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Wed, 17 December 2025

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湖水地方「桃源郷」を感じる旅 Part 1

湖水地方「桃源郷」を感じる旅 Part 1

「ピーター・ラビットの故郷」に今も残るありのままの自然を求めて、
世界各地から大勢の人々が湖水地方を訪れる。
しかしこの「ありのまま」は、何もせずに成し得たものではない。
英国有数の観光地として、多くの人々を迎え入れつつも、
土地の自然や産業を守るために日々奮闘する、
地元の人々の努力の上につくられた、まさに「桃源郷」なのである。
今回は、2回に分けてそんな湖水地方の人々の心に触れる旅をご紹介。
1回目は「泊まる」「めぐる」をテーマに、観光業に携わる人々の思いを聞いた。
(本誌編集部:村上祥子)

取材協力: 英国湖水地方ジャパンフォーラム(www.kosuichihou.com

湖水地方マップ
湖水地方への行き方: London Euston駅からWindermereまで列車で約4時間弱
(途中、Oxenholme Lake Districtで乗り換え)

泊まる

人気の観光地、湖水地方には、数え切れないほど多くの宿泊施設がある。駅前に立ち並ぶB&Bも便利だけれど、今回ご紹介したいのは、古き良き湖水地方の姿を今に留める2軒のコテージ。何も予定を入れず、ゆったりのんびりコテージで過ごす、そんな一日を味わいたくなる場所だ。

ガーデンで野ウサギと遭遇
Beechmount Country House

Beechmount
ビーチマウントの宿を一歩出るとこんな景色が広がる

隅から隅まで手入れされた中庭から、どこまでも広がる緑の大地を見つめていたら、茂みからちょこんと野ウサギが飛び出してきた。世界中で愛され続けるウサギの物語、「ピーター・ラビット」シリーズの作者、ビアトリクス・ポターが晩年を過ごした家、ヒル・トップから歩いて数分。20世紀の初めに建てられたカントリー・ハウスを改装したB&B、ビーチマウントでは、今でもこんな情景を、日常的に目にすることができる。

建物に入ってすぐ左手にはダイニング。ダークブラウンのどっしりとしたソファと、真っ白なテーブルクロスが目に眩しいダイニング・テーブル、そして冬に大活躍する暖炉と薪が客を迎えてくれるが、この部屋に入ってまず目を奪われるのは、何と言っても大きな窓ごしに広がる景色だ。きっちり刈り込まれた芝生の中央に配された噴水が水を煌めかせる中庭では、低木の合間を縫ってオーナーの飼い犬が野ウサギと追いかけっこ。そして眼下に望む牧草地と大空は、一日のうちに幾度となくその姿を変え、何度見ても見飽きることがない。「内装も、庭も、当時のものをそのまま再現したかった。あるべき姿に戻してあげたかったんだ」と語るのは、オーナーのギャリーさん。苦労の末に完成した部屋を見つめるその眼差しには、愛情がこもっている。

客室数はわずか3室。ルーム・キーに付いているのはアヒルのジャマイマのぬいぐるみ、小さな本棚にはピーター・ラビット・シリーズの絵本が並び、タンスの上にはピーターの仲間たちの置物が静かに佇んでいる。部屋に用意された紅茶とビスケットを片手に、放牧されている牛たちがのんびり草を食んでいる姿を窓越しに見つつ絵本をめくっていると、やがて夜の帳とともに、耳を差すほどの静けさが訪れる。

そんな静寂が、牛の鳴き声に破られる朝。リビングに向かうと、朝食のテーブルで、他の泊り客との何気ない会話が始まった。近隣のコッカーマスから来たという50代の夫婦と、年に4、5度はこの地を訪れるというマンチェスターの20代カップル。外はあいにくの雨模様だが、「これこそ湖水地方。雨はこの地方の生活の一部だよ」などと意に介する風もなく、あれこれ今日の予定を考えている。たっぷりとしたフル・イングリッシュ・ブレックファストをじっくり味わいながら繰り広げられる会話にはやがて、ギャリーさんの奥さん、デニスさんも加わり、終わる兆しもない。

名のある観光名所をめぐるのも良いけれど、あわてず、あせらず、のんびりとこの土地を体中で感じるのも、また湖水地方の旅の醍醐味と言えるのではないか。そう思わせてくれる雰囲気に満ちたコテージだ。

Beechmount
1.朝食はもちろん、英国式フル・ブレックファスト 2.コテージの隣にはデニスさんお手製ケーキを出すカフェも 3.著名ランドスケープ・デザイナーによるオリジナルを忠実に再現した中庭 4.メルヘンチックな部屋の外には青々とした牧草地が

デニス&ギャリー・スコフィールド夫妻オーナー
デニス&ギャリー・スコフィールド夫妻

もともとはマンチェスター出身で、私はステート・エージェント、彼は教師として働いていました。彼は今でもこちらの学校で校長をしているんですけれどもね。以前、ホリデー・レッティング(短期の貸し出し運営)の経験があったことから、2006年にこの地に移り住んでコテージを始めました。

建物や庭を今ある状態にするのに、3年はかかりましたね。でも改装する際には、ただあるべき姿に戻したいという一心で、今時のものにしたいとは全く考えませんでした。

この地域に住むことの一番の魅力は、四季と人。湖水地方は四季の移り変わりがはっきりしているから、季節の訪れを肌で感じることができるんです。冬は3時頃には暗くなってしまうけれど、すべての音がクリアに聞こえるようになって、五感が研ぎ澄まされる。都会から来たからこそ、余計にこの地の魅力を強く感じられるんでしょうね。地元の人たちとのつながりも素晴らしいんですよ。かなり高齢の人たちが多いんですが、スポーツやバーベキューなど、地元民で行うイベントもたくさんあります。

60歳になるまで、あと6年はコテージをやっていきたいですね。その後のことはまだ分からないけれど、この土地にはずっと住んでいたいと思っています。

Beechmount Country House
Near Sawrey, Hawkshead, Ambleside,
Cumbria LA22 0JZ
TEL: 015394 36356

頑固なまでに守られ続けるポターの世界
Yew Tree Farm

コニストンの牧歌的風景
ユー・ツリー・ファームのあるコニストンの牧歌的風景

ウィンダミアやボウネスなど、観光客に人気の高いエリアを車で数十分ほど走らせると、コニストンという小さな町に到着する。湖と牧草地、農場と、この地方ならばどこにでも見られる光景ながら、どこか違う気配を感じるのは、この地を漂う「生活感」とでもいうべき空気ゆえだろうか。

この町に位置するユー・ツリー・ファームは、1693年建造。1930年代にはポターが購入、現在ではナショナル・トラストが管理している農場を借り受けた夫妻が委託経営するB&Bである。

小さな囲いで飼育されている子羊たちと、放し飼いの鳥たちを横目に見つつハウスに足を踏み入れると、薄暗い室内で、ウィリアム・モリスの手による深緑の壁紙が、柔らかい光に照らされている。入ってすぐ左の部屋はダイニング。整然と並ぶ木製の丸テーブルと家具が素朴な味わいを醸し出しているが、この部屋では、何とポターが実際に使用していた家具や食器がそのまま使われている。リフォームに多大な時間を費やしたと語る経営者のジョンさんいわく、「このダイニングがすべての始まり。この部屋からインスピレーションを得て、リフォームを行ったんだ」。いわばこのハウスの真骨頂だ。

3つの個室がある上階の床とそこへと続く階段は、歩くとかすかにギイ、ギイと音を立てる。「何と言っても古い家だからね。乱暴に走り回ると他の人の迷惑になってしまうから、静かにね」と笑いながら首をすくめるジョンさん。磨きこまれた床がかすかに鳴らすその音は不思議と心地良く、ありし日の記憶が語り掛けてくるようだ。

もちろん、客室内の調度品も、時代を感じさせるものばかり。なかでも室内で圧倒的な存在感を放つ天蓋付きベッドは、華美というより質実剛健。これまた当時のものかと思いきや、手作りだというから驚きだ。

Yew Tree Farm
1. ポート・ワイン片手にほかのお客さんとの話がはずむラウンジ 2. 朝食のスモーク・サーモン入りスクランブル・エッグは半熟具合が絶妙 3. お風呂だけは最新式の広々サイズ 4. 白壁に伝う蔦が印象的なコテージの外観

「お客さん同士のコミュニケーションを大切にしたい」という思いから、ハウス内にテレビは置いていない。その代わり、ゲスト・ラウンジには、昔ながらのゲームや本、それに自由に飲めるポート・ワインが置かれているので、ゆったりとした時の流れを、他のお客さんと一緒に静かに味わうことができる。

朝食はもちろん、ダイニングで。自家製のソーセージやベーコン、放し飼いの鶏から生まれた新鮮な卵など、徹底的に地元の食材にこだわった4種類のメニューは絶品揃いだ。

湖水地方の古き良き風情を頑ななまでに守り続けるジョンさんは、地元産業の推進者でもある。食事はもちろん、ハウス内の備品は出来る限り地元の手作り品にこだわる。「生活をするために」始めたB&Bも楽しいけれど、やはり一番にあるのは、この地域と農業への情熱。「とにかく農業は絶対に続けていきたい」というジョンさんの思いが詰まった空間では、湖水地方に生きた人々のかつての生活を垣間見ることができる。

ジョン・ワトソンさん経営者
ジョン・ワトソンさん

ユー・ツリー・ファームの経営を始めたのは、2002年から。それまではヨークシャーで、ファーム・マネージャーをしていました。でも結局は自分のファームではなかったので、「誰かのために」ではなく、「自分のために」農業をしたいと思い、子供の頃からずっと好きだった湖水地方にやって来ました。こちらに越して2~3カ月の間、誰にも会わずにショックを受けた、なんていうこともありましたが(笑)、ここでの生活には非常に満足しています。

コニストンの良いところは、大きな町と比べてとにかく静かなこと。バスも列車もないけれど、不便だとは思いません。ショッピングですか? 大きなスーパーなどには行きませんからね。地元の小さな店が好きなんです。あと、肉や卵は牧場で、野菜は庭で栽培していますから、全然困りません。服は妻の父や祖父のお下がりをそのまま使っていますよ(笑)。お客さんとコミュニケーションをとるのは楽しいし、正直なところ、生活するためにもお客さんの存在は必要です。でも何より、ファームは今後もずっと、絶対に続けていきたいですね。

YEW TREE FARM
Coniston, Cumbria LA21 8DP
TEL: 015394 41433
www.yewtree-farm.com

めぐる

観光スポットには事欠かないここ湖水地方。詩人、ワーズワースやビアトリクス・ポターゆかりの地など見所は多いが、一つひとつの場所には、そこを守る人々の細やかな心配りが密かに息づいている。湖水地方随一の人気スポットと、観光の新たな方向性を模索するツアー会社で働くスタッフに、観光地としての湖水地方の在り方を聞いた。

ピーター・ラビットはここから生まれた
Hill Top

Hill Top
ヒル・トップと一続きになっているスペースでは、現在もとある一家が住んでいるのだとか

ご存知、ビアトリクス・ポターが晩年を過ごした2階建ての農家、ヒル・トップ。家の規模は小さいが、その中にはポターの自然保護への強い志と、ピーター・ラビットの物語の断片が、あちらこちらに散らばっている。

家の中に入ってまず気付くのが、部屋の暗さ。これは、湖水地方の景観の美しさを視覚的に楽しむためにとポターが明かりを暗めに設定していたのを、そのまま再現しているのだという。また、1階に設えられた暖炉は、一年中、朝に薪をくべ、実際に火を焚くというこだわりようだ。

小さな部屋の一つひとつには、その場所にちなんだピーター・ラビット・シリーズの絵本が置かれている。絵本をめくりながらゆっくり部屋をめぐっていけば、今はガラス・ケースに陳列されている時代ものの人形から、剥がれかけた木の床のすき間に至るまで、家の中のあらゆるものが、ピーターとその仲間たちの物語を形成していることが分かるだろう。

また、家の正面にあるガーデンには、バラやラベンダーなどの花々に加え、ベリー類や野菜などが植えられていて、ちょっと地味な印象を受けるかもしれない。でもこれも、ポターが実際に育てていた植物のリストに基づいて、厳密に選定されたものばかりなのだとか。

Hill Top
野菜が植えられた庭にも、ポターへの思いがこめられている

ジョアン・ハドソンさんヒル・トップ・ビジター・
エクスペリエンス・マネージャー

ジョアン・ハドソンさん

1年半ほど前に、「湖水地方における、地域全体で取り組む保護活動に興味を持って」ヨークシャーから湖水地方にやって来たジョアンさん。英国有数の観光地でも特に人気のスポットで働くジョアンさんは、多くの観光客が訪れることと、地域の景観を守ることの両立について、「すべてはバランス」と言う。

「観光客の皆さんが来ることは良いことです。地元の人たちは、観光業が最大の収入源だと十分、認識していますし、観光客は美しい自然を目の当たりにすることで、自然保護に対する意識を高めることができる。ただ、観光と自然保護、2つのバランスをうまく保つことが大切なんです。今はとても良い状態にあると思います」。

例えばヒル・トップでは、建物の保存の目的で、内部に入る人数を厳格に制限しているが、そうすることによってお客さんは床の削れた跡に至るまで、当時のままの状態を保った内部をじっくりと見学することができる。また、人気の観光スポットだからこそ、ボランティアが世界中からやって来る。「有給スタッフは20人ですが、実に300人以上ものボランティアの人たちが働いてくれています。彼らがいないと、私たちの運営は成り立ちません」。

Hill Top
Near Sawrey, Hawkshead, Ambleside, Cumbria LA22 0LF
TEL: 015394 36269

フェリーとバスがセットになったThe Cross Lakes Experienceを使えば、Bowness Pierから約30分。またはピアの南にあるFerry Nabからフェリーに乗ってフェリー・ハウスまで行った後、525番のバスに乗る。

荒々しい自然、これもまた湖水地方の魅力
The High Adventure

ワスト・ウォーターの向こう岸
ワスト・ウォーターの向こう岸には、えぐられたかのような荒々しい山肌が

イングランドで最も標高の高い山と、最も水深の深い湖が、湖水地方にあることをご存知だっただろうか。湖水地方専門のツアー会社、マウンテン・ゴート・ツアーズお勧めの、西部を周る「The High Adventure」では、この双方を間近に見ることができる。

恐怖心すら感じさせる急勾配の山道がひたすら続くハードノット峠を一気にバスで駆け上ると、やがて左右の草原に、ローマ人の砦跡が見えてくる。イングランドの最高峰、スカ フェル・パイクを眺めつつ、遺跡をゆっくり見て歩けば、湖水地方を言い表す際によく用いられる「風光明媚」という言葉とはかけ離れた、漠々たる光景に心奪われるはずだ。そして澄んだ水を湛え、山々に抱かれるかのように佇む湖、ワストウォーターでしばし佇んだ後には、ミニチュア鉄道、レイベングラス・エクスデイル鉄道乗車に、「幽霊屋敷」マンカスター城見学。大自然だけでなく、締めに鉄道、幽霊と英国人が大好きな要素を取り入れるのは、さすがの一言。

普段、あまり足を延ばすことのない西部をめぐる旅。牧歌的な湖水地方しか知らない人にとっては、この地方の新たな一面を知る絶好の機会となるだろう。

The High Adventure
1. 急勾配の草原にひっそりと佇むローマ人の砦跡 2. 大人も子供も大喜び、小さくても立派な蒸気機関車

マルコムさんマウンテン・ゴート・ツアーズ・ガイド
マルコムさん

マウンテン・ゴートでガイドとして働くマルコムさんは、「湖水地方には、ウィンダミアやボウネスはもちろんのこと、魅力ある地域は色々ある。観光客の皆さんには、もっと広いエリアに行って、多種多様な魅力を知ってほしいですね」と願う。

一年を通じて途切れることなく観光客がやって来る湖水地方。地元民の中には、美しく静かなこの地方に大勢の人間が押し寄せることに対して、否定的な感情を持っている人もいるのではないだろうか。そう尋ねると、「ごく一部の農家が、あまりに多くの観光客がやって来ることに諸手を挙げて賛成をしているわけではないのは確か」と認める一方で、2001年の口蹄疫発生以来、農業関係者が観光業に関わり始めるという流れがみられたと言う。観光客が一極集中するのではなく、湖水地方全体を訪れることにより、観光客にとっても、地元民にとっても、そして土地自体にも、良い効果が生まれるはずだと、マルコムさんは考えている。

スコットランドで32年間教師を務め、定年退職後にガイドを始めたマルコムさん。「西部の広大な景色は、どことなくスコットランドのハイランド地方にも似ているんですよ。でも湖水地方は小さいから、1~2日あれば多くの地域を周ることができる。お得でしょう」、と笑った。

The Mountain Goat
Victoria Street, Windermere,Cumbria LA23 1AD
TEL: 015394 45161
www.mountain-goat.com

  • 湖水地方
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  • C. Lidgate

湖水地方「桃源郷」を感じる旅 Part 2


 

屋外ダイニング、アルフレスコ - Alfresco Dining

屋外ダイニング - Alfresco Dining頬に風を感じながら食事を楽しむ、夏のひととき

夏は、英国に暮らす人間にとって、とても貴重な季節だ。冬の間は垂れ込める灰色の雲や暗い街路にうんざりしてしまうロンドンでも、夏が来れば街中のあちこちに緑が萌え、眩しい陽射しと爽やかな風が交錯する。今回は、そんな貴重なロンドンの夏を心ゆくまで楽しむのに最適な、アルフレスコ(屋外)ダイニングをご紹介。家族や友人らと賑やかに、あるいは一人でゆったりと、夏のひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。 取材・写真:Takazumi Uemura

The Brew House
緑に囲まれて、旬の食べ物を味わう

The Brew House

緑豊かなハムステッド・ヒースに佇む、厳粛で奥ゆかしいケンウッド・ハウス。18世紀に建てられたこの屋敷には、レンブラントやターナーなどの絵画も展示されている。レストランのキッチンはというと、そのすぐお隣、昔は召使い用の棟として使われていた建物にある。当時の酒造室なども残り、昔の面影を彷彿させる。

夏メニューは、ズッキーニやトマトなどの夏野菜が中心。素材にこだわり、各農家と綿密な連絡を取りながらメニューを決めるという。もちろん、デザートも季節とともに変わり、今ならストロベリーやグースベリーを使ったものが頂ける。

広々とした屋外のダイニング・エリアには、様々な大きさのテーブルがあるので、少人数から10人以上のグループまでお任せ。バラやクレマチスなどの花々に囲まれて、心安らぎそうだ。ミツバチが飛ぶのを眺めながら、ゆったりと自分の世界に浸ってみては? 8月下旬までは毎週土曜日にコンサートも行われている。

グースベリーとエルダー・フラワーのチーズケーキグースベリーとエルダー・フラワーの
チーズケーキ(£2.95)は今が旬

住所 Kenwood, Hampstead Lane NW3 7JR
TEL 020 8348 4073
営業時間 月〜日9:00-18:00
アクセス Highgate駅から徒歩20分
ウェブサイト searcyskenwoodhouse.co.uk/cafes

The Belvedere Restaurant
中世の館で過ごす贅沢な時間

The Belvedere Restaurant

豪奢な構えは、その昔、貴族たちの舞踏会場として使われていた故だ。ケンジントン・パレスの西、瀟洒で閑静な地域にあるホランド・パークの中に、このレストランはある。バーが併設されたメイン・ダイニング・エリアは、天井が高く広々としており、中2階のメゾニン・フロアも、大きな窓から惜しみなく注ぐ太陽の光が清々しい。

屋外ダイニング・スペースはバルコニーになっており、あまり広くはないものの、見晴らす中庭の景色が見事。右手にはアーチを施した回廊が走り、中央では噴水が優雅に水しぶきを上げている。時にはクジャクが姿を見せることも。支配人のお勧めは、前菜にはガスパッチョ(£6.95)、メインは表面をあぶったツナにオリーブ、インゲンマメなどを添えたツナ・ニソワ(£19.50)、そしてデザートは今が旬のストロベリー・ショートケーキ(£7.50)だそう。

お腹がいっぱいになった後は、ゆっくり公園を散歩するのも良いかもしれない。目も舌も満喫させてくれるレストランだ。

見事な中庭バルコニー席からは、中世の栄華を彷彿させる
見事な中庭が見渡せる

住所 Off Abbotsbury Road, Holland Park W8 6LU
TEL 020 7602 1238
営業時間 月〜土 ランチ12:00-14:30 / ディナー17:00-22:30
日 ランチ 1部 12:00-14:00 / 2部 14:30-17:00
アクセス Holland Park駅から徒歩8分
ウェブサイト www.belvedererestaurant.co.uk

The Boundary
ロンドンを一望しながらクールにくつろぐ

The Boundary

周辺には、デザイナーのオフィスやアーティストのアトリエも多いショーディッチ地区。そんな小洒落たエリアにそびえるデザイン・ホテルの屋上にあるのがこのレストランだ。ホテルのエントランスから、直通のエレベーターで屋上へ。すると、ロンドンの景色が360度、眼下に広がる。

地中海料理を出すダイニング・エリアと、ゆったりしたソファーやデッキチェアーが並ぶラウンジに別れており、食事、または仕事帰りにカクテルを一杯、と様々な用途に使えそうだ。夏には強い陽射しを考慮した麦わら帽や日焼け止めクリーム、冬にはブランケットや薪をくべる本格的な暖炉など、ルーフトップ・ レストランならではの備品や設備も用意してあるというから素晴らしい。ただし、雨天の場合は残念ながら閉まってしまうこともあるそうなので、天気の優れない日は事前にチェックしておきたい。

気の利いたサービスに、旬の食材を使ったおいしい料理、そしてロンドンの眺め。満足度は120%だ。

クオリティーが高いからこそのメニューが並ぶアーティチョーク(£6.50)など、
素材のクオリティーが高いからこそのメニューが並ぶ

住所 2-4 Boundary Street E2 7DD
TEL 020 7729 1051
営業時間 月〜日12:00-21:00
アクセス Old Street駅から徒歩10分
ウェブサイト www.theboundary.co.uk

Aurora
都会のオアシスで一息

Aurora

ピカデリー・サーカスから歩いて5分程の、ロンドン中心部にあるレストラン。印象的な赤い壁には、様々な額縁にジャンルを超えたアート作品が飾られている。ワインの瓶に、無造作に立てられたキャンドルから溶けて流れた蝋さえも、どこか芸術的だ。

そんな店内の奥、黒を基調としたプライベート・ルームを抜けた先に、豊かな蔦が塀一面を覆う、こぢんまりとした居心地のいいパティオが広がる。メニューは月毎に変わるので、毎回違ったものを楽しめそうだ。今の季節は、イカのソテーをコリアンダー、チリとライムでマリネした前菜が、風味爽やかでお勧め。サイズも2種類(£6.75、£10.95)あるので、一人でも、友人とでも楽しめる。トフィーやブラウニーなどのデザートも手作りで、シェフの食へのこだわりが伝わる。

都会のコンクリート・ジャングルに疲れたら、ここで一息つくのはいかがだろう? ただし、パティオは人気が高いので、事前に予約しておいた方が良さそうだ。

プライベート・ルームアーティスティックな
プライベート・ルーム

住所 49 Lexington Street W1F 9AP
TEL 020 7494 0514
営業時間 月・火 ランチ 12:30-15:00 / ディナー 18:30-22:00
水〜土 ランチ 12:30-15:00 / ディナー 18:30-22:30
12:30-20:30
アクセス Piccadilly Circus駅から徒歩5分
ウェブサイト www.aurorasoho.co.uk

The Albion
素材の旨味を楽しめるガストロ・パブ

The Albion

イズリントンのハイストリートから少し入り込んだ路地にある、洒落たガストロ・パブがこちら。数々の賞を総なめにしてきた料理がここの一番の自慢だ。素材の風味を十分に生かすためシンプルに調理されているのだが、口の中では様々な食材が素敵なハーモニーを奏でる。飾り付けには食用パンジーの花びらを散らすなど、見た目も美しい。

夏のお勧めはやはりバーベキュー。屋外にある建物で炭火焼バーベキューが饗されるのだ。バーガーやラム肉などの肉系はもちろん、魚やロブスターといった魚介類もある。ちなみに、店内のキッチンにも炭火焼用の設備があるので、雨の日でも大丈夫。豚を丸ごと焼くこともあるというからワイルドだ(ただし、こちらは72時間前に予約を)。

外のスペースも150人を収容できる広さで、藤棚から差し込む光を浴びるも良し、太陽が燦々と降り注ぐオープン・スペースで食事を楽しむも良し。清々しい陽気に気を良くして、ついつい食べ過ぎそうな予感だ。

バニラ・ブリュレデザートも見逃せない。
ビッグ・サイズのバニラ・ブリュレは濃厚な味

住所 10 Thornhill Road N1 1HW
TEL 020 7607 7450
営業時間 月〜金 11:00-23:00
10:00-23:00
10:00-22:30
アクセス Angel駅から徒歩12分
ウェブサイト www.the-albion.co.uk

Bleeding Heart Restaurants
歴史の舞台で小粋にフレンチを

Bleeding Heart Restaurants

宝石店が多いことで有名なハットン・ガーデン地区内の、ブリーディング・ハート・ヤードという意味深な名を持つ場所に、このビストロは位置する。この名、17世紀に大法官も務めた政治家、クリストファー・ハットンの美しい義理の娘が、自ら開いた大舞踏会の翌朝、ここで胸を切り裂かれて死んでいるのを発見された、という穏やかではない話に由来する。けれどそれも今は昔。現在は通りの騒音を遮断した、憩いの場となっている。

フレンチ・ビストロであるこちらでは、週替りのセット・メニューがお勧めだ。スープ、前菜、メインにデザートと、お腹いっぱいになること間違いなし。また、オーナーが所有するワイナリーで製造されたワインがグラスで頂けるのもこの店の特徴で、気軽に様々なワインが楽しめる。フランス料理に欠かせないチーズももちろん扱っており、そこここに飾られた19世紀フランスのポスターを眺めながら、存分にフレンチを満喫できそうだ。

スタッフはとてもフレンドリースタッフはとてもフレンドリー。
大きなタルトは一切れ£5.50

住所 Bleeding Heart Yard, London EC1N 8SJ
TEL 020 7242 8238
営業時間 月〜土 ランチ 11:00-23:00
月〜土 ディナー 10:00-23:00
アクセス Farringdon駅から徒歩3分
ウェブサイト www.bleedingheart.co.uk

The Clarendon
隠れ家にしたい、リラックス・スペース

The Clarendon

高さのある窓に覆われた開放感のある店舗からは、通りの景色が十分に楽しめる。1階は広いダイニング・エリアになっており、大きな時計のオブジェが印象的。キッチンもオープンなので、シェフたちの見事な手さばきを眺めながら食事ができる。2階は、革張りのソファーやゼブラ・スキンのマットなどが配された凝ったインテリア構成で、レストランというより自宅のリビングのような心地良さだ。

ルーフ・テラスへ出ると、静かな通りに面しているため、鳥のさえずりも聞こえる。広めのテラスにはパラソルも置かれていて、陽射しを気にする心配もいらない。料理は、シェフのこだわりでその季節に合った旬の食材を使い、新鮮な魚介類のメニューなどが揃う。この季節、一押しなのは、イチゴやミント、キュウリなどお馴染みの材料と合わせて作る、英国の夏の定番ドリンク「ピムズ」をゼリー状にした、ピムズ・ゼリー(£6)。都会の喧噪を忘れてゆったりと過ごしたい。

カクテル・メニューも充実カクテル・メニューも充実している。
フレッシュなブラッディー・マリーは£7.50

住所 123a Clarendon Road W11 4JG
TEL 020 7229 1500
営業時間 月〜土 12:00-24:00 / 日 12:00-23:00
アクセス Ladbroke Grove駅から徒歩7分
Holland Park駅から徒歩10分
ウェブサイト www.theclarendonlondon.com

Brinkley’s -Wine Gallery-
多彩なワインと食事の奏でるハーモニー

Brinkley’s -Wine Gallery-

店名の通り、ありとあらゆる種類のワインが揃う。白は20種以上、赤は30種以上と選ぶのに困ってしまう程だ。ワイン・ショップが併設されているので、オーダーして気に入ったら、ボトルを買って帰ることもできる。「おいしいワインを気軽に楽しんでもらいたい」と、レストランのワインはショップの値段と同じというからありがたい。

屋外ダイニング・スペースは、モス・グリーンのペイントと黒いタイルの床が落ち着いた雰囲気を醸す店内を抜けた、裏庭部分。アジサイやバンブーなど涼やかな植物が茂り、さながらヨーロッパの避暑地だ。ガラスの扉越しに裏庭が見えるプライベート・ルームもあるので、外を眺めながら食事を楽しむのも良さそう。料理は、コテージ・パイなどの英国伝統料理から、カレーやバーガーに至るまで豊富なラインナップ。夏のお勧めは、グリル・チキンやゴート・チーズなどがあしらわれたサラダ類だそう。フルーティーなロゼ・ワインと一緒に召し上がれ。

ショップ隣接するショップの棚には
ワインがずらりと並ぶ

住所 49 Hollywood Road SW10 9HX
TEL 020 7352 7572
営業時間 月〜土 ランチ 12:00-17:00 / ディナー18:00-24:00
12:00-17:00
アクセス Earl's Court駅から徒歩15分
ウェブサイト www.brinkleys.com

The Crabtree
テムズ河の流れを眺めながら

The Crabtree

フラム・パレス・ロードから住宅街を通り抜けると辿り着く、隠れ家のようなガストロ・パブ。300人を収容できる屋外のビア・ガーデンでは、ジャスミンが芳しい香りを漂わせている。2人用の小さなカフェ・テーブルから革張りのゆったりしたソファーまで様々あるので、サマー・パーティーを企画してみても良いかもしれない。一番のお勧めは、店の裏手のスペース。テムズ河の流れを眺めながら、お店自慢のエールやワインが楽しめる。夕暮れ時などは、特にロマンティックに時間を過ごせそうだ。

アット・ホームな雰囲気の店内では、毎日黒板にメニューが手書きされ、カウンターには山盛りのオリーブとパンが並ぶ。夏のメニューとしては、エビと唐辛子を散らしたガーリック・ブレッド(£7)や、甘味と爽快感のバランスが絶妙なラズベリー・ソルベのミント・シロップ添え(£5.50)など、爽やかな風味の品が多く揃う。テムズの風に吹かれて、ロンドンの夏を謳歌したい。

メニュー黒板には毎日手書きで
メニューが記される

住所 Rainville Road W6 9HA
TEL 020 7385 3929
営業時間 月〜土 12:00-23:00 / 日 12:00-22:00
アクセス Hammersmith駅から徒歩10分
ウェブサイト www.thecrabtreew6.co.uk


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ロンドンの語学学校に関わる人々に聞きました

ロンドンの語学学校に関わる人々に聞きました 社会人として英国で学ぶということ

英国で勉学に励んでいるのは、何も若きフルタイムの語学学生だけではない。社会人としての忙しい時間の隙間をぬって、もしくは日本で一定のキャリアを積んだ後に渡英し、学習に励んでいる人たちが驚くほどたくさんいる。そうした社会人学生たちについて、イングリッシュUK認定校の先生、生徒、運営スタッフや、ロンドンで留学アドバイザーとして働く人々に聞いてみました。

「ロンドンで英語だけを学ぶのはもったいない」

太田 理恵さん太田 理恵さん
London School of Business & Finance

インターナショナル・
マーケティング・マネージャー

駐在などの形でせっかくロンドンに来たのに、自宅と会社の往復の毎日だったり、または週に1回という形で英語だけを学ぶのでは、もったいないです。視野が広がり、日本での生活よりも時間に余裕ができるこの機会を生かして、現地滞在中にキャリアアップを目的とした資格を取って帰国されるという方が、最近増えてきています。そういう方のために、当校では経営学修士(MBA)や英国勅許公認会計士(ACCA)のコース、もしくは両者を合わせたデュアル・プログラムなどを用意しています。

またロンドンだけではなく、英国内ではマンチェスターやバーミンガム、その他世界各地に構えているキャンパスへと転校できることに加えて、オンライン学習に切り替えるということもできますので、海外赴任が多い方や、急な本帰国が決まった場合でも、心配ありません。

さらに9月からは、忙しい管理職の方々を対象としたMBAなど各コースを開講する予定です。これは8週間限定という形で週末にキャンパスに通い、残りはオンライン授業にて学習を行うという形式のため、仕事で忙しい方にとっては最適のコースとなるでしょう。

London School of Business & Finance
8/9 Holborn, London EC1N 2LL
Lex House, 17 Connaught Place, London W2 2ES
Tel: 020 7823 2303 / 020 7100 1808
www.lsbf.org.uk

「勉強に対する意欲が高い」

杉尾 明香さん杉尾 明香さん
Princes College

レセプショニスト

ロンドン中心部に位置する当校は、ロンドン中心部トッテナム・コート・ロード駅とホルボーン駅の間、大英博物館までは徒歩2分の立地にあります。生徒の中には、午前中の授業を終えた後に、大英博物館のカフェでお昼を食べる人も多いようです。

日本での社会人経験のある人、もしくはロンドンで働きながら勉強を続けている人は、当校に通っている日本人学生全体の15%ぐらいを占めているのではないかと思います。彼ら、彼女たちは、自分でお金を貯めて授業料を払っているので、勉強に対する意欲が高い。私たちの学校では、20分以上遅刻すると授業に参加できないという決まりがあるのですが、社会人学生の方で遅刻する人は非常に少ないです。多くの人がジェネラル・イングリッシュの授業を取っていますが、日本に帰国してからの具体的なキャリア・プランを立てている人の中には、ビジネス・イングリッシュを受講する方もいます。

当校では、有資格のネイティブ・スピーカーの講師が、世界35カ国から集まる生徒に対して指導を実施。長期の受講をする方には授業料をお得に設定するなど、生徒の皆様の目線に立ったサービスを提供しています。

Princes College
36 New Oxford Street, London WC1A 1EP
Tel: 020 7636 4052  
www.princescollege.com

「実践的な英語に強み」

サイモン・リューさんサイモン・リューさん
Shakespeare College

英語教師

語学学校における授業のスケジュールというのは、1日3時間の授業を週日5日、計週15時間というのが最も一般的な形だと思います。ただ私たちの学校では、週日にアルバイトをしながら通学する人などのために、例えば月曜日は午前と午後3時間ずつ授業を取って、火曜日は全日休み、といった時間割を組むこともできるようになっています。

学校には様々なコースが用意されていますが、ジェネラル・イングリッシュがやはり一番人気が高いですね。あとはビジネス・コースにも申込みが多く寄せられています。ビジネス・コースを学んだ後で、自国に帰ってから、いわゆる外資系企業に就職したり、英国と関連したビジネスを自分で立ち上げた上でまた英国に戻ってくることを夢として描く人が多いようです。

社会人学生は、仕事を持っていたり、または家に帰ってから家族の面倒をみなければなかったりで、勉強する時間が限られているというのは事実でしょう。ただそうした人たちは、英国での実生活において様々な手配を全部自分で行うことが多いので、そうした行為を通して、実践的な英語を学ぶのには非常に長けていると思います。

Shakespeare College
410 The Strand, Covent Garden, London WC2R 0NS
20 Norton Folgate, London E1 6DB
Tel: 020 7836 6966/020 7247 8121
www.shakespearecollege.com

「豊富な人生経験を武器に」

アラン・コーマーさんアラン・コーマーさん
West London Business College

アカデミック・ダイレクター

社会人学生、もしくは一度社会人生活を経験したことのある学生は、当然のことながら、既に多くの人生経験を積んでいます。これが、外国語を学ぶ上では大きな武器になります。私たちとしても、実際に生徒が体験したことのある物事の方がずっと教えやすい。実際に就職活動を体験したことのある人の方が、履歴書の書き方を指導しやすいと聞けば、私が言わんとすることを分かっていただけるのではないでしょうか。

私たちの学校では、少人数制を敷くことで質の高い授業を実現したクラスから、比較的大きな規模で運営することで授業料を良心的なものに抑えたクラスまでを用意し、多種多様な需要に応えるよう努力しています。また働きながら英語を勉強したいという人のために、イブニング・コースや週末にも授業を行っています。

最近では、IELTSのコースが人気を集めているという印象を持っています。移民規制が厳しくなったことにより、語学学校の生徒は学生ビザの更新時に、自分の語学力が着実に進歩していることを証明することがより重要になってきました。その証明を行うために、ILETSの試験を受ける生徒が増えてきているのでしょう。

West London Business College
77-83 Broadway, West Ealing, London W13 9BP
Tel: 020 8579 9661 
http://wlbc.webeden.co.uk

「吸収の速さと、集中力の高さ」

ニック・チャーカスさんニック・チャーカスさん
Bloomsbury International

アカデミック・ダイレクター

自国の学校を休学するなどの形で留学に来ている若い学生は、とにかく吸収が速い。一方で社会人学生は、自分が何を学びたいか、もしくは何を学ぶべきかを明確にしていることが多いので、目的意識が高く、高い集中力を発揮することが多いようです。教える側にとっては、どちらのタイプの生徒からも良い刺激を受けています。

当校では、DELTA(Diploma in Teaching English as a Foreign Language to Adults)と呼ばれる、英語教師としては最も高位の資格を有する教師が多数います。また学校内で英語教師養成のコースを運営しているので、指導のクオリティーの高さには自信があります。

また経済用語や法律用語といった専門的な分野を極めたい、といった要望にも応えることができます。ジェネラル・イングリッシュに加えて、会話に重点を置いた特別授業が人気が高く、また社会人を対象とした個人授業も実施しています。インタラクティブなホワイトボードやITルーム、パーティー会場ともなるシアター・ルームが設置されたジョージアン様式の校舎で行われる当校の授業は、非常にレベルが高いものであると自負しています。

Bloomsbury International
6-7 Southampton Place, London WC1A 2DB
Tel: 020 7242 2234
www.bloomsbury-international.com

「レベルの高い学校を選びたかった」

吉田 久美子さん吉田 久美子さん
Grafton College of
Management of Sciences

学生

前に通っていた学校では、私は全然英語ができないのに、すぐにUpper Intermediateのクラスに入ってしまって。日本人は概して文法問題ができるから、クラス分けテストが筆記試験のみだと、実力以上のクラスに入れられてしまうようなのです。でも今の学校では、ヘッドセットをつけて、リスニングのテストもばっちりさせられました。そうしたら、2つ下のレベルからの再出発となり、これまで習ったことをもう一度復習する良い機会となりました。

今、1クラスの生徒数は15人ほどですが、前の学校は20人以上、夏には30人近くに達することもあり、先生が日替わりというような時期もありました。最近でこそ、語学学校に対する取り締まりが厳しくなったせいで、各校ともに出席率を厳しくしたり、校舎の補修工事を行ったりしているようですが、数年前まで、そうしたいい加減な語学学校が多かったんですよ。

日本でメイクアップ・アーティストとして働いていた頃から、ロンドン、パリ、ニューヨークは憧れの地。英語圏で、他の欧州諸国にも気軽に足を伸ばすことができるロンドンを留学先として選ぶというのが、私にとっては最良の選択となりました。

Grafton College of Management of Sciences
Union House, 65-69 Shepherds Bush Green
Shepherds Bush, London W12 8TX
Tel: 020 8749 8367 
www.graftoncollege.com

「語学学校が、淘汰されてきています」

真鍋 明紀さん真鍋 明紀さん
I-ONE Education Centre

学校カウンセラー

学生ビザに関するルール改正と、移民局からの監査が厳しくなったことによる管理費の高騰などを理由として、最近になって授業料を値上げした学校が多くあります。例えば、年間の学費が£1600から£2000へと値上げになった学校もあります。新しくビザを更新する際に、予算を大幅に超えた増額に戸惑うというケースが多いようです。こうした現象は、格安な学校をお探しの方にとっては痛手となります。ただ一方で、取り締まりが厳しくなったことにより、国内に多数存在する語学学校が淘汰され始め、良質の学校だけが残っていくという傾向は良いことだとも思います。

私自身は、2007年の春から秋まで、イングランド南東部ブライトンにある語学学校に通っていました。その際にロンドンにてファッションのPRを手掛ける会社でインターンシップをしたのがいい経験になりましたね。現在、英国でインターンをするには、学生の場合、「Highly Trusted」と呼ばれる機関から出されたビザを取得することが必要です。これは大学・大学院生に主に出されるもので、語学学校の学生ビザでは事実上、インターンシップが難しくなっているのが残念です。

I-ONE Education Centre
28 Denmark Street, London WC2H 8NJ
Tel: 020 7240 4146 
www.i-one.org

English UK トニー・ミルンズ氏インタビュー

 

英国での安全な語学学校選び - English UK トニー・ミルンズ氏インタビュー

イングリッシュUK トニー・ミルンズ氏インタビュー

もしもあなたが英国で語学留学生として暮らしているのならば、最近になって、肩身の狭さを感じ始めているのではないだろうか。英国内での移民規制が厳しくなってくるに伴い、語学学生がアルバイトとして勤務可能な時間が縮小されたり、通学している語学学校が取り締まりの対象となった挙句に閉鎖されるといった極端な話を耳にすることもしばしば。そんな中、英国の語学学生たちの味方となり、様々な支援を行っている「イングリッシュUK」と呼ばれるチャリティー組織がある。その会長を務めるトニー・ミルンズ氏に、昨今の英国における語学留学生事情について、話を聞いた。

トニー・ミルンズ氏
イングリッシュUKのCEO。1951年にイングランド中北部ドンカスターに生まれる。フィンランドでの語学指導やケンブリッジ大学などで教鞭をとった後、英国内の教育機関や政府関連機関にて勤務。1999年より現職。

イングリッシュUK
適切な認定を受けた、英国の英語学校で構成される全国的なチャリティー組織。英国の国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルの認定を受けた英語学校や語学センターなど、400以上の教育機関が加盟している。コンサルタント活動やロビー活動のほか、生徒からの苦情の受付や英語教育の促進などを行っている。詳細は下記の日本語ページを参照。同ページにて認定校の確認などができる。
www.englishuk.com/ja/students

志を持つ学生にとっては、英国には理想的な学習環境、
そしてキャリアアップの機会が揃っていると思います

まず始めに、英国国境庁*1を相手取って先日起こした裁判*2についてのお話からうかがわせてください。非欧州圏出身の語学留学生が渡英する際に必要な、いわゆる学生ビザの取得条件についての「イングリッシュUK」の主張が、ほぼ全面的に認められたと理解しています。このときの高等法院の判断を、どのように受け止めましたか。

裁判の結果に関しては、大変満足しています。これにより、英国への留学を予定している語学学生が適切なビザを取得するために要求される英語レベルは、新規制が導入される3月以前の基準へと戻りました(※しかし同規制は再導入されることに)。イングリッシュUKに所属する英語学校はすべて、この結果を好意的に受け止めています。英国における英語教育部門は毎年15億ポンド(約1999億円)もの外貨収入をもたらしてきたにも関わらず、新規制の導入に伴い、この夏から秋にかけて英国に留学しに来る語学学生の数は、極端に減少する見通しとなっています。今回の高等法院の判断は、英国の経済にとっても喜ばしいニュースであると信じています。

裁判で私たちは、今回争われた新規制のような重大な決定については、英国国境庁からの一方的なガイドラインの付記としての通達という形ではなく、議会において審議した上で行われるべきという点を主張しました。また、英語を学び始める前に、一定の語学力レベルに達していることを要求するというのが、そもそも少し奇妙な理屈です。現行のように、A1レベル*3が適当だと思います。

ただ誤解して欲しくないのですが、裁判に訴えるというのは、私たちにとってはまさに最後の手段でした。今後は英国国境庁と建設的な関係を築いた上で、適切な移民規制の動きにも協力していきたいと思っています。語学学校側も、きちんと勉強もせず、学生ビザを悪用するような生徒を受け入れたくはないですからね。

在英邦人含め、英国で暮らす外国人留学生の間では、移民規制が年々厳しくなっていると実感している人が非常に多いかと思います。英国の留学先としての魅力*4は、段々と薄れているのではないでしょうか。

私はそうは思いません。例えば移民規制における昨今の大きな変更点の一つとして、いわゆる「学生ビザ」所有者の労働時間が縮小されるということがありましたが、制限の対象となるのは、よく誤解されているように学生全体ではなく、語学学生だけです。学位コースの学生はこれまで通り週20時間までの勤務が可能で、語学学生も週10時間までの勤務が認められています。

また依然として、語学学校から大学や大学院に進学そして卒業し、英国で新しい仕事を探すというキャリアを築く人は多くいて、そういった意味で、志を持つ学生にとっては理想的な環境が整っていると思います。さらに一つ付け加えるならば、現在ポンド安となっているため、外国人学生にとっては、随分と割安に英国での教育を受けられる機会が用意されていることになります。

認証を受けている学校に通う限り、突然の閉鎖などの事態について
心配する必要はありません

ただ最近では、「通学している語学学校が突然閉鎖」との憂き目に遭った語学学生の話なども耳にしますが……。

「通っていた英語学校が突然閉鎖」といったニュースは確かに語学学生たちの間でよく話題となっているようですが、実際のところ、きちんとした学校に通っている限り、学校が突然閉鎖されてしまうというケースは、非常に稀です。私たちイングリッシュUKの加盟校となっている学校を例に挙げてみましょう。過去17年間で、閉鎖に追い込まれた学校の数は、わずか10校のみ。つまり然るべき認証を受けている学校に通う限り、そうした事態を心配する必要はないと考えていいと思います。

また万が一閉鎖に追い込まれてしまった場合でも、イングリッシュUKの認定校であれば、通学生は、財政的な支援を受けられることになっています(下記「非常時のサポート・ファンド参照」)。つまり、改めて授業料を払うことなく、他校の同レベルのコースへと編入し、無事に留学生活を終えることができるのです。また該当期間における英国での宿泊費も補償されます。この詳細についてはイングリッシュUKのウェブサイトに記載されているので、是非ご覧ください。学校が閉鎖に追い込まれそうという事態が起きた場合、私たちのスタッフが駆けつけ、生徒たちがその後の留学生活をどのように過ごすことができるかについての相談に応じるなどしています。

繰り返しますが、イングリッシュUKの認定校に通っている限り、学校が突然閉鎖という憂き目に遭うことはまずありえないし、万が一そのような事態が起きたとしても、生徒はお金を無駄にすることはないのです。こうした補償措置は実は非常にユニークなもので、英国以外ではオーストラリアにしか存在しないはずです。ですから、英国は、今だって、語学留学先として最適の地なのです。

本インタビューを行った直後となる7月22日、政府は、「非欧州圏出身の市民が英語を学ぶために英国に留学するには、事前にGCSE(中等教育修了資格試験)レベルの英語力を保持していること」を必須条件とする内容を法制化し、同法が即日適用されることを発表した。同9日にイングリッシュUKが高等法院にて勝訴したばかりのこの問題は振り出しに戻ったことになる。この結果について、イングリッシュUKの広報担当者は、「非常に残念」としている。本誌では今後も誌面やウェブサイトを通じて、この問題を取り上げていく予定。

*1…英国国境庁 ^
英国の内務省の管轄下に置かれた機関。移民管理・規制などの業務を主に手掛ける。 www.ukba.homeoffice.gov.uk

*2…英国国境庁を相手取った裁判で勝訴 ^
英国国境庁は、2010年3月より、非欧州圏出身の市民が英語を学ぶために英国に留学するには、事前にGCSE(中等教育修了資格試験)レベルの英語力を保持していることが必須条件であるとする新規制を導入。イングリッシュUKは、こうした新規制が一方的なガイドラインの通知という形で実施されることを不当であるとして、裁判に訴えた。この訴えを受けて、高等法院は7月9日、こうした条件の厳格化は本来、議会において審議した上で行われるべきであったとして、イングリッシュUKの主張を認め、原告側勝訴の判決を下した。

*3…A1レベル ^
欧州評議会が定めた、ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages、CEFR)における初級段階で、英国の一般的な語学学校における「Elementary」に相当。IELTS1.5~2.0、TOEIC 180~220点程度。3月の改正時には、英国で語学を学ぶ学生に最低限必要とされる語学レベルが、B1(同「Intermediate」に相当)にまで引き上げられた。

*4…英国の留学先としての魅力 ^
イングリッシュUKによると、英語を学ぶために英国に留学する生徒の数は、年間50万人以上。全世界の英語学生の半数近くが、英国で学んでいることになる。
English UK
イングリッシュUKのウェブサイトには、日本語ページもある

非常時のサポート・ファンド
万が一、イングリッシュUKの加盟校が突如閉鎖されてしまった場合、イングリッシュUKは、学生のために、「サポート・ファンド」と呼ばれる資金を使って、財政的支援を行う。多くの場合、同じレベルの語学コースを持つ学校へ追加料金なしで転校措置を手配して学習を修了できるようにし、また、宿泊施設に支払った料金についての損害も補償する。

ロンドンの語学学校に関わる人々に聞きました

 

コッツウォルズの魅力の真髄を知る Part 2

コッツウォルズの魅力の真髄を知る コッツウォルズ・ロマンティック街道を巡る Part 2

思いのほか広いコッツウォルズ地方を、まんべんなく見て回りたいと思ったら、ロマンティック街道のドライブがお勧め。コッツウォルズの深い歴史と自然を、十分に満喫できる南北2つのコースで構成されている。各コースの所要時間は、要所となる町や村を観光する時間にもよるが、基本的には1日ほど。ロンドンからであれば、2泊3日でコッツウォルズの魅力の真髄を体験できる。

(小野 まり)

協力・写真提供
グロスター観光局 www.the-cotswolds.org
コッツウォルズ環境保護局 www.cotswoldsAONB.org.uk

著者プロフィール
1999年にナショナル・トラスト取材のために来英。2002年、夫で日本ナショナ ル・トラスト協会のオフィシャル・アーティストでもある琢正氏ら家族とともに英国に移住し、以降、英国の環境保護活動に関する研究・執筆活動に携わる。

イラスト: 小野琢正
画家。2001年より英国ナショナル・トラストで巡回個展HENRO(遍路)展を開催、今年で10年目を迎えた。また09年より地元コッツウォルズの景観保護のためにコッツウォルズでのチャリティー展覧会なども開催している。 www.takumasa-ono.com


「コッツウォルズの ロマンティック街道」

ドイツのそれが古城や中世都市で有名なのに対して、コッツウォルズでは童話の世界に出てくるような愛らしい村々や美しい丘陵地帯という景色を楽しめるのが特徴。魅力的な村々を始め、その風景、地元の史跡や文化遺産のロマンスまでを十分満喫できるコースとなっている。

コッツウォルズの地図

旅の起点はここ

Cheltenham チェルトナム

チェルトナムロマンティック街道の起点となる町、チェルトナム。ビクトリア時代に保養地として栄えた英国屈指のスパ(鉱泉)タウンの一つだ。今でも鉱泉を試飲できるピットビル・ポンプ・ルームを始め、リージェント様式の華麗な建造物や、ローマ帝国を思わせるような気品溢れるプロムナードなどを内包する、英国屈指の美しい町として人気が高い。

コッツウォルズ・ロマンティック街道 北まわりコース

Winchcombe ウィンチクーム

ウィンチクーム 6人の妻を取っ替え引っ替え、そのためにローマ・カトリックから英国国教会へと一大宗教改革を行ったヘンリー8世ゆかりの地、スードリー城のお膝元の村。歴史に翻弄された女性たちの、悲しくも美しい人生を表したような可憐な花々が咲き乱れる、スードリー城のガーデンには感動すること間違いなし。

Sudeley Castle
www.sudeleycastle.co.uk

Broadway ブロードウェイ

ブロードウェイ 「ブロード(広い)ウェイ(道)」の名の通り、広い目抜き通りには、観光地らしい可愛らしいショップが並んでいる。この北まわりのコースでティー・タイムをとるなら、ここの「ティサーンズ」がお勧め。モチモチとした美味しいスコーンと、数十種はある紅茶の中から好きなものをチョイスできる、本格的なティー・ルームだ。

Tisanes Tea Rooms
Cotswold House, 21 The Green, Broadway,
Worcestershire WR12 7AA
Tel: 01386 853296
www.tisanes-tearooms.co.ukMoreton

Broadway Tower かつてはウィリアム・モリスも度々訪れたことのある「ブロードウェイ・タワー」。天気の良い日はコッツウォルズを囲む12州を見渡すことができる

Broadway Tower www.broadwaytower.co.uk

Snowshill スノーズヒル

スノーズヒル 映画「ブリジット・ジョーンズの日記」のロケ地としても有名なスノーズヒル村。村の手前にはナショナル・トラストが管理する「スノーズヒル・マナー」が、村を過ぎるとこの季節に満開を迎える「スノーズヒル・ラベンダー」の丘が広がっている。この畑で採れたラベンダーを抽出して作ったオイルやクリームは、コッツウォルズならでは。

Snowshill Lavender
www.snowshill-lavender.co.uk

Broadway Tower 「アーツ&クラフツ運動」の影響を受けた「スノーズヒル・マナー」のガーデン。美しい丘陵地を背景に、絵のように美しい可憐なガーデンが広がる

Snowshill Manor and Garden
www.nationaltrust.org.uk/mainw-snowshillmanor

Chipping Campden チッピング・カムデン

チッピング・カムデン コッツウォルズ地方最北端の町。12世紀から毛織物工業の繁栄とともに成長した町で、中心には1627年に建造された市場があり、現在はナショナル・トラストによって歴史的建造物として保護されている。また、ここはコッツウォルズ地方をおよそ7日間かけて歩くことができる「コッツウォルズ・ウェイ」の北の起点でもある。

写真)町の中心にある「マーケット・ホール」

Chipping Campden 町外れにある藁葺き屋根のコテージ。藁葺き屋根の家はこの地方でも貴重で、小さいコテージでも、その歴史的価値から数億円もする場合がある
Blockley ブロックリー

ブロックリー 丘陵地にふさわしい坂の村。その地形を生かしてか、かつては村内に12もの水車小屋があったと言われている。現在では、その水車小屋を利用した「ミル・ディーン・ガーデン」や、少し離れるが「ヒドコート・マナー・ガーデン」「キフツゲート・ガーデンズ」など、英国有数の素晴らしいイングリッシュ・ガーデンを楽しむことができる。

Kiftsgate Gardens www.kiftsgate.co.uk
Mill Dean Garden www.milldenegarden.co.uk

Hidcote Manor Garden 「コッツウォルズの宝石」と称賛されているヒドコート・マナーは、ナショナル・トラストによって保護された初めての本格的なガーデン

Hidcote Manor Garden
www.nationaltrust.org.uk/main/w-hidcotemanorgarden.htm

ストウ・オン・ザ・ウォルド Stow-on-the-Wold ストウ・オン・ザ・ウォルド

コッツウォルズ観光の魅力の一つに挙げられるのが、アンティーク・ショッピング。昔も今も富裕層が集まるこの地方は、最上級のアンティークの宝庫。ヨーロッパのみならず、世界中のアンティーク・ファンがこの町に「本物」を求め、集まる。

Lower Slaughter ローワー・スローター

ローワー・スローター 「コッツウォルズのベニス」と呼ばれ、大型観光バスが押し寄せるボートン・オン・ザ・ウォーターは、国道を挟んで目と鼻の先。ただしこちらは大型バス乗り入れ禁止区域なので、コッツウォルズの村の良さがそのまま残っている、静かで美しい場所だ。

南まわりコース

Northleach ノースリーチ

ノースリーチ コッツウォルズのほぼ中央に位置するノースリーチは、15世紀に建てられた教会を中心に広がる美しい村。この村外れにある18世紀の教護院が、現在の環境保護局のオフィスとなっている。すぐ近くにあるナショナル・トラストの「チャドワース・ローマン・ビラ(古代ローマの荘園)」は、歴史好きな方には必見の場所。

Chedworth Roman Villa
www.nationaltrust.org.uk/main/w-chedworthromanvilla

Bibury バイブリー

The Swan Hotel バイブリーはコルン川に沿った小さな村。由緒あるスワン・ホテルと鱒(ます)の養殖場のほかには、小さな店とパブがあるのみ。それでもこの地を訪れる人が後を断たない訳は、この地を称賛したウィリアム・モリスの影響だ。小さな石造りの家が並ぶ有名なアーリントン・ローの景観は、ナショナル・トラストによって保護されており、後世に残っていくことになる。

The Swan Hotel
www.cotswold-inns-hotels.co.uk/property/the_swan_hotel

Bibury  
Sherborne シャアボーン

シャアボーン 観光ガイド本などで紹介されることの少ない「シャアボーン」は、村ごとナショナル・トラストによって保護管理されている。石造りの家々、村で唯一の郵便局や小学校、そして広大なパークとエステイト。既に観光地として有名になっている町や村と違い、本物のコッツウォルズの暮らしぶりを垣間見ることができる。

Lodge Park & Sherborne Estate シャアボーン村とは国道を挟んだ向かいにあるロッジ・パークは、村の大地主であったジョン・ダトンの建てた社交専用の邸宅。17~18世紀の貴族の暮らしぶりを再現し、人気を集めている。

Lodge Park & Sherborne Estate www.nationaltrust.org.uk/main/w-lodgeparksherborneestate

Cirencester サイレンセスター

サイレンセスターシャアボーン ローマ時代の英国の地方首都の一つであったサイレンセスター。今では「コッツウォルズの首都」と呼ばれ、ローマ時代に負けないほど活気のある町となっている。850年の歴史をもつセント・ジョンズ・バプティスト教会は「コッツウォルズの大聖堂」と称されるゴシック建築の美しい建物。教会前の広場では、曜日ごとに様々なマーケットが開かれる。

ハイグローブ サイレンセスターまで来たら、ちょっと南に足を延ばしてテットベリーの町散策もお勧め。チャールズ皇太子自ら手掛けているガーデンのある別荘、ハイ・グローブ邸のお膝元である。町には皇太子直営店「ハイグローブ」もある。

Highgrove Shop 
www.highgroveshop.com

Burford バーフォード

バーフォード 14世紀の頃より「ウール・タウン」と呼ばれ、宿場町として繁栄を続けたバーフォードは、今でも当時の面影を保つ、賑やかで華やいだ町。良質のアンティーク・ショップも豊富だ。また、ハイ・ストリートにある人気のベーカリー「ハフキンズ」では、美味しいアフタヌーン・ティーと出会うことができる。このコースお勧めのお茶どころ。

Huffkins
98 High Street, Burford Oxfordshire OX18 4QF
Tel: 01993 822126
www.huffkins.com

Painswick ペンズウィック

ペンズウィック コッツウォルズの西の端にある小さな町。別名「コッツウォルズの女王」とも呼ばれている、美しい場所だ。ここは大型バスが入って来られないので、静かで趣のあるひとときを過ごすことができる。なぜか最後の1本がどうしても育たないという、99本のイチイの木がある セント・メアリー教会。ロマンティックな石造りの家々が連なる通りの奥からは、素晴らしい景観が望める。

財)ロングステイ財団公認
海外サロン・コッツウォルズサロンの紹介


コッツウォルズを訪れるなら……
限られた時間でコッツウォルズの魅力に触れたい。コッツウォルズで暮らすように滞在したい。ガイドブックに載っていない、素敵な場所を訪ねてみたい……。そんなオーダーメイドの旅を楽しみたい方は、日本語で対応してくれるコッツウォルズ・サロンに相談してみよう。

財)ロングステイ財団公認海外サロン コッツウォルズ・サロン
www.longstay.or.jp/modules/ls_salon/index.php?content_id=66


※情報は記事掲載当時のものです。

 

コッツウォルズの魅力の真髄を知る Part 1

コッツウォルズの魅力の真髄を知る 「英国で最も美しい村々」を訪ねて Part 1羊の群れ

数ある英国の美しい田園地帯のなかでも、とりわけ人気の高いコッツウォルズ地方。ロンドンから2時間ほどでたどり着くことができる「英国で最も美しい村々」だ。近年では、日本からも湖水地方と並んで訪れる観光客が多いこの地方だが、その本当の姿をきちんと知る人は少ない。そこで今回は、2週にわたってこの美しい田園地帯の魅力の真髄をご紹介。まず今週はコッツウォルズの歴史と環境保護活動について、ご説明しよう。

(小野 まり)

協力: グロスター観光局 www.the-cotswolds.org
コッツウォルズ環境保護局 www.cotswoldsAONB.org.uk

著者プロフィール
1999年にナショナル・トラスト取材のために来英。2002年、夫で日本ナショナル・トラスト協会のオフィシャル・アーティストでもある琢正氏ら家族とともに英国に移住し、以降、英国の環境保護活動に関する研究・執筆活動に携わる。

コッツウォルズの地図

・コッツウォルズの歴史

「コッツウォルズ」とは何処を指すのか ── 単純な質問だが、この問いに正確に答えることができる人は意外に少ないのではないだろうか。

北はウォーリックシャーとウースターシャーの一部と接し、東側はオックスフォードシャー西部の一部分、そして大部分はグロスターシャーの東部を含み、南はウィルトシャー、バース、そしてサマセットの一部に接している。その総面積は2038平方キロメートル、東京都とほぼ同じ広さだ。そのなかにおよそ100の村や町が点在している、緩やかで広大な丘陵地帯が、コッツウォルズ地方である。

「ローマが眠る」地方

この地方の歴史は長く、4000年以上前の史跡が今も多く残っている。また、コッツウォルズに暮らす人々が「足元にはローマが眠っている」と言うほど、古代ローマ帝国の影響を大きく受けた一帯でもある。

ローマン・ビラのモザイクの床
ローマン・ビラのモザイクの床

紀元43年にはケルト民族征服のために大陸からやってきたローマ軍が、容易に守れる緩やかなこの地に目を付け、軍隊のための道路や駐屯地を設けた。それが現在では高速道路や国道として残り、この地方のドライブには欠かせない主要幹線道路となっている。さらに、当時の高級軍人の暮らしぶりを知ることができるローマン・ビラ(古代ローマの荘園)なども現存している。ガーデニングがてら庭をちょっと掘ったら、古代ローマの遺物が出てきた──なんてことも珍しくないのが、この地方の特徴でもある。

中世になると、ローマ人によってもたらされた毛の長い羊、今では「コッツウォルド・ライオン」と呼ばれ、この地方のシンボル的存在となっているが、その羊の羊毛貿易によって、この地方は黄金期を迎えた。コッツウォルズにあるいくつかの村に付いている「チッピング(Chipping)」という名称は「市場」という意味をもつことからも、その最盛期の賑わいがうかがえる。

さらに14~16世紀には、地場産業としての羊毛加工技術の向上と需要増によって、この地方に潤沢な資産がもたらされた。蜂蜜色のライムストーンの可愛らしい家々に混じって、歴史的建造物の名に相応しい、壮麗なマナー・ハウスやカントリー・ハウスが現存しているのも、この時代の遺産のおかげだ。

時代に取り残された地方から「この世で最も美しい村」へ

しかし、産業革命を迎えた18世紀以降、コッツウォルズ地方は急速に時代に取り残されていく。時代は毛織物から綿製品へ、そして大量生産の化学繊維へと移行していったのである。コッツウォルズが今なお「昔のままの姿」をとりとめているのには、実はこの時期、完全に時代に乗り遅れ、人々の記憶から忘れさられたことが一因となっているのである。おかげで、産業革命期を境に英国に張り巡らされた鉄道網からも逃れ、数百年前の田園風景が保たれることになった。

ウィリアム・モリス
コッツウォルズを愛した
ウィリアム・モリス

時代に取り残されたコッツウォルズ地方が、再び注目を集めだしたのは19世紀になってからである。ときの文化人たち、なかでも英国を代表するデザイナーであり、「アーツ&クラフツ運動」の旗頭であったウィリアム・モリスが、彼の別荘であるケルムスコット・マナーにほど近いバイブリーを「この世で最も美しい村」と賞賛したのは、あまりにも有名な話だ。産業革命によって疲弊した人々の心身を癒したのが、このコッツウォルズに広がる田園風景だったのである。現在では、英国人たちが「老後に最も暮らしたい場所」として一番に挙げるほど、この地は桃源郷として現代に蘇ったのである。

街並み
蜂蜜色の可愛らしい家々が連なる街並み

羊と「王の石」
「コッツウォルド・ライオン」とも呼ばれる地元の羊(写真左)
ストーンヘンジと同時期に建造されたと言われる「王の石」(写真右)

AONB指定地域の証
AONB指定地域の証

・地元環境保護の取組み

「エリア・オブ・アウトスタンディング・
ナチュラル・ビューティー」

さて、長い歴史のなかで「運良く」残ったコッツウォルズだが、どんなに素晴らしい景観地も、実は人の手が入らなければ荒れ果てていくものである。19世紀後半に見直されたこの地方が、さらに英国の保護対象となったのは20世紀のことであった。

1966年、コッツウォルズは「Area of OutstandingNatural Beauty(特別自然美観地域。以下AONB) の指定を受けた。AONBとは、イングランド、ウェールズ、北アイルランドにおいて、後世に残すべき価値のある美しいカントリーサイドを、政府に代わって保護管理する地方議会により、特別指定地域に選ばれたことを意味する。AONB指定の第一の目的は、その自然景観の美しさを保存し、さらに改良していくこと。そして第二の目的は、このカントリーサイドの素晴らしさをすべての人々が享受できるよう、地域住人やそこで働く人々の利益を尊重することにある。

石を積み上げるボランティア
石を積み上げるボランティア

現在、コッツウォルズ地方の人口はおよそ15万7000人。土地利用の構成は80%以上が農地、およそ9%が森林地区である。コッツウォルズの観光拠点となっている町や村で、ファーマーズ・マーケット(地元農家による露天売り)が盛んに開催され、人気を集めているのは、そうしたバックグラウンドも影響しているのかも知れない。また、コッツウォルズの景観には欠かせないドライストーン・ウォール(地元の石灰石を、接着剤を使用せずに積み上げて造る石壁)は、その技術の伝達も含め、何百人もの地元ボランティアによって担われている。

2004年12月には、コッツウォルズAONBの環境保護をさらに強化するために、「コッツウォルズ環境保護局(Cotswolds Conservation Board)」が、政府によって設立された。同保護局はコッツウォルズのAONBを保全するための唯一の機構であり、様々な計画を率先して実行。コッツウォルズの環境保護のためのプロ組織が、政府の下に誕生したわけである。

ここで注目すべきは国と地方自治体の関係で、環境保護に関する様々な法的権限は保護局にあり、また地元のためになる計画であれば保護局独自の考えに基づき実行できるという点だ。国は国民のためにその目的に沿った活動がきちんと実施されているか、常に監視する立場にある。保護局で働くスタッフは20代から40代の少数精鋭の専門家集団。どこかの国の天下り組織とは、全く違うのである。

環境保護局の目的は、それまでのAONB同様、地域住民とそこで働く人々の環境保護への関心を高め、さらにその地域への訪問者に関しても、コッツウォルズの素晴らしさを享受してもらえるよう、努めることにある。現在、保護局のオフィスは、保護地域の中央に位置するノースリーチという村にある。オフィスの一般見学は無理だが、隣接の建物は古くからこの地に伝わる珍しい農工具などが展示してある博物館となっている。また、地ビールを味わうことができるカフェもあり、地元アーティストやクラフトを扱ったショップもオープン、新たに観光名所の一つとなるだろう。

持続可能な自然と人間の共存

2006年、コッツウォルズはAONB指定40周年を迎えた。築50年、100年の民家を「新しい家」と考える英国人にとって、この40年間は、まだまだ「子どもの歩み」だ。これからもゆっくりと、しかし確実にこの自然景観を守っていくこと、それがコッツウォルズに課せられたテーマであり、この地に憧れを持つ、一人一人の願いでもある。

親から子へと伝わる環境保全の意識
親から子へと伝わる環境保全の意識

年間300万人以上の観光客を受け入れながら営まれている、この地域の環境保全の取り組みをみていると、そこには地域住民、そこで働く人々、そしてその地域で育つ子どもたちも含めて、持続可能な自然と人間の共存にじっくりと取り組んでいる姿がある。性急な答えを求めない、無理のない環境保全への対策。先導する専門家たちと、それを支える何百ものボランティアの人々──その層の厚さはうらやましい限りで、コッツウォルズの緩やかな丘陵地に流れる風のように、この美しい風景を優しく包み込んでいるようだ。

幻想的な景色
もやがかった幻想的な景色が広がる

ファーマーズ・マーケット
新鮮な食材がずらりと並ぶファーマーズ・マーケット

あなたもコッツウォルズの環境保護にひと役!

コッツウォルズ AONB & Takumasa Ono コラボ商品が誕生

日本ナショナル・トラスト協会のオフィシャル・アーティストでもある画家・小野琢正さんと、コッツウォルズ環境保護局のコラボ商品が誕生。このコッツウォルズをテーマとした水彩画12絵柄の絵葉書セットの売り上げの一部は、地元環境保護局へ寄付され、コッツウォルズの景観保護に役立てられる。

コラボレーション
定価6ポンド(コッツウォルズ内ツーリスト・インフォメーション・センターなどで販売中)(写真左)/ 原画とともに記念撮影に応じる小野琢正さん(同右)

コッツウォルズをもっと詳しく知りたい人のために

図説・英国コッツウォルズ -  憧れのカントリーサイドのすべて今回ご紹介したのは、コッツウォルズの一部。この魅力溢れるカントリーサイドを、じっくり散策したい人のためのガイド本。およそ240点の写真とともに、コッツウォルズ在住の著者ならではの、お勧めどころが満載だ。

『図説・英国コッツウォルズ -
憧れのカントリーサイドのすべて』
河出書房新社・刊 小野まり著
定価1800円
ロンドンJP–Booksなどで販売中

※情報は記事掲載当時のものです。

 

イギリス新連立政権の主要閣僚を一挙紹介

保守・自民から選び抜かれた精鋭部隊 イギリス新連立政権の主要閣僚を一挙紹介

閣僚

5月6日の総選挙で労働党が敗退し、保守党、自由民主党の連立政権が誕生してからはや2カ月。単一の政党による政権運営が一般的である英国での数十年ぶりの 連立政権の誕生を、キャメロン首相は自ら「歴史的な大きな変化」と述べた。教育改革や金融制度改革、先日発表された緊急予算など、新政権は日々、着々と歩を進めているが、では、この政権の重要な背骨として活躍する主要内閣メンバーとは、どのような人たちなのだろうか。今回は、彼らのプロフィールを中心に紹介する。

(猫山はるこ)

キャメロン内閣について

連立政権の組閣で注目されたのは、自由民主党に幾つの閣僚ポジションが与えられるかという点だった。結果は、クレッグ党首の副首相就任を始め、同党から5人もの大臣が誕生することになった。長年、第3政党の座に甘んじてきた自民党にとっては大きな成果だろう。保守党の方は、オズボーン財務相を含め、選挙前の影の内閣でのポジションを引き継いだ無難な人選が目立った。意外だったのは、企業相就任が予想されていたケネス・クラーク氏の司法相任命、テリーザ・メイ氏の内務相就任など。元保守党党首のイアン・ダンカン・スミス氏の雇用・年金相任命は、自民党との連立を快く思わない保守党の右派勢力をなだめるためだったとの噂もある(ダンカン・スミス氏は党内右派)。ちなみに、文化・オリンピック・メディア・スポーツ相に任命されたジェレミー・ハント氏は、英語講師として日本に2年間滞在した経験があり、日本語ペラペラ、日本文化にも詳しいという英国の大臣には珍しい日本通だとか。

キャメロン内閣閣僚名簿

氏 名 年齢 役 職 所属政党
デービッド・キャメロン
43
首相 保守党
ニック・クレッグ
43
副首相 自由民主党
ジョージ・オズボーン
39
財務相 保守党
テリーザ・メイ
53
内務相 保守党
ウィリアム・ヘイグ
49
外務相 保守党
ケネス・クラーク
70
司法相 保守党
アンドリュー・ランズリー
53
保健相 保守党
マイケル・ゴーブ
42
教育相 保守党
リアム・フォックス
48
国防相 保守党
フィリップ・ハモンド
54
運輸相 保守党
ビンス・ケーブル
67
ビジネス・改革・技術相 自由民主党
キャロライン・スペルマン
52
環境・食糧・農村問題相 保守党
イアン・ダンカン・スミス
56
雇用・年金相 保守党
クリス・ヒューン
56
エネルギー・気候変動相 自由民主党
ジェレミー・ハント
43
文化・オリンピック・
メディア・スポーツ相
保守党
アンドリュー・ミッチェル
54
国際開発相 保守党
ダニー・アレキサンダー
38
主席財務相 自由民主党
エリック・ピクルス
58
コミュニティー・
地方自治相
保守党
オーウェン・パターソン
54
北アイルランド相 保守党
マイケル・ムーア
45
スコットランド相 自由民主党
シェリル・ギラン
58
ウェールズ相 保守党
ストラスクライド卿
50
上院院内総務 /
ランカスター公領尚書
保守党
サイーダ・ワルシ
39
保守党幹事長 保守党

首相・副首相コンビ

David Cameronデービッド・キャメロン
David Cameron

43歳 首相 保守党

過去200年で最年少の英国首相

保守党党首就任当時は、中身がないだの政治経験が浅いだの、ブレア首相(当時)の簡易版だのと散々言われたが、それも今や昔。自民党への熱烈なラブコールが実り、新連立政権を誕生させてからは、野党当時のような妙なイメージアップ作戦も行わず、黙々と首相職に打ち込んでいる。キャメロン家は、ハノーバー朝のウィリアム4世とその愛人の子供の子孫にあたり、金融業界で要職に就いた人物が多い。キャメロン氏の父親も、大手の株式仲買業者の共同経営者だった。

イートン校、オックスフォード大卒業のサラブレッドで、趣味はテニスと音楽鑑賞。数年前、最も好きなアルバムは80年代のインディー・ロック・バンド、ザ・スミスの「クイーン・イズ・デッド(女王は死んだ)」であるとコメントしたことがある。首相に就任し、定期的に女王と謁見する身分になった今では、この発言を少なからず後悔しているかもしれない。妻サマンサさん(39)は現在4人目の子供を妊娠中で、9月に出産予定。

Nick Cleggニック・クレッグ
Nick Clegg

43歳 副首相 自由民主党

帝政ロシアの貴族の血を引く国際派

総選挙前は英国民でさえ「誰それ?」な人が多かったのが、選挙戦の一環として行われた党首のTV討論をきっかけに一気に知名度アップ。にわかに注目が高まり、過去にマスコミの取材で述べた「これまでの女性経験は30人くらい」とのコメントが掘り起こされるなど、少々恥ずかしい出来事もあった。

ケンブリッジ大など3つの大学で学位取得後、欧州委員会などで勤務。母はオランダ人、父は英国とロシアのハーフなので、英国人の血は4分の1しか入っていない。子煩悩らしく、3人の子供たちがアイスランドの火山灰の影響で妻の実家があるスペインに足止めされた際は、我が子恋しさに相当へこんでいたとか。副党首としては政治改革を担当。自民党悲願の選挙制度改革を何としても達成したいところだ。

内閣メンバー紹介

将来は准男爵の称号を継ぐ自信家

George Osborneジョージ・オズボーン
George Osborne

39歳 財務相 保守党

実家は17世紀から准男爵の称号を受け継ぐ名家、父親は高級壁紙会社を創設して大成功した億万長者と、光り輝くバックグラウンドを持つのがこの御方。時に傲慢にも見える強気な態度は、家柄、富、知性、仕事と、まだ30代にしてすべてを兼ね備えた男の自信の表れか。オックスフォード大卒業後、保守党の調査部で働き、ヘイグ保守党党首時代は同党首のスピーチライター兼政治秘書として活躍。サッチャー政権下で運輸相などを務めたデービッド・ハウエル氏の長女フランシスさんと1998年に結婚、一男一女あり。公共支出削減という新政権の最重要課題を抱え、オズボーン氏が今の自信満々な態度をずっと保っていけるかどうかは興味深いところ。

英国史上2人目の女性内相は靴フェチ

Theresa Mayテリーザ・メイ
Theresa May

53歳 内務相 保守党

治安、移民対策などに鉄 拳を振るう内務相に任命されたのは、ちょい怖めの容貌でそこらの少年ギャングなぞ軽く威嚇できそうなメイ氏(別にルックスで選ばれた訳ではないだろうが)。オックスフォード大で地理学を学んだ後、イングランド銀行などで勤務の傍ら、ロンドン内で区議会議員も務めた。1997年に国会議員に初当選し、2002年に保守党初の女性幹事長に就任。同年の保守党大会で党の近代化を訴える演説を行い、同党がいまだに「(移民や貧困層に同情的ではない)意地悪な政党としてみなされている」と発言、物議を醸したことは有名。真っ赤なパンプスや豹柄のヒールなど派手な靴が好きなことで知られ、タブロイド紙からしばしばファッション・チェックされている。

一度聞いたら忘れられない声の持ち主

William Hagueウィリアム・ヘイグ
William Hague

49歳 外務相 保守党

北部なまりの残る鼻声については好き嫌いが分かれるものの、ウィットに富んだ優れた弁才の持ち主であることは誰もが認めるところ。弱冠16歳で保守党の党大会で演説したときから、既にその雄弁さは知られていた。サウス・ヨークシャー州で自営業の両親に育てられ、公立校に通ったという経歴は、富裕なミドルクラスの家庭出身でパブリック・スクール卒という多くの閣僚メンバーとは対照的。大学はオックスフォード大に進学し、経営コンサルタントとして勤務した後、1989年の補欠選挙で国会議員に当選。1997~2001年には保守党党首を務めている。趣味は柔道で、マドンナの元夫ガイ・リッチーと同じ柔道教室に通っていたこともあるとか。

「ダメ党首」が大臣にカムバック

Iain Duncan Smithイアン・ダンカン・スミス
Iain Duncan Smith

56歳 雇用・年金相 保守党

2001年9月から保守党党首を務めるも、弁才なし、指導力なし、信念なし、カリスマ性なしのないない尽くしで「ダメ党首」の烙印を押され、ついには2003年11月、同党議員による不信任決議を受けて党首退陣。英国中の笑い者だったあの頃は、まさか閣僚として政治の第一線にカムバックする日が来るとは思っていなかったかも。母方の曾祖母は日本人だが、特に親日的傾向は見られない。政治家になる前は英陸軍の軍人、民間企業勤務を経験した。

若手を蹴散らすいぶし銀の魅力

Kenneth Clarkeケネス・クラーク
Kenneth Clarke

70歳 司法相 保守党

国会議員歴40年、サッチャー、メージャーの保守党政権下で保健相、教育・科学相、内務相、財務相などの重要ポジションを歴任した大ベテラン。気取らない率直な話しぶり、態度で一般庶民に人気が高い。メディアが彼を指して使う「大物の野獣(big beast)」とのあだ名は、政治家としての豊富な経験に対する尊敬と、親しみの念が込められていると言えよう。ジャズと葉巻の愛好家というのも、渋いオヤジのイメージにピッタリ。弁護士の資格を持つ。

教育改革にまい進する元労働党支持者

Michael Goveマイケル・ゴーブ
Michael Gove

42歳 教育相 保守党

保守党の近代化を推進するグループ「ノッティング・ヒル・セット」の一員で、キャメロン首相に最も近しい政治家の一人。政権発足以来、教育改革にまい進している。冷たい印象だが、喋りながら興奮すると口を突き出す様子はひょっとこのお面のようでユーモラスと言えなくもない。生後4カ月でエディンバラの労働党支持者の家庭に養子として引き取られ、自身も若い頃は労働党党員だった。「タイムズ」紙でジャーナリストとしての勤務経験あり。

社交ダンス好きな経済の専門家

Vince Cableビンス・ケーブル
Vince Cable

67歳 ビジネス・改革・技術相 自由民主党

オズボーン氏よりも財務相に適任との声も少なくない経済の専門家。金融危機に早くから警鐘を鳴らしていたことで有名。ケンブリッジ大、グラスゴー大卒。1997年に国会議員に初当選する前は、石油会社「シェル」の経済アドバイザーなどを務めていた。豊富な知識と経験に基づいた鋭い経済分析で他の政党の政治家からも尊敬を集める存在であるが、連立政権発足以降は労働党から「オズボーン財務相のプードル」呼ばわりされるなどしており、かなりご立腹の様子。社交ダンスが趣味で、BBCのダンス番組「ストリクトリー・カム・ダンシング」に「本気で出演したい」と語ったこともあるが、多忙な大臣職を得た今となっては、夢も当分おあずけか。

スキャンダルで突如要職に任命

Danny Alexanderダニー・アレキサンダー
Danny Alexander

38歳 主席財務相 自由民主党

組閣当初は得意分野のスコットランド相に任命され、楽々の大臣デビューのはずだった。が、自民党のデービッド・ローズ議員が経費問題であっけなく主席財務相の座を辞任したのを受け、突如このポジションに就く羽目に。経済関係の役職に就いた経験がないため適性を疑問視する声も聞かれたが、確かに、経済政策発表の記者会見で、演説するオズボーン財務相をじーっと横から見つめる姿はどこか所在なげ。今後の頑張りに期待。エディンバラ生まれで、スコットランドの島で少年時代を過ごした。オックスフォード大卒。議員になる前は、スコットランド自由民主党の広報担当、スコットランドの国立公園の広報部長などとして働いていた。女性誌編集者の妻との間に2児あり。

舌鋒鋭い若き女性イスラム教徒

Sayeeda Warsiサイーダ・ワルシ
Sayeeda Warsi

39歳 保守党幹事長 保守党

英国初の女性イスラム教徒の閣僚。両親はパキスタン人移民。「白人のオヤジだらけ」というキャメロン内閣のイメージを中和するのに一役買っている。39歳という若さと、愛くるしさが残るルックスからは想像し難い舌鋒の鋭さは、元弁護士という経歴ゆえか。19歳のときに親戚の男性と強制結婚させられ、1児をもうけるも2007年に離婚。昨年再婚した。リーズ大卒業。なお、上院議員であり、選挙に当選して下院議員になったことはない。

シティで成功、7軒の家持つ大富豪

Chris Huhneクリス・ヒューン
Chris Huhne

56歳 エネルギー・気候変動相 自由民主党

2005年に国会議員に初当選してから1年も経たないうちに自民党党首選に立候補した野心家(結果は次点)。地味ながら自信に満ち溢れた態度が大物感を漂わせる。仏ソルボンヌ大、オックスフォード大卒。政界入り前、ロンドンの金融街シティでエコノミストとして働いていた時に巨額の富を築いたらしく、推定資産は350万ポンド(約4億6700万円)。自分名義で7軒もの家を所有している。最近、25年連れ添った妻との離婚を発表した。

ハング・パーラメントとは

選挙でどの政党も議会の過半数の議席を獲得できなかった場合、その状態を「ハング・パーラメント」と呼ぶ。5月の総選挙では、最大政党となった保守党は307議席を得るにとどまり、過半数(326議席)に手が届かなかった。ハング・パーラメントになった場合、①複数の政党が連立政権を発足させる、②単一の政党が少数与党政権を発足させる、③もう一度選挙をやり直す、という選択肢がある。少数与党政権の場合、政権党は、それぞれの法案ごとに他の政党の賛同を取り付け、可決にこぎつけるという面倒なプロセスを強いられる。5月の総選挙前には、ハング・パーラメントになった場合、政権が不安定になるとして懸念する声が多く聞かれた。

ハング・パーラメントの例

英国 小選挙区制を採用している英国では、ハング・パーラメントになることは稀である。今回の総選挙以前では、1974年2月の総選挙でハング・パーラメントになったのが最も新しい例であった。この際は、選挙前の政権党だった保守党が自由党(The Liberal Party。既に解散)との連立交渉に失敗し、議席数で最大政党となった労働党が少数与党政権を立ち上げた。しかし、議会では政府法案の否決が相次ぎ(同年6、7月の間に18法案が否決された)、政権運営は困難を極め、結局ウィルソン首相は同年10月、再度の総選挙実施を余儀なくされた。この同年2回目の選挙では、労働党がわずか3議席差で辛うじて過半数を獲得し、政権を維持することができた。

海外 英国以外の欧州の国では、選挙の結果、単一の政党が過半数を取れず、連立政権を組むという状況はごく一般的である。連立交渉の期間も、英国では今回、わずか1週間ほどで終わったが、欧州の国では数週間から数カ月かかる場合もある。これらの連立政権は、必ずしも過半数の議席を得ている単一の政党による政権に比べて弱小ということはなく、例えばドイツの連立政権にはうまく機能し、成功とみなされている例が数多くある。欧州以外を見てみると、カナダでは2004年以降、現在までに行われた3回の下院選挙ですべてハング・パーラメントとの結果になり、少数与党政権が続いている(ただし同国では「ハング・パーラメント」との言葉は使われていない)。

 

ロンドンで、極上のティー・タイム

ロンドンで、極上のティー・タイム

ロンドンでは、英国が誇る「アフタヌーン・ティー」の伝統に恥じない、おいしいスイーツに巡り合うことができる。人々に長く愛されてきた伝統的で素朴なケーキから、最新のモードを体現したおしゃれで繊細なケーキまで、シーンや目的に合わせて色々試してみたい。お散歩やショッピングに欠かせない、お茶と極上のスイーツのひととき。今一番気になる、評判のカフェを10店厳選してお届けします。

文・写真: MIiki Yamanouchi

至福のデザート・フルコースに舌鼓
William Curley

William Curley木漏れ日が差し込む広場に面した、チョコレート色のひさしが目印。イタリアの最高級チョコレート「アメディ」を使った、細工の美しいケーキが並ぶ。こちらのスイーツは、パティシエであり、ショコラティエでもあるウィリアムさんと寿々江さんご夫婦の出身地、スコットランドと日本の伝統が生み出すハーモニーでもある。他所では見ない、黒酢やウィスキー「山崎」のトリュフなどもいただける。

デザート・バーで饗されるアシェット・デセール(皿盛りデザート)は、注文後に作られる3点構成のデザート。プリ・デザート2品、アラカルト5品からそれぞれ1品ずつ選び、最後にプチ・フールで締める。お勧めの「Foret Noire」は、筒状にしたダーク・チョコレートをキッシュ・クリームとチョコレートのムースで満たし、ピスタチオのアイスクリームとラズベリー・ソースを添えた一品。ムースとチョコのリッチな滑らかさに、温かいソースと冷菓の温度差も絶妙な起伏ある味わいは、できたてだからこそ。

Foret Noire
Foret Noire
デザート・バーでいただけるアラカルトのうちの1つ。
デザート・バーは水〜日の13:00より。3コースで£15

William Curley
198 Ebury Street SW1W 8UN
Tel: 020 7730 5522
www.williamcurley.co.uk
月〜土 9:30-18:30 日10:00-18:30
アクセス: Sloane Square駅から徒歩5分

スイーツとファッションの甘い関係
Cocomaya

Cocomaya

テーブルに運ばれてくるアンティークのティー・セットに心躍る瞬間、ココマヤの魔法にかけられる。ファッション界のビッグ・ネームが立ち上げたブティック・ベーカリー、そのエッセンスが詰まった3段トレーの「High Tea」は、乙女が夢見るお茶会を絵に描いたよう。花が散りばめられたトレーには、バラの形が愛らしいミニ・ローズ・ケーキがちょこんとお座り。昔風のドロップ・スコーンには、シェリー・グラスに入ったクリームとジャムがお供している。パンもジャムも手作りだが、特にサンドイッチに使われているナッツ入りのパンは、日本でも人気のケーク・サレ(塩味のケーキ)そのものの注目の味だ。

素朴なケーキと華麗なティー・セットのバランスがおしゃれな、スイーツ・ファッションとも呼ぶべきデザートを提供するこちらのカフェは、それでいてご近所さんと店員が親しく挨拶を交わす、肩の凝らないフレンドリーな空間でもある。「High Tea」でサーブされるケーキは個別に買うこともできる。

*このお店は閉店しました。

High Tea
High Tea £25
15:00より。要予約

Cocomaya
12 Connaught Street W2 2AF
Tel: 020 7706 2883
www.cocomaya.co.uk
月〜土 10:00-19:00 日10:00-18:00
アクセス: Marble Arch駅から徒歩10分

華やかエリアのニューフェイス
Lanka

Cocomaya

「温かみのある、ヨーロッパらしいケーキを作っていきたい」というオーナー兼フレンチ・シェフの羽良さん。ミシュラン・レストランで研鑽を重ねた彼が、今年オープンしたのがランカだ。周辺はおしゃれな店が立ち並び、そぞろ歩くのも気持ちいい。モンブランやマカロンなど18種類のスイーツが並ぶ。クレーム・ブリュレは注文があってからカラメリゼするなど、こだわりある食への姿勢はケーキにも表れている。

店名は紅茶の国スリランカから取ったというだけあってお茶も充実。オリジナルのフレーバー・ティーは3種類で、お勧めの「Royal Delight」は、自然なイチゴの香りのあとに茶葉のしっかりした味わいが口中に広がり、印象深い。看板ケーキの「Green Tea Strawberry Cake」は、イチゴと抹茶のスポンジ、ホワイト・チョコレートのクリームという極上のトリオが楽しめる。プリムローズ・ヒルはすぐそば。おいしいケーキで一服したら、丘に登ってロンドンを見晴らしてみたい。

Green Tea Strawberry Cake
Green Tea Strawberry Cake £3.80

Lanka
71 Regent's Park Road NW1 8UY
Tel: 020 7483 2544
www.lanka-uk.com
月〜日 9:00-19:00 不定休
(ウェブサイトまたは電話で確認を)
アクセス: Chalk Farm駅から徒歩7分

滋味ある素材の力をモダン・スタイルで
Ottolenghi

Ottolenghi

うずたかく積まれたメレンゲ菓子の甘い姿に惹かれるように、ケーキを求める客が後を絶たない。朝のペストリー&コーヒーから夕食後のデザートまで、奥の大テーブルでいつでも気軽にいただけるのも、人々に愛されるゆえんだ。エキゾチックなスパイスや材料を取り入れたデリの食事は、栄養のバランスがとれたサラダも多く、甘いものを食後にいただいても罪悪感なし。

厳選された素材の良さがルックスににじみ出るようなスイーツの中でも、きつね色の尖ったメレンゲ帽子がキュートな「Passion Fruit Meringue Tart」は、ケーキ・カウンターの最前列を飾る人気者だ。ベストセラーの同店レシピ・ブックにも掲載されず、作り方は非公開というのも、来店したくなる理由だろう。一口含むと、メレンゲの柔らかさとフルーツ・ソースの種の歯触りが楽しく、ほろりと崩れるデリケートなタルトも絶品。ミルクなしのストレート・ティーと一緒にいただくと、フレッシュな南国フレーバーがより引き立つはず。

Passion Fruit Meringue Tart £ 3.70
Passion Fruit Meringue Tart £ 3.70

Ottolenghi
63 Ledbury Road W11 2AD
Tel: 020 7727 1121
www.ottolenghi.co.uk
月〜金 8:00-20:00 土8:00-19:00 日8:30-18:00
アクセス: Notting Hill Gate駅から徒歩10分

ロンドンっ子も夢中、ポップなアメリカン・ケーキ
The Hummingbird Bakery

The Hummingbird Bakery

すべてのケーキ・レシピがアメリカン、というこちら。米国らしい、アイシングがたっぷりの、甘く、ポップな仕上がりがラブリーの一言だ。ビッグ・サイズのブラック・コーヒーと合わせて、パンチのある味を楽しもう。キーライム・パイや、パンプキン・パイ、バナナ・クリーム・パイなどのアメリカン・パイはもちろん勢揃いで、ホール・ケーキも3段レイヤーのヘビー級だ。

人気のカップ・ケーキは定番の4種類のほかに、抹茶やアール・グレイ、フルーツ・ティーなど曜日ごとに変わるフレーバーもあり、カップ・ケーキ好きなら毎日一つずつ制覇したくなるかも。赤いスポンジが鮮烈な「Red Velvet Cupcake」と、チーズ・ケーキが真ん中に入ったダーク・チョコレート味の「Black Bottom」は、大人がおしゃれに楽しめるスイーツ。女友達と待ち合わせして、ベルベットのスツールに足を組んで座れば、スタイリッシュな米ドラマ・シリーズ、「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公、キャリーになった気分だ。

Red Velvet Cupcake
Red Velvet Cupcake £ 2.35

The Hummingbird Bakery
47 Old Brompton Road SW7 3JP
www.hummingbirdbakery.com
月〜日 10:00-19:00
アクセス: South Kensington駅から徒歩3分

研ぎすまされた感覚はケーキにも
Rose Bakery

Rose Bakery

食にうるさいパリっ子をうならせ、英国発のカフェとしてパリでも成功しているローズ・ベーカリー。ファッション・デザイナー、川久保玲が率いるセレクト・ショップ・ビルの最上階にあり、昼時になると最新モードに身を包んだ若者や服飾関係者が、ランチにやってくる。ケーキやキッシュ、サラダなどが楽しめるが、ベーカリーというだけあって、目の前の特大オーブンで次々と焼き上がるスコーンやパウンド・ケーキが、カウンターにずらりと並ぶ様子は壮観。どれも黄金色にしっかり焼き込まれ、シンプルな粉のおいしさと香ばしさが伝わってくるようだ。

看板ケーキの「Carrot Cake」は胡桃がざっくり入り、にんじん入りの生地ならではのしっとり感に、スパイシーなシナモンの香り。かなり甘さを控えめにしたクリーム・チーズのアイシングが、たっぷりとトッピングされている。ミニマムで抑えめなのにエッジー。洗練されたセンスは、ファッションのみならず味覚にも表れているようだ。

Carrot Cake
Carrot Cake £ 4

Rose Bakery
Dover Street Market, 17-18 Dover Street W1S 4LT
Tel: 020 7518 0680
www.doverstreetmarket.com
月〜土 11:00-17:00 日休
アクセス: Green Park駅から徒歩3分
*住所が変わりました(上記は旧住所です)。詳細はウェブサイトをご参照ください。

歩き疲れたら、おいしくリフレッシュ
Brompton Quarter Cafe

Brompton Quarter Cafe

デコラディブなシャンデリアが天井高く吊られ、マフィンやクロワッサンが並ぶ総ガラス張りの一角が、道ゆく人々の視線をキャッチする。光が降り注ぐ一階の白い空間は、デリ仕様のカフェ・スペース、地階はフォーマル・レストランになっている。ガラス・ケース越しの色とりどりの総菜と、デザート・カウンターに並ぶタルトやホール・ケーキを目の前にすると、ポッシュなフード・マーケットに来たかのよう。自然史博物館やV&A博物館の斜め前にあり、ハロッズなどのデパートからも近いので、買い物などで歩き疲れた脚を休ませに立ち寄りたい。

「Seasonal Fruit Clafouti」は、タルト生地に入ったカスタードのフィリングに、たっぷり散りばめられたブルーベリーがフルーティーな、ホッとする味わい。他に、マスカルポーネのチーズ・ケーキ、塩キャラメルのタルトなど常時7種類ほどのケーキが並ぶ。リクエストすれば果物や野菜を自由にミックスしてもらえるスムージーもあり、リフレッシュにぴったりだ。

*このお店は閉店しました

Seasonal Fruit Clafouti
Seasonal Fruit Clafouti £ 4.75

Brompton Quarter Cafe
225 Brompton Road SW3 2EJ
Tel: 020 7225 2107
www.bqbrasserie.com
月〜日 7:30-23:00
アクセス: Knightsbridge駅から徒歩5分

ちょっぴりデカダンに、優雅なお茶を
Sketch

Sketch

ポップ・アートとヴィンテージの室内装飾が混在するインテリア構成で、アート・ギャラリーも顔負けの店内。入ってすぐ右手が、お茶を楽しめるパーラーだ。アートな照明で夜の雰囲気を醸し出す奥の空間と、賑やかなファブリックが自然光に映える窓際エリアがあり、気分によって使い分けてみたい。席に着くと、骨董本に挟まれたメニューというプレゼンテーションにまずうっとり。

看板ケーキのページには、素朴なケーキからはかけ離れた、説明書きを読むだけで期待に胸が膨らむ斬新なケーキがずらり。一つだけなんて言わず、友人といくつか注文して気ままにテイスティングしてみたい。こんもりと盛られたホイップ・クリームが愛らしい「Tangy Pate au Choux」は、軽いシューとリッチなクリームの甘さの中に、レモン・クリームとマンゴーのゼリーのシャープな味わいが個性的。バラ模様のティー・セットと行き届いたサービスに、優雅なプリンセスのように永遠にお茶をしていたくなる。

Seasonal Fruit Clafouti
Tangy Pate au Choux £5

Sketch
9 Conduit Street W1S 2XG
Tel: 020 7659 4500
www.sketch.uk.com
月〜金 8:00-1:00 土10:00-1:00 日休
アクセス: Oxford Circus駅から徒歩3分

懐かしい甘さに、心ほどける安らぎの時間
Louis Patisserie

Louis Patisserie

ウッド・パネルの壁とモカ色のソファ、額に飾られた絵までもが懐かしい気分にさせる店内。空気の流れも一気にスロー・ダウンし、窓越しのざわめきが嘘のようだ。こっくりした味のバター・クリームのケーキ、ペストリー、クッキーなどショー・ケースに並ぶスイーツは、オーナーのルイスさんが地下のキッチンで焼き上げている。

お茶を注文すると、一人分でもカップとポット、差し湯、ミルクに茶こしのセットがトレーで運ばれてくるので、素敵なティー・タイムが過ごせそう。ケーキは大きく、ゆっくり休憩してね、というメッセージが込められているようだ。「Tiramisu」はマスカルポーネ・チーズのクリームとモカ・クリームがバニラ・スポンジの層に重なったものだが、こちらのものは重くないので、昼下がりのひとときにいただくのにぴったり。ハムステッド・ヒースを散歩したあと、ハイ・ストリートの坂を駅に向かいショッピングを楽しみつつ、こちらで休憩するのがお勧めだ。

Tiramisu
Tiramisu £3

Louis Patisserie
32 Heath Street NW3 6TE
Tel: 020 7435 9908
月〜日 9:00-18:00
アクセス: Hampstead駅から徒歩2分

「さりげないおいしさ」が落ち着く
London Review Cake Shop

London Review Cake Shop

文芸評論誌が経営する書店が2007年に併設したカフェは、本好きのみならず甘いもの好きにも評判に。大英博物館そばの落ち着いたエリアにふさわしく、ゆったりと活字に親しむ人も多い。注文して席に着くと、まず水をサービスしてくれるのもうれしい。ゆっくりとお茶をしながら、久しぶりに手紙などしたためたくなる。入り口は別だが、中で書店と繋がっているので、気になる本を持ち込んだり、カフェの棚にある話題本を手に取ったりと、ロンドンの最新文学事情をキャッチできる。

ケーキの種類は日によって変わるが、人気なのはバターの替わりにオリーブ・オイルを使い、レモンとローズマリーの風味を効かせたケーキ。夏のイタリアの木陰を思わせる爽やかさがうけ、定番になったスイーツだ。お茶は、湯を注ぐと閉じていた花が開く中国茶など、25種類を数える。キャロット・ケーキやアップル・パイなど、ほかにも誘惑がたくさん。のんびりしていたら、思わず2つめに手が伸びそうだ。

Lemon, Rosemary &  Olive Oil Cake
Lemon, Rosemary & Olive Oil Cake £2.80

London Review Cake Shop
14 Bury Place WC1A 2JL
Tel: 020 7269 9045
www.lrbshop.co.uk/cakeshop
月〜土 10:00-18:30 日12:00-18:00
アクセス: Holborn駅から徒歩5分


より大きな地図で ロンドンで、極上のティー・タイム を表示

※ 本文および各店舗の情報は、掲載当時の情報です

 

英国から訪れてみたい夏休みの旅行先

今年の夏はちょっとユニークに 英国から訪れてみたい夏休みの旅行先

さらりとした心地良い風が、夏の到来が近づいていることを実感させてくれる今日このごろ。そろそろ夏休みにどこへ旅行するか、決める時期になってきた。パリやブリュッセルなど、気軽に旅ができる有名観光地も良いけれど、少しまとまった休みが取れる夏の季節に、ちょっと足を伸ばして日頃は行けない国や地域を訪れるというのも良いだろう。今回は、日本からではなかなか訪れることのできない3都市をピックアップ。今の時期、英国にいるからこそ味わえる旅の醍醐味を堪能してみよう。
(本誌編集部)

Avignon世界遺産を包み込むスペクタクル
フランス・アヴィニョン

アヴィニョン
ゴシック建築が散在する、中世の歴史を今に残す街、アヴィニョン

高速列車TGVでパリから3時間弱。強烈な日差しと緑まぶしいプラタナスの並木が、南仏プロヴァンスに来たことを実感させてくれる。こじんまりとした牧歌的な村々が、雄大な自然の中に抱かれているかのように存在するこのプロヴァンスにあって、まるでそこだけ時の流れが止まったかのように、城壁に四方を囲まれた街、アヴィニョン。チェスのルーク(城)を思い起こさせるゴシック様式の建築物が点在するこの街は、「アヴィニョン歴史地区」の名でユネスコの世界遺産に登録されているだけあり、まさに街そのものが中世キリスト教の息吹を今に伝える趣深さを湛えている。

アヴィニョンを訪れるのに最適なのは、7月から8月にかけての初夏。この季節、街全体が演劇やダンス、パントマイムで華やかに彩られる。毎年恒例の大イベント、「アヴィニョン演劇祭」では、街のあらゆる場所が舞台となる。夕方から真夜中まで、徐々に日の暮れゆくなか、教皇庁宮殿を始め、あちらこちらで繰り広げられるイベントを眺めつつ、その喧噪に耳を傾けていると、非日常の世界にトリップしたような気分に陥ってしまうはずだ。観劇にちょっと疲れたときには、広場のカフェへ。きりりと冷えた白ワインで喉を潤して、また別のイベントへと足を向けてみよう。

アヴィニョンは、プロヴァンスの玄関口。歴史ある街の外に一歩出れば、大自然が出迎えてくれる。東には宮崎駿の映画「天空の城ラピュタ」の舞台になったとも言われるゴルド村を有するリュベロン地方の穏やかな山々が連なり、南に行けば、地中海を臨むカマルグの塩田が漠々と広がっている。アヴィニョンで中世の雰囲気に浸った後は、様々な表情を持つ自然に身を委ねてみてはどうだろう。

アヴィニョン地図

アヴィニョンへの行き方
ロンドンから飛行機またはユーロスターでパリまで行く。
その後、パリ・リヨン駅からTGVに乗って約2時間40分。

キーワードで知るアヴィニョン

世界遺産は「街全部」

アヴィニョン橋14世紀、7代にわたる教皇が居を構えていた教皇庁宮殿や、「橋の上で踊ろうよ踊ろうよ〜」の歌詞で知られる童謡の舞台となった「サン・ベネゼ橋」など、ここアヴィニョンには世界的に有名な建造物が存在する。しかし、世界遺産に登録されているのは「アヴィニョン歴史地区」、つまり、街全体が世界遺産なのだ。世界最大規模のゴシック宮殿である教皇庁宮殿など、いくつかの見逃せない観光スポットもあるが、それと同時に、のんびり散歩して城壁に囲まれた直径約4.3キロの街並みを丸ごと味わってみたい。

「舞台」は世界遺産

アヴィニョン演劇祭6月から10月にかけ て、フランスでは600以上のフェスティバルが催される。そのなかでも60年以上もの歴史を持ち、先駆者的な役割を果たしているのが、「アヴィニョン演劇祭」だ。毎年7月から8月の約1カ月間、連日、街の様々な場所で芝居やパントマイムなどのパフォーマンスが開催される。イベントは、アヴィニョンの街が招聘する「On」と自由参加の「Off」の2種類に大別される。日本からもこれまで、東京乾電池や自由劇場などの人気劇団が参加しているとか。今年のスケジュールは7月7日(水)から27日(日)まで。

「トマト」のフル・コース

英作家、ピーター・メイルの「南仏プロヴァンスの12か月」で大注目された南仏プロヴァンス。この本のなかでもとりわけ、肥沃な大地が生み出す新鮮な野菜やハーブをふんだんに使った料理の描写には、心惹かれた人も多かったのではないだろうか。この時期、お勧めしたいのが、燦々と降り注ぐ夏の太陽の光を存分に浴びたトマト料理。前菜からメイン、デザートに至るまで、すべてがトマトづくしのフル・コースは絶品だ。赤・黄・緑と目にも鮮やかな様々な種類のトマトの、異なる食感や豊潤な味を心ゆくまで楽しもう。

「教皇」の名を持つワイン

シャトーヌフ=デュ=パプ世界に名だたるワインの名産地、ここプロヴァンス地方で、教皇のお膝元であったアヴィニョンと深い関わりを持つワインがある。「シャトーヌフ=デュ=パプ(教皇の新しい城)」という名を持つこのワイン、14世紀にアヴィニョンに居住していた時の教皇が、同地に夏の離宮を建造、その際に製造が始まった。コシの強さと味わい深さが魅力のワインだ。また、アヴィニョンから車で数十分の場所にあるタベル村では、ロゼのみが製造されている。バーベキューのような味のはっきりとした料理にピッタリのこのタベルは、夏にもってこいだ。

取材協力: MIKI TRAVEL LIMITED、アエヴァツアーズ 武藤美佐


Republic of Malta多くの謎を秘めたリゾート地
マルタ共和国

マルタ共和国
どこまでも澄んだ青い海の底には、古代のロマンが眠っている

英国人に絶大な人気を誇るリゾート地、マルタ共和国。日本の淡路島の3分の2ほどの面積しかないこの国は、以前英連邦の一部だったこともあり、英語が公用語として用いられ、マークス・アンド・スペンサーなど、英国の店もあることから、英国人にとっては実に居心地の良い保養地となっている。眩しいばかりに照りつける太陽の下、何も予定を立てず、海辺で読書に浸る ── そんな日々を過ごすのも贅沢だが、この国にはもう一つ、忘れてはならない魅力がある。3つもの世界遺産を有するこの小国は、超古代と中世が同居する、謎多き国でもあるのだ。

現在、マルタ共和国内で世界遺産に登録されているのは、ハル・サフリエニ地下墳墓と巨石神殿群、そしてバレッタ市街の3カ所。

超古代文明の謎を追ったベストセラー「神々の指紋」で知られる英作家、グラハム・ハンコックは、自著の中でマルタについて触れ、この国こそ謎の大陸、アトランティスだったのではないかとの説を唱えた。その真偽は定かではないが、エジプト・ギザのピラミッドより古い時代に建造されたという巨石の神殿や、石灰岩をくり抜いてつくられた地下神殿の精緻な細工の数々は、遙か昔、この地で驚くほどに高度な文明を持った人々が生活を営んでいた事実をまざまざと見せつけている。

そしてマルタの首都でもあるバレッタ市街では、もう一つの時代の存在を感じることができる。16世紀から18世紀、聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)が本拠地としたバレッタの街は、黄褐色のマルタ・ストーンで建造された聖堂や家々が独特の雰囲気を醸し出している。同騎士団歴代の騎士が眠る聖ヨハネ大聖堂は、外観こそ簡素だが、大理石で縁取られた豪奢な内部は、現在はイタリア・ローマに本部を置き、国連にもオブザーバーとして認められている同騎士団の権勢を今に伝えている。

マルタ地図

マルタ共和国への行き方
ロンドンから飛行機の直行便で約3時間。

キーワードで知るマルタ

「ネコの楽園」ではバスもネコ!?

ネコバス?「ネコの楽園」として知られるマルタには、何と人口の倍の数ほどのネコがいるという。そしてこの国には、もう一つ、注目すべき「ネコ」がいる。電車がなく、タクシー料金も高いこの国の主要交通手段はバス。このバス、実は宮崎駿の人気映画「となりのトトロ」のネコバスのモデルになったと言われている。黄色と白を基調に、オレンジのラインが鮮やかなバスの車体は、ころんと丸みを帯びたフォルムが愛らしく、確かにニヤリと笑って走り出しそうな風情だ。

マルタにもあった「青の洞窟」

青の洞窟「青の洞窟」と言えば、誰もがイタリア・カプリ島を思い浮かべるはず。しかしここマルタにも、海が青碧色に輝く青の洞窟がある。マルタ島の南、ズリーにあるこのマルタ版青の洞窟は、カプリ島とは異なり、洞窟というより、アーチ状になった岩礁がいくつか点在しているため、「青の洞門」と呼ばれることもある。小船に乗ってこの洞門を巡れば、透きとおった海水と海底の白砂が織り成す自然の神秘を目の当たりにすることができる。観光するならば、日光が青色を鮮やかに浮かび上がらせる午前中がお勧め。

「ほろ苦コーラ」でほっと一息

地ビール「チスク(CISK)」突き刺さるような強い日差しを浴びて長時間歩き回っていれば、当然、喉が渇く。そんなときにぐびりといきたいのが、マルタ特産のソフト・ドリンク「キニー(Kinnie)」だ。コカコーラを薄めたような色合いで、味もコーラを少々、ほろ苦くさせた炭酸水といったところ。クセがあるので好みは分かれそうだが、このマルタの太陽の下では不思議と美味しく感じられる。国外では販売していないそうなので、滞在中、一度はトライしてみよう。飲むならばソフト・ドリンクよりビール、という人は、さっぱりとした後味の地ビール「チスク(CISK)」をどうぞ。

世界遺産は「住宅地の真下」

マルタ国内にある3つの世界遺産のうちの一つ、ハル・サフリエニ地下墳墓が位置しているのは、何とごく普通の住宅街の一角。入り口も注意して見ていないと通りすぎてしまうほど地味なつくりになっている。そもそもこの遺跡が発見されたのは、1902年と比較的最近のこと。首都のバレッタが手狭になり、住宅街を拡張すべく、近隣のハル・サフリエニで地下に貯水池の建設工事を進めていた際に、現場作業者が偶然、発見した。始めのうち、作業者たちはその存在を隠して工事を続行したために、この偉大なる遺産の上に住宅がつくられてしまったのだとか。

取材協力: Gendai Travel Limited.

ご予約・お問い合わせは ゲンダイトラベル
*2名様一室/3泊4日 £289〜 詳細はこちら

電話 : 020 7404 5375 / Email : このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください


Cape Townアフリカに漂う欧州の風
南アフリカ・ケープ・タウン

ケープタウン
緑豊かなワインの名産地、ステレンボッシュ(写真上)。
圧倒的な存在感を放つ「テーブル・マウンテン」(写真下)

サッカー、ワールド・カップ開催で世界中から熱い注目を浴びる南アフリカ共和国。とはいえ、日本からだと飛行機を乗り継いで20時間以上、おいそれと行ける場所ではない。それに比べ、英国からだと直行便で11時間30分。英国滞在中ならば、このアフリカ大陸最南端の国へも、比較的気軽に足を運べるはずだ。

ワールド・カップを機に国の近代化を図っている南アフリカだが、一部地域ではいまだ治安面で不安を覚える部分があるのも事実。そうしたなか、ヨーロッパの観光客の人気を集めているのが、南西部に位置するケープ・タウンだ。入り組んだ海岸線が縁取る青い海、過ごしやすい地中海性気候に、風雨が造り出した独特の形状が異様な存在感を放つ山……。かの地は、まさにヨーロッパ人がリゾートに求める要素を兼ね備えた場所なのだ。

学生時代、誰もが地理や歴史の授業で耳にしたことがあるであろう「喜望峰」や、地面と平行に まっすぐ線を引いたかのように平らな山「テーブル・マウンテン」は、ケープ・タウンに来たならば一度は訪れてみたい有名観光地。また、岩山の連なりを横目に見つつ、市内から東へ1時間ほど車を走らせると、白壁の家と緑鮮やかな低木が続く田園風景に出くわす。顔をくすぐる爽やかな風も手伝って、南仏にでもいるような錯覚にとらわれるが、実はこの一帯は、南アフリカ随一のワインの名産地、通称「ワイン・ランド」。ワイン好きならば、地図を片手にいくつかのワイナリーを訪れて味比べをしてみたい。

ポルトガルやフランス、東南アジアと、様々な国の移民を受け入れているケープ・タウンは、食事も多国籍。また、港に揚がったばかりの新鮮な魚を使ったフィッシュ・アンド・チップスは、ロンドンで味わうものとは一味もふた味も違うので、「え、ここまで来て英国料理?」と思わず、カリカリに揚がった魚をがぶりといってみよう。

ケープ・タウン地図

ケープ・タウンへの行き方
ロンドンから飛行機の直行便で約11時間30分。

キーワードで知るケープタウン

大航海時代の「喜望」

ポルトガル人のバーソロミュー・ディアスが、この岬に到達したのは、1488年のこと。新航路発見への「喜望」から名付けられたとも言われるこの喜望峰、アフリカ大陸の最南端と見なされていることが多いが、実は本当の最南端はここからさらに南東に行った場所に位置するアラガス岬。とはいえ、多くの人たちが、歴史的にも知られるこの喜望峰見たさに世界中から訪れる。海にせり出すように伸びた岬の先、視界いっぱいに広がる紺碧の海と空の美しさを見れば、きっと大航海時代の喜びを実感できるはずだ。

街にそびえる巨大な「テーブル」

テーブルマウンテンケープ・タウンの街中の至るところで、気付くと目の端に、不自然なまでにまっ平らな山が見える。それが「テーブル・マウンテン」だ。標高は1086メートル。頂上へはケーブル・カーを利用するか、徒歩で登ることになる。富士山と比べればかなり低いが、だからといって油断は禁物。刀ですっぱり垂直に切ったかのような岸壁に沿った、かなり険しいゴツゴツとした岩場の道は、思ったよりも難物だ。しかし、頂上から見下ろす、弓なりに伸びる海岸線とケープ・タウン市街のコントラストの鮮やかさは、その苦労を補って余りある美しさ。体力に自信がある方は、徒歩でこの山の魅力を体全体で感じてみよう。

良質なワインを生み出す「ワイン・ランド」

米国やチリといったワインの新興国でつくられるワインを「新世界ワイン」と呼ぶ。その新世界ワインのなかでも、近年、とみに評判が高いのがここケープ・タウンでつくられたワインだ。ステレンボッシュなどいくつもの名産地を内包する東部地域は、「ワイン・ランド」として知る人ぞ知るワイン天国。肥沃な土壌と地中海性気候、そしてフランスからの移民という組み合わせが生み出した同地のワインは、味もフランスらしい深みが特徴。ワイン農家を訪ねるツアーでは、ワインだけでなく、手作りチーズなどを試食させてくれる場所もある。

「ペンギン」と一緒に海水浴!?

ペンギン岩場にもペンギン、海岸にもペンギン、海にもペンギン……。そんなペンギンだらけの癒しエリアが、喜望峰から程近い海岸沿いにある。野生ペンギンの保護区、ボールダーズ・ビーチには、小柄でキュートなケープ・ペンギンが生息している。観光客は遊歩道からペンギンを見ることになるわけだが、それだけでは終わらないのがこのビーチのすごいところ。野生の彼らは、このエリア近隣を自由気ままに闊歩している。道を歩けば、卵を温めているペンギンに遭遇したり、近くの岩場で海水浴を楽しめば、一緒にペンギンも泳いでいたりと、とにかくペンギンの国に人間がお邪魔しているような気分に陥るビーチなのだ。

取材協力: JTBレジャーセクション


英国内で楽しむ夏休み

夏だからといって、長期の休みが取れるとは限らないのが社会人。しかし、海外に行く余裕がなくても、国内で日の長い夏の日々を有意義に過ごすことは十分可能だ。ここでは英国内で家族全員が楽しめる夏の小旅行をご紹介しよう。

エディンバラエディンバラで
一大スペクタクル体験

スコットランドの首都、エディンバラ。岩山の頂にそびえるエディンバラ城を始め、落ち着いた風情漂う重厚な街並みは、訪れる人誰もを魅了してやまない。そんなエディンバラも、夏になると日頃の穏やかな雰囲気が一変する。8月に約1カ月間、開催されるエディンバラ・フェスティバルでは、演劇やオペラ、大道芸人のパフォーマンスなど、大人から子供まであらゆる年齢層が楽しめるイベントが盛りだくさん。また、フェスティバルのハイライトとなるミリタリー・タトゥーでは、エディンバラ城を背景に、花火や軍隊パレードが華々しく繰り広げられる。その幻想的な景色には、小さなお子さんもきっと目を見開いて見入ってしまうはず。特に今年は開催60周年という記念すべき年でもあるので、いつも以上に華やかなスペクタクルを期待できそうだ。

The Royal Edinburgh Military Tattoo
期間: 2010年8月6日(金)〜28日(土)
パフォーマンス開催は、月〜金の21:00と土の19:30および22:30
詳細は www.edintattoo.co.ukを参照。

ケントケントで世界最小の
公共鉄道に乗る

蒸気機関車や地下鉄を世界で初めて生み出した鉄道発祥の地として、世界中の鉄道ファンの憧れの地となっている英国。煙をもくもくと吐き出しながらゆったりと走る機関車の悠々とした姿にかつて夢中になったことのあるお父さんも、英国で生まれた「機関車トーマス」シリーズの絵本が大好きなお子さんも、揃って楽しめるのが、英国各地を走る保存鉄道。廃線になった鉄道路線を整備して、ボランティアで運行しているこれら保存鉄道の一つが、ケント州にあるロムニー、ハイス &ディムチャーチ鉄道(Romney, Hythe & Dymchurch Railway)。世界最小の公共鉄道として知られるこのミニチュアSLは、ドーバー海峡に沿って走るため、車窓に流れる素晴らしい景色も楽しむことができる。

Romney, Hythe & Dymchurch Railway
Tel: 01797 362353
www.rhdr.org.uk

ケントキュー王立植物園で
親子で気軽に世界遺産体験

豊かな自然に囲まれたロンドン西部に位置する、120ヘクタールもの広大な面積を有する自然植物園。植物展示だけでなく、植物学を学ぶ学校や、科学的調査を行う研究機関など、植物に関連するあらゆる施設が揃っていることが評価され、2003年にはユネスコの世界遺産に登録された。とは言え、一般にこの植物園を訪れるときに小難しくあれこれ考える必要は無用。ガラス張りのパーム・ハウスや、野生動物や野鳥も見られるコンサベーション・エリア、中国式のパゴタや日本式庭園など、展示エリアの多彩さとスケールの大きさには、誰もが思わず息を飲んでしまうだろう。また、水族館や、木でできた遊具が揃ったプレイ・グラウンドなど、小さなお子さんも楽しめるエリアが多いのもうれしいところだ。

Royal Botanical Gardens, Kew
Royal Botanical Gardens, Richmond, Surrey TW9 3AB
Tel: 020 8332 5655
www.kew.org

 

パリの隠れ家カフェ

パリの隠れ家カフェ

花の都、パリ。ロンドン市内から、最短で約2時間半弱にて気軽に赴くことができるこの街を、既にもう何回も訪れたという方は少なくないだろう。でも、ルーブル美術館やエッフェル塔といった名所を強行日程で駆け巡るだけが、パリ観光ではない。

むしろ、ゆっくりと気ままな散歩を楽しみながら、ふと立ち寄った小さなカフェで、新鮮なオレンジ・ジュースや濃厚なコーヒー、そして焼き立てのクロワッサンを口にするといった素朴な営の中にこそ、パリという街の魅力はある。海外旅行といえば、急ぎ足で駆け巡ってばかりになりがちな日本人観光客がまだ知らない、本当の贅沢を味わうための、パリの隠れ家カフェをご紹介する。
(本誌編集部)

職人が作る新鮮なケーキで一息
Un Thé à Paris

Un Thé à Paris
map火〜日11:30-20:30
9 rue Jacques Cæur 75004 Paris  metroBastille

フランスの上流階級の人々が、社交の舞台として利用してきた飲食空間を、サロン・ド・テと呼ぶ。内装やメニューにそれぞれの店ならではの独自の工夫が凝らされていて、私たちが普段、「カフェ」と呼んでいるものよりも華麗で優美な雰囲気を醸し出す、特別な場所だ。

パリ市内に数多くあるサロン・ド・テの中で、簡素な内装に、席数わずか16席の「Un Thé à Paris」が隠れた名店とされるのには、理由がある。叩き上げのケーキ職人が添加物などを一切使わずに作る、本物のそして新鮮なケーキがここでは味わえるのだ。メニューは、フォンダン・オ・ショコラ、さくらんぼのクラフティ、レモンのタルト、オーナーお勧めのピスタチオとアプリコットのパウンド・ケーキなど。どれも、手作りならではの優しい味がする。紅茶やコーヒーの種類も豊富だから、至福のコーヒー・タイムを味わうことができるだろう。

紹介者 高野 千春さん 高野 千春さん
「週末の午後に、散歩がてらによく立ち寄っています」

マイバス フランス
日本語観光バスツアーの催行など、魅力的なサービスを提供
18 rue des Pyramides 75001 Paris
Tel: 0033(0)1 42 44 14 30
E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.mybus-france.com


近隣の観光スポット
マレ地区 マレ地区
徒歩6分
パリの高級住宅街として知られる地区。ユダヤ人街やベトナム人街もあり、ショッピングにも便利。
サン・ルイ島 サン・ルイ島
徒歩8分
貴族の館が立ち並ぶ、閑静な場所。サロン・ド・テが数多く存在する、散歩に最適の地区。

エッフェル塔の目の前に隠れ家
Café Carlu

Café Carlu
map水〜月 11:00-18:30(木のみ20:30まで)
Cité de l'Architecture et du Patrimoine
1 Place du Trocadéro 75116 Paris metroTrocadéro
www.laffiche.fr

ある店が「隠れ家」と呼ばれるようになるためには、少なくとも2つの条件を満たす必要がある。第一に、当然ながら、いまだ広く知られていない、隠れた存在であるということ。さらに重要なのは、限られた人々だけが知る、特別な価値を持っているということだ。

「Café Carlu」は、まさにこの2つの条件を満たした隠れ家カフェ。まず、エッフェル塔の向かいに建つシャイヨー宮右翼の入り口から入って奥の突き当りで、セキュリティー・チェックを受ける。そこで「カフェに行きたい」と言うと、この「隠れ家」へと到着だ。テラス席に腰を下ろせば、目の前にそびえ立つのは、かのエッフェル塔。ときに耳障りに聞こえる観光の中心地ならではの雑踏に気をそがれることなく、パリを象徴する風景を前にして一服できる。強いて言えば、エッフェル塔の下から吹き込む風が強いのが難点。ただその分、天気の良い日は、心地良い空気を肌で受け止めることができるはずだ。

紹介者 橋場 志穂子さん橋場 志穂子さん
「日本から旅行に来た友人をここに連れていくと、必ず喜んでもらえます!」

ボヤージュ・アラカルト
フランス国内の旅から日本→パリ→ロンドンのストップ・オーバー航空券の手配まで網羅
48 rue Sainte-Anne 75002 Paris 
Tel: 0033(0)1 42 96 91 20
E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.voyages-alacarte.fr/jp


近隣の観光スポット
シャイヨー宮 シャイヨー宮
徒歩1分
海洋博物館、人類博物館、文化財美術館などが入っている。上記カフェのみへは、無料で行ける。
エッフェル塔 エッフェル塔
徒歩5分
1889年のパリ万博開催を記念して建築された塔。高さ276メートルを誇るパリのランドマークとなっている。

パリ郊外でロマン派の息吹を吸いながら
Le Salon de Thé de Cathy

Le Salon de Thé de Cathy
map火〜日11:30-17:30
16 rue Chaptal 75009 Paris 
metroSaint Georges、Pigalle、Blanche
www.vie-romatique.paris.fr

ロンドンと同じく、パリもその郊外へと足を延ばしてこそ、観光客が知らない、その街の本当の雰囲気に触れることができる。パリの郊外に、静かに佇むように建っているのが、パリ市立ロマン主義美術館。もともとは、ロマン派の画家アリ・シェフェールの自宅兼アトリエだったというこの場所には、画家のウジェーヌ・ドラクロワに、音楽家のフレデリック・ショパンやフランツ・リスト、そして作家のジョルジュ・サンドといった各界のロマン派芸術家たちが集った。その地に設けられた、小さいながらも美しい緑の庭園がカフェになっていると聞いただけで、言葉にならない、豊かなイメージが湧いてくる。

雰囲気だけのサロンではない。メニューには、毎朝市場で仕入れているという材料を使った手料理が並んでいる。自家製レモネードは、英国では決して味わえない、農業大国フランスならではの素朴だが本物の味がする。夏の日に木陰の下で飲むだけで、幸福感を覚えるはずだ。

紹介者 ヴェロニック・ポトル・アンティーさんヴェロニック・ポトル・アンティーさん
「非常に静かな場所にあるので、まさに隠れ家という印象を抱くでしょう」

フランス観光局
フランス全土の観光を請け負う、フランス政府公認の観光局 25 rue des Pyramides 75001 Paris
Tel: 0033(0)1 49 52 53 27
http://en.parisinfo.com


近隣の観光スポット
オランジュリー美術館 オランジュリー美術館
徒歩5分
フランスを代表する印象派画家クロード・モネが日本式庭園を描いた大作「睡蓮」に出会える美術館。
モンマルトルの丘 モンマルトルの丘
徒歩10分
白亜のドームを持つサクレ・クール聖堂が頂上にそびえる丘。パリ市内の風景を見渡すことができる。

パリ市民たちが愛する異国情緒
Le pain de la Bourse

Le pain de la Bourse
map月〜日7:30-19:00(月は17:00まで)
33 Rue Vivienne 75002 Paris metroBourse
Tel: 0033(0)1 42 36 76 02

今ではロンドン市内にも数店舗を構えるようになったベルギー生まれの人気カフェ、Le Pain Quotidien。パリ市民の間での認知度はやはり相当高く、昼前の時間には、行列ができるほどの賑わいを毎日見せている。さて、隠れ家として紹介したいのは、このカフェ・チェーンからの独立を果たした、パリの日本人街からそう遠くない位置にある店。オペラ座の横道から入ったところにあるこのカフェで、観光客の姿を見かけることは、まずない。

まるで日曜大工で仕上げたような柔らかい香りのする木のテーブルに、太陽の光が差し込む大きな窓、天井から吊るされた照明。温かさとほんの少しの遊び心が混じった雰囲気に包まれたこの場所は、パリの人々が、友人や恋人とのひとときを過ごすために集う、いわば市民のカフェだ。

店内では、自家製ジャムやピーナッツ・バター、オーガニックのフルーツ・ジュースなども販売している。洒脱なパリの日常空間が、ここにある。

紹介者 メリッサさんメリッサさん
「日曜日も朝早くから開いているから、休日を過ごすのにはとても便利」

女優
パリ出身、ロンドン在住の舞台女優。英国での暮らしは気に入っているが、フランスの食事をときに恋しく思う。パンとコーヒーには、フランス人としてのこだわりを持っている。


近隣の観光スポット
ガルニエ宮 ガルニエ宮
徒歩5分
通称「オペラ座」。パリ国立オペラの公演会場となっている。
Debaube&Gallais Debaube&Gallais
徒歩1分
カフェの真横にある、フランスの王室ご用達のチョコレート屋さん。

超高級子ども服店の下にも隠れ家が
Bonpoint

Bonpoint
map月〜土11:00-18:00
6 rue de Tournon 75006 Paris metroOdeon
Tel: 0033 (0)1 40 20 10 55

パリ在住のセレブの子どもたちが着る、「超」がつくほどの高級子ども服ブランドが「Bonpoint」。ここでは、大人の高級服とも遜色ないほどの高品質の素材とデザインを扱った子ども服が、奥行きの深い洒落た美術館のようなスペースに飾られている。すぐに買い換えが必要となる子ども服にまでもこだわりを持つ、パリの上流階級の文化を覗くことができるはずだ。

最近では日本でも大きな人気を集め出したこのブティックの地下に、実は隠れ家カフェがある。室内中央とカウンターにスイーツ類が並べられた、ごく普通のカフェ。奥へと足を進めれば、ガーデンへとつながっている。店内に、小さなお子さんを座らせるためのスタンド・チェアが置かれているところなどはさすが。カフェ・メニューのほかに、オーガニック素材を使ったイタリア風の料理も提供している。一味違った、パリ観光を楽しむには最適。

紹介者 WさんWさん
「入り口が超高級なこども服専門のサロン風になっています。奥の地下にあるカフェは、本物の隠れ家カフェです」

在仏日系大手旅行会社社長。出張や会議などで、日々、世界中を飛び回っている。その他、ヴォージュ広場近くにもお菓子の美味しい高級カフェを知っているとか。


近隣の観光スポット
リュクサンブール公園 リュクサンブール公園
徒歩5分
パリ市内で最も大きい公園。中央には、フランス元老院が建っている。
ギャラリー・ラファイエット ギャラリー・ラファイエット百貨店
徒歩10分
ルイ・ヴィトン、シャ ネル、カルティエなど、フランスの高級ブランドが入った人気デパート。

その他のパリの人気カフェ店

A Priori ThéA Priori Thé

月〜金 9:00-18:00
(土は18:30まで)、日12:00-18:30
35-37 Galerie Vivienne 75002 Paris 
metroBourse

map

パリの街並みを象徴する、アールヌーボーな渦巻きデザインが施されたアーケード「Galerie Vivienne」の中にある。高貴な雰囲気が漂うカフェ。

Cafe des 2 MoulinsCafe des 2 Moulins

7:00-23:00
15 rue Lepic 75018 Paris 
metroBlanche

map

パリのモンマルトル地区を舞台とした映画「アメリ」のロケ地。残念ながら、映画で使われたタバコ売り場は改装後、姿を消してしまった。

Hotel CostesHotel Costes

6:00-3:00
239 rue St Honore 75001 Paris 
metroOpera
www.hotelcostes.com

map

ジルベール&ジャン=ルイ・コストという、フランスの有名デザイナー兄弟が設計を手掛けた、パリの超高級ホテル。カフェには気軽に入ることができる。

日本に行く前に、パリで一服

月日が流れるのは早いもので、もう6月。この夏に日本への一時帰省を予定している人は、そろそろ航空券の手配をしなければいけない時期だ。そこでお勧めしたいのが、ロンドンー日本間を、パリ経由で移動する方法。滞在24時間以内であれば、追加料金なしでパリ市内を観光できるのだ。花の都パリを中継地点として使うことができるという、英国在住者の特権。日本に帰国する前に、パリのカフェで一服、なんて最高の贅沢だ。


往路でのパリ滞在プランの一例
07:35 ロンドン ヒースロー空港発航空便が出発
09:50 パリ シャルル・ド・ゴール空港着
11:30 パリ市内に到着
(空港よりエール・フランス・バスにて所要約1時間)
21:00 パリ市内を出発、シャルル・ド・ゴール空港へ
23:35 パリ シャルル・ド・ゴール空港発航空便で東京へ

往路でのパリ滞在プランの一例

もちろん、パリの市内へ立ち寄らずに、パリ経由でロンドンー日本間を移動することもできる。エール・フランスの航空便であれば、パリでの乗り換えは同じターミナルにある同じゲート内での移動で済む。

パリ シャルル・ド・ゴール空港ターミナル2


1 1パリの空港に到着
シャルル・ド・ゴール空港に到着後、飛行機を降りると、乗り換え口へと出る。ストップ・オーバーする場合でも、預け荷物を受け取る必要はない。そのまま出口へと向かう。
2 空港バスや鉄道でパリ市内へ
2到着出口から、歩いて50メートルほどの場所に空港バス発着所がある。ここからパリ市内へと移動するエール・フランス・バスが、30分ごとに運行。またユーロスターが発着するパリ北駅まで鉄道が走っている。
3 3パリ市内に到着
パリ市内までの空港バスの所要時間は約50分。凱旋門前とオペラ座前に到着する2つのルートがある。
4 4パリの隠れ家カフェで一服
散歩とカフェめぐりで半日を費やすためにパリを訪れることができるなんて、最高の贅沢。
 
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