ほどの距離にある市庁舎の前では、アイススケート場や観覧車といった娯楽施設を用意した「Cardiff Winter Wonderland」が開催。大晦日のカウントダウンが行われるのはこの場所で、現地語で新年のお祝いを意味する「Calennig」では、大盛り上がりを見せることになる。

期間 2010年12月23日(木)まで
時間 月〜土10:00‐18:00、木20:00、日10:00‐17:00
場所 High Street, St John's Street, Working Street
行き方 Cardiff Central駅から徒歩10分
ロンドンから ロンドンのパディントン駅から約2時間
ウェブサイト www.cardiffcastlequarter.co.uk/winterfair.html

ウィンター・ワンダーランド 時間などの詳細は、下記ウェブサイトを参照 www.cardiffswinterwonderland.com

カーディフ城
カーディフ城最初の建設から約2000年の歴史を誇る古城。19世紀に当時の人気建築家ウィリアム・バージェスが現在のビクトリア様式に改築した。
時間: 9:00‐17:00 £10.50
www.cardiffcastle.com

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ロンドン

ロンドンで最も巨大な
冬のエンターテイメント

Hyde Park Winter Wonderland

Hyde Park Winter Wonderland

ロンドン市民の憩いの場として知られる巨大な公園ハイド・パークに突如として出現した、クリスマス・マーケット。広大な敷地内に木組みの小屋が立ち並ぶ様は、暖かな異国情緒を醸し出している。また併設された移動遊園地のアトラクションも充実。ロンドン中心部に設置されるものとしては不釣合いとも思えるほどに、本格的なジェットコースターや大観覧車、サーカスのテントまでが設営されている。エリアの中央に位置するステージでは、歌手やDJ、聖歌隊による生ライブが随時行われているので、ワインやビール片手に大勢で盛り上がるにも最適。

期間 2011年1月4日(火)まで
時間 10:00‐22:00
場所 Hyde Park, Serpentine Road, London W2 2UH
行き方 Hyde Park Corner駅から徒歩2分
ウェブサイト www.hydeparkwinterwonderland.com

ウィンター・ワンダーランド 時間などの詳細は、下記ウェブサイトを参照 www.cardiffswinterwonderland.com

ハロッズ
ハロッズ売場総面積が10万平方メートル以上あるという、ロンドンで最大の大型デパート。クリスマス時期のイルミネーションと、年末年始のセールはもはやロンドンの風物詩。
時間: 月〜土10:00‐20:00
日11:30‐18:00 www.harrods.com

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ロンドン

ロマンティックなクリスマスを求めるなら
Covent Garden Christmas Love Market

Covent Garden Christmas Love Market

欧米では、「男の子は、ヤドリギの下にいる女の子にキスをしてもよい」という言い伝えがある。おとぎ話の世界を彷彿とさせるこの慣習を現実の世界に再現してみせたのが、ロンドン中心部コベント・ガーデンにあるフード・マーケットのクリスマス。特設のヤドリギの下でキスを交わせば、5万個の照明が一斉に点灯し、広場を明るく照らし出す仕組みになっている。気恥ずかしささえ乗り越えれば、まるで映画の主人公にでもなったかのような気分を味わうことができるだろう。また日本で暮らす家族に送るビデオ・メッセージの撮影も可。本物のトナカイとの交流も楽しめる。

期間 2011年1月3日(月)まで
時間 時間は下記ウェブサイトを参照
場所 Covent Garden Piazza, London WC2E 9DD
行き方 Covent Garden駅から徒歩3分
ウェブサイト www.coventgardenlondonuk.com

Oliver! The Musical
Oliver! The Musical英国人の間で最も愛されるクリスマス・ストーリー、「クリスマス・キャロル」などの名作を残した、文豪チャールズ・ディケンズの小説を原作とする心温まるミュージカル。
時間: 月〜土19:30 水・土は14:30よりマチネあり £17.50〜65
www.oliverthemusical.com

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ロンドン

河岸の夜景を肴に飲む美酒の味は?
Cologne Christmas Market

Cologne Christmas Market

クリスマス・マーケットが街の名物となっている、ドイツ西部ケルンのマーケットを模したものがロンドンのサウスバンクに出現。ジンジャー・ブレッドやジャーマン・ポテトなど体が温もる食べ物から、木彫りの人形といったご当地の名品が揃う。また際立っているのが、何と言ってもその立地。周囲には、ナショナル・シアターやロイヤル・フェスティバル・ホールといった一流の芸術施設が並んでいるので、そうした場所への行き帰りに立ち寄るのに大変便利。ロンドン・アイから続くテムズ河の夜景をつまみにして、ビールやワインをおいしく嗜むことができる。

期間 2010年12月23日(木)まで
時間 月〜木11:00‐20:00、金土10:00‐22:00、日10:00‐20:00
場所 Queen's Walk, Southbank Centre London SE1 8XX
行き方 Waterloo駅から徒歩5分
ウェブサイト www.xmas-markets.com/en

La Soiree
La Soireeサウスバンク・センターの裏に、期間限定で特設テントを設置。サーカスとキャバレーが一体となった、大人の遊び。
期間: 2月27日(日)まで
時間は下記ウェブサイトを参照 £15〜65
www.la-soiree.com

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ロチェスター

本場ドイツの文化を英国様式で
Dickens Christmas Market

Dickens Christmas Market

文豪チャールズ・ディケンズが暮らしたイングランド南東部の街、ロチェスター。大作「大いなる遺産」の舞台となるなど、ディケンズに縁の深い街として知られることから、彼が生きたビクトリア朝時代の文化をテーマとした催しを頻繁に開催しているこの街が、クリスマスにもビクトリア様式の趣向を凝らしたマーケットを開催する。ロチェスター城とメドウェイ河に囲まれたハイ・ストリートに広がるのは、やはり本場ドイツ式のクリスマス・マーケット。その中をビクトリア朝のコスチュームに身を包んだ人々が時折練り歩く様は、なかなかシュールだ。

期間 2010年12月19日(日)まで
時間 日〜木10:00‐19:00、金土‐21:00
場所 The Castle Grounds, Rochester, Kent ME1 1SX
行き方 Rochester駅から徒歩15分
ロンドンから ロンドンのチャリング・クロスもしくはビクトリア駅から電車で約1時間
ウェブサイト www.dickenschristmasmarket.com

ロチェスター城
ロチェスター城現英国王室の開祖と言われるウィリアム征服王によって、12世紀前半に建設された要塞。ロチェスターは、この城を中心としてできた城下町となっている。
時間: 10:00‐16:00  £5
www.english-heritage.org.uk

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ウィンチェスター

子供たちが喜ぶ仕掛けがいっぱい
Winchester Christmas Market

Winchester Christmas Market

英国最古のパブリック・スクールなどの歴史的建造物が立ち並び、中世の雰囲気を現在まで保つ街、ウィンチェスター。この街の観光名所となっている、ゴシック様式の大聖堂としては欧州で最長の身廊を持つウィンチェスター大聖堂が、クリスマス・マーケットを主催している。100以上のストールが揃う規模の大きさに加えて、このマーケットを特徴付けているのが、催し物の多彩さ。敷地内では、聖書で描かれたクリスマスの物語の登場人物やサンタクロースに会える空間、さらにはアイススケート場があるので、子供たちは大喜びのはず。

期間 2010年12月19日(日)まで
時間 月〜金10:00‐16:30 土11:00‐15:00
場所 The Close, Winchester SO23 9LS
行き方 Winchester駅から徒歩15分
ロンドンから ロンドンのウォータールー駅から電車で約1〜1時間半
ウェブサイト www.winchesterchristmasmarket.co.uk

Peter Pan the Pantmime
Peter Pan the Pantmime欧州で年末年始にかけての恒例行事となっているのが、パントマイムという大衆演劇の観賞。英国の児童作家J.Mバリー作の人気作品「ピーターパン」が上演される。
期間: 2010年1月3日(月)まで
時間は下記ウェブサイトを参照 
£10.50〜20
www.theatre-royal-winchester.co.uk

 

本場ドイツのクリスマス・マーケットへ行こう!

本場ドイツのクリスマス・マーケットへ行こう!心躍るロマンチックな空間

本格的な冬の訪れとともに、英国各地でクリスマス・マーケットが幕を開けた。凍てつくような寒さのなか、そんなマーケットをそぞろ歩くと目に付くのが、焼きソーセージやジャーマン・ポテトなど、ドイツ名物の数々。クリスマス・マーケット発祥の地と言われるドイツでは、世界に名だたる巨大マーケットから、地方色あふれるアットホームなものまで、趣向を凝らした様々なマーケットが、世界各国から訪れる人々をやさしく包んでくれる。英国に滞在しているうちに一度は訪れたい、本場ドイツのクリスマス・マーケットを一挙ご紹介。 (ドイツ・ニュースダイジェスト編集部)
必見!有名どころのマーケット
まずは、「ザ・クリスマス・マーケット」とも言えるほど世界的にも名高いマーケット、そして交通の便も良い主要都市のマーケットからご紹介しよう。華やかさ、賑やかさを求める人には打ってつけのスポットだ。

ドイツ・クリスマスマーケット地図

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1クリスマスを飾るアートにご注目
Hamburg ハンブルク

アクセスロンドンから飛行機で約1時間40分

ハンブルク

例年、年明けに全国の各自治体からドイツ通商連盟に寄せられる都市マーケティング・コンセプトの中で、ハンブルクの市庁舎前のクリスマス・マーケットは本年、「ストア・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。ハンザ都市ハンブルクが今冬展開するのは、商業性よりもアート性を前面に押し出したマーケット。南チロル地方の手工芸品を始め、芸術品としても価値の高い品々がお目見えする。アドベント期間中の毎週日曜には、クリスマス・パレードも開催され、天使や妖精、トナカイなどに仮装した地元の人々が市内を練り歩く。

Rathausmarkt
12月23日(木)まで
11:00〜21:00 金土〜22:00
www.hamburg.de/weihnachtsmarkt

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2首都ならではの規模の大きさ
Berlin ベルリン

アクセスロンドンから飛行機で約1時間50分

ベルリン

数あるベルリン市内のマーケットの中でも一番人気は、やはり小洒落た雰囲気のジャンダルメンマルクトだろう。市庁舎前の広場を埋め尽くす屋台の群れも見逃せない。首都のホットなクリスマス・シーンを満喫したい人は、ガイド付きで市内の主要観光スポットを巡るバス・ツアー「Lichterfahrt」に乗ろう!商業主義色の濃いマーケットに飽きたという人には、自然素材にこだわった飲食品・伝統工芸品が並ぶパンコウ地区コルビッツプラッツ(広場)の「アドベント・エコマーケット」がオススメ(アドベント期間中、日曜のみ開催)。

Gendarmenmarkt, Vor dem Roten Rathaus, Kollwitzplatzなど
期間、会場時間はウェブサイト参照
www.berlin.de/orte/weihnachtsmaerkte
* Lichterfahrtの詳細は www.bvb.net/196.0.html より

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3世界遺産が見守る光の海
Köln ケルン

アクセスロンドンから飛行機で約1時間20分

ケルン

街が誇る世界遺産「ケルン大聖堂」の足元に広がるイルミネーションの海は、一度見たら目に焼き付くほどの煌めき。広場の中心には、ライン地方最大のモミの木がそびえ立ち、その下のステージでは毎日、ケルンっ子たちによる音楽ライブが催される。このほか、ショッピング街にあるノイマルクトには70年代風に飾られた「天使のマーケット」、旧市街のアルター・マルクトには「家の精」を意味する「ハインツェルメンヒェン(Heinzelmännchen)のマーケット」など、個性豊かな名称のマーケットが市内7カ所に立つ。

Roncalliplatz am Dom, Neumarkt, Alter Marktなど
期間、会場時間はウェブサイト参照
www.koeln.de/tourismus/weihnachtliches_koeln

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4巨大スケートリンクで冬を満喫
Düsseldorf デュッセルドルフ

アクセスロンドンから飛行機で約1時間30分

デュッセルドルフ

ベルギーやオランダ、フランスなど、近隣諸国からも多くの観光客が訪れるデュッセルドルフのマーケット。市内の6カ所に立つマーケットが、街中を温かなクリスマス色に染める。今年のハイライトは、ホーフガルテンそばのグスタフ・グリュントゲンス・プラッツに設置される450㎡の広大なスケート・リンク。新鮮な冬の空気を受けながら、思う存分、氷上を滑ろう! 街の観光を兼ねて訪れるならヤン・ベレム像を囲む市庁舎前のマーケット、家族で楽しむなら子供向けの人形劇テントが立つシャドウプラッツのマーケットへ。

Marktplatz, Schadowplatzほか
12月23日(木)まで 11:00〜20:00 金土〜21:00
www.duesseldorf-weihnachtsmarkt.de

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5名物シュトレンの行進が見もの
Dresden ドレスデン

アクセスロンドンから飛行機で約1時間50分

ドレスデン

市内中心部のアルトマルクトに設けられる「シュトリーツェルマルクト(Striezelmarkt)」は、1434年以来続くクリスマス・マーケット。ここで試したいのが、マーケットの名の由来にもなっているドレスデンの名物シュトレン。シナモンの香り豊かで重厚感たっぷりのシュトレンは、クリスマスに欠かせないお菓子だ。ツリーのそばに立つクリスマス・ピラミッドの高さは約14mと、世界最大級。また、ツリー、ピラミッドとともに巨大なくるみ割り人形も佇んでいて、おとぎ話の中に迷い込んだかのような光景を目の当たりにすることができる。

Altmarkt
12月24日(金)まで 10:00~21:00 12月24日 〜14:00
www.dresden.de/striezelmarkt

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6高品質の手工芸品が大集結
München ミュンヘン

アクセスロンドンから飛行機で約1時間50分

ミュンヘン

マリーエンプラッツに登場するのは、約2万2000㎡の巨大な「クリストキンドルマルクト」。ここの特徴は、クリスマス・オーナメントが充実していること。約160件連なる屋台のうち、飲食品を提供しているのは20件にも満たず、ほかはすべて木製玩具や陶器、キャンドル、クロステッチなどの手工芸品を売るお店だそう。近年流行している、レーザー加工を施した写真入りのガラス玉デコレーションの製造技術を生で見られる屋台もある。その南方にあるリンダーマルクトには、クリッペ用の飾りの専門店が所狭しと並ぶ。

Marienplatz
12月24日(金)まで 10:00〜20:30 日〜19:30 
12月24日 9:00〜14:00
www.christkindlmarkt-muenchen.de

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7「クリスマスマーケット」の原型
Nürnberg ニュルンベルク

アクセスミュンヘンから列車で約1時間

ニュルンベルク

「世界一有名」と言われるニュルンベルクの「クリストキンドレスマルクト」には、世界中から毎年200万人以上の観光客が訪れる。荘厳なフラウエン教会を望む中央広場に雪が降れば、そこはメルヘンの世界に一変。ロマンティックな光景を堪能したら、名物のレープクーヘンやソーセージを召し上がれ。おみやげにはドライ・フルーツで作られた小人型のお菓子「ツベチュゲンメンレ(Zwetschgenmännle)」をどうぞ。地元産だけでなく、北欧やロシア、アジアなど世界各地の手工芸品を見られるのも職人の街ならでは。

Hauptmarkt
12月24日(金)まで 9:30〜20:00 金土〜22:00 日10:30〜 
12月24日〜14:00
www.christkindlesmarkt.de

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8モダンな金融街に息づく伝統
Frankfurt フランクフルト

アクセスロンドンから飛行機で約1時間30分

フランクフルト

欧州有数の金融街フランクフルト。伝統的なクリスマスとは縁がないと思われがちだが、ショッピング地域のツァイルからレーマー広場を抜けてマイン川へと至る街最大のマーケットの起源は、1393年にまでさかのぼるそうだ。切妻屋根が軒を連ねる屋台には、焼きソーセージや焼き栗、レープクーヘンなど定番のお菓子と並んで、文豪ゲーテも好んで食したという、マルチ・パンで作られたこの街のクリスマスの名産「ベートメンヒェン(Bethmännchen)も並ぶ。レーマー広場に佇む、無数の電球が散りばめられたツリーも見もの。

Römerberg, Paulsplatz, Mainkai
12月22日(水)まで 10:00〜21:00 日11:00〜
www.frankfurt-tourismus.de

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個性あふれる地方のマーケット
人ごみでごった返す大規模なマーケットは苦手という人、有名どころはもう押さえたと言う人は、素朴で味わい深い地方のマーケットを訪れてみよう。地元の人との触れ合いも、小さなマーケットの醍醐味の一つだ。

※ 本ページでご紹介したウェブサイトの中には、ドイツ語表記のみのものもあります。詳細の情報を得るには、www.germany-christmas-market.org.uk 、及びその他ウェブサイト等をご参照ください。

ドイツ地図 ドルトムント シュトゥットガルト

1Münster ミュンスター

アクセスロンドンから飛行機で約1時間30分

ミュンスター
Foto: Presseamt Münster /
Tilman Roßmöller

市内5カ所のマーケットのうち、最大規模のものが ベストファリア平和広場に展開する。また、ゴシック様式の市庁舎から行商人街(Kaufmannhäuser)へと伸びる歴史的な一帯からは、神々しささえ感じられる。

Platz des Westfälischen
Friedensなど

12月23日(木)まで
www.muenster.de/stadt/weihnachtsmarkt

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2Dortmund ドルトムント

アクセスロンドンから飛行機で約1時間20分

ドルトムント
Foto:Thomas Winkler, Lünen

高さ45m、国内最大のツリーがそびえ立つハンザプラッツに、300を超える屋台が建ち並ぶ。街を見下ろすように立つクリスマス・ツリーは、なんと1700本ものモミの木を組み合わせてつくられたものだというのだから驚きだ。

Hansaplatz
12月23日(木)まで
www.weihnachtsmarkt-dortmund.de

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3Essen エッセン

アクセスデュッセルドルフから列車で約30分

エッセン
Foto: Peter Wieler,
Essen Marketing GmbH

ケネディープラッツに立つマーケットは国際色豊か。国内は地元ルール地方からバイエルン、エルツ山地まで、国外はアフリカからオーストラリア、米国まで各地の名産が一堂に並ぶ。エキゾチックなクリスマスもまた一興だろう。

Kennedyplatz
12月23日(木)まで
www.weihnachtsmarkt.essen.de

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4Goslar ゴスラー

アクセスロンドンから飛行機でハノーファーまで約1時間30分、
ハノーファーから列車で約1時間30分

ゴスラー
©Goslar Marketing GmbH

北ドイツ最大級のゴスラーのマーケットの自慢は、40本の巨大なモミの木が作る「クリスマスの森」。凝った飾り付けの木骨家屋がずらりと並び、無数の灯りが煌めく中を歩けば、大人も子供も誰もがメルヘンティックな気分に浸れるだろう。

Marktplatz
12月29日(水)まで
http://weihnachtswald-goslar.de

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5Erfurt エアフルト

アクセスロンドンから飛行機で4時間〜(ミュンヘン経由)

中世の貴族たちが所有した絢爛な建築物と木組みの屋台のコントラストが魅力的なドームプラッツのマーケット。その中央に立つ等身大のクリッペや大聖堂前の大きなアドベント・クランツ(リース)、聖歌隊の演奏など、見どころ満載。

Domplatz
12月22日(水)まで
www.erfurter-weihnachtsmarkt.eu

6Leipzig ライプツィヒ

アクセスロンドンから飛行機で3時間30分〜(フランクフルト経由)

ライプツィヒ
©Leipzig Tourismus und Marketing
GmbH Foto: LTM-Andreas Schmidt

ライプツィヒのマーケットの始まりは、1767年。老若男女が楽しめるカルチャー・プログラムや飲食店が提供する品揃えの多さで根強い人気を誇っている。ギネスにも登録されている面積857㎡のアドベント・カレンダーは、まさに圧巻!

Marktplatz am Alten Rathaus
12月22日(水)まで
www.leipzig.de/weihnachtsmarkt

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7Zwickau ツヴィッカウ

アクセスライプツィヒから列車で約1時間30分

ツヴィッカウ
Foto: KULTUR Z. GmbH

エルツ山地の北麓に位置するツウィッカウは、ドイツが生んだ名作曲家、シューマンの生誕地として知られる。この街は、木製の手工芸品の名産地としても有名で、コルンマルクトのマーケットではデコレーションの工作教室が開かれる。

Kornmarkt
12月23日(木)まで
www.weihnachtsmarkt-zwickau.de

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8Bernkastel-Kues ベルンカステル・キュース

アクセスロンドンから飛行機でルクセンブルクまで約1時間15分、
ルクセンブルクから列車とバスで約2時間30分、
またはフランクフルトから列車とバスで約3時間30分

ドイツ・ワインの名産地モーゼル川流域にある田舎町ベルンカステル・キュール。ここのマーケットは、ドイツ人の間で密かな人気を集める穴場スポット。中世にタイム・スリップした気分で、昔ながらの素朴なクリスマスを垣間見られる。

Alter Marktplatz
12月19日(日)まで 
www.weihnachtsmarkt-bernkastel-kues.de

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9Ludwigsburg ルートヴィヒスブルク

アクセスシュトゥットガルトから列車で約15分

ルートヴィヒスブルク
Foto: Stadt Ludwigsburg

シュトゥットガルトの北方約12kmに位置する小さな街のマーケットは、街の象徴がバロック様式の2つの教会であることから、その名も「バロック・クリスマス・マーケット」。期間中の土曜にはフリードリヒ1世の行列も出現!

Marktplatz
12月22日(水)まで
www.ludwigsburg.de

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10Stuttgart シュトゥットガルト

アクセスロンドンから飛行機で約1時間30分

こちらは「世界最大のクリスマス・マーケット」が売り文句。マルクトプラッツとシラープラッツの2カ所合わせて270件以上に及ぶ屋台には、どれも眩いほどの電飾が施され、「世界一美しいマーケット」とも呼ばれるこの場所にふさわしい輝きを放つ。

Marktplatz, Schillerplatz
12月23日(木)まで
www.stuttgarter-weihnachtsmarkt.de

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11Augsburg アウグスブルク

アクセスロンドンから飛行機でミュンヘンまで約1時間50分、
ミュンヘンから列車で約45分

アウグスブルク
Foto: Amt für Verbraucherschutz und
Marktwesen Augsburg, Regio Augsburg,
Mark Steven Patrick/ Jürgen Windisch

ルネッサンス様式の市庁舎前ではマーケット期間中の毎週末、24人の可愛らしい天使たちが「天使の演奏会」を開き、市庁舎を大きなアドベント・カレンダーに変える。家族で一緒に楽しめる演劇などのプログラムも目白押し。

Rathausplatz
12月24日(金)まで
www.augsburger-christkindlesmarkt.com

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*アクセスはあくまで一例です。時期や交通手段によって時間は異なってきますので、ご注意ください。

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クリスマスマーケット攻略!

ドイツのクリスマス・マーケットは初体験という人はもとより、何度も訪れたことがあるベテランにも、意外と知られていないことはあるだろう。そこで、知っておけばマーケットをより楽しめる、豆知識をまずはご紹介。

グリューワイン

グリューワイン赤ワインにシナモンやチョウジなどの香辛料を効かせた、ドイツのクリスマスには欠かせないドリンク。マーケットを訪れたら、まずはシナモンの香りに誘われて、湯気の立つ屋台でゴクッと1杯いかが?冷え切った体を芯から温めてくれる。グラスはたいていデポジット制だが、地域、年、屋台によってデザインが異なるので、記念に購入するのも良いだろう。

ツリーに飾るガラス玉

ガラス玉屋台の中でも目を引くのが、凝った細工の施されたツリー用のガラス玉。その昔、飾りとして一般的だったリンゴや卵に代わり、この玉が登場したのは中世の頃。ガラス工芸で知られるテューリンゲンのガラス職人たちが、流行らなくなったネックレスに代わる新商品として考案したのが始まりだった。見ているだけで心ときめくガラス玉、おみやげにどうぞ。

クリスマスクリッペ

クリスマスクリッペキリスト降誕の場面を表すクリッペは1223年、フランシスコ修道会の創設者、アッシジの聖フランチェスコがイタリアのグレッチョという街で生きた動物を使ってキリスト生誕を祝ったことに由来する。マリア、ヨゼフ、キリストの3人を軸に、受胎告知の天使や羊飼い、羊、雄牛、ロバなどが加わるものもある。

クリスマスピラミッド

クリスマスピラミッド段々重ねのろうそく立ての頭にプロペラが付いたようなクリスマス・ピラミッドの発祥は、18~19世紀頃、エルツ山地の木工職人たちの発案で作られたと伝えられる。ピラミッドの各段には楽園やキリスト生誕、天使などをテーマにした場面が像で表現されている。周りのろうそくが灯されると、像や一番上の輪が回転する仕組み。


 

久石譲インタビュー

久石譲「音楽家」と「エンターテイナー」2つの自分を両輪にして駆け抜ける

日本の映画音楽を、芸術の領域へと押し上げた音楽家、久石譲氏。「となりのトトロ」「菊次郎の夏」「おくりびと」といった、同氏が手掛けた映画音楽の名作を集めたアルバム「メロディーフォニー」が、10月末に発売された。同アルバムの録音は、ロンドンで実施。過密日程を縫ってまでして、なぜ彼はこの地に来ることを選んだのか。その素朴な疑問に対する答えの中に、音楽家としての久石氏の思想が凝縮されていた。 (本誌編集部: 長野 雅俊)

Special Thanks to;
KGL(www.kgluk.com)/ London Symphony Orchestra(lso.co.uk

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7月16日、ロンドン北部、アビー・ロード・スタジオ。ビートルズのアルバム名に使われたことでロンドンの観光名所となった通りの前に立つ録音スタジオだ。久石譲氏はこのスタジオにて、英国が誇る名門オーケストラであるロンドン交響楽団と、最新作アルバムの録音を終えた直後だった。

ビートルズの4人が練り歩くジャケット写真が撮影された有名な横断歩道を渡り、白い建物の中へと入って受付を済ませると、地下の第一スタジオへ。優に数十メートルは奥行きがあると思えるホールの中央には、椅子と照明器具、そしてテレビ・カメラが設置されている。あとは、カメラの位置や配線の具合を確認しているスタッフが数人。ここで、日本で販売される予定の、久石氏のインタビューを内容とするDVDの収録が行われることになっていた。そのインタビューの場に同席することが許されたのだ。

収録開始の時間が近付くにつれて、久石氏のマネージャーや今回の録音作業に関わるコーディネーターといった人々の姿が揃い始めた。それまでしんとしていたスタジオに、足音や話し声が響くようになる。最後にジャケット姿の久石氏が現れると、DVDの取材班に軽くねぎらいの言葉をかけた後、用意された中央の椅子に腰掛けた。準備が整い、取材班が周囲の人間に携帯電話の電源を切るよう促す。一瞬の沈黙。その静寂の中に、久石氏の言葉が響き始めた。

シビアな環境に身を置けば、 客観的な自分が見える

あまり広くは知られていないが、久石氏は、ロンドンという都市と縁が深い。生まれて初めての海外訪問でロンドンを訪れたのが、25歳のとき。このときは、世界の名作映画音楽を集めたレコードの制作に関わるために1カ月半滞在した。また40代の頃には、約2年間にわたりこの地で生活を送っている。

ある時期は、本当にロンドンでばかりレコーディングを行っていましたね。それから10年ぐらいの期間を置いて、宮崎駿監督の「ハウルの動く城」の映画音楽を手掛けた際に、またロンドンに戻ってきました。「ハウルの動く城」は、まずプラハでチェコ・フィルハーモニーとの録音作業を行ってから、ロンドンのアビー・ロード・スタジオでリミックスして。ここ4、5年は、大事な仕事はロンドンで仕上げているんですよ。

今回は、録音の段階からロンドン交響楽団にお願いしました。日本のオーケストラだって、すごく優秀です。レコーディング作業そのものだけに限って言えば、日本で行っても何ら問題はないでしょう。ただ海外で、肌が違う、言葉が違う人と接していると、自分のテンションが上がるんです。言葉も宗教も違う人たち、さらには世界有数の音楽家の人たちに、自分の音楽をどういう風に受け止めてもらえるか。そして、自分が今どういうポジションにいるか。日本にいたら、世界の人々にどのように受け止めてもらえるか、分かりずらいですよね。こういうシビアな環境に身を置けば、客観的な自分が見えてくる。

あとはやっぱり、英国って、音楽のレベルが高い国なんです。僕らは音楽家なので、それが一番ですよ。例えば日本の電化製品は優れているって言われますよね。確かにわりと一般的な、安い商品に関してはレベルが高いかもしれない。でも音楽の世界におけるレコーディングの機材って、ほとんどが英国製なんですよ。「英国製」って聞いただけでは、とてもいい加減な代物に思えてきますけどね。でも、実はみんな英国製なの。

そんな機材を作ってしまう英国人たちがまたすごいと思う。あんまり英国人って働かないっていう印象がありますよね。でも音楽業界では、世界で最高峰の機材を英国人たちが作っているんですよ。「ロード・オブ・ザ・リング」も「ハリー・ポッター」も、サウンド・トラックはロンドンで録音していますよね。ハリウッド映画だって、一番大事な音楽はほとんどロンドンで録ってるんですよ。すると、やはりここは世界で一番良い音楽環境ということになる。ロンドンでのレコーディングを続けていると、そのレベルを絶えず意識させられます。

難しいものを難しく演奏せず、あくまでも音楽的に表現する

「25歳で初めて渡英したときには、夢のまた夢だったと思いますよ」と言う、ロンドン交響楽団を指揮しての録音作業。同作業に立ち会った関係者によると、久石氏はすべて英語で指示を出しながら、非常に和やかな雰囲気の中で作業を進めていたという。

ロンドン交響楽団とは、15年くらい前に、「水の旅人 侍KIDS」という映画のテーマ音楽を録ったんですね。また昨年には、前作となる「ミニマリズム」の録音も行いました。日本以外で音楽を表現できる場として、ロンドンでの活動がまた復活したというのがうれしいですね。

去年の「ミニマリズム」のときと全く同じように、演奏あるいは指揮をしながらロンドン交響楽団の皆さんに指示を出していくわけです。今年は一段二段と高いレベルでできました。非常に良い協調というか、お互い理解し合えた。演奏はやはり、1回目より2回目の方が、音楽上のコミュニケーションが増えるんですよね。例えば前作と同様に、マリンバの演奏で、非常に難しいところがあるんです。その部分に出くわすと、皆で「ああ、去年のデジャブだ」なんて言いながら、楽しみながら演奏していました。そういう意味では、コミュニケーションが上手くなっているんだと思います。

セッションは、1曲につき大体1時間半くらいの時間で仕上げていかなければなりません。その時間枠で仕上げるものとしては、今回、演奏する曲は難易度が高い。それをこのレベルでこなしてしまうロンドン交響楽団は、本当に豊かな力を秘めていると思います。難しいものを難しいように演奏するのではなくて、それをあくまでも音楽的に表現する。やはりこの辺は、さすが世界最高峰のオーケストラなのかなと感じましたね。

ときに難解とも受け取られる現代音楽の代表格であるミニマル・ミュージックに、音大時代からずっとこだわってきた。そのこだわりは、昨年にロンドン交響楽団との録音に臨んだアルバム「ミニマリズム」でついに具現化。そして今回、今度は映画・CM音楽の集大成となる「メロディーフォニー」の録音を、再びロンドンで行った。

ミニマリズム
2009年に発売したアルバム
「ミニマリズム」

私には、大きな夢が2つありました。一つは、芸術家としての自分が追い求める、ミニマル・ミュージックをテーマとしたアルバムを完成させること。この目標は、昨年の時点で「ミニマリズム」というアルバムを完成させることで実現しました。ただそれだけではなくてもう一つ、これもやはり自分が長年続けてきた映画音楽やテレビ・ドラマのサウンド・トラックに代表されるメロディアスな音楽を、オーケストラを使って録りたいと去年からずっと思っていたんですよ。つまり、作家としての自分と、メロディー・メーカーとしての自分の両方を生かしたいというか。去年の「ミニマリズム」の録音時に書いていたノートを引っくり返してみると、両方の種類の音楽についてのメモを残しているんですね。年が明けて考えてみて、やはりこれは両方あってこそ自分の姿ではないか、と強く思うようになって。「ミニマリズム」と「メロディーフォニー」の2つを持って、自分をすべて表現できるという気持ちです。

私にとっては、両方あって車の両輪みたいなものだから

勝手な思い込みであることは承知しながらも、久石氏にとっての2つの大きな夢がここロンドンで実現したことに、ロンドン在住者としての小さな喜びを感じた。同時に、「作家としての自分」と、「メロディー・メーカーとしての自分」という自身の2つの側面を、他人を分析するかのように、冷静に見つめているということに少し驚いた。その両極端な2つの側面を演出しようとするのであれば、対照性をより出すために、2つのアルバムを違う場所で、違うオーケストラを使って制作するという考えは浮かばなかったのだろうか。

いや、同じオーケストラを使って異なる音楽を演奏するからいいんですよ。というのも、私にとっては、ミニマル・ミュージックと、映画やテレビ・ドラマ、CMで使われることを念頭に置いて作曲した音楽の関係は、車の両輪みたいなものだから。作家性のある音楽をきちんと追求していきたいと思う自分と、エンターテイメントというか、大衆性を持つ音楽を皆さんに聴いていただきたいと願う2つの異なる自分は、いわば車の両輪なんです。ミニマル・ミュージックだけを作曲していたら、ロンドンでレコーディングする立場を築くのは正直言って非常に難しいですよ。ある意味では、エンターテイメントの分野で一般の方々からの支持をいただいているからこそ可能なことでしょう。

「メロディーフォニー」収録曲の選定に際しては、インターネットでの一般投票を呼び掛けた。収録曲には、「となりのトトロ」や「菊次郎の夏」といった日本映画の名作で使われた、おなじみの作品が並ぶ。メロディー・メーカーとしての久石氏の真骨頂だ。

ほぼベストに近い音楽ができたと思います。ただ昔の作品ばかりを並べただけではおもしろくないので、できるだけ去年、今年までに作曲してきたものも網羅しようと試みました。オーケストラ演奏における楽器の色々な使い方は年々上手くなっているのに、昔の作品は、オーケストラの編成が小さいままなんです。だから、そうした部分を変えたりしました。また映画音楽として作曲したときに、映画のサイズになったままの曲があるんです。それを今回まとめて、一つの音楽作品として聴けるようにするのも狙い。例えば「坂の上の雲」といった現在進行形でオンエアされているテレビ・ドラマの曲も、11~12分の曲としてまとめ直しました。あるいは「魔女の宅急便」。個人的には1回もきちんとレコーディングしていないんですね。けれども今回は、ロンドン交響楽団と合体する形で録音し直すことができました。

アビー・ロード・スタジオ
インタビューが行われたアビー・ロード・スタジオの第1スタジオ

疲れが限界を超えたときは、変に休まないで続ける

ビートルズの曲名にかけて、ロンドンでの日々を「『A Hard Day's Night』だった」と振り返るほどの過密日程。録音作業は、文字通り、朝から晩まで続けられた。その中でも久石氏は、寸暇を惜しんでピアノの練習を行っていたという。

レコーディングでこちらに来る直前まで編曲作業などを行っていたので、ピアノを触る時間が1日に1時間もなかったんですよ。ピアノは間違いなく練習量が比例してくる楽器ですから。通常だと1日7、8時間は練習するのに、今回は1時間くらいしかできなかった。

3日間にわたってオーケストラとのレコーディングがあり、その後に迎えたピアノ演奏の収録の日は、朝から別の録音作業を始めて、午後は50人くらいのコーラスを指揮して、疲労もピーク。それからピアノの演奏をするのは少し厳しいんじゃないかと思っていたんですが、その中でも実は起きていたんで。限界を超えているときは、変に休まない。確か夜中に4時間くらいぶっ通しでピアノを弾いてました。疲れているときは、ピークを超したらひたすら集中する。休まずにもうひたすらそこに向かったのが、良い結果になったのではないかと思いますね。

作曲家であり、指揮者であり、演奏家でもある久石氏は、ときに一人で何役をも同時にこなすことを求められてしまう。そうした音楽活動を、何十年にもわたって続けてきたのだ。朝早くからのレコーディング作業を終えた後、夜10時過ぎになってもピアノを弾き続ける久石氏の姿を見ていたというDVD取材班の一人が、「その意欲はどこから生まれるのですか」と尋ねた。

それは、あの、やりたいことがあるから。そして、一つやりたいことができたと思うと、必ずその次に何かが起きるんです。あそこがもうちょっとだったなあとか。そう思ったときに、コマーシャル音楽や映画音楽の作曲だったり、コンサートだったりといった仕事を利用しながら、自分のやりたいことを追求できる。たぶんコンサートを成功させることを目的としてやっていても、個人的に自分が音楽家として抱えている問題を解消しようともしているんですよ。

だから、休む必要がないんじゃないですかね。例えば今回のロンドン録音でも、僕はピアノのレコーディングが終わったら2日間お休みになったんですね。でも、休んでなんかいません。あれはもう、数カ月後に行われるクラシックのオーケストラ演奏の準備のための時間だと思っていましたから。次にやらなければいけないことを時間的に逆算すると、今はどの位置にいるかという目安が常に見えるし、今回はここを絶対にクリアするという課題は絶えずありますよね。それをこなす、チャレンジしていくという気持ちの方が強い。

もっと完成されたものを考えたい、もっとレベルの高いものをという思いはいつも根底にはあるのですが、結局はディテールの積み重ねなんですよ。一つひとつの仕事を区切りにしながら、一個一個調整をしていく。指揮者としてもきちんとしたものができるようになりたい。もちろん作曲家としても。そういうようなことを僕は考えちゃいますね。

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DVD取材班によるインタビュー収録を終えた久石氏は、束の間のコーヒー・タイムを取った後、またすぐに別のスタジオへと向かっていった。そして、改めて挨拶をしようと私たちがこの場所を訪れたときにはもう、同氏はレコーディングの編集作業に取り掛かっていた。自身の音楽活動を車の両輪に例えた彼は、その車輪をフルスロットルで回転させて、次の地点へと走り始めていた。

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久石 譲 ひさいし・じょう
作曲家、編曲家、指揮者、ピアニスト。1950年12月6日、長野県出身、国立音楽大学作曲科卒。同大在籍時から現代音楽の作曲家としての活動を始める。以後、「となりのトトロ」「崖の上のポニョ」といった宮崎駿アニメ作品や、「HANA-BI」「菊次郎の夏」などの北野武監督作品を始めとする映画音楽を多数担当。長野パラリンピック冬季大会では総合演出を務めた。2010年より、国立音楽大学の招聘教授に就任している。 www.joehisaishi.com
「Melodyphony」
Melodyphony世界最高峰のオーケストラ、ロンドン交響楽団の演奏で収録した久石譲のベスト・アルバム。インターネットの人気投票を参考に収録曲を久石氏自身が選んだ。「メロディー+シンフォニー」から生まれたタイトル「メロディーフォニー」の通り、メロディアスな美しい楽曲がラインナップ。昨年発表した現代音楽の作家としてミニマル・ミュージックを強く意識したアルバム「ミニマリズム」の対とも言える作品。

1. Water Traveller
(映画「水の旅人」メイン・テーマ)
2. Oriental Wind
(サントリー「伊右衛門」)
3. Kiki's Delivery Service
(映画「魔女の宅急便」より「海の見える街」)
4. Saka No Ue No Kumo
(NHKスペシャル・ドラマ「坂の上の雲」)
5. Departures
(映画「おくりびと」)
6. Summer
(映画「菊次郎の夏」メイン・テーマ/トヨタ「カローラ」)
7. Orbis
(サントリー1万人の第九)
8. One Summer's Day
(映画「千と千尋の神隠し」より「あの夏へ」)
9. My Neighbour TOTORO
(映画「となりのトトロ」 より「となりのトトロ」)

 

ロンドンで味わう各国料理レストラン

ロンドンで味わう世界の逸品 各国料理レストラン

ロンドンに暮らしていてありがたいことの一つは、実にお手軽に様々な国の料理がいただけること。ケバブに中華、インドにベトナムと、街を見渡せばそこここに各国料理が溢れ、既に行きつけのお店がある人も多いかもしれない。けれど今回は、そんな各国料理レストランの中でも、少々レアめの知る人ぞ知る名店に絞ってご紹介。新しい味との出会いに期待して、さあ、街に繰り出そう!

フォンデュでほっくり、和気あいあい
St. Moritz

St. Moritz

温かみのある木のドアを押して入ると、店内いっぱいにチーズの香りが広がり、赤いランプに照らされたテーブルと陽気なチロル音楽に、寒さにかじかんだ体が一気にほぐれていく。温和なオーナー、アーミンさんがオープンして36年、ロンドンで一番古いスイス料理レストランとして、愛され続ける存在だ。

Fondue moitié-moitié£15.60(2人前) Beef Oil Fondue£21.95(2人前)定番料理のフォンデュは、通常2人前が基本だが、ここではメニューのうち3種類が1人前からサーブ可能ということで、チーズ・フォンデュ「モティ・モティ」と、ビーフのオイル・フォンデュにトライ。前者にはパンとジャガイモ、後者には7種類のソースが付いて、量、味ともに飽きないよう工夫されている。 付け合わせにお勧めされた千切りポテトの揚げ焼き、「レシュティ」(3.50ポンド)も自慢の一品で、カリッとした香ばしさが後を引く、危険なおいしさだ。

周りを見渡すと、会話を弾ませるグループや親密そうなカップルなど、鍋を囲む笑顔はどれも居心地100点満点といった様子。これからの季節、心底暖まりたいときにぜひ。

写真)Fondue moitié-moitié £15.60(2人前)、Beef Oil Fondue£21.95(2人前)

店名 St. Moritz
住所 161 Wardour Street W1F 8WJ
TEL 020 7637 3347
営業時間 月〜金 12:00-15:00、18:00-23:30 土 18:00-23:30 日休
アクセス Tottenham Court Road/Oxford Circus 駅から徒歩5分
Website www.stmoritz-restaurant.co.uk

取材:Miki Yamanouchi


エネルギー・チャージに、豪快なアメリカン・バーベキュー
Bodean’s

Bodean’s

ランチ・タイムには行列ができる、活気溢れる50年代風アメリカン・ダイナー。オーク・チップを使い、直火でじっくり焼き上げたバーベキューが自慢だ。1階はデリ方式で、左手奥のカウンターで注文と支払いを済ませたら、右手に移動して頼んだ品を手渡してもらうシステム。地階は、背の高いブースが並ぶ落ち着いた雰囲気のレストランとなっている。各テーブルに置いてある特製ソースを付け足しながら、大人気のハンバーガーやリブに思いっ切りかぶり付こう。

Meat Platter £19.95バラエティーに富んだ肉料理が楽しめるのは、2人前から頼める
「ミート・プラッター」。コールスローやフライド・ポテトも付いて、がっつり食べたいときにもってこいだ。6種類の肉からなるこのプレートには、骨付きの巨大な「ジェイコブズ・ラダー」
(牛の腹あばら肉)、甘みのある「ベビー・ポーク・リブ」、柔らかくてジューシーな「プルド・ポーク」(豚肩肉のほぐし身)など、こだわりの部位が勢揃い。味わいの違いを楽しもう。

写真)Meat Platter for Two £19.95

店名 Bodean’s
住所 10 Poland Street W1F 8PZ
TEL 020 7287 7575
営業時間 月〜土 12:00-23:00 日 12:00-22:30
アクセス Oxford Circus駅から徒歩8分
Website www.bodeansbbq.com

取材:Miki Yamanouchi


エリトリア名物のもちもちパンにトライ
Mosob Restaurant

Mosob Restaurant

1990年代に隣国エチオピアから独立したエリトリア。その家庭料理を提供する、家族経営のレストランがこちら。古くは「スパイス・コーナー」と呼ばれたスパイスの交易地だけあり、パプリカやジンジャーなど数多くのスパイスをふんだんに使ったメニューが特徴だ。

主食は、「インジェラ」と呼ばれる厚みのあるクレープ状のパン。右手だけを使って少しずつちぎり、ラムの煮込みや生でいただけるビーフ、ほうれん草のオリーブ・オイル炒めなど、好みのメニューを包んでいただくのが伝統的なスタイル。それらが一同にプレートに盛り付けられた様子は、色鮮やかで見た目にもゴージャスだ。

カジュアルな雰囲気のテーブル席のほか、22人まで収容可能で、貸切りもできるラウンジもあるので、パーティーにも最適。フランスやオーストラリア産のワインなどを始めとしたアルコール類はもちろん、スパイスたっぷりの紅茶(1.75ポンド)など、ユニークなドリンク・メニューにも挑戦してみて。

写真)Qategna(チリ風味のインジェラ)£3.50〜、Zigni(中央のラムのシチュー)£8.95、Kitfo(手前右のビーフ)£8.95、Bebe'ainetu(シェフお勧めの野菜料理)£8.95など

店名 Mosob Restaurant
住所 339 Harrow Road W9 3RB
TEL 020 7266 2012
営業時間 月〜金 18:00-24:00 土日祝 15:00-24:00
アクセス Westbourne Park駅から徒歩5分
Website http://mosob.com

取材:Hiroko Yabuki


歴史を見守ってきた伝説のハンガリアン・レストラン
The Gay Hussar

The Gay Husser

賑やかなチャリング・クロス・ロードから一歩入ると、打って変わって落ち着いた雰囲気を醸すグリーク・ストリート。そこに、ハンガリー料理レストランとして重鎮の趣で店を構えるのが「ゲイ・ハッサー」だ。店名は、「ハンガリー軍の騎士」という意味。1956年に創業後、詩人T.S.エリオットなどの文芸人を引き付け、やがて労働党の知性派左翼が常連となる。多くの政変構想が練られたのもここ。

キャベツの肉包み室内を見渡すと、壁には風刺漫画家による政治家ポートレートが並び、本棚には彼らの自伝本がサイン入りで収められている。食事も長年愛されるメニューがずらり。キャベツの肉包みは、ゆっくり煮込まれた優しい味を、サワー・クリームの酸味とベーコン & ソーセージの塩気が引き立てる。前菜のニシンのマリネ(5.25ポンド)は、脂の乗った大きな切り身がワインと良く合い、すんなり胃袋に収まってしまう。他にも、煮込みシチューの「グヤーシュ」や子牛肉のカツレツなど、東欧のソウル・フードが堪能できる。

写真)Stuffed Cabbage -Prime Minced Pork, Sauerkraut, Sausage & Bacon £13.50

このお店は閉店しました。

店名 The Gay Hussar
住所 2 Greek Street W1D 4NB
TEL 020 7437 0973
営業時間 月〜土 12:15-14:30(ラスト・オーダー)、
17:30-22:45(ラスト・オーダー)日休
アクセス Tottenham Court Road駅から徒歩3分
Website www.gayhussar.co.uk

取材:Miki Yamanouchi


見た目も素敵なオープン・サンドで北欧の味を満喫
Scandinavian Kitchen

Scandinavian Kitchen

「忙しいロンドンの人たちに、友達や家族とテーブルを囲んで、おいしい北欧の家庭料理を楽しんでほしい」。そんな思いから、北欧出身のカップルが3年半前にオープンしたカフェ。真っ赤な外壁が目を引く、モダンでカジュアルな雰囲気の店舗は、コーヒー豆やジャム、チーズ、北欧特有のクラッカー状になった乾燥パンなどの加工食品のほか、料理本も取り扱う充実したデリを兼ねている。

キャベツの肉包みイート・インの常連客に一番人気があるのは、ライ麦パンで頂くオープン・サンドだ。トッピングは常時25~30種類ほどが用意され、スモークド・サーモンやニシンといったおなじみのシーフードを筆頭に、野菜やお肉系も揃う。スウェーデン料理として広く知られるミート・ボールやノルウェー産のサラミなど、各国を代表する食材が満載で、気軽に北欧の味を満喫できるのがうれしい。1月からは、野菜やベリー類をふんだんに使った新メニューのブレックファストも登場するので、ぜひお試しあれ。

写真)Smörgåsbord(オープン・サンド) £5.25(3種類) £8.25(5種類)

店名 Scandinavian Kitchen
住所 61 Great Titchfield Street W1W 7PP
TEL 020 7580 7161
営業時間 月〜金 8:00-19:00 土 10:00-18:00 日休
アクセス Oxford Circus駅から徒歩3分
Website www.scandikitchen.co.uk

取材:Hiroko Yabuki


黒海フードのメッカはアーティストたちにも人気
Little Georgia

Little Georgia

東ロンドン地区、ケンブリッジ・ヒース駅から少し歩いた静かな住宅地の中に、一際目を引くおしゃれな外観の店がある。多国籍なロンドン・レストラン界においても珍しい、グルジア料理専門店だ。なじみがないだけに、どこか謎めいた印象のあるグルジア料理だが、日本人にとっては意外と親しみやすい味付けで、その上ヘルシー。特に同国を代表する食材の一つでもあるヨーグルトは、キャベツとビート・ルートのスープ(4ポンド)やフルー ツ・サラダ(3.75ポンド)など、数多くのメニューに使われている。

揚げパン日中は、グルジア名物の揚げパン風パンケーキが豊富なカフェとして重宝されるが、ディナー・タイムには、前菜と週代わりのメインが楽しめるアットホームなレストランに早変わりする。ずらりと並ぶアンティークの電話やシックなソファー、さりげなく飾られたアートなどは、オーナーがグルジアから買い付けたもの。個性的な空間を作り出していて、地元のアーティストたちが数多く訪れるというのにも納得だ。

写真)Aladzi(グルジアン・パンケーキ)£4

店名 Little Georgia
住所 87 Goldsmith's Row E2 8QR
TEL 020 7739 8154
営業時間 月 9:00-18:00 火〜日 9:00-18:00、19:00-22:00
アクセス Cambridge Heath駅から徒歩10分

取材:Hiroko Yabuki


緑を眺めながら繊細なレバノン料理を
Fakhreldine

Fakhreldine

磨き上げられた黒石の階段を上ると、グリーン・パークが目の前に見渡せる、光に溢れたダイニング・エリアが広がる。レバノン料理と言えば、やはり串焼き。そしてつまみながら楽しめる「メッツェ」と呼ばれる前菜だ。2人前から頼めるセット・メニューは、お勧めのメッツェを少しずつ、たくさん味わえるようになっている。ピタパンや野菜スティックに付けて食べる、滑らかなナスのピューレやヒヨコ豆のフムス、スパイシーでパンチがあるラムのソーセージなどを楽しんだら、新鮮なパセリとミントの風味が爽やかなサラダで口中をリフレッシュしよう。

レバノン料理串焼きのラムは絶妙の焼き具合で、柔らかくジューシーな仕上がり。締めは、アラブの一口パイ菓子「バクラバ」に、大盛りのフルーツ、コーヒーと、ボリュームたっぷりなので、このセットはゆっくりできる日のランチやディナーにお勧めだ。スタイリッシュなバーや、クッションを重ねた居心地の良いラウンジは夜に立ち寄りたい。

*閉店しました

写真)Set Menu, Mezze8 for Two £38

店名 Fakhreldine
住所 85 Piccadilly W1J 7NB
TEL 020 7493 3424
営業時間 月〜土 12:00-24:00 日 12:00-23:00
アクセス Green Park駅から徒歩3分
website www.fakhreldine.co.uk

取材:Miki Yamanouchi


シティで人気のブリトー店がブリック・レーンに登場
Daddy Donkey

Daddy Donkey

ここ最近、ロンドンに旋風を巻き起こしているメキシカン・フード。中でも、シティのオフィス・ワーカーの間で話題を呼んでいた移動式ブリトー店が、満を持してブリック・レーンにお目見えした。注目すべきは、そのボリューム。コリアンダーが利いたライスなどの具材をたっぷりと包み、十分メイン料理になる大きさだ。

ブリトー定番メニューは2種類あり、「ダディーD」はブラック・ビーンズを、「ファヒータ」は玉ねぎなどの野菜を使っているのが特徴。それぞれライス、肉の種類(チキン、ビーフ、ポーク)、サラダの内容などをチョイスして好みの一本をカスタマイズすることができるほか、野菜のみの完全ベジタリアン・ブリトーにすることも可能。サルサは3段階の辛さのレベルがあり、辛いものが苦手な人にはライムたっぷりのマイルド・サルサがお勧めだ。できたてをオープン・エアのテーブル席でいただけば、体はポカポカ、お腹はいっぱい。冬の寒さや買い物疲れも吹き飛ぶはず。

写真)Fajita(チキン)£5.50

*住所が変わりました。詳細はウェブサイトをご参照ください。

店名 Daddy Donkey
住所 Elys Yard (The Old Truman Brewery)
Hanbury Street E1 6QL
TEL 020 7404 4173
営業時間 月〜金 11:00-16:00 土日 11:00-18:00
アクセス Liverpool Street駅から徒歩5分
website www.daddydonkey.co.uk

取材:Hiroko Yabuki


ヘルシーでリーズナブルなエジプト料理の穴場
Ali Baba

Ali Baba

地下鉄ベーカールー線マリルボーン駅から程近い、閑静な住宅街に店を構えて30年あまり。一見どこにでもある中東系レストランのような店構えとは裏腹に、エジプト料理店のパイオニア的存在として、知る人ぞ知るレストランだ。ここ数年、値上げを一切していないと店主が話す通り、前菜やスイーツは2.50ポンドから、メインでも6ポンド程度と、気負わずに通える良心的な価格帯となっている。

エジプト料理ねばねばとした質感が特徴の煮込み料理「モロヘイヤ」(6ポンド)や、ジューシーな骨付きラム肉を堪能できる「スペシャリティ」(6.50ポンド)など、ボリュームたっぷりの料理の数々は、どれもマイルドな味付けで、ライスとの相性も抜群。野菜を使ったメニューも充実していて、特に刻みパセリとミントがいっぱいのサラダやまったりとしたフムスは、軽くても奥の深い味わいに、ついお代わりを頼んでしまったほど。深夜までオープンしている上に、ほぼすべてのメニューが持ち帰り可能というフレキシブルさも魅力だ。

写真)Tabbouleh(パセリとミントのサラダ)£3.50、Humos £3

店名 Ali Baba
住所 32 Ivor Place NW1 6DA
TEL 020 7723 7474
営業時間 月〜日 12:00-24:00
アクセス Marylebone駅から徒歩5分

取材:Hiroko Yabuki


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※ 本文および各レストランの情報は、掲載当時の情報です

 

英国の食材を使って、日本食を作ってみよう!

英国の食材を使って、日本食を作ってみよう!

英国で日本食 ── 材料が揃わないからできないと思っていませんか?
いえいえ、それがそうでもないんです。
普通にスーパーで売っている食材で、手軽に日本食って作れるものなんです。
おいしくてヘルシーな日本食、さっそく作ってみませんか?
(サイモンス美樹 管理栄養士 happylife Japanese nutrition and health主宰)

日本米の代わりにプディング・ライスで炊き込みご飯

炊き込みご飯

材料(4人分) プディング・ライス 2カップ
鶏むね肉 1枚
人参 1/2本
オイスター・マッシュルーム 50g
乾燥マッシュルーム 15~20g
ぬるま湯 2カップ
しょうが 一片
黒ゴマ(飾り用) 少々

調味料 酒、又はワイン 大さじ2
しょうゆ 大さじ1
小さじ1弱

1 乾燥マッシュルームはぬるま湯で1時間ほど戻す
(戻し汁はだし汁として使う)。
乾燥マッシュルーム
2 プディング・ライスは洗って水気を切る。
3 鶏肉は小さめの一口大に切る。
4 人参は皮をむき、半月の薄切りにする。
5 オイスター・マッシュルームは石づきをとり、大きいものは割いて小さめの一口大にする。
6 しょうがは小さく刻んでおく。
7 鶏肉炊飯器で炊く場合は、1から6までの材料と調味料を入れ、スイッチを入れる。炊き上がったら15分ほど蒸らす。鍋で炊く場合は、1から6までの材料と調味料を鍋に入れてふたをし、煮立つまでは強火で、煮立ったらふきこぼれない程度まで火を弱め、15分間煮る。その後、火を止めて15分間蒸らす。最後までふたは開けない。
8 お茶碗に盛り、上から黒ゴマをふりかけて、できあがり。

プディング・ライスって?
プディング・ライス形は日本米に近い、丸みを帯びたお米です。粘り気があり、味も日本米に近く、英国ではライス・プディングを作る際に使われます。これを利用すればおいしい雑炊やお粥も作れるので、私たち日本人にとっては強い味方です。お米といえば、糖質やたんぱく質が主な栄養素ですが、実はビタミン、ミネラル、食物繊維なども微量ながら含まれています。

大根の代わりにターニップで鶏肉との煮物

ターニップで鶏肉との煮物

材料(4人分) ターニップ 2個
鶏もも肉(骨付き) 4枚
乾燥マッシュルーム 15~20g
ぬるま湯 3カップ
スプリング・オニオン 1~2本
しょうが 少々

調味料 しょうゆ 大さじ2杯半
酒、又はワイン 大さじ2
砂糖 大さじ1
少々

1 乾燥マッシュルームはぬるま湯で1時間ほど戻す
(戻し汁はだし汁として使う)。
乾燥マッシュルーム
2 ターニップは皮をむいて4等分にする。鶏肉は皮と余分な脂を外す。
3 柔らかく戻したマッシュルームと戻し汁を鍋に入れて火にかけ、調味料も入れる。
4 だし汁が煮立ったら鶏肉を入れ、アクを取りながら煮る。 煮物
5 ターニップを加え、落としぶたをする。なければアルミホイルで代用する。アクが出てきたら、こまめに取る。
6 落としぶたをしたまま中火で20分ほど煮る。ターニップが透明になり、だしの色がついてきたら落としぶたを外し、さらに10分ほど煮る(時間がある場合は、煮る時間を長くした方が、味がしみてよりおいしいです)。
7 器に盛り、スプリング・オニオンの小口切りと針しょうがを添えて、できあがり。

ターニップって?
ターニップいわゆる蕪(かぶ)のことです。よくスーパーで見かけるのは、上半分が紫色で下半分が白いものが多いですが、お日様にあたった部分が紫色になっています。この根菜、実はビタミンCが豊富。また、蕪に含まれているジアスターゼ(でんぷん消化酵素)のお陰で、蕪の煮物は、胃の調子が良くないときなど、優しく刺激の少ない食べ物として昔から食されています。

椎茸の代わりにポートベロー・マッシュルームで肉詰め

ポートベロー・マッシュルームで肉詰め

材料(4人分) ポートベロー・マッシュルーム 大4個
牛ひき肉
(牛と豚ひき肉125~150gずつでもOK)
250~300g
パン粉、又はブレッド・クラムス 大さじ3
玉ねぎ 小1個
1個
おろししょうが 1片分
おろしにんにく 1片分
小麦粉・油 少々
付け合わせ用のサラダリーフ、トマト

調味料 酒、又はワイン 少々
しょうゆ 大さじ1
少々
こしょう 少々

1 ポートベロー・マッシュルームは石づきをとる。
2 玉ねぎはみじん切りにして耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジで2分加熱してから冷ましておく(電子レンジの代わりにフライパンで、しんなりするまで炒めてもOK)。
3 卵を溶いて、パン粉、又はブレッド・クラムスと混ぜておく(ひき肉と混ざりやすくするため)。
4 ボールにひき肉、23、おろししょうが、おろしにんにく、塩、こしょうを加え、粘りが出るまでよく混ぜる。 マッシュルーム
5 マッシュルームの内側に小麦粉をはたき、4のひき肉を詰める。詰め終わったら、肉の表面にも少し小麦粉をはたく。
6 フライパンに油を敷き、肉側の方から焼く。肉に焼き色が付いたら裏返し、マッシュルームにも焼き色を付ける。
7 両面に焼き色が付いたら、酒、又はワインを少量ふりかけ、ふたをして蒸し焼きにする。
8 肉に火が通り、マッシュルームも少ししんなりしてきたらふたをとり、水分を飛ばす。 マッシュルーム
9 最後にしょうゆを全体にふりかけて、できあがり。付け合わせにサラダリーフとトマトを添える。
  *アレンジとして、最後のしょうゆの代わりに、酒、又はワイン大さじ1、しょうゆ大さじ1、砂糖小さじ1の割合で混ぜておいたタレをフライパンに入れ、照りが出るまで火を通して肉詰めにからめると、照り焼き風になります。

ポートベロー・マッシュルームって?
ポートベロー・マッシュルーム大きなマッシュルームです。肉厚で食べ応えがあり、旨み成分(アミノ酸)を多く含みます。ビタミンB群やカリウム、食物繊維も豊富。また、ビタミンDも多く含まれ、調理する前に少しお日様に当てると、紫外線の影響でさらにビタミンDが増えます。日照時間の少ない冬には、体内でのビタミンDの生産量が不足しやすくなり、骨粗しょう症やうつ病などの原因にもなるようですので、これからの季節の頼れる食品と言えるでしょう。

長ネギの代わりにリークで鶏肉とのお吸い物

リークで鶏肉とのお吸い物

材料(4人分) リーク 1本
鶏むね肉 1枚
乾燥マッシュルーム 15~20g
オイスター・マッシュルーム 50g
ぬるま湯 800ml

調味料 酒、又はワイン 大さじ2
小さじ1弱
しょうゆ 大さじ1

1 乾燥マッシュルームはぬるま湯で1時間ほど戻す
(戻し汁はだし汁として使う)。
リーク
2 鶏肉は一口大に切る。
3 リークは5センチほどの長さに切り、それを縦4等分にする。
4 オイスター・マッシュルームは石づきをとる。お吸い物
5 1を鍋に入れ、煮立ったら調味料と2から4までを入れる。
6 鶏肉に火が通ったら火を止めて、お椀に盛ってできあがり。
  *このお吸い物は具だくさんなので、麺類のおつゆとしても使えます。蕎麦やうどんを茹でて、このお吸い物をかけるだけ。その際、麺の茹で汁はしっかり切ってください。それでも少し味が薄くなる場合は、お好みでしょうゆや塩をプラス。また、ごま油を小さじ1程かけると、中華風にもなります。

リークって?
リークリークはポロねぎとも呼ばれます。日本でもこの頃、手に入りやすくなってきたようなので、ご存知の方も多いのでは? 主な栄養成分としては、カロチン、ビタミンB群、葉酸、カルシウム、鉄、カリウムなどが挙げられます。ねぎの辛味成分は、にんにくや玉ねぎなどにも含まれるアリシンというもので、血行を良くし、体を温め、疲労回復にも役立ちます。

日本のキャベツの代わりに
ポインテッド・キャベツでロール・キャベツ

ポインテッド・キャベツでロール・キャベツ

材料(4人分) ポインテッド・キャベツ 8〜10枚
豚ひき肉
(牛と豚ひき肉150gずつでもOK)
300g
玉ねぎ 1/2個
パン粉、又はブレッド・クラムス 大さじ3
牛乳 大さじ3
スパゲティ 2本
4カップ
固形チキン・ストック 1個
にんにく 1〜2片
フラット・パセリ 4〜5本
ローリエ 1枚

調味料 酒、又はワイン 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
少々
こしょう 少々
ナツメグ 少々

1 キャベツは葉の根元に包丁を入れて、外側から葉を破らないように1枚ずつはがす(流水に当てながら水の重みを利用すると、きれいにはがれます)。
2 はがしたキャベツは、耐熱容器に入れてゆるくラップをし、電子レンジで3分間、加熱する(電子レンジの代わりに、熱湯で茹でてもOK)。巻きやすくするために、葉の軸の固い部分は削ぎ落とす。削ぎ落とした軸は細かく刻んでおく。
3 玉ねぎはみじん切りにして耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジで2分加熱してから冷ましておく(電子レンジの代わりにフライパンでしんなりするまで炒めてもOK)。
4 パン粉、又はブレッド・クラムスは、牛乳と混ぜてしっとりさせておく(ひき肉と混ざりやすくするため)。
5 ボールにひき肉、刻んだキャベツの軸と34、塩、こしょう、ナツメグを入れて混ぜる。粘りが出るまで混ぜたら、8等分にして俵型に丸める。 ロールキャベツ
6 2のキャベツの中心に5を置き、手前、左右の順に巻きながら包み、巻き終わりはスパゲティを4等分にしたもので刺して止める(楊枝の代わりにスパゲティを使えば、全部食べられます)。
7 パセリの茎でパセリとローリエを縛り、ブーケガルニを作る。
8 鍋に水、固形チキン・ストック、7、しょうゆ、酒、又はワイン、にんにくを入れ、沸騰させる。
9 86のロール・キャベツを、巻き終わりが下になるように並べて入れる。 ロールキャベツ
10 キャベツが余ったら、ロール・キャベツの上に乗せる。キャベツを全部使った場合は、落としぶたをして中火で20分煮る。なければアルミホイルで代用する。
11 器に盛り、パセリを飾って、できあがり。

ポインテッド・キャベツって?
ポインテッド・キャベツ先のとがったキャベツのことです。英国で売られているキャベツの中では、日本のキャベツに一番近いといえるでしょう。トンカツに添えるのにも、このキャベツの千切りでまず大丈夫。キャベツはビタミンCやビタミンU(別名キャベジン)、カルシウムを始め、その他のビタミンやミネラル、食物繊維も豊富です。

かぼちゃの代わりに
バターナッツ・スクオッシュでコロッケ

バターナッツ・スクオッシュでコロッケ

材料(4人分) バターナッツ・スクオッシュ 1個
(正味400g)
牛、又は豚ひき肉
(牛と豚ひき肉75gずつでもOK)
150g
玉ねぎ 1/2個
小麦粉 適量
1個
パン粉、又はブレッド・クラムス 適量
適量
フラット・パセリ 少々

調味料 少々
こしょう 少々

1 バターナッツ・スクオッシュバターナッツ・スクオッシュは適当な大きさに切り、皮をむき、ワタと種を取り除く。耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジで7分加熱する。バターナッツ・スクオッシュから出た余分な水分は捨て、水気を飛ばす(電子レンジの代わりに、ひたひたの熱湯で茹でてもOK。その際はしっかり水気を切る)。熱いうちにボールに移し、マッシャー、又はフォークでつぶす。
2 玉ねぎはみじん切りにする。
3 フライパンに油を少量敷き、玉ねぎを炒めてしんなりしてきたらひき肉を加える。ひき肉をほぐしながら炒め、肉の色が変わったら、塩、こしょうで味を調える。
4 13を加えてよく混ぜ、12等分にして丸める。 ロールキャベツ
5 小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせ、パン粉、又はブレッド・クラムスをまぶし、170〜180度に熱した油で揚げる。
6 お皿に盛り、パセリを飾って、できあがり。

バターナッツ・スクオッシュって?
バターナッツ・スクオッシュひょうたんの形をしたかぼちゃです。日本のかぼちゃに比べて皮が薄いので、包丁が入れやすく、調理がしやすいのが特徴。かぼちゃはその色からも分かるように、カロチンが豊富で、ビタミンEも多く含んでいますので、アンチエイジングにもいいですね。食物繊維も豊富です。

 

鉄道で巡るブリュッセル・パリ・ケルンの旅

鉄道で巡るブリュッセル・パリ・ケルンの旅

鉄道に揺られながら国境を越えて旅するのは、ヨーロッパにおける旅行の醍醐味の一つ。ロンドンからユーロスターに乗ってパリやブリュッセル、そして国際高速列車タリスに乗ってさらにドイツのケルンまでへと出掛ける鉄道の旅。フランス、ドイツの「ニュースダイジェスト」編集部が、ガイドブックには載っていない、地元目線のお勧めスポットを紹介します。


ブリュッセル・パリ・ケルンの地図

Thalysタリスで快適、列車の旅

タリス(Thalys)は、フランス、ベルギー、ドイツ、オランダの15の主要都市を結ぶ高速列車。印象的なワインレッドのボディーが時速300キロのスピードで各都市を駆け抜ける。2009年より、人体工学に基づいた座席の改良、電源の配備、食事サービスの改善、乗務員のユニフォームの刷新など、より快適で美しい列車を目指して完全リニューアルを進めている。


乗車時間
ユーロスター ロンドン パリ北駅 2時間15分〜
ロンドン ブリュッセル駅 1時間51分〜
タリス パリ北駅 ケルン中央駅 3時間14分
パリ北駅 ブリュッセル駅 1時間20分

通常料金( HI - LIFE )
ユーロスター ロンドン パリ £290(1等席)
£210(2等席)
ロンドン ブリュッセル £235(1等席)
£219(2等席)
タリス パリ ケルン €165(1等席)
€105(2等席)
パリ ブリュッセル €138(1等席)
€88(2等席)

割引料金(OptiWay)
ユーロスター ロンドン パリ £132(1等席)
£67(2等席)
ロンドン ブリュッセル £137(1等席)
£67(2等席)
タリス パリ ケルン €91〜124(1等席)
€53〜87(2等席)
パリ ブリュッセル €76〜104(1等席)
€44〜73(2等席)

早割り料金(Smoove)
タリス パリ ケルン €69(1等席)
€29〜39(2等席)
パリ ブリュッセル €59(1等席)
€25〜30(2等席)

料金は目安。各料金における変更キャンセルの条件、時刻表やチケットのオンライン予約の方法を含めた詳細は、公式サイトにてご確認ください。

ユーロスター:www.eurostar.com
タリス:www.thalys.com

ブリュッセル

文化の融合で形成された、ユニークなベルギーを堪能

小便小僧
ブリュッセルの観光名物、
小便小僧

様々な国の支配を受けたベルギーは、他国の風習を取り込み、自国の文化と掛け合わせて進化を遂げてきた。そのため、伝統を守りつつも新しいものも取り入れる、これがベルギーのスタンス。こうして「品種改良」された文化の種は、シュールレアリスムの天才画家、ルネ・マグリットのような、一風変わった花を咲かせた。今日でもデザイナーがアトリエを構えるダンサール通りを散歩していると、1枚の服で様々な着こなしが楽しめそうなY-dress?など、斬新なデザインのブランドを見付けることができる。

ベルギー人のユニークさはビールにも見られる。スパイス、ハーブ、フルーツなどを使用し、自由な発想で造られるビールの銘柄は実に約800種類。自然酵母で発酵させた酸味の強いランビック・ビールは、ブリュッセルのカフェやバーでよく飲まれる。お勧めは「Mort Subite(突然死)」という銘柄を樽出しで飲めるカフェ・バー、その名もA la Mort Subite。店名とは裏腹に、アールデコ調の美しい店内が、ビールを一層おいしくしてくれる。

Belga Queenは、伝統とモダンを掛け合わせるのが上手なベルギーを象徴したレストラン。18世紀に建てられ、銀行として使われていたという豪華な建物が、モダンなレストランに変身。ベルギーの食材をおしゃれに調理した料理が楽しめる。

(Text : Kei Okishima)

ベルギー観光局  www.belgium-travel.jp

・Musée René Magritte (マグリット美術館) アート

マグリット美術館火~日 10:00-17:00(水20:00まで)、月休 
入場料:8ユーロ
1, pl Royale 1000 Brussels
M: Gare Centrale ①⑤
TEL: +32 (0)2 508 32 11
www.musee-magritte-museum.be


・Y-dress? ファッション

Y-dress? 火~土 12:00-19:00、日月休
102, rue Antoine Dansaert 1000 Brussels
M: Bourse ③④
TEL: +32(0) 02 502 69 81
www.ydress.com


・A la Mort Subite カフェ・バー

A la Mort Subite 月~土 11:00-翌1:00、日12:00-23:00
7, rue Montagne aux Herbes Potagères 1000 Brussels
M: Gare Centrale、De Brouckère ①⑤
TEL: +32 (0)2 513 13 18
www.alamortsubite.com


・Belga Queen レストラン

月~日 12:00-14:30 / 19:00-24:00
32, rue du Fossé aux Loups 1000 Brussels
M: De Brouckère ①⑤
TEL: 02 217 21 87
www.belgaqueen.be

・Boutique Neuhaus お土産(チョコレート)

Boutique Neuhaus月~土 9:00-23:00、 日10:00-23:00
27, Grand Place 1000 Brussels
M: Gare Centrale ①⑤
TEL: +32(0) 02 514 28 50
www.neuhaus.be


パリ

セーヌ河のほとりで秋風に吹かれる

パリの中心を流れるセーヌ河には、落ち葉や秋風がよく似合う。パリでの秋の日を、より充実させるスポットをご紹介。
(Text : Kei Okishima)

パリ観光局  http://ja.parisinfo.com

アンティーク雑貨が揃うマルシェのよう
Au Petit Bonheur la Chance

Au Petit Bonheur la Chance

1890年から1970年までのノスタルジックな商品が床から天井まで並ぶ。ほうろうのポットやキャニスター、レトロな柄のリボンやボタン、おもちゃ、ステーショナリーなど、今でも十分に使用可能なアンティークが見つかる。蚤の市をギュッと凝縮したようなぜいたくな空間。

13, rue Saint-Paul 75004 Paris
M: Saint-Paul ①
TEL: +33(0)1 42 74 36 38
木~月 11:00-13:00 / 14:30-19:00、火水休

Gillesさんお土産にお薦めなのはカフェオレ・ボウル(13ユーロ~)。たっぷり入ったカフェオレにクロワッサンを浸して食べるのがフランス流!
店員Gillesさん

フランス最大のワイン専門店
LAVINIA

LAVINIA

マドレーヌ寺院やオペラ座に近い、ワイン約5000点を販売するフランス最大のワイン専門店。試飲用の機械が設置されており、専用カードを購入すれば自由に試飲が可能。店員は全員ソムリエなので、細かいアドバイスを仰ぐことができる。日本人ソムリエが勤務している日もあるので、確認してから出掛けよう。

3, bd de la Madeleine 75001 Paris
M: Madeleine ⑧⑫⑭
TEL: +33(0)1 42 97 20 20
販売・試飲 月~土 10:00-20:00 (レストラン12:00-15:30)、日休
www.lavinia.fr

Nicolasさん店内で購入したワインは2階の本格派フレンチ・レストランに持ち込めるので、小売価格でワインを楽しめますよ!
店員Nicolas さん

セーヌ川沿いの美景+ 美食フレンチ
Marina de Paris

Marina de Paris

ノートルダム大聖堂やコンシェルジュリー、エッフェル塔など、セーヌ川沿いの観光名所を眺めながら、手の込んだフレンチをいただけるクルーズ・レストラン。サービスが行き届き、どの席に座っても美しい風景が楽しめるのは、中型船ならではの特権。いつもと違う角度で見るパリは格別だ。

Port de Solférino 75007 Paris
M: Solférino ⑫
TEL: +33(0)1 43 43 40 30(要予約)
ディナークルーズ 月~日18:45-20:00 / 21:00-23:15
ランチクルーズ 金土日 12:30-14:30
www.marinadeparis.com(オンライン予約可)

Alainさん毎朝市場で仕入れる新鮮な食材を使っています。大型船と違い、ひとりひとりの料理にまで目が行き届くので、繊細な味わいを楽しめますよ。
料理長 Alain さん

下町のワイン・バー
Le Baron Rouge

Le Baron Rouge

活気いっぱいのダリーグル市場(火~日 午前開催)のすぐそばにある、地元民がふらっと立ち寄るワイン・バー。市場の活気をそのまま持ち込んだような、庶民的で親しみの持てる雰囲気が魅力。華やかなパリ観光の合間に、ほっと一息つけるバーだ。割安なワインの量り売りも人気(空瓶55サンチーム+2.85ユーロ~)。

1, rue Theophile Roussel 75012 Paris
M: Ledru Rollin ⑧
TEL: +33(0)1 43 43 14 32
火~木 10:00-14:00 / 17:00-22:00
金土 10:00-22:00、日 10:00-16:00、月休

Quentinさんワイン初心者には飲みやすいMuscadet(ミュスカデ、白)やCahors(カオール、赤)がお薦めだね。
店員Quentin さん

平和を願う、おしゃれセレクト・ショップ
Marci

Marci

利益をマダガスカルの恵まれない子どもに送るというコンセプトで、昨年春のオープンと同時にパリの話題をさらったセレクト・ショップ。洋服や靴、アクセサリーはもちろんのこと、キッチン用具、家具、植物までが広い店内に抜群のセンスで並べられている。店内のカフェでは有機食材を使ったランチも楽しめる。

111, bd Beaumarchais 75003 Paris
M: Saint Sébastien-Froissart ⑧
TEL: +33(0)1 42 77 00 33
月~土 10:00-19:00、日休 
www.merci-merci.com

Marieさん店の主旨に賛同したブランドが、通常よりも安い価格で商品を提供してくれています。随時変わるディスプレーにも注目して!
店員Marie さん

ケルン

ライン川を望む文化の中心地

カーニバルとビールとサッカーの街。ゲルマン魂の熱い鼓動が聞こえてくるケルンから、ドイツらしさを存分に楽む旅のススメ。

ケルン観光局  www.koeln.de

旧市街の息吹とケルンの味を
Peters Brauhaus

Peters Brauhausケルン中央駅に到着したら、すぐに目に飛び込んでくるのが世界遺産の大聖堂。その南側には中世の面影を残す旧市街が。まずは1544年からビールを醸造し続けているペーター醸造所で1杯いただきましょう。もちろんケルンの地ビール、ケルシュ(Kölsch)で乾杯!

Mühlengasse 1, 50667 Köln
TEL: +49 (0)221 - 2573950
11:00-24:30(ラストオーダー24:00)
www.peters-brauhaus.de

ビールと料理ソーセージ、豚肉、ジャガイモ料理など、定番のドイツ料理はもちろん、ケルンの伝統的な食文化を伝えるこの店は、他では食べられない郷土料理も充実している。

(写真左)ペーター醸造所のオリジナル・ケルシュ・ビール。 (右)ケルンのキャビアと呼ばれている血のソーセージ。


青空の下で飲むビール
Biergarten Aachener Weiher

ドイツのビアガーデンドイツには「何もしないぜいたく」を知っている人が多い。ビアガーデンでじっくり、のんびりビールを味わう。つまみは、照り付ける太陽と陽気な笑顔。これ以上の幸せってあるかい?そんなドイツの夏の何気ない日常を味わえる格好のスポットがビアガーデンだ。

Richard-Wagner-Straße, 50674 Köln
TEL: +49 (0)221-5000614
11:00-24:00
www.biergarten-aachenerweiher.de

ビールと料理ポメス(フライドポテト)やカリー・ブルスト(カレー粉がかかったソーセージ)からシュニッツェルまで、お手頃価格で食事も楽しめる。

(写真左)ここでは、「Gaffel」というケルシュが飲める。(右)カリーヴルスト(3.20ユーロ)


ドイツパンのうまみを実感
Bäckerei Balkhausen

Bäckerei Balkhausenパンの種類の豊富さは世界一!と言われるドイツ。腕利きのパン職人がしのぎを削るケルンで、味にうるさい地元っ子の信頼を集めているのがこのお店。噛み締めるほどに実感できる手作りならではの良質なパンのうまみが人気の秘訣。ケーキの美味しさにも定評がある。

Apostelnstraße 27, 50667 Köln
TEL: +49 (0)221-2570264
6:30-19:00、木20:00、土18:00 日休

パンレーズン・パン(Rosinenbrötchen)や、ずっしりと重い全粒穀物パン(Vollkorn-Roggenbrot)が特に人気。迷ったときは店員さんに希望を伝えて。彼らはパンのプロフェッショナル。

パンの博物館のように、所狭しとパンが並んでいる。焼きたてを狙うなら午前中に買いに行こう。


体に良い靴、履いていますか?
Trippen

Trippen1992年にデザイナーのアンジェラ・シュピーツ とミヒャエル・エーラーによって設立されたトリッペン。足の健康と靴作りが密接な関係を持つドイツの職人ならではの、履き心地へのこだわりと、ドイツの有名デザイナー、ウォルフガング・ヨープをもうならせるデザイン性が特徴。

Flandrische Straße 10a, 50674 Köln
TEL: +49 (0)221-45318645
11:00-19:00 、日休
www.trippen.com

Trippenそれぞれのお客様の「お気に入りの一足」を作り出すことがTrippenの願い。お客と長いお付き合いをできるようにと、素材には特にこだわっている。

試着の際は、かかと&つま先のフィット感に注目。同社のインソールへのこだわりが実感できるはず。


 
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