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Tue, 16 December 2025

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英国演劇観劇のススメ

ただの箱が机になり、次の瞬間には家となる。舞台の上で、俳優は時に声色一つで何人もの人物を鮮やかに描き出す。何より自由に表現でき、また観ている者の想像力を掻き立てる芸術、それが演劇だ。伝統と革新に彩られた英国演劇。街と人、そして演劇が一つに溶け込んだ街、ロンドンで、今この時代に演じられる「リアル」を実感してみよう。(本誌編集部: 村上祥子)
何故「エンゲキ」なのか?
演劇は学問です!?
「演劇学」ではなく、俳優育成としての「演劇」という科目が学校教育で確固たる地位を確立している英国。ジュディ・デンチやユアン・マクレガーなど演劇/映画界で活躍している人たちの多くが、大学やその他高等教育機関で演劇を学び、学位を取得している。「演じること」が教育として認められている国だからこそ、世界に羽ばたく実力派俳優たちが続々生まれているというわけ。
舞台を踏んでこそ一人前!?
テレビや映画で活躍している若手俳優/タレントが舞台へ出たがるというのも英国演劇の一つのトレンド。現在では、「Treats」出演に対する過度の緊張でドタキャン→初日延期などあれこれメディアに叩かれた末に何とか初日を務め上げたテレビ・ドラマ「ドクター・フー」出身の人気女優、ビリー・パイパーや、「EastEnders」出演後に舞台進出、今回不条理劇「The Caretaker」の大成功で「若手実力派」の仲間入りを果たしたナイジェル・ハーマンなどを舞台で観ることができる。旬の俳優を観るならまずは舞台! なのだ。
俳優にバッタリ!?
街と劇場、俳優と観客が当たり前のように一体化しているここロンドンでは、マチネとイブニングの間に、劇場そばのカフェをうろつくジュード・ロウに遭遇したり、観劇後に友人とゆっくり舞台の感想を語ろうと近くのパブに入ると、出演者たちがずらり勢ぞろい、たばこ片手に和んでいる場に出くわしたりする。演劇が街に息づく英国ならではのちょっと嬉しいハプニングである。
役者のつばまで飛んでくる距離感!
大劇場が基本のミュージカルとは違い、どんな小さな空間でも上演できてしまうのが演劇。舞台上の俳優にあまりに至近距離から見つめられて、「どうしよう目がそらせない、でも見詰め合うのも気まずい……」なんて変な心配をしてしまうこともあるほどだ。俳優の一挙手一投足が見えるどころか、時には汗やつばまで飛んでくる、そんな臨場感はテレビや映画では絶対に味わえないはず。
ハプニングを楽しもう!
「Show must go on」。何が起ころうとも、一旦幕が開けば最後まで演じ続けなければならないのが舞台だ。衣装が破れる、かつらにろうそくの火が燃え移る、上演中に出演者がトイレに駆け込む(!)など、毎日上演する上でハプニングはつきもの。この「何が起こるか分からない」緊張感もひっくるめて楽しめるようになれば、あなたも立派なシアター・ゴーアー!?
今、イキオイのある作品といったらこれ!

英国演劇と言えばシェークスピア。こう考えている人は多いはず。もちろん、シェークスピアは素晴らしい。でも英国には彼の作品以外にも必見の舞台が星の数ほどある。ここでは、今、見逃せない作品をピックアップ!

リアルな英国の高校生活を描く
The History Boys
「I'm a Jew. I'm small. I'm homosexual. And I live in Sheffield. I'm fucked」。成績がいいからって名門大学に入れるわけじゃない。そんな英国のリアルな高校生活を瑞々しく描き出した青春群像劇。突然始まるフランス語の寸劇、しばしば口ずさまれる詩や文学の一節。英語にハンディをかかえる人間にとってはキツイ部分も多いけれど、心配ご無用。もちろん全部理解できた方がより楽しめるけれど、たとえ聞き取れないセリフがあったとしても、個性際立つ1人1人の登場人物たちに、「ああ、いるいるこんな奴!」と共感できること、間違いなしの名作だ。
あらすじ=1980年代、イングランド北部シェフィールドの公立高校。成績は良いけれど、一癖も二癖もある成績優秀クラスの生徒たちを教えるのは、文学や詩をこよなく愛し、バイクを乗り回す型破りな老教師、へクター。今年こそは生徒たちをオックスフォードかケンブリッジ大学の奨学生にしようと目論む校長は、試験のテクニックを熟知する若手教師、アーウィンを臨時教員として雇うが……。
Wyndhams
Charing Cross Road, London WC2H 0DA
07年4月14日公演分まで予約可
月~土 19:30、マチネ 木・土 14:30
£10~45
Tel: 0870 950 0925
馬に異常なまでの執着を見せる少年の真実とは?
Equus
ハリー・ポッターでお馴染みのダニエル・ラドクリフと、ハリーの叔父、バーノン役のリチャード・グリフィスばかりが注目されがちな本作品。確かにダニエル君は時には全裸、時にはタバコを吹かしながらの大熱演を日々見せてくれている。でも観劇の際にもう一つ注目してほしいのが舞台美術と衣装。ミニマルな舞台は俳優の演技一つでその場所を次々と変え、シンプルな衣装が幻想的な馬たちを創り出す。観ている者の想像力を掻き立てる、これぞ演劇という作品だ。
あらすじ=ある日、精神科医マーティンの元に、6頭の馬の目をアイスピックでつぶしたという少年、アランが送り込まれてきた。固く心を閉ざし、自分の本心を決して明かそうとしないアランに対し、辛抱強く診察を続けるマーティン。やがてアランは自らの境遇をポツリ、ポツリと語るようになる。厳格な父親と、信仰深く、息子を溺愛する母親に抑圧され育ってきた彼が、このような事件を起こしたきっかけとは一体何だったのか。
Gielgud
Shaftesbury Avenue, London W1D 6AR
07年6月9日公演分まで予約可
月~土 19:30 (2月27日は19:00)、マチネ 水・土 14:30
£19.50~49.50
Tel: 0870 950 0915
たった4人の出演者で何と150人以上の役を演じる
The 39 Steps
たった4人の俳優たちで150人以上の登場人物を網羅、演劇ならではの醍醐味を味わえるスリリングなコメディー。モチーフとなっているのは1935年に製作されたアルフレッド・ヒッチコックの同名サスペンス映画。重要なポイントはオリジナルを忠実に再現しつつも、舞台ならではのコミカルな芝居で映画とはまったく異なる、笑いの絶えない作品に仕上がっている。帽子の向きをちょっと変えるなど、ほんのちょっとした動きで見事に別人になりきる役者の実力をとくとご覧あれ。
あらすじ=自分のフラット内で見知らぬ女性が死ぬというとんでもない事件に出くわしたリチャード。死ぬ直前に彼女が遺した「39ステップ」という言葉と地図の謎を解くため、旅に出ることに。リチャードを犯人と思い込み追跡する警察の手を逃れつつ移動し続けるが……。
Criterion
Piccadilly Circus, London SW1Y 4XA
07年9月15日公演分まで予約可
月~土 19:45、マチネ 火 15:00、土 16:00
£10~39
Tel: 0870 060 2313
今も色褪せないロング・ラン作品もご紹介!
2人の出演者がつくり出す恐怖の世界
The Woman in Black
18年間という超ロング・ランを続けるゴシック・ホラーの決定版。小さな舞台とシンプルな装置の中、2人の役者が演技力で観客たちを恐怖の世界へ誘ってくれる。顔の表情、声音を使い分けて数人の役柄を見事に演じる役者に、演劇ならではの良さを実感できるはず。より恐怖感を味わいたいのなら、ちょっとした仕掛けが楽しめる1階席がお勧め。
あらすじ=忌まわしい過去の体験に未だ悩まされる中年弁護士、キップス。彼はその事件を若い俳優とともに芝居という形で再現することによって、過去の呪縛から解き放たれようとするが……。
Fortune
Russell Street, London WC2B 5HH
07年9月1日公演分まで予約可
月~土 20:00、マチネ 火15:00、土16:00
£12.50~36
Tel: 0870 060 6626
上演すること50年以上、驚異のロング・ラン
The Mousetrap
オープニング・ナイトは1952年11月25日。以来50年以上にわたってロンドンの劇場で上演され続けている驚異的な作品だ。元は推理小説の女王、アガサ・クリスティのラジオ劇用の短編ミステリー。クリスティが生前、ウエスト・エンドで本作が上演されている限りは出版しないよう言っていたために、いまだに英国内で本は出版されていない(ただし台本は出版)。
あらすじ=大雪が降りしきる中、モリーとギルズの若夫婦が経営を始めたばかりのホテルに、5人の客が集まった。そこへやって来たのはトロッター警部。何でも殺人者がこのホテルに向かっているという。やがて雪の世界に閉ざされたホテル内で、不気味なマザーグースの調べに沿って、1人、また1人と客が殺されていく。
St Martin's
West Street, London WC2H 9NZ
07年5月12日公演分まで予約可
月~土 20:00、マチネ 火14:45、土17:00
£13.50~37.50
Tel: 0870 162 8787
まだまだあるオススメ作品
The Woman in Black
BBCの人気レポーター、ジェームス・モスマンが謎のメモを残して自殺した。彼の自殺の裏には何が隠されているのだろうか。

The National Theatre
South Bank, London SE1 9PX 
Tel: 020 7452 3000
07年6月2日まで月~土 19:30、マチネ 14:30(他作品も同時期に上演中につきスケジュール要確認) 
£10~28
The Entertainer
エンターテイナー一家の3代にわたる人生を通じて英国の戦後を描き出す。

The Old Vic
The Cut, London SE1 8NB
Tel: 0870 060 6628
07年5月26日分まで予約可 月~土 19:30、
マチネ水、土 14:30 
£10~45
Globe Theatre
2007年度シーズンは5月4日~10月7日。今年のテーマは「Renaissance and Revolution」、上演される作品は「オセロ」、「ヴェニスの商人」など。

Globe Theatre
21 New Globe Walk Bankside, London SE1 9DT
Tel: 020 7401 9919 
£10~28
Brecht Double Bill 1
劇作家、ブレヒトの戯曲を2作同時に上演するシリーズ、第1回目となる今回は「A Respectable Wedding」と「The Jewish Wife」の2作品。

The Young Vic
The Cut, London, SE1 8LZ
Tel: 020 7922 2922
07年4月14日まで (時間は日によって異なる)
£15.50、土イブニング & 最終日 £18.50(2作品観劇可)
The Caretaker
ハロルド・ピンターの不条理劇。アストンはある日、浮浪者のデービスを家に連れてくる。同居している兄弟のミックは始めのうち嫌がっていたが……。

Tricycle
269 Kilburn High Road, London, NW6 7JR
Tel: 020 7328 1000
07年4月14日まで 月~土 20:00、マチネ土 16:00 
£9.50~19
Days of Hope
普通の人々が異常な状況に置かれた時に巻き起こる出来事を描いた、ミュージカル仕立ての人間ドラマ。

King's Head Theatre
115 Upper Street, Islington London N1
Tel: 020 7226 1916
07年4月22日まで 火~土 20:00、マチネ 土、日 15:30
£20~25
日本の演劇人、英国に進出中!
かのシェークスピアを生み出した地として、演劇大国の名を欲しいがままにしている英国。そんな国で外国人が演劇をするということは、きっと我々が想像するよりはるかに大変なことが多いはず。しかし近年、日本の演劇人たちが続々と英国進出を果たしている。日本人俳優を使い日本語で上演する作品あり、英国人を使いプロット作りの段階から英語という作品あり。さまざまなアプローチで英国に挑戦するたくましき彼らに注目してみた。
リーディングで本公演のチャンスを掴む
鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)
プロフィール=1958年生まれ。早稲田大学在学中に劇団「第三舞台」を旗上げする。80年代の小劇場ブームの牽引役として熱狂的な人気を誇るが2001年、同劇団の活動休止を発表。以降、自身の演劇プロデュース・ユニット「KOKAMI@network」を中心に活躍中。

日本を代表する若手劇作家/演出家の一人、鴻上尚史。昨年2月17日、ロンドン西部のブッシュ劇場で代表作、「トランス」をリーディング上演した模様を弊誌1034号でお伝えした。そのリーディング上演を大好評のうちに終えた本作品が、晴れて同劇場にて本公演されることが決定! 6月上旬のオープニングを控え、現在キャスティングなどで大忙しの鴻上氏に本公演決定の喜び、意気込みをうかがった。

ー前回のリーディングが好評を博し、本公演が決定したそうですが?

(ブッシュ・シアターの)芸術監督のマイクさんが気に入ってくれて、これはもう、本公演をしましょうということになったのです。とても幸運なことでした。

ー決定した時のお気持ちは?

それはもう、嬉しかったですね。リーディングをやったかいがあったというものです。

ー前回のリーディングを通して、英国の観客について学ばれたことはありますか。

予定していた通りの反応でした。ここで笑って欲しいと思うところでは笑ってもらえたし、ここは集中して欲しいと思うところは、ちゃんと集中してくれて。俳優に力があれば、ちゃんと同じ反応なんだなと感じました。

ー今回の公演では、リーディング時の脚本をそのまま使う予定ですか、それとも変更などを加えられるのでしょうか。

「ドラマターグ」※というポジションで、トニー・ビカーさんに入ってもらいました。より口語的でイギリス人観客に通じる表現にするために、1週間ずっとディスカッションして直していきました。リーディングの時の台本より、よりこなれた、現代的なセリフになったと思います。

ー今回は前回と異なり、演出を自ら手掛けられるそうですが、新しい演出プランは考えていらっしゃいますか。

違いといえば、イギリス・バージョンですから、イギリスで、イギリス人相手に演出することが、それがもう一番の違いです。 僕の書いたものに対して、イギリス人俳優がどんなふうに反応するのか、現場でキャッチボールを繰り返しながら、イギリスの観客に届く「トランス」をつくれればいいなと思っています。「トランス」は、核となるイメージがはっきりとあって、それが具体的な俳優さんによって変わっていくものです。イギリスでどんな俳優さんと出会うかで、作品は違ってくると思います。

※ドラマターグ: 台詞の言い回しや表現法法などを作家にアドバイスする専門家
Trance
The Bush Theatre
Shepherds Bush Green, London W12 8QD
07年6月6日~30日
月~土 20:00、土マチネ 15:00、6月8日のみ 19:00
£15、£10(土マチネ、学生/シニア割引)
Tel: 020 7610 4224
英国人をもうならせるシェークスピア作品をつくり出す
蜷川幸雄(にながわ・ゆきお)
プロフィール=1935年生まれ。日本演劇界の第一人者として、国内外でさまざまな作品を発表している演出家。英国でも数々の作品を上演しており、昨年6月にはロイヤル・シェークスピア・カンパニーのコンプリート・ワークス・フェスティバルに「タイタス・アンドロニカス」で参加、批評家から絶賛された。

ロンドン、バービカン劇場が、毎年様々な海外の作品を招致して上演するプロデュース企画、BITE(Barbican International Theatre Events)。記念すべき10周年を迎える今年は、日本のシェークスピア演出家として、英国でも絶大な知名度を誇る蜷川幸雄が公式招待を受け、日本人によるシェークスピア作品を上演することになった。演じられるのは「コリオレイナス」。古代ローマの悲劇の将軍、コリオレイナスの生涯を描いたこの作品を演じるのは、唐沢寿明はじめ、白石加代子、勝村政信ら人気、実力を兼ね備えた俳優陣。40人以上ものキャストが出演予定というから、スケール感溢れる芝居を期待できそうだ。
あらすじ=古代ローマ。ガイアス・マーシャス(後のコリオレイナス)は、偉大な将軍でありながら、貧民に対し傲慢な態度を見せたため、民衆の反感を集める。ローマを追放されたコリオレイナスは、かつて敵味方に分かれて戦ったオーフィディアスの元へ赴き、ともにローマへ攻め入る。国を滅ぼさんばかりの勢いに恐れ慄いたコリオレイナスの母、ヴォラムニアと家族は、戦いを止めるよう懇願。その願いを受け入れ、退却したコリオレイナスだったが……。
Coriolanus
Barbican Centre
Silk Street, London EC2Y 8DS
07年4月25~29日19:15、29日のみ17:00
£10、16、21、28、35、Superseat(プラス5ポンド)
Tel: 020 7638 8891
英国をベースに活躍 アート・プロジェクトCrop主宰
渡部賢治(わたなべ・けんじ)
プロフィール=島根県出身。演劇ネットワーク「Office 59」に参加後、渡英。現在は舞台やテレビ、映画などで活躍している。2005年には演劇の枠に留まらないアート・プロジェクト・ユニット「Crop」を妻と2人で結成、昨年はリトアニアの国際演劇祭にも参加した。作曲家、ピアニスト、アコーディオニストとしても活動中。

ちょうど本号が出版される4月5日、ロンドン北部、イズリントンで渡部さん率いるアート・プロジェクト、Cropの舞台「注文の多い料理店」が上演される。4人いる出演者のうち、日本人は渡部さん1人。稽古開始の段階では大まかなプロットしかつくらず、稽古の最中に俳優たちとのコミュニケーションを通して肉付けの作業を行うという渡部さんに、日々の活動形態についてうかがった。

ーCropという活動形態について教えてください。

元々私は音楽を中心にやっていたのですが、2005年にリトアニア人の妻と結婚し、彼女が絵を描いていたこともあり、Cropというアート・プロジェクトをつくりました。聴覚や視覚に訴える様々な要素をフレキシブルに取り入れたかったので、劇団、という形にはしたくなかったんです。

ーCropのメンバー構成は?

基本的には自分と妻の2人です。後は作品に応じてキャスティングします。キャスティングで重視するのは、その人の持つ人間性や面白み。作品をつくり出す上で、ある程度のプロットはありますが、後は即興で話を膨らませていくので意外性や遊び心を持った人をその都度選びたいのです。
ー作品のテーマ選びのポイントは? 「耳なし法一」や「注文の多い料理店」など日本の昔話を選んでいるのには訳があるのでしょうか。

故意に日本的なテーマばかりを選んでいる訳ではありません。この2作品については個人的所以で。「耳なし法一」に関しては、島根県松江出身なので、松江に滞在していた小泉八雲には小さい頃から慣れ親しんでおり、リトアニアの演劇祭に出演することが決まった時にこの話で世界中の人たちを怖がらせたいな、と思って(笑)。「注文の多い料理店」は、宮沢賢治が外に目を向けていた人物で、彼の作品に宇宙的なものを感じたからです。色を取り払った、グローバルなものを作りたいという自分の意図と合致していました。

ー舞台は英語と日本語のどちらで? 英語でやられるとなると、役者間、役者と観客間でコミュニケーションの困難さを感じませんか。

舞台は英語でやっていますが、それほどは感じないです。リハーサルの段階では紆余曲折ありますが、その過程で言葉じゃない何か、共通点を感じることがあるんです。その共通言語を見付けて、舞台でお客さんに観せられればいいな、と思います。
 

カンタベリー物語の世界

カンタベリー物語の世界

「4月がその優しきにわか雨を、3月のひでりの根にまで滲み通らせ……」の一文で始まる中世英文学の傑作、カンタベリー物語。長い冬が終わりようやく春が訪れたこの季節は、この大作を読み直すには絶好の機会であろう。多くの英国人が古典の名作として誇る、この作品の世界を少し覗いてみよう。(本誌編集部: 長野雅俊)

カンタベリー物語とは

14世紀を生きた英国の詩人、ジェフリー・チョーサーが書いた物語集。カンタベリー大聖堂へと巡礼の旅に出掛ける一団が、道中の退屈しのぎに、それぞれが知っている物語を次々と披露していく様子を描いている。庶民の間で語り継がれていた世間話やユーモア溢れる笑い話、教訓じみた説話などが詰まっており、人間の様々な側面を広く深く描いた文学性と、当時の暮らしを知る歴史資料としての価値から高く評価されている。チョーサーが志なかばで死去してしまったため、29人の巡礼者たち全員に複数の物語を語らせるという、その余りに大きな構想はついに実現されないままに終わった。

個性豊かな登場人物たち

29人の巡礼者たちに加え、宿屋の主人、そして作者のジェフリー・チョーサーまでもが登場するカンタベリー物語。巡礼の旅という、様々な背景を持った人間が一同に集まる当時としてはほぼ唯一の場を舞台として設定することで、異なる階級に属する人間の描写に成功し、物語全体に深みを与えている。
Photo: courtesy of The Canterbury Tales visitor attraction

ハリー・ベリーハリー・ベリー

ロンドン南部サザークにある旅籠屋の主人。教養豊かでかつユーモアに溢れた男であり、巡礼者たちに行きと帰りの道中で、それぞれ2つずつの物語を披露するよう提案する。

粉屋粉屋

筋骨隆々の、力勝負では誰にも負けない大男。趣味の悪い冗談を言うことを得意としており、穀物を盗んで売りさばく悪党でもある。巡礼者集団の先頭に立って一行を率いていく。


騎士騎士

勇敢で思慮深く、欧州各国における数々の遠征で戦歴を重ねた、名誉ある戦士。真実と名誉、寛容と礼儀を尊ぶ。くじによる抽選の結果、一番初めに話を披露することになる。

バースの女房バースの女房

羊毛業が盛んなバース出身だけに、機織りが得意な中産階級の女性。恋の手練手管に関しては彼女の右に出る者はいないとされ、これまで5回の結婚を経験している。


騎士尼僧付の僧

「ジョン」という名を持つ、善良なる僧。各登場人物が悪趣味な話ばかりすることにあきれ果てた主催者のハリー・ベリーが、楽しげな話をする語り手として指名する

バースの女房免罪符売り

召喚吏の相棒を務める偽善者として描かれている。教会での高い地位を保持しながら、天国行きを確約するという免罪符を老若男女に売りつけることで大金を稼いでいる。


騎士ジェフリー・チョーサー

「カンタベリー物語」の作者であり、作品中に自ら説話の語り手としても登場する14世紀のイングランドを生きた詩人。豊かな教養と人間観察の鋭さを惜しげもなく披露している。


その他の登場人物

盾持ち 騎士に仕える家来。
料理人 お酒が大好きな腕利きシェフ。
弁護士 知識、名声、報酬と知識をもった秀才。
托鉢僧 多くの妾を持つ好色な聖職者。
学僧 オックスフォード出身の、貧乏で痩せこけた男。
貿易商人 知恵の非常によく働く、根っからの商売人。
近習 騎士である父親の旅に同行して修行を積む若き青年。
郷士 州知事を務めるグルメな大地主。
医者 占星術もできる開業医。
船長 イングランド南西部ダートマス出身の、やることなすこと大胆な男。
尼僧院長 慈悲深く、そして何よりも礼儀正しい女性。
修道僧 厳しい戒律を窮屈に感じている、俗世間にまみれた男。
賄い方 学者や弁護士たちのお手伝い屋さん。
教区司祭 貧しくも敬虔深く勤勉な、真の意味での宗教者。
農夫 教区司祭の兄弟。
家扶 荘園を管理することを仕事とする。
召喚吏 宗教裁判所で働く。托鉢僧と仲が悪い。
小間物商、大工、織物商、染物屋、家具装飾商、第2の尼僧、錬金術師の徒弟

プロローグ

宿屋の主人がゲームのルールを発表
ロンドン南部サザークの陣羽織屋に宿泊することになった29人の巡礼者たち。それぞれの登場人物の紹介が終わったところで、ハリー・ベリーという名の宿の主人が、彼らがカンタベリー大聖堂へと向かう巡礼の旅の道中、退屈しのぎにあるゲームを行うことを提案する。ルールは各参加者が往路と復路にそれぞれ2話ずつとっておきの物語を語るというもの。最もおもしろい話をした者が、ロンドンに戻った際にありったけの夕食をご馳走になるという賞品の説明も行われる。この思い付きを自らいたく気に入った宿屋の主人は、審判役を務めるという理由で、自費を払って巡礼の旅に同行する旨を伝えて参加者たちの了解を得る。

騎士の物語

美しい王女をめぐって争う騎士
捕虜として囚われの身となった2人の騎士、アークサイトとパラモンは、牢獄の中から王女エミリーの姿を見た途端に共に恋に落ちてしまう。エミリーを愛する権利をめぐって互いに争い、次第に憎しみ合うようになる2人。やがて脱獄した彼らは、逃走中に路上で決闘を開始したところを再び捕らえられてしまう。この争いを見かねた王は、2人の騎士にそれぞれ100名からなる軍を率いて勝負を行い決着をつけよとの命令を下し、勝者には王女を娶る権利を与えるよう手配することを約束する。この戦いに勝利することを強く願ったアークサイトが勝負を制するが、戦いで負った怪我のためにその後すぐに息絶えてしまい……。

粉屋の物語

樽の中で暮らす夫の運命
ある大工の若妻を愛するニコラスは「ノアの洪水が来る」と嘘をつき、騙された大工が避難用の樽の中で寝ている間に若妻と情事を重ねるようになる。同じ頃この若妻を狙う、アブソロンというもう1人の男がいた。彼は情事に耽る若妻の寝室によじ登り窓から口づけを求めるが、若妻は自分の尻を突き出しお返しする。暗闇の中で彼女の陰毛に触れたアブソロンは、これを男のヒゲと勘違いして激怒。今度は燃えた鋤すきを持って再び寝室までよじ登る。若妻のいたずらに喜び、代わって尻を突き出した不倫相手ニコラスは、高温の鋤が刺さってパニックに。彼が大声で水を求めたところで、洪水が来たと思った大工は樽を吊ったロープを切断し、大怪我を負ってしまう。

バースの女房の物語

世界中の女性が求めるものは?
ある女性を強姦し、死刑を宣告された1人の騎士。やがて王妃が登場し、「世界中の女性が求めているもの」を言い当てることができたら命を助けると彼に告げる。騎士は答えを求めて旅に出た際に、1人の老婆と出会う。この老婆は、自分の要望を何でも聞くという条件と引き換えに、彼の謎を解くことを約束する。老婆の要求を飲んだ騎士が手に入れた答えは、女は皆「男を自分の意のままに支配する」ことを望んでいるというもの。この答えを正解として認めた妃により命を救われた騎士だったが、続いて約束通りに老婆から出された要求とは、彼女を妻として迎えることだった。嫌々ながらも結婚を受け入れた騎士に対して、老婆は優しく接するよう懇願し……。

貿易商人の物語

男女の神が与えたものとは…… 視力を失った60歳の老騎士は、メイという若妻の浮気を恐れて四六時中手をつなぐことで彼女を拘束していた。そんな環境下でも、若い男との恋に落ちてしまうメイ。何としてもこの男と関係を結びたい彼女は、老騎士と手を離すことを唯一許される秘密の庭園に若い男を招き入れる。主人が庭園内で散策を楽しんでいる間に、若き男と大木の上で愛し合うメイ。これを天から目撃して憤りを覚えた冥王星の神プルートーは、老騎士に視力を与えて不貞を暴露するが、同じく天の女神プロセルピーナがすかさず若妻にとっておきの言い訳を与える。若妻は主人の視力が回復したことを祝うことで話を逸らし、夫婦は仲良く礼拝堂へと向かって、めでたし、めでたし。

尼僧付の僧の物語

キツネの悪夢を見た雄鶏
まだ動物たちが人間と同じように言葉を話していた時代。7匹の妻を持つ雄鶏チャンテクレールは、その中で最も美しい雌鳥ぺルテローテを溺愛していた。彼はいつも決まった時刻に高く澄んだ声で鳴くことで、熱き思いを伝えていたのだった。ところがある日突然、チャンテクレールが奇声を発する。「キツネに襲われる悪夢を見た」からというチャンテクレールの臆病な言い訳を聞いて完全に失望したぺルテローテは、「悪い夢を見たのはお腹の調子がおかしいからよ」と言って全く取り合わない。しかしながらこの悪夢が暗示したように、やがて悪賢いキツネがチャンテクレールを誘拐してしまう。彼は何とか逃れようと頭をひねり……。


カンタベリー詣でとは

カンタベリー日本の「お伊勢参り」に相当する、イングランドにおけるキリスト教徒にとっての宗教的なイベント。主に英国国教会の総本山であるカンタベリー大聖堂への巡礼を意味する。中世時代のカンタベリーはイスラエルのエルサレム、イタリアのローマ、スペインのサンティエゴ・デ・コンポステラと並ぶ4大巡礼地として認知され、また大量の巡礼者たちが殺到したため、近隣の宿屋や飲食店の収入にも大きく貢献し、街全体の発展にもつながった。ちなみにカンタベリー物語の主人公たちが歩んだロンドンからカンタベリーまでの道のりは、距離にしておよそ100キロ。片道を2、3日間の日程で歩ける距離だと想定されている。

カンタベリー詣

物語の世界を実体験
カンタベリー・テールズ

カンタベリー・テールズカンタベリー物語の世界を再現した、テーマパークを彷彿とさせるアトラクション。かつて教会だった建物の内部を作り変えて建設された。ろう人形で作られた登場人物たちが物語を次々と披露し、入場者はまるで共に巡礼の旅に参加しているかのように楽しめる仕掛けとなっている。日本語の音声コントローラーあり。

The Canterbury Tales, St. Margaret's Street
月~日10:00-17:00
Tel: 01227 479 227
www.canterburytales.org.uk

国王に暗殺された聖職者
トーマス・ベケット

トーマス・ベケット巡礼地としてのカンタベリーの歴史は、トーマス・ベケットの殺害事件から始まった。ロンドンの商人の息子として生まれたベケットは1155年、イングランド国王の側近である大法官という地位に任命される。彼はローマ教皇からの独立を掲げ、イングランド王による教会の直接統治を説いたために、支配権の拡大を目論む当時の国王ヘンリー2世から寵愛された。

しかしやがてベケットは、神の領域である宗教的権限までを支配しようとするヘンリー2世に反発を覚え、距離を置くようになる。このわだかまりはやがて関係の決裂にまで発展し、ベケットは逃げのびるようにフランスに移住。6年後カンタベリーに戻った彼を待っていたのは、王室関係者たちからの剥き出しの敵意だった。それでも民衆の支持を集め続けるベケットの様子を知ったヘンリー2世が「こんな反逆者を国内に育ててしまったことが悔やまれる」と言うのを聞いた側近の4人の騎士は、これを暗殺の指令だと理解しベケット殺害を決意。1170年12月29日、修道士たちが挽歌を歌っている最中のカンタベリー大聖堂内でベケットは暗殺された。頭部までもが切断されるという残虐性と、クリスマスが終わったばかりという時期からこの事件は欧州各地でも衝撃を持って受け止められた。

ベケットの存在はやがて神格化され、事件発生後には700以上の奇蹟が起きたと伝えられるようにまでなり、彼の生き血を薄めたとされる水が各地で販売されるようになる。そしてベケットは圧制に対抗した殉教者として崇められ、巡礼者たちをカンタベリーの地に集めるようになったのである。

ロンドンからの日帰り旅行に最適
カンタベリーとその他の観光スポット

ロンドンから電車で片道およそ1時間半、イングランド南東部の在住者にとっては、日帰り旅行に最適な場所に位置するカンタベリー。ここでは英国国教会の総本山がそびえ立つ宗教都市としての顔と、中世の趣を残す古都としての顔が共存している。またカンタベリーの観光スポットは市内に小さくまとまっている上に、街は十字路を基本として形成されているので、道に迷うこともそうないはず。様々な魅力を強烈に放つこの都市を、1度は訪れたい。

地図

1. カンタベリー大聖堂
Canterbury Cathedral

カンタベリー大聖堂英国国教会の総本山。7世紀に修道院として建設され、以来改築を繰り返しながら1400年以上にわたって毎日この場所で礼拝が行われてきた。内部に設置されている殉教者トーマス・ベケットの墓を目にすれば、キリスト教の信者でなくても深い感慨を覚えてしまうだろう。遠景からでもはっきりと見えるほど高くそびえ立つ建物は、圧倒的な存在感を放っている。

Cathedral House, 11 The Precincts
月~土9:00-18:00、日12:30-14:30、16:30-17:30
Tel: 01227 762 862
www.canterbury-cathedral.org

2. 聖アウグスティヌス修道院跡
St. Augustine's Abbey

聖アウグスティヌス修道院跡ローマのグレゴリウス教皇から使命を与えられた聖アウグスティヌスが、イングランドへのキリスト教伝道のために海を渡ってたどり着いた場所の跡地。彼の尽力によって597年、ケント州のエルバート王が洗礼を受け、イングランドで初めてキリスト教信仰が正式に受け入れられるに至った。庭から覗く廃墟のような荒涼とした風景が、その偉大な歴史を醸し出している。

Long Port
月~日10:00-18:00
Tel: 01227 767 345
www.english-heritage.org.uk

3. カンタベリー博物館
Museum of Canterbury with Rupert Bear Museum

カンタベリー博物館有史以前の様子からローマ人の入植時代、さらには中世に宗教都市として花開いて現代に至るまでのカンタベリーの歴史を網羅した博物館。またカンタベリーで生まれた英国が誇る劇作家、クリストファー・マーロウについての展示も充実している。英国の子供たちの間で人気がある、かわいいクマのキャラクター「ルパート・ベア」をテーマとした博物館も併設されている。

Stour Street
月~土10:30-17:00
Tel: 01227 475 202

4. ローマ博物館
Roman Museum

ローマ博物館1世紀頃から侵攻し、イングランドを支配したローマ人たちの歴史を追った博物館。ローマ人たちは、カンタベリーを始めとするイングランドの各地域に巨大な都市を形成して勢力を大きく繁栄させていった。同博物館では、現存するモザイク模様のタイルほか、当時のローマ人たちがカンタベリーに建設した住宅施設や青空市場などを復元して展示している。

Longmarket, Butchery Lane
月~土10:00-17:00
Tel: 01227 785 575

5. ロイヤル美術館
Museum & Art Gallery with Buffs Regimental Museum

カンタベリー市内で一番大きな美術館。イングランド内で最も古い歴史を持つと言われているカンタベリーの歩兵隊に関する展示を扱った博物館も併設。

High Street
月~土10:00-17:00
Tel: 01227 452 747

6. ウエスト・ゲート・タワーズ
West Gate Towers

カンタベリー市民が「英国内で最も立派な門」を持つとして誇りにする塔。上階からは、市内全体を見下ろす絶景を楽しむことができる。

St Peter's Street
月~土11:00-12:30、13:30-15:30
Tel: 01227 789 576

7. The Weavers House

16世紀初頭に建設されたという、黒ぶき屋根の建物の中にあるレストラン。スタウア河を臨む景色を楽しみながら、英国の伝統料理を食すことができる。

1-2 St Peter's Street
月~土11:00-23:00
Tel: 01227 464 660

カンタベリーへの行き方

Charing Cross駅からCanterbury West駅まで約1時間15分。ロンドンのVictoria駅からCanterbury East駅まで約1時間半。Victoriaのコーチ・ステーションから約1時間45分。
詳細はwww.canterbury.co.uk

 

ファーマーズ・マーケットに行こう!

ファーマーズ・マーケット

食品、衣料、日用品からアンティークまで、英国で暮らす人々の生活に欠かすことのできないのが「マーケット」。毎日必ずどこかで開かれていると言っても過言ではない数あるマーケットの中から、今回は「ファーマーズ・マーケット」に注目。ロンドン市内にあるファーマーズ・マーケットの様子を4件ご紹介します。春眠暁を覚えず……なんて言わずに、この週末はいつもよりちょっとだけ早起きして出掛けてみませんか? (取材・文 / サイトウ・ケイナ)

 

ファーマーズ・マーケットって何?

マーケットの周辺地域で育った旬の食材が、その生産者によって産地直送で販売される、それがファーマーズ・マーケット。しかし、どんな生産者でもそこに出店できるというわけではない。英国では、The National Farmers' Retail & Markets Association(FARMA)らによる商品の生産場所や加工方法などの厳しい諸条件(右参照)をクリアした選ばれし者のみが、ファーマーズ・マーケットへのストール(売店)出店を許されるのだ。つまり、安心して消費できる高品質の商品のみで構成されるのが、本物のファーマーズ・マーケット。そこここの路地で開かれる普通のマーケットとの違いはココだ。

 

どんな雰囲気?

学校給食からのジャンク・フード締め出しや食品表示参照の呼び掛け運動などに見られるように、ここのところようやく英国でも食への関心が高まってきた様子。ファーマーズ・マーケットには、そうした食や環境に関心を持つ人々が朝からマイ・ジュート・バッグや買い物カゴを持ってやって来る。小さな子供の手を引いた親子連れの姿も目立ち、ある男の子は「毎週違う種類のお魚にチャレンジしているんだよ!」と自慢げに話してくれた。季節の野菜が時には泥をつけたまま並べられ、磯の香りのする魚や貝類が未加工で売られる横で、その調理方法などの情報交換がなされるこうしたマーケットは、「食育」の手軽な教材としても魅力的な場所だ。

大抵のファーマーズ・マーケットはほのぼのとした雰囲気だが、規模が小さく常連の地元住民しか利用しないようなところでは、冷やかしだけで行くには少し居心地の悪いことも。開催場所によって異なるマーケットの雰囲気を楽しむのもいいだろう。

 

どんなものが買えるの?

野菜や果物、魚介類や肉、乳製品にパンやケーキ、スープなどの加工品が主。産地直送品のため新鮮なことは言うまでもなく、無農薬、無添加、オーガニック栽培の体に優しい食べ物が多く店頭に並ぶ(生産方法はそれぞれの販売者に確認を)。

値段は良心的であることが多い。しかもその販売形態ゆえ、輸送費や仲介業者へのマージンといったものにお金を払う必要が少ないため、より気持ち良く買い物ができる(気がする)。ものによってはスーパーマーケットで買うよりも多少割高に感じられるかも知れないが、食品の質と安全性を考えたらお得なのでは。

ファーマーズ・マーケットへ出掛ける際に気を付けたいのが、毎週同じ会場に同じストールが出るとは限らないということ。また、同じストールが他のマーケットに週替わりで掛け持ち出店していることも。会場入り口に掲示されている出店リストを確認したり、ストールの店主に聞いたりして、お気に入りストールのスケジュールをチェックしよう。

お目当てのものを売るマーケットに足を運ぶことができなくても、嘆くことなかれ。最近では多くのファーマーズ・マーケット出店者が自らのウェブサイトを持っており、そこからファーマーズ・マーケットで売っている商品を直接注文購入できる場合もあるのだ。

ファーマーズ・マーケット出店への条件

1. 商品はマーケット開催地から約50〜80キロ以内で生産されたものであること。
2. 消費者に商品説明ができるよう、生産に直接携わった者が店頭に立って販売すること。
3. 商品は生産者を名乗る者の管理地で生産されたものであること。
4. 加工食品の材料には、マーケット開催地域で生産されたものをできるだけたくさん使用し、製造は同様にマーケット開催地域で行うこと。

(FARMAによる審査規定より抜粋。一部例外あり。詳細はFARMAウェブサイト参照)

 

お出掛け前にチェック!

ウチの近くにもファーマーズ・マーケットがあるか知りたい!そんな時には、下記の各団体のウェブサイトが便利。国内各地で開かれるファーマーズ・マーケットの場所や日時のほか、旬の食べ物の情報を入手できる。

The National Farmers' Retail & Markets Association (FARMA)
全国規模でファーマーズ・マーケットを運営・進行する協会団体。全国のファーマーズ・マーケット主催者が登録しており、スコットランド、イングランド、ウェールズ内の各ファーマーズ・マーケットの情報がこのウェブサイトから得られる。
www.farmersmarkets.net
Tel: 0845 458 8420

London Farmers' Markets (LFM)
ロンドン市内でファーマーズ・マーケットを主催する団体。市内15カ所で開かれるファーマーズ・マーケットの情報を調べることができる。
www.lfm.org.uk
Tel: 020 7833 0338



現在ロンドン市内で開かれている、LFM及びFARMA公認の主なファーマーズ・マーケット(赤表示されているマーケットは次ページで紹介)。会場入り口に左図のFARMAマークがあれば、そのマーケットは「お墨付き」だ。

 

1. BLACKHEATH
2. MARYLEBONE
3. PIMLICO ROAD
4. PRIMROSE HILL
5. EALING
日時:土曜9〜13時 
場所:Leeland Road, West Ealing W13
最寄:West Ealing駅

ロンドンで唯一の路上ファーマーズ・マーケット。
6. ISLINGTON
日時:日曜10〜14時 
場所:Essex Road, Opposite Islington Green N1
最寄:地下鉄Angel駅

1999年、ロンドンに初めて開かれたファーマーズ・マーケットがココ。
7. NOTTING HILL
日時:土曜9〜13時 
場所:書店Waterstones裏の駐車場にて
最寄:地下鉄Notting Hill Gate駅

ロンドンで最も大きなファーマーズ・マーケットの一つ。オーガニック商品を扱うストールが多いのが特長。
8. CLAPHAM
日時:日曜10〜14時 
場所:Bonneville Primary School, Bonneville Gardens SW4
最寄:地下鉄Clapham South駅

地域住民による長年の熱い要望に応えてついに開かれたというマーケット。
9. PECKHAM
日時:日曜9時30分〜13時30分 
場所:Peckham Square, Peckham High Street SE15
最寄:Peckham Rye駅またはQueens Road駅

Peckham Libraryのすぐそば。規模は大きくない。
10. TURNHAM GREEN
日時:土曜9〜13時 
場所:Belmont Primary School, Belmont Road W4
最寄:地下鉄Chiswick Park駅またはTurnham Green駅

規模は大きくないが、ストールのラインナップは必要十分。
11. TWICKENHAM
日時:土曜9〜13時 
場所:Holly Road Car Park, Holly Road, off King St, Twickenham TW1
最寄:Twickenham駅

会場はショッピング街に近く、週末のお買い物に便利。
12. WIMBLEDON PARK
日時:土曜9〜13時 
場所:Wimbledon Park First School, Havana Road SW19
最寄: Wimbledon Park駅

2000年のオープン以来ウィンブルドンの地元住民から愛され続けている、地域密着型マーケット。

*情報は2007年2月末日現在、編集部調べ。お問い合わせは各マーケット主催者及びストール店主へお願いします。お出掛けには公共の交通のご利用をお勧めします。

 

日時: 土曜 10〜14時
場所: Primrose Hill School, Princess Road NW1
最寄: 地下鉄Chalk Farm駅またはCamden Town駅
www.lfm.org.uk/primrose.asp

まだ人気の少ない朝のカムデン・タウン駅を出て歩くこと約10分、バス通りを少し入ったところに建つ学校の駐車場に、15店ほどのストールが並ぶ。こぢんまりとしながらも粒揃いといった印象で、昼に近付くにつれ周辺に住む子供連れやお年寄りで賑わいを見せる。買い物帰りは、カムデン・マーケットに向かって人混みに消えて行くも良し、リージェンツ・パークに寄ってマーケットでの収穫を頬張るもまた良し。


KENTDOWN MUSHROOMS

シイタケやシメジ、ナメコ、エリンギなど、キノコばかりを種類豊富に取り揃えるこのストールの存在は、日本人には嬉しい限り。バターとニンニクで炒めたマッシュルームを具にした、特製サンドイッチも売っている。この日店頭に立っていたアンさんは、「日本ではシイタケやナメコをどうやって料理に使うの? 良いアイデアをもらえると嬉しいわ」と研究熱心。
www.sporeboys.com


MILLETS FARM CENTRE

オックスフォードから約13キロのところに農場を構えるMillets Farm Centreのストール。泥付きの立派な野菜と共に、ずらりと並べたリンゴ・ジュースとサイダーが自慢だ。自家栽培している英国の主要9種のリンゴをそれぞれの旬に合わせて収穫、同日中に絞って瓶詰めするというその味は、ピュアそのもの。「サイダーは気が抜けちゃうからダメだけど」と言いながら次々と試飲を勧めてくれるオーリンさんのおかげで、ジュースの売れ行きも好調の様子。
www.milletsfarmcentre.com


FARM 2 KITCHEN
ーPIES WITH TATTITUDEー

パイの専門店。「パイの中身も、もちろんすべてイースト・サセックスの私達のファーム周辺のものよ」と店頭のパトリシアさん。一番人気はスパイスの効いたビーフ・パイ。ベジタリアン・パイもボリューム満点だ。


THE SOUP KINGS

当マーケットで一際スタイリッシュだったのが、ロースト・ディッシュやスープの見本が並ぶこのストール。肉や野菜はもちろん塩やスパイスまで、すべて契約農家による食材を用いたready mealを扱う。人気のお勧めメニューは、ロースト・カボチャやチキンを使った料理だそう。

 

日時: 日曜、9〜13時
場所: Orange Square SW1(Pimlico Road とEbury Streetが交わる角)
最寄: 地下鉄Sloane Square駅
バス: 211番、11番、239番
www.lfm.org.uk/pimlico.asp

Sloane Square駅からPimlico Road に出てしばらく進んだところにあるOrange Square。この小さな広場が、土曜日だけは所狭しと並ぶストールと人で埋まる。ロンドンの大きなファーマーズ・マーケットの一つとして数えられるようになってきたこの会場は、心なしか他会場以上に落ち着いた雰囲気。ベルグレービアやチェルシー、バタシー地区の住民もよく利用するという。


THE GARLIC FARM ON THE ISLE OF WIGHT

臭いを……否、異彩を放つこのストールに並ぶのは、ニンニク、ニンニク、そしてニンニク。がっしりとした見事なニンニクの中でも、黄金色に輝くOAK-SMOKED GARLIC BULBSがお勧め。やはりニンニクをベースにしたペーストやチャツネのほか、ニンニクの苗まで売っているところが、なんとなくチャーミング。
www.thegarlicfarm.co.uk


RICHARD HAWARD

牡蠣をその場で殻剥ぎして食べさせてくれるストールを発見! 見過ごしてしまいそうな小さな同店には、英国南東部エセックスのウェスト・マーシーの湾にほぼ毎日出て採ってくるという、新鮮な食べ頃の牡蠣が数種類並ぶ。ただし、出店は牡蠣のシーズンである9月から4月の間のみ。
www.richardhawardsoysters.co.uk


ALHAM WOOD

サマーセットにある農場で飼われているバッファローの肉、ミルク、チーズ、ヨーグルトを扱う。バッファローの乳製品は、牛のものに比べて低脂肪・低コレステロールで、ヨーグルトは特にあっさりしている。牛の乳製品も置いているが、やっぱりバッファローのものを試したい。

 

日時: 日曜 10〜14時
場所: Blackheath Rail Station Car Park, 2 Blackheath Village SE3
最寄: Blackheath駅
バス: 54番、 89番、 108番、 202番、 380番
www.lfm.org.uk/black.asp

ロンドン中心からは少し離れるものの、駅に隣接した駐車場で開かれるためにアクセスの良さは抜群。Lewisham駅(DLR及びNational Rail)からもバスで約10分と便利だ。約20軒のストールが出るこのマーケットは、活気がありながらもどこかのんびりとした雰囲気。10時のオープン直後から地元の買い物客が集まり、昼ごろにはランチ用のパンやケーキを求めて若い客も増える。グリニッジに近いため、家族でのお出掛けにもお勧め。


NUT KNOWLE FARM

この道30年のジェンナーさん夫妻が切り盛りする、ゴート・チーズ専門店。農場で飼育されている450頭のヤギのミルクからできたチーズに、お客が次々と惹き付けられる。毎週売り切れてしまうものもあると言い、最近の一番人気はガーリックとハーブが香る「Little Garlic」。
www.nutknowlefarm.com


CHILTERN FARM FOOD

バッキンガムシャーの農場で育ったフリーレンジの豚やラム、ウサギやカモなど季節の狩猟肉と、ソーセージやバーガーといった加工品を扱う。「親子?」と尋ねるとなぜか懸命に否定する息ピッタリのお茶目な2人が、丁寧に商品説明をしてくれる。


KUSHCUISINE

シェフ暦20年のイアンが手作りする、瓶詰チャツネとジャムの店。リンゴやマンゴーが入ったマイルドなフレーバーも揃っていて、ベストセラーは「Jamaican Chutney」。お客から必ずと言ってよいほど発せられる「辛い?」との質問にも嫌な顔せず(というか無表情で)答えるイアンも魅力的。新鮮な肉やチーズ、クラッカーと一緒に。
www.kushcuisine.com


ISLE OF WIGHT TOMATOES

鮮やかな赤から黄色へのグラデーションが美しいこのストールは、ワイト島で採れたトマトとそれを使ったソースなどを扱う。中でも人気のトマトは、Canpariという種類。味も香りもしっかりとしていてパワフルなため、サラダやパスタに生で使うと良いそう。3月上旬からというシーズン中に是非味わいたい。 
www.isleofwighttomatoes.co.uk

 

日時: 日曜、10時〜14時
場所: Cramer Street Car Park W1
最寄: 地下鉄Baker Street駅またはBond Street駅
www.lfm.org.uk/mary.asp

現在ロンドン最大規模を誇るのがココ。多くのストール主がこのファーマーズ・マーケットへの出店を希望し、また他会場との出店掛け持ちをするのに当会場を選ぶとのこと。市内中心部で主要駅やオックスフォード・ストリートに近いこともあり、出店数だけでなく人出の多さもダントツ。取材当日はあいにくの雨だったが、常連客に加えてセルフリッジの袋を提げた人や観光客らで賑わい、列のできるストールがいくつもあった。


McLAREN'S PURE AND NATURAL

小さな子供にも安心して食べさせられる、低糖・低脂肪の手作りケーキとスープを売る。一番人気は、パッション・フルーツのピューレを使った、冷凍保存可能なカップ・チーズケーキ。スープの種類は、旬の素材へのこだわりから週毎に替わるそう。スープもケーキも、素材の旨味がぎっしりと詰まった濃厚な味わいが特長。
www.mclarenspureandnatural.co.uk


THE OLD POST OFFICE BAKERY

ロンドンのクラッパムに店舗を持つこのベーカリーのストールには、お客さんがひっきりなしにやってきて、すぐに列ができる。中でも、ずっしりとしたSourdoughを買い求める人が多く、昼過ぎには品薄に。
www.oldpostofficebakery.co.uk(ウェブサイトはアップデート中)


PERRY COURT FARM

ケントから野菜を運ぶ当ストールの自慢はリンゴ。常連客と思しき女性陣が、しっかりと品定めをした上で1袋、2袋と買っていく。野菜や果物を売るストールの中でも特に親切で、ここで素材の調理法を尋ねるお客が多い。そのうちお客同士で情報交換が始まるなど、親しみやすい雰囲気が魅力。
www.perrycourtfarm.com

 

トイレにまつわるエトセトラ

トイレにまつわるエトセトラ

多文化主義をうたってはみるが実現はなかなか難しく、さらに階級意識もいまだに根強い大都市ロンドン。そんな場所で唯一「平等と公平さ」を体現している空間は、ひょっとしたら街中のトイレかもしれません。なにしろ生まれ育ちも関係なく、同じような場所で、同じように腰掛ける。フォアグラもフィッシュ&チップスも、最後に行き着く場所は……後はお食事中の方のために口に出さずにおきましょう。しかしトイレと一言でいっても、その道はかなり奥深いのです。というわけで、英国ならではのトイレ特集をぜひお楽しみください。便座に腰掛けて読んでいただくのもまた一興? (本誌編集部 佐野 道子)

英国トイレ協会 推薦トイレへGO!

最近はあちこちで公衆トイレの閉鎖が目立つし、やっと見つけたトイレも有料でガックリ……そんな話をよく耳にしませんか。実際、自治体運営の公衆トイレの数とロンドンの人口を比較すると、1万8000人につきトイレ1つと、決して多いとはいえない割合。日本と違ってコンビニ頼りというわけにもいかないし、駅にトイレがついているとも限らない。デパートなら! と思っても「ものすごく上の階にあってたどり着くまで苦労した」などという話もよく聞きます。公衆トイレが意外な場所にあって、ついつい見逃してしまうのも「ロンドンではトイレが見つからない!」と言われてしまう原因かも。

しかし、そんな時のために用意した中心街のおすすめトイレ・マップ。切り取ってバッグの中にでも忍ばせておけば、意外な時に役に立つかもしれません。ぜひご活用ください。



トイレット・オブ・ザ・イヤー賞

英国トイレ協会(BTA)が発起したLOO OF THE YEAR AWARDSという賞をご存知でしょうか? 毎年、英国中の美しいトイレを表彰、公衆トイレもホテルのように星の数で格付けされるわけです。そして昨年の英国内総合2位という栄誉に輝いたのが、ロンドン中心街の多くを管理下に置くウエストミンスター地区のカウンシル。30万ポンド(約7000万円)もの費用をかけて改装されたオックスフォード・サーカスの公衆トイレは最高ランクの5つ星が与えられました。また、ナショナル・レールのチャリング・クロス駅構内にあるトイレも「公共交通機関」部門での受賞をしています(ただしこちらは有料)

それでは、こちらが中心街にある5つ星トイレ!! ★★★★★

Oxford Circus
オックスフォード・ストリート北側の歩道の脇に、実はトイレがあるのです。いつも通っていたのに知らなかった、という方も多いのでは?

Barrett Street
ボンド・ストリート駅近辺ではイチオシの無料トイレ。H&M脇の小道を入った小さな広場にあります。中も掃除が行き届いていて、文句なしの5つ星!

他、Picaddilly Circusのトイレを含む3カ所が5ツ星トイレとして表彰されています。



お買い物中にデート中、ロンドンのど真ん中でいつでも起こる緊急事態。そんな時にロンドナーたちはどこへ向かうのか、突撃アンケートを実施してみました。男女各25人ずつ総勢50人の「トイレな現実」、結果は次のグラフを参照下さい。



やはりトイレ選びの基本は清潔さ? 洋式トイレでは必ず腰掛けなければいけない女性陣は特に敏感なよう。デパート、美術館・シアターを選んだ女性の大多数が、国籍問わずに「きれい、使いやすい」という意見で一致。逆に道端で見かける公衆トイレは最終手段のようです。また、「デパートやチェーンのカフェではトイレットペーパーが比較的やわらかいので」(Nさん、英国出身)というこだわりの男性意見もありました。

また、無料かどうかも大きなポイント。「金なんか払ってられるか!」(Tさん、日本出身)という意見が大多数を占めました。「多国籍企業が嫌いなので、チェーンのカフェやファーストフードのトイレをタダで使ってやります」(Dさん、ギリシャ出身)「国際展開しているお店は、たくさん儲けてるんだからいいじゃない」(Mさん、デンマーク出身)という個性的な理由も。また、男性の回答には「道端でしょう!」という意見もちらほら見受けられましたが、ウエストミンスター地区での行為は50ポンドの罰金なのでご注意あれ!

しかし、緊急事態には場所を選んでいられないものまた事実。パブ、チェーンのカフェ、ファストフードが3大駆け込みトイレとして男女を問わず人気です。理由はやはり「どこにでもあるから」というもの。ただし、トイレだと思ったドアがスタッフ・ルームだったりする可能性もあるので、注文してから使う派の人は注意が必要。また「利用客の層が広いから、どんな服でも入れる」(Kさん、男性、日本出身)という声もありました。確かに高級デパートのトイレに汚い格好で駆け込むのはやや気がひけてしまうのかも。



さて、いまやトイレと言っても、単に用を足すだけの場所ではないようです。次は「えっ?!」と思う意外な「トイレット」をご紹介しましょう。

入場料5ポンド?! 話題の超豪華トイレ

高級デパート、セルフリッジの目の前に先日オープンした女性用トイレWC1。美しさ、設備、サービスすべてが一級品ですが、入場料5ポンドとお値段も超一級。もちろんそれだけの価値はあり、トレーニングを受けたプロのスタッフによるハンド・マッサージ、さらにメイク・アドバイスという嬉しいサービスつき。生理用品、ソーイング・セット、ハブラシ・セット(各1ポンド)など、困ったときのお助けグッズも充実です。ゴージャスなのにリラックスした雰囲気が魅力の高級トイレ、仕事帰りにそのままお出掛けしたい時の駆け込み寺としても活躍してくれそう。

まずは肝心のトイレ設備。奥の自動ドアの向こうにあるホールに案内されると目に飛び込むのは、花が飾られピンクと白の色使いがとても可愛らしい個室の数々。もちろん塵1つなく、便器は「清掃済み」というカバーもついています。紙もふかふか!! 高級ホテルのような豪華な内装に、思わず必要以上に長く居座ってしまいたくなる……。使用後はすぐさまスタッフが個室を清掃するという徹底振り。
メイン・ホールに戻ってみれば「こちらへどうぞ」と美しい女性スタッフに案内され、ずらりと並ぶミラーの前へ。そしてハンド・マッサージが始まります。ブラジル出身だという彼女と世間話をしながらくつろいでいると、ここがロンドン随一のショッピング・ストリートだということを忘れてしまいそう。ちなみにハンド・マッサージの時間は10分と聞いていましたが、個人差があるようで私の場合は6分くらいだったかも? その後は、備え付けのコスメで好きにメイク直しをしてもいいし、スタッフによるメイク・アドバイスも受けられます。オリジナルのコスメやグッズは購入も出来ますが、押し売りのような雰囲気はまったくないので安心。ちなみに個人的なお薦めはリップ・バーム(1ポンド)。使いやすいサイズと柔らかいバラの香りが癖になる一品です。

ディレクターのエレインさんにミニ・インタビュー

買い物をしている時に、トイレが見つからなくて大変な思いをしたことがあって。それがこのコンセプトを思いついたきっかけです。でも、ここはただのトイレ以上の場所。地下のトリートメント・ルームを使って、今後はヘッド・マッサージや背中のマッサージも取り入れていこうと検討中なの。女の子って、たくさんのショッピング・バッグを抱えているから疲れるでしょう? パーティーの準備、待ち合わせ、休憩にメイク直しと様々な用途があるけれど、すべての女性に利用してもらえればって思うわ。


WC1
439−441 Oxford Street, London W1C 2PW
最寄駅: Bond Street
Tel: 020 7495 0229
月−土 8:00−21:00、日 12:00−18:00
www.wc1.co.uk


実は昔、公衆トイレだったんです(1)

閉鎖された公衆トイレを03年の秋にギャラリーとしてオープンさせた、その名も「トイレット・ギャラリー」。現代アーティストの作品発表の場として、密かな注目を集めています。壁にはギャラリーがオープンする際にテープ・カットを行った英国現代アーティストの大御所、ギルバート&ジョージのサインが。トイレだった頃の名残で個室や便器も残されたままですが、水道が通っていないので使用不可というのはちょっとした皮肉? 最新のエキシビジョン情報はギャラリーのウェブサイトを参照。


The Toilet Galley
151 Clarence Street, Kingston - Upon - Thames, Surrey KT1 1QT
最寄駅: ナショナル・レール Kingston(徒歩1分)
水−金 13:00−18:00、土 10:00−18:00、日 12:00−17:00 
www.toiletgallery.org
実は昔、公衆トイレだったんです(2)

元々はシェパーズ・ブッシュ駅前の公園の中にある公衆トイレ、その後スヌーカー・バーとなり、さらに今のスタイルへと落ち着いた会員制べニュー。薄暗い照明が照らし出す赤い内装が、怪しげでクールな雰囲気を醸し出しています。メンバーになるには受付で申込書に記入するだけと、とても簡単(申し込み時に写真つきIDを持参)。「Pay As You Go」メンバーは、本人+ゲスト最大4人まで有効で、イベント毎にエントリー・チャージを払うシステム。また年間60ポンドでコメディー・イベント以外はすべて入場無料という嬉しいフル・メンバー制度も。他にもフィルム・ナイトなど様々な企画があるので、ウェブサイトでチェック!


Ginglik
1 Shepherds Bush Green, London W12 8PH
最寄駅: Shepherds Bush(徒歩1分)
Tel: 020 8749 2310
www.ginglik.co.uk
トイレだって立派にデザイン!!

コンラン卿プロデュースによる現代プロダクト・デザインの宝庫、デザイン・ミュージアム。ここのトイレは他と一味違うんです。何と言ってもトイレの壁には、歴代の有名デザイナーの顔、顔、顔。女性トイレではミッドセンチュリー時代を代表するファニチャー・デザイナーのイームズ夫妻が、男性トイレでは「ボビーワゴン」のデザインで知られたイタリアの天才デザイナーであるジョエ・コロンボが出迎えてくれます。他にも英国出身の建築家アイリーン・グレイなど、知っていれば思わずニヤリとしそうな似顔絵が。トイレは1階のカフェ・スペースにあるので入場無料。人気のバトラーズ・ワーフを散歩する際にはぜひお立ち寄りを。


Design Museum
Shad Thames, London SE1 2YD
最寄駅: London Bridge(徒歩5分)
Tel: 0870 833 9955
日−月 10:00−17:45
www.designmuseum.org
 

癒しのアイルランドを訪ねて

癒しのアイルランド

ケルト文化の影響から神話や妖精などの不思議な話がいまだに語り継がれているアイルランドには、聖なる「パワー・スポット」が数多く存在します。今回は、3月17日に迎えるアイルランド最大の祭日セント・パトリック・デーを記念して、同国に点在する数多くの神秘の場所の中からお勧めのスポットをご紹介します。エメラルドの国、アイルランドで心のエステをしてみませんか。(池田マキ)

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アイルランドの地図

スピリチュアル度満点
神秘の国アイルランド

北大西洋上でまるで英国に寄り添うように位置するアイルランドは、人口400万人ほどの小さな国。一歩郊外に出れば緑が延々と続くのどかな農業王国です。近年は好景気に沸き、人々の生活の都市化も進んでいますが、現在でも国中の至るところに神聖なパワーの宿る「パワー・スポット」が手付かずの状態で点在しています。

5世紀頃にキリスト教への改宗が行われる前のアイルランドでは、ケルト人の土着宗教であるドルイド教の影響から、アイルランド神話にあるような太陽の神や大地の神などのケルトの神々や女神たち、そして自然の中に存在する妖精などの精霊などを自然崇拝していました。そのため、ケルト式礼拝などに使われた「聖なる礼拝のためのスポット」は、現在でも「パワー・スポット」として自然の中に残っていることが多いのです。

またキリスト教への改宗が行われた際に、多くのアイルランド人たちが自分たちの本来の自然礼拝を継続するために、あえて元々のドルイド式の聖なるスポットを、キリスト教の聖なるス ポットに形式的に置き換えた場合も多いということです。つまり、古代からの聖なるスポットが現在はキリスト教の教会などの宗教的地点となって親しまれていることもあるのです。

こうした聖なる「パワー・スポット」は、アイルランド政府が把握しているだけでも国内に5000以上点在すると言われており、今なおその場所にエネルギーを秘めています。

ダブリン・ツーリスト・インフォメーション
St Andrew's Church, Suffolk Street,
Dublin 2
Tel: +353 1 605 7700
http://www.discoverireland.ie/
ヘリテージ・オブ・アイルランド
Brúna Boinne Vistor Centre Donore,
Co Meath
Tel: +353 41 988 0300
http://www.heritageireland.ie/

1 古代アイルランドの政治の中心地
タラの丘 / Hill of Tara

セント・パトリックの銅像
タラの丘で布教を行ったと伝えられる、
アイルランドの守護神セント・パトリックの銅像

アイルランド最強のパワー・スポットとして知られている丘。古代アイルランドの時代には、このタラの丘は霊的な聖地、そして政治の中心地とされていた。アイルランド王の決定がこのタラの丘で行われていたと言われ、将来のアイルランド王になるべき人物がここに集められ、丘にそびえる「運命の石」を触った際に石が震えた人物をアイルランド王に選定したと言われています。

また、ここはその聖なるエネルギーから、妖精が姿を現すスポットとしても知られていて、この丘の近くにある「聖パトリックの泉(Holy Well)」の水は、聖なるパワーが宿った聖水として有名になっています。

5 月中旬〜9月中旬までの観光時期には、敷地内のビジター・センターがオープン。それ以外の時期でも敷地内の見学は自由なので、いつでも気軽に訪れることができます。丘の上からは、アイルランド全土の4分の3を見渡せるので、スピリチュアルに興味のない人でも、この絶景を見るために足を運ぶ価値大ありです。

聖なる泉聖なる泉聖なる泉

「聖なる泉」と書かれた看板(中央写真) の側では、水が湧き出ている(右)

ダブリンから送迎ツアー有り。
詳しくは、ダブリンのツーリスト・インフォメーションまで。
車で: ダブリンから約40分。ダブリンからN3でNavanに向かって北上し、Dunshaughlinという町を過ぎた後に左折。

2 神々とつながる聖なる儀式の場
巨人のテーブル / Poulnabrone Dolmen

巨人のテーブル約4000〜5000年前の新石器時代の古墳には、ドルメンと呼ばれる「石のテーブル」が数多く残されている。アイルランド国内には、300以上のドルメンが存在すると言われていて、日本の神社にある鳥居のように、スピリチュアルな世界への扉を意味しているそう。数多いアイルランドのドルメンの中でも、このアイルランド西部のBurrenにあるものは巨人のテーブルという愛称で親しまれていて、天と繋がるための最高のスポットとしても知られています。

車で:ダブリンからまずはN6でGalwayを目指し、
そこからN67でBallyvaughanへ向かう。
Ballyvaughanに着いたら、Carranを目指しR480を走っていると右手に見えてくる。ダブリンからは4時間。
Galwayからは、1時間ほど。

3 ユネスコの世界遺産にも登録
ニューグレンジ / Newgrange

アイルランドだけでなく、ヨーロッパの重要な遺跡としても挙げられるニューグレンジは、ユネスコの世界遺産にも登録されている巨大古墳です。

紀元前3200年に作られたというこの遺跡は、1年に1度冬至の日にだけ、入口から入り込んだ太陽光が曲がりくねった19メートルの通路を通り抜け、一番奥の墓室にまで射し込むように設計された不思議な建造物です。また、ニューグレンジは単なる死者の埋葬地ではなく、太陽の神、月の女神、豊穣の女神などに祈りを捧げるための聖なる儀式の場だったとも言われています。

現在では「Bruna Boinne Vistor Centre」が運営を管理していて、ガイド付きのツアーが楽しめます。このビジター・センターでは、ニューグレンジのみならず、「カレンダー・ストーン」という月のサイクルを記した石の遺跡のあるナウス(Knowth)の見学もできるので1日時間を取ってゆっくりと楽しみたいスポットです。

ニューグレンジニューグレンジニューグレンジ

ダブリンから送迎ツアー有り。
詳しくは、ダブリンのツーリスト・インフォメーションまで。
車で: ダブリンからN2で北上し、約40分ほど。ダブリン北のDroghedaという町から南東に向かってすぐ。

4 子宝に恵まれる石
ラビー・ストーン / Labby Stone

ラビー・ストーン有名なアイルランド神話であるダームットとグローニャの物語に登場するのがこの巨大なドルメンの石。神話ではこのドルメンの石の下で眠ったダームットとグローニャが子供を授かったということからも、このラビー・ストーンは子宝に恵まれる聖なるスポットとしても知られています。ダームットとグローニャはこの石の下で眠ったそうですが、現在ではこの石に触ることによって赤ちゃんを授かるパワーがあると言われています。

車で: ダブリンから車N4でSligo方面に北上し約2時間進み、その後Castlebaldwinという村に着いたら、Cromleach Lodgeというホテルを目指して、案内に沿って田舎道を進む。ホテル駐車場に着いたら車を停めて、ハイキング・コースを進みます。

5 強力なパワー・スポットの泉
キランの泉 / St. Kieran's Well

キランの泉キランの泉 聖なる泉と呼ばれるパワー・スポットはアイルランド中に数知れずあるけれど、最もパワーが強いのはこの聖キランの泉に違いない。小さな農村の田舎道沿いに突然出てくるこの泉は、現在はキリスト教の泉とされていますが、昔はドルイド教の聖なる儀式が行われたスポットとのこと。敷地内には、頭痛、歯痛、腰痛が癒されるという数種類の湧き水があり、そのパワーは8月の第1日曜日に最も強くなると言われています。

ダブリンからは、バスでKellsまで行き、
そこからタクシーで約20分。
車で: ダブリンからN3で北上し、Kellsへ向かう。KellsからR163でOldcastle方面へ。田舎道を走りCarnarossへ。そこからは小さな案内板に従って進む。ダブリンから約1時間半。

6 七不思議の奇跡の村
フォー・ ビレッジ / Fore Village

フォー・ ビレッジフォー・ ビレッジ時代から取り残されたようなForeという村の中にたたずむパワー・スポット。ほとんどが森の中に点在していますが、7世紀頃にキリスト教の聖人によって作られた教会の周辺には儀式のための聖なるスポットがあります。またここには「フォーの七不思議」と呼ばれている沸騰しない水や燃えない木などの奇跡の言い伝えが残っており、現在でも多くの人々が祈りを捧げにやってきます。木に色々な物が結び付けられているのは、アイルランドでは神木崇拝の文化の影響で、こうした「聖なる木」に白い布や紙などを結び付けて祈りを捧げるのです。

車で: ダブリンからN4でSligo方面に北上。
Mullingarに着いたらR394でFore Monastic Site方面に進む。
ダブリンから車で約1時間半。

エイデン・ストーリー

神秘の国アイルランドには、サイキックとして親しまれている占い師がたくさんいます。インタビューに応えて頂いたエイデン・ストーリーさんは、エンジェル・セラピー・プラクティショナーとして知られていて、アイルランドのみならず米国などでも人気があるサイキックです。今回は、エイデンさんにエンジェルや妖精についてお聞きしました。

Aidan Storey(エイデン・ストーリー)
ダブリン在住のサイキック(占い師)、エンジェル・セラピー・プラクティショナー。アイルランドのみならず、英国や米国にも根強いファンを持つ人気のサイキックで、常に3カ月先まで予約で一杯。勇気付けられるような優しい鑑定で、エンジェルや守護霊からのメッセージを伝えつつ、未来の方向性を示してくれます。
メール: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.aidanstorey.com

エイデンさんは、天使や妖精の世界を見ることができるそうですが、どのような感じなのでしょうか。

天使の世界の場合、もちろん目でも見えますが、天使からの声が聞こえることが多いと思います。もちろん、美しい愛に満ちた天使の世界を見せてくれることもありますが、視覚的に「見る」というよりもメッセージで伝えてくれることが一般的です。反対に妖精たちの世界は、とても視覚的だといえます。まるでおとぎの世界のような感じですね。

そういった世界が実際にどのように見えるのか、具体的に教えていただけますか。

私がよく目にするのは、まるで蛍のように光り輝く小さな生き物が、庭などの緑の中に飛び交っている様子です。妖精の存在などには興味のない私の姉が、私の家に遊びに来た際に夕暮れの庭先を眺めながら不思議そうに言ったのです。「庭に小さい灯があちこちにポツポツと見えるような気がするんだけれど、私の目がおかしいのかしら」と。私が笑いながら「それは妖精たちだよ」というと、姉はとても信じられないといった顔をしていましたが(笑)。そんな風に、妖精たちはよく姿を現します。妖精たちが庭に現れると、まるでそこの空気だけ周りと違う空間かのように、その辺りの空気が澄んで透明感があるように見えます。そして彼らのいたずらっぽい笑い声なども聞こえることがあります。

妖精を見るためのスポットなどはありますか。

自然さえあれば、妖精を見ることができます。部屋の中に飾った植木鉢にも妖精はいるのです。でも妖精が見えやすいスポットというのはあります。例えば、パワー・スポットなどの聖なる場所では、妖精も見えやすいですね。ダブリンの近くならタラの丘など、朝早くや夕暮れ時などに現れやすいようです。

妖精を見るための秘訣などはありますか。

妖精は自然の精霊ですから、オープン・マインドで心の中で自然に語りかけたり、植物の手入れをしたりしていると、ある日突然妖精が視界に入ってくることがあるでしょう。キラキラしたものが飛んでいたり、灯のようなものが飛んでいるように感じるのなら、それが妖精だと思っていいでしょう。

エイデンさんに鑑定してもらいました!
体験者: Iさん
エイデンさんに観てもらったのは、約10カ月ほど前です。主に仕事のこと、恋愛のことなどを観てもらったのですが、その時には、言われたことで「当たってる!」とピンとくることは全くありませんでした。しかしその翌日に、エイデンに言われた通りの仕事のオファーが舞い込んできたのです。この仕事は自分の専門とは異なる分野の仕事で、自分では全く予測できないような内容だったので驚きでした。仕事面では、その後も何もかもといっても過言ではないほど、エイデンに言われた通りになっています。恋愛面では当分動きはなくて、2007年の4月と8月に何かがあると言われましたが、こればかりはまだ未来のことなので……。どんなことがあるのか楽しみです。

手が全てを語っている
エスナ・サンプル
Eithne Semple

話をするよりも手を観ただけですぐに全てがわかるというのは、今年80歳になるエスナおばあちゃん。人の手相からその死までも見通してしまう彼女は、一時期は手相を鑑定するのが辛くて止めていた時期もあったそう。でも、病気を事前に察知して予防のためのアドバイスを与えることもできるということに気付き、それからはまた手相を観るようになったのだとか。とにかく、驚くほど当たります!

パトリシア・マーフィ伝統的なサイキック
パトリシア・マーフィ
Patricia Murphy

ダブリンの街中に店を構えるサイキックの中でも、特にお勧めなのがパトリシアさん。アイルランドの伝統的サイキックの彼女は、手相、タロットカードなど様々な鑑定に熟練していて、希望の鑑定法を選んで観てもらえる。何も話さなくて、いきなり彼女が的確に要点を伝えてくれるという方式なので、鑑定時間は短くても満足すること間違いなし。

おすすめホテル

Devondell B&Bアイリッシュらしさ満点!
Devondell B&B

Galwayの街中から徒歩圏にあるこのB&Bは、チャーミングな女主人、バーナが作る美味しくヘルシーな朝食がご自慢。毎年彼女の宿を訪れるというファンが世界中にいるほどの人気を誇っている。昔ながらのアイリッシュ・ホスピタリティを満喫するには最適の宿。

47 Devon Park, Salthill, Co. Galway
Tel: +353 91 528 306
*春〜晩秋まで営業
www.iol.ie/%7Edevondel

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パワースポット至近の料理宿
The Station House Hotel

The Station House Hotel

タラの丘に程近いこのホテルは、もともとあった鉄道の駅を改造して作られた家族経営のフレンドリーな宿。田舎っぽくて温かいホスピタリティと美味しい料理に心が癒されるよう。可愛らしい庭園もあるロマンティックな環境なので、カップルや女性におすすめ。

Kilmessan, Co. Meath
Tel: +353 46 902 5239
http://www.stationhousehotel.ie

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Marble Hall B&Bダブリンの定宿に!
Marble Hall B&B

ダブリン市街の住宅地にある宿。ホテルなどのサービスをチェックする機関で働いていたという女主人のシーラが切り盛りしているので、かゆい所に届くサービスが期待できる。部屋数の少 ない小さな宿だけれど、アフタヌーン・ティー、美味しい朝食などリーズナブルに最高のもてなしをエンジョイできる。清潔でとても綺麗な部屋もポイントが高い。

81 Marlborough Road, Donnybrook, Dublin 4
Tel: +353 1 497 7350
*春~晩秋まで営業
homepage.eircom.net/~marblehall

おすすめカフェ・レストラン

Avoca Cafe味もボリュームも満点
Avoca Cafe

アイルランドに昔からある毛織物のお店が始めたカフェ。1号店が出来たのは約10年前のことだけれど、今ではアイルランド国内8カ所に支店を構える人気店に成長した。自然でヘルシー、そ して当たり前だけれど美味しいのが人気の秘密。スイーツもインテリアもとても可愛らしく、特に女性に大人気のカフェです。ダブリン市内、そして郊外にも支店有。

ダブリン市街店: 11-13 Suffolk Street, Dublin 2
Tel: +353 1 677 4215
www.avoca.ie

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アイルランドらしさにこだわる
O'Connell's Restaurant

O'Connell's Restaurant

この店のこだわりは、なんと言ってもアイルランドらしさ。アイルランドの伝統料理に精通したシェフがシンプルな調理法と新鮮な食材を用いて作り出す料理は、ヘルシーでボリューム満点。食材の風味も生きていて本当に美味しい。リーズナブルでカジュアルなのに味は一流店にも負けず劣らず。ぜひお試しを!

Bewleys Hotel Merrion Road, Dublin 4
Tel: +353 1 647 3304
oconnellsrestaurant.com

アイリッシュ・ブレックファストアイリッシュ・ブレックファスト
アイルランドではどこの宿に泊まっても、ものすごいボリュームの朝食がでてくる。フルーツに始まり、シリアル、ヨーグルト、ハム、スモーク・サーモン、そして最後にベーコンや卵などがてんこ盛りになった温かいメイン料理がでてくるのだから、まるでコース料理!普通の胃袋にはなかなか過酷だが、これはもともと農業などの肉体労働の仕事に備え、1日の始まりにしっかり食べる習慣の名残だという。こんな朝食を食べたらランチは不要かも?

*本文は掲載当時のものです。

 

イアン・ダンカン・スミス議員 インタビュー

イアン・ダンカン・スミス議員 インタビュー

これまで約10年間にわたって労働党政権を率いてきたブレア首相が1年以内に辞任する意思を昨年9月に表明して以来、英国の政治情勢が大きく変わろうとしている。後に英国政治史の過渡期と記されるであろうこの時期に本誌との単独インタビューに応じてくれたのが、かつてブレア首相のライバルとして君臨したイアン・ダンカン・スミス元保守党党首。実は日本人の祖先を持つという意外な過去を持つ同議員に、ブレア政権の功罪から保守党の展望、そして日英外交の比較まで国会議事堂内の議員室で話を聞いた。(取材・文: 長野 雅俊、写真: 赤塚 麻衣子)


「ビッグ・ベン」の愛称で知られる時計台と共に、英国議会政治の象徴としてそびえ立つ国会議事堂。ゴシック建築独特の高い屋根と重厚な装飾に彩られた内部で迎えてくれた秘書に連れられエレベーターで上階へと赴くと、議員室に案内された。そこで待っていたのが、部屋の奥にある机の前に立ちながら電話をしていたイアン・ダンカン・スミス議員。まだ話し中にも関わらず、「やあ」と独特のダミ声を張り上げてこちらに手を振ってくれた。会話を終え受話器を置くと、「ニュースダイジェストってどんな新聞なんだ?」「君は英国にずっと住みたいと思うか」などと興味津々に質問を投げ掛けてきたので、元党首にしては随分と気さくなんだな、というのが第一印象。取りとめのない会話が一段落すると、我々には接客用のソファに腰を落ち着けるよう促し、続いて自身も反対側の席に勢いよく座り込む。そして早速インタビューが始まった。


イアン・ダンカン・スミス

一一 ダンカン議員の祖々母が日本人と聞きました。また19世紀に活躍したアイルランドの著名作家ジョージ・バーナード・ショーが祖先だとも。興味深い家系ですね。

祖先については物心ついた時から色々と聞いていました。確かショーという名前の祖々父が、船員として19世紀半ばに英国からタイや中国などのアジア諸国へと旅していたのです。やがて彼が南京と呼ばれる場所に落ち着き、そこで私の祖々母にあたる日本人女性と出会った。祖々父の最初の奥さんは既に亡くなっていて、2度目の結婚でした。

一一 自分に日本人の血が流れているという事実は政治活動に役立ちますか。かつて自分の血筋を例に挙げて多文化主義をアピールしていたようですが。

へえ。そんなことを言った覚えはないですけどね。(過去の新聞記事を見て)本当だ。いや、インタビューを今までの人生の中で何本もやり過ぎていて、1つ1つの発言まで覚えていないので。ただ別に極秘情報ではないので、機会があれば自分のルーツについては思い付くままに色々と話しているのかもしれませんね。

一一 2003年11月に党首の座を降りてからもう3年以上経ちましたが、現在はどのような活動を行っていますか。また典型的な1日のスケジュールを教えてください。

私の現在の政治活動は大きく分けて2つ。まずは社会正義をテーマとした研究を行うシンクタンク「The Centre for Social Justice」の設立者として、同組織を運営していくこと。もう1つは「Social Justice Policy Group」と呼ばれるデービッド・キャメロン現保守党党首が発足させた機構で議長を務めています。こちらは保守党議員としての活動で、英国社会における貧困問題などのテーマを中心に取り組んでいますね。私にとって「典型的な1日」なんて存在しない。週7日にわたって各関係者との会議、街頭演説、国会での討議など激務に追われています。

一一 ダンカン議員は政治活動を行う際、よく「社会正義」という言葉を掲げていますね。数ある政治・社会テーマの中で、社会正義を強調するのはなぜですか。また貧困問題の解決に向けても取り組んでいると仰いましたが、企業活動の促進が主目的であるようなイメージを持つ保守党を率いてきたあなたが言うと、何だか皮肉に聞こえてしまいますね。

まず「上流階級=保守党」「庶民=労働党」といった構図はあくまでもステレオタイプです。次に現代の英国では貧困に関連した諸事情、例えばアルコール中毒、低年齢での妊娠、失業などの問題が山積みなのです。このまま何も手を打たなければあと10年もしないうちにこの国をコントロールすることなどできなくなるでしょう。これらの問題に対処しようとする際、社会正義が論点となります。都市では既に自然発生的な共同体が崩壊してしまっている。一方で政府が大きな権限を振るう福祉国家への需要も減っている。そこで異なる背景を持つ市民たちが皆で一致団結して協力し合うだけの下地、つまり社会正義が必要になるのです。

一一 それではあなたにとって「完璧な世界」とは? 社会正義に溢れた世界でしょうか。

「完璧な世界」ですか。考えたこともないですね。人々がお互いに関わり合える世界でしょうか。すなわち国家と国家が関わり合える世界。そして変化を受け入れることができる社会。完璧に作り上げられても変化がない世界なんて、きっと退屈でしょうからね。後は対立を安易に武力で解決しようとしない社会。言い訳せずに自分の行動に責任を持つ社会。そんな所でしょうか。

イアン・ダンカン・スミス

一一 その他の政策面について話すと、ダンカン議員はユーロ導入に対しての懐疑派として知られています。1990年代に首相だったユーロ導入派のジョン・メージャー保守党党首(当時)と対立する造反組として有名でしたものね。

ええ。今でも考え方は基本的には同じです。超国家なんて要らない。EUに正統性などない。中央集権化にかかるコストも莫大なものです。ユーロ導入が取り沙汰され始めた当時は、皆国家の統一という幻想に酔っていた。でも誤解だったのです。また相手が自党の党首だろうと何だろうと、主張すべき時には主張するのが政治家の任務であり、当然の仕事です。別にメージャー元首相の人格そのものを否定したわけではない。あくまで政策論における対立でしたから。

一一 私の母国の話になりますが、経済政策において日本は今、転換点を迎えています。市場の自由化が進み、規制が取り払われていく一方で、「勝ち組」と「負け組」に分かれてやがては英国のような階級社会に移行しつつあるとの批判も出ています。

部屋
赤いじゅうたんが敷かれた議員室の窓のすぐ下には、 テムズ河が流れていた

だからこそ「社会正義」の概念が必要なのです。まず、貧しい人を救っていくだけの富を得るために自由市場は必要です。でもそれだけでは社会は成り立たない。そこで社会正義という概念が上手く機能することで、市場自由主義から生まれる過当競争という負の部分を和らげることができる。あと英国が階級社会であるとの意見には賛成できないですね。現代の我が国では、才能とかやる気といったもので人は評価されていると信じています。

一一 日本では米国との関係の保ち方についてもよく論じられています。

それは英国でも最もよく取り上げられるテーマです。私の考えでは、英国は米国と良き友人であり続けるべきでしょう。そして彼らの意見を聞き、時には修正を促す必要がある。歴史的、文化的な背景から、英米関係は特別な意味を持っています。これ以上強く深い2国関係はあり得ない。そういった意味では、多くの批判を受けながらも親米的なスタンスを取り続けるブレア首相の考え方は理解できます。

一一 2003年まで保守党党首を務めていらっしゃいましたね。党首に就任されている間は随分とメディアに叩かれて、最後は保守党内の信任投票に敗れた末に辞任という結末を迎えました。当時はどんなお気持ちを抱えて毎日を過ごしていましたか。

そう、私はかつて保守党の党首だったのです。 一番偉かったんです!(笑) 今はもう違いますけどね。当時は私の妻に関するデタラメをメディアに書き立てられました。気持ち良いものではないけれど、慣れてしまうものです。私が重圧に押しつぶされるような人間に見えますか。社会正義を広めて、英国をもっとより良い国にしようという思いが今でも私を駆り立てています。

一一 党首時代、どうして国民や保守党党員の支援を取り付けられなかったのでしょうか。

非常に難しい時期でした。党首就任直後に米国で同時多発テロが勃発し、以後はアフガニスタン、イラク問題に振り回っされぱなし。さらにブレア首相も人気絶頂の頃でした。野党党首が成功するには運も必要です。与党の人気に左右される部分がありますから。そういった意味では、ブレア首相の人気が凋落している今は保守党のチャンスですね。今や誰も政府の言うことを信じないですし。

一一 ブレア首相への支持が低下したのは、多くのメディアが報じているようにイラク政策の失敗が大きな理由だとお考えですか。

イラク問題に限って言えば、ブレア首相に対してある程度は同情を感じます。というのも、彼が決断したイラク制圧という行動自体には問題はなかったと思うから。ただ「大量破壊兵器を保持しているから」という大義が良くなかった。あんな嘘をついていなければ、現在の状況は随分変わっていたと思います。

イアン・ダンカン・スミス

一一 翻って、保守党のキャメロン党首についてはどのような印象をお持ちですか。保守党の先輩から見て、特筆すべき長所や短所などありますか。

彼のことは昔からよく知っています。まず何よりもフレッシュなイメージを持っている。アイデアにも富んでいる。社会正義にも関心を払っている。今のところは言うことはないですね。彼の短所? そんなもの知っていても教えません(笑)。

一一「フレッシュなイメージ」「甘いマスク」などのように、人々が語るキャメロン党首についての好意的な評価のほとんどが、政策とは何の関係もありません。一般市民は彼の政策になんて興味がないのでは、とも思うのですが・・・・・・。

確かに政治の形態が変わってきているのかもしれません。しかし一般市民の政治に対する態度というより、人々が政治家を判断するための情報を十分に与えられていないことにむしろ問題があるのです。例を挙げるならば、今世界で最も成功している保守系の政治家といえばオーストラリアのジョン・ハワード首相でしょう。彼はいつも時代遅れのスーツを着ている。演説に適したよく通る声を持っているわけでもない。はっきり言って、第一印象は及第点以下です。でも彼は既に4期も首相を務めるほど国民に信頼されている。オーストラリアの有権者たちは見てくれだけでなく、政治家がいかに市民の懸念や関心を共有しているかを判断するだけの材料を持っているからです。

一一 最後に1つ質問です。保守党はまた与党の座を奪い返すことができると思いますか。

政治の世界で予想は禁物ですよ。次の総選挙が行われるまでにはまだ時間があり、政治情勢もさらに変化していくと思うので。ただ労働党が弱体化していることは確かなので、少なくとも2005年に行われた総選挙よりは有利に政治活動を進めることができるでしょう。


ダンカン議員
主宰するシンクタンク「The Centre for Social Justice」の会議で議長を務めるダンカン氏

取材班は後日、ダンカン議員が主宰するシンクタンク「The Centre for Social Justice」の会議へ招待された。この会議にはかつてブレア首相と対立し電撃的な辞任劇を繰り広げたクレア・ショート元労働党議員、チャールズ・ケネディ元自民党党首、「イーストエンダーズ」などのドラマに出演していた女優のパッツィ・パーマーなどを始めとする著名人が出席し、社会正義の必要性を訴える演説を行っていた。他党の実力者を含むこれら各界の著名人との関係を構築し、当日は議長として会議全体をまとめあげていたのがダンカン議員。政治家は閣僚ポストを退いてから本当の価値が分かるというが、保守党党首の座を降りた今でも精力的な活動を展開する彼の政治家としての意思は、本物であろう。ブレア首相が辞任していくに伴い英国政治が変動していく中で、彼の存在に再びスポットライトが当てられる日がまた来るのかもしれない。

イアン・ダンカン・スミス保守党議員 プロフィール
イアン・ダンカン・スミスIain Duncan Smith - 1954年4月9日生まれ、エディンバラ出身。2001年9月12日から保守党党首。2003年10月29日に行われた信任投票に敗れ8日後に党首の座を明け渡す。2005年12月7日、デービッド・キャメロン保守党党首に任命され「Social Justice Policy Group」議長に。保守党党首時代は痛烈な批判にも全く動じないことから「Quiet Man」などのニックネームで親しまれた。
 

初心者によるドッグ・レース潜入レポート

ドッグ・レース潜入レポート

 

「ギャンブル」。私たち日本人がこの言葉を聞くと、何となく違法? というか悪いイメージを感じてしまうもの。でもここ英国では一定の規定の下、競馬、カジノ、ブックメーカーなど、さまざまなギャンブルを健全に楽しんでいる人々がいっぱい。そう、英国は知る人ぞ知るギャンブル王国なのだ。今回はその中でも日本人には馴染みの薄いドック・レースに注目。また階級意識の残る英国ならではの古今東西ギャンブル事情もご覧あれ。(本誌編集部: 村上 祥子)


ドッグ・レースとは

競馬と同じように、犬を競争させてその順位を競うレース。まずはトラックの1番外枠に設けられたレール上に取り付けられたルアー(疑似餌。通常ウサギのぬいぐるみやニンジン)が動き出し、それを競争犬たちが一斉に追いかけていく。客は単勝、複勝などを予想し(詳細は本文参照)、犬券を購入。レース結果により配当金が出るという仕組みだ。通常ドッグ・レースで使われるのはグレイハウンド犬。小顔で無駄の一切ない筋肉質な体、細く長い足を持つグレイハウンドはまさに「生まれながらのレース犬」(ポールさん談)だ。


いざ、ウォルサムストウ・グレイハウンド・レーシング・スタジアムへ!

ロンドン北東部ウォルサムストウ。地下鉄のウォルサムストウ・セントラル駅からバスで15分ほど行くと、何もない暗闇の中に突如派手なネオンに彩られたドッグ・レース場、ウォルサムストウ・グレイハウンド・レーシング・スタジアムが見えてくる。思ったより小さめで地味な入り口には、いかにも常連という雰囲気の中高年男性たちが1人また1人と集まってくる。「やっぱりディープな感じ……」と恐る恐る近付くと、係員に「ここから入ると入場料は安いけれども、レースの様子は見にくいし、レストランやバーにも行けないよ」と教えられる。そう、ここは一般客ではなく、いわゆる常連専用の入り口だったのだ。入場料は安いものの、スタート/ゴール・ラインから離れた席で、レストランなどの施設を利用することはできない。改めてレース場左手にあるメインの入り口に行くと、カップルや20〜30代の男女グループなどが楽しそうに語らっているのが目に付いた。両入口の雰囲気の違いに英国らしさを感じつつ、いよいよスタジアムへ。6ポンドを払うと、チケット代わりとなるプログラムを手渡される。

レース場はトラックを四方に囲むように観客席やレストランなどの建物が並んでいる感じ。正面から見て右手は常連が集う「Popular Enclosure」で、観客席以外はほとんど何もなく、左手の「Main Enclosure」にレストラン、バーなどの各施設が揃っている。外に出ると、競馬場をそのまま小さくしたようなかわいらしいトラックと観客席、そして予想屋の屋台が並ぶ。とはいえ冬の寒い最中。外の観客席で観戦しようという人はほとんどいない。

観客の大部分が集まるのは2階、または3階にあるレストランやバー。すっきりとしていて清潔感のある店内は、暖かくて居心地も抜群。ガラス越しにトラックもよく見えるし、店内の至るところにモニターも置かれているから、くつろぎながらレース観戦を楽しむことができる。

今回私たちが陣取ったのは、1番人気だという「Stowaway Bar & Stowaway Restaurant」内のテーブル。ここで人生初のギャンブルにチャレンジだ。






高級感溢れるレストラン。ここでは店員が賭けの注文を取ってくれる(?)ので、わざわざレースごとに犬券を買いに行く必要もない。6週間前には予約が必要というほど土曜日には大混雑だそう。




一流クラブと見紛うばかりのVIPスペース。2つのボックスに分かれていて、各スペースを貸し切ってレース観戦を楽しむ。主に企業の接待に使われるゴージャスな場所だ。




1階にポツンとある小さなカフェ。トラックには面していないので、観戦には適していないと思いきや、常連っぽいおじさんたちがモニターとパンフレットを見つつ、ひたすら賭けに興じている。ここには何やら真剣な雰囲気が……。




広々としたバー & レストランは、最も多くの人たちが集まる場所。チケット売り場も設置されている。お酒の種類は豊富だが、レストランにはホット・ドッグ、フィッシュ・アンド・チップスなど数種類しか置かれていないのがちょっと寂しい……。




屋台ごとに賭け金や配当が異なるので要注意。以前はトラックの隅から隅まで並んでいたらしいが、今ではゴール付近に数人いるだけ。




寒いのでさすがに人の姿もまばら。




ゲートは2カ所。レースの距離によって場所が変わる。




レース犬たちの小屋。冬場は寒いので、ここから出てきてスタートするまでの間は暖かそうなコート(?)を着ている。


スタジアムPR、ポール・ウィンさんに聞く

このウォルサムストウ・スタジアムは1933年にオープンした老舗のドッグ・レース場。規模も英国最大級、いえヨーロッパでも指折りのスケールの大きさです。とは言っても英国以外、ヨーロッパにドッグ・レース場はそれほどありませんけどね(笑)。レースに使われているのはすべてグレイハウンド。その他1年に1回、チャリティー・イベントを開催しています。過去にはグレイハウンドの小型版とも言えるウィペットや、アフガン・ハウンドを使ったレース、近年ではポニー(ジョッキー付)・レースもやりました。

50〜70年代、ドッグ・レースはギャンブルの要素が非常に強かった。でも80年代に入ってからブックメーカーが進出し、さらに最近ではオンライン・ギャンブルの影響もあってギャンブル以外の部分に力を入れるようになりました。レストランや企業用ボックス・シートをつくり、エンターテイメントとしてのドッグ・レースへと変化してきたのです。今ではギャンブルそのものよりも、レストランなどの収益が収入の大部分を占めています。

その昔、競馬に行く経済的余裕のない労働者階級の男性が楽しむギャンブルというイメージが強かったドッグ・レースですが、今では学生からビジネスマンまで、様々な人たちが気軽に楽しむスポーツとなっています。ブラッド・ピットやクラウディア・シファーなど、有名人も数多く訪れているんですよ。

Walthamstow Stadium
住所: Chingford Road, London E4 8SJ
Tel: 020 8498 3300
E-mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
入場料: Main Enclosure: 6ポンド(月、金は無料)
Popular Enclosure: 1ポンド(月、金休み、土は3ポンド)





19時45分。さあ、いよいよレース開始だ。ちなみにレース場は月、火、木、金、土曜日オープン。火、木、土は18時30分開場、19時45分レース開始(土のみ19時30分)で、月曜日は13時15分開場、14時18分開始。金曜日は10時30分開場、11時11分開始となっている。最終レースまでの約3時間で計13〜14レースが十数分置きに行われる。通常、このレース場で行われるのはグレイハウンドの6頭立てレースのみ。中にはハードル・レースもあるのが驚きだ。

曜日別、客層の違い
労働者階級の男性が多かった昔と比べ、今では様々な人たちがレースを楽しんでいます。と言っても曜日によってその客層にはかなりの違いがありますね。火曜日の夜(平均400〜700人)にはグレイハウンドを知り尽くしたコアなファンが多くて、木曜日の夜(平均750〜1000人)にはビジネスマンが多いです。彼らは接待などでボックス・シートを借り切って優雅に観戦を楽しんでいますよ。週末は家族と過ごすもの、というポリシーを持っているから、木曜日になるんでしょう。初心者の方にお勧めなのはやっぱり土曜日(平均1800〜2500人)。20〜30代の若い世代の方たちがぐっと多くなるし、パーティーなども開かれて、とても楽しい雰囲気になるんです。



賭け事と名の付くものは一切やったことのない私たち2人。まずはパンフレットを見て勉強をすることに。ポールさんに簡単な見方を教わる。レースごとに6頭の犬たちの名前、過去数レースの順位とタイム、そして各ページの左上にはレースのレベルも記されている。数字が少ないレースほどタイムの速い犬が揃っているのだとか。観客はこのパンフレットをにらみつつ、トラックを試し走りする犬を眺めて賭け方を検討する。

「良い犬」の見極め方ってあるの?
これは難しい質問ですね。僕はこのレース場で3年間働いていますが、未だに勝ち犬を当てることはできません。人によって基準は色々。犬の体型を見て決める人もいれば、レース直前の走りを見て決める人もいます。極端な話、犬の名前で選ぶ人だっているくらいですからね!



賭ける犬を決めたら今度は実際にチケットを購入。チケットの購入方法は2通りある。1つは「Tote Betting」というレース場正規の窓口で買う方法。そしてもう1つがトラック前に陣取っている予想屋から購入する方法だ。予想屋の場合は賭け金や配当が定まっていないし、最低賭け金が5ポンドからと高めだったので、初心者としては前者を利用することにする。ちなみにTote Bettingでの最低賭け金は20ペンス。重くなった小銭を減らす感覚でレースに参加できるのが嬉しい。

トラックに置かれている巨大掲示板や至るところに設置されているモニターを見て、刻一刻と変化するオッズをチェック。上図を例にとってみると、第4レースの1番人気は2の犬。この時点では「ウィン」で10ペンス賭けると配当金が21ペンスになるという具合だ。

初心者があまり色々考えていても仕方がない、ということでまずは「ウィン」に挑戦。私は過去のタイムを見て速そうな4の犬、バリニール・ライトを、もう1人は自分のラッキー・ナンバー3の犬、スパルタ・マスターを選ぶことに。ちまちまと50ペンスずつ賭ける。

チケットの種類
ここでチケットの種類をご説明。
「Win」(単勝): 1着になる犬を予想する
「Place」(複勝): 1着または2着になる犬を予想する
「Forecast」(連勝単式): 1着と2着の犬を順番も含めて予想する
「Reverse Forecast」(連勝複式): 1着と2着の犬を順不同で予想する
「Trifecta」(3連勝単式): 1、2、3着の犬を順番も含めて予想する



そしてレース開始。直前になるとレストラン内の照明が消え、それまでビール片手にテーブルで語らっていた人たちがいきなり立ち上がり、一斉にレース場に向かって体を乗り出す。トラックではまず1番外枠のルアーが動き出し、それを追いかけるように犬たちが一斉に走り出す。まるでヒョウのようにしなやかなフォルムで走る犬たちは軽やかで美しい。一方レストラン内ではギャーギャー雄叫びを上げ、観客たちが盛り上がっている。男性よりも若い女性の叫び声が耳につくのが面白い。「カモーン!」「ヘイヘイヘイ!」先ほどまでの静けさはどこへやら。ここがギャンブル場なのだということを実感する。レースは平均475メートル。小さいトラックを1周半弱だから、あっという間に終わってしまう。トップの犬がゴールした瞬間、「Yeah! Win!!」やら「Oh my god…」やら悲喜こもごもの声が場内を埋め尽くし、レースが終了。これが1日10数回、繰り返されるわけだ。

ちなみに私たちの結果はというと……。一応タイムなどをチェックして購入した4はコーナーで他犬に接触後失速。しかしラッキー・ナンバーを元に選んだ3の犬が圧倒的な強さを見せて1着になった。やはりデータは当てにならないのか。



50ペンスとはいえ勝利は勝利、とにかく換金だといそいそとTote Bettingへ。チケット購入だけではなく、現金を受け取るのもこの窓口だ。チケットを渡すとジャラジャラとコインを渡される。50ペンスが2ポンド75ペンスへ。もう少し賭けておくんだったとちょっと後悔しつつも、喜びを隠し切れない私たちなのであった。その後もう1レース、今度は「リバース・フォーキャスト」にチャレンジしたもののあえなく敗退。やはりビギナーズ・ラックは1回切りだった……。

特別な夜をレース場で!

最近では大人数のグループでの誕生日パーティーやヘン/スタッグ・ナイトを「Stowaway Bar Stowaway Restaurant」で行う人も多いのだとか。誕生日の場合はレースを買う(?)ことも可能。プログラムに「Happy Birthday ○○」と記載され、レース終了後は犬たちとの記念撮影もできる。取材当日もモニターに「Happy Birthday Mum! From ○○」などのメッセージがしょっちゅう流れていた。こんなユニークで楽しいプレゼントを贈られたらちょっと嬉しいかも!?



リタイア後の犬はどうなる?


動物愛護団体からは、リタイア後のレース犬に対する扱いで批判されることもあるドッグ・レース。ここウォルサムストウ・スタジアムでは、リタイア後の犬に里親を見つけるエージェンシーと提携を結んでいる。もともと温厚な性格で順応性も高いというグレイハウンドは飼い犬としても適しているのだとか。興味がある人はwww.wsgreyhound.co.uk をチェックしてみて。

 

人生初のギャンブル体験。おまけに以前は「上流階級の競馬、労働者階級のドッグ・レース」と言われていたうちの「ディープ」な方のギャンブルにチャレンジということで、レース場に向かう時には女性2人でドキドキしていたのだが、そんな私たちを迎えてくれたのは清潔感漂う近代的な施設としなやかな体躯を持つ賢そうな犬たちだった。ブックメーカーやインターネットという新しい波に揉まれて、その存在意義を変えつつあるドッグ・レース。常連らしき年配の男性たちが熱心にパンフレットを眺める姿と、イベントとして大勢で笑い騒ぐ若者たちの楽しげな姿に、現代英国のギャンブル模様を垣間見た1日だった。

 





隠れギャンブル王国の英国。でもさすがは英国人、「英国らしさ」は忘れない。ジェントルマンのたしなみ、「紳士クラブ」から近い将来誕生する「スーパーカジノ」まで、英国情緒漂うギャンブル模様をざっとご紹介しよう。


英国全土、誰もが気軽にギャンブルを楽しめる場所、それが政府公認の賭け元「ブックメーカー」、通称「ブッキー」だ。とにかく高級住宅地であろうと少なくとも1軒はあると言えるほど至るところにあるこのブッキー、「ウィリアム・ヒル」や「ラドブロークス」などの有名チェーンなどは見た目も小奇麗でパッと見は銀行にも見えなくもない。生真面目そうに見える英国人だが、実は世界でも類を見ないほどの賭け事好き。ブッキーには平日の昼間でも賭け事に精を出す人々が常にいっぱいだ。とはいえやっぱり堅実な国民性を反映してか、その楽しみ方は地味。賭けの対象は日常生活におけるありとあらゆる事象。サッカーや競馬はもちろんのこと、リアリティー番組の勝者が誰になるか、クリスマスには雪が降るか、などというのまでが取り上げられるのがある意味すごい(何といっても元手がタダ!)。賭け金は最低25ペンス前後。物価高の英国、25ペンスで買えるものなど他にあるだろうか?

ここまでお気軽に楽しめてしまうと、誰も彼もがギャンブルにはまってしまうのでは、と他人事ながら不安に感じてしまうというもの。実際、ブックメーカーでは政府から受け取った失業手当を元手にギャンブルを楽しむ失業者の姿も目に付く。そこで政府が考えたのは、ブックメーカーの廃止、ではなくギャンブル依存者救済キャンペーン。ギャンブルを推進する一方で、依存者に対してはギャンブルの悪を説き、カウンセリングを受けるよう必死に訴えかける。タバコのケースに「Smoking Kills」表示を義務付けるのにも似た政府の苦肉の策に、ギャンブルに対する人間の飽くなき欲望を感じずにはいられない。


店に入ると、平日のお昼にも拘らず、賭け事に勤しむ大勢の男性の姿が。何せ何も分からない初心者のため、しばし観察してみることにした。競馬やドッグ・レース、サッカーなどのスポーツ関連、「ビッグ・ブラザー」などのリアリティー番組や政治家などの有名人関連を窓口で、その他ポーカーやルーレットなどのゲーム関連をマシンでやるのが定番らしい。
さあいよいよ挑戦だ、と今度は窓口で質問攻めにする。窓口の男性はとてもフレンドリーで、賭け方や種類、賭け率などを詳しく説明してくれた。「どれかすぐ結果が分かるものをやってみたいんだけど」と伝えると、ホース・レースを勧められた。大きなレースだと事前に買う人もいるが、大体みんな当日になって馬の調子や様子を見て買うらしい。
そして、ついに馬を選ぶときが来た。うーん……。勝率とかで決めるべき? でもここは一つ名前で決めてみよう。そう思った私は「Sound of Cheer」を選択。何か縁起が良さそうな良い名前だったから。実際に競馬が始まると3分もしないうちに終了。私は結局Cheerを上げることなく終わった。でもおじちゃんたちと一緒になって行く末を見守っていた自分は、すっかりその場に馴染んでいた。みんな1人でやって来ているのだけれど、自分が賭けた馬が負けた時の「Oh my god」の言い合いには、ちょっとした仲間意識が垣間見える。実際に競馬場に行ってみたら上流階級の雰囲気を味わえそうだけれど、巷に溢れたブックメーカーに行ってみるのも英国ならでは、なのかもしれない。


常連のおじさんにインタビュー

ここには毎日来ているよ。賭け事が好きかって? そりゃ好きだから来てるんだよ。賭け事をやっていると時間が経つのがあっという間なんだ。え? 成功した例なんて教えられないよ、今日の運が逃げるからね。何と言っても毎日できる競馬が1番。サッカーなんて俺はやらないね。やり方が分からないって? 簡単だよ、好きな馬の番号を紙に書いてお金を払えばいいんだから。お金をいくら払うかは自分のポケットのお金次第さ。25ペンスだって2000ポンドだってかまいやしない。安いのでやってみたらいいよ。でも稼ぎたい時には勝負をしないと。あー、ほら俺の馬はまた負けたよ。何てこった! 今日はまだ勝ってないんだ……。



今、賭けてみるならこれ!?

あなたも審査員気分になれる
第79回アカデミー賞結果予想
2月25日に行われる第79回アカデミー賞の発表に向けて、ブックメーカーでも同賞の作品賞ノミネート作品をラインアップ。授賞式の前日24日の正午まで受付中だ。オスカー像を手にするのは誰か、審査員になった気分で真剣に選んでみては? ブックメーカーの倍率では、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」が5作品中4位。助演女優賞でノミネートされている菊池凛子の出演作「バベル」は3位。日本人としてはどちらの行く末も気になるところだ。もしそのどちらかに賭けて予想が的中すれば、彼らもハッピーだが自分もハッピーになれること間違いナシ。



円のレートを常にチェック!
為替の動き予想
海外に在住している人間にとって為替レートは気になるもの。物価の高い英国にいるのだから尚更だ。株をやっていなくてもレートの変動には敏感な人は多いのではないだろうか。そんなレートに注目した賭けがある。その名もまさに「マーケット」。5分置き、1時間置き、日ごとにレートが上がるか下がるかを賭けるという、至って簡単なものだ。結果が5分ごとに出るのでいつでも挑戦できる。日本円のレートが出ているのはユーロとUSドルのみ。ポンドと直接比較できないのが残念だが、ユーロやドルから換算できる。世界経済の動きに敏感になれて一石二鳥!?



カジノと聞いた時、どのような光景を思い浮かべるだろうか。米ラスベガスのゴージャス・カジノ? それとも犯罪の匂いがプンプン漂う怪しげな小部屋? 英国カジノの歴史はやはりというべきか、上流階級の人々の集う「紳士クラブ」から始まった。

フランス、パリのカフェやサロンなどで広まっていた、カードを中心としたギャンブルが英国に伝わったのは、大英帝国が全盛期を迎えていた19世紀のこと。暇とお金を持て余していた上流階級の男性たちがタバコや酒を楽しむ女性厳禁の会員制クラブ内であっという間に広まった。

当時と異なり、現在ではいくつかの制限はあるものの、基本的には上流階級でなくとも(そしてもちろん女性でも)気軽にカジノを楽しむことができる。しかしそこは英国。古き良き時代の情緒を今に残す老舗カジノの姿を現在でも目にすることができる。

ロンドン中心部のピカデリー・サーカスからグリーン・パークにかけての一帯は19世紀、「紳士クラブ」が数多く存在した高級エリア。今でも英国を代表するカジノが威風堂々とそびえ立っている。その中でも特に知名度が高いのが「ザ・リッツ・クラブ」。あの高級ホテル、「リッツ・ホテル」内部にあるカジノで、設立は1978年(あくまで正式には、ということらしいが)。ホテルで以前ボールルームとして使われていた場所を使用しているこのクラブは内装も絢爛豪華。会員になるには今でも厳しい審査を通過し、1000ポンドの会員費を払わねばならない。

近い将来、スーパーカジノや大型カジノが全国につくられることになる英国。カジノへの敷居は低くなるが、その一方でこれら老舗カジノの伝統と美学は、少しづつ形を変えながらも脈々と続いていくことだろう。



あらゆる階層の人々に愛され続けているギャンブル。ギャンブルに関しては寛容であることで知られる英国だが、その背景には政府のせつないまでの試行錯誤があった。政府は一昨年の賭博法改正でギャンブルの規制緩和を打ち出したが、英国ギャンブルの歴史はこれまで規制、緩和、規制、緩和をひたすら繰り返しているのだ。

近年、徹底的なオンライン・ギャンブル規制に乗り出した米国とは対照的に、英国では一定の規定の下、オンライン・ギャンブルは政府公認で行うことが可能だ。昨年10月31日にはロンドン、アスコット競馬場に約30カ国の代表を招き、オンライン・ギャンブル事業の国際的容認と利用者保護を目的とした規制づくりを訴えたというから涙ぐましい努力と言える(しかし競馬場で国際会議というのがスゴイ)。

以前は国内でのオンライン・カジノ開設は禁止されていたものの、賞金を持ち込むことは可能だったため、合法の国で会社を設立・運営するというのが主流だった。しかし2005年賭博法により、国内による営業も許可制に。オンライン・ギャンブルならば高い入会金を払う必要もなく、自宅で心ゆくまで本格的なカジノを楽しめる。今後さらにオンライン・ギャンブルの人気が高まるのは必至と言えよう。

つい先日には米ラスベガス形式の巨大カジノ「地域カジノ」(スーパーカジノ)の建設推薦地が決定。数年のうちに、これまで以上に気軽にカジノ体験ができるようになる。ギャンブルの持つ社会的悪影響に戦々恐々としつつ、世界有数のギャンブル保護国として知られる英国。今後どうなるかは神のみぞ知る、といったところか。

 

英国スーパーマーケット総比べ

英国スーパーマーケット総比べ

 

大小含め10以上のスーパーマーケットがチェーン店展開を広げるスーパー激戦地の英国。安売り専門店から高級志向ショップまで、各スーパーは様々なスタイルで顧客の獲得に努めている。その中でも比較的街中でよく見かける4つのスーパーマーケットを選び、比較調査を実施。身近なものだからこそ、徹底的に研究してワンランク上の快適な生活を送りたい。(宮田さち)



取り扱う全ての商品が自社ブランドという特徴のある高級スーパーマーケット。衣料品販売なども展開しており、その分野においては売上額英国一の座を誇る。M&S、マークスなどとも呼ばれ、英国民に親しまれているスーパー。世界30カ国に450の支店を持つ。食品の広告に使われるキャッチフレーズは「This Is Not Just Food, This Is M&S Food」。

ロシア生まれのユダヤ系ポーランド人の移民、マイケル・マークスが1884年、リーズにM&Sの原点となる会社を創立したのが起こり。1894年には、英北西部マンチェスターに最初の店舗をオープンさせた。店名は、マークスと彼のパートナー、トム・スペンサーの苗字に由来する。1997、98年に英国小売業界にて頂点に立った後、数年間の経営難に陥っていたが、経営方針の見直しなどにより売上は徐々に回復している。

M&Sは利用客に大変寛大な商品の返品サービスを行っており、レシート持参での90日以内の返品の場合はすぐに返金、レシートがない場合でも、返品後12カ月有効なストア・クレジットとして返してもらえる。

また企業の社会的責任を重要視し、自然環境の保護を考慮して製造された健康的な商品を、スタッフの働きやすい環境で販売する、という理想を追求している。ビジネス・イン・ザ・コミュニティーの2006年度カンパニー・オブ・ザ・イヤー、RSPCA(王立動物虐待防止協会)のオータナティブ・アワーズを受賞。コーヒー・紅茶は全てフェア・トレード商品、卵はフリーレンジのみ、と厳しく正しく商売しているスーパーだ。




上・中流階級の客層をターゲットに、高品質の食品とサービスを良心的なお値段で提供する高級スーパーマーケット。やはり優等生のイメージのあるデパート、ジョン・ルイスの傘下グループであり、エリザベス2世のロイヤル・ワラントを持つ、王室御用達のスーパーである。英国民の好きな小売店としても、ジョン・ルイスに次いで2位に選ばれている。スローガンは「Quality food, Honestly Priced」。従業員は皆シェアホルダーであり(パートナーと呼ばれる)、売り上げは彼らの給与に直接反映されるというユニークな経営方針を採っていることでも知られている。

創業は1904年。ウォレス・ウェイト、アーサー・ローズ、デービッド・テイラーの3人が西ロンドンに小さな食料品店をオープンしたのが始まりだ。1937年にジョン・ルイスの傘下に入り、1955年にはロンドン南部のストレッチャムにスーパーマーケットとしての1号店を開店した。

メリルボーン店のマネージャー、エド・バートンさん(勤続年数10年)によると、「ウェイトローズの自慢は、素晴らしいスタッフ(パートナー)たち」。各店鋪ではスタッフ一人一人が、ウェイトローズの一員であることに誇りを持ち、責任感溢れる態度でお客様にサービスを提供しているという。また、「商品に関しては、国際性豊かな品揃えが自慢」とのこと。店のモットーは『高品質を良心的価格で』だが、バートンさんはこれに『専門的なサービス』の一言を付け加えたいそうだ。確かにウェイトローズでは、スタッフに商品の場所を尋ねると、その棚までわざわざ案内してくれ、さらには商品を手渡ししてくれることが多い。こうしたちょっとしたサービスを徹底させ、他スーパーとの差別化を図っているのだ。




人気シェフ、ジェイミー・オリバーが登場するCMでお馴染みのこのスーパーは、実は長い歴史を持つ老舗だ。95年にテスコにその座を奪われるまで、食料品売り上げナンバー1を誇っていた。現在はアスダに次いで第3位。スローガンは「Try Something New Today」。

創業者のジョン・ジェームズ・セインズベリーが1869年、ロンドン中心部のドルーリー・レーンに妻と共に乳製品を扱う小さな店をオープンさせたのが始まり。彼は店舗を4つに増やした後、1882年にクロイドンに最初のスーパーマーケットを開店させた。高級感の漂う内装に高品質の商品とサービスで安売り店とは一線を画したのが、中流階級の顧客に受け人気となった。1950年に初のセルフサービス形式の店舗を開店し、20世紀の英国スーパー業界をリードするが、安いだけでなく、品質も向上したテスコに追い越されてしまった。巻き返しを図るため、2000年にジェイミー・オリバーを広告の顔として起用して若い客層にアピール、さらに2004年には最高責任者にジャスティン・キング氏を迎え大改革を行った。

国際色豊かな幅広い品揃えが特徴で、パスタ、チーズなど、グルメ食材が充実している。和食素材もオリジナルで販売しているのはセインズベリーだけ(でもこれが結構高いのだが)。

セインズベリーのウェブサイトによると、よりよい生活作りのため、健康、安全、品質面において、利用客が期待する以上のサービスを食卓に届けることを目標としているようだ。



今回取り上げたスーパーマーケットの中で、最も幅広い層からの支持を得ているチェーン店。労働者階級と中流階級の両方をターゲットにし、成功を収めている英国では珍しいスーパーマーケットである。英国食品販売専門誌「ザ・グローサー」が優れたスーパーに贈る「英国民に最も愛されているスーパー」賞、「ベスト・オンライン・ショップ」賞ほか計3冠を手にしている。英国内最大、世界規模で見ても売上第4位の座につく超大手で、事業も食品、衣料品、電化製品などの販売にとどまらず、保険やローンなどの金融サービス、DVDレンタル、音楽ダウンロード、インターネット・プロバイダー、電話会社など幅広く展開している。英国外においてもヨーロッパはもちろんのこと、日本を含むアジアの計11カ国でも事業を営む。スローガンは「Every Little Helps」。

ユダヤ系ポーランド人の仕立屋の息子、ジャック・コーエンが創業。1919年、ロンドン、イーストエンドの屋台で始めた食品販売が成功し、10年後にエッジウェアに初の店舗、「テスコ」をオープンさせた。90年代に入り、強引とも批判される方法で店舗数を増やし、業界1位の座に付く。また、ロイヤリティー・カードやオンライン・フード・ショッピングなど、数々の業界初のサービスを導入してきたことでも知られている。

1997年最高責任者に就任して以来、テスコを成功に導いてきたテリー・リー卿は、「Treat People How We Like To Be Treated」などをモットーに掲げ、カスタマー・サービスに力を入れている。



今回取り上げたスーパーマーケットそれぞれに個性があると分かった所で、さらにいくつかのテーマ別に(勝手に)比較検討してみました。スーパー選びの参考にどうぞ。まずは、ポッシュ度と便利度(5段階評価)のグラフから。



ポッシュ度では女王御用達のウェイトローズと、品質と製造過程にこだわったオリジナル商品をそれなりのお値段で販売するM&Sに満点を付けたい。分かりやすい広告で庶民に値段の安さをアピールするテスコはちょっとポッシュ度には欠ける。セインズベリーはその中間といったところ。
便利度はほぼ反比例と言ってもよいが、幅広い客層のニーズに応えて様々な商品展開とサービスを提供するテスコを評価。しかし大満足とはいかないので、ちょっと引かせてもらった。逆に(生活にゆとりのある)特定の客層をターゲットにしたM&Sは、それ以外の客層にはちょっと使いにくい。



1 テスコ
2 セインズベリー
2 ウェイトローズ
4 M&S

ダントツでテスコが1位。基本的に安い価格設定の商品が多い上、半額などのプロモーションもよく行っている。テスコ独自の「Price Check(毎週テスコ、セインズベリー、アスダ、モリソンの4大スーパーの商品について販売価格を調査、ウェブサイトで公開している)」によると、アスダと比べてテスコの方が安い商品が1547点、高い商品が1177点となっている(2007年1月8〜10日調べ)。しかしながら、「ザ・グローサー」誌が実施した33商品の値段調査によるとアスダが最安スーパーということになっているので、ちょっとナゾではあるが……。2位はセインズベリーとウェイトローズ。セインズベリーは安いラインのオリジナル・ブランドを出しており、安いものは安いのだが、逆に高いものは極端に高い。ウェイトローズは、全般的に見ると意外に高くはない。ということで4位はなんでも高めのM&S。


1 ウェイトローズ
2 セインズベリー
2 テスコ
4 M&S

一概には決められないが、イタリアン、フレンチといったお洒落な香りがする食品類に関しては素晴らしい品揃えを誇るウェイトローズが1位か。パスタ、チーズ、加えてワインの種類の多さは拍手モノ。ちなみに「ザ・グローサー」誌によるとウェイトローズは品切れ度が一番低いスーパーでもある。ほぼ同じ路線のセインズベリーは僅差で2位。同じく2位のテスコは、アジアン・カリビアンというように店舗のある地域の住民の文化を反映した品揃えに強い。両店とも、オリジナル・ブランドに安いラインと高級ラインを展開し、これも選択の幅の広さにはつながる。4位はまたまたM&S。元々オリジナル・ブランドしか販売しないので、バリエーションにはちょっと欠ける。サンドイッチやレディ・ミールは種類が豊富だが、例えばウェイトローズでは30種類もあるドライ・パスタがわずか8種類とはちょっと寂しい。


1 テスコ
2 セインズベリー
3 M&S
4 ウェイトローズ

どんなに素敵なお店でも遠ければ行きにくい、開いてなければしょうがない。さて、行きやすいスーパー第1位の座を射止めたのは、テスコ。英国内で合計1897店舗と圧倒的な店舗数を誇り、カバー・エリアは広い。また、郊外型の店舗は週日24時間営業を行う一方、コンビニ型のエクスプレスは、午前7時から午後11時まで営業している。同様の経営スタイルを持つが、752店舗展開と店舗数で負けたのがセインズベリー。3位はM&S。637店舗のうち、187店舗あるコンビニ型の「Simply Food」は英国内の主要駅構内に設置されていることも多く、旅行中のスナックやお勤め帰りの夕食の購入などに、お役立ち度が高い。4位はウェイトローズ。184店舗と店舗数も少なく、基本的にお上品なエリアにしか見られないので、それ以外の地域に住んでいる人にはあまり行く機会がないかも。がんばれ、ウェイトローズ!


1 M&S
2 テスコ
2 ウェイトローズ
2 セインズベリー

環境への関心が高まる今のご時勢、スーパーもグリーン度を積極的にアピールしている。この分野の1位はM&S。ちょっとお洒落なオリジナル・ショッピング・バッグでも知られるM&Sは最近思い切ったエコロジー方針を発表した。それは、2億ポンド(約480億円)を投資し、今後5年の間に、二酸化炭素排出量0を目指すと言うもの。その直後テスコも対抗し、5億ポンド(約1200億円)を注ぎこんだ同様のプランを発表。ウェイトローズ(ジョン・ルイス・パートナーシップ)は2010年までに10%、セインズベリーは2008年4月までに5%、それぞれ二酸化炭素排出量を減らすことを目指している。計画倒れに終わらないよう、皆さんがんばってください、ということでM&S以外皆2位に付けておこう。いずれのスーパーマーケットも買物袋やクリスマス・カードのリサイクルを奨励するなど、環境保護に励んでいる。


1 ウェイトローズ
2 M&S
3 セインズベリー
3 テスコ

英国人の大好きな慈善事業。スーパーもただ商品を客に売るだけではダメなのだ。チャリティー度1位はウェイトローズ。ウェイトローズ基金を2005年に設立、対象商品の売り上げを寄付し、南アフリカの果物農家の人々がより良い労働環境を得ることが出来るよう貢献している。また、同社が展開するインターネット・プロバイダー事業では、経費を除く全ての収益がチャリティー団体(4つから選べる)に寄付されることになっている。2位はM&S。昨年はクリスマス時期にホームレス救済のためのプロモーションを行い、その売り上げから寄付を行っている。セインズベリーはより健康な子供を育成するため、学校に運動器具などを寄付しており、またテスコは、障害のある子供のためのチャリティーや地域を意識したチャリティー活動を行っているということで同点3位。いずれのスーパーでも多くのフェアトレード商品を扱っている。
 
M&S、ウェイトローズ、トリビア集
高級スーパーがより身近に!?

M&Sは90年代半ばまで、TVコマーシャルは利用しなかった。
M&Sの2代目経営者、サイモン・マークスと友人イズラエル・シエフのイニシャルもM&Sに当てはまる。
M&Sの創業者、マイケル・マークスはリーズのマーケットで全て1ペニーというストールを開いていた。
M&Sで見つけた「Chilli Rice Cracker Mix」は、かなーりスパイシーな揚げせんべい。しかしパッケージの「ローソン鶴巻店」って……? タイ製だし……(写真)
ウェイトローズで販売されているスシのメーカー、TAIKO FOODSはチャンネル4の人気番組、「ビッグ・ブラザー」のオフィシャル・スシ・サプライヤーである
ウェイトローズとジョン・ルイスの発行するクレジット・カード(パートナーシップ・カード)のオンラインでのアプリケーション・フォームのタイトル欄で選べるタイトルはDoctor、Reverend、Captain、Major、Lady、Lord等など計18種類。庶民には敷居が高い。(ちなみにM&Sのカードの場合はDr、Lady、Revなど計8種類)
ウェイトローズで見つけたこんなもの。本格的グルメな食品ばかりが陳列されているイメージのあるウェイトローズだが、グルメとは程遠い、アルデンテを真っ向から否定するふにゃふにゃの「缶スパゲティー」も販売されている。



各スーパーのオリジナル商品についてもいくつかピックアップして(やはり勝手に)比較検討。今回は、ドリンクからデザートまで£10で収まる
コースを設定して、値段、品質などを調査しました。ただし、美味しいと思う基準は個人的見解によるものなので、あしからず。

カバ
(スペイン産スパークリング・ワイン)

 
本当はシャンパンで試したいところだが、予算の都合で安い代替品で。バブリーなひと時をお手軽に過ごせるのはどれ?(いずれもアルコール度数は11.5%)
Cava Brut £3.99
(プロモーション価格。通常は£4.99) 

一番コストがかかっていそうなラベル。裏面にはワインの製造された場所やブドウの種類などがとび抜けて細かく記されている。ボトル取り扱いの注意事項も細かい。賞味期限は購入後6カ月との記載もある。最初注いだ時の泡に一番勢いがあり。すっきりとドライ。一番美味しい。
Cava Brut £4.49

今回の比較では購入価格が一番高い。モダンなデザインのラベル。時間を置いて観察すると、泡は一番長く続き、フレッシュさが持続していたが、肝心の味にちょっと何かが足りないような気も……。
Cava Brut £3.99

見た目が一番安っぽい。ワインについての情報も一番少ないが賞味期限は購入後2年という記載がある。他社の製品と比べて格段に泡の出が少ない。味はM&Sのものと似ていているがちょっと劣る気がする。
Cava £3.69

一番安い。ワインについての情報はM&Sに次いで詳しく載っている。賞味期限購入後1年、開封後2時間以内に消費という記載あり。フルーティーで飲みやすく、なかなか美味しい。最初は勢いよく立っていた泡は、時間と共に消えていった。
総評:味に関してはウェイトローズ以外それほどは変わりなし。見た目で言えばM&S、値段で言えばテスコだろう。
スシ
今や英国のスーパーでも気軽にSUSHIが買える時代。しかしあくまでSUSHIであり、寿司でも鮨でも決してないが、英国人が食べるスシを日本人の目で比較してみる。
Sushi Selection £2.90 250kcal

サバの燻製のにぎり、カニカマとアボガド、ツナのカリフォルニア・ロール2種、にんじんと大根など細巻き2種。ガリ、わさび、しょう油、お手拭つき。日本では考えられないスシ。でもご飯はこの中で一番美味しいかも。ご飯率58%と具の割合が多く、寿司と見なさなければそれなりに美味しい。ただやはり、野菜のスシは日本人にはムリがある。
Mini Akane Sushi Set £2.69 約250kcal

ミニ・サイズのスシ。サーモン、サーモン・トラウト、白身魚のすり身、卵焼きのにぎりが計6つときゅうり巻きが3つ。ガリ、しょう油付き。一番日本の寿司に近い。ご飯がちょっと硬めで、あまり味がついていないが、具とのバランスがよく食べやすい。一番美味しい。
Sainsbury's Sushi  £3.40 371kcal

サーモンにぎりが2貫、エビにぎり、サーモンとツナのカリフォルニア・ロール2種に、きゅうりやパプリカの野菜細巻きが3種入っている。ガリ、わさび、しょう油付き。にぎりのサーモンはひたすら薄っぺらい。カリフォルニア・ロールはハーブの利いたアジア風味というか、なんだか不思議な味がする。
Medium Sushi Pack £1.99 212kcal

スモーク・サーモンにぎり、エビにぎり、ツナのカリフォルニア・ロール、スモーク・サーモン細巻き2コ、きゅうり細巻き。ガリ、わさび、しょう油、箸付き。ご飯をやわらかく炊きすぎたのか、成型の圧力で半分モチ状態。でも、寿司飯っぽい味付けになっているのはすごい。値段から考えるとお買い得商品。
総評:ダントツでウェイトローズ。値段でテスコ。セインズベリーが一番いけてない。
クロワッサン
 
日々の食卓には欠かせないパン。「英国のパンは美味しくない」と言う日本人も多いが、クロワッサンで味比べ。おフランスの味に近いものはどれ?
New Croissant £0.72 80g

一番値段が高い。しかし、バターの層が細かく均一で、一番美しく見える。サクッと焼けていて、皮の部分は一番美味しい。中身もバターたっぷりなのか、しっとりしていて美味しい。ちなみにM&Sで作られる食品で卵を使用するものは全てフリーレンジの卵使用らしい。
All Butter Croissant £0.46 70g

一番安い! ツヤ出しの卵がたっぷりかかっていて(かけ過ぎ?)、テカテカして見える。中身も卵とバターたっぷりなのか、他社製品と比べて黄色い。外の皮が硬く、中身もスカスカしているというか、なんだかいまひとつバターが感じられず、正直一番美味しくない……。ちょっとがっかりの一品。
Croissant £0.55 75g

形はM&Sに似ているが、巻き方が左右均一ではない。見た目にシナシナ感がありサクサク度ではM&Sに及ばず。でも、中身はきめ細かくしっとりしており、バターが感じられて美味しい。
Jumbo Croissant £0.50 85g

ジャンボと銘打ってある通り、重さでは一番。パンの端は焼いた際、ほかのパンとくっついていた形跡があり、その部分の見た目とサクサク度が損なわれている。しっとりとしたバター感が美味しい。お値段を考えると一番?
総評:ウェイトローズ以外、だいたい同じ感じ。強いて言えばM&Sが味では勝る。値段を考えるとテスコだろう。
イワシ缶
 
アイデアによってはいろいろ使えるイワシ缶。安くて健康に良いオメガ3もたっぷり。どこで買ってもあまり違いが出そうにないが、どうだろう? パッケージには、かなり差アリ!
Portuguese Sardines In Tomato Sauce 
£0.62 170kcal(100g)


紙箱入り。水煮で比較したかったのだが、M&Sにはトマトソース煮しかないという。(やはりバリエーションが少ない!)そして高い。肝心の中身は、身が崩れやすい。個人的な好みの問題だろうが、あまり美味しくない。
Sardines In Brine
£0.35 142kcal(100g)


紙箱入り。なかなかかわいらしいパッケージである。そしてなんと言っても安い! 他社製品はイワシの皮が部分的に剥げていて見た目がちょっと悪いものが多かったが、ウェイトローズのものはキレイだった。ちょっとあっさり目で美味しい。
Sainsbury's Portuguese Sardines In Spring Water
£0.39 182kcal(100g)


これもレトロ調のお洒落な缶。他社製品の材料には塩が加わっているのに対し、こちらはイワシと水だけとなっている。そして、その分味がない。調理用に買うと良いのか?
Sardines In Brine £0.35 189kcal(100g)

実際ウェイトローズと並んで一番安いのだが、見た目に一番安っぽい。イワシが小さいためか(他社の製品が3匹入りのところ4匹入っていた)、身に締りがあって新鮮さを感じる。ウェイトローズより味が濃い気もするが美味しい。
総評:安さ、パッケージ、美味しさ揃ったウェイトローズがダントツでお勧め。
デザート
 
大型のウェイトローズには見た目にも美しいケーキを販売するケーキ・カウンターがあり、デザート勝負では圧勝になるが、あえて日持ちするデザート、プリン系で比べてみた。(いずれも2個入り、計240g)
2 Creme Caramel £1.65 205kcal(1コ)

パッケージは一番高級感がある。もちろんフリーレンジ卵使用。表面に近い部分(2ミリくらい)は、「す」が入っていて、舌触りが悪いが、全体的には滑らか、優しい卵味が美味しい。
Caramel Panna Cotta £1.25 336kcal(1コ)

イタリア製。とにかく濃厚。クリーミーで舌触りはいいが、かなり甘い。ちょっとクドイかも。セインズベリーの商品と比べて、糖分、脂肪、塩分、(当然カロリーも)全て上回っている。甘党の方にどうぞ。
Caramel Panna Cotta £1.25 304kcal(1コ)

イタリア製。カラメル・ソースの割合が一番多い。塩分は一番低い。クリーミーで、ウェイトローズの商品と比べるとさほど甘くなく美味しい。パッケージには「リサイクル紙を99%以上利用」との記載あり。
2 Creme Caramels £1.35 205kcal(1コ)

パッケージ表側に分かりやすく栄養表示アリ。原料の記載が一番大ざっぱ。M&Sより軽い感じだが、あまり大差はない。より滑らかな食感で美味しい。
総評:ヘルシー度でセインズベリーか? 美味しさはウェイトローズ以外それほど違いなし。

 

一時帰国にも本帰国にも、おみやげを欠かせないのが日本人の悲しい性。ハロッズやフォートナム&メイソンの高級紅茶もいいけれど、スーパーで、あげて楽しい、もらってうれしい、そしてちょっと差がつく(比較的安価な)おみやげを探してみよう。

M&S
Milk Chocolate Racing Cars £3.09 

車とチョコレートが好きな彼へ。スーパーカー型の缶にはカラフルな同型のチョコレートが7つ。かわいくて食べるのがもったいない!
ウェイトローズ
Chocolate Mini Eggs £0.59  

その他大勢の方へ。かわいらしい卵型のチョコレート。お求め安い価格なので、お配り用にどうぞ。
ウェイトローズ
Sardine al Limone £0.85  

ハイソな常備品として。かわいいパッケージに釣られて買ってしまいがちなイワシ缶。レモン風味でちょっとお洒落。
セインズベリー
ジェイミー・オリバー商品
Green Pesto £2.49 

料理初心者の彼へ。日本でもまだまだ人気の(?)ジェイミー・オリバー、オリジナル商品。混ぜるだけで美味しいパスタが作れるグリーン・ペストと、ミル付きの黒こしょう。この他にもいろいろあり。
テスコ
Charlie and Lola, But excuse ME THAT is my book £3.97  

お子様、および子供の心を忘れない大人の方々へ。スーパーで買えるおみやげは食品ばかりではない。テスコでは本も安く販売しているのです。個性的なイラストレーションで子供ばかりでなく、大人も楽しめる絵本。
テスコ
オーブン・グラブ £3.47

かわいく楽しく料理したい彼女へ。大型スーパーではキッチン、インテリア雑貨も豊富。安くてかわいい、そして実用的なおみやげを探してみよう。写真は日本ではちょっと珍しいダブル・オーブン・グラブ。
 

シックス・ネイションズを見なきゃいけない10の理由

シックス・ネイションズを見なきゃいけない10の理由


北半球最強の座を決定するラグビーの国際大会シックス・ネイションズ。その戦いの火蓋が2月3日、ついに落とされた。そういえば最近テレビで妙に多くラグビー選手を見かけるようになったなぐらいの印象しか持っていない方、今からでも遅くない!
本特集では、ラグビーなんか興味がない、そもそもラグビーのルールさえよくわからん!という人にまで観戦をお勧めする理由を列挙。シックス・ネイションズの魅力を知るための、徹底ガイドとして利用して欲しい。
(本誌編集部: 長野雅俊)

理由1:英国各代表チームが勢揃いだから

「シックス・ネイションズ」の名が示すように、本大会に出場するのは6カ国。その中では、英国を形成する4つの「国」であるイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド(アイルランド共和国との混成チーム)が参加国の半数以上を占めている。残りの2カ国は、英国とは何をやっても相容れないフランスに、昨年のサッカーのワールド・カップで優勝して欧州各国の嫉妬を集めたイタリア。この放っておいても闘争心ばかりが漲る組み合わせで総当り戦を行うという大会方式が、シックス・ネイションズならではの魅力となる。選手はもちろん、観客までもがそれぞれの御国のプライドを賭けた激しい戦いになること請け合いだ。

理由2:伝統ある大会だから

本大会はそもそも、1871年に行われたイングランドとスコットランドの代表チーム対抗戦が、後に慣習化したことに端を発している。1875年になってイングランドとアイルランド間でも代表戦が行われるようになり、続いて1881年にはイングランド対ウェールズ戦を開催、やがてこの4カ国で毎年総当り戦を行うようになった。1910年からは欧州大陸からフランスが参加。この頃からメディアでは「ファイブ・ネイションズ」という用語が使われるようになり、後に毎年行われる国際試合の大会名となる。2000年にはイタリアが参加して、現在の6カ国対抗戦の形式になった。

近年までアマチュアリズムの哲学を掲げてきた英国のラグビーでは、サッカーのようなプロ・リーグの発展が遅れた。そこで一般市民にとって、ラグビーを見る機会といえば国際大会のみ。しかもラグビーにおけるワールド・カップは、1987年の第1回大会まで存在しなかった。つまり、英国民にとっては長らくラグビー=シックス・ネイションズであったというわけだ。

理由3:英国各代表が妙なこだわりを持っているから。

優勝カップ6カ国対抗戦、といった本来の大会趣旨とは別に、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの英国を構成する4カ国には、大会中にどうしても勝ち取らなければならないタイトルがある。その主たるものが、イングランド対スコットランド戦の別称「カルカッタ杯」、イングランド対アイルランド戦の「ミレニアム杯」だ。さらにはウェールズも含めて自国以外の英国その他3カ国から勝利を収めると、「トリプル・クラウン」を達成したとして国中が大騒ぎとなる。つまり、たとえフランスとイタリアとの対戦に敗れ3位以下が決定的になったとしても、残りの3カ国に勝てればファンは万々歳、といった仕組みになっている。ちなみに欧州参加国含めたどのチームであれ、5カ国全てに対して勝利を収める完全優勝は「グランド・スラム」と呼ばれている。

実力が拮抗しているから。

2000年から参加したばかりのイタリアを除いて、大会参加国の優勝回数に大きな開きはない。欧州のラグビー強豪国同士の実力が伯仲しているため、全試合において接戦が予想される。

各国の優勝回数(複数国による同時優勝を含む)

イングランド 35回
ウェールズ 33回
スコットランド 22回
フランス(1909年より参加、1932〜46年は不参加) 22回
アイルランド 18回
イタリア(2000年より参加) 0回

ラグビーの魅力を知る良い機会だから。

日本人の間ではラグビーはまだまだ馴染みが薄く、そのルールさえよく知らない人も多い。そこでラグビー初心者のために、基礎的なルールをここで解説。観戦中にはお手元に置いておき、「?」な場面になったら参照してほしい。

基本ルール

1.より多くの得点を決めたチームを勝ちとする。得点方法は以下の4つ。
■ 相手陣地のゴール領域(インゴール)にボールを置くトライ(5点)
■ プレー中に地面にバウンドさせたボールをキックしてゴールに入れるドロップ・ゴール(3点)
■ 重大な反則が起きた際に、反則を受けた側に与えられるペナルティー・キック(3点)
■ トライに成功したチームに与えられるコンバージョン・キック(2点)

2. ボールを前に投げたり落としたりしてはいけない(選手はボールを抱えて走ったり、蹴ったりすることでボールを前に進める)。


3. タックルで倒された選手は、すぐにボールを手放さなければならない。

ラグビーのポジション

ラグビーのポジション「前にボールを出してはいけない」というルール上、サッカーとは逆に主にフォワードが防御、バックスが攻撃の役割を担う。
ラグビーのポジション

フォワード(FW)

2 フッカー(HO)
スクラムを組んだ際に最前列中央に位置するポジション。ラインアウトの際にボールを投げ入れる役割になることも多い。

1・3 左右プロップ(PR)
「支柱」という名の通り、スクラム最前列の両側から押し込むプレーヤー。体が大きく重量のある選手が適役となる。

4・5 左右ロック(LO)
2列目からスクラムを押し込む役割を担う。長身選手が多く、ライン・アウトの際にジャンパー(味方に高く持ち上げられる人)になる傾向がある。

6・7 左右フランカー(FL)
スクラムに参加しつつ、バックス陣とも連携するかなり運動量の多いポジション。

8 ナンバー・エイト(No.8)
フォワードを統率する司令塔。

9  スクラム・ハーフ(SH)
スクラム内にボールを投げ込む、スクラムからボールを取り出して周りにパスを出す役割を担う。小さいながらも敏捷で、頭脳的なプレーヤーが多い。

バックス(BK)

10  フライハーフ(FH)
バックスの司令塔。さらにはチーム全体を指揮する役目を負うことが多い。

12・13 左右センター(CTB)
フィールド中央を力づくで突破することを本業とする。

11・14 左右ウイング(WTB)
ボールを持って両サイドを駆け抜けるのが役目の、俊足の選手にピッタリのポジション。

15 フルバック(FB)
最終ラインで待ち受ける防御の要。サッカーのゴール・キーパーのような役割を持つ。

ラグビーのグラウンド

ラグビーのグラウンド

用語解説

オフサイド
サッカーと同様、ボールを持っている味方のプレーヤーより前にいたプレーヤーが、ボールに触れるなどしてプレーに参加すること。ラグビーの場合は、ボールの落下地点よりいったん10メートル戻ってから再びプレーへの参加が認められる。

シンビン
重大な反則を犯した選手が、10分間限定で退場する罰則措置。

スクラム
お互いのFWが組み合う、ラグビーではお馴染みの光景。スクラム形成時は、足でのみボールの操作を許される。

ダイレクト・タッチ
自陣22メートル・ラインより前で蹴ったボールが、バウンドせずに直接タッチラインの外に出ること。ダイレクト・タッチと認められた場合は、蹴った地点から最も近いタッチライン上で相手チームによるラインアウトで試合が再開する。

ドロップ・アウト
相手チームによって蹴り込まれたボールを、守っているチームがインゴール内でボールを地面に着地させたり、相手チームが蹴ったボールが自陣デッドボールラインより外に出ること。試合は中断され、守っていたチームによるキックでゲームが再開する。

ノーサイド
80分の試合時間が終了したことを意味する。フェアプレー精神を尊重するラグビーにおいては、試合終了後は「敵サイドも味方サイドもない」という思想からこの名が付いた。

ホイール
スクラムが90度以上回転すること。スクラムの組み直しとなる。

ライン・アウト
ボールがタッチラインから外に出た際に、ボールを出した選手の反対側の選手がゴールラインと平行な線に投げ入れてプレーを再開すること。

理由6:個性豊かなチームばかりだから。

各国代表チームは国々で異なるラグビー文化や選手層、そして監督の方針を反映して、それぞれ独自のプレー・スタイルを持っている。ここではそういった各国の戦況分析と、今大会での注目すべき選手を紹介しよう。



イングランド

フランス

アイルランド

ウェールズ

スコットランド

イタリア

理由7:英国はラグビーの母国だから。

ラグビーとサッカーという、共に英国で生まれかつ現代まで支持を集めるこの2大球技は、元々は同じ「フットボール」を母体としている。

19世紀前半、イングランドにあったいくつかの名門パブリック・スクールの生徒たちは、休み時間や放課後になると決まって「フットボール」に興じていた。この時点ではまだ近代フットボールは確立されておらず、学校ごとに設定された独自のルールの下でプレーしていたという。ただ注目すべき点は、当時の「フットボール」では、どの学校においても蹴り上げられたボールを手を使って捕球したり、そのままつかんで走ったりするのが許されていた、ということだ。

やがてこれらパブリック・スクールの生徒たちは大学に進学した際、「フットボール」の共通したルールが存在しないため他校出身者同士で試合ができない、という問題に直面した。そこでケンブリッジ大学の生徒は1839年、統一したルール・ブックの作成に取り掛かる。同じ頃、イングランド北東部ラグビーに位置するパブリック・スクールのラグビー校では同校独自のルールブックを文書の形でまとめ始めたことから、同校のルールも段々と世に広まっていった。

やがて主流となっていったケンブリッジ大学派とラグビー校派の2つのルールをさらに統一しようと、ロンドン全体の「フットボール」を管轄するアマチュア・クラブ協会が乗り出した。しかしここで問題となったのが、「ハッキング」と呼ばれる選手が手に持ったボールに対する膝蹴りに対する見解。危険なので一切禁止すべきとするケンブリッジ大学派と、膝蹴りこそがこのスポーツの最大の魅力とするラグビー校派の主張はお互い相容れないままに決裂した。

やがてケンブリッジ大学派が推進した「フットボール」が近代サッカーのルールとして1863年に制定され、もう一方がラグビーとなって発展したのだ。おもしろいのは、この時点に至ってもケンブリッジ大学派、ラグビー校派のどちらにおいても手を使うことについては異議が出ていなかったこと。スローイン、ゴール・キーパーなど、近代サッカーにおいていまだに手を使うことが許されるのは、こういった歴史の名残りだという。

虚構のエリス少年?

ラグビーの歴史を語る際に必ず出てくるのが、ラグビー校出身の実在の人物ウィリアム・ウェブ・エリス少年の物語。「サッカーの試合に熱中していた彼が、興奮した余りに思わずボールを手に持って突進してしまった事件がラグビーの原型となった」という、少年のひたむきさとラグビーへの情熱を表した美しきエピソードとして語り継がれている。

しかし実際のところ、この事実を裏付けるさしたる証拠はないという。ましてや前述の通り、そもそもエリス少年が生きていた18世紀前半の「フットボール」では、まだ手を使うことが許されていたのだ。

ではなぜ彼の「伝説」がここまで広まったのだろうか。これに関しては膝蹴りをめぐって分裂したサッカーとラグビーが、お互い本家本元を争う中で創作された疑いが強いようだ。実際エリス少年の物語は、両者の分裂が決定的になった1863年以降になってから聞かれるようになった。美しきラグビー誕生秘話の裏には、そんな政治的な事情が潜んでいたのだ。

理由8:ラグビー・ファンは良い人が多いから。

ラグビーを好きな人、というとマッチョで強面のイメージばかりが先行するが、実はラグビーのファンは結構マナーが良い。アウェーのファンを競技場の隅っこに追いやった上に相手側のファンを罵倒し続けるサッカーと違って、ラグビーでは観客席がホームとアウェーに分かれていないので、小競り合いなども滅多に発生しない。むしろ試合会場では「良し、ナイス・プレー」といった好意的な掛け声が目立つなど、上品に応援するのが特徴。また「ノーサイド」というラグビー用語が象徴するように、試合終了後には他国のファンと一緒に飲みに出掛けたり、電話番号を交換したりして新たな交流を深める、といった光景もよく見られるはず。プロ化が進むまでは代表選手たちまでもが試合後に対戦相手と一緒に杯を交わし、歌のコンテスト、飲み比べ大会を行うのが「義務」でさえあったという。今でも残るそんなラグビー独特のフレンドリーさって、なかなか良いものだ。

理由9:ついでに言えば、ラグビーってちょっと気品が高いから。

大男たちが激しく体をぶつけあう、猛々しいイメージを持つラグビー。しかし英国においては高貴なスポーツとしての顔も持っており、「サッカーは凶悪な人間による紳士のスポーツ、ラグビーは紳士がプレーする凶悪なスポーツ」という言い回しもあるほど。この点について、ラグビー博物館の館長を務めるジェッド・スミス氏に話を聞いてみた。

ジェッド・スミス氏かつてラグビー選手には、2つの階層が存在しました。1つは、イングランド北部の労働者階級に属する兼業選手。彼らには生活がかかっているので、試合出場の際に給料の支払いを要求しました。それに反発しアマチュアリズムを標榜したのが、オックスフォード大学やケンブリッジ大学に代表されるエリート階級であり、こちらが後の英国におけるラグビーを先導することになります。

一方、サッカー界は依然エリートによって牛耳られながらも、草の根レベルでは労働者階級を受け入れたことで大衆的スポーツとして認知されるようになりました。日本では、ラグビーというと野蛮なスポーツというイメージを持つ人が多くいるみたいですが、英国では高貴な趣味なのです。ほんの20年ぐらい前までは、若い娘さんが婚約者としてサッカー選手の男性を紹介すれば親は顔をしかめるが、ラグビー選手だったら胸をなで下ろす、そんな時代だったのです。チーム・プレーの要素が強く、仲間との一体感を得ることができるということで、現在でもパブリック・スクールにおける体育の授業ではラグビーの指導が奨励されています。

ラグビー博物館ラグビー博物館
イングランド代表のホームグラウンドであるトウィッケナム・スタジアムに隣接する博物館。「フットボール」がラグビーとサッカーに分化していくまでの過程や、各代表の過去の記録を残した貴重な映像資料を閲覧できる。

Museum of Rugby
Twickenham Stadium
Rugby Road, Twickenham TW1 1DZ
開館時間: 火〜土10:00〜17:00、日11:00〜17:00
料金: £10(学生£7)
Tel: 0870 405 2001
www.rfu.com/microsites/museum

理由10:なんせ2カ月間も楽しめるから。

各国会場を渡り歩きながら試合が開催されるシックス・ネイションズの今後の日程は、以下の通り。BBC1でもテレビ生中継されるので、週末のパブは歓声で湧き上がること間違いなしだ。

2月10日(土) 13:30 イングランド対イタリア
ロンドン、トウィッケナム・スタジアム
15:30 スコットランド対ウェールズ
エディンバラ、ムレイフィールド・スタジアム
2月24日(土) 15:00 スコットランド対イタリア
エディンバラ、ムレイフィールド・スタジアム
17:30 アイルランド対イングランド
ダブリン、クロークパーク・スタジアム
20:00 フランス対ウェールズ
サン・ドニ、スダテ・ドゥ・フランス
3月10日(土) 13:30 スコットランド対アイルランド
エディンバラ、ムレイフィールド・スタジアム
15:30 イタリア対ウェールズ
ローマ、スタディオ・フラミ二オ
3月11日(日) 15:00 イングランド対フランス
ロンドン、トゥウィッケナム
3月17日(土) 13:30 イタリア対アイルランド
ローマ、スタディオ・フラミ二オ
15:30 フランス対スコットランド
サン・ドニ、スダテ・ドゥ・フランス
17:30 ウェールズ対イングランド
カーディフ、ミレニアム・スタジアム

www.rbs6nations.com

ラグビースタジアム

*掲載当時の情報です

 

極楽スパでリラックス

極楽スパでリラックス

 

年末年始のバタバタがようやく落ち着き始めるこの時期には、今まで溜まった疲れが一気に出てくることもありがち。今回はストレス社会に生きる現代人のためのオアシス、スパ特集をお届けします。スパというと女性向けという印象がありますが、疲れの溜まり具合に性別は関係ありません。癒しを求める紳士のために今回は男性用スパも取り上げたので、男性読者も必読です。極楽度100%保証付。(本誌編集部: 筒井和美)






英国で唯一温泉水が湧きあがる場所、バース。ここには、キングス・スプリング、クロス・スプリング、ヘルタリング・スプリングという3つの源泉があり、その歴史は紀元前8000年頃まで遡ることができる。遥か昔にはローマ人たちが遊興にふけり、中世には歴代の王侯貴族たちが保養に訪れ、シェークスピアの文献にまで現れる由緒正しき保養地として繁栄を極めた。 第二次大戦後には負傷した兵士たちがここで傷を癒し、1948年にはバースでのスパ治療がNHSに正式に認められるようになった。しかし1976年、NHSがスパ治療への財政的支援を停止したことからバースのスパは財政難に陥り、1978年には市内各地のスパがとうとう閉鎖に追い込まれてしまった。「バース」とは名ばかり、実際に入浴できる温泉はなく、昔の栄光を見学するだけのスパとなってしまっていたのだ。そんな窮地を救ったのが、ナショナル・ロッタリーによる補助金だった。

1997年11月13日、ナショナル・ロッタリーが778万ポンド(約17億円)を再開発資金として提供することを発表し、バースの街は歓喜に沸いた。それから、約9年の歳月を費やして2006年8月にようやく完成したのが、このテルメ・バース・スパ。新しく完成したニュー・ローマン・スパは、プールが3つ(内1つはトリートメント用のプライベート)に、アロマセラピーを施したスティーム・ルームが備え付けられていたモダンなスパ・リゾートだ。目玉はなんといっても40種以上のミネラルを含んだ「天然の温泉」。ここでは毎日約100万リットルもの湯が湧き出しているのだ(源泉は45℃だが、スパでは36℃程度に薄められている)。屋上には、バースの絶景を眺められるプールがある。 ここで、プカプカ身体を浮かばせながら空を眺めているとまさに極楽。ストレス解消にもってこいの場所だ。

  • 水着着用必須。訪問時には水着をお忘れなく。
  • トリートメント・ルームは2フロアあるので、当日受付で実施場所の確認を忘れずに。
  • ニュー・ローマン・バスより規模の小さいクロス・バスも一般開放されています。

Thermae Bath Spa

Hetling Pump Room,
Hot Bath Street, Bath BA1 1SJ
Tel: 01225 33 5678(問い合わせ)
01225 33 1234(予約)
www.thermaebathspa.com
営業時間: New Royal Bath 9:00-22:00(最終入場は20:00)、Cross Bath 10:00-20:00(最終入場は18:30)
最寄駅: Bath Spa駅(ロンドン、Paddington駅から約1.5 時間)

トリートメント一例と料金:

スパ・セッション(スパ利用のみ)
New Royal Bath 2時間£20、4時間£30、1日£50、Cross Bath 1時間30分£12 *レンタル料金: タオル£3、スリッパ£2、バスローブ£4(持ち込み可)
スパ・パッケージ
テルメ・テスター(2時間のスパ・セッション、バック・マッサージなどのセット)£65、テルメ・トリート(4時間のスパ・セッション、軽食、ホット・ストーン・マッサージのセット)£85
各種トリートメント
フル・ボディ・マッサージ£48(50分)、アロマ・マッサージ£50(50分)、リフレクソロジー£48(50分)、インディアン・ヘッド・マッサージ£38(30分)、タイ・マッサージ£50(50分)、ボディ・コクーン£48〜、ドライ・フローテーション£35〜、ワツ£60(50分)


この日受けたのは、ワツという聞きなれないトリートメント。ワツはカリフォルニアに住む指圧師によって編み出されたと言う水中の指圧(Water Shiatsuが語源らしい)のことだそう。トリートメントは、昔から医療施設として使用されてきたという地階のプール、ホット・バスで行われる。天窓から降り注ぐ日差しが爽やかな直径10メートル程のこの円形プールはワツ専用。1度に施術を受けられるのは1人で、施術中はこのプールに他の人が立ち入ることはないという。なんて贅沢。
担当のセラピスト、ジョアンナさんは、いかにもセラピストといった感じの柔らかい雰囲気の女性。ジョアンナさんからワツの説明を受けた後ホット・バスに入り、彼女の腕に頭を乗せ身体を水中に浮かせる。それから後はすべてセラピストまかせ。水中で、まるで揺りかごで揺られているような浮遊感を全身に感じながら受ける軽い指圧マッサージが最高に心地良かった。身体よりも心に効きそうなトリートメントで本格的なマッサージとはまた違うが、この水中を漂う海藻感覚がなんとも深いリラクゼーションに導いてくれるのだ。施術後は、ただただ脱力。出されたハーブ・ティーを抱えたままの放心状態が続き、しばらく現実に戻れませんでした。
バースの街を一望できる屋上のルーフ・スパ、異なったエッセンシャル・オイルが用いられた4つのブースがあるスティーム・ルームもおすすめです。男女比は半々ぐらい。年齢層の幅も広く、老若男女のスパといった感じです。

スパという言葉はよく聞くけれど、いまいちその実態がつかめていない人も多いのではないでしょうか? スパの語源には、ラテン語の「水による健康」を意味する「Sanitas Per Aquas」や「水による癒し」を意味する「Solus Per Aqua」の頭文字という説やベルギー南東部の温泉地「Spa」からという説など様々ないわれがあります。しかし、どれも水や温泉に関る治療施設を意味することには変わりありません。正確に言うとスパは温泉施設のこと。だけど現在では、プール・サウナなどの簡易温泉施設にセラピーなどのメニューが付いたものをスパと呼ぶことが多く、リラクゼーション、ストレス・ケア、メディテーション、自然療法、ビューティー・トリートメント(エステ)を提供する場所として知られています。最近ではス
パ・キュイジーヌという言葉も生まれ、スパの「食」分野への進出も始まっています。「身体、精神の両面を癒し、生活をトータルでサポートする場所」、これが現代のスパの解釈と言えるでしょう。



英国生まれの自然派化粧品エレミスが手掛けたエキゾチックなスパは、ドアを開けたその瞬間から、時の流れが止まったような静寂さに包まれる空間。静けさの中にほのかに漂うエッセンシャル・オイルの香りに嗅覚が刺
激され、五感が研ぎ澄まされるような体験を味うだろう。中は、バリ、チベット、ポリネシア、日本、モロッコ、タイをテーマとした空間に分かれており、それぞれの部屋で雰囲気はガラリと変わる。カップルで入れるサウナがあるモロッカン・スィートは特に人気があり、数カ月先まで予約が詰まっているとのこと。赤いシルクでデコレートされたセンシュアルなバリニーズ・スィートもおすすめ。

ここで受けられるトリートメントはかなりの数に上り選択の幅が広いが、一度くらいは、各種トリートメントがセットになったエレミス・ディ・スパ自慢の「リチュアル」を試して、ゴージャスな気分に浸りたい。

Elemis Day Spa

2-3 Lancashire Court, London W1S 1EX
Tel: 0870 410 4210(英国外からは、+44 (0)20 7499 4995)
www.elemis.com
営業時間: 月〜木9:00-21:00、金・土9:00-20:00、日10:00-18:00
最寄駅: Bond Street駅
トリートメント一例と料金: アロマ・ストーン・セラピー£90(75分)、ディープ・ティシュー・バック・マッサージ£50(30分)、ハワイアン・ウェーブ・フォー・ハンズ・マッサージ(ロミロミ)£140(75分)、アロマ・スパ・オーシャン・ラップ/フロート£90(75分)、ウェルビーイング・マッサージ£70(60分)、タイム・フォー・トゥー(カップルズ・リチュアル)1人あたり£90(60分)、クレオパトラズ・リチュアル£115(90分)、トリ・エンザイム・リサーフェーシング・フェイシャル£70(60分)


古くなった角質を肌表面に押し上げ、肌の新陳代謝を促すという「トリ・エンザイム・リサーフェーシング・フェイシャル」に挑戦しました。ニキビ痕、シミが気になる人に最適の
3つのエンザイム(酵素)を用いたトリートメントだそうです。
ビックリしたのは、フェイシャルなのに足からマッサージが始まること。これは全身のバランスが顔にも繋がるという理論に基づいているとのこと。気分がくつろいだ所で、まずは最初のエンザイム(バジル)で顔をクリーニング。その後は、ペパーミントのエンザイムを塗りしばらく置くのですが、神業のような指の動きが心地良い。少し肌がヒリヒリしたけれど、これは普通でまったく問題ないとのこと。
このエンザイムが働いている間、腕、首、肩を念入りにマッサージしてくれたのですが、これがもう最高。力加減が絶妙で、身体がとろけるような極楽気分を味わいました。寒くないようにと、マッサージが終わった部位から大きなタオルに包んでくれる心遣いもさすが(終了時には蚕のようになっていました)。この後、あまりの気持ち良さに少しウトウトしてしまったのか、気付いた時には、3段階最後のエンザイム(レモン)を浸透させ終わった後。
老廃物が取り除かれた肌は、ツルツルピカピカで、触るとふんわり。ゆったりとしたトリートメントで肌が生き返ると、気分まで優雅になるのはどうしてなんでしょう。男性客が40%とのことで、ウェイティング・ルー
ムにカップルが多かったのが印象的でした。


読者プレゼント
トリ・エンザイム・リサーフェーシング・フェイシャル

トリ・エンザイム・リサーフェーシング・フェイシャルの発売を記念して、フェイシャル・ウォッシュ、リサーフェシング・セラム、リフレッシング・ナイト・クリームの3点が含まれたフェイシャル・セット(£200相当)を1名様にプレゼントします。プレゼント応募方法はこちらをご覧下さい。エレミス製品の詳細、あるいはご購入についてはこちらまで。Tel: 01278 727830、www.timetospa.co.uk



英国初のジェントルマン専用スパ。散髪、髭剃りと言った床屋的な作業から、男性のためのマニキュア(爪の手入れ)、日焼け用のサンベッドそして全身マッサージといったトリートメントまで、ここ一軒でグルーミングのすべてが済んでしまう画期的な場所だ。
男性専用と言っても、ジムの様な男くささはなく、ダンディズムが溢れる高級感漂うスペースとなっている。また、スパのトリートメントを受けている間に、アイロンがけやシュー・ポリッシュなどのサービス(無料)を利用できるのも男性向けならではの嬉しいサービスではないだろうか。
忙しい男性のために、15分でトリートメントを受けられる「The Pit Shop」というサービスも提供。店内ショップの男性用スキンケア用品、ヘアケア用品の品揃えは圧巻。

The Refinery

<メイフェア店>
60 Brook Street, London W1K 5DU
Tel: 020 7409 2001 最寄駅: Bond Street駅
<ハロッズ店>
Knightsbridge, London SW1X 7XL
Tel: 020 7893 8332 最寄駅: Knightsbridge駅
<シティ店>
38 Bishopsgate, London EC2N 4AJ
Tel: 020 7588 1006 最寄駅: Liverpool Street / Bank駅
営業時間: 月・火10:00-19:00、水〜金10:00-21:00、土9:00-18:00、日11:00-17:00
www.the-refinery.com
トリートメント一例と料金: 髭デザインとウェット・シェーブ£40、スポーツ・セラピー・マッサージ£83、トラディショナル・マッサージ£40〜、リファイナリー・バランシング・ボディ・トリートメント£115(90分)、リファイナリー・アンティ・エイジング・フェイシャル£120、ワックス£25〜


4人ほどの若い女性スタッフが笑顔で迎えてくれた後、個室に赴き、まずは「リファイナリー・シグニチャー・フェース・アンド・ボディ・トリートメント」を受ける。上半身裸になった後、うつ伏せで背中、そして仰向けで顔のオイル・マッサージ。毎朝急いで冷たい水でバシャバシャするだけの顔を、丁寧にネットリと洗ってもらって、申し訳ない気持ちになる。それから特別な装置で顔に蒸気を吹きつけられ、柔らかくなった皮膚から毛穴の汚れの掃除。毛穴の汚れがないと褒められたが、こんなことで評価される男性って世界にどれだけいるのだろうか。首のマッサージは最高で、平日の昼間に一切のストレスから解放されるなんて、ちょっと贅沢過ぎかもと罪悪感さえ覚えたぐらいだ。次に「エグゼクティブ・マニキュア」を試す。爪をきれいに整え、普段はほったらかしの甘爪も引っかいてピカピカにしてくれる。ただし、マニキュアはなし。ちょっと期待していたので尋ねてみたら「ノット・フォー・メン!」と一笑された。
男性専用スパと聞いて、どんな人が通うのだろうと想像が膨らんだが、待合室にいたのは、アルマーニのスーツを着た恰幅の良い初老の男性を始め、ビシッとスーツで決めたビジネスマン風の男性がほとんどだった。ここは、むしろ紳士クラブ的な役割を持った場所なのかも知れないと思った。


読者オファー スパ・デビューはいかが?

英国ニュースダイジェストの(男性)読者は、通常£120の「The Refinery Anti-Ageing Facial」を20%オフで体験できます(全店共通)。予約の際に「Eikoku News Digest Offer」とお伝えください。

NEWS! ザ・リファイナリー日本支店オープン
来月、旧防衛庁跡地に開業予定の東京ミッドタウン、ガーデンサイド(港区赤坂九丁目)に待望の日本支店がオープンします。日本支店は、シュウ・ウエムラ氏の総合プロデュースによる美と健康と文化の聖域「shu sanctuary- シュウ・サンクチュアリ」内に設置され、バーバリング、スキンケア、スパ・トリートメントなどのグルーミング・サービスをワンストップで提供する場所となる予定。日本への出張時に利用してみてはいかが?






名門ホテル、マンダリン・オリエンタルご自慢のラグジュアリーなスパ。一歩足を踏み入れると、そこは街中の喧噪が嘘のように静寂が漂う空間だ。究極のリラックスを提供するに相応しい禅をテーマとしたスッキリとしたインテリアは、日本人建築家デュオAZUMIによるデザイン。室内はキャンドル・ライトで薄暗く照らされ、そこにいるだけでスーッと気持ちが静まるのが実感できる。
この空間にいるだけでも癒し効果がありそうだが、オープン当初から数々の賞を総なめにしているというこのスパのトリートメントの実力は侮れない。東洋と西洋のエッセンスを効果的に融合させた各種トリートメント・プログラムは極楽そのもので、トリートメント後はほど良い脱力感を体験できるはず。時にはこんなラグジュリアスなスパで思いっきり自分を甘やかしてみては?

Mandarin Oriental Hyde Park

66 Knightsbridge, London SW1X 7LA
Tel: 020 7838 9888 www.mandarinoriental.com
営業時間: 毎日7:00-22:00(トリートメントは7:30-21:30)
最寄駅: Knightsbridge駅
料金: アーリー・エナジャイザー£85(月〜金7:00-9:00のみ予約受付)、バリニーズ・マッサージ£150(1時間20分)、ハーフ・デイ・プログラム<オリエンタル・リチュアル>£275、フル・デイ・プログラム<バランシング・リチュアル>£350



水の力を徹底的に利用したハイドロセラピー(水治療法)が充実しているスパ。英国で最も素晴らしいスパに贈られる「デイ・スパ・オブ・ザ・イヤー」を何度も受賞していることからも、その実力がうかがえよう。6つの温泉プールの中でも、幻想的なインテリアが施されたフローテーション・プールは是非試して欲しい場所。21種類のミネラル成分を含む死海の塩を利用したこのプールにフワフワと体を漂わせると、日頃のストレスがスーと消えていくから不思議だ。アンチ・エイジングなど各種ビューティー・トリートメントのほか、関節炎、筋肉痛、リハビリなど体調に合わせたトリートメントを提案してくれるので、男性にもお勧めしたい。メディテーションなど心に働きかける講座も提供しており、心身共にリフレッシュできること請け合い。

Nirvana Spa

Mole Road, Wokingham, Berkshire RG41 5DJ
Tel: 01189 89 7575 www.nirvanaspa.co.uk
最寄駅: Winnersh駅(ロンドン、Paddington駅から約1時間)
営業時間: 毎日<デイ>8:30-17:00 、<イブニング>17:30-22:15(金〜日は10:45まで)
料金: <フローテーション・エクスペリエンス>デイ・パッケージ£99(月〜木)、£125(金〜日)、イブニング・パッケージ£59(月〜木)、£69(金〜日)*各種トリートメントは別料金。トリートメントを含むパッケージも有。



ウェストミンスター区の運営する公共スパ。自治体運営とはいえ、ターキッシュ・ホット・ルームズ(ターキッシュ・バス)が3つ、ロシアン・スティーム・ルームが2つにフィンランド式サウナと冷水プールがある本格派。インテリアもアール・デコ・スタイルを取り入れたエレガントなものなので、優雅な気分を味わえるはず。曜日によって、男性専用、女性専用、カップル専用と分けられているので、予約時の確認を忘れずに。ボディ・スクラブ、全身パック、マッサージなどの各種トリートメントは別料金(要予約)で受けられる。

読者オファー ダイジェストを持参すると25%オフ!

この記事が掲載された「英国ニュースダイジェスト」を持参された方には、入場料が25%オフになります。有効期限は2007年2月28日(水)まで。

Porchester Spa

The Porchester Centre, Queen's Way, London W2 5HS
Tel: 020 7792 3980
最寄駅: Bayswater/Queensway/Royal Oak駅
営業時間: 毎日10:00-22:00(火・木・金は女性のみ、月・水・土は男性のみ)
料金: 3時間£ 20.35( カップルは2人で£28.25)
*ウェストミンスター区住民やスパ・メンバー(月会費£59)には割り引き制度有。各種トリートメントは別料金。



お気に入りのバス・グッズを揃えただけで、自宅がスパに早変わり。ゆっくりできる週末などに、自分を思い切り甘やかしてみては? おすすめバス・グッズを紹介します。


REN
Moroccan Rose Otto Bath Oil £22.50(140ml)

夜明けに摘んだバラの花びらから抽出した最高級のローズ・オットーを含んだバス・オイル。お風呂にこのオイルを一滴たらしただけで、芳しいバラの香りが匂い立つ。お値段が張るけれど、それだけの価値有り!
★★★★★

The Sanctuary Bath & Bodycare
Lomi Lomi Relaxing Floral Bath £9.95(500g)

ハワイをイメージしたサンクチュアリーの新製品。甘いフローラルの香りに包まれたゴージャスなバス・タイムが体験できる花びら入りのバス・ソルト。湯船に浮かぶ花びらを眺めると優雅な気分に浸れること請け合い。
★★★

Molton Brown
Seamoss Stress Relieving Hydrosoak £16.00(300g)

死海の塩に海藻成分、収れん効果のあるセイヨウトチノキ成分を混ぜたバス・ソルト。個性的な匂いは好みが分かれそうだけど、身体から毒素を取り除くデトックス効果は絶大。
★★★



The Sanctuary Bath & Bodycare
Body Wash £4.25(250ml)

忙しい朝こそ大切にしたいシャワー・タイム。このボディ・ウォッシュを使えば、慌しい朝のバス・ルームがスパに早変わり。エッセンシャル・オイルの香りに包まれ気分はゆったり、セサミ&ホホバ・オイル入りのモイスチャー・カプセルで肌もしっとり。
★★★

REN
Seaweed and Sage Body Wash £13.00(200ml)

肌の活性化に働きかける海藻成分とセージ、ジェラニウム、ローズマリーなど、気分を明るくしてくれるエッセンシャル・オイルを配合したボディ・ウォッシュ。ハツラツとした気分になりたい朝のシャワー・タイムに。
★★★★


The Sanctuary Bath & Bodycare
Sento Invigorating Detox Scrub £9.95(400ml)

日本の銭湯からヒントを得たというこのSentoシリーズは、デトックス効果のあるワサビ成分(?)、肌をしっとりさせる酒など「和」の素材にこだわっている。シトラスの爽やかな香りに包まれながらスクラブして、体ピカピカに。
★★★★

Bodyshop
Spa Wisdom Africa Spa Salt Scrub £14.00(350ml)

モイスチャライジング効果大のガーナ産シア・バター、ザンビア産のビーワックスなどを使用したスクラブ。古くなった角質を塩が優しく掃除し、きれいになった肌をシア・バターとビーワックスが潤す。懐かしいフローラルの香りに癒されそう。
★★★


The Sanctuary Bath & Bodycare
Body Lotion £4.50(250ml)

甘くリラックスできる香りが1日中持続するので、このローションをつけた日は心なしか穏やかな日が過ごせそう。セルライトに効くジンジャー成分が入っているのに期待。
★★★★

The Sanctuary Bath & Bodycare
Lomi Lomi Relaxing Body Oil £7.95(250ml)

しっとりするのにベタつかず、サラサラの肌触りになるボディ・オイル。ハワイの花々をイメージした香りも芳しくリラックス効果大。バス・ソルトとお揃いで使いたい
★★★★


The Sanctuary Bath & Bodycare
Rasul Mud £5.95(200ml)

週末など時間のある時に使いたい全身泥パック。お風呂にお湯をためている時に、全身に行き渡るようにパックし、後はそのままお風呂にドボン。デトックス効果有り。
★★★★
RMK
RMK Clear Jelly Sheet £32(6回分)

保湿成分たっぷりの美容液をジェル状に固めたぷるぷるのシートマスク。モチモチの弾力あるみずみずしい肌になること保証。ほのかなミントの香りが、スパでのリラックス感をもたらしてくれる。
★★★★
1)お風呂に入る前やシャワーを浴びる前には、タオル、バスローブなどをラジエーターにかけるなどして充分に温めておきましょう。入浴後クリームなどで肌を潤おわせ、暖かいバスローブに身を包むと、自宅でボディ・ラップ気分。余裕があれば、ソックスも温めてさらにポカポカ感をアップ。

2)シャワーを浴びる直前に熱めの温度でシャワーをしばらく流し、スティームが充分に上がった所で床に好みのアロマ・オイルを3〜4滴撒きましょう。バス・ルーム全体に、エッセンシャル・オイルの香りが漂い、気分もリフレッシュ(気分を明るくしたい時は、バーガモット、ジェラニウム、オレンジなどのオイルを。逆にリラックスしたい時は、ラベンダー、ジャスミンなどを選びましょう)。





フラワー・ショップ、ギフト・ショップも備えたサロン。全面ガラス張りの明るい店内には、マッサージ用のチェアが並べられ、気持ち良さそうにマッサージを受ける人の姿が見受けられることも。これらのエナジャイジング・チェア・マッサージは10分10ポンドからあり、ちょっと疲れた時に気軽に寄れるのが魅力。奥では、ストーン・セラピーなどの本格的トリートメントを行っている。

Relax

65-67 Brewer Street, London W1F 9UP
Tel: 020 7494 3333 www.relax.org.uk
営業時間: 10:00-21:00
トリートメント一例と料金: アロマセラピー・マッサージ£40(30分)/£65(60分)、タイ・マッサージ£35(30分)/£60(60分)、インディアン・ヘッド・マッサージ£35(30分)/£60(60分)、リフレクソロジー£35(30分)/£60(60分)、ラ・ストーン・セラピー£82(75分)、エナジャイジング・チェア・マッサージ(クイック・マッサージ): £10(10分)〜



スパなどのサロンより敷居が低いので、疲れた時に気軽に立ち寄れるのが嬉しいリフレクソロジーの店。お値段も25ポンドからと良心的。経験豊富なリフレクソロジストが揃っているので、店を出る頃には疲れが溜まっていた足が軽くなること請け合い。65ポンドから出張サービスの依頼も可能(詳細はTel: 07958 088 044)。

Reflexions

<Whiteleys店>
First Floor, Whiteleys Shopping Centre, Queensway, London W2 4YH
Tel: 020 7792 9492
<Chelsea店>
250 Kings Road, London SW3 5UE
Tel: 020 7349 9475
www.reflexions.demon.co.uk
営業時間: 毎日12:00-20:00
トリートメント一例と料金: ハーフ・アワー・イントロダクション£25(Whiteleys)/£27(Chelsea)、ワン・アワー・リフレクソロジー・セッション£40(Whiteleys)/£43(Chelsea)、ヘッド・ネック・ショルダー・マッサージ£27(Whiteleys)/£29(Chelsea)、ワン・アワー・フル・ボディ・マッサージ£55(Whiteleys)/£60(Chelsea)


店内にはマッサージ・チェアが幾つも並んでいて、日本で見られる足裏マッサージ店のよう。備え付けのリフレクソロジー用の椅子はぐらぐらと不安定だけど、一旦腰をかけるとセラピストが椅子の位置調整をしてくれ、座ったままで横になれて快適。肝心のマッサージは、ソフト・タッチでちょっと物足りなさを感じたが、終了時には、ガチガチだった首が少し楽になったような気がしたのは思い過ごしだろうか? 予約なしでもOKなので、何かと重宝しそうな感じ。


 


スパのメニューで聞きなれないセラピー名やマッサージ名を見て不安を覚えたりしたことはありませんか? そんな方のためによく見られるメニューについての解説です。*スパ・サロンによって微妙な違いが見られることがありますので、施術を受けられる前に、何が含まれるのか必ず確認しましょう。


アロマセラピー

植物から抽出したエッセンシャル・オイルを用いたトリートメント、マッサージ。症状に合わせたオイルを選ぶことで効果が期待できる。

タラソセラピー
海水、海藻、海泥などを使用したフランス生まれの自然療法。海のミネラルがたっぷり含まれたパックなどがオススメ。

アーユルヴェーダ
サンスクリット語で「生命の科学」を意味するアーユルヴェーダは、インドで現在も信頼されている民間医学。ヨガ、瞑想などで精神面もサポートし、病気になりにくい身体を作るのが目的。トリートメントでは、デトックス効果のあるアビヤンガ・マッサージなどが代表例。

リフレクソロジー
身体に点在する反射域を刺激して、身体のバランスをとるセラピー。反射域は手にもあるが、足の反射域を刺激するフット・マッサージがほとんど。



スウェディッシュ・マッサージ
(ディープ・ティシュー・マッサージ)

少量のオイルを用いて、揉む、擦る、叩くなどの手技(比較的強い力)を組み合わせたマッサージ。筋肉の痛みの解消に適している。

タイ式マッサージ
指圧とストレッチを組み合わせたマッサージ。マッサージというよりは「2人でするヨガ」といった方が的確かも? ゆったりとした動作が深いリラックスを誘ってくれる。

ホット・ストーン・マッサージ
(ストーン・セラピー)

表面がツルツルとした石を50〜60度ぐらいに温め、この石をオイルを塗った体の上を滑らせるマッサージ。ツボに石を置くことで、全身の緊張を和らげる働きもある。

バリニーズ・マッサージ
指や手のひらを用い、長くゆったりとしたストロークを用いて円を描くような動きで全身をほぐすオイル・マッサージ。単純なマッサージなので、どこで受けてもハズレは比較的少ない。

ロミロミ・マッサージ
かつては王族のみが受けられたというハワイ伝統のマッサージ。腕と肘を使ったゆったりとした動きで全身の凝りをほぐす。ロンドンでロミロミを受けられるところはまだ少ない。

 
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